半透明記録

もやもや日記

衝撃とその後の痛みのこと

2010年12月02日 | 学習



5歳の時に自動車にはねられて、左足の脛と左肩の鎖骨を折りました。鎖骨の折れたところは今でも曲がって繋がっているのを確認できます。そのとき私は1ヶ月ほど入院した気がしますが、お見舞いにもらった缶詰セットの中の「ブドウ」が珍しかったから食べたかったのにそれを知らないうちに姉に食べられてしまった悔しさのほかには、よく覚えていません。いえ覚えてますけど、それがとりわけ悔しかったな、と。

そもそもなんでそんなことになったのかというと、幼かった当時の私は路肩に停めた母の運転する車から降りて、小さな道路を渡って自宅に入ろうとするところで、反対車線から来た車にはねられたという間抜けな話なのです。私は小さかったから、母の車の陰に隠れて、対向車からは見えなかったのですね。いわゆる「飛び出し注意」ですね。でも注意しきれませんよね、こんな子供の間抜けさには。私は今でもやはり間抜けでありますが、私のこの間抜けさは幼い頃からの筋金の入った立派なものだということがありありと分かります。とにかく周りの見えない子供だった。いまでもそうだな……。軽トラックを運転していたおじさん(だったと聞いたような)も、急に飛び出してきた私にぶつかられて、さぞや迷惑だったことだろうと思います。本当に申し訳なかったです。マジ迷惑な。

とにかくそういうわけではねとばされた私は、その前後のことをよく覚えていません。ただTVドラマなんかでもよくあるように、気がついたら病院の白い部屋にいて、傍らには祖母が、目を覚ました私にリンゴの缶ジュースを飲ませてくれました。あの時の甘い味はいまでもよく覚えています(たぶん。でもリンゴでなくミカンジュースだったかもしれん…)。しかしその間の記憶が全くない。これっぽっちもない。そのくらいの衝撃だったんですねー。ちなみに、骨折をしていましたがすでに固定されていて、痛みは全然ありませんでした。その代わりに、脚の折った部分はその後長い間ずっと寒くなると引きつるような痛みを与えてくれました。あれ、でも、そう言えば最近は感じなくなりましたね。大昔の痛みを感じるには、私も年を取って鈍くなってきているのかもしれません。


私は右足にも古傷があって、それは中学生の頃、友達の家に遊びにいったら、どういうわけかその日はひどく感情的になっていた普段は大人しいそこの飼い犬にガブリと脛をやられて、数針縫いました。私はそのとき割と厚手のジーンズを履いていたにもかかわらず、犬の犬歯はさすがですねー、片方の犬歯がもうザックリと深く突き刺さっていたのです。ワンちゃんは齧ってみたもののその余りの行為に自分でもびっくりした様子で、すっかり硬直してしまい、その固まった顎は友人が慌ててアグっと開けて私の足から離してくれました。

抜いてみるとジーンズには綺麗なひとつの歯形が、その下の私の生足にも歯形が、しかも血管を傷つけたのか、血がどくどくと流れ出しました。ワンちゃんますますビックリ。私もビックリ。友達とそのお母さんはもっとビックリしてました。でも私は痛くはなかった。ビックリし過ぎて痛みは感じませんでした。驚いた顔のワンちゃんとしばし見つめ合ったあの時の瞳が忘れられません。かわいそうに、現代社会に生を享けて生肉なんかにゃ縁がないと思っていただろうに、さぞかし驚いたのだろう。スマヌ、スマヌ…!(まー、私もなんで齧られたのだかさっぱり見当もつかないんですがね;)
それで私の齧られた足が実際に痛くなったのは、縫う直前の麻酔が染みたとき。あれは死ぬほど痛かったですね。しかも麻酔も微妙に効いているような効いていないような段階で、ザクザクと縫われる感触がたまらない苦痛でした。麻酔が切れてからの痛みもひどかった。その傷もまた、その後長く、寒くなるとひくひくと痛みました。今ではやっぱりもう何も感じませんけれども。



強すぎる衝撃は、その瞬間の大きな痛みを消去する。けれども、そのあとでずっとじわじわと痛みを引きずることもある。というお話です。なんでこんなことを思い出したのかと言うと、私は昨日、まるで車にはねられたような衝撃を受けたからです。あまりのことで何も考えられないのです。ショック状態から抜け出せない。いっそすっかり忘れてしまった方がいいのだろうかと思うものの、状況が分からなすぎて忘れ方も分からない。困った、困った!

『パーマネント野ばら』西原理恵子(新潮文庫)

kajiさんから借りた、西原理恵子さんの漫画です。大昔に『ぼくんち』を読みましたが、その時の衝撃もひどいもので、私はそれ以来出来る限りこの人の作品を避けていたのですが、こういう優れたものは避けきれるものでもなく今また私のところへやってきたので、覚悟を決めて(←覚悟するのにひと月かかった)読んでみたら、やっぱりひどいことに……。

なにがなんだか分からないまま、ただただ涙が溢れ出しましたが、その後、動悸、めまい、あとしゃっくりが止まらなくなりました。私はこれについて何か書けるのかなぁ。とても書けそうにないけど、書かないと、せめて書こうとしてどうにか整理しないと、私はこの痛くなってきた苦しさを乗り切れないような気がしなくもない。でも書ける気がしない。なにか違うことをやって気を取り直したいけど、違うことができない。できそうもない。参った。参った。。。
強すぎる衝撃が私から思考も何も奪ってしまう。でも引きずりたくないから、ここでちょっと踏ん張ってみようかしら。あーでも、もうページを開きたくないんだー。うーん、うーん…… でも、やらないと、ほっとけばいつかは感じなくなるだろうけど、ぶつかったものの正体を知らなければ、私はきっとまたぶつかるぜ……?







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