夜9時過ぎのリングを別名「おっさんホイホイ」と言う。9時ごろになると女性も少なくなり、それまで遠慮して隅っこのほうでトレーニングしていたおっさんたちがここぞとばかりにリングを占領、そしておっさんたちのマスがはじまるのだが、9時ごろになるとすいよせられるようにリングにささーっと集まってくるそういう現象をおっさんホイホイとよんでいる。うちのクラブは女性とおっさんが多いのだが、その中でもおっさんたちはまわりに気をつかう。この前もある人に「したっぱ感はんぱじゃないですよね」とからかったら「いやいやしたっぱですよ」笑っていたが、よくモップでリングの汗をふいてくれたり、気をつかってゆずってくれたりマスの相手をしてくれたりととにかくうちにはしたっぱ感満載のおっさんが多いが、しかしこういう感じのおっさんはうちのクラブの特徴で、こういう人たちがクラブの雰囲気をよくしてくれていることは間違いない。そしておっさんたちは仲がいい、若頭などは入ってくるなり開口一番に隊長今日来ましたかと聞いてくるが、それは若頭だけではなくお互いがいい意味で関心を持って協力し合っているのだが、うちのクラブは目立ちたがり屋の目立った人間ではなく、こういう縁の下の力持ちによって盛り上げてもらっているクラブである。
うちのクラブはおっさんと女性が多いボクシングクラブだ。だから普通の格闘技のクラブと運営の仕方が違う。特にうちのクラブは知的教養なども含めて常識的でなければまわりの人間も安心することはできないであろう。うちのクラブによく外国人が来る。この前なじみの人間が来たので英語で会話していたら、女性会員がすごいと言っていた。しかしこんなことは当たり前の常識だと思っている。むしろ多少の英会話ぐらいはできないとダメだと思っている。うちのクラブは留学経験があったり英文科を卒業している人も少なくはない。だから責任者である人間が共通語である英語を多少なりとも話すことは必要なことだ。知的な要素がかけてくるとその群れは乱暴になったり、でたらめになったりするものだ。程度のひくいクラブは体育会系のルールがすべてで礼儀正しいと勘違いしているが、しかし人間の群れと言うのはいろいろなレベルの人間、それこそ学歴の高い人間もいるのだからそういう人間たちにもあわせられるレベルで物事を考えなくてはうちのような社会的集団はうまく導いて運営することができない。子供の接し方ひとつにしてもなぜこう接するのかと言うことを深く考えて、時にはまわりがああそう言う意図があったのかと言うような深いレベルでの考え方を表すことも非常に大事なことで、そう言ったことはボクシングしかできないというレベルではできないであろう。物事を深く考えると言うのは材料がなければ考えられないただの勘繰りとなる。本当に深く物事を考えるためには本を読んだり語学を学んだりと知的材料が必要である。そう言ったこともせずに人に考えろとかあいさつしろとか言うのは指導者としてはちゃんちゃらおかしい、まず自分が思考能力をあげるために言葉をおぼえたり勉強すべきだと思う。