トルコが9日、国境を越えてシリアへの軍事作戦を開始した。、アメリカ軍の撤退の隙を突きプーチンがエルドアンに仕掛けた作戦である。短期間の限定的な侵攻を前提にプーチンが容認したのである。
トルコは東部に占める国境を超える、国家を持たない最大の民族クルド人が厄介でならない。エルドアンはクルド人をテロ団体に指名している。中国もロシアも、国内の独立や自治権の拡大などを求めるイスラム系民族を、テロ団体に指定し弾圧している。国際的な言訳をするためである。そのため反政府団体を簡単にテロ団体に指定する。
しかしロシアはアサド政権をアラブの春から救った。シリアのアメリカが支援していた反政府地域の掃討をプーチンはアサドの攻撃させたのである。冷戦時代のソ連は中東に拠点を持っていなかったが、シリアにはしっかりと拠点を築いた。
一番困っているのがトランプである。大統領選挙に受けて外交で点数を稼いでおきたいところであるが、中国も北朝鮮もままならない。中東から手を引いたとたんにこのありさまである。アメリカファーストを続けるなら撤退を撤回するわけにもいかない。それではこれまで支援してきた、シリアの反政府勢力を見放すことになる。
ロシアは現在トルコやイランと協力してシリア内戦の和平を進めている。この和平が実現すれば、ロシアはシリアの政治体制を左右する大きな力を得るし、戦争するばかりではなく地域紛争を解決した実績を持つことになる。プーチンはそれを狙っている。
今回のトルコ軍の侵攻作戦はプーチンが中東で、ロシアの確固たる拠点を構築するための布石である。