全国的にバスや鉄道の廃線が増えるなか、自治体が交通網の維持・確保に知恵を絞っている。
事業者や住民と連携して今後のあるべき姿を示す「地域公共交通計画」の作成数は4月末
で1052まで増えた。 自治体あたりの作成数が最多の大分県では、計画に基づいたバ
ス運賃の引き下げなどで利用者を増やす。動きも出てきた。
地方圏では急速な人口減少などで路線バスの9割以上が赤字に陥っている。 運転手の確保
なども容易ではなく公共交通網の維持は厳しさを増す。 国は2020年の法改正で、運
営体制や路線網などの再構築に向けたグランドデザインとなる地域計画の作成を自治体の
努力義務とした。
地域計画は県や市町村のほか、複数の自治体が共同で作成するケースもある。 自治体あた
りの計画数を都道府県別に見ると大分県が1.11と自治体数を上回って最多となり、広島県
富山県が続いた。
大分県は県が主導して東部や中部など6圏域別に計画を
作ったほか、多くの自治体が単独でも作成している。県
地域交通・物流対策室は「市町村合併もあって広い面積
に人口が分散している自治体が多く、交通網の維持への
危機感が強い」と説明する。同県玖珠町は21年3月に
県と共同で西部圏(日田市・九重町・玖珠町)の計画を作った。
同町は人口減少が続くうえ、高齢化率も約40%と県平
均を上回る。”宿利町長”は「何とか利用者を増やして公
共交通を守りたい。このままでは郊外になるほど移動手
段がなくなり、町民が住み慣れた場所に住み続けられな
くなる」と話す。地域計画に沿って今年4月には「ゾー
ン制運賃」を導入した。従来、町のコミュニティーバス
と民間の路線バスは、目的地が同じでも運賃が異なるな
どの弊害があった。
新運賃はJR豊後森駅など中心区域は大人が150円で、区域外は300円とした。 大分
交通グループの玖珠観光バスは長距離区間で600円を超えることもあったが半額以下に
なった。
コミュニティーバスの運賃も距離に応じて最大200円だったが一律150円となり、4~
7月の利用者は前年同期を上回った。 宿利町長は「バス会社の減収分は町が補填するう
え、利用者を一定数確保できれば地域計画に基づいた国の補助もある」と強調。 「分か
りやすい運賃は増加する訪日客の呼び水にもなる」と期待する。
玖珠町と同じ西部圏の九重町は、3月に町単独での地域計画も作った。 路線バスの幹線か
ら延びる枝線の改善が大きな柱で、10月にはコミュニティーバスのデマンド交通への転
換を始める。 ”日野町長”は「バス停まで歩くのもつらいという高齢者が増えた。 自宅
前まで迎えに行くデマンド交通で高齢者の外出を促がしたい」と話す。
広島県福山市は県境を接する岡山県笠岡市と共同で3月に地域計画を作った。 両市内はバ
スやタクシーの運転手不足が深刻化しており、交通空白地が広がりかねない。 福山市は
計画に基づいて交通事業者などと「バス共創プラットフォーム」を設立。 ライドシェア
など新たな交通サービス導入の検討を始めた。
国は24年度末に1200の地域計画作成を目標にする。 東京大学の“中村特任教授”は「
住民の理解を得てこそ持続可能な公共交通を実現できる」と指摘。 「遠回りのように見
えるかもしれないが、実証運行や体験乗車会などを通じて住民の意見を聞く機会を重ねて
いくことが実効性のある計画作りにつながる」としている。
地域再生を図るためにもぜひ頑張ってほしいです。
事業者や住民と連携して今後のあるべき姿を示す「地域公共交通計画」の作成数は4月末
で1052まで増えた。 自治体あたりの作成数が最多の大分県では、計画に基づいたバ
ス運賃の引き下げなどで利用者を増やす。動きも出てきた。
地方圏では急速な人口減少などで路線バスの9割以上が赤字に陥っている。 運転手の確保
なども容易ではなく公共交通網の維持は厳しさを増す。 国は2020年の法改正で、運
営体制や路線網などの再構築に向けたグランドデザインとなる地域計画の作成を自治体の
努力義務とした。
地域計画は県や市町村のほか、複数の自治体が共同で作成するケースもある。 自治体あた
りの計画数を都道府県別に見ると大分県が1.11と自治体数を上回って最多となり、広島県
富山県が続いた。
大分県は県が主導して東部や中部など6圏域別に計画を
作ったほか、多くの自治体が単独でも作成している。県
地域交通・物流対策室は「市町村合併もあって広い面積
に人口が分散している自治体が多く、交通網の維持への
危機感が強い」と説明する。同県玖珠町は21年3月に
県と共同で西部圏(日田市・九重町・玖珠町)の計画を作った。
同町は人口減少が続くうえ、高齢化率も約40%と県平
均を上回る。”宿利町長”は「何とか利用者を増やして公
共交通を守りたい。このままでは郊外になるほど移動手
段がなくなり、町民が住み慣れた場所に住み続けられな
くなる」と話す。地域計画に沿って今年4月には「ゾー
ン制運賃」を導入した。従来、町のコミュニティーバス
と民間の路線バスは、目的地が同じでも運賃が異なるな
どの弊害があった。
新運賃はJR豊後森駅など中心区域は大人が150円で、区域外は300円とした。 大分
交通グループの玖珠観光バスは長距離区間で600円を超えることもあったが半額以下に
なった。
コミュニティーバスの運賃も距離に応じて最大200円だったが一律150円となり、4~
7月の利用者は前年同期を上回った。 宿利町長は「バス会社の減収分は町が補填するう
え、利用者を一定数確保できれば地域計画に基づいた国の補助もある」と強調。 「分か
りやすい運賃は増加する訪日客の呼び水にもなる」と期待する。
玖珠町と同じ西部圏の九重町は、3月に町単独での地域計画も作った。 路線バスの幹線か
ら延びる枝線の改善が大きな柱で、10月にはコミュニティーバスのデマンド交通への転
換を始める。 ”日野町長”は「バス停まで歩くのもつらいという高齢者が増えた。 自宅
前まで迎えに行くデマンド交通で高齢者の外出を促がしたい」と話す。
広島県福山市は県境を接する岡山県笠岡市と共同で3月に地域計画を作った。 両市内はバ
スやタクシーの運転手不足が深刻化しており、交通空白地が広がりかねない。 福山市は
計画に基づいて交通事業者などと「バス共創プラットフォーム」を設立。 ライドシェア
など新たな交通サービス導入の検討を始めた。
国は24年度末に1200の地域計画作成を目標にする。 東京大学の“中村特任教授”は「
住民の理解を得てこそ持続可能な公共交通を実現できる」と指摘。 「遠回りのように見
えるかもしれないが、実証運行や体験乗車会などを通じて住民の意見を聞く機会を重ねて
いくことが実効性のある計画作りにつながる」としている。
地域再生を図るためにもぜひ頑張ってほしいです。