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『12モンキーズ』

2005年12月15日 | 読書日記ーSF
エリザベス・ハンド 野田昌宏訳(ハヤカワ文庫SF)


《あらすじ》
21世紀初頭、全世界に蔓延したウイルスにより、人類は死滅寸前にあった。地表をおおいつくした死のウイルスをさけ、密閉された地下都市で生活するわずかに生き残った人々。科学者たちは、ひとりの男に人類が生きのびるための一縷の希望を託して、鍵を握る時代ーーすべてがはじまった1996年へと送りこんだ。そこで彼がつかんだ巨大な謎……”12モンキーズ”とは? 知られざる兵器か? 秘密の軍隊か? それとも……!?


《この一文》

”「精神科なんかーー最新の宗教よ! われわれは祭司様なのよーー何が正しいか、何が間違っているかを決めるのはわれわれなのよ! 誰が頭が変で、誰がそうでないかを決めるのはわたしたちにすぎないのよ!」  ”




映画『12モンキーズ』の小説版だそうです。映画の方はまだ観たことがありません。テリー・ギリアム監督作品なのに……。映画と言えば、この作品はもともとフランスのクリス・マイケルという人が制作した『ラ・ジュテ』という映画に触発されて作られたそうです。『ラ・ジュテ』、以前からタイトルは聞いていて、観たいと思いつつ観たことがないSF映画の名作です。
さて、物語はなかなか良く出来ており盛り上がりもし、2時間ほどで一息に読めます。まさに映画的。断片的な夢のイメージと悪夢のような現実が、「現在」と「過去」を行きつ戻りつしながら進行します。始まりと終わりが輪ッかのように繋がっている物語で、こういうのを考えるのは大変なのだろうなーと感心しました。それと、あからさまにそういう描写はないのですが、どことなく幻想的な感じがするところが気に入りました。やはり、映画版を観たいところです。科学者が並んでいる場面なんかは、テリー・ギリアムだったらとても良い感じに表現しているんだろうなあ。ああ、『未来世紀ブラジル』を観たくなってきました。