eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

20ミリシーベルトを厳しく批判

2011-04-30 19:29:50 | 読書/新聞/映画など
放射線安全学が専門の小佐古敏荘(こさこ・としそう)東大大学院教授が、菅政権の原発事故対応を批判して内閣官房参与を辞任した。

「特に小学校などの校庭利用で文部科学省が採用した放射線の年間被曝(ひばく)量20ミリシーベルトという基準を『とんでもなく高い数値。年間1ミリシーベルトで運用すべきだ』と厳しく批判した。」 (朝日新聞)という。

放射線安全学が専門の教授の批判だけに、深刻にうけとめる必要がありそうだ。昨日のブログに、これまでに日本の原発の被ばくでがんになり労災認定をうけた人たちの記事(原発がん労災認定10人)にふれましたが、その10人の1人は、累積被曝線量が5.2ミリシーベルトでがんになっている。

年間被ばく量20ミリシーベルトという基準は「とんでもなく高い数値」という指摘が納得できる。文科省の決定の結果、どれくらい多くの子供たちが健康障害を受けることになるのか・・・。

日弁連も見直しを求めた。「島第1原発事故で、福島県の小中学校や幼稚園での屋外活動を制限する文部科学省の放射線量の目安について、日本弁護士連合会は27日までに、法令で定める放射線管理区域の基準より甘く、安全性に問題があるとして見直しを求める声明を発表した。」(日経新聞)
法令で定める「放射線管理区域」とは、放射線作業をする施設で3カ月の積算で1.3ミリシーベルトを超える恐れがある範囲を設定したもの。この区域の基準は、年間換算では5.2ミリシーベルトで、文科省が目安とした値はこの4倍近い。しかも、労働基準法は放射線管理区域での18歳未満の就労も禁じている。

18歳未満の就労が禁じられている放射線管理区域の基準よりも4倍も高い基準を小学生に適用するというものだ。

“I cannot allow this as a scholar,” he said at a tearful press conference late Friday to explain his resignation.
Mr. Kosako also blasted the government for a lack of transparency in releasing radiation levels around the Fukushima Daiichi nuclear power plant, and for setting an overly high limit on radiation exposure for workers at the plant.(NYTimes)ーー小学校の基準がとんでもなく高すぎると涙ながらに辞任会見した小佐古教授は、原発周辺の放射線量が開示されていないこと、原発労働者の被ばく基準も高すぎることも批判したとニューヨークタイムズは伝えている。

きょうのNHKの番組で、チェルノブイリの当時の映像とその後がんで苦しむ住民の状況が放送された。放射能汚染はヨーロッパ全域におよび、25年が経過したいまなお立ち入り禁止の地域も広大だ。事故当時、住民にはなにも正確な情報があたえられなかった。いまなお、人が住む地域の野生のいのししなどの放射線量は食用の基準値をこえているという。福島原発事故の25年後をみているようでおそろしい。

原発がん労災認定10人

2011-04-29 11:50:15 | 読書/新聞/映画など
昨日の朝日新聞に衝撃的なニュースが、小さく掲載されていました。

厚生労働省のまとめによると、1976年以降に原子力発電所に勤務する労働者で、放射線をあびたことが原因で白血病などのがんになり労災認定をうけた人が10人のぼるというものです。

衝撃的な事実は、この10人の累積被曝線量は、最大で129.8ミリシーベルト、最小で5.2ミリシーベルトであることです。

現在、原発の作業にあたっている人たちをはじめ、多くのひとたちが放射線をあびている。厚労省などは、福島第一原発で作業にあたる作業員の被ばく線量の上限を、これまでの合計100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げています。

250ミリシーベルトが、どのくらい健康に影響をおよぼすのか、われわれには、見当もつきません。ただ、過去のデータは、判断の大きな根拠になるといえるでしょう。そう考えると、過去に合計5.2ミリシーベルトから129.8ミリシーベルトの被ばくでがんを発症して労災認定をうけているということは、おそろしい事実です。

もうひとつの衝撃的な事実は、事故がおきていない通常の原子力発電のなかで、おおくの労働者が被ばくして、なかには命をおとしている人もいるということです。

eラーニング市場の動向

2011-04-28 15:08:27 | eラーニング市場
ここで述べるのは、きわめて短期的な現在の市場の感触についてです。

大震災や原発事故のあと、だれもが、自社の事業領域における影響をかたずをのんで観察していたと思います。

2011年度にはいって、わたしたちは、3.11の前に立案し取り組んでいた挑戦的な事業計画にもどして事業展開することを決めました。

そして、4月の終わりに近い現在の市場の感触は、かなり手ごたえがあるという状況です。比較的確実にみとおせる4月、5月の受注は、計画を達成できる見込みです。これは、ここ数年と比較しても、かなりの伸びを達成できることになります。

市場の底流には大きな変化があります。それは、またとないチャンスの到来でもあると受け止めています。


成長の三つの要

2011-04-27 20:24:59 | NetLearning Group
時代によって、企業の成長の基盤はかわります。

いま、日本企業の成長の基盤は、つぎの3つが基本であると言えるでしょう。

それは、グローバル化、多様性、イノベーションです。

この3つをしっかり実現していく戦略をもつ企業が、持続的にダイナミックに成長していく。

ネットラーニング・グループも、グローバル化、多様性、イノベーションを事業戦略の核心にすえています。


グローバル人材育成事業部を発足

2011-04-26 16:36:42 | パーソネル総研
以下、パーソネル総研のブログからの引用です。

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さて、(株)パーソネル総研は、2011年4月1日付でグローバル人材育成事業部を発足しました!

これは、企業が本格的にグローバル事業展開に取り組み、その過程でグローバル人材育成が
最大の経営課題になりつつあるいま、当社が続けてきた企業戦略コンサルティングサービスとあわせ、
グローバル人材育成を事業部の柱に加えることでサービスが更に拡充され、企業の真の課題解決を目指すものです。

さらに、新事業部発足に伴い…
 ◆教育のプロのネイティブ講師とのライブ英会話サービス「プロ・ティーチャー」
 ◆英国国立大学のMBA講座「オープン・ユニバーシティ」

 上記のサービス提供を行ってまいります。

これまでに蓄積した企業戦略コンサルティングと人材育成サービスのノウハウを結集し、
ネットラーニンググループ全体のシナジーをよりいっそう高めながら、
企業のグローバル事業展開を強力にバックアップしてまいります!!


 併せて、2つのグローバル・ビジネス・コミュニケーション体験ワークショップを開催します。
  <個人様向け>
    ・「マーケティング入門:ケーススタディ <iPad>」
  <法人様向け>
    ・「ロジカルな人材採用」


また、グローバル及びエグゼクティブの転身をご相談いただける登録フォームを開設。
よりご相談いただきやすくなりました!
  ●グローバル・エグゼクティブ転身 登録フォーム
    こちらも併せてぜひご利用ください。

革命期に生きた経済人

2011-04-24 22:59:18 | 読書/新聞/映画など
東大安田講堂を寄贈したことで知られる安田善次郎の伝記的小説を読みました。

渡辺房男『儲けすぎた男 小説安田善次郎』(文藝春秋、2010年7月30日、1600円+税)

富山の極貧の下級武士の家に生まれ、何度もつれもどされながら、このまま一生を終わっていいのかと19歳でついに江戸に脱出した安田善次郎は、丁稚奉公で働きずめのすえ、ちいさな両替商の店をもつ。

もちまえの才覚と寝食をわすれた商いで、わずかながらにも力を蓄え始めたときに明治維新に巻き込まれる。

一枚一文の寛永銭を一朱銀や百文の天保銭に両替してわずかな手数料を稼いでい安田善次郎は、幕府や新政府の通貨政策につぎつぎに巻き込まれ、逆にそれをチャンスとして巨額の富を短期間に築いていった。

幕府は、財政ひっ迫の中で、より小型の小判を発行して、その流通を善次郎など両替商におしつけた。新政府は、太政官札につづいて、円の明治通宝など紙幣を大量に流通させていく。

みるみる太政官札の価値が失われていくなかで、安田善次郎は、時代の流れの本質と根底の方向をみきわめて、大半の両替商たちが不安のなかで大勢にながされていくのと反対の行動を一貫してとり続け、巨額の富を築いていった。

駆けだしからわずかの期間に、三井とならぶ本両替商に加えられた。

国立銀行の設立が相次ぐときにも、善次郎は、慎重な姿勢をくずさず、小野組など巨大な力をもった本両替商の破たんや三井の苦境にも巻き込まれない。政府の政策がかわってから、銀行設立に動く。のちの富士銀行、現在のみずほ銀行の前身の安田銀行などを設立した。

そして、戦前の4大財閥、安田、三井、三菱、住友のひとつをつくり上げた。

時代の大転換期に、流れの本質を見抜きながら慎重にビジネスを組み立て、大きなチャンスにする人たちがいる。

晩年、安田善次郎は、東京・大阪を6時間でむすぶ弾丸鉄道を自力で建設する計画をすすめていたが、国有鉄道のライバルになることをおそれた政府が認可することはついになかった。




津波の基礎知識

2011-04-23 22:53:18 | 読書/新聞/映画など
河田恵昭『津波災害ーー減災社会を築く』(岩波新書、2010年12月17日、720円+税)

これほどわかりやすく、貴重な教訓にもとづく実践的な本が、3.11に東北をおそった大津波の直前に出ていたのですね。

わたしの常識的な理解の間違いにもたくさん気が付きました。また、災害にそなえることの大切さもあらためて学びました。

著者は、「まえがき」で、「近い将来必ず起きると予想されている、東海・東南海・南海地震津波や三陸津波の襲来に際して、万を超える犠牲者が発生しかねない」と警告していました。

あらためてわたしが知ったいくつかのことを、メモにしておきます。

1、津波は地球規模の広大な空間に長時間にわたって危険をもたらす他の災害にない特徴がある。
2、避難すれば助かる!
多くの犠牲者がでた例では、ほとんど避難行動をしていないという。
10メートルの津波の場合、統計上は、はやく避難すれば99%の人が助かり、避難がおくれると90%の人が犠牲になるという。
3、津波は盛り上がって乗り越えてくる。深さ10メートルの海の海面上高さ1.5メートルの岸壁に2メートルの津波がやってきたとき、路面上1.9メートルにももりあがり、秒速0.9メートルですすみ、陸上100メートル先でもスピードも波の高さもあまりかわらないという。
高さ5メートルの津波が、5メートルの高さの防波堤にぶつかると、1・5倍の高さ7.5メートルに盛り上がり、あふれるように乗り越えてくる。7.5メートルの落差で流れ込んでくるので、これは恐ろしい。防波堤が、津波の高さを押し上げる。
4、津波は見えない。
津波の大半は、海岸にやってくるまで見えない。遠くからやってくると、波長100キロになることもある。
5、津波は、はやい流れ。
被害は、深さよりも流れによって発生する場合が多い。
6、大きな津波は、6回続き、6時間は要注意。第二波が第一波の2倍以上のこともある。ときには、最初の津波の3時間後に最大の津波がきたことがある。
7、まず海が引くとは限らない。95%の人が、まず潮が引くと信じているが、きわめて危険。
8、一般的な護岸や堤防の高さは、30年に1度くらいやってくる大きな波を対象に決定している。津波は考慮されていない。
それを知っていなければならない。だから、避難しなければならない。
高さ10メートルの津波は、ほとんどどのような護岸や堤防ものりこえていく。1896年の明治三陸大津波は30メートルに達した。
9、新しい住民に津波の教訓が伝わっていない。
10、立っておれないような地震では、震源が近いと考え、ただちに徒歩で避難する。
車で渋滞にまきこまれて犠牲になったひとも多い。
11、ゆれが小さいと津波が小さいと考え犠牲になることが多い。ゆれが小さく津波が大きい津波地震があるので、ゆれが小さくても避難が必要。1分以上ゆれる場合は、ゆれが小さくても危険性がある。このゆれが小さい津波地震は、津波のおよそ30%にもなる。
12、木造住宅は流される。
浸水の深さが2メートルをこえ、流速が4メートルをこえると、木造住宅は流される。
13、海の水深が浅くなると津波は大きくなる。リアス式海岸でも、津波は大きくなる。
14、島の存在は、まるで光のレンズのように、津波を集めたり散乱させたりする。
15、歴史上、文明をほろぼした津波はいくつもある。
16、震源の深さが浅いほうが、一般に津波は大きい。
17、津波情報には限界がある。避難勧告や情報待ちでなく、自主的な判断で自分を守る必要もある。判断をまちがうと、最悪の場合命をうしなう。指示を待つのでなく、自分で判断して自分の命をまもる。
18、浸水した市街地でも火災が発生することを知っていなければならない。
19、津波に地震被害が先行する。
20、津波警報=2メートルをこえるおそれ。大津波警報=3メートル以上。
21、津波来襲の歴史はくりかえす。過去の言い伝えをしっかり教訓にする。
22、首都圏の場合、ゼロメートル地帯の浸水、石油タンクの火災、有毒ガスの漏えい、多数の地下鉄の駅の水没のおそれ。ゼロメートル地帯だけで70の駅がある。2002年チェコの河川の洪水ではすべての地下鉄路線が水没した。60万人におよぶ避難民の可能性。
23、釜石市の津波防波堤は、市民1人当たり300万円をかけてつくったものだった。
24、われわれは、津波多発時代の真っただ中にいる。
25、被災後の街づくりは、事前に計画を用意しておかないといけない。

昨年12月に刊行されたこの本の「あとがき」には、われわれは、「津波多発時代の真っただ中にいる」という警告がある。