半透明記録

もやもや日記

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『カストロ 人生と革命を語る』

2008年01月21日 | 学習
原題: Moi,Fidel Castro
制作: Temps Noir(フランス) 2004年
NHKオンライン―世界のドキュメンタリー



以前放送されたドキュメンタリーがようやく昨年末に再放送されたので、前に見逃してしまった2回分を見ました。「第2回:ゲバラの素顔」と「最終回:対米関係とキューバの将来」です。
私は「第1回」を見たときから、フィデル・カストロという人物に抗い難い魅力を感じていたのですが(参照:『カストロ 人生と革命を語る』(2007年4月))、今回最後まで見てみて、なぜ私がこの人に引き寄せられるのか、その理由が分かったような気がします。この人は決して揺らがないものの上に立っているのです。公平で平等な社会という理想を実現すること。それだけがすべて。なんという美しい人だろう。


番組を見なかったという方のために、現代に生きるカリスマが語る姿を見たいという方のために、なによりも私自身のために、インタビューの一部をそっくり引用してみました。太字は私がとくに重要だと思った言葉です。その部分については、私は完全にこの人と同じ意見でした。




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革命政府は、アメリカの国民を批難したことはない。彼等に対して憎しみを抱いていないからだ。メディアによって嘘を信じ込まされている国民を批難して何になる。他国の国民を批難し始めたら、国際的な連帯を唱えることなどできなくなってしまう。世界大戦の責任をドイツの国民に負わせるようなものだ。そんな考えは改めるべきだ。言いたいのは、我々の国民は意見を通すために力に訴えるようなことは決してない、ということだ。

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ホセ・マルティは「自由になるために学べ」と言った。
教養がなければ、自由にはなれない。

世界の飢餓人口は9億人にものぼる。飢えを生み出す社会システムのせいだ。エゴイズムが蔓延し、消費だけが加速する。何のためにまやかしの世界に生きるのか? 生存すら保証されない世界で、なぜ何もせずにいられるのか? 世界は危機に瀕しているが、人間がまだ生き延びていけることを示さなければならない。

私は楽観的だ。世界の国々を見渡す限り、生き延びていける希望があると感じている。人間は間違いを犯しながらも、これまでの長い歴史を生き抜いてきたのだから。経験から私はこう確信している。「価値観」とは、人間の魂、知性、心に植え付けられるものだと。だからこそ、学び続けなければならないのだ。我々は希望の持てる時代に生きている。それをあらゆるところで目にしているはずだ。よく聞いてもらいたい。確信を持ってこう言っておこう。やがて、発展したわが国を見るために大勢の人が訪れる。人々が、発展したキューバを見にやって来ると。

私は批判を受け入れる。我々が理想主義のもとに犯してしまった過ち、それに対する批判は受け入れるつもりだ。我々は急ぎ過ぎたのかもしれない。習慣というものの根強さを、甘く見ていたのかもしれない。だが、我が国ほど大国の圧力に苦しめられた国はないのも事実だ。強大で裕福な敵国から情報操作をされ、経済封鎖をされた。東側諸国が解体し、我々は孤立した。だが、国民の全員とは言わないまでも大多数が支えてくれている限り、この国が揺らぐことはない。この先、何があるかは分からない。だが我々が試行錯誤を繰り返す時、悪循環にはまった時、どうするか。右にならえをしてはいけない。自分の国を信頼することだ。意見の異なる者を力ずくで排除しようとする思想に屈しない精神、それさえ保ち続ければいいのだ。他国より優れた国、優れた国民など存在しない。そこにあるのは、民族や文化の優劣ではなく、単なる違いにすぎない。

ラテンアメリカの国々は、同じ言語を話し、似通った文化や宗教、気質を持っている。ヨーロッパでは、フィンランド人、ハンガリー人、ドイツ人、イタリア人の異なる言語を話す人々がひとつになろうとしている。4、5世紀の間、戦いが繰り返されてきた大陸でだ。私は常に、厳しい目で物事を判断するようにしている。それでも、ヨーロッパの各国が統合に同意したという事実は、賞賛に値する。成功すれば、世界に恩恵をもたらすだろう。だが、もちろん複雑な問題が山積みだ。今後どうやって統合を進めていくのか注目している。

何が普遍的に正しいことかを理解できずに、どう生きていけるのか。それでは世界は救われない。我々のしたことが良い先例として広まることを望んでいる。著作権も特許もいらない。そのかわり、我々は誇りを手にすることだろう。世の中に役立つことができればね。

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  ―――「第5回:対米関係とキューバの将来」より



フィデルの言葉は、前から分かっていたあることを、あらためて私に実感させました。
私は理想主義者だ。
それなのに、彼らのようには生きられないだろう弱い私が悲しくて情けない。今はまだ私がやるべきことを具体的に思い描くことができないから、せめて一生懸命に願うくらいはしよう。いつか、新しい世代のために、私だって何かやらなければならないのだ。
こういう考えは、私のなかでもっともまともな思想だと思う。理想主義を掲げて困ることなど、とりあえず私には何ひとつ思い付かない。これがきっと終わりまで私を支えるはずだ。これまでに何度も、私を生かしてくれたように。