脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

The life you can save

2015-06-29 | Weblog

池上氏の番組で韓国人のインタビューが意図的に誤訳されていると話題になっている。問題のインタビューは「嫌いですよ思いっきり韓国を苦しめたじゃないですか」である。思い切り日本語を大きくしているので聞き取りにくいが「ムンファガ ノムチョアヨ クリゴ ウエグギニ チョンマル マニ ブラブラブラ」で「文化がとても好きです。そして外国人がたくさん訪問してます」と言うようなニュアンスで、彼女は何も日本人に対して悪いことは言っていない。決定的なのは韓国語の嫌いだというシロヨと言う単語があるがそれが出てこないことだ。過去にもテレビ局が従軍慰安婦問題の時に同じようなことを流していたが今回は番組が番組なだけに問題となったのだろうと思う。言葉と言うのは非常に大事だ、韓国語はそうたいして影響はないがしかし英語がわからないと何をするにもディスアドバンテージでそれはスポーツにおける共同体を形成することにおいては特に重要である。

話は共同体の話になるが私がすすめたい本がある。それはpeter singerの書いた「the life you can save」である。この本は2010年ごろに出版され日本語訳にもなっているがとどのつまり誰かが本当に困っている人たちのことをおぼえて寄付すれば世界の人たちの大半が救われるという本であり、読めばそれは非現実的であって現実であることが理解できるであろうと思う。シンガーが日本人にとって読みやすいのはまず誰もが問題意識をもっている貧困ということを上げていること、そして彼の哲学は倫理学そして道徳的な考察を持って推し進められていることで、西洋の合理主義が理解できない日本人にとっては読みやすい本だからだ。その本の中で彼が正義に対してヘブライ語の言葉をあげていた。ヘブライ語で正義はツエダカーというのだが、これは正義と言う言葉のほかに慈悲と言う言葉にも訳せる言葉である。ここからが私の考察もはいるがヘブライ語はユダヤ人が使う言葉であるが、この言葉は非常に宗教的な言葉である。まず正義と言うのは彼ら彼女らにとって神の正義だ、彼ら彼女らにとって厳密に言えば人間の正義など存在しない、すなわちその支配者である神のみが正しいわけであって、宗教裁判と我々の裁判制度に大きな隔たりがあるのが何を絶対権威とするかであり、彼ら彼女らは神の名、すなわち法典によって裁くのである。さらにこれが慈悲と言う解釈になるのは、自分たちが神の御慈悲が与えられることで神の正義が示されたということである。領土問題の根本は自分たちはその土地を神から与えられたという考え方からくるのであって、勝手な話だが土地が与えられるというのは自分たちに対する御慈悲であってそのことによって正義を示されたということになる。だからツエダカー=正義、慈悲となる。しかしシンガーはこういう解釈でツエダカーと言う言葉を解釈しているわけではないが、与えることは正しい生活をおくるための本質的な事柄で、ただごみを出してそれをもやすだけの人生よりもよりよい生き方をすすめている書物である。スポーツの指導者はおそらくこういう少し難解で哲学的な本を読むことは必要なことだ、よく店頭で見るような「リーダーとしての条件とか」「人を動かす」とか名言集みたいなものはまずきちんと考察できる基礎を磨かなければ読んでも意味がない、人に基本基本と言うのであればまずおのれも言葉や考え方の基本をみがく必要がある。

 

 

 

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