旅限無(りょげむ)

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3年で3万人は多いか少ないか

2005-09-30 14:52:19 | 外交・情勢(アジア)
■中国共産党の第16期中央委員会第5回総会(5中全会)が10月8~11日の4日間、北京で開催されるそうです。「調和のある社会」が大きな目標とされるとの話ですが、目標とするということは今の状況には「調和」が実現していないという事です。ずっと不思議に思っているのですが、北京オリンピックと上海万博がいつも明るい話題として語られる傾向が強過ぎるようです。国際的なイベントが有る時、あの国は非情に危うい状態になるのです。1989年の6月4日に起こった民主化を要求して大集合していた学生達を血祭りに上げた騒動の発端は、旧ソ連のゴルバチョフ大統領の訪問に合わせて始まったデモでした。世界の視線が集まる時、陰に隠れている派閥抗争や地方の反目と連動するように表面では激しい動きが始まるようです。

■あの時よりも、中国は国際化がずっと進んでいますから、政府は露骨な弾圧は出来ないだろうと考えている人々が増えていると考えた方が良いでしょう。国威発揚を目的とすれば、外国から多くのマスコミを受け容れねばなりません。間違っても、主要国にボイコットされたモスクワ・オリンピックのような醜態を晒すわけには行きません。人民元も変動相場制に徐々に移行しようという時期に、海外資本が一斉に引き上げられるような悪い評判は立ってもらっては困るわけですから、精一杯、国内の安定と反映をアッピールしなければなりません。

■国内に広まっている経済格差は有名ですから、既に北京や上海に住み着いて陳情をしている貧しい人々に合流するような大群が動き出したらエライことです。経済格差を是正するためには、更なる海外からの投資が必要です。北京や上海を中心とした沿岸部にやっと蓄積された富を地方に分散するような事をしたら、それこそ砂地に水をまくようなものです。今でも莫大な国債を発行しながら「西部大開発」を進めているのに、何処かから水が漏れるように資金が消えてしまう問題が解決されないのでしょう。こうした苦々しい実情を克服しようというスローガンが「調和のある社会」なのでしょう。

中国の華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)は28日、中国共産党規定に違反するなどして責任を追及された党幹部が、胡錦濤総書記を中心とする新指導部が発足して以来の3年間に約3万人に上ると報じた。具体的な違反内容としては、
▽党活動と企業活動の兼任約8000人
▽標準を超える無駄な車両の配備約2万両
▽規定違反の住居所有約3万軒
▽贈収賄約4000人
▽職権を利用した借金約25億元
▽組織的な人事規律違反約800件--などを挙げている。
 胡指導部は一向になくならない党幹部の腐敗・汚職問題解決のため、新たな条例を制定し、取り締まりを強化するなど、さまざまな対策を取ってきた。現在は、全国の27省・自治区・市で公用車の使用に関する改革を実施しており、浪費の取り締まりを進めている。
毎日新聞 2005年9月30日

■華僑系メディアに流れているというのも意味深で、海外からの投資の多くは華僑系の資金だと言われているのですから、何としても繋ぎとめておかねばならない金づるです。海外資金も国家予算も同じように食い物にされてしまう蟻地獄のような構造が無くならないのでしょう。ここに列挙されているのは国家予算を食い潰す党に巣食う悪人ばかりです。従って、海外からの援助や寄付をツマミ食いする不心得者や、私服を肥やす目的で気ままな税金やら手数料を巻き上げる地方の党幹部の悪行は出ていません。勿論、既に財閥と化している人民解放軍の実態も出て来ません。

■それにしても、高級自動車と豪邸、室内を飾る豪華な装飾品や高級食材の購入に賄賂を湯水のように使っている姿が浮かび上がる報告ですなあ。余りにも分かり易い成金趣味なので、マスコミが囃し立てる経済成長の裏側に広がっている伝統的な貧困の深刻さが分かります。3年間で3万人、つまり年に1万人を摘発したというのですが、13億人の人口に対して国家財政で養っている国家公務員と準国家公務員の人数が7000万人以上で、これは官民の人口比で見ると「1対18」になると言われています。或る統計によると、米国の官民人口の比例は1対94で、公務員への支出は財政の総支出の14%。中国は6000万人以上の党政府機関の公務員と400万人の準公務員への支出が、総支出の37.58%とされています。

■ところが、「人民日報」は、中国の官民比率は1:198だから、米国の1:12や日本の1:28と比べれば遥かに低いと書いているそうです。役人1人を支える国民が18人と198人では差が大き過ぎます。こんな統計数値を平気で発表するのが中国の凄さですなあ。足して2で割って調整するわけにも行きませんから、7000万人以上と言う数字を採用しますと、ここから3万人の悪人を摘発したとして、どれ程の効果が期待できるのか?一罰百戒などは全く通用しない逞(たくま)しい人々ですから、ドジな役人が捕まったら自分だけは上手くやるぞ、と奮い立つでしょうし、ますます賄賂をばらまかねばならないと考えて、公金をちょろまかしたり、裏商売に精を出すでしょう。

■真面目に人民に尽くす共産党員もきっと居るのでしょうが、海外に向けて恥を晒さねばならない程の苦しい状況なのだと考えれば、素朴にオリンピックや万博を楽しみにしてはいられませんなあ。本当に「調和のある社会」が実現出来るのならば目出度いことですが、それほど簡単には行かないでしょう。1970年の大阪万博で掲げられたテーマは「進歩と調和」だったのは偶然だったのか、進歩はしたけれど、調和とは程遠い公害騒ぎが大きくなったのは万博の後でした。中国の環境汚染は深刻な公害になっているようですが、マスコミが押さえ込まれている体制では、鋭いルポルタージュは期待出来ません。汚染が酷い地域では暴動が起こっているという情報も漏れて来ます。経済格差も民族対立も、全部まとめて「調和」させる魔法のような手段が有れば良いのですが……

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エアガン事件を考える

2005-09-30 09:05:06 | 社会問題・事件
■エアガンの事件が続々と報じられています。しかし、これはマスコミ報道の悪い癖が出ただけのようです。単なる子供の悪戯だと判断している内は、地方紙の片隅に載るか載らないか、編集デスクの胸三寸でスペースが空いたら埋め草記事で扱うようなネタだったのではないでしょうか?「所詮は玩具(おもちゃ)」だと思い込んでいれば、これは当然の判断です。今更、ボツにしたベタ記事を拾い集めて掲載するわけにも行きませんから、まるで突然、日本中で「発砲事件」が続発し始めたような印象を与えてしまいました。

■米国映画のマニアやファンの頭の中には数々のガン・ファイトの名場面が押し込められているので、「高速道路で発砲」だの、逃げ回る女性を追い回して発砲などと書き立てると、良からぬ気分がむらむらと涌いて来ないか心配ですなあ。この種の事件は「精神分析学」の研究対象となるべきものですから、先日の糞尿撒き散らし男やら、時々出現する薬品ぶっ掛け男など、女性にはさっぱり訳が分からないけれど、男達には、何となく分かるような気がする、とてもヤヤコシイ事件です。性的な欲求不満を解消するための代替行為なのだろうと想像するのは簡単ですが、硫酸だの糞尿だのと言われると早急な逮捕と治療が必要です。でも、なかなか完治するのは難しいとも聞きますなあ。

■エアガンの御話です。大昔の大昔から、『2001年宇宙の旅』の説だと、大型動物の大腿骨を御先祖様が拾った瞬間から、男達は武器が必需品となって、殴る物・刺す物・当てる物・切る物を工夫して、最後は美術工芸品にまで完成させてしまいました。頼みもしないのにオランダ人が鉄砲を売り付けに来て以来、日本も遠距離殺傷兵器の時代に入ってしまいましたが、徳川幕府の努力で黒船が来たら腰を抜かすほど日本は平和な時代になっていたのでした。「平和な時代」には家庭の刃物は、女性(勿論、男でも良ろしうございます)の包丁に限定されています。社会常識から言えば、世間で出会う人の中で武器を携帯しているのは警察官かヤクザさんだけなのです。強盗はそれと分かる姿では歩き回りませんからなあ。

■江戸時代に封印された殺人技術は武道となって残りました。武器を使うのは剣道・居合い道・弓道・薙刀(なぎなた)道・手裏剣道などが有ります。これらの武道では今でも「本物」が使われていますぞ!この中に「鉄砲道」が無いのは重要です。明治政府以来、発砲兵器は国家が完全に独占的に管理していますから、一家に一丁というわけには行きません。武道は礼儀作法から、型の練習、昇段試験など長い鍛錬の年月に耐えねばならないので、愛好者の数は減少し続けているようです。織田信長が、武士でなくても扱える、つまり戦国時代のフリーターでも扱える鉄砲を主力にしたのは大正解でしたなあ。余りにもお手軽なので、権力者は民間の鉄砲が大嫌いです。

■犬公方(いぬくぼう)と悪口を言われた徳川綱吉さんは、「生類憐みの令」という悪法で名を残しましたが、その悪評は役人の暴走が原因だったようです。本当は、豊臣秀吉が実施した「刀狩り」の後も、民間に秘蔵されていた武器が多かったので、特に猟師さん達が保有していた鉄砲を根絶やしにする目的で実施された法律だったとの説が有ります。それが正しいとすれば、現在も日本は「生類憐みの令」が有効だとも言えますなあ。野生動物に禁止されているのに餌付けしてしまう困ったオバサン(オジサンは少ない)達は、江戸時代のやり過ぎ行政の子孫です。

■簡単な筆記試験と手続きを済ませれば、散弾銃などは所持出来ますが、購入費も維持費も高いので、射撃スポーツは金持ちの道楽でしかありません。本物に手を出すのは大変なのです。勿論、ポケットに隠せるようなピストル類は全面的に禁止です。隠し持てる武器は危険だからでしょうなあ。散弾銃の銃身を短くするのも禁止ですね。変な話ですが、ヤクザさんと分かる髪型や服装や乗用車も、社会生活には役立っているはずです。カタギの人と同じ姿になられると困ります。日本のヤクザさん達は、大変に苦労してチャカ(拳銃)を手に入れる時代が有りましたが、不良米軍やら不良人民解放軍兵士やらが大々的に密輸するようになってからは、入手は簡単になったそうです。苦労していた頃、鉄製のモデル・ガンという玩具に目を付けてバレル(銃の筒)だけを本物と同じ材質に変える改造銃が使われて、警察が怒ってモデル・ガンを禁止しようとしたので、玩具と分かるようなダサイ色と改造不可能な詰め物をして業界は生き延びたのでした。

■登録が必要な「空気銃」とは別に、エアガンという玩具が登場したのは割りと最近の事ではないでしょうか?昔から男のガキンチョは、戦争ゴッコと鉄砲ゴッコが大好きです。余りにも憲法9条を信仰している人達が「玩具の鉄砲も禁止しろ!」と言い出した事も有りましたが、それは無茶というものでした。棒切れを持てばチャンバラごっこ、エル字型の物体を持てば鉄砲ごっこをするのが男のガキンチョです。大人になっても武器に対する愛情が消えない人は、武道に打ち込めば良いのですが、もっと安易な方法は、大人でも鉄砲ごっこが楽しめる玩具を購入する事です。本物よりも扱いが簡単ですし、何よりも安価です。しかし、サバイバル・ゲームなどという大掛かりな組織と企画力が無いと出来ない大人の遊びには参加できない寂しい男が増えると、困った事件が起こるのでしょうなあ。

相模原市は26日、同市麻溝台の相模原麻溝公園内の園内灯23基が壊されたとして、相模原署に器物損壊容疑で告訴した。…24日午前9時からの巡回で、園内灯計45基のうち23基の破損が見つかった。付近にエアガンの弾が散乱していた。23日の巡回時には異常がなく、同日深夜から24日未明にかけ、何者かが4・5メートルの高さにある直径約50センチの園内灯を狙いエアガンを発射させたらしい。被害総額は約150万円。…同公園では02年9月に園内灯8基が壊される同様の事件があったが、犯人は捕まっていない。

埼玉県警浦和西署は27日、さいたま市の路上で乗用車からエアガン数発を発射したとして、同県上尾市の会社員の男(37)を軽犯罪法違反容疑で検挙した。「面白半分でやった」などと容疑を認めており、近く書類送検する方針。男は同日午後1時45分ごろ、さいたま市の市道で乗用車を運転中、外に向けてエアガンを発射した疑い。…1時間半後、署員が現場から走り去ったものと似た車を発見。乗っていた男に職務質問したところ、容疑を認めたという。車内からエアガン1丁(長さ約20センチ)が見つかった。

27日午後9時ごろ、東大阪市中央区本町橋の阪神高速環状線で、同市住之江区の自営業の男性(57)が乗用車を運転中、左側の助手席ドア付近で「カン、カン、カン」と音がするのを聞いた。路肩に駐車して確認したところ、助手席側のドアとボディーに直径約1センチのへこみ傷が4カ所見つかり、窓ガラスにも直径約5ミリの穴が開いていた。府警東署は、並走していた車から連射式のエアガンのようなもので銃撃されたとみて、南へ走り去った車の行方を追っている。

28日午前9時40分ごろ、福岡市博多区吉塚の交差点で、佐賀県基山町のアルバイトの男性(23)が車を停車させたところ、後ろの車からエアガンで撃たれた。車の後部に直径3ミリ程度の傷がついたが、男性にけがはなかった。その後、同県粕屋郡内の男性会社員(27)が福岡県警博多署に出頭。…会社員は調べに「前の車が急ブレーキをかけたのでカッとなり、エアガンで4発撃った」と話しており、うち1発が男性の車に当たっていた。

28日午後10時20分ごろ、奈良県生駒市で、ミニバイクに乗っていた17歳の男性会社員が、交差点で左側に並んだ乗用車からエアガンを、数発、撃たれました。そのうち、2発が会社員のほおなどに当たりましたが、けがはありませんでした。警察が調べたところ、現場から直径5ミリのプラスチックの丸い弾が4個、見つかっていて、詳しく鑑定しています。犯人の車はシルバーの4輪駆動車だったということです。

 29日午前3時前、東大阪市の路上で、20歳の女性店員が自転車で帰宅途中、軽乗用車に乗った男に声をかけられ、「うるさい」と答えると、男が車からエアガンのようなものを数発、発射して走り去りました。さらに数分後、別の車が近づいてきて、男が「さっきの女はお前か」などと言って、エアガン数発を発射して逃げたということです。店員にけがはありませんでした。生駒市と東大阪市の事件は、車の特徴から別の犯人によるものとみられています。

29日午後1時40分ごろ、宮城県大河原町の家電量販店駐車場内で、店舗を出て歩いてきた男子高校生2人に向けて乗用車からエアガンが数発発射された。弾は1人の高校生(17)の左足ひざ付近に当たったが、けがはなかった。大河原署は、エアガンを撃ったとして暴行容疑で無職の少年(18)=同県角田市=を逮捕した。

京都府城陽市内で20日と23日の夕方、小中学生が乗用車の男からエアガンのようなもので撃たれる事件が続発していたことが28日までに分かり、市教委や城陽署は注意を呼びかけている。20日午後6時20分ごろ、同市富野の国道24号で帰宅中の女子中学生2人が、信号待ちをしていた白色のワゴン車に乗った若い男から撃たれた。またこの周辺2カ所でも23日午後4時から4時半ごろにかけて、小学生男児計6人が相次いで撃たれた。いずれもけが人はなかった。
以上毎日新聞から引用

■報道が抑止力にならずに、我も我もとアホの連鎖を呼んでいるのが分かりますなあ。「皆がやっている。これがフツーなのだ」の一言で、トンデモないことをやる似非民主主義教育の勘違い人間が大量に潜在しているらしいので、この動きはしばらく続くのではないでしょうか?豆まき用の大豆よりも小さいBB弾(プラスチック製)だから大した被害は無いと思っている馬鹿者は、本格的にサバイバル・ゲーム(擬似戦争ゲーム)を趣味にしている人達が、常に厚手の軍服と強化プラスチック製のゴーグルを着用している事を知らない可能性が高いので、運の悪い人が失明するとか、大きな交通事故を起こしてしまうとか、大事件が起こらない限り玩具の悪戯だと思ってやり続けるでしょうなあ。

■本物の銃を禁止する社会の中で、代替品として玩具が恐るべき発展を見た結果です。限りなく本物に近い破壊力を求めて改造する商売も繁盛しているようですし、本物と玩具の境界線がますます見えなくなるのは仕方が無いでしょう。対応策は、「玩具の禁止」ではなく、エアガン遊びのスポーツ化だと思うのですが、大事件が起こると集団ヒステリー状態になって、玩具撲滅運動が起こってしまうのでしょうなあ。

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お手本はアメリカ、日本は卒業

2005-09-30 07:27:59 | 外交・情勢(アジア)
■中国との関係を「経熱政冷」などと言われていますが、直接投資を呼び込み、民間企業を誘致して技術移転や接客マニュアルを習得し終えたら、これも終わるかも知れません。WTOに加盟して4年目、知的財産権の侵害で世界中から訴えられそうな立場に追い込まれそうな気配なので、偽物商品を撲滅するポーズを取るのに必死の北京政府ですが、本当に偽者コピー商品が消えてしまったら中国の屋台骨がふにゃふにゃになるでしょうなあ。早くオリジナル商品で勝負したいところですが、工業生産の行き着くところは、最も収益率の高い軍需産業と相場は決まっているので、平和憲法など持たない中国はソ連製兵器をパクり続けて生産インフラを整備し、次の段階では少し改良して安値で売りさばく事を始めていましたが、消耗品レベルの製品が多かったようです。イランとイラクが10年近く殺し合った時にも、中国製のシルクワーム・ミサイルが登場して注目されたことがあります。

■しかし、師匠だったソ連の影響が余程深かったらしく、同じ轍を踏む危険が高まっていたのでした。ソ連は、世界を半分に割って米国と鎬(しのぎ)を削って代理戦争を繰り広げたり、核開発や宇宙開発競争でも抜いたり抜かれたりを続けた揚げ句に、とうとうコンピュータ技術の粋を集めた「スター・ウォーズ」計画には対応できずに兜(かぶと)を脱いだわけですが、軍事技術が民間用に転用できずに苦しんでいます。未だにロシア製の工業製品が国際市場に出て来ないのですから、レーニンの「電化政策」やスターリンの「重工業政策」など、全ての投資は無駄だった事になります。資本主義を馬鹿かにしていた罰が当たったのかも知れませんが、世界一の戦闘機や各種の戦車など今でも弛(たゆ)まぬ企業努力を続けているロシアですが、船舶・航空機・自動車・電化製品など、ロシア・ブランドがぜんぜん出現しませんなあ。

■ソ連の弟子として誕生した中華人民共和国も、師匠と同じ失敗をしたくないとは思っても、政治体制から軍備までそっくりデッド・コピーしてしまっていましたから、本家よりも酷い目にあうのは確実でした。そこで、日中友好ムードを最大限に利用して、ソニー以外の家電業界を呼び込んだり、自分達の技術力でも真似が出来そうな製造業を誘致したりして、せっせと無料の「勉強」をしているわけですが、ヤオハンを誘い込んでぶっ潰したり、中小企業を呼び込んでおいて虎の子の専門技術をパクった後は放り出したりと、やり放題の日本コピーを続けていたようです。

■しかし、しょせんは二番煎じの殻は破れませんので、100円ショップを主戦場とする輸出業界が稼ぎ頭となっただけ。これではお先真っ暗で、あれこれ物価が上がり続ける好景気時代では、頼みの安い商品は東南アジア諸国に生産拠点を移してしまいます。パテント料金をきちんと払っていたのでは、バブル会社はパンクします。国内の生産と生活に欠かせないエネルギーの不足も間近に迫って来たので、とても日本をモデルにした路線では先細りです。海外のエネルギー資源を獲得して、輸出の業績も上げる一石二鳥の妙案は、戦後のアメリカがやり続けた武器とエネルギーのバーター取り引きしか有りません。北朝鮮あたりを相手にしていたのでは埒(らち)があきませんから、最初はイランあたりが上客となったようですなあ。

ナイジェリア政府は28日、中国から戦闘機12機と練習機3機を約2億5000万ドル(約270億円)で購入することを決めた。ナイジェリアの中国からの戦闘機購入は初めてとみられる。中国は近年、国内の石油需要増に対応しようとアフリカ最大の産油国ナイジェリアへの接近を試みており、両国の関係強化を象徴する「買い物」として注目を集めている。
 購入する戦闘機は中国のF7NI機で、購入金額はナイジェリアの年間国防予算の6割に匹敵する。空軍は兵員9500人、作戦機91機を保有し、アフリカでは南アフリカに次ぐ強力な空軍。これまでミグ(旧ソ連)、アルファジェット(仏、旧西独)などの戦闘機があったが、中国機は確認されていない。ナイジェリアは日産232万バレル(04年)。石油輸出国機構(OPEC)で5番目の産油国で、欧米企業が油田を開発し、最大の輸出先は米国だった。しかし最近は中国との関係が深まっており、既に中国への日量3万バレルの輸出契約が成立。中国石油天然ガス集団公司(CNPC)が油田開発参入を目指して交渉している。中国側は製油所などインフラ建設を申し出ている模様だ。
 中国は国内の石油需要増に対応しようと産油国との関係を深めており、アフリカではスーダンやアンゴラで油田開発に参画しているが、原油と引き換えに抑圧的政権に政治的・軍事的支援を与える外交姿勢がしばしば問題になっている。毎日新聞 2005年9月29日
 
■日本が「石油の中東依存度を下げる」と毎年のように作文している間に、欧米各国はナイジェリア沖の大油田に殺到していまして、アホな元首を洗脳して武器マニアにしてしまえば、金に糸目を付けずにばかばかと玩具のように武器を並べて喜びます。「ある時払いの催促なし」のような事を言いながら、石油の採掘権を奪ってしまうのは常套手段で、米国は冷戦時代に徹底的にこれをやりましたなあ。イランでは大失敗してしまったので、今でもイランと聞くと冷静ではいられないようです。

■日本は武器輸出を自ら禁じて、米国の製品を売りつけられ続けています。転売も出来ませんから、ODA予算を膨らませてご機嫌取りをするしか有りません。米国は太平洋戦争で日本の航空技術に恐れをなして、マッカーサーが占領に来た時には徹底的に残存していた飛行機を焼き捨て、生産能力を叩き潰してしまいました。勢い余って民生品の航空機も作らせない!という徹底振りで、日本は今も世界の航空産業に売り出す商品を持っていません。そんな日本を「軍事大国になる恐れがあるぞ!」と文句を言い続けている国が、さっさと国産の戦闘機をアフリカに売りつけているのですから、何が靖国神社だ!と言わねばなりません。まあ、原爆を作って拉致事件を起こして爆弾テロをし放題の我が身を棚に上げて、「日本が右傾化するのが心配だ!」と言っている北朝鮮よりは、ほんの少しはましなのかも知れませんが…

■日本と中国に挟まれている韓国から見れば、中国のやり方に目が奪われるのではないでしょうか?本気で米国を追い出したら、北と結んで核保有国となる夢を見ている人も多いでしょうなあ。朝鮮戦争で、自分達がやり過ぎて失敗したことに気が付いた米国でしたが、口が裂けても「ごめんなさいね」とは言えないのが外交と戦争です。日本は謝る事が外交だと信じ込んでいる変わった国になってしまいましたから、謝らせるのを面白がる国も出て来ます。それを勘違いして、謝ることが平和への近道と信じきっている政治家が輩出したりする国です。中国が大好きな新聞社も政治家も、早速、ナイジェリアとの商談成立に祝電でも打ちますかな?

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祭りの後は虚しくて

2005-09-29 17:23:49 | 政治
■選挙中は自分の言いたい事を好き勝手に怒鳴っていた小泉さんが、参議院では早口で原稿を棒読みしていて、その声は詰まらなそうです。衆議院では選挙の余熱と残響が有るらしく、アホで惨めに負けた造反組や民主党にトドメの一撃をチラつかせるような意地悪な雰囲気をぷんぷんと発散させて楽しそうでしたが、風の吹きようでどっちにでも転がる参議院では、相手の力不足で退屈なのでしょうなあ。

■本当は原稿の棒読みは国会法で禁止されているというのは周知の事なのですが、党内の根回しや毎週末の地元回りなどで政策の勉強などやっていられない政治家は、お役人に作って貰ったミスの無い完全無欠で意味不明な原稿を棒読みして平然としています。警備費や電気代など大金使って原稿の棒読み大会をやっているのは税金の無駄遣いで、読みたい原稿をネットや新聞紙上に発表して御仕舞いにすれば経費削減に役立つのですが、それでは格好がつかないのでしょうなあ。今回の答弁も、ラジオで聴いていても酷い作文で、とても長い時間眠気と戦うのは難しい内容でした。

民主党の円より子氏への答弁で、小泉首相は、東シナ海の日中中間線での中国による石油ガス田開発に関し「中間線東側の資源に影響を及ぼし得る開発について、共同開発による問題解決の可能性を含め、(中国側と)率直に議論を行う予定だ」と述べ、共同開発の可能性に言及した。

■相手は軍艦を遊弋させて次々と採掘施設を並べているのに、こちらは「話し合い」の準備をしているのですから、尖閣諸島周辺に対する外交姿勢はまったく変化していないのです。拉致問題と同じで、相手が怒ったら面倒臭いので放っておいたばかりに、もう手遅れの状態になってしまったのに、誰も責任を感じておりません。いざとなったらナショナリズムを煽って、「中国許すまじ!」と馬鹿な喧嘩を仕掛けるつもりなのでしょうか?相手は既成事実を着々と積み上げて、慣習法に過ぎない国際法に合致させて資源と領海を100年計画で手に入れようとしているというのに、日本は指をくわえて見ているだけで「共同開発」で決着させようと言うのですから呆れます。こんな事を発言したら、「共同開発」が議論の出発点になってしまいますぞ!そうなったら、「共同」の分け前を交渉しなければならなくなって、その頃には竹島同様に軍事施設が完成していて、とてもじゃないが、日本側に有利な分け前なんて望めなくなっているでしょうなあ。

イラクに派遣中の自衛隊は「現時点で非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていない」として、当面の駐留継続を強調した。

■民主党が攻め切れなかった「非戦闘地域」がまだ生き残っている!これは分かり易く言い直すと「米国軍が大規模戦闘を終了させた場所」のことですから、米国軍に対するゲリラ攻撃が起こる場所も意味します。相手を奥深く引き込んで、ゲリラ戦で力を削(そ)いで行く。ナポレオンを追い返したロシアのクトゥーゾフ将軍や毛沢東の『持久戦論』と同じ戦略が採用される場所という事です。それを知っていたからこそ、政府は自衛隊を派遣する時に、石油も出なければクルド人もいない、スンナ派とシーア派が混在していない場所を必死で探したのでしょう。ゲリラ戦が最も起き難いと考えられる場所がサマーワだったわけで、丸腰の軍隊を駐留させるにはそれしか方法は有りません。しかし、情勢が変ればテロは何処でも起きるのですから、神頼み同然の決定でした。

今年末にイラクの本格政権が発足する予定のうえ、サマワの治安維持を担当する英国や豪州軍が来年5月前後の撤収を検討していることを踏まえたものだ。イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の活動の基本計画については、今年12月14日に期限が切れる派遣期間を1年程度延長する方向だ。ただ、イラクの治安回復が遅れ、多国籍軍全体のイラク駐留が長引いた場合は、陸自の撤収時期がずれ込む可能性もある。
 日米英豪4か国は29日から10月3日まで、ロンドンで外務・防衛担当幹部や制服組らの会議を開き、サマワに駐留する陸自と英豪軍の今後の活動を協議する。サマワでは現在、陸自約600人が公共施設の復旧や医療支援を行う一方、豪州軍約450人が駐留している。イラク南部の治安維持を担当する英軍も、サマワを含むムサンナ県全体で約600人が活動している。豪州軍は来年5月に派遣期限を迎える際に撤収する可能性を日本政府に伝えている。英軍も年明け以降、サマワなど治安の安定している地域から順次、部隊の撤収を検討している。日本政府は「英豪軍が撤収した場合、陸自の安全確保は難しい」と判断している。……
 政府は2003年12月、イラク特措法に基づく自衛隊のイラク派遣の基本計画を閣議決定し、昨年12月、1年間延長した。今年12月14日に再び期限を迎えるが、イラク移行政府が駐留延長を日本に要請しており、日本政府は「多国籍軍が年明け以降も駐留するのは確実で、自衛隊だけ撤収はできない」としている。
 ただ、政府・与党内では「陸自を無期限に派遣するわけにはいかない」として、派遣延長の際に撤収時期のめどを示す考えが有力だ。政府筋は28日、「各国は、撤収の時期を真剣に考えている。自衛隊も『出口』を説明しないと、世論の納得は得られないだろう」と語った。読売新聞  9月29日

■事ここに至っても、各国駐留軍の人数だけを並べて報道するマスコミもどうかしていますなあ。装備している武器や機材がまったく違うものを並べても意味は有りません。もともと、案山子(かかし)の役を仰せ付かって派遣された自衛隊は、憲法の規定通りに軍隊ではありません。ブッシュ大統領が「イラクの民主化は進んでいる」と言い張ってくれている間に、義理は果たした英豪軍は自分の判断でさっさと引き上げる準備に入りました。日本は犠牲が出ていない代わりに、自分で判断できる立場を得ていませんから、守ってくれる英豪軍が消えれば米国が可哀想に思ってくれると期待しているのでしょう。しかし、「日本よ、お前は別だ!」と言われたら、英豪両軍と一緒に引けなくなってしまうでしょうなあ。せっかくの総選挙だったのに、郵政民営化などよりも、サマーワ撤退や北朝鮮問題、尖閣問題が優先課題だったのに!

■その郵政民営化にしても、国の手を離れた巨大な資金がどうなるのか、選挙中も「外資に食われるぞ!」の声が少しは上がりましたが、ホリエモン騒動やら刺客祭りの喧騒に掻き消されてしまいました。
郵政民営化後にできる持ち株会社の株式取得に関する外資規制ついては「政府が安定株主として三分の一超(の株式)を保有するとともに、特殊会社として主務大臣による監督規定を設けており、外資規制は設けない」と述べ、法的規制を行わない考えを示した。
アメリカから注文に応じたわけではない、という説明も有りましたが、とても信じられない話です。

■最近も、東京の地下が一部地域で上がり始めたという報道が有りましたが、誰が東京の土地や不動産を買っているのかを詳しく調べたものは見当たりませんでしたなあ。本当の地主や大家さんは誰なのか?と追求してみれば、ビックリするような所に住んでいる人だったりするのではないでしょうか?銀行やホテルなどの目立つ物件が外資に買い叩かれるのは報道されますが、こまごました商業ビルやマンションなどの買い手が誰なのかは報道されません。昔通りに、日本語の(違法な)看板がついていると安心していると、エライことになるかも知れませんぞ!

首相はまた、憲法改正について「自民党だけでやる気はない。安定した連立基盤を大事にし、民主党の改正案もよくみて、じっくりと時間をかけて、国民の支持を得るような努力を最大限行っていきたい」と述べた。
消費税導入は時期尚早でも、憲法改正は時宜に適っているらしいのですが、本当でしょうか?「集団的自衛権」などという新語を生み出して議論をややこしくして来た役人達が、面倒臭くなって一気に御破算にしようとしているだけなら、とてもじゃないが、国民投票は時期尚早です。

■反対派にしたところで、勉強をサボって来たから「戦争が始まるぞ!」などと言う下らないことしか言えないのです。こんな状態で議論など出来るわけが無い。何でもやりっ放しの小泉さんは、勘違いしたまま後継者指名を楽しみにしているようです。ワンマン社長の勇退みたいな話です。内政の中途半端なままの課題と外交の大失敗を置き土産にして、デカイ顔をして大御所になるつもりなのでしょうか?バブルの狂乱の種を置き土産にした自覚がぜんぜんない中曾根さんやバブルを膨らませた責任をぜんぜん感じていない宮澤さんいう大先輩もいましたから、小泉さんだけを責めても仕方が無いのですが…。
来年九月の自民党総裁選に対しては「私の後を継ぐ方は多士済々。しっかりと改革路線を進めていくことのできる方が首相を務めていただけるであろうと期待している」と指摘、小泉改革継承が後継総裁の条件だとの認識を示した。

■今回の総選挙は、本当に歴史的な選挙だったんだなあ、と振り返る時が間も無くやって来るでしょう。刺客のネエちゃんが案外美人で、握手したら良い臭いがしたから一票入れた、などとトボケた投票をした人達が今回投票権を持っていなかった若い世代から「色ボケ爺い!」と怒られるのでしょうなあ。マスコミも刺客のオッカケから太蔵君のオッカケに変っただけで、選挙の重要テーマをぼかす助けをしたのですから、後々、責任を追及されるかも知れません。でも、その頃にはテレビ・メディアは衰退してしまっている可能性もありますが……
引用記事は産経新聞9月29日

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身内にも冷たい社保庁

2005-09-29 08:10:40 | 社会問題・事件
■生ぬるい、大阪風に言えば「眠たい」改革案をおずおずと提出した社会保険庁でありますが、誰も取り上げてくれませんなあ。いろいろバレ過ぎて、誰も先は短いと思っているのですから、「クレジット・カードでも年金保険料が払えるようにします」などと言う馬鹿馬鹿しい作文を読んでいる暇は無いんでしょう。書いたご当人達は真面目なのですから、これは悲喜劇です。外に対しては、背の高い女優さんを使って「脅迫CM」を放映するくらいの事は平気でする社会保険庁ですが、身内には手厚いサービスを欠かさず、「事務費」で自動車でもゴルフ・ボールでも買い放題というスーパー・ドメスティックなお役所だとばかり思っていたら、オイシイ目を見ているのは一部の幹部だけだったんですね。
社会保険庁職員だった横森真二さん(当時23)=山梨市出身=の過労自殺を巡り、父母が同庁を運営する国を訴えた裁判で、甲府地裁の新堀亮一裁判長は「うつ病の重症化と自殺を避けることは可能だったと認められる」と同庁の安全配慮義務違反を認め、計約7200万円の支払いを命じた。国家賠償法に基づく賠償請求は時効が成立しているとして退けられた。横森さんの母鈴恵さん(56)は会見で「勝訴しても息子は二度と帰ってこない」と涙ながらに訴えた。
 判決によると、横森さんは高校を卒業した93年に入庁。96年に社会保険業務センター中央年金相談室に配属されると、基礎年金番号制度導入に伴う相談や苦情の電話応対に忙殺された。また、係内の最年少で雑務を押しつけられた。上司は勤務実態を的確に把握しようとせず、漫然と放置。死の1カ月前の超過勤務時間は少なくとも120時間を超え、同僚に不審な言動をしていたという。横森さんは97年4月、東京都内の自宅近くで飛び降り自殺した。……
 原告側は判決後、甲府市内で記者会見。母鈴恵さんは「(社会保険庁)長官には墓前に来て謝罪してほしい」と怒りをあらわにした。代理人弁護士は「事実上の全面勝訴と受け止めている。過剰な労働で心身に多大な負担を負っている公務員も多い。一部にしわ寄せがいく構造があるのでは」と警鐘を鳴らした。
 毎日新聞 9月28日
■たった4年間の勤務で、身も心もぼろぼろにしてしまうお役所の仕組みは恐ろしいものです。横森さんのご冥福を祈らずにはいられません。想像するに、苦情や雑務を押し付けられるのは、はっきり言って高卒のノンキャリア職員で、おそらくは彼がてんてこ舞いしている戦場のような場所の壁一枚隔てた快適な部屋では、「身分が違う」エライ人が新聞読みながら熱い茶をすすっていたのではないでしょうか?無理やり作った役職やら「長」の付くポストに、エライ人が大きな団子のように群れていて、実務担当は「身分が違う」ので、正に奴隷のように死ぬまでこき使われる。そんな仕組みになってはいなかったでしょうかな?

■将来の安心を人質に取って、採用したての窓口職員には仕組みがさっぱり分からないほど複雑怪奇な制度をコネクリ上げてしまったエライ人達は、今は何処でどんな生活をしているのでしょう?障害年金なども手厚く支給されるのだから、と甘い勧誘にも熱心な社会保険庁ですが、過労死・鬱病自殺を放置するようなお役所なのですから、余り信用しては行けませんなあ。「我々は年金保険加入者の皆様のために身を粉にして働いているんです」などとトボケたことだけは言わないようにしてほしいですなあ。本当に、学歴以外には何も無いのがお役人様の世界ですから、知識や才能が有る人は間違って役人になっても早々に止めて自由に稼ぐと決まっているので、そうは出来ない皆さんは、必死になって天下り先と関連下部組織とファミリー企業と……という鉄壁の「保険制度」を築き上げたのでしょうなあ。

■地方で、社会保険庁に就職できたとなれば、親御さんは大喜びした事でしょう。大事に育てて、自慢の息子さんだったのでしょうなあ。23歳と言えば、杉村太蔵議員よりも3つも若いのですぞ!老後の備えに欠かせないと宣伝している年金です。その窓口業務をしていたら年金受給年齢の3分の1しか生きないで、年金に殺されたようなものです。社会保険庁もその親玉の厚生労働省も、想像も出来ない歪(いびつ)な構造を抱え込んでいるのだと想像出来ます。

「このままでは、高齢者1人を2人の若者が支える事になるぞ!」
という脅し文句が愛用されましたが、この山梨の社会保険業務センター中央年金相談室という所では、一体何人の働かないエライ人を横森真二君1人で支えていたのでしょう?

国家賠償法に基づく賠償請求は時効が成立しているとして退けられた
というのも悔しい話です。お役人は法律の専門家でもありますから、「時効」にも詳しいでしょう。1997年から今まで、8年間も何をしていたのでしょう?露骨な引き伸ばし工作などがあったりしたら目も当てられない「共同謀議」です。

■御遺族の怒りと無念さを思いつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。合掌

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日本の周辺が慌しい

2005-09-29 07:31:48 | 外交・情勢(アジア)
■別に総選挙の結果を周辺諸国が待っていたというわけでも無いのでしょうが、日本の隣国が一斉に動き出しているようです。それも、日本を仲間はずれにしようとでもするかのように!
中国軍が27日、中国内モンゴル自治区にある北京軍区朱日和合同戦術訓練基地で、軍事演習「北剣2005」を開始した。新華社通信によると、ロシアなど周辺国のほか、米、英、仏、独など計24カ国の軍事オブザーバーと中国駐在武官計約40人が招かれたが、関係筋によると日本は招待されなかった。01年以降、外国に公開した軍事演習として5回目で招待国は過去最多。毎日新聞 2005年9月28日

日本としては、何事も話し合い(つまりお金)で決着を付けようと呑気に構えていますが、中国はこれから途方も無い開発資金とエネルギー資源を確保して置かないと、確実に大不況の引き金を引く役が回って来ますから、自国の自存自衛・独裁政党の生き残りのためなら喜んで武力に訴える構えです。

■オリンピックと万博までは、大人しくしているだろうなどと考えていたらエライことになるでしょうなあ。軍事演習に招かれている米国は、露骨に仮想敵国として牽制して置かねばならない相手ですし、英・仏・独は武器や原発(原爆ではありません)を売りつけたくてうずうずしている連中です。勿論、敵対と友好の両極端を揺れ動く隣国ロシアは、今のところは仲良くしておかねばならない相手です。でも、東シベリアの石油資源を日本に優先的に売ろうかなあ、などという素振りでも見せようものなら、旧満州に軍隊を集結して見せるくらいの事は簡単にしてしまうでしょう。うっかり、日本も慌てて日本海に海上自衛隊を展開、北海道に陸上自衛隊を移動、航空自衛隊機で偵察警戒活動に入ったりすると、「どさくに紛れて取り返しに来たな!」と、自分がやった事の仕返しを直感的に想像するのがロシアでしょうなあ。

ロシアのプーチン大統領は27日、テレビ会見で、北方領土問題について、日本側との交渉は継続するものの「ロシアの主権については議論の余地がない」との見解を示し、日本側が求める4島返還を拒絶する姿勢をあらためて示した。
 11月の訪日に向け、領土問題での根本的な譲歩の可能性を否定し、対日けん制と国内世論の懸念をぬぐい去ることを狙った発言とみられる。大統領は「4島の主権は国際法に基づくもので、第2次大戦の結果だ」と述べ、日本に対し連合国の一員として参戦した旧ソ連による北方領土の占領を正当化した。ロシア側が領土問題の解決策としている、1956年の日ソ共同宣言で規定した平和条約締結後の歯舞、色丹の2島返還については言及しなかった。共同通信 9月27日
■ご丁寧にも「国際法」などとスターリン伯父さんが大嫌いだった言葉まで出して、「第2次大戦の結果」とは言ってくれますなあ。返す返すも、戦前に三国軍事同盟などを結んで浮かれていたアホな大日本帝国が悔やまれます。日本は大東亜戦争をやっていたのに、ナチス・ドイツの同盟国になった瞬間に欧米諸国の餌食となったのでした。別に陸軍ばかりがヒトラーの電撃作戦に幻惑されて浮かれていたわけではなく、しっかり当時の外務省も熱に浮かされていたのを、今でも隠していますなあ。余程恥ずかしいのか、厚顔無恥なのか、どっちにしても反省だけはしていないようですなあ。そんな我らが悲しき外務省が用意した原稿を細田官房長官が読んだそうです。

細田官房長官は、北方4島は、「古来より日本人が居住する地域で、1945年8月に突然旧ソ連がわが国に宣戦布告し、4島の住民が追い出された」としたうえで、「こうした客観情勢からみて、当然4島帰属を引き続き強く(ロシア側に)主張する」と述べた。また、4島一括返還に、「一点の曇りもない」と強調した。……また、「先方は必ずしも(歴史的)経緯を理解しているか疑問もあるので、たえずそうした主張を繰り返し、理解を求める必要がある」と指摘した。(ロイター) - 9月28日

■一見すると勇ましいのですが、「歴史的経緯」を持ち出すのならば、「南樺太」に領事館を建てちゃった大失敗は、外務省の主張する歴史的経緯に照らして正しいのでしょうか?樺太の北半分は仕方がないにしても、南半分はなかなか観られない映画『氷雪の門』の舞台ですぞ!ソ連軍に追い出されたのは「南樺太」も同じだったのではないですかな?旧満州での狼藉はぐっと我慢して、我らの関東軍の責任を追求する方が先ですが、ソ連軍が随分失礼な事をしたのは間違いは無いのです。いくら負けた日本側が内緒で「どうぞ」と言ったとしても50万人も抑留者を拉致して行ってこき使ったのも、もしや、「第2次大戦の結果」だったのでしょうか?外務省はしっかり「歴史の経緯」を教えてやって欲しいものです。でも、日本で使われている歴史教科書に、ソ連のやり口をきちんと書いてありましたっけ?

■大国ロシアは、太平洋への出口として北方領土は「南クリル諸島」などと勝手な名前を付けてでも死守して置きたい場所ですが、柔らかいお腹と呼ばれる、中央アジアからカスピ海までのややこしい場所にも気を配らなければなりません。チェチェで好き放題に殺戮しても文句が出ないように、「米国だってアフガニスタンでやってるよ」という言い訳が欲しいばかりに、この柔らかいお腹に、お灸でも据えるように米軍の駐留を許しています。

ウズベキスタンを訪問しているフリード米国務次官補は27日、米中枢同時テロ以降、アフガニスタンへの軍事作戦のため米国が使用しているウズベク南部ハナバード基地について「ウズベク政府の要求に基づき、撤退するつもりだ」と述べた。ウズベクのカリモフ大統領との会談後、記者団に明らかにした。
 ウズベク東部で今年5月に起きた反政府暴動の武力鎮圧を米国が強く批判したことなどから、両国の関係が悪化。ウズベク政府は7月、180日以内の駐留軍撤退を米国に求めていた。アフガンへの軍事作戦のためのウズベク基地に代わる新たな拠点確保に向けた動きが今後活発化する。
 次官補は「ウズベク政府と撤退についてこれ以上協議するつもりはなく、要求期限内に撤退する方針だ」と述べた。……米国は2001年以降、ハナバード基地を使用。基地使用料はウズベク政府にとって貴重な収入源だが、反政府暴動をきっかけにウズベク政府は米国に対する態度を硬化させていた。中央アジアのタジキスタンやトルクメニスタンなどが代替基地の候補地に挙がっている。
 毎日新聞 2005年9月28日
■米国の軍隊がチンギス汗の遠征部隊のように、中央アジアの拠点をうろうろし始めますぞ!ビン・ラディンにおちょくられっぱなしのブッシュ大統領は、イラクとアフガニスタンで股割き状態です。股が痛いのに頭からハリケーンが襲って来たのですから、本気で神頼みしているのでしょうなあ。まさか御利益の無い神様を捨てて、御利益の有りそうなマホ……などという事は絶対に無い。衛星放送のニュースでもほとんど報道されない中央アジアの駐留米軍の実態はまったく分かりませんから、迂闊な判断は出来ないのですが、イラクよりも先に民主化されたはずのアフガニスタンが、ますます物騒になっているのを小泉さんは指摘しません。うっかり朝日新聞あたりが書き散らした「アフガニスタンの人は良い人ばかり」などというヨタ話を信じた学校の先生が犠牲になっても、「一体、アフガニスタンはどうなっているんだ?」の一言が聞けません。

■それでも健気(けなげ)に灼熱のインド洋で命懸けの給油サービスをしてくれているし、サマーワでも踏ん張ってくれている日本に、小さなプレゼントが届きました。

国連人権委員会の北朝鮮問題担当のウィティット特別報告官(タイ・チュラロンコン大教授)は27日、総会に報告書を提出、北朝鮮による日本人拉致事件について「生存している拉致被害者がいるという日本側の主張に、北朝鮮は迅速かつ、実効ある方法で対応する必要がある」と解決を促した。…「拉致事件は(北朝鮮当局が)被害者の居場所を隠したり、事実をあいまいにしようとする限り続く問題」と指摘、「拉致問題は解決済み」とする北朝鮮の主張を退けた。そのうえで、北朝鮮が横田めぐみさんのものと主張した遺骨がDNA鑑定の結果、別人のものと判明したことを挙げ、
(1)事件に関する説明や証拠の食い違いの真相公表
(2)拉致被害者の家族への補償
(3)拉致にかかわった人物を裁くこと-を要求している。(産経新聞) - 9月28日

■この小さな贈り物を小泉首相はどう使うのでしょう?にっこり御礼を言って、棚に飾っておくのでしょうか?この報告書には、リ・ウネ(田口八重子さん)への言及が無いようです。大韓航空機爆破テロの真相に直結する事案ですから、これが全ての鍵となっています。それを知っているので、外務省は一切、これに触れません。もたもたしていると、誰が決めたか知らない1兆円の経済援助を食い物にしようと待ち構えているゼネ・コンとそれに飼われている政治家がうごめき出して収拾が付かなくなりますぞ!鉄は熱いうちに打つにしくはなし。最近、田中均さんがテレビにちょくちょく出ているそうです。特に顔色が悪かったり、痩せ細ったような様子も無く、何故かとてもお元気とのことです。

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秋の味覚を楽しむ前に

2005-09-29 01:50:37 | 社会問題・事件
■秋の行楽食べ歩き、折り込み広告でも新聞紙面の広告でも、去年の紅葉写真など載せた旅行宣伝が始まっています。売れない芸人や下手クソな局アナが、あそこの何が上手いの不味いのと、誰が見ているのか分からないテレビ画面で大口開けて、リベートやらキック・バックの約束があるのか、単なるただ食いなのかは知りませんが、「これは旨い」を連発しています。うかうかすると、○○食べ放題!などという恐るべき団体旅行の募集まで目白押しですから、一緒に折り込まれている「夢のダイエット!一週間で○キロ減量!」などのウソ広告の存在を忘れてしまいますなあ。

■昔、司馬遼太郎さんが対談かエッセイで語っていました。

松茸などという物は、貧しい山村の楽しみで、町に住む人々とは無縁の食べ物でしたし、蟹(かに)も北陸や北国の珍味で、大阪や東京の料理屋で食べる物ではなかったんです。それを日本中で食べ始めたんですから、海も山も荒れますよ というような事を仰っていましたなあ。「一拍二日、温泉と松茸食べ放題の旅!」などの大文字を広告で目にしても、「蟹食べ放題!今お申し込みの方にはお土産付き」などと聞いても、特に舌も胃袋も反応しない者にとっては他人事なのですが、明治以来の鉄道と道路の整備事業や戦後の冷凍輸送技術の発達などを考えると、昔は高級品だったのに「どうして食べ放題でこんなに安いんだろう?」と漠然と疑問が湧いてきますなあ。

■蟹の食べ放題ツアーに参加した懺記録のような投書を何処かの雑誌で読んだ記憶が有ります。勿論、ほとんどの業者は良心的に商売をなさっているのでしょうが、その投書をした御婦人は、余りの安値に誘惑されて勇んで「食べ放題」に出掛けてみたところ、確かに見た目は蟹に違いないけれど、恐ろしく不味いぱさぱさの料理が山積みになっていて、とても腹いっぱい食べる気は起こらなかったとか。テーブルの上に山と残った蟹を見ながら、自分の欲深さといじましさを大いに反省したとの事でした。別のメディアでは、タラバガニと見分けが付かないアブラガニとか言う別種の蟹が大いに利用されているとの話も有りましたなあ。

■大挙して押し寄せる団体ツアー客に「食べ放題」の松茸や蟹が提供できるのは、輸入物を使っているからでしょう。松茸の名産地は北朝鮮であるのは有名で、「経済制裁をしろ!」と拉致被害者の家族会の皆さんが叫んでも、「時期を見て適切に判断する」小泉首相が何もしないので、松茸は続々と輸入されているのでしょう。日朝首脳会談の時にも、お土産に松茸の山を貰ったと報道されましたなあ。料理のプロや美食家などには、とても松茸とは呼べない代物だと分かるのだそうですが、本当に旨い松茸なんか知らない貧乏人には、永谷園のインスタント食品だって松茸の風味を充分に楽しめるのです。本人が満足して楽しんでいるのですから問題は無いのです。しかし、輸入相手国をよくよく考えて、自分の政治的な外交判断を加味して「松茸の食べ放題」に参加すべきかどうかは判断すべきでしょうなあ。

■そして、もう一つの秋と冬の珍味である蟹です。今更、小林多喜二の『蟹工船』でもないのですが、ロシアでもアラスカでも蟹漁の過酷さは昔と変らないそうです。昔のように、高級品として蟹缶に憧れていれば良いものを、「腹いっぱい蟹を食いたい!」という海と無縁の日本人が増えてしまったようです。この蟹は何処から来るのでしょうか?「北陸直送!」「根室名物!」というのは販売している場所の事です。何処から来て北陸や根室に「食べ放題」と言えるほどの蟹が集まっているのでしょう?最近は、アサリやウナギの本当の原産地を騒がなくなってしまいましたが、もう少しするとBSE騒動どころではない実態が暴露されるかも知れませんなあ。

■日本テレビが、恐ろしい話を報道しました。

北海道・根室市の納沙布岬沖で28日、根室市のサンマ漁船が転覆した事故で、28日昼過ぎに乗組員8人のうち1人が救出されたが、これまでに5人が死亡、2人が行方不明となっている。この船は、ほかの船に当て逃げされた可能性が高くなっている。転覆していたのは、根室市落石漁協所属のサンマ漁船「第3新生丸」。28日午前5時50分過ぎ、根室氏納沙布沖の南東約42キロの海上で船底を上に向けて漂流している「新生丸」を仲間の船が見つけた。
 「新生丸」には、乗組員8人が乗っていたが、これまでに船内から1人が救出されたものの、船の中から5人の遺体が見つかり、2人が行方不明となっている。救出された甲板員・藤里要さん(53)は、体温は低下しているものの命に別条はないという。
 海上保安庁によると、転覆した漁船の前の部分右側に衝突した跡とみられる長さ1メートルの亀裂が見つかったという。現場付近の海域はロシアの領海と接し、行き交う船も多い海上交通の要所だったという。海上保安部では、漁船がほかの船に当て逃げされた可能性が高いとみて調べている。
 
これは夕方のニュースのようですが、夜のニュースでは特集を組んで、ロシアから蟹を運んで来る船にぶつけられて無念の死を遂げた漁師さんの話が告発されていました。それは当て逃げではなく、犯人の船がきちんと特定されて、法的処置に訴えたという事件でした。相手はロシアの船で積荷は日本向けの蟹の山、だいたい、ロシア料理には蟹料理など無いでしょう?黒パンにジューシーな蟹は合いませんなあ。

■ところが、この船が「海賊船」か「幽霊船」のような代物で、船主も船会社も不明なら、荷主の運送会社はペーパー会社で、保険は油濁事件にしか対応しない相当に怪しげな物にしか加入していない。だから訴訟が宙に浮いて泣き寝入りです。今でも、素人が見ても「これでよく浮かんでいるものだ!」と感心するようなボロ船に蟹を満載してロシアから船が続々と来ているそうです。これなら蟹の大安売りも何とか可能ですなあ。

■意地が悪いようですが、庶民向けの「食べ放題」に参加する時には、箸を採る前に、松茸なら将軍様の御長寿を願い、蟹だったらロシアのボロ船の無事を祈ってたから食べましょう。心に少しでも余裕が有ったら、北の海で当て逃げされて無念に沈んで行った日本の漁師さん達の事も悼んで上げましょう。松茸は知りませんが、蟹はロシアでもトンデもない乱獲が進行中で、後数年で上物は取りつくしてしまうそうですから、腹いっぱい蟹を食べたい人は、今の内にコレステロールをたっぷりと貯め込むつもりで頑張って食いだめした方が良いようです。ロシアの海がどんなに荒れようと、海産資源が枯渇しようと、国家としては何も対応できないのだそうです。何故かと言えば、そこはマフィアの海だからです。食欲が湧きましたか?

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宴の後始末はきっちりと願います

2005-09-28 12:03:18 | 社会問題・事件
■地方自治体の公共事業なのか、本当に環境問題に新たな提言をする世界的な催し物なのか、計画段階から生臭い話が出たり入ったり、国際機関からも文句を付けられたりの難産だった博覧会が、尻上がりに入場者数を増やして目出度い目出度いと閉幕しましたが、期間中はマスコミ各社が何処かから圧力でもあったのか、協賛している関係からなのかは分かりませんが、毎日取って付けた様なニュースを流して集客に全面的に協力していた節が有りました。しかし、この大イベントを利用して計画されていた首脳級会談は実現せず、中国にはドタキャンというアザトいパフォーマンスまで仕掛けられ、外交的にはとても合格点は取れなかった事を決して忘れてはいけません。

■大阪や名古屋から多くの外国人がやって来るというので、成田に比べて手薄な入国管理体制が心配されていたものですが、取り立てて大きな事件は報道されていませんでした。急遽、人員配置などを工夫してややこしい外国人が入って来ないように努力した成果なのか、と少しばかり安心していましたが、

25日に閉幕した愛知万博(愛・地球博)の期間中にイベント出演などで入国した外国人のうち8カ国の男女計33人が失踪(しっそう)し、一部は不法滞在の状態になっていることが27日、愛知県警の調べで分かった。県警は、失踪者が国内で不法就労している疑いもあるとみて行方を捜している。
 調べでは、失踪者の国籍はインドネシア、インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ナイジェリア、セネガル、カメルーンの8カ国。最多はインドネシアの20人で、9月1日にイベントのためダンサーとして入国。イベント後に連絡が取れなくなり、帰国予定だった今月中旬にも、ほかのスタッフとの待ち合わせ場所の中部国際空港に現れなかった。(共同通信) - 9月27日
■お馴染みのフィリピンと中国の名前が出ていませんが、これは一斉摘発と資格審査の厳格化の影響でしょうか?それとも、観光客として入国して失踪した人数は予想通りの多数に上っていて、間も無く発表するために集計中という事でしょうか?沢山の入場者は有り難く歓迎すべきなのでしょうが、貧しい国から大金払ってせっかく日本にやって来たというのに、「手ぶら」で帰るわけには行かないという人も沢山紛れ込んでいたでしょうなあ。それを承知で、このお祭りを強行したのですから、愛知県はせいぜい責任を感じて警察や入国管理局の皆さんに協力しなければなりませんぞ。

■しかし、心配なのは多くの海外からのお客さん達が持ち込んだ外国通貨です。中国では、元の切り上げを見込んで偽札が大量に作られているらしい、との噂が流れていましたし、その数の膨大な事に怒った北京政府は摘発に躍起になっているとか……。そこに降って湧いたような愛知万博で、中国のお客さんもウェルカム!という大キャンペーンをやったそうですから、この機を逃さず、ちょっとダブついた偽の人民元札を大量に持ち込んで、本物の円紙幣と交換してしまおうという悪い奴らが考えているという嫌な話です。経済効果の試算も出ているようですが、大阪や名古屋の外為銀行の金庫を調べてみたら、偽札がごっそり出て来たというのでは、世界の物笑いですぞ!

■持ち出し制限が厳しかったので、人民元の本物を知っている日本人が少ないとか、最近の偽札は判別機械を通り抜ける精巧な作りになっているとか、どこかでちゃんとチェックしているのでしょうな?国を挙げて偽札造りをしていると言われる北朝鮮からは、幸か不幸かお客さんが大挙してやって来るわけも無いので安心なのですが、中朝国境で偽札同士の交換をして偽1万円札を大量に仕込んだ悪い奴が博覧会の客を装って来日していれば、偽の1万円札で小さな買い物をして本物の9千円を手に入れる事も考えられます。何でも、北朝鮮では国内で作られた偽の1万円札が外貨ショップに入ってしまって困っているという話ですし、国家事業で作った偽札は実に見事な出来栄えらしいのですが、個人がコンピュータで作った粗悪品が大量に出回って経済の混乱が更にひどくなっているとか。とても、通常の密貿易には使えない代物が大量に有れば、間抜けな日本人を騙してやろうと、タダ同然の値段で買い叩いて持ち込むぐらいの事は朝飯前でしょうなあ。

■居なくなった外国人も問題ですが、押し付けられた偽札と持ち去られた本物の日本円の問題は更に大きな問題になるでしょう。偽札はつかまされた銀行の損害となると聞いていますから、支店の一つや二つが潰れるほどの偽札被害が出ないとも限りません。どうか、ご用心、ご用心、と言っても、既に後の祭りかも知れませんなあ。
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公務員の裏金は底なしです

2005-09-28 07:23:55 | 社会問題・事件
■バブルが吹き飛んで戦後の動乱期から、汗水たらしてせっせと稼いで貯め込んだ1000兆円以上の資産が吹き飛んで、「失われた10年」が過ぎて新世紀になってみれば、全国にはシャッター商店街と行き場の無い若者が溢れておりました。勝ち組と負け組みなどと便利で非情な言葉で選り分けられて、負け組みは受信料無料の民放番組で、金持ち達の姿を拝んでは心の慰めとしている昨今のようです。選挙が終わってから、計ったように毎日毎日、不愉快な数字が発表され続けています。続けて固め打ちすれば、頭の悪い国民は、いちいち覚えていないし、飽きっぽいから一度ぐらい怒られたら、後はしらばっくれていれば大丈夫と誰かさんが考えたのでしょうか?

■「失われた10年」が過ぎた年、1999年から2003年の間に、またまた厚生労働省の下部組織が我が世の春を楽しんでいたそうです。

厚生労働省の広島、兵庫労働局で昨年、相次いで発覚した不正経理が、東京、北海道、青森、京都など6つの労働局でも行われていたことが27日、会計検査院の調べで明らかになった。不正の総額は7000万円を超えると見られている。特に、東京、北海道の2労働局では、職員らが計1000万円以上の公金を私的流用していた疑いも浮かんでおり、今後、刑事事件に発展する可能性もある。
 検査院は、広島、兵庫労働局の事件を受け、昨年11月から来年春までの予定で、全国の都道府県にある47労働局すべてについて、1999~2003年度の経理状況を検査している。今回まとまったのは、今年8月までに調べた25労働局分で、広島などで発覚したカラ出張、カラ雇用、物品の架空購入による裏金づくりなどの不正経理がないかどうか、調査した。その結果、東京局では、実際には買っていない消耗品などを購入したかのように装って架空の伝票を作成、取引先の事務用品販売業者側に前渡し金の形で公費をプール。それを元手に、パソコンなど比較的高価な別の物品を計約1000万円分納入させていたことが判明した。
 しかし、関係者によると、こうしたパソコンなどは局内には存在していなかった。職員らが転売した可能性があり、その場合は、公金が私的流用されたことになる。ただ、同局会計課幹部は27日、読売新聞の取材に対し、「経理は適正で、不正は一切ないと考えている」と話した。

 また、北海道局では、下部組織である札幌公共職業安定所(ハローワーク札幌)の職員が、日本銀行から公金を引き出すための「国庫金振込請求書」を差し替え、百数十万円を自分の口座に振り込ませていた疑いのあることがわかった。この職員は今年8月、職場の金庫から現金を盗み出した別の容疑で、既に北海道警に逮捕されている。
 一方、青森局では、実際には雇っていないアルバイトを雇ったことにしたカラ雇用などで約3100万円、京都局では、主にカラ出張でねん出した旅費で約2800万円の裏金をつくっていたことが確認された。裏金は、懇親会などの飲食代に充てられていたとみられる。残る2つの労働局でも、それぞれ数十万円程度の裏金が見つかった。不正な会計処理は、主に99、00年度に行われていたという。
(読売新聞) - 9月28日

■中小企業の経営者の皆さんが、銀行の「貸し剥がし」に悔し涙を流しながら耐えていた時に、お役人さまは随分と楽しく公金を使いまくっていたのですなあ。「遅れず、休まず、働かず」でも、しっかりがっちり裏金作り!辞められませんな、役人は!これでも税収が足りないの、負担増を覚悟しろだのと、めちゃくちゃですなあ。「足りないはずだよ、日本の税収、あっちこっちで抜かれてる」御粗末。

■何度かちゃかしてしまった大阪市は、本当に笑っていられないドツボの状態なのでしょうか?次々と経費削減の道を必死で探し回っているようです。でも、あちこちで無駄が見つかる度に、今まで、一体何をやっておったんじゃい?と言いたくなるような話ばかりが出て来ますなあ。

財団法人や第3セクターなど、大阪市とかかわりの深い「監理団体」について、今年4月に設置された「大阪市監理団体評価委員会」(委員長・畑下辰典公認会計士)は27日午前、現在ある66団体のうち、平成19年度までに22団体を解散・統合などで削減し、16年度は934四億円に達した市の委託料支出を約280億円以上削減するよう努力すべきだ-などとする提言をまとめ、関淳一市長に提出した。
 市民などからの批判が強かった外郭団体や第三セクターの改革に“大なた”を振るう内容になっており、市も提言に沿って改革を進める方針。
 提言は、監理団体のうち、特に経営状況が悪かったり、市からの受託事業を主としている団体を含めた財団法人五団体と株式会社2団体の計7団体を解散し、業務内容が似たものなど13団体を6団体に統合。さらに8団体については市の出資率を減らしたり、株式を売却することで監理団体でなくなるようにすることを要請している。
 解散が妥当とされた団体は、月刊誌「大阪人」などを発行している「大阪都市協会」▽大阪五輪が実現していれば会場となるはずだった舞洲(大阪市此花区)のスポーツ施設などを管理している「大阪港スポーツアイランド」▽大阪万博の宿泊対策の一環として設立された「大阪キャッスルホテル」(同市中央区、運営会社)-など。スポーツアイランドやキャッスルホテルは経営悪化が問題となっており、施設自体は民間に譲渡される。…一部事業を民間委託することで69億円、再委託事業を市からの直接発注にすることや随意契約を競争入札に変えることなどで55億円-など大幅な委託料削減が見込めることが判明した。
 これらに加え、徹底的な事業コスト削減に取り組むことで、19年度までに224億円の支出を削減できると算出。すでに今年度に見直しを実施している53億円などと併せて、最終的には市が先にまとめた「監理団体改革基本方針」で打ち出された「16年度比で20%の支出削減」を大きく上回る約280億円(30%)削減に取り組むべきだと結論付けた。(産経新聞) - 9月27日 ■280億円の無駄使い!会計士さんが帳簿を調べただけで、これだけ節約できるというのは、大阪市の皆さんは、喜んでよいやら、改めて腹を立てなくちゃいけないのか、困っておられるでしょうなあ。こんなに大きな無駄遣いなら、あちこちで裏金に抜き取られていても全然分からないのではないでしょうか?水増し予算とキックバックなどという初歩的な遣り口で、何処かにしっかり積み立てていたりしないのでしょうか?大阪五輪とか大阪万博とか、イベント自体が黒字だの赤字だのと大騒ぎしている裏では、余計な付属物をべたべたとくっ付けて天下り先にしているのなら、簡単に決算報告など出しては行けませんね。
 
■誰にとって必要な公共サービスなのか、これが一番の問題です。年金の積立金だって、このまま支払わない人がどんどん増えて、最初に困るのはあちこちに流用しているお役人なのではないか?と考えてしまいますが、年金福祉事業費とか何とか言う美しい名前の「取り置き金」が確保されているのでした。法律が変らない限り、お役人達は、その莫大な基金をぱくぱく、ぺろぺろと一生楽しみ続けられるのだそうですなあ。選挙では一切、論点にならなかった年金制度の改革でしたが、郵政省から流れ出る財政投融資と同じような流れが、年金積立金の裏側にも出来ている事を小泉さんは知っているくせに、知らん振りしているのです。厚生大臣をやった人ですからなあ。「郵政省の次は、社会保険庁だ」の一言が欲しかったのに、とうとう言いませんでしたなあ。
 
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躍る阿呆に見る阿呆

2005-09-28 01:20:32 | マスメディア
■選挙をお祭り騒ぎに仕立て上げて、朝から晩までパッと見の面白さを映像で切り取ってビデオ・テープが擦り切れるほど繰り返して使ったテレビ・メディアは、まだ搾れば搾れると思っているのか「その後」をしつこく追い回してるようですなあ。憲法改正だの、郵政民営化が本当に実施されたら必ず起こる数々の大問題だの、選挙の後始末には欠かせないテーマは全部放り出して、始めから「小泉万歳」しか言うはずのない新人議員を追い回してそうです。一番の広いものだった太蔵君が、躍ってくれたのに感謝もしないマスコミは酷いですなあ。それで、躍らなくなった事を正義の味方面して今度は責めています。扱い方があべこべでしょう?

■太蔵が当選した瞬間から、「比例制度」の廃止か改善を言い立てなければならない立場の報道人が、「こりゃあ、面白い」と面白がっている場合でない時に、面白がっては行けない人を引っ張り出して面白がったのですから、その報道姿勢こそ一番面白い見世物です。それが視聴率に跳ね返ると、軽蔑された冷笑に満ちた視線にはまったく気付かず、視聴者が喜んでいる!と更に「取材」に力が入っているようですなあ。この「取材」という言葉も変な物で、何かを作るための材料を取りに行くことのはずなのですが、実際には、何を作るのかがまったく決まっていないのに、面白そうな物を探してうろついているだけのように思えます。最初からどんな放送番組を作るのかが決まっていないのですから、何でも有りの幕の内弁当か寿司とケーキとビーフシチューが並んでいるバイキング会場のような困った物が出来上がります。余程、胃袋が丈夫か、味覚が麻痺していないと付き合いきれない代物です。まあ、頭がぶっ壊れないように、半分無視しながら視聴して自己防衛を図ってしている人が多いのでしょうなあ。

■さて、その太蔵が何やら自民党の新人研修会の成果を発表する独演会を開くと言うので、政治記者ではない連中が大挙して押しかけたそうです。その段階で報道すべき事を報道しないテレビ局の姿勢が露出しているのですが、「もっと躍れ!躍らないと承知せんぞ!」と代議士先生を脅迫していたようです。

「料亭に早く行ってみたい」に始まる数々の“放言”で物議をかもした自民党の新人衆院議員、杉村太蔵氏(26)が27日、「反省の気持ちを示すため」党本部で記者会見した。「国会議員としての自覚が足りないまま幼稚で無責任な発言を繰り返し、心からおわび申し上げます」と神妙な態度で受け答えして、集まったワイドショーのレポーターらを驚かせた。
 新入社員のような濃紺のスーツ姿で、世耕弘成・党広報本部長代理に付き添われて姿を見せた杉村氏は「品位のある言動を心がけ、政策を死ぬ気で勉強します」と充血した目を時おり用意した紙に走らせた。借りてきた猫のような態度に「ありのままの姿でない」と厳しい質問が飛んだ。しばらく絶句した杉村氏は「私は幅広い人間です」
 連休中に本を読み、自分を見つめ直したという杉村氏。しかし、読んだ本は「1冊」で、書名は「プライベートなこと」と明かさなかった。「しかられた生徒のようでかわいそうですね」と質問されると、「全然かわいそうではありません」ときっぱり。
 記者会見は約35分。レポーターやカメラマンら100人以上がごった返す横を通りかかった河野太郎衆院議員は思わず苦笑した。「党三役が出てきても、こんなに報道陣は集まらないな」

 杉村太蔵議員は初当選以来、テレビのワイドショー番組や週刊誌の取材などに対し、「料亭に行きたい」「グリーン車乗り放題」「国会議員の給料は2500万円」「議員宿舎は3LDKで楽しみ」などと発言していた。初登院では平の会社員から転身した自身を「ヒラリーマン」と表現し「ヒラリーマン根性が抜けなくて……。ヒラリーマンが議員になってどう感じたか、皆さんに伝えたい」と話した。会見は、こうした発言に業を煮やした党本部が、立候補者選定への批判を恐れて、監視のもとで「反省の弁」を語らせようとしたものだった。世耕弘成・党広報本部長代理は、今後は杉村氏へ直接取材をしないよう報道陣に要望した。毎日新聞 2005年9月27日
■拳銃の発砲事件やら、大麻事件が起こっている時に、100人以上も集まって何を「取材」しようと言うのでしょう?「以前は面白かったのに、今度は面白くなくなった」と文句を言いながら放送しようと言うのなら、こんな人材が紛れ込んで来る現行の比例制度を容認している事にもなりますし、こんな人材を名簿に載せた武部幹事長に丁重なるお礼を言わなければならなくなります。アホを議員にしてしまった責任を感じて、真面目な武部さんが血相を変えて無理を承知で「人格改造」に努力したのですから、太蔵君が面白くなくなったのは武部さんの功績です。ちゃんと評価して上げて欲しいっところです。

■しかし、こんな兄ちゃんを議員にしたのは、「貴方が入れた自民党と書いた一票です」と正確に報道した上で、「選挙の候補者を何だと思っているんだ!アホの口を塞ぐ仕事が終わったら、武部幹事長を筆頭に選挙活動の責任者は全員辞任しろ!」とも報道しなければなりませんぞ。それにしても、最初に太蔵君を見つけたマスコミ人は力不足でした。もっと焚き付ければ、凄まじい言質を取れたのに、非常に残念です。「派閥に入りたい」と言ってたのですから、派閥に入ってどんな得が有ると思うかをしつこく問うべきでしたし、次の選挙に向けてどんな手を打つのかと問い詰めて、ダークな手法をべらべらと喋らせる手も有りました。談合に介入してキック・バックを掠め取る方法やら、選挙区の業者をしこたま呼び寄せて、せっせと注文を聞いては口利きに精を出して、献金を掻き集める方法だの、料亭ばかりでなく接待を受けたい場所のリストを作らせるとか、いろいろ聞くべき事は有ったでしょうに!

■それにしましても、三日間も缶詰になって、読んだ本が一冊というのはどういうわけでしょう?分厚い外国語の本でも読んでいたんでしょうか?それとも合本になっているトルストイの『戦争と平和』でも読んでいたのか?まさか一冊になっている『大菩薩峠』なんていう珍品をあてがわれたのでしょうか?まさか、就職活動の時期に学生達が慌てて読む『社会常識とマナー集』のような挿絵が満載の大きな活字に少ない紙数のハウ・ツウ物ではないでしょうな?!しつこく取材して、何の本を読んだのか、しっかり「取材」して欲しいですなあ。

■本当に滑稽で面白いのは、太蔵君自身ではなくて、こんな議員を抱え込んだ自民党の方で、その大将が郵政民営化の他には本当に何も考えていないという事を知って、今更ながら自民党を応援した事を後悔し始めている有権者が一番面白いのでしょうなあ。

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一罰百戒の時代は終わった

2005-09-27 11:11:26 | 社会問題・事件
■若者に人気がある芸能人などが、時々麻薬所持で逮捕されて、一時は大騒ぎになる事が有りますが、決して根絶やしにならないのは誰もが知っている事です。東京では上野・新宿・六本木と地名を並べれば、そこが薬物の名所である事は誰もが知っているという不思議な時代になりました。国際的な視点からも、食糧も無い上に輸出する品物も無いはずの隣の国が、崩壊しない理由は日本からの献金に加えて、武器と麻薬の密輸だという事も、既に国家としての態を成していないアフガニスタンが昔と同じ麻薬の産地に戻っている事も衆知の事実です。欧州と米国で荒稼ぎしていた時代は終わって、日本が有望な市場となってから随分と年月が過ぎましたなあ。

■「不審船」などという遠慮した呼び名を付けて、警備や捜査に携わる人達がさんざん翻弄され続けている間にも、「瀬取り」などという新しい密輸方法が素人にも知られるような状態が続いています。以前にも『極東麻薬戦争』という記事を書きましたが、清朝末期のアヘン禍に匹敵する国家的な危機を迎えつつあるとしか思えない日本は、麻薬問題を社会の裏側に封じ込めていられた時代の終わりを自覚しなければならないでしょうなあ。民主党の馬鹿野郎議員がお友達と一緒に逮捕されてから、少しは風向きが変ったのか、続々と麻薬事件が報道され始めました。ベトナムから来ていた人が、自宅アパートを大麻栽培地にしていたなどという事件も報道されました。


警視庁高井戸署は、東京都三鷹市下連雀3、慶応大医学部大学院生、深沢宙丸(おきまる)(25)▽長野県松本市南、会社員、原智(28)の両容疑者を大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。
 調べでは、深沢、原容疑者は24日午後10時ごろ、世田谷区大原2の国道20号に止めた乗用車の中で、それぞれ大麻11.3グラム、1.6グラムを所持していた疑い。いずれも容疑を認めている。
 道路中央に車を止めて寝ていたところを通行人が110番し、駆け付けた署員が職務質問し発覚した。深沢容疑者は「上野でイラン人から買った。友達から勧められて2年前からやっていた」と供述している。両容疑者は小学生のころからの友人だった。
 毎日新聞 2005年9月26日

■何万票も取る代議士先生が薬物を楽しんでいるのですから、有名大学の医学生が大麻で酔っ払っていても、余り驚かなくなっているのが日本です。大麻が米国に大量に入り込んだのは、ヴェトナム戦争後期からだったことを思い出していたら、日本の自衛隊では既に商売人まで出現していました。


海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)の隊員らによる大麻事件で、既に逮捕・起訴されている隊員らがインターネットなどを使い、民間人や元自衛官らに複数のルートで大麻を販売していた可能性のあることが分かった。また、新たに隊員2人が大麻取締法違反の罪で起訴されていたことも判明。同基地関連の逮捕者は6人に上る。新たに起訴されたのは、ともに海士長で▽潜水艦「わかしお」乗組員、成田達也(22)▽同「うずしお」乗組員、坂口貴弘(22)の両被告。
 坂口被告は「携帯電話を使い、大麻を売ったことがある」と供述しており、送付に使われた伝票も押収されているという。最初に摘発された市村宣人2等海曹(34)、前田大海士長(29)=同罪で既に起訴=が、それぞれ携帯電話のメールを利用して販売した疑いや、自ら栽培した大麻草を元自衛官らに譲り渡していた疑いも浮上。県警は民間人へのルートも視野に捜査を進めている。起訴状などによると、成田被告は先月23日、横須賀市内のアパートで大麻草約31グラムを所持していた。坂口被告は北海道に住む実弟に原野に自生する大麻草を送らせていたとみられる。毎日新聞 2005年9月26日


戦闘が始まると、野戦病院では応急処置として負傷兵にモルヒネなどの鎮痛剤を多用するのは有名な話で、生還した後も中毒症状に苦しむ人の話も良く知られています。今の自衛隊は戦時体制ではないのですから、今回発覚した麻薬事件は単なる愚かな暇潰しと小遣い稼ぎなのでしょうが、最初はイタズラ半分に使用して、だんだん中毒症状が進んで行って購入費を手当てするために売人になる。売人が中卸になって商売の子や孫を増やして行く。そこに代議士でも自衛官でもどんどん引き込まれているという訳です。

■北海道から直送とは恐れ入りますが、自衛官という特殊な情報に近付ける人達が、人格を崩壊させる薬物に汚染されるのは余りにも危険な事です。高価な麻薬と軍事情報が交換され始めたら、自衛隊は組織として自壊してしまいますからなあ。イラン人あたりから買っている内はまだ安全かも知れませんが、北朝鮮ルートに自衛隊員が入っているなんて事は無いんでしょうなあ!?

■余り新聞などでは取り上げませんが、ストレス過剰で神経科や精神科を受診する人々が増えると、中にはヤブ医者がいて、無闇と習慣性の強い薬剤を処方して与えるという話が有ります。仮に治療の甲斐が有って快癒してからも、薬物依存が治らずに麻薬犯罪に巻き込まれる場合が増えている、という話も有ります。つまり、暇を持て余して大麻を吹かしていても、毎日忙しく働いて神経を磨り減らしていても、どちら側でも麻薬の商売人が待ち構えているという事になりますなあ。

■黄金の三角地帯と呼ばれたタイ・ビルマ・ラオスの山岳地帯で、大麻や芥子の畑を蕎麦畑に変えるというすばらしいプロジェクトが有ったのですが、どうやら不調に終わったようです。貧困が麻薬生産に拍車を掛けて、犯罪組織が巨大化して行くという構図は、とても1つや2つの国では対処出来ない大規模犯罪を産み出していますから、早急に国際的な対抗組織を作らねばならないのですが、北朝鮮に通常の「経済制裁」さえも実施出来ない日本ですから、名指しして薬物産業を叩き潰す事は、まず不可能でしょう。そうなると、警察と協力して地方自治体やら学校やらが、形振り構わない対抗手段を採って行くしかなくなりますし、テレビ局なども、適当に「ほとぼりが冷めたら」麻薬犯罪者を再び出演させて知らん振りしているような事は止めて、世論に訴えるような番組も作って貰うしか無いでしょう。

■自動車を運転していて、対向車や後続車のハンドルを握っているのが麻薬中毒者で、末期症状に入っている人だったら、或いは、街中を歩いていて擦れ違う人や後ろから付いて来る人が、突然、麻薬の禁断症状に襲われたりしたら……煙草を撲滅して健康な生活をしましょうと大金を使うのも良いでしょうが、直接命に関わる危険が増している薬物問題の方に力を入れるべきではないでしょうか?1人や2人の見せしめ逮捕では、とても効果は上がりそうもない時代になった事だけは確かでしょうなあ。

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NHKは永久に変らない

2005-09-27 10:13:28 | マスメディア
■法律に訴えてでも受信料を掻き集めないとエライことになる、と慌てているNHKは「変る」「変る」と電波を使って宣伝しています。お尻に火が点いて、人員整理もしなければならないし、最終的には番組の制作費も削らなければならなくなるでしょう。受信料の支払い拒否運動が起こったのは、日本中から集めた一種の税金のような受信料を、フザケた使い方をしている者がいる事がバレたからでした。報道されるたびにトロフィーを抱いてわが世の春を味わっている呑気な顔が映し出されまして、視聴者の怒りの火に油を注いでしまった訳です。

■「天皇陛下を死刑に処す!」という判決を出して盛り上がったという面白い?擬似裁判番組を放送して、本当はNHK自身が天皇の戦争責任を主張しているのか?そして、その罪は死刑に値するものと考えているのか?という重大な問題には一切触れずに、朝日新聞がしゃしゃり出て来て、「政治家の圧力」が有ったか無かったか、などという馬鹿馬鹿しい水掛け論が全面に出てしまったのでした。国会に予算を承認して貰わなければならないNHKですから、電波の利権を握っている有力議員の顔色を窺(うかが)わねばならないのは当然の事でしょうに、それを憶測と無断録音取材で書き立てた朝日新聞はNHKに付き合って、国民から総スカンを食っているという構図です。

■問題がどんどん方向違いの方向に移って行きながら、質も内容もどんどん変わって膨らんでしまったので、議論の中身は薄くなってしまいましたなあ。受信料支払いを拒否している人達の数ばかりが増えて行きましたが、どんな理由で拒否しているのかを調査するのでもなく、数の多さばかりが面白おかしく報道され、叩かれているNHKの側では、数字を減らす目先の対応に追われているだけです。会長ともなれば政治家とお友達付き合いをするそうですから、つい偉そうに振舞っていまうのでしょうなあ。今の会長さんは技術畑を専門に歩んだ方だそうですが、それでも会長として画面に出れば出るほど反感を買ってしまうようです。放送法で守られた特殊な地位を保証されているのですから無理も無いのですが…


NHKの番組制作費詐欺事件で、元チーフプロデューサーの磯野克巳被告(48)は26日、東京地裁(村瀬均裁判長)の公判で、約25年前に自身がNHKに入局した当時から、制作費などの不正流用が局内で行われていたと述べた。
 被告人質問で磯野被告は、高額な接待や番組の打ち上げ飲食費などに充てるため、正規の経費とは別に、事件に問われた番組制作費の水増しなどで「プール金」を慣習的に作っていたと供述。「私が入局した時から、そういう姿を見てまいりました。プール金を持たないと仕事が進みませんでした。月に150万円ぐらいは必要だと思う」と述べた。【武本光政】
 ▽NHK広報局の話 プール金の事実はない。磯野被告は個人的に不正経理で入手し、私的に使ったものと認識している。
(毎日新聞) - 9月26日

■何が何でも、愚か者が1人紛れ込んでいたんだ!という主張を押し通さないと大変な事になるのでしょうなあ。でもこうして両者の主張が並んでいると、どう考えても悪い事をした磯野さんが言っている事の方にリアリティが有るように思えて仕方が有りません。組織の中で親方になるには、自分の思い通りになるグループが必要でしょうし、受信料しか収入が無いNHKですから、飲み食いやらちょっとしたお小遣いを渡すにしても、受信料から抜き取るしかお金の工面は付けられないわけですなあ。「プール金」という呼び名も、なかなか伝統を感じさせる響きが有ります。視聴率を上げる為には、世間が喜ぶ歌手や役者を確保しなければならず、人気というものはとても気まぐれで、無責任に揺れ動くものですから、「売れっ子」となればメディア間の争奪戦が激しくなって、よってたかって磨り減るまで使うので、人気者が次々と病院送りになるのも仕方がないと思われるほどです。他のメディアに負けないで、人気者を引っ張って来るには、立場の強いプロダクションやコネを持っている人物に近付かねばならない事情も有って、役所の「食料費」などという訳の分からない必要経費とよく似た金銭が動き回る事にもなるのでしょうなあ。

■民放に負けない面白い番組を作れ!と会長さんが命令すれば、現場の人達は民放に負けない手段で動かねばならないのは当たり前なのですから、そんな無茶な命令を出した当時の会長さんが出て来なければ、何も明らかにはならないでしょう。しかし、未だに隠然たる力を持っていると噂される方ですから、組織を挙げて防衛に必死なのでしょう。この仕組みが壊れない限り、この受信料不払い運動は終わらないはずです。しかし、メディアは国民の飽きっぽさを熟知しているので、不払い運動も間も無く飽きられて、発端となった事件も忘却の闇の中に捨てられると踏んでいるでしょう。「会長出て来い!」「磯野に喋らせろ!」の声を上げ続けていられる内は、視聴者側が強いでしょうが、それに飽きたら、磯野さん1人が処分されて万事丸く収まって、名目を変えた「プール金」が相変わらず闇から闇に流れ続けるでしょうなあ。

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中東大戦は始まっている?

2005-09-26 19:58:33 | 外交・世界情勢全般
■イラクを崩壊させて「中東のパンドラの箱」の蓋(ふた)を開けた米国は、2つの巨大ハリケーンに沈み、これが米国民を正気に戻したのは不幸中の幸いだったかも知れません。台風一過の晴天が訪れても、米国は明るい希望に向って立ち上がれるかどうか、非常に心配な状態です。さっさと片付くはずのイラク復興計画が完全に頓挫して、日本の新聞紙上でも「自爆テロ」の扱いは、日常生活の一齣(こま)のような小さな扱いです。その内、「今日はイラクで爆発が無い」ことが大ニュースになるかも知れませんなあ。

■イラクと北朝鮮は、財布と鉄砲を一つずつしか持っていない米国にとっては、切り離して扱えない問題です。勿論、財布の中身を見て、足りない分は日本に押し付けて来るのは明らかです。それが沖縄の米軍基地の移転問題ともリンクしているのですから、10年間ももたもたやっていた日本政府は最悪の選択をしてしまった事になるでしょう。北朝鮮と弱気を隠さないような妥協をして見せた米国は、東アジアで中国に大きなアドバンテージを与えた事になります。ロシアも、煮え切らない日本とは距離を取って中国にすり寄っていますから、中国は「朝貢外交」が復活する期待に胸を膨らませているでしょうなあ。このまま北京オリンピックに雪崩れ込めば、世界の主要国は、何が何でも大会を成功させようと最大限の協力をするでしょう。

■今となっては何もかもが手遅れだ!と言ってしまうわけに行かないのが国際問題であり、外交政策というものでしょう。すべての問題の中心にイラクが在ります。中東に一つの形を与えていたジグソー・パズルの大きなワン・ピースを抜き取ったのですから、あっちもこっちもぼろぼろとピースが崩れ落ち続けているのです。米ソ両国に欧州諸国を加えて自在に操ったイラクが、石油でもパレスチナ問題でも、常に中東の第一走者でした。それが消えれば、シリアとイランが第一勝者になろうと飛び出してくるのは最初から分かっていたでしょうに!既に、サウジアラビアは米国の子分を辞めている節が有るので、いよいよ米国は昔からの馴染みに頼らねばなりません。戦闘終了直後の勢いはすっかり無くなってしまいましたなあ。復興政策が躓(つまづ)いた時から、駐留米軍の犠牲者が1000人に達すれば、自国内で反戦運動が始まるだろう、と予想されていたのですが、よく1900人まで米国は耐えました。本当に米国は十字軍カルトに覆われたのか?と思っていたら、ヴェトナム戦争後期を彷彿とさせる光景がワシントンに現れましたなあ。反戦デモです。

■日本が訳の分からない総選挙のお祭り騒ぎが終わり、失敗が懸念されていた愛知の博覧会が、値引きと弁当持込許可で何とか予定入場者数を越えて終了した日に、中東はそれに合わせた訳ではないでしょうが、俄かに動き出しました。

首都ベイルート北方ジュニエで25日、車に仕掛けられた爆弾が爆発、乗っていたテレビ局、レバノン放送(LBC)の著名な女性キャスター、メイ・シェディアク氏が足などに重傷を負った。同氏はキリスト教徒。LBCは反シリア的な報道で知られる。レバノンでは今年2月にハリリ元首相が暗殺された後、テロ事件が頻発。6月には著名ジャーナリストのサミール・カシール氏、共産党のジョージ・ハウィ元書記長と、反シリア派が爆弾テロで相次いで殺された。ベイルートでは今月16日、キリスト教徒地区で2台の車の間に仕掛けられた爆弾が爆発。少なくとも1人が死亡した。
毎日新聞 2005年9月26日

イラクを支配していたのはバース党という組織です。サダム・フセインさんも立派な党員です。この政党はイスラム教よりも社会主義とアラブ民族主義を結合した奇妙なイデオロギーを看板にして、結局、社会主義風の一党独裁とアラブの王様の伝統が結合した政治をしました。イラクのバース党は崩壊しましたが、実は、この政党の本家本元はシリアなのですなあ。決して弟分の敵討ちなどする人達ではなく、他人の不幸を大いに喜ぶリアリスト達なので、中東の覇者になろうとシリアが暴れ出すのは分かっていました。そこまでは米国でも予測していたのですが……


陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで25日夜(日本時間26日未明)、ムサンナ州政府庁舎近くに迫撃弾が1発撃ち込まれた。死傷者はなかった。現地の警察当局が明らかにした。現場はサマワ中心部。警察が事件の背後関係を捜査している。
 サマワでは、イスラム教シーア派の反米指導者サドル師派が、知事の辞任を求め州当局と対立を続けている。警察当局者によると、迫撃弾は着弾地点の約3キロ北側から発射されたとみられる。
毎日新聞 2005年9月26日

■こちらは明らかにイランが裏で糸を引いています。サダムのイラクが崩壊すれば、クルドとシーア派が暴れ始めることも予想されていましたが、イランのハシャギぶりは予想外だったのかも知れません。米国は甘かったのでしょう。それに付き合わされた日本はどうするのでしょう?


パレスチナ・ガザ地区からイスラエルに向けロケット弾を発射していたイスラム原理主義組織ハマス最高幹部のザッハール氏は25日夜(日本時間26日未明)、同地からの攻撃停止を宣言した。だが、別の原理主義組織イスラム聖戦は同夜、幹部ら2人をイスラエル軍に殺害され、停戦の破棄を示唆。軍側も26日早朝までガザ地区で激しい空爆を続行しており、事態はなお流動的だ。
 ハマスはガザ北部での23日の軍事パレードで爆発が起き、多数の死傷者を出した事件について、イスラエルの攻撃が原因だと主張。25日までに数十発のロケット弾を発射し、イスラエル人5人にけがを負わせた。だが、その後の調査で事故だった可能性が強まり、イスラエル軍の激しい報復と相まって、パレスチナ人の間にもハマスの責任を問う声が広まっていた。
 イスラエル放送によると、ハマスの攻撃停止宣言後もイスラエルを狙ったガザからのロケット弾攻撃はおさまらず、軍側も中北部のガザ市から南部のハンユニス、ラファにかけて、ハマスを含む複数の武装組織の武器工場など4カ所以上を標的に空爆を続行。パレスチナ側は女性が負傷したほか、ガザ市で停電などが起きていると報じた。毎日新聞 2005年9月26日
 
■ハマスという組織は、最初はイスラエルが援助していた穏健な反アラファト運動の集まりでしたが、エジプトで成長していた過激な原理主義の影響で反米・反イスラエルを主張する凶暴な組織に変身したのでした。資金はサウジアラビアとイランが競い合って提供してくれました。サウジの資金はアルカーイダを育てた資金と同根のものでしょうなあ。サウジ王家が我が身可愛さに米国側に寝返ってからは、イランが主導権を握って援助資金と指示を出しているようです。パレスチナ側から打ち込まれる携帯式のミサイルは、ロシア製のカチューシャのはずなのですが、余り報道されていませんなあ。中東ではアラブ側のゲリラが愛用する安価で扱い易い優れものです。イスラエルはこのカチューシャが大嫌いです。もう直ぐ、日本の自衛隊員も大嫌いになるでしょうし、日本国民も嫌いになるでしょうなあ。そして、

イランのIAEA代表団のバイディ団長が24日、「IAEA史上初めて全会一致の精神が崩れた」と西側の失敗を強調した。しかし、決議では、イランが秘密裏に核開発を行った保障措置協定違反を認定しており、モッタキ外相も25日、国営テレビで、「政治的で違法、不合理」と切り捨てた。
 イラン政府は、「米国はイラクへの対応に追われ、イランを軍事攻撃する可能性が低い」と判断しており、これが強硬姿勢につながっている。
 また、今後、核問題が安保理に付託されるとしても、ウラン濃縮への着手という一線を越えない限り、常任理事国の中露がイランを支持するとイランは考えており、情勢を見極めつつしたたかに対応する可能性が高い。現地ジャーナリストは、「指導部にとって核燃料サイクルは国家体制維持のための取引材料」と指摘。「真の狙いは米国を交渉のテーブルに引きずり出すことだろう」と分析している。毎日新聞 2005年9月26日
 
■イランは追い出されたパーレビ国王時代からドイツの技術と米国の援助で核武装しようとしていた国です。その遺産を受け継いで、中国・パキスタン・北朝鮮からの売り込みに乗って、北朝鮮とまったく同じ「核の平和利用」を叫んでいます。石油と天然ガスが「売るほど」有るイランが、核を平和利用するはずは無いでしょうなあ。イラク崩壊し、シリアも米国に締め上げられている現在、サウジアラビアを出し抜き、エジプトを黙らせるには原爆と長距離ミサイルが必要なのです。ですから、北朝鮮は核を使用するガッツが無いとしても、イランは喚声を上げて使うために準備を進めているのです。日本の外務省に捌けるような宿題ではありません。石油が止まる。核が飛ぶ。丸腰の自衛隊は憲法改正まで動けません!

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殿、御乱心!

2005-09-26 08:51:55 | 社会問題・事件
■波乱の秋場所が、ブルガリア対モンゴルというチンギス汗以来の因縁が燃え上がったような対決で盛り上がって、やはり歴史と同じようにチンギス汗の勝ち?という結果で終わりました。来場所あたりから、土俵入りには国旗を持って入場かな?などと失礼な想像も湧いて来ますが、5回も「満員御礼」になったのですから、観客は国技にこだわりは持っていないのでしょう。

■そんな日に、東北の仙台にプロ野球の炎を再点火した田尾監督が解任!という訳の分からないニュースが日本の野球ファンの中を駆け巡ったようです。このニュースを聞いて、最初に思い浮かべたのは、池波正太郎さんあたりが書きそうな、意地っ張りの馬鹿殿に玩具にされて、理由も無い果し合いをやらされるという武家社会の不条理ドラマでした。素人の想像ですが、急成長の稼ぎ頭!IT社会の寵児!とあちこちでちやほやされるミキタニという人は、きっとあちこちの経営者が集まる宴会やパーティで、やっかみ半分の爺さん達から「最下位だなあ、ウフフ」とか「100敗はいつ頃?エヘヘ」などと言われ続けていたのではないでしょうか?

■二軍も無いような寄せ集め球団を立ち上げたのですから、田尾さんに三顧の礼で監督就任をお願いした時には、「3年は我慢しよう」「ファンを獲得するのが最優先」などと考えていたのに、だんだん心がナベツネ化?して来たのではないでしょうか?自分が持っている球団とは言っても、選手達は彼のグラデュエーターでもないし、家来でもないのですぞ!「主君に恥をかかせている!」などと考えるのは大間違いなのですが、今までの日本のプロ野球は、こんな人達が運営して来たのでしょうなあ。

プロ野球の楽天は25日、田尾安志監督(51)と来季の契約を結ばないと発表した。3年契約の1年目で事実上の解任となった。米田純球団代表は「来季の指揮は依頼しないことを監督に伝え、了承された」と述べた。田尾監督は公式戦の残り2試合は指揮を執るが、球団には残らず退団する見通し。
 田尾監督は昨年10月、50年ぶりの新規参入球団となった楽天の監督に就任。今季は38勝95敗1分け(25日現在)で、8月29日には最下位が確定。リーグで40年ぶりに90敗を喫するなどチームは低迷していた。
 4月にはコーチ陣の降格人事などを巡り、田尾監督と三木谷浩史オーナーとの対立が表面化したこともあった。球団側は「より強いチームを作るためと、ファンの期待に応えるために、チームの再構築が必要。強いチームにするには避けられない道」と解任に踏み切った。球団側は後任監督について「現時点では未定。チームを強く出来る人を早急に選任したい」としている。元ヤクルト、阪神監督で社会人野球シダックス監督の野村克也氏(70)らが浮上している。……本拠地最終戦で解任が言い渡された楽天の田尾監督。試合終了後のセレモニーでは、右翼席のロッテファンからスタンド全体に広がった「田尾コール」中、田尾監督は「日本一の応援をありがとう。今季のこれまでの成績は誇りに思っている」と、目を潤ませながらあいさつした。
 報道陣の前に姿を現した田尾監督は「今季は勝った、負けたで判断されるわけがないと思っていた。だが、プロ野球はいろんなことがある。(フロント)判断にはいろんな結論があるもの」とサバサバとした様子で心境を吐露。今季は参入初年度で他球団の構想から外れた選手がほとんどのチーム構成もあり、「今年は土台作り、とのんびり考え続けたところがあったかもしれない」と自省した。
毎日新聞 2005年9月25日

■何時だったか、野村監督が阪神に行く時に、「監督の首をすげ替えればチームが変ると思ったら大間違いですよ」と、オーナーに間で含めるようにして教え諭した事を話していましたなあ。その野村さんに後任を頼むとは、ミキタニという人も大したことは無いのでしょう。最下位だろうと、100敗だろうと、地元に愛され続ける球団をファンと一緒に支える男気を見せれば、プロ野球にも新しい時代が来た!と皆が喜んだでしょうに!ミキタニよ、お前もか?!とファンは怒っているようです。漏れ聞くところによると、「ファンは怒るでしょうが、10日もすれば忘れますよ」と球団関係者は嘯(うそぶ)いているとか……。やはり、粘り強くシツコイ不買運動しかファンの怒りを示す方法は無いのでしょうか?すけべサイトや金貸しサイトは、別の会社にも有りますし、ネット販売を一ヶ月我慢しただけで親会社の楽天は真っ青になるのではないでしょうか?

■「俺のチームだ!」と思っているオーナーも、チームの頭に会社の名前を付けるのが当然と思っている球団関係者も、ファン有っての商売だとは考えられない思考回路に固まっているのですから、テレビ放送時間が消滅する巨人を笑っていられる立場ではないでしょうに。楽天の観客動員力とテレビの視聴率は巨人を凌いでいると聞きます。がらがらのスタンドには何も感じないくせに、リーグ内の順位には異様にこだわるようなオーナーは、経営者でもなく野球ファンでもないでしょう。そんな人は、自分の都合で家来に決闘させたり切腹させたりする馬鹿殿と同じです。長年、赤字を放置して、会社の宣伝の一部だと思い込んでプロ野球をスポイルし続けたツケを払わなければならなくなっているのに、爺様たちは昔と同じ流儀で変な相談をしているようです。

■少なくとも、仙台を中心に東北地方では野球少年の数の減少に拍車が掛かるでしょうなあ。甲子園大会に出て来る東北地方の私立高校の野球部に、一体何人の地元出身の選手が在籍しているのか?企業機密のように明らかにされずに、地元応援団に寄り掛かって運営しているのが甲子園大会です。大相撲を見習って、選手の紹介には「○○県出身」の一言を入れて見せて欲しいものです。高校野球とプロ野球は競い合うように地元との関係を切ろうとして来たようにも思えます。巨人の主力選手を見るたびに、「前は○○チームにいたんだ」と薀蓄(うんちく)を疲労してくれる熱心なプロ野球ファンが居るものです。そんな話を聞かされている内に、自分も東京生まれでもないのだから、と熱も冷めて行くのでしょうなあ。プロ野球の次に熱が冷めて崩壊して行くのは高校野球でしょう。不祥事が続々と出て来るのもその末期症状が出ているのかも知れません。

■地元密着型のサッカーと大相撲がどんどん野球ファンを吸収し続けて、誰も野球に興味を持たなくなる時代も近いような気もします。最近、親子でキャッチボールしている子供を見ましたか?厳しい訓練に耐えて、技術を磨いた選手達が、馬鹿殿の玩具になっているのを見た少年達も父親達も、グローブとボールには手を伸ばさないでしょうなあ。

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夢は大きく仕事はセコく

2005-09-26 08:10:36 | 外交・世界情勢全般
■学生時代の万能感が消えず、能天気な役所の作文の内容を心から信じてしまうのが御役人が共通に持つ性質のようです。それが特定の国のお役人であろうと、国家公務員であろうと、まったく変らないというのが面白いですなあ。お役人様の最大の任務は、「予算の獲得」と「予算の消化」で、これを繋ぐのが「計画書」のような目論見書類なのでしょうなあ。そこには、獲らぬ狸の皮算用が満載です。「国際連合・教育・科学文化・機関」なのですから、「教育」の価値を最高のものと信じていなければ勤まりません。
ユネスコ:松浦事務局長、テロ対策に「道徳や倫理教育を」

再任が決まった国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長(67)は24日までにパリのユネスコ本部で毎日新聞などと会見し、09年までの任期中に基礎教育分野に重点的に取り組む意向を表明した。さらに、教育面でのテロ対策が必要との認識を示し、「道徳や倫理教育をしっかりしなければならない」と強調した。
 松浦事務局長は、基礎教育について「15年までに
 (1)全児童に小学校教育を受けさせ
 (2)男女平等を確立する--などの目標を達成する見通しは立っていない」と認め、途上国の教育予算増額と先進国の着実な援助実施を促した。具体的には▽識字率の向上▽教師の養成▽教育を通じたエイズ予防--への取り組みを強化する考えを示した。
 テロの問題については、「根底にあるのは教育問題。将来のテロリストを養成しないようにしなければならない」と指摘。小学校段階からの道徳・倫理教育のカリキュラム作りを支援する方針を明らかにした。ユネスコは教育分野でパレスチナ和平を後押ししてきたが、ここ数年、紛争激化で足踏みを余儀なくされてきた。松浦事務局長は「『相手を憎め』と書いている教科書では和解は進まない。教科書の見直しをやりたい」と述べ、イスラエル、パレスチナの教科書改訂への支援を本格化する意向を示した。
 毎日新聞 2005年9月24日
 
■アフリカや中東の非常にややこしい場所に、武器や原子力発電所を売りつけているフランスのパリに本部が有るというのもなかなか意味深ですが、憲法9条を持つ日本のお役人が就任するにはユネスコは最適の国連組織のようです。それにしても、この事務局長さんは自分が言っている事が本当に分かっているのでしょうか?パレスチナで大失敗したという事は、注込んだ予算が全てパーになったという事です。失敗したのは、自分達の見通しが間違っていた上に、無能であったからでしょう。それを恐れを知らずに「教科書」問題に責任を押し付けて、次の事業計画を平然と語っています。無駄になったお金は、大金を費やして綺麗事を並べた印刷物を大量に撒き散らして、子供達を騙して集めた寄付金や、日本を筆頭に真面目な国から提供された拠出金である事を、この人はまったく分かっていないようです。「予算が無駄遣いしてしまって申し訳ない」これを禁句としているのも、世界中の御役人に共通の習性です。何せ、お役人が一番嫌いなのが「責任」ですからなあ。

■またまた新たな予算案を出して、今度はイスラエルとパレスチナの教科書に介入しようと言うのですから、大したものです。まあ、国連と言えば、イラクでも裏金で蓄財している間は粘り強かったのに、決着が付いたら熱が冷め始め、一発の自爆テロでさっさと逃げ出した組織ですから、こんな危なっかしい事に大金を注込んで置いて、予算を使い切った頃に一発の爆弾が破裂したら、またまたさっさと逃げるに違い有りません。『相手を憎め』と書いてある教科書を問題と考えるのなら、日本の隣にも相当の事を書いている国が約3カ国ぐらい存在しているのですが、パレスチナの後は、是非ともこちらにも目を配って頂きたいものです。

■読み書きの前に子供にAK47の手入れ方法と撃ち方を教える「学校」が沢山あるのですが、この事務局長さんは砂漠やジャングルに入って行く勇気が有るのでしょうか?異教徒を憎むジハードを否定する教科書や帝国主義者打倒する革命を否定する教科書を握ったまま、銃弾に倒れれば銅像の一つも建ちそうですが、何の意味も無いでしょうなあ。一体、幾らの予算を考えているのか分かりませんが、「エイズ予防」ぐらいが成功しそうな計画でしょう。他の項目はことごとく予算の無駄になるのは火を見るよりも明らかだと思うのですが、如何でしょう?

■テロ問題の難しさは、「道徳と倫理」の最高の形態として戦闘行為が位置付けられている事ではないのでしょうか?神の名に懸けて戦っている者に、「正しい道徳」を配達するというのは、彼らの神や真理を否定する事になるという簡単な理屈が分からなくても、ユネスコの事務局長は務まるようですなあ。気楽なものです。テロ問題がますます深刻になる一方なので、お役人としては、これを名目にした予算獲得の血が騒いだのでしょうが、これは大失敗でした。本当にこの計画が実施された瞬間に、何処かから「ユネスコは悪魔(帝国主義者)の巣窟だ!攻撃目標リストの上位に入れたぞ!」などというメッセージがウェブに乗って流れ出した時、この事務局長さんが何を言い出すかが、楽しみです。

■こういう能天気で元気なお役人が、小競り合いだった紛争を大戦争にしてしまった例が沢山あるのに、何故か人々はそういう歴史を忘れがちです。日本が下手くそな戦争を一所懸命にやったのも、お役人達が大活躍してくれたからなのに、悪かったのは軍部だけ!それも陸軍が一番悪い!と誰かさんが言い出して、そうだ、そうだと盛り上げて造った奇怪な歴史が、今でも生きているので始末に負えませんなあ。しっかり占領軍に取り入ったお役人達は、占領政策を命令以上に実施して日本を作り変えて見せたので、マッカーサーも大喜びでした。そのカラクリに蓋をしたまま60年も放って置いたのですから、今頃になって憲法をどうしようか?などと悩まなければなりません。憲法などと言うものは、どんどん変えるのが政治家の勤めなのに、明治天皇とマッカーサーから貰った経験しか無いので、自分達では何も出来ない変な政治家とお役人ばかりになってしまいました。勿論、帰れば良いという物ではないのですが、慣れ無い事はやらないのならば、永久に「世界の公正と信義」が出現する時を待ち続けなければなりませんし、やって見ようかと思うのなら、一回や二回は大失敗する可能性を覚悟しなければなりますまいなあ。

■国内の教科書一つで大騒ぎしている祖国に対しても、是非とも素晴らしいコメントが欲しい所です。でも、「発言は差し控えさせて頂きます」としか言わないでしょうなあ。そうなのです。問題が大きければ大きいほど、お役人は無数の妄想を詰め込んだ大きな夢を見るものなのです。小さな具体的な問題になると、辻褄合わせと居丈高な言い訳しかしないのが悲しいですなあ。

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