今年6月の国連決議第1816では、ソマリアの海賊対策で「必要なあらゆる措置」の行使を認めているものの、他国での裁判までには言及していない。……
11月21日 産経新聞
■日本の海上自衛隊が頑張っているインド洋は、これからますます重要度を増して行くのは確実で、国際的な発言力を増すために存在感を高めようと、あちこちの国々がそれぞれの思惑で動き始めていますから、日本がもたもたしていると何処の会議に参加しても、誰も話を聞いてくれなくなるかも知れません。麻生内閣の支持率は2割を切ってしまったとは言え、野党第一党の外交戦略には多くの国民が不安を感じていますから、小沢代表がしゃしゃり出て来ても日本が「普通の国」として振舞えるようになる可能性は低そうです。麻生首相にしても小沢代表にしても、インド洋やイラクに出向いた事もなく、アフリカに足を踏み入れる素振りも見せませんから、新年を迎えても日本は新しい動きを見せることなどないのでしょうなあ。
インドネシア・ジャカルタ沖で今月4日、日本の海上保安庁とインドネシア側関係機関による海賊対策訓練が行われた。……マラッカ海峡はかつて世界最悪の海賊多発海域だったが、海峡の「利用国」である日本の対策支援もあり、近年、件数が大幅に減少した。アフリカ東部ソマリア沖の海賊に対する国際社会の懸念が高まる中、マラッカでの取り組みが改めて注目されている。……
■師走になって「非戦闘地域」のイラクから航空自衛隊が無事に帰還したのを喜んでいる暇も無く、海上保安庁は自衛隊が出向けない危険な「戦闘地域」に派遣されて頑張っております。これも国会ならぬ日本の法律が捻れたまま長年放置されているからなのでしょう。マラカッカ海峡に海上保安庁の船を派遣する時には、そこが「戦闘地域」か「非戦闘地域」かの議論はまったくありませんでした。海賊は軍隊ではなくて犯罪集団だと単純な線引きをしているからでしょうが、最近の海賊は下手な軍隊よりも強力な武器を持っていたりしますから、命令を受ける海上保安庁の皆さんにはご苦労を掛けることが多くなります。重武装していた北朝鮮の不審船を追跡した際に、犠牲者が出なかったのは奇跡みたいは話で、そんな危なっかしい僥倖に甘えて法律の改正に動かなかった国会の怠慢は、きっと大きな代償を払わされることになるのでしょうなあ。
訓練は、武装集団の船が日本の民間船舶を襲撃、負傷者が出たという想定で行われた。インドネシア側から海上保安庁への連絡で、付近を航行していた海保の巡視船「しきしま」が現場に向かい、インドネシア側機関の船と協力して「海賊船」を制圧、ヘリコプターで負傷者を救出するという内容だった。……「しきしま」はもともとプルトニウム輸送船の護衛用で、開発時から対テロを想定した海保の中でも特殊な船。全長約150メートル、約6500トンと巡視船としては世界最大で、35ミリ連装機関砲と20ミリ機関砲をそれぞれ2基装備し、ヘリコプターも2機搭載できる。
■警備用の艦艇としては実に堂々たるものですが、元を質せば海上自衛隊が使えないから海上保安庁の船が徐々に軍艦に似てくるだけの話で、刃物や拳銃ぐらいの武器しか持っていない敵を想定したような訓練では威嚇の効果も期待できない厳しい状況に対応するためには35ミリという大口径の機関砲が必要になっているのでありましょう。北朝鮮の不審船は荒波に揺られながら必死で逃走していたのが幸いして船内に装備していたミサイル兵器を使う暇が無かったと推測されます。しかし、獲物の船に乗り移れるほど波が穏やかな時に悪さをする海賊を相手にする時は、警備艇も標的になる覚悟が必要でしょう。
……欧州各国が本格的な制圧に乗り出しているソマリア沖の海賊対策に、日本からは海上自衛隊か海保の参加が検討されているが、現有船舶から海保が派遣する場合、能力的に「しきしま」が最有力とされる。安全保障筋は「海賊は公海上の国際犯罪で、警察権の行使と考えれば海保の仕事。海自にはそうした捜査、法執行のノウハウがない」と話し、今回の訓練内容にも関心を寄せている。……
■一度解体した軍隊を朝鮮戦争を切っ掛けにして復活させることにした米国のご都合主義も酷いものですが、今の自衛隊の前身となる「警察予備隊」が発足した時から、憲法問題が絡みついていた事を何よりもこの名称が示しておりました。でも、隊員に支給されたのは米国陸軍が使っていた立派な軍用銃だったのですから、米軍としては紛れもなく軍隊として働かそうとしていたのでしょう。それが60年間も誕生時の名称通りに「警察」なのか、装備と任務に相応しく正式に軍隊と改称すべきなのか、国会もマスコミも意図的に議論を避けて怠慢な態度で過ごして来たツケが、拉致だの島だの海底資源だのと具体的な課題となって噴出し続けております。
■重武装の海賊相手に、本気で警察権で対抗しようとしているのなら、相当の犠牲を覚悟しておかねばなりませんぞ。
11月21日 産経新聞
■日本の海上自衛隊が頑張っているインド洋は、これからますます重要度を増して行くのは確実で、国際的な発言力を増すために存在感を高めようと、あちこちの国々がそれぞれの思惑で動き始めていますから、日本がもたもたしていると何処の会議に参加しても、誰も話を聞いてくれなくなるかも知れません。麻生内閣の支持率は2割を切ってしまったとは言え、野党第一党の外交戦略には多くの国民が不安を感じていますから、小沢代表がしゃしゃり出て来ても日本が「普通の国」として振舞えるようになる可能性は低そうです。麻生首相にしても小沢代表にしても、インド洋やイラクに出向いた事もなく、アフリカに足を踏み入れる素振りも見せませんから、新年を迎えても日本は新しい動きを見せることなどないのでしょうなあ。
インドネシア・ジャカルタ沖で今月4日、日本の海上保安庁とインドネシア側関係機関による海賊対策訓練が行われた。……マラッカ海峡はかつて世界最悪の海賊多発海域だったが、海峡の「利用国」である日本の対策支援もあり、近年、件数が大幅に減少した。アフリカ東部ソマリア沖の海賊に対する国際社会の懸念が高まる中、マラッカでの取り組みが改めて注目されている。……
■師走になって「非戦闘地域」のイラクから航空自衛隊が無事に帰還したのを喜んでいる暇も無く、海上保安庁は自衛隊が出向けない危険な「戦闘地域」に派遣されて頑張っております。これも国会ならぬ日本の法律が捻れたまま長年放置されているからなのでしょう。マラカッカ海峡に海上保安庁の船を派遣する時には、そこが「戦闘地域」か「非戦闘地域」かの議論はまったくありませんでした。海賊は軍隊ではなくて犯罪集団だと単純な線引きをしているからでしょうが、最近の海賊は下手な軍隊よりも強力な武器を持っていたりしますから、命令を受ける海上保安庁の皆さんにはご苦労を掛けることが多くなります。重武装していた北朝鮮の不審船を追跡した際に、犠牲者が出なかったのは奇跡みたいは話で、そんな危なっかしい僥倖に甘えて法律の改正に動かなかった国会の怠慢は、きっと大きな代償を払わされることになるのでしょうなあ。
訓練は、武装集団の船が日本の民間船舶を襲撃、負傷者が出たという想定で行われた。インドネシア側から海上保安庁への連絡で、付近を航行していた海保の巡視船「しきしま」が現場に向かい、インドネシア側機関の船と協力して「海賊船」を制圧、ヘリコプターで負傷者を救出するという内容だった。……「しきしま」はもともとプルトニウム輸送船の護衛用で、開発時から対テロを想定した海保の中でも特殊な船。全長約150メートル、約6500トンと巡視船としては世界最大で、35ミリ連装機関砲と20ミリ機関砲をそれぞれ2基装備し、ヘリコプターも2機搭載できる。
■警備用の艦艇としては実に堂々たるものですが、元を質せば海上自衛隊が使えないから海上保安庁の船が徐々に軍艦に似てくるだけの話で、刃物や拳銃ぐらいの武器しか持っていない敵を想定したような訓練では威嚇の効果も期待できない厳しい状況に対応するためには35ミリという大口径の機関砲が必要になっているのでありましょう。北朝鮮の不審船は荒波に揺られながら必死で逃走していたのが幸いして船内に装備していたミサイル兵器を使う暇が無かったと推測されます。しかし、獲物の船に乗り移れるほど波が穏やかな時に悪さをする海賊を相手にする時は、警備艇も標的になる覚悟が必要でしょう。
……欧州各国が本格的な制圧に乗り出しているソマリア沖の海賊対策に、日本からは海上自衛隊か海保の参加が検討されているが、現有船舶から海保が派遣する場合、能力的に「しきしま」が最有力とされる。安全保障筋は「海賊は公海上の国際犯罪で、警察権の行使と考えれば海保の仕事。海自にはそうした捜査、法執行のノウハウがない」と話し、今回の訓練内容にも関心を寄せている。……
■一度解体した軍隊を朝鮮戦争を切っ掛けにして復活させることにした米国のご都合主義も酷いものですが、今の自衛隊の前身となる「警察予備隊」が発足した時から、憲法問題が絡みついていた事を何よりもこの名称が示しておりました。でも、隊員に支給されたのは米国陸軍が使っていた立派な軍用銃だったのですから、米軍としては紛れもなく軍隊として働かそうとしていたのでしょう。それが60年間も誕生時の名称通りに「警察」なのか、装備と任務に相応しく正式に軍隊と改称すべきなのか、国会もマスコミも意図的に議論を避けて怠慢な態度で過ごして来たツケが、拉致だの島だの海底資源だのと具体的な課題となって噴出し続けております。
■重武装の海賊相手に、本気で警察権で対抗しようとしているのなら、相当の犠牲を覚悟しておかねばなりませんぞ。