■沿岸部からちょっと奥に入ればまともに電気も通っていない地域が広がっている13億人の生活ですから、全土で使っているエネルギーの総計は先進国に比べれば小さな数値になるのは当たり前なのです。しかし、それでも広大な国土に散らばる都市だけでも電気・ガス・水道の社会インフラを整えて維持し、自家用車も急増して行くと予想されるので、もしも、「自給率90%」を維持したとしても、輸入する「10%」は恐るべき数量となるでしょうなあ。今は宇宙空間のスペースシャトルから見下ろせば、チャイナの夜は小さな星のように幾つかの大都市が点々と光っているだけですが、これが帯状に広がり、何箇所かが面となって煌々と輝き始める時、世界中のエネルギーを掻き集めても間に合わないのではないでしょうか?
…「石炭資源も豊富で、水力発電はこれまでの3倍以上の規模の開発が可能。原子力発電が発電量全体に占める割合も2%以下にとどまっている」「今後も大規模なエネルギー開発が可能だ」などと説明。海外からの資源輸入が急増していることをめぐって高まっている批判をかわした。その上で、「経済の発展方式を転換させ、資源を節約し、環境を大事にする社会を築いていく」との意気込みを示した。サーチナ・中国情報局 - 4月20日
■「三峡ダム」の大工事は有名ですが、エジプトのアスワン・ハイダムの建設と同じように、下流の農地が砂漠化したり水不足と水質汚染が広まる危険性が高いと心配されています。黄河も長江も、ダム建設に適した場所は遥かに西の奥地だけですから、そんな場所にダムを並べても沿岸部が必要とする電気を供給するには、膨大な送電設備が必要ですし、長距離の送電では避けられないエネルギー・ロスを考えれば、気が遠くなるようなコストが掛かりそうです。どう考えても世界一の原発大国にならざるを得ないでしょうから、米国のメーカーは涎を垂らして注文を取ろうと蠢いているそうですなあ。
■一体、どんな未来を胡錦涛さんは描いているのやら、皆目、見当も付きませんが、ちょっとしたヒントになるような記事を見つけました。
中国マクドナルドは2006年4月から都市部にある店舗の営業時間を24時間に延長した。……客足は鈍く、関係者の中から「24時間営業は維持できない」との声も聞こえる。中国ではライフスタイルの多様化などを背景に24時間営業の店が徐々に増えている。しかし天津市内のマクドナルド店舗の例では、深夜に来客数が店員よりも少ない時があり、店は閑古鳥が鳴いている……中国で最初の24時間営業の書店「思考楽書店・浦東店」が上海市に03年3月にオープン……店舗面積は5000平方メートルで、内装は木目調のおしゃれなつくり。ベンチやカフェが用意され、深夜でもリラックスして本を選ぶことができるような環境だった。開店当初は午前0時から午前6時までに約100人の客が訪れ、特にバレンタインデーには、80席あるカフェが満席……サイン会や音楽会を行って集客に力を入れた。同書店の何根祥・総経理は「浦東地区はサラリーマンの集まる場所。昼間は忙しいので書店に行けないという人も多い。夜遊びが好きな若者もやってくるだろう」と自信ありげだった。しかし05年3月で閉店を余儀なくされた。
■簡単に開店しては短期間の内に誰も居なくなる。そんな事が繰り返されるのを誰も不思議にも思いません。どんな経営戦略や市場調査をしたのか素人目にも不安になるような場所に、まったく場違いな店が突然開店しますが、客が少ないなあ、と通り掛かるたびに心配している間も、特に改善策を試みるわけでもなく、案外、あっさりと撤退するようです。開店資金を金融機関から借りていた場合、大変な事になるのではないか?と心配していたものです。最貧地域ならば、安普請の小さな店ですから踏み倒して夜逃げされても、銀行が傾くような事は無いでしょうが、それでも数が多くなれば取り付け騒ぎが起こるでしょう。そして、地価の高い大都市の事業となれば、借入金は莫大なものになるはずです。
上海銀行や交通銀行などから借りた返済不能のカネは少なくとも5000万元に達したとの情報もある。夜間の収入は全体のわずか10%を占めるに過ぎなかった。年間の売上高は1200万元だったが、家賃が450万元もかかっていた。何・総経理は「家賃の売上高に対する損益分岐点は12%だったが、実際には32%にも達して重荷だった」などとコメントした。
■度胸が良いと言うべきか、向こう見ずと言うべきか、表現に迷いますが、博打のように事業を起こしては破産することの繰り返しでは、銀行は立ち行くはずは有りません。現地の噂によると、莫大な情実融資が焦げ付いて破綻の危機に追い込まれている銀行が沢山有るのだそうです。損失補てんやら公金注入やら、まともな報道機関が無いチャイナでは、金融機関のスキャンダルが表沙汰になる事は無いようです。ハンバーガー・ショップの物真似くらいなら可愛いものですが、自国の治安状況を考えずにATMを平気で設置している銀行が増えています。勿論、日本で荒稼ぎしている建設現場から盗んだ重機を利用した凶暴な窃盗が標的にするようなヤワな設置状況ではないので、そう簡単に強奪は出来そうも有りませんが、やる時にはやってしまう思い切りの良さが、あの国の泥棒には有りますからなあ。
スーパーマーケットでも24時間営業へ向けた挑戦が続いた。タイ大手のロータス(LOTUS)は上海市の浦東地区にある楊高南路店で05年9月中旬から24時間化を実施した。中国の大規模スーパーマーケットでは初めての試みとなった。当初は客の入りも多く、05年9月27日付の上海商報は「売り場には昼間と変わらないくらい客が来ている」と紹介。6つあるレジの前にも長蛇の列ができていたという。売上が好調だったのは飴や点心類。鮮魚は不調で24時間化開始から2日間で1匹も売れず営業を中止した。夜間の売上高は24時間化導入から2日間でも1日当たり約1万元に達するのがせいぜいで、昼間の20万-30万元と比べると少なさが一目瞭然だ。ネックとなったのは、買い物に来る交通手段が限られていたこと。最終のバスは23時頃でなくなってしまい、夜間の無料送迎サービスも実施されなかった。従業員数を昼間の3分の1程度に減らして営業したが万引きが続出。24時間営業の初日だけで万引きで16人が捕まった。
■夜中も明るい照明を点けて商品を無防備に陳列していれば、明かりに吸い寄せられる蛾のように泥棒が集まるのは当たり前ですし、交通手段が整っていても、夜中に大量の商品を持ってよたよた歩いていたら、家まで無事で着ける保証など有りません。
24時間化開始から数カ月間は黒字も赤字もほぼ同じという状態で推移したが、7カ月後には24時間化が中止となり、営業時間は22時30分までに戻った。午前0時を過ぎると客足がほとんどない状態だった。ロータスでは上海市にある系列のスーパーマーケット13店でも05年1月1日から24時間化を実施したが、1カ月も持たずして24時までの営業へと短縮された。だが24時間化への参入は続いている。北京市の朝陽区に05年9月、24時間営業の画廊ストリートがオープンした。画廊18店が参加し、長さは1キロメートルに達する。ガードマンを24時間常駐させ、防犯システムを近くの派出所と結ぶなど盗難対策に力を入れている。また広州市では化粧品販売の専門店が05年10月から24時間営業を開始した。
■根本的に大きな間違いを犯しているとしか思えない無謀な計画があちこちで進められている様子が分かります。日本や米国で修行した自称コンサルタントが暗躍しているのではないでしょうか?
このように中国では24時間営業に向けた試みが進められている。しかし書店やスーパーマーケットがいずれも「近未来都市」ともいうべき上海市の浦東地区で失敗に終わった。一方、24時間営業のコンビニエンスストアは成功事例が多い。天津市のケースでは店舗面積を100平方メートルとすると初期投資額が25万元程度で済むという。売上総利益率が25%に達するところもあり、3年で初期投資が回収可能だとされる。書店やスーパーマーケットの試みはコンビニエンスストアの成功に触発されたものと考えられるが、消費者からは受け入れられなかった。…サーチナ・中国情報局 - 4月20日
■治安の問題、金融機関の闇、そこにエネルギー問題まで絡んで来ますから、近代化が進むチャイナの表面に目を奪われていると、トンデモない事になりますぞ!一般家庭の驚くほどに頑丈な玄関ドアと複数の錠前、平屋となれば高い塀とその上に植え込んだ尖ったガラス片、元々、客が商品に手を触れないように配置されていた店舗、それらを考えれば、コンビニ店の暗い将来も簡単に予想できそうです。巨大な冷蔵・冷凍庫や豪華な照明に掛かるエネルギーを、どうやって賄う心算なのか……。
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…「石炭資源も豊富で、水力発電はこれまでの3倍以上の規模の開発が可能。原子力発電が発電量全体に占める割合も2%以下にとどまっている」「今後も大規模なエネルギー開発が可能だ」などと説明。海外からの資源輸入が急増していることをめぐって高まっている批判をかわした。その上で、「経済の発展方式を転換させ、資源を節約し、環境を大事にする社会を築いていく」との意気込みを示した。サーチナ・中国情報局 - 4月20日
■「三峡ダム」の大工事は有名ですが、エジプトのアスワン・ハイダムの建設と同じように、下流の農地が砂漠化したり水不足と水質汚染が広まる危険性が高いと心配されています。黄河も長江も、ダム建設に適した場所は遥かに西の奥地だけですから、そんな場所にダムを並べても沿岸部が必要とする電気を供給するには、膨大な送電設備が必要ですし、長距離の送電では避けられないエネルギー・ロスを考えれば、気が遠くなるようなコストが掛かりそうです。どう考えても世界一の原発大国にならざるを得ないでしょうから、米国のメーカーは涎を垂らして注文を取ろうと蠢いているそうですなあ。
■一体、どんな未来を胡錦涛さんは描いているのやら、皆目、見当も付きませんが、ちょっとしたヒントになるような記事を見つけました。
中国マクドナルドは2006年4月から都市部にある店舗の営業時間を24時間に延長した。……客足は鈍く、関係者の中から「24時間営業は維持できない」との声も聞こえる。中国ではライフスタイルの多様化などを背景に24時間営業の店が徐々に増えている。しかし天津市内のマクドナルド店舗の例では、深夜に来客数が店員よりも少ない時があり、店は閑古鳥が鳴いている……中国で最初の24時間営業の書店「思考楽書店・浦東店」が上海市に03年3月にオープン……店舗面積は5000平方メートルで、内装は木目調のおしゃれなつくり。ベンチやカフェが用意され、深夜でもリラックスして本を選ぶことができるような環境だった。開店当初は午前0時から午前6時までに約100人の客が訪れ、特にバレンタインデーには、80席あるカフェが満席……サイン会や音楽会を行って集客に力を入れた。同書店の何根祥・総経理は「浦東地区はサラリーマンの集まる場所。昼間は忙しいので書店に行けないという人も多い。夜遊びが好きな若者もやってくるだろう」と自信ありげだった。しかし05年3月で閉店を余儀なくされた。
■簡単に開店しては短期間の内に誰も居なくなる。そんな事が繰り返されるのを誰も不思議にも思いません。どんな経営戦略や市場調査をしたのか素人目にも不安になるような場所に、まったく場違いな店が突然開店しますが、客が少ないなあ、と通り掛かるたびに心配している間も、特に改善策を試みるわけでもなく、案外、あっさりと撤退するようです。開店資金を金融機関から借りていた場合、大変な事になるのではないか?と心配していたものです。最貧地域ならば、安普請の小さな店ですから踏み倒して夜逃げされても、銀行が傾くような事は無いでしょうが、それでも数が多くなれば取り付け騒ぎが起こるでしょう。そして、地価の高い大都市の事業となれば、借入金は莫大なものになるはずです。
上海銀行や交通銀行などから借りた返済不能のカネは少なくとも5000万元に達したとの情報もある。夜間の収入は全体のわずか10%を占めるに過ぎなかった。年間の売上高は1200万元だったが、家賃が450万元もかかっていた。何・総経理は「家賃の売上高に対する損益分岐点は12%だったが、実際には32%にも達して重荷だった」などとコメントした。
■度胸が良いと言うべきか、向こう見ずと言うべきか、表現に迷いますが、博打のように事業を起こしては破産することの繰り返しでは、銀行は立ち行くはずは有りません。現地の噂によると、莫大な情実融資が焦げ付いて破綻の危機に追い込まれている銀行が沢山有るのだそうです。損失補てんやら公金注入やら、まともな報道機関が無いチャイナでは、金融機関のスキャンダルが表沙汰になる事は無いようです。ハンバーガー・ショップの物真似くらいなら可愛いものですが、自国の治安状況を考えずにATMを平気で設置している銀行が増えています。勿論、日本で荒稼ぎしている建設現場から盗んだ重機を利用した凶暴な窃盗が標的にするようなヤワな設置状況ではないので、そう簡単に強奪は出来そうも有りませんが、やる時にはやってしまう思い切りの良さが、あの国の泥棒には有りますからなあ。
スーパーマーケットでも24時間営業へ向けた挑戦が続いた。タイ大手のロータス(LOTUS)は上海市の浦東地区にある楊高南路店で05年9月中旬から24時間化を実施した。中国の大規模スーパーマーケットでは初めての試みとなった。当初は客の入りも多く、05年9月27日付の上海商報は「売り場には昼間と変わらないくらい客が来ている」と紹介。6つあるレジの前にも長蛇の列ができていたという。売上が好調だったのは飴や点心類。鮮魚は不調で24時間化開始から2日間で1匹も売れず営業を中止した。夜間の売上高は24時間化導入から2日間でも1日当たり約1万元に達するのがせいぜいで、昼間の20万-30万元と比べると少なさが一目瞭然だ。ネックとなったのは、買い物に来る交通手段が限られていたこと。最終のバスは23時頃でなくなってしまい、夜間の無料送迎サービスも実施されなかった。従業員数を昼間の3分の1程度に減らして営業したが万引きが続出。24時間営業の初日だけで万引きで16人が捕まった。
■夜中も明るい照明を点けて商品を無防備に陳列していれば、明かりに吸い寄せられる蛾のように泥棒が集まるのは当たり前ですし、交通手段が整っていても、夜中に大量の商品を持ってよたよた歩いていたら、家まで無事で着ける保証など有りません。
24時間化開始から数カ月間は黒字も赤字もほぼ同じという状態で推移したが、7カ月後には24時間化が中止となり、営業時間は22時30分までに戻った。午前0時を過ぎると客足がほとんどない状態だった。ロータスでは上海市にある系列のスーパーマーケット13店でも05年1月1日から24時間化を実施したが、1カ月も持たずして24時までの営業へと短縮された。だが24時間化への参入は続いている。北京市の朝陽区に05年9月、24時間営業の画廊ストリートがオープンした。画廊18店が参加し、長さは1キロメートルに達する。ガードマンを24時間常駐させ、防犯システムを近くの派出所と結ぶなど盗難対策に力を入れている。また広州市では化粧品販売の専門店が05年10月から24時間営業を開始した。
■根本的に大きな間違いを犯しているとしか思えない無謀な計画があちこちで進められている様子が分かります。日本や米国で修行した自称コンサルタントが暗躍しているのではないでしょうか?
このように中国では24時間営業に向けた試みが進められている。しかし書店やスーパーマーケットがいずれも「近未来都市」ともいうべき上海市の浦東地区で失敗に終わった。一方、24時間営業のコンビニエンスストアは成功事例が多い。天津市のケースでは店舗面積を100平方メートルとすると初期投資額が25万元程度で済むという。売上総利益率が25%に達するところもあり、3年で初期投資が回収可能だとされる。書店やスーパーマーケットの試みはコンビニエンスストアの成功に触発されたものと考えられるが、消費者からは受け入れられなかった。…サーチナ・中国情報局 - 4月20日
■治安の問題、金融機関の闇、そこにエネルギー問題まで絡んで来ますから、近代化が進むチャイナの表面に目を奪われていると、トンデモない事になりますぞ!一般家庭の驚くほどに頑丈な玄関ドアと複数の錠前、平屋となれば高い塀とその上に植え込んだ尖ったガラス片、元々、客が商品に手を触れないように配置されていた店舗、それらを考えれば、コンビニ店の暗い将来も簡単に予想できそうです。巨大な冷蔵・冷凍庫や豪華な照明に掛かるエネルギーを、どうやって賄う心算なのか……。
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