三島由紀夫 (新潮文庫)
《あらすじ》
十六歳で、少年の倦怠を描いた作品
『花ざかりの森』を発表して以来、様
様な技巧と完璧なスタイルを駆使し
て、確固たる短編小説の世界を現出
させてきた作品群から、著者自らが
厳選し解説を付した作品集。著者の
生涯にわたる文学的テーマや切実な
問題の萌芽を秘めた『中世に於ける
一殺人常習者の遺せる哲学的日記の
抜萃』『詩を書く少年』『海と夕焼け』
『憂国』等13編を収める。
《この一文》
” 中尉がようやく右の脇腹まで引廻したとき、すでに刃はやや浅くなって、膏と血に辷る刀身をあらわしていたが、突然嘔吐に襲われた中尉は、かすれた叫びをあげた。
---『憂国』より ”
『憂国』は、私が知る限り最も完璧な小説のひとつです。
読みはじめると途端に、1文字1文字に目が吸い付いて離れなくなり、目から入った情報は直ちに鮮明な映像に変換されてゆくのです。
私は19歳で雨が激しく降る日の午後3時にこれを読んでいました。
すっかり打ちのめされました。
薄暗くなってくるなか、灯りをつけることも出来ないで熱中していました。
恐ろしいほどの衝撃でした。
そして、その衝撃は今日読み返してもまた蘇るのです。
完璧な文章による美しい物語。
私はこれを読む以前には文学の持つ意義というものを疑っていましたが、読み終えるころにはすっかり考えが変わっていました。
今にして思うに、この作品のために、文学をもっと知りたいと思うようになったのでした。
それなのに、怠け者の私は目標を見失ってぼんやりとしてしまうので、向学心を煽るためにも、時々は読み返さなくてはならないでしょう。
《あらすじ》
十六歳で、少年の倦怠を描いた作品
『花ざかりの森』を発表して以来、様
様な技巧と完璧なスタイルを駆使し
て、確固たる短編小説の世界を現出
させてきた作品群から、著者自らが
厳選し解説を付した作品集。著者の
生涯にわたる文学的テーマや切実な
問題の萌芽を秘めた『中世に於ける
一殺人常習者の遺せる哲学的日記の
抜萃』『詩を書く少年』『海と夕焼け』
『憂国』等13編を収める。
《この一文》
” 中尉がようやく右の脇腹まで引廻したとき、すでに刃はやや浅くなって、膏と血に辷る刀身をあらわしていたが、突然嘔吐に襲われた中尉は、かすれた叫びをあげた。
---『憂国』より ”
『憂国』は、私が知る限り最も完璧な小説のひとつです。
読みはじめると途端に、1文字1文字に目が吸い付いて離れなくなり、目から入った情報は直ちに鮮明な映像に変換されてゆくのです。
私は19歳で雨が激しく降る日の午後3時にこれを読んでいました。
すっかり打ちのめされました。
薄暗くなってくるなか、灯りをつけることも出来ないで熱中していました。
恐ろしいほどの衝撃でした。
そして、その衝撃は今日読み返してもまた蘇るのです。
完璧な文章による美しい物語。
私はこれを読む以前には文学の持つ意義というものを疑っていましたが、読み終えるころにはすっかり考えが変わっていました。
今にして思うに、この作品のために、文学をもっと知りたいと思うようになったのでした。
それなのに、怠け者の私は目標を見失ってぼんやりとしてしまうので、向学心を煽るためにも、時々は読み返さなくてはならないでしょう。
冬休みの課題にします。(いつも休みですが;)
三島由紀夫は確かにキツイですねー。
私も『憂国』以外はほとんど読んだことがありません。
どういうわけか眠くなって・・・。
『憂国』だけが私のいわゆるツボにはまったのですねー。
不思議です。
これも、ntmymちゃんから教わった小説でした。
当時も、貴方が「すばらしい!」と大絶賛していたのを思い出します。
わたしは、「匂い」が強くてちょっと三島が苦手なのですが。
それだけ上手いっちゅーことだとは、もちろん思うのですが。
サン=テグジュベリは、私は『星の王子様』しか読んだことがないのです。
でも、あれは、大人の物語です。
秋口に、サン=テグジュベリに関する考察を含んだ舞台を観て、それ以来とても興味が湧いております。