そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

牛のゲップへの一方的で不当な言いがかりは止めていただきたい

2021-11-08 | 農業と食
牛のゲップ(曖気(あいき・あいの字は口編)Brup・Belchi・Gas)が地球温暖化の原因であると騒がれている。言いがかりもいいところである。牛がメタン(NH4)を、発酵タンクの一胃からゲップとして排出しているのは古くから変りないことである。
先進国が近代化で便利を謳歌したっぷりCO2を排出して気候変動が起きているから、昔から変わらない生活をしている、ロクに電気も使っていない途上国にもペナルティーを科すようなものである。
メタンの温室効果がCO2の28倍とか70倍になるとか指摘されているが、その事実の確認をする根拠は持たないが、順序が逆であることを指摘したい。
先ず、安定的なCO2に比べてメタンNH4はたった7年で消失することが判っている。実際には3年でほとんど消失すると言われている。つまり、牛の排出するメタンガスは間断なく補給はされているが、増えるようなことはないのである。
日本に限ってみると、現在は肉牛と乳牛で380万頭専業畜産農家で飼養されている。戦前の統計は不明だが、馬が180万頭いたことが判っているから、それよりkなり多い牛は300万頭を超えていたと推定される。全て使役牛馬である。(馬の頭数は軍用に供されたため資料から推計される)農民が国民の6割以上の時代である。
つまり牛のゲップの量はこの100年ほどはあまり変わりないのである。翻って、日本は農民の数を極端に減らし、専業農家を3%程度にした。その一方で、便利と富を求め石炭や石油を大量に用い温暖化ガスを天文学的に排泄して、今日のような異常気象を招いているのである。
どの面下げて、今更牛のゲップが原因だとか、ゲップを押さえろなどと指摘するというのだろう。金が動くからである。
ご多分に漏れず、政府は牛のゲップを押さえる添加物に奨励金を出すというのである。脂肪酸カルシュウムなのであるが、この製品がパームヤシから作られるのである。インドネシアの熱帯雨林を潰して作られることのによる、CO2がどれほど排出されるのか私は計算できない。しかし熱帯雨林を伐採して失う植物が、土中に固定するはずであったCO2は簡単に計算できる。どうしてこんな牛の生理的反応を抑えるなどとする矛盾したことを、一方的にやるのだろう。

もし畜産に温暖化について注文を付けるなら、地球の裏側から運んでくる穀物の家畜給与についてやっていただきたい。下図は運ばれた食物の重量に距離を掛けた、フードマイレージである。日本は群を抜いて高く、これに排出されるCO2は1万7千トンで、国内の食物輸送の倍量になる。注目頂きたいのは、橙色の穀物である。穀物の輸入量は2700万トンほどで日本のフードマイレージの6割を占める。その7割近くが飼料用である。この穀物は遺伝子組み換えで無関税で、工業的畜産の基盤となっている。牛にとって生理に合わない穀物給与に対して、ペナルティーをかけ牛たちに健康を取り戻させていただきたいものである。温暖化対策にもなる。一石三丁である。


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