旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

ニュースの陰陽を考える 其の弐

2006-03-13 19:36:46 | 日記・雑学
■陽のニュースには陰のニュースを並べるとバランスが取れます。こんなニュースが余り大きく扱われずに粛々と流されていますぞ。

米ハワイで11日に行った在日米軍再編の日米外交・防衛当局の審議官級協議で、日本側は、在沖縄海兵隊のグアム移転費用について、民間資金を活用する融資方式で、米兵と家族の住宅整備関連費などを負担したい意向を米側に伝えた。米側の返済を求め、日本側の負担を減らすことで、国民の理解を得たい考えだ。米側は、融資方式に異論は唱えない一方、基地本体の整備費は無償支援で日本が負担するよう求め、今後、調整することになった。日米両政府は、20日以降に東京で審議官級協議を再び開き、月末に最終報告を策定、公表する予定だ。

■沖縄の米軍部隊が縮小するのは目出度い事ですが、現地で米兵相手の商売をしていた人達にとっては死活問題でも有るようです。駐留が長引けば、持ちつ持たれつの関係が深まるのは仕方がない事ではありますが、余り深くなり過ぎて「滞在費」の負担の上に、「手切れ金」まで支払わねばならないとは解せませんなあ。沖縄返還時にも、日本政府が米軍の撤収費用を実質的に肩代わりする「密約」が成されていた事が判明したばかりですが、今回のグアム移転に関しても税金の投入額を減らすために姑息な対応をしているようですぞ。


米側は2月の審議官級協議で、グアム移転費を総額約76億ドル(2005年度予算の換算レートで約8132億円)と見積もり、住宅整備関連費に約47億ドル(約5029億円)などと内訳を提示していた。その後、米側は一部を削減したが、インフラ整備費などを加算し、今回の協議では総額80億ドル(約8500億円)を大きく上回る額を示した。日本側は、住宅や生活関連施設の整備費について、国際協力銀行の出資を受けた民間企業が建設し、米政府から賃料などで返済を受ける方式にする方針だ。民間資本を活用して社会資本を整備する日本のPFI事業と類似した米国のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)制度を利用するものだ。ただ、この方式には、国際協力銀行が現行法で国外の米軍住宅建設に出資可能かといった課題が残っている。無償支援でも、国外の米軍施設整備に財政支援する新たな根拠法を制定する必要がある。
読売新聞 - 3月13日

■「国際協力銀行」には強面の取り立て屋は居ないようですから、踏み倒されたらそれまでのような気がしますなあ。米国がトンデモない事を言い出す前に、日本政府が何だかんだと気を遣って肩代わりするのは目に見えているのではないでしょうか?イラク戦争で史上最大の財政赤字を積み上げているというのに、次はイランと北朝鮮を一度に相手にするような威勢の良い事を言っている国ですから、特に北朝鮮に圧力を掛けてやっているんだぞ!と恩を着せられたら日本政府はグウの音も出ないのではないでしょうか?


日の丸と星条旗がカリフォルニアの空に揺れ、両国国歌が澄んだ空気に染み渡る荘厳な雰囲気。試合開始直後の1回表、息をつく間もなく、先頭打者イチローのバットから乾いた打球音が響きわたった。しかし、試合は8回の疑惑の判定で思わぬ展開に。本場米国で活躍するイチローが憤りを露わにした。「全員がフォーカスしてきた試合だけにこの結果は残念でならない」とイチローは試合後、珍しく怒りの表情を見せた。……「今まで夢にみてきたメジャーリーガーに日本が勝つチャンスがあったわけだから、ただただ残念でならない。君が代は日本での試合で聴いたことがあるが、野球の国に来て聴いた君が代はあらためて重みを感じた。こういう気持ちになったことも初めてだった」準決勝進出に向けて大事な2次リーグの初戦での敗戦で、自責の念に駆られる姿もあった。7回走者を得点圏に置いての打席。絶好の勝ち越しのチャンスに2塁ゴロに終わった。「あの展開でのチャンスはほとんどない。何としても打ちたかったが、100%僕のミスだった。投手に打ち取られたということではない。僕のミスによって発生したもの(凡打)です」……
夕刊フジ - 3月13日

■大リーグの大記録を塗り替える大活躍をしているイチロー君は、何とも頼もしい日本男児です。先頭打者ホームランを放って立派にチームリーダーの役目を果たしたのに、敗戦の責任は自分が打つべきヒットを打てなかった事だ、と断言するのも気持ちが良いですなあ。すっかり大リーガーになったイチロー君と、国籍など蹴っ飛ばして世界の王になっている監督とが日の丸を懸けて戦っております。ここまでは「陽」のニュース。


WBC日本―米国戦での日本の幻の勝ち越し点については12日、米国内などでも大きく報じられた。AP通信は、「疑問の余地がある判定が米国を助けた」との見出しをつけ、「日本が8回に岩村の左犠飛で均衡を破ったかのように見えたが、球審が他審判との協議の末に判定を覆した」と報じた。そのうえで、球審の「私が判断すべきプレーで間違った審判がコールしたために覆した」との声明を紹介。この球審は「1999年の労使紛争で失職した22人のうちの1人で、今はマイナーだが、大リーグレベルの審判」と付け加えた。

■野球の世界一を決めるという売り文句で商売しているくせに、国際試合なんだか国内試合なんだか分からない審判の配置が奇怪ですぞ!世界戦争の様相を呈するサッカーでは「ホーム」と「アウェー」と称して応援団と審判が試合の結果を左右する事を誰でも前提にしているようですが、何とも米国産の野球は、牛肉と同じで全部米国の判定に従わねばならないらしいですなあ。変なスポーツです。次の国際柔道大会は、全部日本人審判で開催したらどうでしょう?


さらに米国・リー内野手(カブス)の「判定が覆るなんてそうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」との談話を載せるなど、判定が米国寄りだったとの論調で報じた。また韓国の朝鮮日報(日本語版ホームページ)は、「米国、日本戦で厚顔無恥な詐欺劇」との見出しをつけ、「大会の中継を行うESPN(スポーツ専門チャンネル)は当時の状況を何度もスロー画面で繰り返し放送した。3塁走者は捕球後にスタートを切っていた。明らかな誤審だ」との現地特派員電を伝えた。読売新聞 - 3月13日

■1次予選で日本を破っているので、「敵に塩を送る」余裕も有るのでしょうが、韓国チーム自身がトンデモ審判をされては適いませんから、日本に同情する振りをして「反米」ムードを盛り上げるのが韓国の作戦?でしょうなあ。そんな事はどうでもよろしいのですが、こうなったら、韓国と日本で協力してどちらかが「世界一」を奪う努力をすべきでしょうなあ。野球の世界まで「思いやり予算」を計上させられたら堪ったものではありませんぞ!あれは絶対にセーフで、日本が犠牲フライによって逆転していますし、その勢いで間違いなく勝った試合です。

■きっとイランや北朝鮮でも映像を入手して、朝から晩までねちねちと放送するのではないでしょうか?「これが米国の遣り口だ!」といい続ければ、最高の反米キャンペーンになりますからなあ、明日当たりホワイト・ハウスからコメントが出たりしたら面白いですなあ。まあ、世界の超大国も、地元の野球界は田舎者によって運営されているという事です。莫大な「思いやり予算」で優雅な日本生活をしている在日米軍の軍人さん達も、余り変わりはないのでしょうなあ。岩国市の住民投票に合わせるように米国文化の一面を見るというのも、ニュースの陰陽のバランスを取るのに役立ちますなあ。

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ニュースの陰陽を考える 其の壱

2006-03-13 19:35:44 | 日記・雑学
■ニュース報道にも、陰と陽が有るようで、その扱い方のバランスを崩すと本筋が見えなくなる危険がいっぱいです。新聞紙面の活字の大きさと記事の配置、ラジオやテレビの放送順と時間配分、それらが報道内容以上に大きく印象を変えてしまいますから、ご用心、ご用心。


皇太子ご一家は13日午前、千葉県浦安市の東京ディズニーシーを訪れた。ご一家での訪問は初めて。ご夫妻の長女敬宮(としのみや)愛子さま(4)は水色のオーバー姿。ミッキーマウスなどディズニーキャラクターの出迎えを受けた際には驚いた様子で雅子さまの手を握っていた。愛子さまは4月に学習院幼稚園(東京都豊島区)に入園が決まっており、入園後はご一家での行楽の機会は少なくなる。宮内庁によると、ご夫妻は入園前に「同世代の子どもがしていることを同じように体験させたい」と、この日の訪問が決まった。
 ご一家は、通常はアトラクションに使用しているクラシックスタイルのツアーバスに乗り込み、園内を見て回った。愛子さまの友達と家族も同行しており、午前中はディズニーシーを巡り、午後には隣接するディズニーランドを訪れる。毎日新聞 - 3月13日

■愛子チャンは生まれた時から天皇即位が決まっているようで、始めから「様」付けで報道し続けているのですから、小泉首相が「皇室典範」を改正しようと言うのは予定通りの動きだったのでしょうなあ。しかし、「女系」と「女帝」の違いも分からないような人が寄ってたかって「統計学」で皇位を法律で縛りつけようとするのは感心しませんなあ。運良く、秋篠宮家からお目出度いニュースがまるで皇室からの「意見」のように出て来て、小泉さんはもう知らん振りしているようです。後々、この偶然が小泉総理にとって最も運が好かった事例として記録に残るのではないでしょうか?

■雅子さんの体調が快方に向っているのは慶賀の至りですが、ディズニー・ランドを訪問したのが、そんなに大きなニュースなのでしょうか?抜群の国際感覚をお持ちの皇室ですから、この訪問には他のニュースとの関連も有るに違いない、などと邪推してしまいます。


皇太子ご一家は6日、東京・上野の上野動物園を見学された。愛子さまにとって初めての動物園で、友人の親子数人も一緒に訪れた。
 宮内庁東宮職によると、愛子さまは、誕生記念としてタイから贈られた2頭のアジアゾウのうち雌のウタイと初対面し、バナナを与えるなど楽しいひとときを過ごされたという。雄のアティはゾウ舎から出てこなかった。午前10時すぎから午後3時近くまで休園日の園内を回り、ジャイアントパンダなどを見た後、友人の親子らと弁当を広げて昼食。ワニやライオン、ゴリラの様子に歓声を上げて喜んだ。東宮職は、雅子さまや愛子さまへの負担を軽減したいとして、報道各社による現地での取材の要望を受け入れなかった。
共同通信 - 3月6日

■「喚声を上げて喜んだ」などと、共同通信社も不敬な表現を使うものです。取材を拒否されたにしても、タイとの友好を考えれば、ディズニーランドよりも、贈り物のゾウさんとの対面の方が遥かに重要ですぞ!宮内庁のアホな気遣いは国益に反します。まったくアホではないでしょうか?!これでは贈り主のタイ国の人々には何も伝わらないでしょうに!日本で暮らすタイの人達を呼んで盛り上がるくらいの智恵を使わねば給料泥棒です。別に、「パンダ」などを御覧にならなくても結構です。ディズニーランドの御訪問が「陽」のニュースなら、上野(恩賜)動物園の感動的な御訪問は、すっかり「陰」の扱いですなあ。報道機関はもっと工夫して、宮内庁の失敗を補ってくれなくては困りますぞ。


山口県の二井関成知事は13日、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機部隊移転受け入れを巡り「反対」が9割近くを占めた住民投票結果について「市長と市議会が話し合うと思う。それを踏まえてまとめられる市の意向を尊重して対応したい」と述べ、結果を重視する姿勢を示した。15日に井原勝介市長と会談し、市の最終的な意向について確認する。知事は県庁で報道陣の質問に答えた。反対が圧倒的多数となったことについて「(投票率が成立要件の)50%を超えれば最低8割以上は反対かなと思っていた。(基地を)歓迎する自治体はなく、予測の範囲内だ」と感想を述べた。

■「兵は凶事」と言いまして、戦争は縁起でもない忌むべきものと儒教も孫子の兵学も教えております。しかし、戦争は常に相手が有って起こる凶事ですから、相手を考えずに「住民投票」などしたら、「嫌い!」「うるさい!」の反対票が集まるのは当たり前です。米軍の世界的な再編成だの沖縄問題だの、尖閣諸島や北朝鮮の動向など、「住民投票」では一切考慮されないでしょう。それは、ゴミ処理場や斎場を近所に持って来られては困る!という住民エゴと同じものを、正体不明の「平和愛好」の美名に包んだ催し物でしかないでしょうなあ。誰でも、「戦争大好き!」とは言いませんし、「岩国が駄目なら何処が良いか?」も考慮しなくても良い投票なのですから、厚木基地周辺の住民の迷惑にも責任を持たなくても良い投票です。「全国の在日米軍は出て行け!」というスゴイ意見の表明であれば問題は巨大になりますぞ。

■本当に丸腰になって『憲法9条』に殉じてどんなテロ工作活動をされようが、何千人拉致されようがミサイルの標的にされようが、歯を食いしばってお祈りを捧げるか、全ての防衛力を自前で賄うかの選択ですからなあ。岩国市の住民投票と機を一にして在日米軍基地の周辺では様々な反対運動が起こっているようです。一見民主的な市民運動のようですが、日本の防衛力が減退する事を喜ぶ国が近隣に存在している事を忘れた平和祭りには問題が有るでしょうなあ。


今月末にも日米両政府が合意をめざしている米軍再編の最終報告については「いずれ国に県の立場を申し上げたい。岩国市の意見は重いが、もう少し整理したい。岩国市を含めた周辺自治体の意向を尊重したい」と述べ、今月末に上京して国に県の意向を伝える考えを明らかにした。二井知事はこれまで、国から示された騒音データなどを基に「生活環境は悪化しない」と受け入れ容認姿勢を示唆している。毎日新聞 - 3月13日

■岩国に移転するのは厚木の航空母艦艦載機で、その厚木は軍と民の共用空港にしたいと石原東京都知事が要望し続けている場所です。関東地方のあちこちに設置されている自衛隊の駐屯地と米軍基地の統廃合が必要なのですが、米軍は東京に重要な司令部を置く事を勝手に決めているのですから、日本側の要望を聞くつもりはないでしょうなあ。でも、多少でも日本側から地方自治体や住民の声を米軍に伝えるのは良い事です。これは「陽」のニュースと考えて良さそうです。

夫婦喧嘩は犬も食わない 其の参

2006-03-13 15:59:33 | 社会問題・事件
■宗教の違う男女の結婚や、経済力がまったく違う出身地を持つ男女の結婚など、昔の日本だけでなく世界各地には、「家柄」や「財産」などの情報に通じいている世話焼きオバサンが大活躍して、結婚後の相談にも乗っているものですが、日本では「お見合い」も「仲人」もすっかり形骸化してしまって、結婚が遠のいたり誰にも相談できずに不幸な別れ方をする夫婦も増えているようです。「結婚相談所」という商売も、戦後の動乱期に急成長したのだそうですが、夫婦の「形」が原型を留めている間は、夫の勤めと妻の務めが互いに分かっている上に、地域の子育て体制もしっかりしていたので、何とか夫婦をやっていられたのでしょうが、何でも個人で解決しなければならなくなると、これは大仕事です。

■テレビやラジオの人生相談や、雑誌の特集記事などを参考にしようとしても、東京発の情報では逆効果になる場合も多いでしょうし、それらは所詮他人事として結婚問題を語っているのですから、自分の人生を懸けるのは危険でもありますなあ。いつぞや、堀口厚生労働大臣でしたか、少子化を防ぐ為に「退社時間を早める」と言い出して、失笑を買ったことが有りましたが、労働基準法を無視した過酷な残業が蔓延していたら、夫婦仲が悪くなるのも当然で、子作り子育てに良い影響が有るはずが無いのですから、笑っている場合ではなかったのではないでしょうか?何処の新聞も真面目に取り上げずに忘れられた発言でしたなあ。

■漫画の『三丁目の夕陽』が映画化されて大評判になったそうで、日本アカデミー賞でも多くの賞を得たとの報道が有りましたが、昭和30年代、多くの家庭では朝食も夕食もちゃぶ台を囲んで家族みんなが揃って貧しいながらも楽しい食事をしていたのを思い出して涙を流しているのは困ったものです。街には子供が溢れて走り回っていましたし、大人も夕焼けの時刻には帰宅している風景が戻って来ることは無いのでしょうなあ。夫婦も家族も、互いの距離を大きく取り始めたのは何時頃だったか、もう思い出せない今の日本です。太古の昔から、家族は団子になってくっ付いて暮らして来たのですが……。

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夫婦喧嘩は犬も食わない 其の弐

2006-03-13 15:58:48 | 社会問題・事件
■夫婦の問題をあれこれと詮索するのは、実に味気なく馬鹿馬鹿しいことであるのは承知ですが、種族が保存されて安全に暮らしていく基盤が家族であり、その始まりは「夫婦」なのですから、これは人間にとって永遠のテーマなのでしょうなあ。他の哺乳類を研究している学者達も、熱心に動物の「夫婦関係」と「親子関係」を観察していますから、人間の夫婦ほど面白いものは無いかも知れませんなあ。芸能雑誌などは、芸能人の仕事などどうでも良いらしく、くっ付いたの離れたのと、そちらばかりを熱心に追廻わして雑誌の売り上げを伸ばしているのですから、誰でも自分に引き比べて他人の夫婦を観察したいのでしょう。

…殺人未遂容疑で逮捕された中国出身の妻、詩織容疑者(33)が事件の1年半ほど前から、茂さんとの間にできた2人の息子を中国の親族に預けたまま帰国させず、茂さんともめていたことが関係者の話でわかった。千葉県警は、犯行動機として、資産目当てだけではなく子どもの養育を巡る意見の相違もあったとみて詩織容疑者を追及している。詩織容疑者は、2003年10月、茂さんに熱湯をかけて大やけどを負わせたとされる傷害事件でも逮捕、起訴されているが、長男(7)と二男(5)は、この事件の約1年前から中国の親族に預けられていた。

■夫の茂さんという人が、尻に敷かれているというよりも、何だか手玉に取られておろおろしている姿が目に浮かびますが、3年前に日本国籍を取る前に2人の子供を中国で育て始めてた段階で、弁護士に相談に行くべきだったのかも知れませんなあ。


茂さんは当初、友人らに「息子たちにはアトピー性皮膚炎もあるし、中国の方が環境がいいから」などと説明していたが、帰国しない状態が続くうちに「会いたいが、嫁が会わせてくれない」などと愚痴をこぼすようになった。近所の人もこのころから夫妻が言い争う声を度々聞くようになったという。

■中華4000年の秘薬でも使っていたのか、温暖な千葉の田舎よりも極寒の黒龍江省の方が環境が良いという話を信じ込んだとしたら、それは大きな過失だったでしょうなあ。


茂さんは、長男の就学時期を直前に控えた04年3月下旬、近所の知人からお古のランドセルを譲り受け、別の友人に「嫁はなかなか腰を上げないが、(長男の)入学が近いから、息子たちを迎えに行く」と話していた。しかし、同年4月1日から2日朝にかけてインシュリンを大量投与され、意識不明になった。また、これまでの調べで、茂さんは死亡時約1000万円の生命保険に加入し、預金も1000万円ほどあったことも判明した。読売新聞 - 3月13日

■この記事の通りだとしたら、容疑者は2人の子供を「夫婦の子供」とは考えずに「自分の子供」と考えていたようにしか思えませんなあ。それは同時に、「自分の一族の子供」という事を意味しますが、チャイナには長い華僑の歴史が有るので、一族の中に様々な国籍を持つ人間が混じっている事に慣れていますし、いざとなれば一族でその国に逃げ込む避難先が増えたと喜ぶものです。日本列島にしがみ付いて「一所懸命」に先祖伝来の農地に執着する日本の農民と、中華4000年の巨大な離散と流浪の歴史を持っているチャイナの人々とが夫婦として理解し合うのは非常に難しいのではないでしょうか?

■同じ日本人同士で結婚しても、生まれ育った場所が違えば習慣や味覚が違って夫婦中がぎくしゃくするものです。それが日本であろうと外国であろうと、少なくとも相手の出身地の歴史や文化を調べて学ぶ事は必要でしょうなあ。江戸時代までに完成した土地に強く結び付いた日本の家族制度のままで、アメリカ風の「恋愛結婚」やら華僑風の「国際結婚」などを易々と取り入れるのは、非常に危険なのだと知るべき時期ではないでしょうか?まして、妙に無口な男が褒められる伝統まで残っているので、夫婦の会話が無い事を問題視しない文化からは深刻な問題が生まれるものです。そこに残業だの「サービス残業」だのと、夫婦や家族で過ごす時間がどんどん削られているのですから、離婚が増え続けるのも当然なのでしょうなあ。

夫婦喧嘩は犬も食わない 其の壱

2006-03-13 15:57:40 | 社会問題・事件
■口の悪い人は、事件の捜査で調べ回る警察官や刑事さんを「犬」と呼ぶことがあるそうです。それと、「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言う時の「犬」とは違うわけですが、夫婦の間で奇怪な事件が起こると2つの「犬」が重なりそうです。DV(ドメスティック・ヴァイオレンス)という言葉が輸入されて、荒っぽい夫婦喧嘩は犯罪になりましたが、基本的には夫婦には夫婦にしか分からない事情が有るので、他人は夫婦喧嘩には過剰に介入しないものですが、政略結婚や財産目当ての結婚のような危険な因子を孕んだ結婚も有るので、一緒に暮らしている夫婦の間には犯罪が起こる危険は常に有るわけです。

■法律上も「尊属殺人」という特殊な扱いをするように、家族の中の犯罪は社会を崩壊させてしまうような恐ろしいものなのですなあ。しかし、それが国際結婚となれば外交問題にまで発展する可能性が有るのですから、よほど注意しなければならないのに……


千葉県光町で04年、妻が夫に大量のインスリンを投与した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された中国黒竜江省出身の風俗店経営、鈴木詩織容疑者(33)=03年4月に日本国籍取得=を受取人とする千数百万円の生命保険が夫茂さん(54)にかけられていたことが、県警捜査1課の調べで分かった。また、95年に茂さんの両親が殺害され自宅が全焼した火事で、火災保険千数百万円が茂さんの預金口座に振り込まれていたことも判明。同課は、鈴木容疑者がこれらの保険金を狙って田口久美子容疑者(41)に事件を持ちかけた可能性が高いとみて追及している。

■特定の国を「悪の枢軸」などと決め付けるのも物騒ですが、逆に特定の国を褒め上げたり何が有っても友好関係を結んでいなければならない!などと意地になるのも間違っています。何処の国にも凶悪な人物はいますし、善良な人もいるのですから、国の名前であれこれ判断するのは大間違いの元です。そして、グローバル化の時代になっているのに、日本人は「国籍」の意味を余りにも知らな過ぎるようですなあ。欧州の或る永世中立国などは、自分が持っている国籍が常に狙われている!と若い娘さんだって良く分かっていて、恋愛関係になった外国人に対しても、軽々に結婚などしないものです。確かに、海外に旅行したり滞在している時に在外公館がほとんど頼りにならないという大きな欠点は有るものの、日本国籍を持っている事は多くの利点を含んでいるのです。

■命懸けで筏(いかだ)に乗って海に浮かんだり、トラックのコンテナに何十人も乗り込んで密輸入国を試みるくらい、自分が住んでいる国に不満や危険を感じている人間が、今の地球上には溢れています。結婚は日本国籍を手に入れる最も簡単な方法なのだと知っているのかいないのか、こちらから嫁探しに出向くツアーなど、そろそろ考え直した方が良いかも知れませんなあ。


鈴木容疑者は03年10月に茂さんに熱湯をかけ、重傷を負わせたとして傷害罪で起訴されている。調べでは、この事件で茂さんが入院中、病気の夫が同じ病院に入院していた田口容疑者と鈴木容疑者が知り合ったという。近所の住民らの話では、田口容疑者は当時、高校生など3人の子供を抱え、定職はなかった。鈴木容疑者も、02年5月に2人の子供を出身地の中国に返し、仕送りをする一方で、自身の金遣いも荒かったという。同課は、事件の背景には双方のこうした金銭的事情があり、茂さんの生命保険金と両親の自宅の火災保険金を狙った可能性が高いとみて調べている。

■おそらくは中国に送り込んだ子供も日本国籍を持つ日本人です。幼い子供を中国で育てるということは、日本語を母語として理解しない人間に育て上げようとする事を意味します。高額なお見合いツアーで若くて可愛い嫁を見付けて喜ぶのは個人の自由ではありますが、相手の眼中に当人の性格や容姿さえも無かったとしたら、国籍入手だけが目的の結婚という事になります。日本人だからモテるのを、勘違いしては行けませんぞ。日本の国籍を得る事と、日本人になる事とを区別するような相手と結婚したら、地方の農家で平和に暮らし続ける事は不可能でしょう。まして、実家への仕送りを約束させられた結婚となれば、嫁を手に入れた利益が吹き飛ぶような「寄生関係」が発生する事を知るべきでしょうなあ。

■一人の嫁に、何十人もの「親戚」が付いて来る事、その人々は日本人の親族として入国ビザや滞在ビザも容易に手に入るという事も知っておくべきでしょうなあ。


一方、傷害事件後、茂さんが近所の住民に「殺されるかもしれない」「離婚しようかな」などと漏らしていたことも判明。茂さんは当時から、鈴木容疑者に何らかの不信感を募らせていたとみて調べている。毎日新聞 - 3月13日

■リストラやら低賃金のパート仕事をしている日本人でも、1000万円の保険金が転がり込んだら、人生観が揺らぐか転換するのですから、平均年収2、3万円の貧困地域からやって来た人がこんな大金を手にしてどうなるか、想像するのは簡単でしょう。或る報道では、放火殺人事件で死亡した御両親は、国際結婚した息子夫婦が子供を作ることに反対していたという話も有りますから、何かを感じていたのかも知れませんが、それが仇(あだ)になって事件に遭った可能性も有りますなあ。