旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

大変なんだね?TBS 

2009-11-12 14:57:39 | マスメディア
■テレビが流す「情報」の中には政府広報も含まれていたはずで、法律を守って真面目に暮らすようにとのメッセージを流し、下請け苛めのお手軽ワイドショーでは即席の「正義」を振りかざし、時代劇から刑事物、子供向けアニメまで勧善懲悪を基本とする番組を制作して放送するのがタテマエなのですが……。

千葉県市川市の県警行徳署前で12日、市橋達也容疑者の送検取材時の混乱で、公務執行妨害で逮捕された男が勤めるTBS広報部は、「現行犯逮捕されたのはTBSの男性社員と確認した。担当している番組や所属を含めて言えない。本人と連絡をとるべく作業しているが、細かい状況については把握できておらず、詳細を確認している」と話した。
2009年11月12日 産経ニュース

■身柄が確保された大阪でも移動の新幹線でも、よくもまあ怪我人が出ないものだなあ、と半ば呆れてテレビの報道画面を眺めておりましたが、やっぱり報道陣から逮捕が出てしまいましたなあ。民放テレビ局は軒並み広告収入の激減で経営不振に陥り、どの局も経費節減に追われているそうであります。制作費を削れば番組が詰まらなくなって視聴率も落ちるのは分かっているのに、安上がりに作って視聴率を稼げる番組を放送しようとするから「特ダネ映像」が欲しくなる。本当に困ったら「ヤラセ」でも誤報でも騒ぎになって世間の注目を集められれば良いのだ!という自滅コースに嵌まり込む。

■軽妙と言うより軽薄な語りを「トーク」と称し、当意即妙・臨機応変などとはとても呼べない無駄話を流して「情報提供番組」だと言い張っていながら、新聞・週刊誌の記事を画面いっぱいに切り貼りして従業員のアナウンサーに「朗読」させても恥ずかしいとも思わない。取材費の節減が経費節約の切り札と言うのなら、最初からその事件に興味のある人は活字メディアに直接アクセスするでしょうし、他のメディアから情報を露骨に剽窃(ひょうせつ)した番組を漫然と眺めている人は、それほど強い関心を持ってはいないのでしょう。

■広く浅く情報の細切れを寄せ集めた「報道番組」を何の疑問も持たずに許容している視聴者は、決してテレビ・メディアを鍛えてはくれません。それに甘え切って番組の粗製乱造を重ねる送り手側にも反省の心は生まれないでしょうなあ。送検される市橋容疑者の顔を見たところで事件の真相に光が当たるわけでもないのに、大阪・東京・千葉へと報道陣の大群が移動する様は実に不快で不可解なものでありましたが、謎の?TBS男が無様に逮捕される一部始終を別のメディアが撮影してニュースにしてしまうというのも、楽屋落ちと申しましょうか、メクソ・ハナクソを笑うと申しましょうか……。

■TBS広報部が「……細かい状況については把握できておらず、詳細を確認している」と言っている脇から現場で起こった出来事の「詳細」は日本中に流れているのでありました。


……男は同日午前11時半ごろ、市橋容疑者が送検される際、警察官の制止を振り切り市橋容疑者を乗せた車に近づいて、公務の執行を妨害したなどとされる。同局の関係者によると、男は「みのもんたの朝ズバッ!」のディレクターとの情報があるという。

■不用意な発言が訴訟騒ぎにまで発展したことで名を馳せたのが『朝ズバッ!』という番組だったはずですなあ。「庶民の怒りを代弁」するとかで視聴率が高いらしく何かと低迷が続くTBSにとっては宝物みたいな番組らしいのですが、みのもんたの怒りが本物かどうか?相当に怪しいような気もします。ゲストに大物を呼ぶことが多いので旅限無も以前は観ていたこともありました。しかし、どうやら売り物の「怒り」は張りぼてに過ぎないと分かってからは朝の情報はもっぱらラジオからになった昨今であります。


男は市橋容疑者送検の取材のため、行徳署の門の脇にいたが、市橋容疑者を乗せたワゴン車が門を出たところで、県警が張っていた規制用のロープを越え、警戒していた警察官の制止を振り切り車を追い掛けた。すぐに数人の警察官に取り囲まれたが、男は警察官の手を振りほどき車に接近。数十メートル走ったところで、追い掛けてきた警察官に取り押さえられた。……警察官が「公務執行妨害で現逮(現行犯逮捕)だ」「ワッパ(手錠)だ、ワッパかけろ」と叫ぶなど、一時騒然とした雰囲気となった。
2009年11月12日 産経ニュース

■権力を監視するのが任務の社会の木鐸が「ワッパ」を掛けられる場合、通常は権力濫用だ!と官憲側が総攻撃を受けるはずなのですが、混乱を避けるために張ったロープを乗り越えての一人駆けとなると、単なる馬鹿者でしかありませんなあ。「そんなに欲しいか!視聴率?!」と言いたくなる情けない小さな事件であります。こんな取材態度を持っているのなら、TBSは来日するオバマ大統領の車にも無謀な突進を試みるのでしょうか?世界のテロリストが狙う重要人物が相手ですから、問答無用でシークレット・サービスに射殺されるのがオチ。日本の警察は優しいので、この程度の無作法に対して絶対に発砲はしないことを見越しての公務執行妨害だとしたら、とてもじゃないが権力の監視などは務まりませんでしょうなあ。

■さてさて、今日の夜から明日の朝にかけてTBS以外のテレビ局が「スクープ映像」を繰り返し繰り返し流し続けるでしょうから、本当に逮捕されたのが『朝ズバッ!』の関係者であれば他人の不幸は蜜の味!とばかりに澄ました顔で責め立てる他局と蒼褪めたコメツキバッタみたいに平身低頭して「再発防止に努めます」と毎度お馴染みの謝罪をするTBSとの比較対象は、きっと視聴率アップに貢献することでありましょう。

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テレビ・ラジオの曲がり角 其の参

2009-04-29 09:44:21 | マスメディア
■これから地デジに切り替わると「双方向性」が高まって視聴者が番組に直接的に参加できるのだそうですが、こういう馬鹿母に向かって画面の向こうから熱湯を浴びせるようなことは技術的に不可能でしょうなあ。他人の不幸を笑って見ていられる神経が、やがては暇潰しに我が子の虐待に向かわせたのでしょうが、こういう一見鈍感な人が過剰な自己防衛本能を持っているのが困った話で、我が子を含めて自分以外の生き物が苦しむ姿を笑って見ていられるのに、自分の皮膚に熱湯の一滴で飛んで来たりすると救急車だ!入院だ!と騒ぎ出したりしそうです。万が一、その一滴を飛ばした人物が特定されるような場合なら「自分だけの」人権を最大化して相手を徹底的に責め上げそうです。総務大臣を見習って「絶対に許さない!」とか何とか言いそうですなあ。

……2人は容疑を認め、「泣き叫ぶ長女の姿がおもしろかった」などと供述。「娘に申し訳ないことをしてしまった」などと反省している。……食べさせたシューマイを熱いとはき出した長女の様子を見て、熱湯に入るお笑い芸人の様子を思いだし、長女を熱湯に入れることを計画。……少女にはほかに、8カ月の長男がいるが、今年2月、足首を持って子供を振り回した際にできやすいという頭部外傷で入院しており、同課は少女が長男にも虐待していた疑いがあるとして調べている。 
4月28日 産経新聞

■生後8ヶ月の赤ちゃんの「足首を持って振り回」すというのも、何処かのお笑い芸人が手本になっているのでしょうか?単純に計算すると、19歳の「お笑い」好きの母親は虐待された子を17歳で出産していることになりますから、16歳の頃から奔放?な生活をしていた可能性があるので、乱暴に一般化はできない事件だと言えそうです。しかし、そういう生活をしている視聴者も存在することを知った上で視聴率競争に取り組む覚悟がテレビ業界には必要でしょうし、観る側にも成熟した視聴者になる心構えが必要なのかも知れません。もしも、これからもテレビ文化と深く関わって行こうと思うのならば、という話ではありますが……。
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テレビ・ラジオの曲がり角 其の弐

2009-04-29 09:43:57 | マスメディア
■「最低の人間」発言で物議を醸してしまった鳩山総務大臣は、事務所に多数の抗議電話が殺到したとて前言撤回、手榴弾を投げ込む予告電話まで掛かった所もあったそうです。どちらもテレビを真剣?に観ていることには変わりはなさそうですが、テレビ業界がよい方向に向かう助けにはならないような気もします。

民放連は27日、平成23年7月の地上デジタル放送完全移行をPRする新キャラクターを発表した。2本足で立ちアンテナの形の角を持つ“ゆるキャラ”で、愛称は「地デジカ」くん。地デジ移行の「注意喚起」を促す意味で黄色い服を着ている。……地デジ普及推進のメーンキャラクターを務めているSMAPの草なぎ剛さん(34)が23日に公然わいせつ容疑で現行犯逮捕され、地デジCMは全局で放送中止中。……発表会に出席した鳩山邦夫総務相は「(草なぎさんは)立派に大人の反省をして立ち直ってくださると信じている。彼がいない分、地デジカくんに頑張ってもらわないといけない」と話した。
4月27日 産経新聞

■逮捕が23日で「地デジカ」くんの発表が27日。生身の人間で代役を立てるのは非常に難しかったのでしょうが、何とも安直なお役所仕事ではあります。無気味な可愛さですっかり日本中に知れ渡ってしまった「せんと君」ぐらいのインパクトがないと草ナギ君の穴埋めは無理でしょう。SMAP人気と「女子アナ」ブーム?に便乗すれば地上デジタル化は順調に進むだろうと、何処かの誰かさんが考えたところから間違いが始まっているのですが……。

■あわてて作った面白くも可笑しくもない「地デジカ」君の着ぐるみに入っているのは鳩山大臣ではありません。「ゆるキャラ」のブームに便乗して登場した「サイバンインコ」という名前もデザインも苦笑と冷笑を浴びた着ぐるみに入って大汗をかいていた鳩山大臣でしたが、あれで懲りたのか?単に「地デジカ」君の着ぐるみが鳩山大臣の体型を考慮していなかっただけだったのか?理由は不明ですが、これから大急ぎでCM制作とポスター作りが始まるのかと思うと気が滅入るようなデザインと名前でありますなあ。

■2009年から正式に始まる「裁判員制度」自体が、このまま本当に開始できるのか?と心配されるほど疑問と批判の声が日に日に高まっている昨今であります。例の「サイバンインコ」は各地の地方検察庁が張り切って作った60種類以上もの「ゆるキャラ」の中から鳩山大臣が直々に選んだ福岡高検の作品で、法務省・検察庁の公式キャラクターなのだそうです。2009年版の『現代用語の基礎知識』(自由国民社)にも掲載されることが決まっているという報道もありましたが、本当かいな?と長年お世話になった『基礎知識』の衰えも心配になります。着ぐるみよりも制度自体に欠陥が多い裁判員制度ですから、「サイバンインコ」よりも不幸にも選ばれてしまった初代裁判員の皆さんの御心労と御苦労を思うと気が重くなって来ますなあ。

■「サイバンインコ」がテレビCMに出て来たという話は聞きませんが、最初から広報用の予算にテレビ枠は組まれていなかったのかも知れません。地デジ移行に関する広報にはは莫大な予算が使われているようですし、各テレビ局も死活問題ですから自腹を切って全面的に協力しているらしく、誰も観ないのに草ナギ君の広報CMがのべつ幕無しに垂れ流し状態で放送されていたようですから、これからは同じ頻度で「サイバンインコ」ならぬ「地デジカ」君が顔を出すことになるわけですなあ。彦根城の築城400年を記念して登場したゆるキャラの元祖「ひこにゃん」に負けないほどの人気者にはなれないまま、「サイバンインコ」と共に寂しくお蔵入りとなるのでしょうか?

■どうやらテレビが持っていた神通力や影響力には大きな翳(かげ)りが見えているとしか思えないのですが、一部には今でも非常に偏った形で強い影響力を持っているのが心配です。


2歳の長女を熱湯を入れた風呂につけたとして、警視庁少年事件課と綾瀬署は28日までに、傷害容疑で、東京都足立区の無職の母親(19)と友人の無職少女(19)を逮捕した。長女は両足に2カ月のやけどを負ったという。……「言うことを聞かず、いらいらしていた。お笑いタレントが熱いおでんを食べさせられるのを思い出し、懲らしめようと思った」などと供述。……自宅マンションで、ベビーバスに入れた深さ約8センチの熱湯に、長女の両足を約1分間つけるなどした疑い。……熱湯は60度以上あったとみられ、母親らは長女の肩を押さえつけ、茶碗で熱湯をすくって体にかけるなどした。「熱い」と床を転げ回る姿が面白く、笑って見ていたという。……4月28日 時事通信

■「熱いおでんを食べさせられ」たお笑いタレントは誰なのか?それを特定してみたところで我が子が泣き叫ぶ姿を「笑って見ていた」鬼の心が矯正されるはずもありません。我が子に対する虐待が笑いのネタになっているという衝撃的な事態が起こっている!同列に語っているのですから、この19歳の馬鹿母は残酷趣味のテレビ番組を大笑いしながら観ていたのでしょうなあ。他人が火傷するかも知れない危険な事をしている姿を見て笑える……。そういう視聴者が一定数存在するからこそテレビ局はこういう企画を大真面目に考えるのでしょうし、それを命じられた職業人は命懸けで命令に従うことになります。テレビ画面を挟んで、アチラ側とコチラ側とが完全に隔絶しているわけですなあ。

テレビ・ラジオの曲がり角 其の壱

2009-04-29 08:49:07 | マスメディア
■深夜に酔って裸踊りをしたSMAPに所属する草ナギ君の騒動はまだまだ波紋を広げそうですが、同じ時期に北野誠という人が突然、テレビ・ラジオ業界から姿を消すという事件が起きました。どちらもテレビ業界で隠然たる影響力を持っている事務所関係者の意向で起こったことらしいのですが、視聴者側にとっては何の関係もない話であります。報道を看板にして「生き返り」に必死の某テレビ局でさえも、草ナギ君が所属する事務所に突撃取材をするでもなく、北野誠さんの追放劇の裏事情を詳報するでもなし、片方は酒の上での小さな失敗談に仕立て上げて事務所を守ろうとしている気配さえ感じますし、その一方で北野誠さんの追放劇に関しては事件自体が存在しないような扱い方をしているようですなあ。

■半世紀を越えてテレビ業界が大きな曲がり角に来ている時期ですから、政界ならぬテレビ業界の再編成さえ起こり兼ねないような雲行きになっているのに、あまりにも長い間に深く大きくなった業界内のシガラミで身動きが取れなくなっているのかも知れませんなあ。「脱皮できない蛇は死ぬ」という格言もありますから、使用する電波帯を替えるだけの空騒ぎをしている場合ではないような気がします。

■貴重な時間を潰してテレビの番組を隈なく観なくても新聞やネットのテレビ欄を眺めているだけで、テレビ文化の現状は垣間見えることがあります。それにしましても、一体、何処の誰が観ているのだろう?と真剣に頭を悩ませるような名前の番組が増えましたなあ。窮屈な字詰めで内容を紹介する編集になっているのに、何度読んでも番組の意図や内容がさっぱり分からない番組も多いようです。

■4月24日のテレビ欄、フジテレビの夜の番組はなかなか興味深い編成になっておりましたぞ。午後9時から映画『少林サッカー』を放映した後、10:52からは『キク!みる!』という番組名からして自社製のテレビ宣伝予告を挟んで『VVV6 ラーメン&女子アナ』という題名の読み方も分からず内容もまったく不明の30分番組が放送されたようです。11:58というテレビ朝日が始めたと言われる「フライング」時間から始まるのが遅めの報道番組『ニュースJAPAN』。この日の内容予告は「全裸“草ナギ容疑者”送検へ」となっていて、スポーツ枠の『すぽると!』は「NBA特集」。問題は午前1:05からの『キャンパスナイトフジ』という昔の人気番組を露骨に焼き直したような名前の番組で、予告では「女子大生が入浴&生着替え&寝る瞬間▽興奮生放送」となっております。

■草ナギ君が深夜の裸踊りで「容疑者」となって「送検」されたと報道しておいて、覗き犯罪の疑いが懸けられそうなややこしい企画の番組を制作しているテレビ局の奇怪さが凝縮されているようなテレビ欄になっておりました。未見ではありますが、まさか、『ニュースJAPAN』の枠内で覗きや痴漢などの性犯罪を取り上げていなかったでしょうな?!真面目に観続けた視聴者は大混乱してしまいますからなあ。

■テレビが腐って滅んでも、娯楽と報道はラジオで十分だ、と思っていると、同じ4月24日のラジオ欄を見てビックリ仰天!皆様のNHK第一放送では夕方6時から神宮球場の『ヤクルト×横浜』の実況中継がありまして、テレビ側では視聴率が取れないという分かり易い理由でプロ野球の実況放送が軒並み消滅しているというのに、ラジオでは歳時記みたいに野球シーズンらしい番組編成になっております。WBCのサムライ人気でプロ野球界も再生したのかも知れませんが……。TBSラジオは5:50から東京ドームの『巨人×中日』開設は元木大介さん、文化放送も5:50分から『巨人×中日』解説は大塚光二さん、ニッポン放送も5:30から『巨人×中日』解説は田尾安志さん、ラジオ日本も『巨人×中日』解説は中畑清さん。

■この並びを目にした一瞬に「もう日本シリーズが始まったのか?」と馬鹿馬鹿しい妄想が頭に浮かびましたが、セ・リーグ同士が対戦するはずもないので、ペナント・レース中の記憶が消えてしまったわけではないと一安心?しかし、最初からラジオ欄に並んでいるのですから、天候や事件などで突然番組が差し替えられたというわけではなさそうです。では、この日は他の対戦は無かったのか?と思って調べてみたら、ちゃんと『阪神×広島』『日本ハム×オリックス』『楽天×オリックス』『ロッテ×西武』の試合が行われていたのでした。特に日本ハムのダルビッシュ投手が「今季初完封」だったそうですし、西武の涌井投手は「先発全員奪三振」という新記録を出しております。両投手のファンの皆さんはインターネットやケーブルTVを通じて観戦したのでしょうなあ。

地デジは丸裸? 其の弐

2009-04-23 11:43:51 | マスメディア
草なぎ容疑者はCM出演も多い。社団法人「デジタル放送推進協会」では現在のCMが7月まで放送の予定。その後も新しいCMを制作し、起用する方針だったという。協会側は「別のタレントを起用せざるをえない事態になり、残念。今流れているスポットCMはすべて打ち切り、各局とも別のものに差し替えることになるだろう」と話していた。

■ニュース速報がテレビ画面に流れた直後に、某民放テレビ局では既存の地デジ広報CMを流していたようですぞ。報道部門は何をしていたのでしょう?


昨年7月から「日韓共同キャンペーン」に出演中の公共広告機構(AC)では、「どんな状況か把握し、幹部で協議することになる」と困惑した様子。衣料用洗剤「アリエール」に起用しているP&Gでは「現在放映中のテレビコマーシャルは自粛する」としている。「ヤマサ醤油」でも「まだ契約は残っていて、夏にも放送する予定で検討していた。事件を知ったばかりで事実関係が把握できていない。すぐに対応を決めたい」と、情報収集に追われていた。……
4月23日 産経新聞

■多くの番組に出続ける上にテレビCMにも起用されているのなら、視聴者は同じ人物を延々と見せられることになるわけですな?熱狂的なファンならば随喜の涙を流すかも知れませんが、その他大勢の一般視聴者にとっては商品の印象が薄まって逆効果なのではないでしょうか?「エコ・ライバルになろう」の政府広報はラジオでも流れているのですが、何を訴えているのかさっぱり分からない不思議な作品になっております。ジャニーズ事務所と韓流ブームに二股かけて便乗すれば相当の広報効果が期待できる!とか何とか広告代理店に騙されて税金の無駄遣いをしてしまったのかも?空疎な政府広報など無くなっても誰も困りません。数年前、背が高い女優?さんが脅迫まがいの「年金保険料を払え!」広報CMに出演しながら自分自身が未納者だった!などという悪い冗談みたいな話もありましたなあ。

■その女優?さんの顔を見るたびに「年金」を思い出す人も多いのではないでしょうか?その後、年金問題は再現もなくおぞましいウミを噴出し続けております。今回の公然猥褻裸おどり事件で、地上デジタル放送への切り替えはますます遅滞することになるかも?そして、番組に「復帰」した後も草なぎ容疑者の顔を見るたびに地デジ広報を思い出すことになるのでしょう。今は何をしているのかまったく報道もされない参議院議員に当選した元テレビ朝日の女性アナウンサーがいましたが、彼女も地デジ広報のメンバーだったはずです。彼女が立候補した時にい全民放テレビ局が協力して制作した広報CMをおお慌てで作り直していたのを思い出します。

■草なぎ容疑者が単に深酒をしただけで、変な薬物を併用していないことを祈りつつ、地デジ切り替えが日本のテレビ文化の終わりの始まりになりそうな予感が強まった「逮捕劇」ではありました。
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地デジは丸裸? 其の壱

2009-04-23 11:43:24 | マスメディア
■解散総選挙の日程がいよいよ現実的な政治日程に載り始めている模様です。公明党の選挙対策の事情だの小泉チルドレンの処遇だの、揚句の果ては増え過ぎた世襲議員を制限するだの、日本の国益とは何の関係もない瑣末な話ばかりが新聞の政治面に毎日並んでいるようです。「100年に1度」未曾ユウの経済危機に負けない対策が絵に描いたような泥縄式でまとめられ、米国のオバマ政権が打ち出した「グリーン・ニューディール」をお手本意したそうですが、上海モーターショーにしらっと出品されたロースルロイスの偽物みたいなことにならねばよいのですが……。

省エネ家電の購入時にもらえるポイントを次の買い物代金に充てられる「エコポイント」制度で、ポイントの使える対象商品が拡大されることが22日、分かった。政府は当初、省エネ家電だけを対象としていたが、「限定しすぎると消費喚起効果が薄れる」として拡大品目の検討に入った。……経済産業、環境、総務の3省が品目拡大の検討に着手した。……地上デジタル放送対応テレビの普及を促すことから、地デジ対応のアンテナや、その設置工事も議論されている。3省の担当者は、ポイントが使える対象を広げるにも、「どこまで拡大するのか線引きが難しい」(環境省)と頭を悩ませている。……
4月23日 産経新聞

■典型的なバラマキ政策でしかない「生活給付金」にしても、既に死語となり果てた「夫婦と子供2人」の典型的な核家族だの三世代同居の大家族などを念頭にして配布方法を考えてしまったために、DV問題に悩んでいる別居夫婦から訴訟を起こされたりします。その他もろもろ、配布が進むに従って想定外の問題が噴出しそうです。ここぞとばかりに予算獲得を目指して玉石混交の案を上げた各省庁の官僚群には何の責任もありません。政策を決定して全体的なバランスを執る仕事ができない内閣がアホなのでしょう。環境対策とは何の関係もない地デジ対応のテレビが特別扱いされる理由は誰にも分かりません。売れずに困っている商品は他にもたくさん有るでしょうに……。


草なぎ剛容疑者(34)逮捕の一報が入った23日午前、レギュラー出演しているテレビ局、CM、レコード会社の関係者などはあわただしく対応に追われた。「笑っていいとも!」「SMAP×SMAP」「僕らの音楽」「チョナン・カン」など、人気レギュラー番組4本を抱えるフジテレビでは、「事実関係を確認中。担当者が協議している」と混乱した様子。バラエティー番組「『ぷっ』すま」に出演中のテレビ朝日では、28日夜に放送を予定している番組について、「現在、どう対応するか、編成担当者で協議している」と話す。……

■どの番組もほとんど観たことがないので内容に関して云々(うんぬん)出来ないのですが、仮に莫大な投資をして地上デジタル放送に切り替えた後も、鮮明が画像と多様な情報交換能力を利して放送を続けなければならないほどの価値有る番組なのかどうか?少しはテレビ業界は考えるべき時期はもう過ぎ去ってしまったのでしょうなあ。仄聞するところでは毒舌を売り物にしていた北野某が業界のエライ人の逆鱗に触れて煙のようにパッとテレビ・ラジオ業界から姿を消したとか……。

■テレビ業界は一部のプロダクションや事務所の御機嫌を気にしながら番組を制作して放送している実態がちらりと見えるような話ですが、草なぎ容疑者も絶対的な影響力を持つ事務所の所属だそうですから、朝から晩までテレビに出続けるような異常事態に到ったのでしょうが、それが高い視聴率に跳ね返って来るというのなら、既にテレビは国民全体が楽しむ物ではなくなっている証拠でしょう。。


主演映画「BALLAD 名もなき恋のうた」(山崎貴監督)を9月5日から公開予定の東宝でも、午前10時前から社員が次々に出社し、対応に追われた。「撮影はすでに終わっている。公開前に主演者が逮捕されたケースはこれまで聞いたことがない」と困惑の表情。公開の有無を含め、対応はこれから協議して決定するという。……4月25日から5月18日までの週末に、テレビ朝日で順次スペシャル番組を放送予定だったが同局は、「検討中」としている。

■先日、中東情勢の緊張という僥倖?もあってアカデミー外国語映画賞を受賞した『おくりびと』という作品の主役も草なぎ容疑者と同じ事務所に所属していたはずですが、映画界とテレビ会社が異様に密着して濫造しては数ヶ月で忘れられてしまう消費財みたいな作品群も不自然なキャスティングが目立っているようですなあ。

報道機関の消滅 其の弐

2008-12-09 12:23:51 | マスメディア
■信頼性を失った報道機関は淘汰されて行くのが当然なのですが、誤報や見た手違いを繰り返すような所でも、何故か一定の発行部数や視聴率を獲得できた時代が長く続いたのが不思議なくらいです。自分に必要な生の情報を探し出すには図書館やネット空間が便利なのは誰もが知っていることで、その中には絶対に新聞が書かない事柄やテレビ業界のタブーに触れる内容も含まれている場合がありますから、ますます巨大な報道機関は見棄てられる危険が大きくなって行くというわけです。

シカゴ・トリビューン紙やロサンゼルス・タイムズ紙などを有する米新聞発行のトリビューンは8日、連邦破産法11条の適用をデラウェア州の破産裁判所に申請した。……前年の株式非公開化に伴い130億ドルの債務を引き受けた。8日時点で、同社の資産は76億ドル、債務は129億7000万ドル。……傘下のメジャーリーグ球団シカゴ・カブスや同チームのリグリー・フィールド球場は含まれておらず、同社は引き続き売却を目指している。
12月9日 ロイター

■プロ野球チームを持っている大新聞社なら日本にも非常に有名なグループ企業がありますが、トリビューン社が破綻に追い込まれた原因が「広告費」の急減にあるそうですから、決して他人事ではありますまい。日本では雑誌の廃刊・休刊という現象が起きており、件のグループ企業が出していた週刊誌が、先週号をもってひっそりと廃刊になったのは記憶に新しいところであります。ここには「デカップリング」の影も形もありません。


NHKは4日、電力節減による二酸化炭素排出量削減のため、29日の教育テレビの放送時間を午後0時30分~同9時30分の9時間に短縮し、総合テレビを含めて環境関連番組を中心に放送すると発表した。放送休止中に電波を止めることで、約1万7000キロワット時を節電し、二酸化炭素約9.4トンが削減される。
2008年12月4日 時事通信

■環境問題を前面に打ち出しての放送時間短縮!そんな事ができるのは皆様のNHKだけでしょう。放送時間が短くなるのに合わせて視聴者側でもスイッチを切りコンセントを抜いて主電源を落とせば、さらに節電効果が上がります。しかし、本音では皆様のNHKも経営が苦しくなって政府から経営方針の抜本的な変革を求められているのが現実で、受信料の集まり具合が思わしくない上に「地デジ」だの薄型巨大テレビだのと煽ってみても、じわじわとテレビ文化と手を切る人が増え続ける流れは変わりそうもありません。温暖化防止のためにはテレビ局の一つや二つが消え、深夜放送やら物売り番組やら無駄な番組を削り取ってしまうのがよさそうです。
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テレビ東京が4日放送したバラエティー番組「よろセン!」で、アイドルタレントがナチス・ドイツの独裁者、ヒトラーを「世界の偉人」として紹介したとして、同社は8日、「誤った歴史認識に基づく不適切な内容でした」としてウェブサイト上で謝罪した。……同番組の「世界偉人DEN!」のコーナー。アイドルグループ「℃-ute」のメンバーがヒトラーを「ヒトラーおじさん」と呼び、その演説には癒しの効果があったなどと紹介。放送後、ネット上の掲示板などで批判の声が上がっていた。番組の制作会社、エス・エス・エムも公式ブログで謝罪。原因について「社内のチェック体制が甘かった」と説明している。
12月8日 産経新聞

■これも「ゆとり教育」が残した傷跡の一つなのかも知れませんが、他局でも「ものを知らない」ことを売り物にした番組を熱心に放送しているようですから、この種の事件はこれからも多発するのでしょうなあ。問題となった番組も、この読み方も分からない「アイドルグループ」(キュートと読むらしい?)も、その存在すらも知らない旅限無としてましては番組が消え、「アイドルグループ」も解散となっても何の痛痒も感じないわけですが、これだけの騒動になるのですから、熱心な視聴者やファンが居るのでしょうなあ。

■テレビ業界での「制作会社」に関する悲話や残酷物語は週刊誌でしか読めません。派遣問題やワーキングプアを社会問題として取り上げる番組が数多く放送されているようですが、そこにはテレビ制作会社とテレビ局との恐るべき「格差」に関する情報は絶対に登場しません。ウソ情報番組を放送したテレビ局は倒産しませんが、予算を理不尽に削られて番組制作を丸投げされる制作会社の現場は凄惨そのものだと言われていますが、業界は談合でもしているのか、決して取り上げないばかりか、恐ろしい構造を変えようともしないようです。

■メディアが経済情勢の大変化によって新たな淘汰に晒されているという事なのでしょうが、情報の受け手としては正確で質の高い情報が豊富に提供されるのなら、既存のメディアでなくても構わないのですから、苦境に立たされる各種の報道機関には大胆な発想の転換が必要なのでしょう。
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雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

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報道機関の消滅 其の壱

2008-12-09 12:23:23 | マスメディア
■ほんの1年ほど前まで「デカップリング」理論なるものが経済雑誌や新聞紙上に踊っておりました。昨年度の流行語大賞に選ばれてもよいくらい頻繁に使われていた印象がありますが、流行した期間が短かったためにノミネートもされず、そして、金融危機があっと言う間に世界中に広がってしまった今にして思えば、誰がも「ウソツキ!」と罵りたくなるような言葉でありましたなあ。改めて「デカップリング」理論を確認してみたくなったのには理由があるのですが、それは後述するとして、みずほインベスターズ証券のシニアストラテジストをしている佐藤政俊氏が昨年の12月3日『日経CNBCジャーナル』に寄稿した文章から抜粋して、当時のことを思い出してみましょう。

……最近、経済関係でよく使われる用語に「デカップリング(非連動性)」がある。これは、米国経済が減速しても中国等の新興諸国や欧州の成長に支えられ、世界経済の拡大が継続する、といったことを指して用いられる。

■この言葉を信じて新興諸国への投資や投機に励んでいた人や企業も多かったはずです。サブプライム・ローンを混ぜ込んだ上に、これまた聞きたくもない「レバレッジ」を効かせて膨らますだけ膨らました金融商品を世界中に売りつけて荒稼ぎしていた連中は、この「デカップリング」を最大限に利用して自分たちの稼ぎ自体にレバレッジを掛けていたようなものです。


「デカップリング」は、サブプライム問題の米国実体経済への波及が現実のものとなりつつある中、世界の株式市場関係者の心のよりどころとなっており、10月末頃まで、アジア等新興諸国市場に世界のマネーが流入、過去最高値を更新する市場が相次いだ。IMFが10月17日に発表した世界経済見通しの中で、「中国・インド・ロシア3カ国が過去1年間の世界の成長の半分を占めた」といった分析を示したが、こうした分析も後押ししたものと思われる。

■今となってはIMFの手に負えないほど深刻な事態が進んでいるのですから、たった1年で世界が激変したことを実感しますなあ。新興3箇国の頭文字を取って「ブリックス」などと持て囃していたのも同じ頃でした。


一方、この「デカップリング」に関して慎重な見方もある。米国経済の悪化は新興諸国からの米国への輸出を減速させ新興諸国の景気に悪影響を与える、という考え方だ。11月初から、アジアの株価は調整色を強め、東京市場でも海運、鉄鋼、商社等、新興諸国の経済成長で恩恵を受けるセクターの株価が急落した。株式市場では、「デカップリング」に対する懐疑が台頭してきた。

■まあ、この文章が書かれた頃に素早く対処することが出来た人は、投資分を高値で売り抜けて大儲けしたのでしょうが、もう少しもう少しと欲を掻いてしまった人は大損害を被ってしまいました。


実際は、米国経済の悪化度合いによって、新興諸国への影響度も異なるはずで、「デカップリング」の成否を簡単に結論付けるのは難しい。株式相場は、「デカップリング」に対する見解と株価が相互に共鳴し、楽観と悲観の間を揺れ動いているように思う。2008年相場でも、「デカップリング」は重要な論点となるだろう。過度に楽観、悲観することなく、世界経済を見極めていく冷静さが必要な場面である。

■専門家の文章らしく「穏当な」締め括りになっていますが、飽くまでも証券会社の人が書いたものなので、やんわりと株式投資を推奨しているのが分かります。間も無く「2008年相場」が終わる時期になって振り返れば、「デカップリング」は重要な論点になどならないまま紙くずのように投げ捨てられてしまっております。

■最近の新聞を見ますと重要な話題には「両論併記」の形式をとる紙面づくりが広がっているようです。それも「自己責任」という言葉が流行した結果なのかも知れませんが、読者に必要な情報を漏れなく伝えた上で自己判断を任せるのは良心的と申せましょう。でも、時々意図的に情報が操作されていたり、「両論」が単なる二つの意見の併記でしかない場合もあるようです。情報操作と言えば、今年の秋口には「解散総選挙」の日程を得意満面に書き立てていた新聞がありましたなあ。

テロの季節?

2008-11-24 12:29:33 | マスメディア
■旧厚労省事務次官連続襲撃の事件は、「年金問題」「義憤」「政治テロ」などとは何の関係もない地方出身の寂しい男の、思い込み・八つ当たりの犯罪として片付きつつあるようです。周辺情報として昔の「ピアノ騒音殺人事件」を思い出す人格の歪みや、対人関係が不得手で孤立してしまう性格などが取り沙汰されているようです。出頭後の様子などから宅間守死刑囚を思い出す人生の幕引きを決意した人間の表情も読み取れそうですが、どうやら、容疑者の「供述」を大真面目に聞かない方が良さそうな感じがしますなあ。巷で囁かれる「黒幕説」は消えないでしょうが……。
 
■武器か美術工芸品かの区分けと判断が難しい刃物が凶器に使われる犯罪は、事前に予防や予測をするのは困難で、どんなに『銃刀法』を改正したところで、身近にある包丁・カッターや鋏まで没収したら社会生活が破壊されてしまうのですから、身辺に異変を感じたら即座に逃げて難を避けるしかなさそうです。宅配便を装った者に狙われて襲われるという事態は、極極稀なことなのですから、針小棒大の騒ぎを起こすのが仕事のマスコミに踊らされる必要はないでしょう。同じ「装う」なら、家族に成り済ましたり、公的機関の役人に成り済まして電話を悪用する詐欺犯罪の方が何千倍も身近に迫っているのですし、いろいろ問題のある自動車が襲い掛かって来る確率もずっと高いのですからなあ。

■世界的に見ても治安の良さは日本が誇れる美点の代表なのですから、我が身の自衛と生活防衛を考えるのなら、しっかり危険度のランクを認識しておくべきでしょう。


午前10時2分、高知市 22日午後11時35分ごろ、高知市南はりまや町の食品卸業「旭食品」本社で、爆発のような音がしたと通報があった。……約30キロ離れた高知県芸西村のゴルフ場では18日、クラブハウスのガラスが爆発物で破壊された事件があった。旭食品の竹内克之会長はゴルフ場を経営する「黒潮観光開発」の役員を兼務しており、県警は23日、同一犯による事件の可能性もあるとみて捜査本部を設置、建造物損壊容疑で調べている。竹内会長は県公安委員も務めている。……ゴルフ場は27日から開催される男子プロゴルフトーナメント「カシオ・ワールドオープン」の会場。
2008年11月23日 産経ニュース

■この報道の前日に県は違いますが同じ四国で発した連続爆破事件に関するニュースがありました。


徳島市で10月、創価学会徳島文化会館など2か所のビルのドアが爆発物で壊された事件で、徳島県警徳島東署の捜査本部は21日、徳島市不動東町、無職堀たかあき容疑者(35)を爆発物取締罰則違反などの疑いで逮捕した。堀容疑者は「自宅で爆竹の火薬を使って爆発物を作った」と容疑を認めているが、動機について「以前から右翼関係の本を読んでいた。敵対する団体を狙った」と供述しているという。……堀容疑者は10月13日午前1時20分頃、同市南内町の、県日中友好協会の入った民間ビル1階に仕掛けた爆発物でドアを壊し、同日午前4時半頃には、同市南沖洲の創価学会徳島文化会館正面入り口ドアを爆破した疑い。
2008年11月22日 読売新聞

■標的にされたのが公明党の支持団体だったからか、日中友好関連の機関だったからか、マスコミの報道は不自然に小さな扱いだった印象がありました。今回の事務次官連続襲撃が「政治テロ」なのかどうかの議論が、容疑者が出頭する前には盛んでしたが、この徳島市での爆破は明らかにテロ行為でしょう。第一報を聞いた時に「連続」という点が妙に気になったのを覚えておりますが、これが小泉毅容疑者に何かのインスピレーションを与えたのかどうかは分かりません。

■渋谷区で火薬類の専門家が大きな爆発炎上事故を起こしたニュースを思い出しますが、この犯人は市販の爆竹をバラして利用しているようですから、詰め込み作業で事故を起こさなかったのは御近所の皆さんにとっては幸いでした。犯人が創価学会と日中友好協会を「敵対する団体」と見なしていたのですから、これは間違いなく「政治テロ」でしょう。人的被害が無かったから事務次官連続襲撃事件のような大騒ぎにならなかったのだとしたら、「昭和初期に似ている」と危機感を煽る一部のマスコミは平衡感覚に欠けていると申せましょう。


高知県芸西村のゴルフ場と、高知市の食品卸売会社の玄関ガラスが爆発物で破壊された2つの事件で、いずれも手榴弾が使われたとみられることが24日、高知県警の調べで分かった。……両現場には、手榴弾の破片とみられる金属片や安全ピンが落ちていたほか、爆発の衝撃でできたとみられる穴が床に開いていた。……
2008年11月24日 産経ニュース

■拳銃の密輸や変造に関する報道がめっきり減ったと思っていたら、何処かから手榴弾が入り込んでいたというのは衝撃的です。破片や安全ピンが発見されているのなら、おそらく手製ではないでしょう。手榴弾にも多くの種類がありますから、優秀な鑑識が製品を特定してくれるでしょうが、さてさて、何処の国が製造した物なのでしょう?日中友好の暗黒面につながっているのか?不良米兵が小遣い稼ぎをしているのか?東南アジアの某国か?はたまたロシア製か?

■高級官僚が狙われた時だけ大騒ぎしていると、本当にテロの季節がやって来たのかどうかが分からなくなるというお話でした。
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毎日新聞、大丈夫? 其の弐

2008-11-20 14:00:51 | マスメディア
■毎日新聞はタイムラグを意図的に利用して「捏造」もどきの記事を書いたことがあるようです。それもほんの1箇月半前に……。

小泉純一郎元首相の引退表明に関する毎日新聞の記事をめぐり、元首相秘書官の飯島勲氏が(9月)26日、「毎日新聞に発言していない談話を掲載された」として、毎日新聞社や担当記者に対する名誉棄損容疑などの告訴状を警視庁麹町署に提出した。同社は「引退表明数日前の談話を誤って引用した」として、記事中の談話の取り消しを発表した。

■飯島さんは「発言していない」と主張しているのに、毎日新聞側では小泉元総理が引退表明する「数日前の談話」として語られた内容だと言い張っております。言った、言わないの論争は水掛け論か泥仕合になるのが定番ですが、飯島さんが警察沙汰にしたのですから、毎日新聞の方が分が悪そうです。


問題になったのは、東京都内などで配られた26日付朝刊に掲載された元首相が引退を表明した背景の解説記事。この中で引退表明の報を聞いた飯島氏が「小泉氏は(サプライズを生む)魔法のつえをなくしてしまった。次期衆院選で小泉氏が応援しても小泉チルドレンは負けるだろう」と周辺に語ったとした。飯島氏は「毎日新聞から(取材の)電話も受けていない。捏造だ」と発言を否定。これに対して同社は、「飯島氏は引退の報を聞いてこのようなコメントはしていない」と発言の経緯が事実と異なることを認めた。
2008年9月26日 産経ニュース

■かつて、小泉チルドレンを結集して新党結成まで目論んだ飯島さんが、小泉元首相の神通力を否定した上に小泉チルドレンの敗北まで口にするとは考え難い話です。考えられない事が実際に起これば、確かにそれはスクープになるのでしょうが……。朝日新聞も田中前長野県知事のインタヴュー記事を「捏造」して大騒ぎになったことがありましたなあ。毎日新聞の言い訳からは、「捏造」ではないという一線を守ろうと必死の様子が分かります。

■さらにその3箇月前、毎日新聞はネット版で大恥を掻いていたのでした。


毎日新聞社の英文サイト「毎日デイリーニューズ」のコーナー「WaiWai」に掲載した記事をめぐり、同社は(6月)24日までに「誤解を与える内容を世界に配信し、日本をおとしめた」などの抗議が殺到したことを受け、同コーナーを廃止した。デジタルメディア局長と担当部長ら責任者数人を処分する方針を明らかにした。同コーナーには「日本が誤解される」などのメールや電話の抗議が約300件寄せられていた。
2008年6月24日 産経ニュース

■問題の記事に関しては具体的に引用するのも不愉快な内容が圧倒的に多く、中には真偽を大いに疑うような「捏造」臭い話もごろごろしていたようです。担当していた外人記者の品性と人格に相当の問題があったと某週刊誌などは書き立てていたのですが、経営難が囁かれる毎日新聞にとっては悪夢のような1年だったようですが、まだ1箇月少々の日数を残しておりますから、くれぐれも慎重な取材と記事作りにお励みになることを望みます。
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毎日新聞、大丈夫? 其の壱

2008-11-20 14:00:22 | マスメディア
■大阪府で雨の日曜日に起こった新聞配達員の轢き逃げ・引き摺り殺人事件。被害者は毎日新聞富田林東販売所のアルバイトで、まだ16歳だった東川達也クンでした。毎朝、定時に朝刊が届くのは当たり前と思われていますが、その当たり前な事を持続させているのは印刷・輸送・配達の業務に従事している人達の努力と勤勉さです。梯子酒で泥酔した馬鹿者が運転するワンボックス車に命を奪われたのは雨が降る早朝3時半ごろのことでした。そんな時間まで酒を飲んでいる人がいる一方で、黙々と新聞を配っている人もいるのであります。

■新聞配達は代表的な学生のアルバイトで、自立して大学・専門学校・予備校に通えるように学費を貸与して住み込みで仕事をする奨学制度も定着しています。某大手新聞などは「インテリが書いてヤクザが売る」などと悪口を言われるような販売促進戦略を採っていたこともあったものですが……。毎朝、前日に起こった出来事を知り、各種の特集記事で知識を増やしてくれるのが新聞で、切り抜きファイルをすれば最も身近なデータ・ベースにもなりますし、リサイクルして木材資源の節約にも役立ち、包装紙としても重宝します。

■いろいろと役立つ新聞ですが、要は中身が問題で、巨大な報道機関としての責務は重く、一国の命運を危うくすることさえありますから、間違った報道をしては行けません。


元厚生事務次官の吉原健二さん妻、靖子さんが刺されて重傷を負った事件で、毎日新聞は19日、事件の約6時間前にインターネット上に犯行を示唆する書き込みがあったと報じた19日付朝刊の報道が誤りだったとして、同社のウェブサイト「毎日jP」におわびを掲載した。19日付夕刊でおわびと経緯を掲載する。

■「他人の不幸は蜜の味」という訳でもないのでしょうが、競合紙は他社の失敗を実に丁寧に速報してくれます。料金値上げの時や休刊日を作る時などは驚くほど仲良く足並みが揃うのに……。さてさて、この誤報は速報性において新聞社が素直に敗北を認めざるを得ないインターネットに新聞社が振り回された例として大きな意味があるニュースだと思われます。


19日付記事では、18日正午ごろ、ネットの「フリー百科事典・ウィキペディア」の「社会保険庁長官」のページの中で、吉原さんの名前の前に「×」がつけられ、その下に「暗殺された人物」というただし書きがあったと報道。だが、実際の書き込みは事件から3時間ほど経過した後だったとみられることが、後になって判明した。

■速報性が高まれば、タイムラグの存在が非常に重要になります。1分1秒の違いでも大きな意味を持ちますからなあ。ミステリー小説などでもアリバイ作りのトリックに愛用される手法でもありますから、プロのジャーナリストが墓穴を掘るような間違いを犯しては行けませんなあ。


毎日新聞社長室広報担当によると、取材を担当した記者が同サイトに掲載されていた、日本標準時より9時間遅い「協定世界時」による編集時刻を、日本時間と誤認したことが原因。


■うっかり「時差」を忘れてしまったとは、国際化・グローバル化の時代に適応し切れていないのでしょうか?担当した記者さんは「スクープだあ!」と糠喜びしたと想像出来ますから、誤報と分かった時には天国から地獄へという気分だったことでしょう。どこのメディアも息を潜めて「犯行声明」が出るのを待ち構えている時ですから、こうした勇み足も起こりがちなのは分かりますが、まだ、テレビなどでも専門家を招集して事件の「解明」に努めている振りをして視聴率を上げようと必死の様子ですが、結局は「犯行声明」が出なければ、何も分からないのが実情で、視聴者は引っ張られるだけ引っ張られて落胆したり腹を立てたり。


……書き込みの内容は、参考情報として、捜査当局にも伝えていたという。記事は東京、大阪で発行された最終版にそれぞれ掲載されたほか、一時「毎日jp」にも掲載されたが、間もなく削除した。ネット上では、ウィキペディアに問題の書き込みをしたとする人物が名乗り出て、「書き込みは事件後」と弁明するなどしたことから、誤報の可能性を指摘する声が噴出し、大きな騒ぎとなっていた。
2008年11月19日 産経ニュース

■たった一つの「×」印でも、犯行前に書き込まれれば大きな手掛かりになるわけですが、第一報が流れた後となれば几帳面な利用者がネットの速報性を高めようと協力しただけの事です。ウィキペディアの更新編集システムを熟しないまま、ネットの速報性に負けまいと頑張ってしまったのかも知れませんなあ。でも、目の付けどころとしては良かったのではないでしょうか?

テレビ界の岐路 其の弐

2008-11-15 02:44:39 | マスメディア
本年度上半期のTBS(関東地区)の視聴率は、全日帯が7・3%で4位、プライム帯が10・9%で5位と低迷した。その一方で、ニュースや報道番組が中心のNHKは、ゴールデン帯が13・6%を記録し、民放を抑えて初めて1位になった。TBS井上弘社長は最近の定例会見で「わが社は大変厳しい状況」と語り、NHKの番組制作を見習いたい旨を明かした。

■民放テレビがかつての映画会社と同じ様に、番組制作を丸投げ外注して企画は他局の後追いという内向き経営を何年も続けた結果、局ごとの特色など無くなって共食い状態になって次々にジリ貧になったのではないでしょうか?安直な企画で安上がりに制作した番組を喜んでくれる視聴者は、決してテレビ文化を鍛えるパートナーにはなれないような気がします。最初に音を上げた苦境のTBS社長が今頃になって手本にしようとしているNHKも、民放との視聴率競争に巻き込まれて随分と変質してしまったような気もしますから、近いうちにNHKも一緒になって日本のテレビ文化は衰退して行くのかも知れませんなあ。「世界遺産」を扱った特集番組などで、NHKが民放の企画をそっくり真似した!と責められたことがありましたなあ。


来年4月以降の午後11時30分からは、バラエティー番組を編成する予定。テレビ朝日では、バラエティー新番組を午後11時台に編成し、人気が出た番組をゴールデン帯に昇格させる手法で、視聴率を伸ばしてきた。TBSも、ライバル局の手法を参考にした番組編成をするようだ。現在、民放各局は午後7時の番組の視聴率が取れず、番組編成に頭を悩ませている。今回のTBSの英断は各局の編成にも刺激を与えそうだ。
11月14日 日刊スポーツ


■こういうのを「英断」と呼んでよいものか?夜中の11時にテレビを楽しむ人達と午後7時や8時に娯楽や情報をテレビに求める人を同じ様に扱うのは乱暴な話でしょう。テレビ朝日が苦し紛れに採用した廃物利用みたいな深夜枠の試みが、真っ当なやり方とも思えません。最初から高い視聴率など期待されないからこそ開き直って多少は思い切った企画が実現したとしても、泡沫のように短期間で消えて行く可哀想な番組も多いようです。新聞のテレビ欄を眺めていても、一体、どんな番組なのか見当も付かない日本語とも思えない奇妙な名前の番組が並んでいるのが深夜枠のようですから、そんな迂遠で姑息な事をするより番組の質を上げる真摯な努力をした方が良さそうですなあ。


在京民放キー局5社の平成20年9月中間連結決算が13日、出そろった。景況感の悪化で利益率の高いスポット広告が大きく落ち込んだことが響き、3社が最終減益、日本テレビ放送網、テレビ東京の2社が赤字になった。日テレは半期ベースで37年ぶり、テレ東は中間連結決算の集計を始めた14年9月中間期以降で初の赤字。全社が期初の最終利益予想を下方修正し、合計最終利益は前期比48%減の275億円と半減する見込み。

■「年金問題ばかり取り上げる民放テレビのスポンサーを降りるぞ」と世界一の自動車会社の社長が厚労省の審議会で吠えたそうですが、朝から晩まで厚労省の悪口を放送しているのは「洗脳」と同じだから悪いことなのだそうです。しかし、日本の自動車会社が流し続けるテレビ広告は、どうして海外ロケばかりなんだ?という疑問を突きつけられたら何と答えるのでしょうなあ。世界で最も自社のイメージに合う風景を探し出し、高額の出演料で有名人を起用して制作される自動車のCMこそ、過剰なイメージを偽造して消費者を洗脳する最先端のようなものでしょう。起用された御本人が根っからの外車好きだったりするのも消費者をバカにしていることになりましょう。

■今時、テレビの宣伝を観て購買意欲を高める人など居るのでしょうか?子供用のお菓子や玩具の宣伝は一定の効果があるような気もしますが、食品に始まって偽装事件が連続してしまうと、「看板に偽りあり」が常識になって「宣伝なのだから」という寛容さも失われた時代に、大袈裟に商品の宣伝をされても受け手の側には何も伝わらないでしょう。効果が無いからスポンサー契約が減るのでしょうし、視聴者は詐欺まがいの宣伝に辟易しているからますます効果が無くなるという相乗効果があるのでしょうなあ。


売上高は日テレを除く4社が増収だった。音楽、出版など放送外収入の伸びで広告収入の落ち込みを補った。ただ、放送事業では番組の前後に流される「スポット広告」の不振が際立ち、5社の同収入は前年同期比9.6~11.7%の大幅減となった。業績不振を受けて、フジ・メディア・ホールディングスを除く4社が役員報酬を削減している。
11月13日 産経新聞

■金融危機から始まった大不況の荒波が、放送メディアの経営にも及んで来たというわけです。何だか他人事みたいな報道が当たり前になっていた時代が少し変わるかも?かつての石油危機の時代にはスタジオの照明や装飾を減らしたテレビ業界ですから、今度はセットや衣装がどんどん貧乏ったらしく変わるかも知れませんなあ。少なくとも真夏日に厚手の衣装を着たり、真冬日に涼しげな服装でニュースを読むような人は居なくなるかも知れません。視聴者の方でも「無料」でテレビを楽しめる時代が終わることを覚悟した方がよいかも知れませんなあ。
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テレビ界の岐路 其の壱

2008-11-14 13:47:24 | マスメディア
■米国発の金融危機は「100年に1度」の暴風なのだそうですが、日々流れて来るニュースの中には100年に1度どころか歴史上に例のないまったく新しい事態のタネがたくさん潜んでいるような気がする昨今であります。カネ余りから熱狂的な投機が始まって訳の分からない物の価値が急騰し、皆が夢から覚めて正気に戻ったら一夜にして紙くずがゴミになってしまう経済現象は、決して珍しいものではなく、大なり小なり何度も繰り返されたことであります。結局は売り買い関係の変化ですから、何かを勘違いした人が変な物に法外な値段を付けて売り、それを買う人がだんだん増えて来れば我も我もと訳も分からず追随する群が巨大化して行き、最初に走り出して途中で降りた極僅かな者だけが大儲け、残された多くの追随者は悪夢だったと後悔することの繰り返し。

■情報化社会、マスメディアの発達によって玉石混交の情報が大量に流される時代になりますと、誰かが意図的に変な物を流行らせて一儲けしようとすれば、一時的にも奇怪なブームが起きるものです。全国ネットのテレビ放送で「町の声」だと紹介するのは決まって新橋駅周辺の一杯機嫌で帰宅するサラリーマンだったり、大流行の兆し!と騒ぎ立てる場所も東京都内の極限られた狭い場所で、そこに集まったのか誰かに集められたか分からない人達の映像が垂れ流しされているようですから、そんな偏った情報で時代を判断したり未来を予測したりしても下手な占いと大して変わらない当てずっぽうにしかならないのではないでしょうか?

■簡単には扱えない巨大な変化が、自動車文化、通信機器、エネルギーや食糧の生産現場で起きているのですが、その全貌を正確に捉えて報道するのは不可能のようです。訳知り顔に「事情通」や「専門家」を自称する人達が書き散らす予測本が、ブックオフの100円コーナーで晒し者になっている風景にも馴れてしまうと、いよいよ報道メディアに対する信頼は薄くなって行くのでしょうなあ。中にはそんな受け手の変化に対して開き直って、単なる埋め草番組を大量に製作して放送し続けるテレビ局がちょっとばかり視聴率を稼ぐと、あっと言う間に各局の番組編成が横並びになって、新聞のテレビ欄は金太郎アメ状態になるわけです。

■テレビの出現は確かに世界を激変させましたが、IT技術が発達して来ると「テレビの終わり」が実しやかに語られるようになりまして、報道と娯楽を提供する仕事が議論の場を提供するようにもなり、双方向性番組を作って視聴者をもっと強くテレビに引き込もうとする動きも目立って来たようです。そうした表の顔の裏側には「宣伝業」としての本性が隠されているわけですが、「新発売」という言葉が輝いていた高度成長期ならば、テレビ媒体のCM枠は完全に売り手市場になるのは当然で、そんな時代が去って生産者側に「新発売」が無くなり、改良品や復刻品が多くなれば広告したい相手も少なくなって、無断に全世帯を相手に莫大な広告宣伝費を使うことも無くなって行くのでしょうなあ。


今月7日に亡くなったニュースキャスターの筑紫哲也さん(享年73)がレギュラー出演していたTBS系「ニュース23」(月~木曜曜午後11時、金曜午後11時30分)が、来年3月いっぱいで終了することが13日、分かった。午後11時台は30分のストレートニュースに縮小するが、代わりに午後6時から2時間の報道情報番組を編成する予定。ニュース番組をゴールデン帯に再編成することで、「報道のTBSS」の看板を復活させるつもりだ。

■この話は最新号の『週刊新潮』にも取り上げられていたので、驚きもしませんが、意地の悪い人の中には「やっと死んだか、TBS」などと笑っている人も居るかも?それは兎も角、亡くなった人を蔑んだり悪しざまに言うのはタブーとされる独特のホトケ文化を持つ日本ですから、筑紫哲也さんを送る声は「偉大なジャーナリスト」「新聞とテレビを融合させた先駆者」など、中にはちょっと褒め過ぎかも?と思えるような賛辞が並びます。人の死を惜しみ遺徳を偲ぶのは美徳とするべきでしょうが、こうした文化も行き過ぎると極悪非道の悪ガキが逮捕されたりすると、現場で集められる「近所の声」が揃って「良い子だった」「やさしい子だった」と判で捺した様に犯人を庇う内容になってしまうような事も起きますなあ。

■筑紫哲也さんは活字と電波を駆使して多くの仕事をした方ですから、テレビがアナログ技術で最後の可能性を使い切った時代の象徴的な人物であったのかも知れません。でも、誰も完全無欠であることは出来ませんから、メディア界でも言論界でも、筑紫さんの報道姿勢に疑問や批判の声があったのは事実です。でも、死者を送るときは黙って合掌するのが礼儀と言うものでしょう。


……今年4月、「筑紫哲也 ニュース23」から「ニュース23」にリニューアル。その1年後の来年3月で同番組が打ち切られることになった。筑紫さんが引退する前から番組終了は社内で検討されていた。全盛期は2ケタ台も記録していた平均視聴率も、先月は平均6・9%(関東地区)だった。……平日の午後6時から午後8時までの2時間を、報道情報番組に編成する準備を進めており、「ニュース23」のキャスターの後藤謙次氏(59)が“異動”する予定だ。……「報道のTBS」をアピールしたい意向のようだ。膳場貴子キャスター(33)は、そのまま午後11時に30分枠で新設されるニュース番組を任される……。

■あの番組が始まった時は、個人名が番組の名前になるのか?!と驚いたり違和感を持ったりした人が多かったようですが、かえって好き嫌いがはっきりするので観ない人は絶対に観ないし、好んでいる人は欠かさず観るような棲み分けが出来たようです。一時、民放各局がニュース番組を競って作ったものですが、いつの間にやらバラエティーと称する正体不明のごった煮暇潰し番組に変わって行ったのでした。一時代を画したキャスターの皆さんは、その後もラジオや別の番組に移って活躍し続けているようなので、それにすっかり甘え切ったテレビ界は後進を育てることを忘れてしまったのでした。苦しい時のNHK頼み、とばかりに民放テレビの電波が届かない所でも顔が売れているNHKアナウンサーを札束を積んで引っ張り、形振り構わず視聴率を上げようとしたものです。まるで讀賣巨人軍みたいに……。

それとこれとは話が別? 其の壱

2008-10-15 01:43:40 | マスメディア
■やっと原油価格の高騰が一段落しそうな気配なのは良い知らせですが、食糧価格の高止まりは続きそうなのは悪い話です。今回の金融危機で世界中の需要が減って工業原料が値下がりするとの予測もありますが、熱に浮かされたように発展し始めた新興国の生活水準が急転直下で貧困国家に逆戻りするとも思えません。必要なエネルギーと食糧と生活用品は、何が何でも必要なのですから更に安い人件費と土地代を求めて生産業者は新しい生産拠点を作って不景気でも売れる製品を必死で作るのではないでしょうか?

■原油価格にしても産油国は減産に転じて価格を維持しようとし始めているようですから、漁師さん達が船を出せない!という酷い状態が解消されるには、やはり国の対策が必要かも知れませんなあ。マスコミの中には価格に転嫁できない市場システムが悪いという論調で報道している所が多いようです。他の業種でも原料費の高騰を価格に上乗せ出来ず、歯を食いしばって更なるコスト削減に努めている方が多いので、流通経路を簡素化し販売店は価格を上げるべきだという主張もあるようです。「失われた10年」一説には15年とも言いますが、奇妙な不況が続く日本では特殊なブランド品以外、安い物しか売れなくなってしまいました。

■まるで正価など無いような安売り競争が続いているようですが、その厳しい競争の中で濡れ手に粟のボロ儲けを企む悪い奴が現れると、口に入れるのも命懸けとなるような危険な食料品が出回ったりしますから、安ければ良いというのも考え物です。


製紙各社が新聞用紙の追加値上げを一斉に打ち出している。今春に28年ぶりとなる値上げが実施されたばかりだが、高騰する原料古紙や燃料価格の転嫁を理由に、契約年度途中での異例の再要請に踏み切った。ただ、読者と広告離れに悩む新聞業界にコストアップの受け入れ余地は少なく、交渉は難航が予想される。

■日本中で「勿体無い」精神が広がり、リサイクル運動が盛んになっている一方で、ペットボトルや新聞紙の束が海外に流出して日本国内でも再利用は困難になっているという話があります。自治体と古紙業者が争奪戦を繰り広げている場所も有るとか……。特に紙についてはIT時代は「ペーパーレス」になるのだと喧伝されたものですが、パソコンや多機能コピー機をせっせと導入した企業ほど、紙の消費量が格段に増えた!などという変な話もありましたなあ。そもそも本当にペーパーレスになったら紙の新聞と雑誌や書籍はどんどん姿を消すはずなのですが……。


「新聞用紙事業はどこも赤字の状況。追加値上げを何としてもお願いしたい」丸住製紙(愛媛県四国中央市)の営業担当者は、11月から約17%の値上げを新聞社に打診……。原料の約8割を占める新聞古紙価格は中国向けの輸出増加により、過去2年で2倍弱に高騰し、10月に入っても高止まりしたまま。燃料には年度契約の石炭を使うため、原油価格下落の恩恵もない。新聞用紙は生産量の4割を占めるだけに、値上げの成否が業績を大きく左右する。

■生産現場のコストは正当に上乗せされねばならないという論調で記事を書いている新聞社が、製紙業者の苦境にどう答えるのか?リサイクル運動の盛り上がりを考えれば、古紙価格が高騰する原因として新聞販売量の減少で古紙の供給量が減っていることが考えられます。悪循環です。


大王製紙、中越パルプ工業も同様の値上げを打ち出したほか、王子製紙は10月から17%、日本製紙は来年1月からの13%の値上げを要請し始めた。日本製紙は昨秋、「新聞用紙だけを特別扱いできない」(幹部)と、今年1月1日から約7%の値上げを新聞各社に要請した。だが交渉はもつれ、4月に約5%の値上げで妥結した。他社も、ほぼ同様の交渉結果となった。

■新聞社も商売ですから原料費を安く抑えたいのは当然です。しかし、中には何か勘違いしているような高い給与や各種の無駄で贅沢な経費が湯水の如く使われている新聞社があるとも聞きますなあ。


……国内産業界全体の売上高経常利益率は6・3%だったが、製紙業界は2・7%……。日本製紙連合会の芳賀義雄会長(日本製紙社長)は、「原材料価格の転嫁は引き続き必要」という。製紙各社は今夏、コピー用紙などに使われる主力の印刷情報用紙で15%の追加値上げを実施したが、新聞用紙でも値上げを実現したい考えだ。一方、日本新聞協会によると、18年度の国内新聞業界の総売上高は前年比4%減の2兆3325億円。収入の半分を占める販売は低迷し、3割を占める広告はさらに悪化している。新聞大手幹部は「用紙の追加値上げは利益を吹き飛ばし、とても飲めない。読者に対する発行責任が貫けなくなる」と、用紙値上げの影響を懸念している。
2008年10月6日 産経ニュース

■「読者に対する発行責任」という言葉は美しくも頼もしい響きがありますが、時々、強引な勧誘や押し売りで事件が起こるのも事実です。新聞を売っているのかオマケを売っているのか分からないような強引なセールスをやって世界一の発行部数を達成した会社もあったそうな……。テレビもラジオも新聞社の子会社か系列企業ですから、こうした製紙業界の苦境が電波に乗ることはほとんど無いのでしょうなあ。「発行責任」には公正で正確な報道も含まれているはずなのですが……。

とうとう神頼み

2008-09-11 09:39:01 | マスメディア
■大新聞社の主筆と永久に不滅の球団の会長。それに「国士」まで兼任していると、考えねばならない事が多過ぎて、頭の中が相当に混乱するのも分からないではないのですが、そんな激務を掛け持ちして欲しいなどと誰も頼んではいないはずなのですが……。

巨人の渡辺恒雄球団会長は10日、来春開催される野球の国別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督について、「ワンちゃん(王貞治ソフトバンク監督)に頼むしかない。コミッショナー以下が土下座して頼むしかない」と語り、前回大会で日本を初代王座に導いた王監督の再登板を熱望した。渡辺会長は北京五輪の直後に、「星野君のほかにはいない」と話し、北京五輪で指揮を執った星野仙一氏を推す考えを示していた。……

■「星野君のほかにはいない。いるなら教えてくれ!」と大見得を切って断固支持・推薦を表明していたナベツネさんでしたが、その後に福田ホイホイ首相が政権を投げ出してしまうという椿事が起きたのでした。何処かのホテルを出て来るところをスポーツ担当記者に囲まれて、星野監督の就任問題をしつこく問われた時、「総裁選挙の方が大事だろ!」と怒鳴っていたようです。それが日本人としての、新聞記者としての「常識」だとも言ったとか……。それなら自民党の総裁選挙の候補が出揃った時に、王監督就任を語るのは「常識」に外れるのではないでしょうか?

■星野監督については、顔を出して推薦したナベツネさんですが、福田ホイホイ総裁を誕生させた時には、赤坂あたりの料亭に隠れて裏工作をしていたとかで、麻生さんに傾いていた総裁選の流れを一夜にして逆転させたのでした。その時、「福田君しかいない!」と言ったかどうかは確認にしようもないのですが……。福田ホイホイ首相を誕生させたあとは、民主党との「大連立しかない!」と余計なことを画策して政界は大混乱したのでしたなあ。ナベツネさんの「○○しかいない」発言はよほど注して聞かないと、非常に危ない目に遭うものらしいですなあ。そんな人が主筆をやっている新聞を読んでいても大丈夫なのでしょうか?


10日の発言について、2006年に胃がんを手術した王監督は「現在の体調では全うできないし、全うする自信がない。大変な仕事だし、あの連中を率いるには体が元気な人でないと」と改めて固辞する姿勢を示した。渡辺会長はこの日、「人間の中では星野が一番と言ったが、WBCや五輪には神様が必要。長嶋(茂雄)君は病気だし、いまや神様はワンちゃん一人だ。がんはおれもやった。ワンちゃんのがんなんて大したことない」と持論を展開。「今度はメジャーから選手に戻ってきてもらわんといかん。そういうことができるのはワンちゃんしかいない」と話した。 
9月10日 時事通信

■米国のメジャーで活躍する選手達との絆を考えれば、王監督しか適任者は他に居ないという道理は、素人にも分かるのですが、ナベツネさんぐらいの玄人になると、下々の者には窺い知れない難しい事も考えねばならないらしく、こんな単純な結論に達するまでに何週間もかかるのですなあ。「人間なら星野」で「神様なら長嶋か王」とは、なかなか上手く出来た逃げ口上であります。WBCには神様が必要でも、オリンピックには「ただの人」が監督をしてもよかったのでしょうか?自分の不見識を強引に誤魔化そうと思いついた屁理屈なのでしょうが、これでは星野監督が受けた傷に塩や山葵を塗りこむようなものです。星野さんは御自身が「火だるま」だと自嘲しているそうですから、ナベツネさんの「人間」発言は火に油を注いだとも言えそうです。

■北京五輪大会での采配についてあれこれ批判されるので、最初は「バッシングには慣れている」と強がっていた星野さんですが、最近はナベツネさんの子分の子分が経営する日本テレビに顔を出して、「日本はイジメ国家だ」などと粗雑な泣き言を吐いたとか……。試合で使用するボールもストライク・ゾーンも日本のプロ野球とは違うとか、審判員はアマチュアだとか、特別な調査をしなくても分かることを言い訳にするから素人からも非難されるのです。投手の使い方がメチャクチャで、野手の守備を定位置から移すし、選手の健康状態をまったく知らない、そんな監督で勝てるなら誰がやっても金メダルが取れそうです。

■WBCの監督要請に関する話は、金メダルを採り損なった時点で星野さん自身の口から初めて明かされたのではなかったでしょうか?今頃になって「話はない」などと言うのも変な話で、ナベツネさんと綿密な口裏合わせをしていたとしか思えない猿芝居であります。自民党の総裁選挙もナベツネさんのシナリオで動いているという悪い噂も出ているようですが、日本のプロ野球と政治とジャーナリズムを大混乱させるだけの「○○しかいない」発言は、そろそろ封印した方が良さそうです。御本人が記者会見を開くまでは、讀賣新聞以外の新聞社の記者諸君はナベツネさんを追い回すのを止めるか、編集段階でボツ扱いにしたら如何なものでしょう?

■細木数子さんの奇怪な神憑り番組がテレビから消えたと思ったら、今度はナベツネさんが「神様が必要だ」と言い出すようでは、いよいよ日本の将来はスポーツも政治もエライことになりそうですなあ。
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