COP25開催直前に梶山経済産業大臣が石炭火力発電所を継続すると表明し、それを会議で言葉だけで誤魔化そうとした、小泉進次郎環境大臣の言葉の軽薄さが面白おかしく非難されている。おかげで二度も石炭賞をいただいた。恥ずかしい限りである。
これを追い風に、国家基本問題研究所理事長の桜井よしこが、「日本に原子力発電を取り戻せ」という文書を政府に提出した。化石燃料に依存しない原発を再稼働しろというのである。彼らは嫌でもCOP25を受けての事とは言わない。彼らは環境教問題など興味がなく、国家の威信を穢す環境問題などに屈したくないからである。本抗議文にもそのことには触れていない。しかしそうした情勢を背景にした提出と思ってよい。
原子力規制委員会の不合理な審査遅延によって、僅かに9基しか稼働していないと非難している。その上で、「わが国の原子力技術を将来世代のために維持、発展させたい。」と述べているが、この言葉には意味がある。
国家基本問題研究所は12年前に桜井が設立した極右翼団体である。皇国史観に基づく国家の回復を願うというものである。事務局長は椛島有三(日本会議事務総長)が務めている。桜井をはじめとして、日本会議のメンバーが多く重なっている。
日本会議を含めた右翼団体は、原子力発電の再稼働などに所詮興味があるわけではない。彼らの言う、「原子力技術の発展」とは原発から出される放射性廃棄物、とりわけプルトニュウムの再利用のことである。現在でも6か月もあれば、核爆弾の製造は可能であるといわれている。日本が保有しているプルトニュウム保存量45トンは、中国の10倍以上といわれている。国連で中国が日本に対して、IAEAの査察対象にするべきであると問題視している。桜井よしこがもんじゅの必要性を訴えていたのもこのことが裏にある。
たとえ核兵器に転用したところで、放射性廃棄物はどこか持って行かねばならない。核としては何も変わるものでない。