半透明記録

もやもや日記

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アンドリュー・ワイエスの世界

2008年12月14日 | 学習

「クリスティーナの世界」
『アメリカ名詩選』(岩波文庫)の表紙




先週のNHK教育【日曜美術館】では、アメリカの画家 アンドリュー・ワイエスを取り上げていました。私は例によってこのワイエスという人のことはまったく知らなかったのですが、岩波文庫の表紙の絵の人だということはすぐに気が付きました。アメリカの国民的画家だそうです。

番組で紹介されたいくつかの絵を見て感じたことは、とにかくこの人はものすごく絵が上手であるということと、その絵はまるで写真のように鮮明かつ細密で、しかもそれでもやはり人の手になる「絵」であるということです。「絵」なんだよなー。私はここで、写真と絵とは似て非なるものだいうことをあらためて実感した次第です。

写真と絵と、どちらが優れているという話ではありません。ただ、写真の登場によって、写実的な絵画はその価値を失うかというと、そうではないと私は思います。絵だからこそ表現し得る何かがここにはあります。写真にはそれがない、というのではありません。ある種の写真にも、それだからこそ表現し得る何かがあるのはたしかです。何か、というのは多分、美とか…そういう何かでしょうか。
絵であれ写真であれ、その何かが備わっているものに触れた時、私たちは、いや私はその前にただひざまずくでしょう。一瞬、それ以外のすべてを忘れるような、世界がそれと私だけになるような、大きな力が働きかけてくる。

ワイエスの絵には、そんな力があるようです。つい無言になってしまう。静寂の意味を取り戻せるような気持ちになる。過去に似ている。私にはそう思えました。


bunkamura美術館で展覧中だそうですが、渋谷は私には遠すぎる。まあ、いいか。もう好きになったから。