お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

思い出の地 北海道その9(秘湯銀婚湯編)

2013年07月14日 19時37分09秒 | 旅先で
今回の旅でどこか温泉に1泊したいと考えていました。北海道は温泉だらけでかなり迷いましたが登別や洞爺とか巨大温泉地ではないところがよいとの意見がめずらしく一致し、あれこれ考えましたがなかなか決まらず、ここは独断と偏見の雑誌「自遊人」のバックナンバーを引っ張りだし2009年版温泉宿大賞で第10位に輝いた「銀婚湯温泉」と決定します。この雑誌は一つのテーマを絞って総力で取り組んでいるところが気に入り宿特集は必ず見ています。ただ記事にもあるように「コストパフォーマンス抜群ですが遠いのが玉に瑕ですが」・・とあるようにスゴイ不便な所にあります。函館行きの特急で札幌から2時間20分で「八雲」に着きます。ここから3つ先の普通しか止まらない「落部」が最寄駅ですが連絡が最悪で次の列車まで2時間待ちです。なんとか30分待ちくらいの路線バスを見つけてバスで落部駅前まで行きます。この駅で宿からのお迎えが来てもらえます。バスを降りてもあたりには送迎用のマイクロバスなんか止まってません。するとホンダフィットの前に年配の女性が佇んでいて「布澤さんですか?」いいですね。お買いもの帰りのフィットに乗せてもらって10キロほど山に入ると目指す「銀婚湯温泉」に到着です。車内でお話ししていたらなんとこのおばさんが「女将さん」です。いいですね。かなり期待できますね。





日本秘湯の会のこの宿は自家源泉が4本もあり敷地は1万坪もある広大な土地に全21室しかなく本当にのんびり温泉につかれる宿です。チェックインというか宿帳に記帳して部屋に案内されます。廊下等歩くときのスリッパがありません。拭き込まれた廊下を裸足で歩くのが気持ちいいです。早速宿泊者専用の貸切露天風呂へ。(自遊人に夕方までに入るべしとあった)帳場で鍵をもらいいざ裏山にある風呂へ向かいます。



庭を通り抜け宿の裏手の雑木林をすすむと「吊り橋」があります。



吊り橋を渡って対岸に。すると案内の看板が立ってます。





熊でも出てきそうな雑木林の先に



どんぐりの湯です。下を流れる川をみながら野趣あふれる温泉です。宿では「野天風呂」とあります。こんな風呂が六ヶ所作ってありますがシーズン中は混んでいて一か所も入れない場合もあるそうです。いちど帳場にもどりどこか空いてますか?と尋ねると「もみじの湯」が空いてます。広大な庭は草刈りや手入れが大変です。草刈りのおじさんに道案内されて、また吊り橋を渡って別のお風呂に向かいます。(ただし自然の真っ只中なので「蚊取り線香」は必携です)



ホント大自然の中によくぞ作られたという野天風呂です。ぜんぶ自分たちで作ったそうです。極楽極楽。野天の後は、本館の露天風呂付き大浴場にも入ります。これがまた広いし、誰もいないし、源泉かけ流しやし、日ごろのスーパー銭湯と雲泥の差です。あたりまえ。温泉を満喫すると夕食です。こんな山の中の秘湯なので夕食は期待していませんでしたが、とんでもない。



先付から始まり、前菜、刺身、焼き物、煮物、冷鉢、揚げ物、中鉢、ごはん(ふきごはんでした)果物と盛りだくさんで、シンプルですが滋味深いものばかりです。





温泉に入り、お部屋で夜ごはん。ごはんの後は もう一度源泉かけ流しの大浴場へ。夜9時を過ぎると廊下の電気もあまりついてなく、館内はしーんとしています。でも静かなこの夜も宿泊者は15室30名くらいはあるらしい。ホント秘湯はいいです。静かな夜をすごして朝、またお風呂へ。男女が0時で入れ替えになっています。また違う露天に入ってから朝ごはんへ。朝ごはんは食事処です。



朝ごはんの食堂はどこにこれだけ泊まっていたのと思うくらい家族連れやご夫婦や若い女性もいます。ゆっくり朝ごはんを食べて、もう一度お風呂へ。ここで面白いものをドアノブにかけます。



お布団を上げてほしくない場合は「布団 そのまま」をぶらさげておきます。(裏は 布団 あげるです)結構皆さん連泊されています。羨ましい。名残惜しいですが再び落部駅へ送ってもらいます。



帰りは3組のご夫婦と一緒なので宿のステップワゴンです。あれ?!運転手は昨日の草刈りのおじさんです。助手席に座ったので、駅までの道すがらお話をします。ちょうど「アカシヤ」の花が満開で、養蜂家が仕事の後で夜うちの風呂に入りに来るんですよ とか会話していて、この草刈りのおじさんが、実は宿の「ご主人」と判明!駅で車から降りるとき常連さんが「ご主人 また来ますね」「○×さん またね」だって。女将さんといいご主人といいなんて素朴でいい人たちなんだろう。見習わなければ・・・と名残惜しく最終予定地「函館」に向かう我々です。つづく。