脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

What do you see into the mirror?

2016-08-19 | Weblog

夜の9時近くになるとおっさんたちがジムに集まってくる。タイミングがよければ次々とおっさんたちが来るのだが、我々はこの現象をおっさんホイホイ現象だと言っている。うちのクラブにはおっさんが数多く存在するがやはりおっさんはどこでも気をつかうようである。日本と韓国の違いは日本では非常におっさん世代が気をつかうことだ。向こうのおっさんは非常に態度がでかく偉そうだ、しかし日本人は40代ぐらいになるとまわりに気をつかって生きているように思える。40代ぐらいになるとある程度ステータスもあってお金に余裕もでてくるが、しかしそれでも人に気をつかうことが多く、ストレスを一番抱える世代、そういう世代を励ましたいということでボクシングクラブを運営した。だから女性やおっさんが多いと言うことはありがたいことで、これからも彼ら彼女らを中心に励ましていきたいと思っている。

うちのクラブは本当に女性とおっさんだらけである。たぶんうちのクラブのゆるい雰囲気がなんとなくあうのであろう格闘技なんてやったことがないおっさんたち、「私リズム感ないです」「運動したことがありません」とか言う人もざらにいる。しかしリズム感がなくても運動経験がなくてもまわりを気にせずトレーニングに励める。ここではボクサーだからとか格闘技経験があると言うことはまったく問題にしない、中年や運動経験がない女性も堂々とトレーニングできる場がうちのクラブのモットーである。

これは前にも書いたがフェミニズムの講演の中にこういう話があった。二人の女性ひとりは白人女性そしてもう一人は黒人女性。フェミニズムを主張する白人女性に黒人の女性がこう言った。「あなたは朝起きたら鏡に何が見える?」白人女性は言った「女性が見える」しかし黒人女性は言った「そこが問題である。なぜなら私が朝起きて鏡を見たら黒人が見える。人種とは私の目には見えるけれどもあなたの目には見えないものなの、それが特権というものよ」そして講演者は続けるもしあなた方が一瞬でも人種のことを考えることがなかったらそれは贅沢なことだ特権を持っている人にはそれが見えない。話はクラブの話になるが格闘技のクラブと言うのはどちらかと言うと男性社会で日本人で男性であると言うことはジムにおいては特権を持っている。まあ特権と言っても実社会とはまったく別の話であるが、しかし男性で日本人そして競技者であると言うことはすでにクラブにおいて特権を持っていると言っても過言ではないと思う。何が言いたいのかと言うとダイエットでも健康維持でも気軽に入ってこれると言うのであればもう少し勉強しろと言うことだ。おそらくクラブはジェンダーだけではなく年齢や能力の問題など様々なディスアドバンテージが(私は思っていないが)存在する。年配の女性が迷惑にならないようにトレーニングすると言う声を聞いてどう思うか?そんなことはない自由にやってくれと言うのは無神経な言葉のようにさえ聞こえるが、我々教える側はこの特権を外して相手のことを考えなくては本当の問題が見えてこない、このいろいろな立場の人たちが集まる群れを正しく公平に導いていくためには様々な問題や思いが見えていないと偏ったアウトロー中心の集団になると言うことだ。こんな小さい世界はたかだか知れているが、しかしクラブに属する人たちにとってはここに来たときはその世界の住人になる。私自身も一応日本人、競技者であった、そして男性であるので格闘技の世界ではこの特権を持っていると言ってもいいだろう。まあ男性であること以外は一応と言うカッコつきではあるが、それでもクラブでは特権を持った一人の人間である。ボーボワールと言う女性は女は女として生まれるのではなく女性になっていくのだと言うするどい言葉をのこしている。これは男性社会で女性が抑圧されているということを意味しているのだが、女性の立場さらによわいものに対して目を向けることはその集団がいかに社会的集団であるかと言うことを意味している。自分たちは楽しくやってます。と言う時その楽しくやっている自分たちとは誰のことか?よく考える必要はある。ここでは怒号をひびかせたり、裸でトレーニングをするのは禁止していると言うかそういうことをする雰囲気はない。それははっきりとは言えないがそれはジェンダー的なこともあって女性を軽んじてはいないから、そういうことが自然に起こってくるのだと思う。うちには体育会のようなルールや上下関係など存在しないが、しかしジェンダーや国籍や年齢を越えて平等にトレーニングできる社会的集団でありたいと願っている。

 


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