京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

お細工物日記~誰が袖~

2011-05-05 23:16:35 | お細工物日記
連休のお休みも今日まで、あっという間に終わってしまいました。
その、中日の昨日、爽やかなお天気の中、お細工物のお稽古に行ってきました

先月から、「誰が袖」という匂い袋を教えていただいて、昨日完成~~





















こんな感じで、全部ペアになった着物の袖の形をした匂い袋です。



型紙に薄ーく青梅綿を伸ばし、ちりめんなどの生地を張ります。
そして、袖口と振りに、重ねと襦袢がチラリと見せます。

何が難しいって、この「チラリ」の色合わせ
野暮ったくなったりステキになったり、ここで決まるのです。
本当の着物の色合わせと、お細工物では、また色の合わせ方が違うのですが
センスの問われるところ・・・勉強になります



この誰が袖のポイントは、必ずペアで作ること

昔から、和栽で着物を縫う時にも、必ずお袖は一緒に縫うもので
「袖を分かつ」と言って別々に作ってはいけないのだそうです。


誰が袖を教わりながら先生にお聞きした話。

昔は、今のようにメールや携帯もない時代。
好きな男性に自分の気持ちを伝えるのは、人の目もあって容易ではなかった。
そこで、この誰が袖を、好きな人の袂にそっと入れて思いを伝えたのだそうです

一つは、自分の帯の中に入れ、もう一つは思いが伝わった男性も帯にはさんだのだそうです。

だから、誰が袖は必ず二つ一緒に作るものなのよ。

そんなお話しを聞いて、
これが男の子、それに合うこれが女の子・・

楽しく柄や布の格や雰囲気を合わせながら作りました。




いい時代だったんだな~~、そしてなんて粋なんでしょ


そう言えば・・、着物の袖というのは・・・

「あかねさす紫野ゆき標野ゆき 野守はみずや君が袖振る」
これは私が生まれた近くの蒲生野というところで詠まれた歌です

昔、読まれた男女の歌には、「会えなくて涙で袖をぬらした」
な~んて、お袖がよく出てきますね。




古い着物の布を手に、こんなお話しを聞きながらのお稽古は
とても楽しいです
コメント (2)
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