■最初に引用した『韓非子』という書物は、王様の安泰を第一義として考え抜かれた統治の要諦を書いた王様用の教科書ですから、民の幸福を追求する目的で書かれてはいません。突き詰めれば、悪い役人が権力を独占して内乱が起これば、民は苦しむ事になるので、民の安寧を考えているとも言えなくはないのですが、役人は無能で何も考えない歯車として馬鹿馬鹿しい役目を黙々と果たしていれば良いという結論に従えば、コンビニのアルバイト学生よりも低い賃金で雇われるべきでしょうなあ。それが、「遅れず、休まず、働かず」ミスを犯さなければ一生安泰で、特別な年金やら天下りの渡り鳥生活まで保証されているのですから、テスト勉強しか能の無い人達が大挙して集まるのも仕方が無いのでしょうなあ。『韓非子』の教えに背くとなると、これは大変な苦労と犠牲が必要なのは今も昔も変わらないようです。
「幼稚園」と「保育園」の垣根が、ぐっと低くなる。遅過ぎた一歩だ。幼稚園を所管する文部科学省と保育所を所管する厚生労働省が、両方の機能を併せ持つ「認定こども園」を整備する。政府がそのための法案を国会に提出した。
■幼稚園があちこちで定員割れを起して、ばたばたと閉まっているのに、保育所を利用できない「待機児童」が2万人以上も居る、そんな馬鹿馬鹿しい状態がやっと解消されるようですなあ。半世紀も前から、旧通産省では夫婦に子供二人の「標準家庭」を政策の中心に据えていながら、「子供」の育て方も後々の「夫婦」の介護も旧厚生省の縄張りで、まったく整合性が取れていないのですから、子供は「鍵っ子」、年老いた親は「社会的入院」、その中から家庭崩壊やら少年犯罪の凶悪化など、不安ばかりが充満する恥ずかしい国が出来てしまったのでした。
幼稚園は3歳以上の子が対象で、原則1日4時間の教育施設だ。保育所は0歳児から長時間預かる児童福祉施設である。就労している親の子を対象とし、原則として、専業主婦の家庭などには開放されていない。核家族化が進んだため、専業主婦にも乳児の段階から幼稚園や保育所に助けて欲しいという切実な声がある。また、保育所でも充実した幼児教育を受けさせたい、と親が望むのは当然だろう。法案が成立すれば……制度スタート時点で1000施設が認定されると見込まれている。
■幼稚園と保育所の総数は3万7000だそうですから、1000箇所の「認定こども園」が出現しても焼け石に水でしょうなあ。「男女雇用機会均等法」などという法律を作っておいて、子育て支援は後回しにしてしまう感覚が分かりませんが、ずっと、厚労省と文科省は縄張り争いをして無駄な時間を費やして来たのです。それにしても、英語をそのまま直訳したような名称からしても、間に合わせの緊急避難でしかない実情が透けて見えますなあ。
現実にはすでに、自治体が住民の強い要望に応じ、独自の財源や工夫で作った幼保一体型施設が約300ある。それ以外にも、幼稚園で預かる時間を延長したり、保育所で教育カリキュラムを充実させるなど、ニーズに応えようと個々の取り組みは行なわれている。
■地方自治体の方が民の顔を見て、民の声を聞く場所に居るので、アホらしい永田町と霞ヶ関の縄張り争いに付き合っていられないのでしょうなあ。
認定こども園制度を発足させるために文科、厚労両省は、幼稚園と保育所の所管課長を人事交換した。……子育て支援は、少子化対策の重要な柱だ。文科、厚労にとどまらず、関係省庁は垣根を越えて効果的な政策を実施しなければならない。幼保一元化は、総合的な子育て支援策の入り口だ。もたつくことなく軌道に乗せる必要がある。3月23日 讀賣新聞社説より
■お役人は「垣根」の向こう側を見る力も権限も意欲も有りません。それをするのが政治家の役目なのですが、お役人に手取り足取り世話になっているようでは、新しい枠組みを考えられる筈は有りません。族議員などと呼ばれる役人以上に『韓非子』を愛読しているような政治家が居るのですから、垣根を取り払う事など不可能でしょうなあ。本当は「構造改革」の目的はこういう垣根を壊して、新しい行政システムを構築する事なのですから、小さな一歩ではあっても、厚生大臣を経験した小泉さんの業績として認めて良いのかも知れません。しかし、任期が切れる9月以降、新たな垣根がにょきにょきと建って元の木阿弥になる可能性も有りますなあ。そもそも、通産省が「標準家庭」のイメージを棄てる気が有るのかどうかも分かりません。縦割りを維持している垣根こそが、お役人の存在理由を支えているのですから、放って置いたら、永久に垣根は消えないのでしょうなあ。(其の四もあります)
「幼稚園」と「保育園」の垣根が、ぐっと低くなる。遅過ぎた一歩だ。幼稚園を所管する文部科学省と保育所を所管する厚生労働省が、両方の機能を併せ持つ「認定こども園」を整備する。政府がそのための法案を国会に提出した。
■幼稚園があちこちで定員割れを起して、ばたばたと閉まっているのに、保育所を利用できない「待機児童」が2万人以上も居る、そんな馬鹿馬鹿しい状態がやっと解消されるようですなあ。半世紀も前から、旧通産省では夫婦に子供二人の「標準家庭」を政策の中心に据えていながら、「子供」の育て方も後々の「夫婦」の介護も旧厚生省の縄張りで、まったく整合性が取れていないのですから、子供は「鍵っ子」、年老いた親は「社会的入院」、その中から家庭崩壊やら少年犯罪の凶悪化など、不安ばかりが充満する恥ずかしい国が出来てしまったのでした。
幼稚園は3歳以上の子が対象で、原則1日4時間の教育施設だ。保育所は0歳児から長時間預かる児童福祉施設である。就労している親の子を対象とし、原則として、専業主婦の家庭などには開放されていない。核家族化が進んだため、専業主婦にも乳児の段階から幼稚園や保育所に助けて欲しいという切実な声がある。また、保育所でも充実した幼児教育を受けさせたい、と親が望むのは当然だろう。法案が成立すれば……制度スタート時点で1000施設が認定されると見込まれている。
■幼稚園と保育所の総数は3万7000だそうですから、1000箇所の「認定こども園」が出現しても焼け石に水でしょうなあ。「男女雇用機会均等法」などという法律を作っておいて、子育て支援は後回しにしてしまう感覚が分かりませんが、ずっと、厚労省と文科省は縄張り争いをして無駄な時間を費やして来たのです。それにしても、英語をそのまま直訳したような名称からしても、間に合わせの緊急避難でしかない実情が透けて見えますなあ。
現実にはすでに、自治体が住民の強い要望に応じ、独自の財源や工夫で作った幼保一体型施設が約300ある。それ以外にも、幼稚園で預かる時間を延長したり、保育所で教育カリキュラムを充実させるなど、ニーズに応えようと個々の取り組みは行なわれている。
■地方自治体の方が民の顔を見て、民の声を聞く場所に居るので、アホらしい永田町と霞ヶ関の縄張り争いに付き合っていられないのでしょうなあ。
認定こども園制度を発足させるために文科、厚労両省は、幼稚園と保育所の所管課長を人事交換した。……子育て支援は、少子化対策の重要な柱だ。文科、厚労にとどまらず、関係省庁は垣根を越えて効果的な政策を実施しなければならない。幼保一元化は、総合的な子育て支援策の入り口だ。もたつくことなく軌道に乗せる必要がある。3月23日 讀賣新聞社説より
■お役人は「垣根」の向こう側を見る力も権限も意欲も有りません。それをするのが政治家の役目なのですが、お役人に手取り足取り世話になっているようでは、新しい枠組みを考えられる筈は有りません。族議員などと呼ばれる役人以上に『韓非子』を愛読しているような政治家が居るのですから、垣根を取り払う事など不可能でしょうなあ。本当は「構造改革」の目的はこういう垣根を壊して、新しい行政システムを構築する事なのですから、小さな一歩ではあっても、厚生大臣を経験した小泉さんの業績として認めて良いのかも知れません。しかし、任期が切れる9月以降、新たな垣根がにょきにょきと建って元の木阿弥になる可能性も有りますなあ。そもそも、通産省が「標準家庭」のイメージを棄てる気が有るのかどうかも分かりません。縦割りを維持している垣根こそが、お役人の存在理由を支えているのですから、放って置いたら、永久に垣根は消えないのでしょうなあ。(其の四もあります)