其の七の続き
■文書は遠慮会釈せずに、日本の裏側まで知っている米国から、要求可能な全てが付き付けられているようです。
◇4 二国間の安全保障・防衛協力の態勢を強化するための不可欠な措置
上述の役割・任務・能力に関する検討に基づき、双方は、更に、新たな安全保障環境において多様な課題に対処するため、二国間の安全保障・防衛協力の態勢を強化する目的で平時からとり得る不可欠な措置を以下のとおり特定した。また、双方は、実効的な二国間の協力を確保するため、これまでの進捗(しんちょく)に基づき、役割・任務・能力を引き続き検討することの重要性を強調した。
●緊密かつ継続的な政策及び運用面の調整
双方は、定期的な政策及び運用面の調整が、戦略環境の将来の変化や緊急事態に対する同盟の適時かつ実効的な対応を向上させることを認識した。部隊戦術レベルから戦略的な協議まで、政府のあらゆるレベルで緊密かつ継続的な政策及び運用面の調整を行うことは、不安定化をもたらす軍事力増強を抑制し、侵略を抑止し、多様な安全保障上の課題に対応する上で不可欠である。米軍及び自衛隊の間で共通の運用画面を共有することは、運用面での調整を強化するものであり、可能な場合に追求されるべきである。防衛当局と他の関係当局との間のより緊密な協力もますます必要となっている。この文脈で、双方は、1997年の日米防衛協力のための指針の下での包括的メカニズムと調整メカニズムの実効性を、両者の機能を整理することを通じて向上させる必要性を再確認した。
■「部隊戦術レベルから戦略的な協議まで、政府のあるあゆるレベル」と投網を打ったような文言です。この文書を作った人の頭の中には「憲法9条」も「集団的自衛権」も欠片も無いようです。日本は米国と対等の世界戦略を語り合える、立派な軍事大国であるかのような印象を受ける文書ですなあ。
●計画検討作業の進展
1997年の日米防衛協力のための指針が共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討の基礎となっていることを想起しつつ、……この検討作業は、空港及び港湾を含む日本の施設を自衛隊及び米軍が緊急時に使用するための基礎が強化された日本の有事法制を反映するものとなる。双方は、この検討作業を拡大することとし、そのために、検討作業により具体性を持たせ、関連政府機関及び地方当局と緊密に調整し、二国間の枠組みや計画手法を向上させ、一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査を実施し、二国間演習プログラムを強化することを通じて検討作業を確認する。
■「有事法制」は、日本側でどれほどモメようと、着々と米軍の再編成と歩調を合わせて進めねばならなかったのです。緊急時には、日本中の港湾や飛行場が米国に自由に使って頂ける様になっております。「関連政府機関」が選挙の大勝の後で文句を言うはずはなく、「地方当局」であろうと、自民党の地方支部に粛清の嵐が吹き荒れた後で、どれほどの意見を述べられるのか、はなはだ心細いところです。米軍の人員や装備が引っ越して来るのをぶつぶつ言うくらいが精一杯なのではないでしょうか?
●情報共有及び情報協力の向上
双方は、良く連携がとれた協力のためには共通の情勢認識が鍵であることを認識しつつ、部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力をあらゆる範囲で向上させる。この相互活動を円滑化するため、双方は、関連当局の間でより幅広い情報共有が促進されるよう、共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる。
■「個人情報保護法案」などという奇妙な法律が提出されて、悪徳政治家が賄賂を受け取っても逃げ遂せるように悪用しようとしたとて、大騒ぎになりましたが、本当に保護しなければならないのは「個人情報」ではなく「国家機密」です。米国が大幅に情報の共有を要求して来れば、日本に忠誠を誓わずに、別の国のイデオロギーに親近感を持っているような政治家を徹底的に洗い出して追い出さねばならなくなります。そんな激しい法律が日本で通せるのか?しかし、300議席を手に入れたからには,これからの4年間、自民党は存分にその威力を示してくれる事でしょう。びっくりするような法律が続々と提出されて来そうです。
●相互運用性の向上
自衛隊が統合運用体制に移行するのに際して円滑な協力を確保するため、自衛隊及び米軍は、相互運用性を維持・強化するため定期的な協議を維持する。共同の運用のための計画作業や演習における継続的な協力は、自衛隊と米軍の司令部間の連接性を強化するものであり、安全な通信能力の向上はこのような協力に資する。
●日本及び米国における訓練機会の拡大
双方は、相互運用性の向上、能力の向上、即応性の向上、地元の間での訓練の影響のより公平な分散及び共同の活動の実効性の増大のため、共同訓練及び演習の機会を拡大する。これらの措置には、日本における自衛隊及び米軍の訓練施設・区域の相互使用を増大することが含まれる。また、自衛隊要員及び部隊のグアム、アラスカ、ハワイ及び米本土における訓練も拡大される。
○特に、グアムにおける訓練施設を拡張するとの米国の計画は、グアムにおける自衛隊の訓練機会の増大をもたらす。
■アラスカまで出張って来い!というのは思い切った事を言われたものです。先の戦争では、日本はダッチハーバーにちょっかいを出しただけで終わりましたからなあ。アッツ島玉砕、キスカ島奇跡の撤退、妙になつかしい地名が思い浮かぶ話です。アラスカで寒冷地用の訓練でもするのでしょうか?一体、何処の寒い国を仮想敵国としているのでしょう?またしても、シベリア出兵をしようとでも言うのでしょうか?グアムでの「訓練機会の増大」という事は、強襲上陸作戦を前提としているのでしょうか?一体、何処の国の海岸に上陸する準備なのでしょう?
○また、双方は、多国間の訓練及び演習への自衛隊及び米軍の参加により、国際的な安全保障環境の改善に対する貢献が高まるものであることを認識した。
■何度も出て来る「国際的な安全保障環境」ですが、今の世界で最も安全を脅かしているのは、イスラム過激派のテロ攻撃です。これに対してイラクに派遣されている自衛隊は、絶対に攻撃してはならない!と命令されているのです。この文書では、この制限は早々に消えてなくなる、と米国側は考えているとしか思えませんなあ。
其の九に続く
■文書は遠慮会釈せずに、日本の裏側まで知っている米国から、要求可能な全てが付き付けられているようです。
◇4 二国間の安全保障・防衛協力の態勢を強化するための不可欠な措置
上述の役割・任務・能力に関する検討に基づき、双方は、更に、新たな安全保障環境において多様な課題に対処するため、二国間の安全保障・防衛協力の態勢を強化する目的で平時からとり得る不可欠な措置を以下のとおり特定した。また、双方は、実効的な二国間の協力を確保するため、これまでの進捗(しんちょく)に基づき、役割・任務・能力を引き続き検討することの重要性を強調した。
●緊密かつ継続的な政策及び運用面の調整
双方は、定期的な政策及び運用面の調整が、戦略環境の将来の変化や緊急事態に対する同盟の適時かつ実効的な対応を向上させることを認識した。部隊戦術レベルから戦略的な協議まで、政府のあらゆるレベルで緊密かつ継続的な政策及び運用面の調整を行うことは、不安定化をもたらす軍事力増強を抑制し、侵略を抑止し、多様な安全保障上の課題に対応する上で不可欠である。米軍及び自衛隊の間で共通の運用画面を共有することは、運用面での調整を強化するものであり、可能な場合に追求されるべきである。防衛当局と他の関係当局との間のより緊密な協力もますます必要となっている。この文脈で、双方は、1997年の日米防衛協力のための指針の下での包括的メカニズムと調整メカニズムの実効性を、両者の機能を整理することを通じて向上させる必要性を再確認した。
■「部隊戦術レベルから戦略的な協議まで、政府のあるあゆるレベル」と投網を打ったような文言です。この文書を作った人の頭の中には「憲法9条」も「集団的自衛権」も欠片も無いようです。日本は米国と対等の世界戦略を語り合える、立派な軍事大国であるかのような印象を受ける文書ですなあ。
●計画検討作業の進展
1997年の日米防衛協力のための指針が共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討の基礎となっていることを想起しつつ、……この検討作業は、空港及び港湾を含む日本の施設を自衛隊及び米軍が緊急時に使用するための基礎が強化された日本の有事法制を反映するものとなる。双方は、この検討作業を拡大することとし、そのために、検討作業により具体性を持たせ、関連政府機関及び地方当局と緊密に調整し、二国間の枠組みや計画手法を向上させ、一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査を実施し、二国間演習プログラムを強化することを通じて検討作業を確認する。
■「有事法制」は、日本側でどれほどモメようと、着々と米軍の再編成と歩調を合わせて進めねばならなかったのです。緊急時には、日本中の港湾や飛行場が米国に自由に使って頂ける様になっております。「関連政府機関」が選挙の大勝の後で文句を言うはずはなく、「地方当局」であろうと、自民党の地方支部に粛清の嵐が吹き荒れた後で、どれほどの意見を述べられるのか、はなはだ心細いところです。米軍の人員や装備が引っ越して来るのをぶつぶつ言うくらいが精一杯なのではないでしょうか?
●情報共有及び情報協力の向上
双方は、良く連携がとれた協力のためには共通の情勢認識が鍵であることを認識しつつ、部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力をあらゆる範囲で向上させる。この相互活動を円滑化するため、双方は、関連当局の間でより幅広い情報共有が促進されるよう、共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる。
■「個人情報保護法案」などという奇妙な法律が提出されて、悪徳政治家が賄賂を受け取っても逃げ遂せるように悪用しようとしたとて、大騒ぎになりましたが、本当に保護しなければならないのは「個人情報」ではなく「国家機密」です。米国が大幅に情報の共有を要求して来れば、日本に忠誠を誓わずに、別の国のイデオロギーに親近感を持っているような政治家を徹底的に洗い出して追い出さねばならなくなります。そんな激しい法律が日本で通せるのか?しかし、300議席を手に入れたからには,これからの4年間、自民党は存分にその威力を示してくれる事でしょう。びっくりするような法律が続々と提出されて来そうです。
●相互運用性の向上
自衛隊が統合運用体制に移行するのに際して円滑な協力を確保するため、自衛隊及び米軍は、相互運用性を維持・強化するため定期的な協議を維持する。共同の運用のための計画作業や演習における継続的な協力は、自衛隊と米軍の司令部間の連接性を強化するものであり、安全な通信能力の向上はこのような協力に資する。
●日本及び米国における訓練機会の拡大
双方は、相互運用性の向上、能力の向上、即応性の向上、地元の間での訓練の影響のより公平な分散及び共同の活動の実効性の増大のため、共同訓練及び演習の機会を拡大する。これらの措置には、日本における自衛隊及び米軍の訓練施設・区域の相互使用を増大することが含まれる。また、自衛隊要員及び部隊のグアム、アラスカ、ハワイ及び米本土における訓練も拡大される。
○特に、グアムにおける訓練施設を拡張するとの米国の計画は、グアムにおける自衛隊の訓練機会の増大をもたらす。
■アラスカまで出張って来い!というのは思い切った事を言われたものです。先の戦争では、日本はダッチハーバーにちょっかいを出しただけで終わりましたからなあ。アッツ島玉砕、キスカ島奇跡の撤退、妙になつかしい地名が思い浮かぶ話です。アラスカで寒冷地用の訓練でもするのでしょうか?一体、何処の寒い国を仮想敵国としているのでしょう?またしても、シベリア出兵をしようとでも言うのでしょうか?グアムでの「訓練機会の増大」という事は、強襲上陸作戦を前提としているのでしょうか?一体、何処の国の海岸に上陸する準備なのでしょう?
○また、双方は、多国間の訓練及び演習への自衛隊及び米軍の参加により、国際的な安全保障環境の改善に対する貢献が高まるものであることを認識した。
■何度も出て来る「国際的な安全保障環境」ですが、今の世界で最も安全を脅かしているのは、イスラム過激派のテロ攻撃です。これに対してイラクに派遣されている自衛隊は、絶対に攻撃してはならない!と命令されているのです。この文書では、この制限は早々に消えてなくなる、と米国側は考えているとしか思えませんなあ。
其の九に続く