半透明記録

もやもや日記

『奇跡の映像 よみがえる 100年前の世界』

2008年01月07日 | 映像
BS世界のドキュメンタリー


原題: Wonderful World of Albert Kahn
制作: BBC(イギリス) 2007年

《番組紹介》
20世紀初頭の世界を記録した貴重な映像がパリに残されている。銀行家で大富豪だったアルベール・カーンは、当時開発されたばかりの技術で各国の様子を世界で初めて、72000枚のカラー写真と、100時間に及ぶ記録フィルム(一部カラー)を残した。極めて貴重な映像資料をもとに20世紀初頭の世界を描く 9回シリーズ。
   (NHKオンラインより)




今週の日曜日からBS1で放送中の番組の第3回を見ました。
何度も言うようですが、私はちょうど100年前くらいの世界にとても関心があるので、この番組は絶対に見なければならないと思っています。日曜放送の2回分は録画してあってまだ見ていませんが、今夜放送の第3回は番組開始からちょうど見ることができました。
で、その感想を一言で言うならば、

100年前にも世界は今と同じように豊かな色彩に溢れていたのですね。

ということでしょうか。当たり前のことなのですが、やはりカラー映像のインパクトはすごくありました。不思議なことに色がついているというただそれだけのことで、100年前という時代が急に現在に近付いたような気がしてきます。まったくもって単純な反応なのですけれど。

そして、近付いたような気持ちで100年前の世界の映像を見ていくと、このあとの世界は、特にヨーロッパは第一次世界大戦という大きな破滅的転換点に向かって進んでいくわけでして、その破壊される前の世界の人々がどのように暮らしていたのかを、写真の一枚一枚は伝えてくれるのです。

色鮮やかな民族衣装を着た子供、美しい自然の風景、着飾った人物、貧しい人々の生活。今とは違う世界に、今と同じような人々が生きていたという事実が迫ってきます。ただ、カラーだというだけなのですが、やはりそれは予想以上の衝撃をもたらすようです。

カメラがとらえた人々の暮らしぶりの向こう側には、それぞれの人が暮らす国々の様子も写っています。
ひとつの国にありとあらゆる民族がごちゃまぜになってしかもそれを普通だと思って暮らしていたり(たとえばマケドニア。すごい不統一感です。国民のほとんどが「マケドニア人を名乗らない」のに、どうやって国を維持していたのか興味が湧きました)、あるいはイタリアはその当時は国として統一されて間もなく、ヨーロッパのなかでも極めて貧しい状態で、さらにイタリア語を話せる国民は全体の3%ほどであった、などなど私が不勉強なために知らなかっただけにしても、今とは随分と違うヨーロッパ諸国の有り様に驚きました。このあいだ『Z』を観た時も思いましたが、ギリシャも当時から意外とひどい国だったのですね。


というわけで、色々な意味でとても価値のある番組のようです。全部見よう。私はこれまでにいくつもこの時代の文学作品を読んできましたけれども、その鮮烈な描写にもかかわらず、これまで見た多くの白黒映像のためどこか少し色あせたような印象を持ってしまうことを、これからとうとう克服できるような気がしています。
世界は、いつの日にも豊かな色彩に満ちていたのです。
あの人が絶望しただろうあの日にも、間違いなく。
私はそれで前よりももっと悲しくなることでしょう。


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