お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

冬の日に仙洞御所と修学院離宮を拝観その2

2013年02月20日 19時56分59秒 | 京都観光
仙洞御所から一人で北へ向かいます。突然雲が出て、雨がパラパラ降ってくると自転車での移動はちょっと大変です。途中のショッピングセンターでトイレを済ませ、さてどこでお昼を食べるかしばし考えます。しかしこのショッピングセンターのそばにあったホテルが閉館していました。昔はホリデーイン京都として、屋外プールやボーリング場も備えたホテルでしたが、ホテル激戦区の京都にあって施設面の老朽化にはあらがえず閉館となったようです。思うに町家の宿も過当競争になってきたので、他人ごとではありません。さて、寒いときは暖かいモノですね。恵文社のある一乗寺周辺はこれまたラーメンの激戦区です。ラーメン好きのうちの息子が行きたがっているラーメン屋に向かいます。



かの有名な「高安」です。いつも行列が絶えないとのことでしたがこんなに寒い日には並んでないやろとお店の前に来て吃驚。平日の午後1時30分過ぎで店の外まで行列です。他にプランが無いので並ぶことにします。僕の後ろに並んでる学生さんが「この間、50分並んだ」なんて会話を小耳にすると「うーーん」となります。でも意外と一人なので20分くらいで「どーぞ」と店内へ。なんとラーメン屋なのに椅子はカフェ風です。平日のお得なセットがあって「ラーメン+から揚げ1個+ごはん」でなんと¥750です。



さすがに行列店だけあってなかなか美味しいラーメンです。それにから揚げも意外に大きくて美味しい。ライスも学生街だけあって大でも小でも同価格です。お店の応対もすごく丁寧で親切で、ラーメンもから揚げも美味しくて、この値段は行列ができる筈です。うちの息子の行きつけのラーメン屋「いいちょ」と甲乙つけがたいのであります。さて体も暖まり、恵文社にちょこっと寄ってから午後3時からの修学院離宮の拝観に向かいます。



おっと途中にある叡山電車の車庫の横を通りかかると何やら見慣れぬ車両があります。近寄って「パチリ」



どうやら工事用の車両のようです。いかん、こんなところで電車を眺めてる場合ではない。宮内庁は時間厳守です。坂道をひいひい言いながら修学院離宮の門前に自転車を止めて中へ。しかし自転車で来る人はいませんね。ベンツで来ている人はいましたが・・・。この日の修学院離宮の拝観者は約20名ほどです。御所と違い案内の宮内庁のの方は若い(30代ですが)女性です。やはり説明は女性のほうが聞きやすいですね。まず案内されるのは下離宮の「寿月観」です





少し進むと



いきなり視界が開けて、雪化粧をした比叡山が見えます。そして道は下離宮から中離宮へ向かいます。ここには二つの建物があり、その中に天下の三棚である「霞棚」があります。



あと二つは、桂離宮の桂棚、醍醐三宝院の醍醐棚だそうです。京都検定にでも出てきそうですね。中離宮を出ると田圃や畑の中を通って上離宮に向かいます。



昔はあぜ道だったそうですが松並木が続きます。杖をついた老ご婦人も2名いらっしゃいましたが折角の拝観なので頑張ってられます。両側に刈り込みのある階段を上がると



かの有名な景色が一望に見えます。修学院離宮は三つの離宮を順に巡りますが、最後のこの上離宮が最大の見どころです。拝観者はみな「隣雲亭」の縁側に座り、見事な眺めにこの離宮を造営した「後水尾上皇」のお心意気を見る思いです。よくぞこの場所を選ばれたことか。ふと足元をみると



軒下のたたきに小さな石が「一つ」「二つ」「三つ」。これがうちの改修工事の際に来ていた左官の「さくあん親方」が言っていた「ひふみ石」なんだ。親方はこの修学院離宮にも出入りされてます。そうです布屋の壁はこの離宮に出入りの職人の技が隠されています。さすが「京町家作事組」という思いで修学院離宮をあとにします。拝観は約3キロ、1時間20分を要します。階段、坂道も多いので履きなれた靴でお出かけください。おわり。








冬の日に仙洞御所と修学院離宮を拝観その1

2013年02月18日 16時47分23秒 | 京都観光
1月に京都市からの指導による防災面での是正工事を実施しました。昨年1月に続く町家の宿をこれからも続けるための工事です。布屋の利用状況を考えると、この冬の時期になります。寒い日が続く中、5日間をかけて「居室部分の排煙」「火器使用室の防火上の工事」を行い、市の建築審査課より確認をいただきました。これで京都市の規定はすべてクリアできました。工事に際していろいろ折衝いただいた建築家の「S」氏には大変お世話になりました。町家を残して「宿」を続けてゆくことはなかなか大変です。我々が宿を始めたころは(2003年)は町家の宿は10軒も満たなかったそうですが、今では100軒を越えるそうで、旅人には選択肢が広がりましたが、受け入れ側はなかなか難しくなってきました。2月も空いた日が続きますので、ここは普段行けないところに行こうということで先日京都御所の中にある「仙洞御所」と「修学院離宮」を拝観してきました。まづ午前中に(11時)仙洞御所の拝観をします。時間ぎりぎりに参集場所の大宮御所に自転車で行くと、なんとこの寒い中、30人ほどの拝観者が集まられています。宮内庁の職員の方(なかなかユニークなおじさん)を先頭に大宮御所から中に入ります。



若い女性から外国の方まで寒い中を進みます。



入口すぐに大宮御所の御殿があります。あれカーテンがしてある。訝る僕に件の宮内庁おじさんが説明してくれます。外観は純和風ですが、中は洋風になっているそうです。外国からの元首等のご利用のためだそうで、靴を履いたままでいいそうです。町家の飲食店の中には、外観のみ町家で、中は靴を履いたままのお店が結構あり、僕なんかは不自然だなあと常に感じていましたが、まさか御所もそうだったとは・・・。



仙洞御所はお庭を主に巡ります。大きな池が北側と南側に二か所あり、まづ北側から進みます。



5月連休前がみごろな藤棚の下の石橋を渡ります。



普段自転車で塀の外を通ってますが、中にこんな大きな池があるとは思いませんでした。



有名な州浜。



お茶室もあります。天皇陛下が泊まられた際は、朝、この池に船を出されることもあるそうです。
約1時間の拝観でしたが、やはり桜の頃、藤の頃か、紅葉のころがお奨めです。ただし、いい時期はなかなか拝観許可をもらうのは至難の技ですが・・・。
拝観を終わって門から出ようとしたら、宮内庁職員さんへ出前のバイクが入って来ました。なんとうちの近くの「チャーミングチャーハン」の出前のおじさんでした。へーつ「宮内庁御用達?!」なんだと見直してしまいます。
ここまではうちの奥さんと二人でしたが、今夜のお客様の仕込みがあるので「私は帰るし、お昼はどこかで勝手に食べてきて」とそそくさと帰ってしまいます。つづく。