半透明記録

もやもや日記

お知らせ

『ツルバミ』YUKIDOKE vol.2 始めました /【詳しくはこちらからどうぞ!】→→*『ツルバミ』参加者募集のお知らせ(9/13) / *業務連絡用 掲示板をつくりました(9/21)→→ yukidoke_BBS/

『amato amaro アマート・アマーロ』

2010年10月23日 | 読書日記ー漫画

basso(茜新社)




《あらすじ》
経済学者ヴィットーリオ・コンティが男と関係を持った理由――。
経済学者で政治顧問、ヴィットーリオ・コンティ教授はボディガードでバイセッスアーレのアルマンド・パガーニを挑発する。「男とやってみたい。お前が付き合ってくれるなら、試してみたいんだが?」冗談のような口ぶりにアルマンドは怒り、拒絶するのだが…。表題作シリーズのほか、特別描きおろし「カッラーロの秘書」を加えた待望の第二弾。




basso(オノ・ナツメ)さんの漫画が面白い…。私は今ちょっとハマりかかっています。うーむ、いちいちお洒落で素敵なんだなぁ。じわじわきますね、なんか。とりあえず、絵柄が個性的すぎてちょっと…と躊躇していた頃の私をひっぱたいてやりたい気分です。もっと早くに読んでおきたかった。まあ、いいけど。


前作『クマとインテリ』の続編ということですが、前回登場した人物は物語のあちらこちらにチラッと出て来る程度で、新しくコンティ教授という人を主人公にしています。一応BLのカテゴリーに入るのかもしれませんが、ほとんどそういう感じではなかったです。で、引続き舞台はイタリア、眼鏡、スーツで教授。なるほど。(´∀`)


コンティ教授は新聞になかなか過激な論文を連載していて、そのことが原因で脅迫を受けています。教授は親友のメディア王ジーノの新聞で連載をしている関係で、ジーノからボディガードとしてアルマンドが派遣されてくる。主要な人間関係はこんな感じです。

コンティ教授を中心に、3人の間の友情と愛情(恋愛のような)の狭間、といった複雑な心理が描かれていたかと思います。それが、すっきりした結末を迎えたのかというとそういうわけでもないのですが、とにかく全編を通してさらっとお洒落に面白いので、私は思わずぐおっとなりました。

うーん、なんかじわじわくるんですねー。「アマート・アマーロ」のコンティ教授とボディガードのアルマンドはいずれもあまり表情を現わさないタイプなのですが、そこはかとない哀愁というのでしょうか、時々顔を覗かせる孤独というのでしょうか、そういうものが何気ないコマでうまく表現されています。面白い。面白い。けっして激しい物語ではないのに、ちゃんとドラマチックで良い。

同時収録の「ジェラテリーア・ディ・マルチェッロ」のジェラート屋にたむろする3人組のお話(これは同じ3人組の話が『クマとインテリ』にも収録されていた)が面白かったですね。3人がそれぞれに、生活の中でちょっとした失望や挫折に落ち込んだりして、また今日もマルチェッロのジェラート屋に集まってくる…というお話。
それから、ショートストーリー「パルティータ」。飯を食いながらサッカーのゲームを観ていたのに突然テレビが映らなくなってしまったので、お向かいの開いている窓からそのうちのテレビをこっそり覗き込む、というお話も良かった。

こういう何気ない日常の面白さを描けるところが、たぶんこの人の作品の魅力の大きな部分を占めているんじゃないかと思います。少なくとも、私はこのような、毎日のちょっとしたことを楽しく切り取る眼差し、何気ない動作にちょっとしたドラマを盛り込める能力というのに惹かれます。すごく魅力的です。とても私好み。面白いよう。


というわけで、bassoさんの面白さに気づいた私は、オノ・ナツメ名義(この方はBLはbasso名義で、それ以外はオノ・ナツメ名義で出されているようです)の『リストランテ・パラディーゾ』と続編『GENTE』(1、2巻)も買ってきたのでした。こ、これもなんかすごく面白かった! レストランのお話なんですけど、イタリアっていいなぁ、という気分になれますね。そしてやはりドラマチックでじんわりと面白いです。いいね、いいですね。
『GENTE』は連作短編ですが一応全3巻でまとまっているらしいので、最終巻を買ってきたらまたあらためて感想を書きたいと思います。