新春のBS番組で、アメリカ人の学生とイラク人のエジプト在住の学生のディベートを見た。未だブッシュを支持し、大量破壊兵器の存在を明かさなかった、イラクが悪いと主張するアメリカの学生がいたのには驚かされた。
注目したいのは、日本人の評論家を含めて、「これまでイラクに暴力的宗派間対立はなかったし、現在も存在しない」と複数の発言があった。存在するのは、政治抗争であるというのである。報道が煽って、アメリカの失政を覆い隠そうとしているいるにすぎないのである。
アメリカが侵攻して良くなったことは一つもない。フセインは相当悪いことをやったが、政治的に安定していたし、第一安全であったと懸命にアメリカの学生 に訴えていた。
アメリカの学生の中には、「アメリカはこれまで一度も暴力で民主主義を押し付けるようなことはしなかった」と、発言する者がいた。アメリカは単独行動をとっていないとも言っていた。事実誤認もいいところである。
イラク進攻も、多国間の合意で行ったというのであるが、国連決議も核査察もお構いなしに攻め入ったことを忘れている。アメリカの単独行動に同調した国々がいたことも事実であるが、アメリカの報復を恐れての追従行動でしかない。日本も同じである。
被害国であるイラクの学生が、冷静に事実を把握して発言するのに対して、アメリカの学生は大国のメンツを守るための発言が多かった。少数のアメリカの行動が間違っていたことを発言する学生もいたが、声は小さかった。
イラクの学生の中には、アメリカが利権を求めての武力行動で、イラクの国民が犠牲になっていると訴える者もいた。
これがアメリカの意見を投影しているかはわからないが、イラクはイラク人に任せてくれと発言は真の声であろう。
アメリカは理不尽な、あるいは少なくともイラク人を説得できないような、武力行動は即座に停止すべきである。