旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

そして誰もいなくなる? 其の七

2010-12-30 22:53:35 | 政治
■クラッシャー小沢が条件付ながら政倫審に出席すると言い出し、岡田タリバン幹事長は条件付が気に入らないと憮然としているそうですが、小沢側から付けられた条件は煎じ詰めれば「一人では死なない」という捨て身の戦術が透けて見えまして、政倫審に参加する旨を宣言しておけば強制起訴となって現実的に参加せずとも「嘘吐き!」呼ばわりはされずに済みましょうし、逆に追い込んでいた側の仙谷・馬淵の問責コンビが矢面に立たされて菅アルイミ内閣は野党が放つ無数の矢がぶすぶす突き刺さって立ち往生……。背に腹は換えられぬと小沢一派も閣僚など要職に就けて「挙党一致・全員野球」の約束がやっと果たされる、というシナリオが見えるのですが……。

西岡参院議長は28日、国会内で民主党の岡田幹事長と会談し、来年1月の通常国会召集前に、参院で問責決議が可決された仙谷官房長官と馬淵国土交通相を交代させるよう求めた。……西岡氏は「通常国会が開会したら、仙谷氏らを代えるしかない」と岡田氏に伝えた。……自民、公明両党が辞任要求を強め、応じなければ通常国会で審議拒否に踏み切る構えを崩していない。民主党内でも、菅首相と距離を置く小沢一郎元代表らに近い議員から辞任を求める声が出ている。……西岡氏が仙谷氏の辞任に言及したことで、与党内で今後、仙谷氏や馬淵氏の辞任論が拡大し、通常国会前の内閣改造を検討する首相の判断に、影響する可能性がある。
2010年12月29日 読売新聞 

■74歳という年齢と小型の猿を思い出させる容姿も手伝って、何となく地味な印象のある西岡武夫議長でありますが、ロッキード事件に際して自民党を離党して新自由クラブを旗揚げして以来、無所属を経て自由民主党に復党、再び離党して改革の会、自由改革連合を経て小沢一郎の新進党に参加。それ以降、自由党、民主党と共に歩んでいるなかなか立派な保守政治家であります。要所要所でびしっと物言える人物でもあり、血生臭い政局を経て培われた独特の勘が働く人でもあるようです。先日も司法から「一票の格差は違憲」との判決が出ると即座に独自案を発表したのが記憶に新しいはずです。

■影の総理などと呼ばれる仙谷ノーコメント官房長官の尖閣衝突事件に関する国会答弁についても、「法廷闘争的な答弁はしているが、政治的には通らない」との分かり易い批判を加えてくれたのも西岡議長で、小沢VS仙谷の痴話喧嘩を収めることが出来る人は、案外、西岡武夫議長みたいな人なのかも知れませんぞ。でも、政界再編とでもなれば昔取った杵柄で、巧みに濁流渦巻く政局を泳ぎ渡って見せるかも知れませんなあ。どちらにしても菅アルイミ内閣にとって煙たい存在であることは確かなようです。

■先に取り上げた駐ロシア大使の更迭が報道された翌日、今度は警視庁の公安部長の更迭が報じられました。外も中も日本の情報収集・管理・分析能力は地に落ちてしまっている証左でありましょう。


警視庁公安部外事3課が作成したとみられる国際テロ捜査資料が流出した事件で、警察当局が警視庁の青木五郎公安部長を更迭する方向で検討を始めたことが25日、警察関係者への取材で分かった。警視庁幹部の更迭は極めて異例。流出元は特定できていないが、警察当局は外事3課の不適切な情報管理を問題視。現場の最高責任者である公安部長の更迭が不可避との判断に達したもようだ。…… 

■「流出元が特定できていない」段階で公安部長に詰め腹を切らせるというのは聊か乱暴な気もしますが、今年10月下旬に情報の流出が発覚してから警察庁と警視庁の間で陰湿な罪の擦り付け合いが起こり、それに記者クラブが悪乗りして奇妙な憶測記事が飛び交ったこともありましたが、不思議なことに尖閣衝突事件の映像公開よりも遥かに重大な問題だったテロ情報の流出事件なのに菅アルイミ内閣は最後まで他人事みたいな顔をしていられたのでした。尖閣の時には見事に最高責任者の所轄大臣だった馬淵国交相を仙谷ノーコメント官房長官が庇い切ったものの、参議院で枕を並べて問責決議を受けてしまいました。今回も公安の最高責任者のアノ人!には不思議なほど責任追及の声が上がらないのはどうしてでしょうなあ?


外事3課では、捜査資料を作成するのに、(1)警視庁の庁内LANに接続しているパソコン(2)ネットワークにつながっていないスタンドアローンのパソコン(3)外事3課独自のネットワークで結ばれていたパソコン-の3種類を使用していた。このうち、(2)と(3)のパソコンで外部記憶媒体の使用履歴の管理が不十分だったものが一部存在したことが判明。警視庁は24日に公表した捜査の中間報告で、外事3課からの内部流出の可能性を示唆していた。……諸外国の関係機関からの通報内容も漏洩するなど、インテリジェンス(情報活動)の重大なルール違反が生じた。このため、流出元を特定できていない段階でも、公安部長の責任を問う必要があると判断。海外の情報機関との関係修復を図るためにも更迭は不可避との見方に傾いたもようだ。 

■もしも公安部長の更迭劇の裏に菅アルイミ首相の指示や圧力があったのなら、少しは外交上の国際信義の重要性を真面目に考えるようになったのかも知れませんが、事件の全貌も分からないまま適当なポストに責任を丸投げして押し付けるというのは、「仏作って魂入れず」で単なる形式的な処分で本当の問題を隠蔽してしまおうとする官僚群の思惑にうまうまと乗せられてしまったとも言えそうです。


青木公安部長は昭和54年入庁。京都府警本部長などを経て、平成20年8月から現職。警察庁長官銃撃事件の時効を迎えた今年3月30日に、事件は「オウム真理教の信者らによる組織的なテロであった」との捜査報告書を発表している。……
2010年12月26日 産経ニュース 

■街中の交番にいる警察官とは違い、一般の国民には馴染みの薄い公安ですが、警視庁公安部は以下のような組織になっているそうですなあ。
公安総務課=日本共産党、市民運動、反グローバリズム運動、オウム真理教などを捜査対象とする。
公安第一課=極左暴力集団(過激派)を捜査対象とする。
公安第二課=労働組合、革マル派等を捜査対象とする 。
公安第三課=右翼団体を捜査対象とする 。
公安第四課=公安関係統計、公安資料整理。
外事第一課=ロシア、旧共産圏のスパイを捜査対象とする。
外事第二課=東アジア地域、特に中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、共産圏諸国のスパイを捜査対象とする。
外事第三課=国際テロリスト、中東地域のスパイを捜査対象とする。
公安機動捜査隊=NBCテロ対策班を常設。

■今の総理大臣は市民運動出身として有名ですから、政治家になる前には公安総務課の捜査対象候補だったかも知れませんし、今の官房長官は学生運動の闘士(の支援者?)だったそうですから、こちらは公安第一課の捜査対象候補だったのかも知れません。特に官房長官はうっかり「暴力装置」という専門用語が口を衝いて出て来る人ですから、警視庁公安部に対して良い印象は持っていない可能性はありそうです。

■学生運動が下火になって自滅的に内ゲバ現象を起こして消滅に向かい、東西冷戦時代が終わり、巨大な公安組織は無用の長物扱いされていた時に発生したのがオウム真理教事件で、公安は息を吹き返して大喜びしたとかしないとか……。欧米諸国が対テロ戦争時代に突入したとて、日本も歩調を合わせて戦列に加わろうと複雑な中東情勢に関して何の基礎知識も無いままに「イスラム」を対象にしてしまった粗雑な捜査実態が明るみに出てしまったのは実に恥ずかしく、また、恐ろしい話であります。

そして誰もいなくなる? 其の六

2010-12-29 16:36:13 | 政治
■「政治主導」が外交分野に適応されると「柳腰外交」という奇妙奇天烈な独断専行・開き直り外交が展開されることは尖閣衝突事件で立証されたのでありますが、今回の駐ロシア大使の更迭事件によって「政治主導」の範囲からいつの間にやら官僚人事が削除されていたことが分かってしまいました。菅政権が誕生してから「霞ヶ関の高笑いが響いている」との噂が流れていたものですが、必殺!仕分け人達のパフォーマンスも仙谷ノーコメント官房長官の「柳腰外交」と同工異曲で相手の官僚達に翻弄されて尻すぼみに終わり、本来は政治主導の対義語だったはずの「官僚主導」は無傷で残ってしまったばかりでなく、以前よりも強化されているらしいのですが、実は今まで「仮免許でした」と菅アルイミ首相が白状した事からも、前任者に負けずに「愚かな総理」が無能であっても日本の政治は何とか格好が付いているのも官僚組織にしっかりと支えられ操られているからなのでしょうなあ。

■駐ロシア大使更迭劇の裏事情に関する新聞記事がクリスマス・イブに配信されました。


……関係者の証言をまとめると、政府が河野雅治駐ロシア大使(62)を事実上更迭する背景には、在ロシア大使館側から発信された情報を信じ、ロシアに対して事前に北方領土訪問の中止を求めるなどメッセージを発信できなかった官邸側の強い不信感があるようだ。メドベージェフ大統領が9月下旬に北方領土を「近く訪問する」と明言、10月下旬に訪問の観測記事が頻繁に流されて以降も、外務省は首相官邸に「訪問はない」と報告し続けた。菅直人首相は、周辺に「本当に行かないのか」と繰り返し確認したが、返ってきたのは「大使館からの情報では『訪問はない』ということです」との答えばかりだった。…… 

■党代表が自ら「仮免許」だったと正直に言っているのですから、党全体も仮免か教習中だというのが実態なのでしょうなあ。外交面で有力なパイプも無いままに日米関係をガタガタにしてしまい、怪しげなチャイナとのパイプを持っているらしいクラッシャー小沢を悪者に仕立てて学芸会をやっているくらいですから、ロシアの本音を探る手段など何一つ無く、苦し紛れに「政治主導」などあっさり忘れて大使館情報を鸚鵡返しするだけの役人に頼るしかなかったのでしょう。何とも恐ろしい話であります。外交政策を「仮免許」で動かしながら、国民に向かって「徒にナショナリズムを高揚させるな」と注文を付けるのは逆効果でしかありませんぞ。


だが、大統領は11月1日、北方領土・国後島への訪問に踏み切った。一時帰国を命じられ、同月3日午前に帰国した河野大使は、同日夕、外務省の佐々江賢一郎事務次官、小寺次郎欧州局長らとともに首相公邸に呼び出された。菅首相や仙谷由人官房長官が事情聴取を始めた。「なぜだ。なぜ訪問しないと判断したのだ」。官邸側から問いただされ、河野大使は「ロシア外務省からそういう報告を受けていましたから」と答えた。これに菅首相はカチンときた。「そんなことは聞いていない。誰が言ったかじゃなく、どうしてそう思ったんだ」口ごもる河野大使を見て、仙谷長官が助け舟を出した。「大統領はプーチン首相との関係など、いろいろあるのじゃないのか。そのあたりの判断は」。だが、河野大使の口は重くなる一方だった。「要するにどういうことだ」。いら立つ首相ら。最後に、河野大使はこう口走ってしまった。「私はあまりロシアに詳しくないので……」。次の瞬間、首相らの怒りが爆発した。…… 

■ご本人は非常に真面目な人なのかも知れません。1973年に東京大学法学部を卒業すると同時に外務省入省。その後、アジア局南東アジア第一課長、内閣官房長官秘書官、北米局北米第一課長、ロンドン総領事、在米日本大使館公使、アジア局参事官兼北米局参事官、総合外交政策局審議官、ロサンゼルス総領事、中東アフリカ局アフリカ審議官、外務省総合外交政策局長、外務審議官(経済担当)、そして民主党への政権交代が起こる5ヶ月前の2009年の4月に駐ロシア特命全権大使に抜擢されております。今では寝言か戯言としか思えませんが、鳩山サセテイタダク前首相は祖父と父の後を継いで対ロシア外交に取り組む!と「トラスト・ミー」の軽い調子で宣言していたことがありましたなあ。北方領土問題に「半年くらいで解決の目途を付ける」とまで言ったとか言わなかったとか……。一時はロシア側もうっかり?大きな期待を持って身構えていたとの話もあり、その後の鳩山外交の迷走と稚拙さに落胆した反動で北方領土への史上初の大統領訪問を敢行したとの見立ても出来るようです。

■何にせよ、河野前大使の経歴を見れば「中東アフリカ局アフリカ審議官」などという絵に描いたような露骨な官僚の双六遊びみたいなポストが挟まっているにしても、対米外交の専門家としか思えない人を鳩山前首相は政権交代前と同じ駐ロシア大使にしておいた事が不思議であります。本気で自分一人の力でクレムリンの重い門を抉じ開けてみせる!と悪い夢でも見ていたのかも知れませんが……。


後任と目される原田親仁(ちかひと)駐チェコ大使(59)は河野氏と違いロシアンスクール(ロシア専門家グループ)。だが、北方領土交渉の見通しが厳しい状況は変わらない。前原誠司外相は早ければ2月にもロシアを訪問、ラブロフ外相と会談し、対ロシア外交の立て直しの糸口を探る。外務省幹部は「まず北方領土訪問以前の状態に戻すところから始めるしかない」と言葉少なだ。
2010年12月24日 毎日新聞 

■メドベージェフ大統領の北方領土侵入以降、既に外相ら要人が領有を声高に繰り返し主張しているのですから、「訪問以前の状態」に戻すことなど不可能でしょう。長い自民党の対露外交政策には大きな成果は見られず仕舞いでしたが、これほど大きな失敗は記憶にありませんから、ここぞとばかりに菅アルイミ仮免政権を攻め立てる好機のはずが、この「ロシアに詳しくない」と自認する大使を任命してしまったのが麻生政権だったのですから薮蛇になるのを避けて黙っているのでしょうなあ。誠に日本の外交にとって不幸の極みであります。こうして対ロシア外交の持ち駒が確実に失われたのでありました。

そして誰もいなくなる? 其の伍

2010-12-28 16:14:03 | 政治
■いなくなるのは子飼いの市会議員ばかりではなさそうです。

政府は(12月)23日、河野雅治駐ロシア大使を退任させる方向で検討に入った。11月のメドベージェフ露大統領の北方領土・国後島訪問に至るまでの情報収集体制を問題視し、事実上の更迭となる。後任は原田親仁(ちかひと)駐チェコ大使の起用が有力で、いずれも来年1月にも発令する見通し。…… 

■菅アルイミ首相の小さなクリスマス・プレゼントが、このロシア大使更迭だったのかも知れません。でも、更迭するのならもっと早い時期に断行しておけばロシアに対する正確な外交メッセージになったでしょうに……。 


政府は9月下旬以降、大統領の北方領土訪問計画が浮上した際、モスクワの日本大使館や外務省欧州局の「訪問しない可能性が高い」との情報をもとに、訪問はないと判断していた。だが、大統領は11月1日に旧ソ連時代も含めロシアの最高指導者として初めて北方領土を訪問した。前原誠司外相は同3日に河野氏を一時帰国させ、河野氏は菅直人首相に状況を報告。首相は情報収集体制の強化を指示した。ただ、10月末に日本大使館が「大統領訪問は確実」との情報を外務省に上げていながら、首相らに伝わっていなかったことが後に判明している。……河野氏は総合外交政策局長や外務審議官(経済担当)の後、平成21年2月にロシア大使に就任した。2年未満の大使交代は異例。…… 

■歴史の中には重大な情報を伝える公電や電波が届かなかったという致命的な事故が多数記録されているのですが、戦時中でもあるまいし、外務省から総理官邸までの間にどんな邪魔が入るというのでしょうなあ?これも「政治主導」の暴走が招いた官僚のサボタージュだった可能性がありそうです。チャイナの日本大使館でも大使が深夜に呼び出されるような無様な外交をさせられたのも、役人が知らん振りしていたからだと言われているようですからなあ。


菅政権は11月13日の日露首脳会談で領土問題と経済協力を並行して話し合う路線を確認。前原外相は来年2月にも訪露する。河野氏更迭を機に対露外交の立て直しをアピールする狙いがありそうだ。
2010年12月24日 産経新聞 

■でも、一時帰国させて特段の記者会見も開かず、あっさり任地に帰してしまった段階で対露外交を立て直す好機を逃してしまったのではないでしょうか?泥縄式の素人外交は来年もまた、日本国を窮地に追い込んでしまうかも知れず、最近聞かれなくなった「柳腰外交」もどうなってしまったのやら……。来年度の予算編成でも、「政治主導」に翻弄されこき使われた財務官僚からは、万が一にも予算案が通らなかったらどうなるか知らんぞ!という恐ろしい視線が菅アルイミ首相の背中にブスブスと突き刺さっているとかいないとか……。突然決まった長崎県諫早の水門開放も農水省の役人からは相当に恨みを買っているそうですし、だんだん、本当に「政治主導」を意地悪く有言実行せざるを得なくなるかも知れませんなあ。

そして誰もいなくなる? 其の四

2010-12-28 16:12:12 | 政治
■国会周辺では今年の汚れを落とす大掃除もしないまま年末を飛び越えて既に年が明けてしまっているようであります。少なくとも充実感や達成感と共に思い出せる出来事が見事に一つも残せなかった民主党政権でしたから、たとえ鬼に大笑いされようと来年に向けては大風呂敷でも広げて威勢の良いところを見せたいところなのでしょうが……。外交はガタガタのままでツギハギだらけのポンコツ予算しか組めず、その予算案もあっさり国会で成立しそうにもない現政権は、すべての元凶は小沢問題にあり!と欧州の中世に吹き荒れた魔女狩りパニック状態ですから、とても来年に光は見えませんなあ。

民主党の小沢一郎元代表は28日午後、衆院議員会館で記者会見し、自身の政治資金の問題を説明するため、「衆院政治倫理審査会に出席する決意をした」と表明した。その上で「私が(政倫審に)出席しないと国会審議が開始されない場合は、通常国会冒頭に出席する。そうでない場合は予算成立後、速やかに出席したい」と述べた。 小沢氏は会見に先立ち、都内の事務所に鳩山由紀夫前首相を訪ねて政倫審出席の考えを伝えた。 

■「出席」はニュース速報で流されたそうですが、そんなに大きな意味があるとは思えませんなあ。今の政権で速報するに値するニュースは仙谷ノーコメント官房長官の辞職か総理大臣の交代だけでしょうに?!陰湿に外堀を埋めマスコミの悪乗りも利用してクラッシャー小沢を追い詰めたと誰かさんは自分の策略を自画自賛しているのでしょうが、「私が(政倫審に)出席しないと国会審議が開始されない場合」と言うからには、もしも野党側から「仙谷・馬淵の問責問題の方が重大だ!」の一声が上がれば事態は逆転するでしょうし、「そうでない場合は予算成立後、速やかに出席したい」と言うのですから、身を挺して予算を成立させる人柱になるというシナリオを書いていることになります。そこまでした通す価値のある中身の予算なのかどうか?は誰も考えていないのでしょうなあ。

■会見前に鳩山サセテイタダク前首相に合いに行くというのも意味深で、首相と抱き合い心中を強いられて幹事長職を辞した経緯を思い出せば、参議院選挙は「鳩山では戦えない!」という圧倒的な党内の声に混ざりこんだ雑音にも配慮して挙党一致で生まれたての政権を維持しようとした政治家として決断した考え方は変わらず、今度は自分が政倫審に首を差し出す代わりに仙谷ノーコメント官房長官と抱き合い心中をする覚悟を固めたとも考えられます。まあ、両者が転んでくれて一番喜ぶのは総理の椅子にしがみ付くことしか考えていない菅アルイミ首相なのでしょうが……。


……国会招致をめぐっては、菅直人首相や岡田克也幹事長ら党執行部は繰り返し、政倫審への出席を要請。……27日の役員会で、出席に応じなければ、1月召集の通常国会までに政倫審で招致の議決をする方針を確認。首相は出席できないなら、小沢氏に自発的な離党を暗に求めていた。……
2010年12月28日 時事通信 

■増税と福祉関連予算の積み増しで経済成長を図る「第三の道」も、その政策の前提となる「消費税10%」も、実にあっさり引っ込めた菅アルイミ首相は「有言不実行」を繰り返しておりますが、辛くもクラッシャー小沢を鼻差で破った代表選後には、「ノーサイド、全員野球、全員内閣」などと野党時代の悪い癖を丸出しにして思いつきのキャッチフーズを口にしたものでしたが、それもこれも「不実行」という徹底振りでした。それなのに「反小沢」だけは終始一貫、初志貫徹、毒を食らわば皿までも迫力でまったくブレずに頑張っているのは実に気味の悪い風景でありますなあ。その熱心さで取り組むべき問題は山のようにあるというのに……。

■小沢が離党しても付いて行く議員は高が知れていると思っているのか?政権政党の旨味と甘い汁に強い未練がある隠れ小沢派が残った後に党内融和が図れる保障などまったくありませんし、何より自分のお膝元で大火事が発生しているのをご存じないのか?と他人事ながら心配になります。


来年春の統一地方選の前哨戦とされた、26日投開票の東京都西東京市議選(定数28)は、7人擁立した民主が当選3人にとどまった。一方で、自民は推薦を含め8議席を獲得し、みんなの党も出馬した3人全員が当選。菅首相のおひざ元での“惨敗”に、民主党内部からは「これでは統一地方選で勝てない」との声も上がっている。…… 

■これが大ニュースにならない事の方が大ニュース!小沢問題に関する大手マスコミの世論調査は怪しい歪みを感じますが、支持政党の調査結果と菅アルイミ首相のお膝元に表われた勢力図はぴったり一致しているようです。「破れかぶれ解散」でもしようものなら、首相自身が落選するかも?


9人擁立の自民は、石原伸晃幹事長が街頭演説に立ったほか、みんなの党の渡辺代表も現地に足を運ぶなど各党の大物が応援に入り、選挙戦は国政選挙さながらの様相に。現有5議席の民主は、菅首相の妻伸子さんや蓮舫行政刷新相らが支持を訴えたが、劣勢を挽回できなかった。
2010年12月28日 読売新聞 

■有権者をバカにしたとしか思えない本を出し、APECでは土下座外交の末に「ご出席」願った胡錦濤国家主席の奥さんに無視されてしまった伸子夫人が、今更、何を訴えても誰も耳を傾けないでしょうし、必殺!仕分け人の蓮舫大臣にしたところで、一時は「史上初の女性総理候補」などという悪い冗談が流れていた由ですが、民主党がついた最大にして最も悪質な「税金の無駄遣いを止めれば予算はいくらでも有る!」という大嘘の体現者にしか見えない昨今、今の民主党に吹いている逆風を止めることなど無理に決まっておりましょうなあ。それにしましても「みんなの党」の前候補者当選は凄い!かも?

そして誰もいなくなる? 其の参

2010-12-24 23:25:36 | 政治
■南蛮渡来のクリスマスのイブに、菅アルイミ首相は「立ち上がれ日本」に色目を使って国会運営の協力を要請した由。ちょっと前に有事の際には日本の自衛隊が朝鮮半島に乗り込んで北朝鮮に拉致された被害者を探索・救出するなどと、菅アルイミ首相が出来もしない絵空事を口走ったとの唐突な報道がありましたが、最新号の『週刊ポスト』の記事を読んで珍奇な発言の場に問題の「立ち上がれ日本」の平沼赳夫代表が同席したいたという基本的な事実が書かれておりましたぞ。数合わせのためには某新興宗教の美術館にニヤニヤしながら「鑑賞」に行ったり、大企業からの献金が無ければ日干しになってしまう前の政権政党に露骨に塩を送るように「一部解禁」を打ち出したりする、とても分かり易く国民に政局の動きを教えてくれる菅アルイミ首相は、結党以来のテーゼである「公開と説明」の半分を実践しているのかも知れませんなあ。

菅直人首相は23日夜、都内の日本料理店で、民主党の石井一副代表、藤井裕久元財務相と会談し、政局の焦点である内閣改造をめぐって意見交換した。石井氏によると、首相は年明けの内閣改造に前向きな姿勢を示したという。参院で問責決議を可決された仙谷由人官房長官、馬淵澄夫国土交通相を交代させ、辞任のため空席となり、仙谷氏が兼務している法相ポストも含め、人心一新を図る意向とみられる。……石井氏らは「今後3年間は首相を務めなければいけない」と主張。具体的な改造時期や人選などを提案した。石井氏は会合後に記者団に対し「内閣改造が首相の頭にある。やる気十分だ」と述べた上で、具体的な改造時期については「必要があれば年明け早くにやるだろうが、私の想像では1月13日の民主党大会の後ではないか」と、通常国会直前の改造の可能性に言及した。…… 

■今更、二番煎じの内閣改造をやって見せたところで急降下中の支持率が下げ止まったり、奇跡のように急上昇するはずもないのに、どうして「今後3年間」などという恐ろしい皮算用が出来るのでしょう?少なくとも後2回、現政権が国家予算を組むのか?!「いくらでも財源はある!」などと、政権交代さえ起これば天から地から財源が降ったり湧いたりするんだと言い続け、それを前提に寄り合い所帯らしくマニフェストに実行不可能な公約を羅列した大罪を一度も国民に詫びるでもなく、まるで天災ででもあるかのように「不景気で税収が減った」だの「人口減少が止まらない」だの、救いようのない泣き言を重ねて自らの責任や力不足を認めようとしないのですから、ちびちび、ちくちくと取り易いところからじわじわと陰険な増税を仕掛けて稚拙なマニフェストを強引に実現しようとし続ける限り、来年早々の通常国会は目も当てられない小中学校の生徒会にも劣る恥ずかしい騒動で終始しそうですなあ。


首相が内閣改造に前向きな姿勢を示す背景には、民主党の小沢一郎元代表の国会での説明責任をめぐる攻防が行き詰まっていることがある。小沢氏に近い議員らは、党内に生じた亀裂を修復するには、仙谷氏の交代が必要との声を強めており、国会運営だけでなく、党内対策としても仙谷氏交代が必要との考えに傾いているとみられる。首相は臨時国会閉幕後の6日の記者会見では、仙谷氏に対して「期待以上の活躍をしている」と評価。強制力のない問責決議と、憲法の規定で衆院解散か内閣総辞職を迫られる内閣不信任決議とは法的拘束力が違うなどとして、仙谷氏交代に慎重姿勢をみせていた。
2010年12月24日 産経新聞 

■菅アルイミ首相に比べれば、300余人の民主党議員の中で、何も知らない・何も出来ない御本人の「期待以上の活躍」をする人材は山ほど居るでしょうから、あの発言は仙谷ノーコメント官房長官を盾にして政権の延命を図るための妄言ではないのかも知れません。しかし、普天間基地移転を頓挫させた鳩山サセテイタダク前首相と同じく「脱小沢」の権力闘争も虫のいい「良いとこ取り」を素朴に願う稚拙な言動の結果が取り返しのつかない重大で深刻で致命的になってしまいそうです。仮に仙谷・馬淵の両問責決議コンビを切ったところでクラッシャー小沢一人に引導を渡して党外に追放しておいて、数合わせ用に小沢支持者を引き戻すなどという錬金術めいた政局詐欺が成功すると総理大臣ともあろう人が本気で考えているのでしょうか?外交の稚拙さと同じ根っこから民主党内に伸びて来た毒々しくも軽い茎が年明け早々に地表に顔を出すのかも?

■仙谷ノーコメント官房長官を手放した後の菅アルイミ首相の醜態は残酷な見世物にはなるのですが……。

そして誰もいなくなる? 其の弐

2010-12-24 16:10:37 | 政治
■検事総長の次は誰でしょう?

……22日の海上保安庁は重苦しい空気に包まれた。「あってはならない事態。国民の信頼を大きく損ねた」。海保の鈴木久泰長官は苦渋の表情で、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件を謝罪した。停職12カ月の処分を受けた一色正春元保安官(43)は、「後悔していない」ときっぱり言い切り、職を辞した。…… 

■もしも、一色氏が海上保安庁を辞職してから証拠映像を流出させていれば、同僚達からの支持はもっと多かったことでしょうが、サイトに「違法に」流出した映像を嬉々として、しつこく何度も使い回して放送し続けたテレビ局には、一色氏に感謝こそすれ何も責めるような事は一切言えないはずです。まだ「未公開」の映像が残っているのですから、匿名性が守られるウィクリークスにでも全貌が流れ出したら、いよいよ海上保安庁の長官から国交大臣まで辞職、辞職の大安売りが始まるかも知れませんなあ。勿論、慌てて「国家機密だ!」と言い出した誰かさんも無事では済みますまい。


(22日)午後6時から始まった海保本庁の会見。顔に汗を浮かべた鈴木長官は「再発防止の取り組みを徹底する」と何度も繰り返した。処分に関して「いろんな声があったことは承知している」と鈴木長官。最終的に停職とした理由を「過去の事案などを総合的に判断して冷静に決めた」と強調した。最も重い「免職」か、「停職」にとどめるか。処分をめぐって海保は揺れに揺れた。元保安官が流出を告白した11月10日以降、海保には「辞めさせないで」といった電話が殺到した。政府が映像を非公開としたことへの不満の世論も多かった。一方で「規律違反を許せば組織が成り立たない」という組織論も根強く存在した。ある海保職員は「元保安官が17日に、自ら辞職願を出したことで、停職で依願退職という流れができた」と解説する。…… 

■「総合的に」「冷静に」と言葉を重ねられますと、いよいよお役所仕事の片鱗が見えてしまいますが、国家という組織が崩壊しないようにするには、たとえどんなに馬鹿馬鹿しくて愚かしい指示であっても組織の上層部から下される命令には絶対に従って貰わねばならないのは当然でありましょう。マスコミに上手にリークする方法を知らない愚直な保安官が一人、変な政府の変な官房長官の変な思い込みによる実に変な命令に背いたばかりに、チャイナの暴走船長を更に喜ばせるような処分結果になってしまったのは残念至極。

■出来ますれば「取り組みを徹底」して貰いたいのは、変な「柳腰外交」の「再発」の方なのでありますが、それは間も無く内閣支持率が笑ってしまうほど下落して、問責決議案の重みに耐えられなくなれば「石に齧りつく」菅アルイミ首相自身が、しっかりと「再発」防止に努めることになるのでしょう。でも、首相が変わるのが最も効果的なのですが……。


長官の会見は30分間で打ち切られた。……鈴木長官は「まだ地検の判断が出ておらず、捜査との関係があるので控えたい」と歯切れが悪いままだった。……元保安官が所属した第5管区海上保安本部(神戸市)でも、大島啓太郎本部長が「映像の流出はあってはならない行為。深くおわび申し上げます」と沈痛な表情で謝罪。元保安官には午後4時半過ぎに処分書を手渡したといい、「書面を読み上げて渡すと、無言で受け取った」という。元保安官はその後、樋口由幸・神戸海上保安部長の部屋を訪れ、「申し訳ございません」などと頭を下げたという。 

■組織としては「映像流出」は確かに「あってはならないこと」でしょうが、国家・国益を考える責任のある政府には有効な外交カードを勝手に秘匿してしまうような愚行こそ「あってはならない行為」でありましょうし、一色元保安官が謝罪したのは決して変な命令を下した内閣の誰かさんでもなく、いわゆる「国民の皆様」に対してでもないのでしょう。同僚達と組織に対しての謝罪に留まる一方で、本部長が謝罪している相手は任命権者の誰かさんになるのでしょうなあ。実に変な謝罪会見であります。本当に国民に謝罪しなければならない張本人が、まったく自分の非を認めていないのですから困ったものであります。


また、馬淵澄夫国土交通相も「職務上知り得た情報を故意に流出させたことは職員にあるまじき行為で、海上保安庁に対する国民の信頼を損なうことになり、心からおわび申し上げる」と謝罪。今後、流出防止対策を抜本的に見直すための検討委員会を立ち上げる考えを示した。
2010年12月23日 産経新聞 

■「国民の信頼を損なうことにな」ったのは、海上保安庁ではありません。したがって「抜本的に見直す」のは流出防止対策などではなく、現政権の外交に関する司令塔の不在という恐ろしい現実の方でなければなりますまいなあ。

そして誰もいなくなる? 其の壱

2010-12-24 15:37:40 | 政治
■民主党政権が金看板に掲げた「政治主導」というのは、政治家は(小沢系を除いて)常に絶対に正しく、悪いのは役人だけだ!という強固な信念の上に成り立っているのかも知れません。

仙谷由人官房長官(法相を兼務)は24日午前の記者会見で、林宏検事総長が辞任し後任に笠間治雄・東京高検検事長が就任する人事について、「検察の改革を進めるため、特捜内部のこともよく知悉し、改革志向の強い人事を実行することになった」と述べた。大林氏の辞任に関しては自発的だったと説明し、官邸の関与を否定した。
2010年12月24日 毎日新聞 

■寝た子を起こすでしょうから、今回は「検察の判断を諒(了)とする」とは言えない仙谷ノーコメント官房長官であります。日中間の外交関係を考慮して、拘留延長をしたばかりの暴走衝突船長を釈放してくれた実に気が利く「親思い」の那覇地検と責任を問われなかった検事総長との関係は闇の中なのですが……。

■大林宏検事総長(63)の引責辞任が伝えられたのは12月16日のことで、特捜部検事による証拠改竄という前代未聞の不祥事から続いた検察批判に白旗を揚げたようにマスコミは口を揃えて報道しているようです。しかし、就任して間もない大林検事総長の延命存続と引き換えに那覇地検に「外交判断」の越権行為を押し付けて、チャイナの暴走衝突船長を処分保留で釈放させたらしいともっぱらの噂になっておりましたから、この時期に突如として引責辞任するのなら別の理由があるのでは?と詮索してみましたら……。

■辞任の約1週間前に鹿児島で初の死刑か?無罪か?の究極の選択を迫られた裁判員裁判で、見事?検察の捜査と主張が真っ向から否定されて無罪判決が出ておりましたなあ。これは鹿児島市で昨年6月に高齢夫婦が殺害された凶悪な強盗殺人の裁判でしたが、ずっと無罪を主張していた白浜政広被告(71)が無罪判決を受け、危うく検察に殺されるところだったところを裁判員に救われたような話になりまして、御本人が判決後に晴れ晴れとした顔で早々と記者会見に臨んでいましたが、鹿児島地検は22日になって、「犯人性を認めなかったのは事実誤認」として控訴に踏み切っております。

■この控訴が検察の恥の上塗りになるのか、検察が威信を回復して信頼を得られるようになるのか?今のところは不明ですが、弁護側から「現場で採取された細胞片のDNA型鑑定や指紋・掌紋に偽装工作や捏造があった疑いがある!」と、まだ記憶も生々しいDNA型再鑑定の不一致で無罪釈放となった菅家利和さんの足利冤罪事件を思い出させるような厳しい反論が出され、判決は「偽装・捏造」とは断定できないけれど、被害者宅の網戸に付いていた細胞片は被告のものであっても、被告がいつ触ったのかは特定できない等の合理的な判断を下したのでした。ここでも大阪地検特捜部が仕出かしたフロッピー・データを改竄して証拠を「捏造」するという前代未聞の愚行を連想させる指摘があったのでした。

■無罪判決によって地に落ちた検察の権威は回復されないどころか、更に泥を塗られてしまったようなものですから、鹿児島地検は意地でも控訴して自分達が提出した「証拠」を認めて貰おうと考えるのは当然でしょうが、もしかしたらこの判決を聞いて検事総長は那覇地検を犠牲にして辞職を免れた己の行動を正当化し続けられないと思い至ったのではないでしょうか?

■間の悪いことに、この全国の注目を集めた死刑or無罪の裁判員裁判が鹿児島地裁で行なわれていたのも、検事総長が思い詰める原因になったかも?2003年に鹿児島県議選をめぐる選挙違反で起訴された被告12人全員が無罪になった「志布志・県議選事件」が未だに決着していない事を検事総長ならよく知っているでしょうからなあ。


志布志・県議選事件で無罪が確定した志布志市民らが起こした国家賠償請求訴訟は(12月)1日、鹿児島地裁(牧賢二裁判長)で進行協議があった。地裁が国と県に捜査記録の任意提出を促した文書送付嘱託について、県は「捜査会議議事録は作っていない。備忘録、メモもない」として提出できないと回答した。……国は来年2月4日の進行協議までに提出の有無を判断する見通し。同訴訟とは別に住民7人が県に損害賠償を求めた訴訟の進行協議もあり、県警の取調官8人と原告7人の尋問、関係者1人を証人尋問する方向で協議した。
2010年12月2日 南日本新聞 

■江戸時代の隠れキリシタン狩りでもあるまいし、「踏み絵」もどきの拷問まで行なった捜査は全国的に有名になりましたが、被害者が多いこともあり国家賠償の請求額は2億8600万円にもなるそうです。マニフェストを実行する財源が無くてピーピー泣いている現政権にとっては大きな負担になりそうであります。これから真相が明らかになる大阪地検の証拠改竄事件にも対応しなければならず、自分が総長に就任する前の失態に関してもあれこれ責めらそうだし、などと考えると尖閣衝突事件が起こる前に、大阪地検の改竄が発覚した直後に辞職しておけば良かったなあ、と御本人が考えたかどうかは分かりませんが、菅アルイミ内閣の代に検事総長が任期途中で辞職した事実は永久に記録に残るわけであります。

支持率よりも安全保障を 其の壱

2010-12-21 16:00:08 | 歴史
■大国を巻き込んだ上で痛み分けの休戦状態の国と世にも珍しい国家としての生存権を放棄したような憲法を後生大事にしている国とは行動原理が根本的に違うのは当然なのでしょうが、国連安保理の小田原評定には目もくれずに計画通りに自国領内での射撃訓練をする韓国と、役にも立たない「情報収集」を外務省に命じておいて首相官邸にクラッシャー小沢を呼びつけて1時間半も無駄話をしている日本とを比べてみますと、日米安保と米韓同盟とを結びつけて東アジアの安全保障体制を万全なものにする事など到底無理だと分かりますなあ。

北朝鮮が延坪島砲撃など黄海で軍事緊張を高めている背景には、朝鮮戦争休戦(1953年)以来、不利になっている領海の拡大などに向けた軍事的、政治的面での多目的作戦がある。軍事的緊張激化で海の南北境界線の“紛争化”を米国など国際社会に印象付ける一方、韓国に対しては“戦争の恐怖”で世論を対北平和・対話ムードに誘導し、李明博・保守政権を揺さぶる狙いがある。一方、北朝鮮では対外的緊張で国民の危機感を高め、後継体制づくりという不安定な権力過渡期を国民団結で乗り切る考えだ。こうした作戦が結果的に金正恩後継者の手柄として、その崇拝・神格化につながるというわけだ。したがって北朝鮮の狙いはあくまで局地紛争による“政治的効果”であって、本格的な軍事衝突や全面戦を考えてのことではない。 

■ラングーンでの韓国大統領爆殺未遂事件や、最近もテレビで映像化された大韓航空機爆破テロを命じたのは、今の将軍様が継承した権力を強化するための傍迷惑な儀式だったことが判明しているのですから、三代目襲名!にも同じお披露目の儀式が必要なのでしょう。柳の下に2匹目3匹目の泥鰌を探す気持ちは、日本の菅アルイミ首相の「小沢を叩けば指示が上がる」という断末魔の信仰心とも共通しているのかもしれませんが、どちらにしても国の愚策に翻弄される側の国民にとっては有難くない話でありましょう。


北朝鮮が最近、軍事挑発を繰り返している北方限界線(NLL)は朝鮮戦争休戦に由来する。休戦当時、北朝鮮周辺の制海権は韓国・国連軍が握っていて、北朝鮮軍はどの島も支配していなかった。このため国連軍司令官は延坪島や白●島など西海5島と北朝鮮本土の中間を海の境界線として、一方的にNLLLを設定した。これに対し北朝鮮は当然、不満だったが海上支配力がなかったため事実上認めてきた。艦艇や漁船などNLL外への進出も控えてきた。 

■渋るスターリンから強引に戦車や飛行機を借り出して韓国に攻め入った自称・金日成には最初から海上兵力の備えは無く、元々、ソマ満国境の森林地帯での軍人体験しか持たない指導者の限界が露呈したいたようなもので、二代目になっても奇怪な工作船やドラム缶みたいな小型潜水艦より立派な軍艦を並べることは無かったのでした。形勢が逆転して自国の国境に国連軍が迫った時に、毛沢東の独断で「義勇軍」300万人を送り込んだ中華人民共和国も、旧日本軍が残した武器やソ連から援助された兵器を寄せ集めていた段階で、とても大海軍を作り上げる能力はありませんでしたからなあ。


しかし近年、西海5島を含む周辺海域は北朝鮮の領海だとしてNLL無視の動きを見せ、南北間で衝突が相次いでいた。哨戒艦撃沈や延坪島砲撃はその延長線上にある。北朝鮮は60年続いた休戦体制を力で変更しようというわけだ。現在のNLL体制では最北端の白●島から北朝鮮の首都・平壌までは150キロ、韓国のソウルまでは210キロ。北にとっては気になる距離だ。しかし北が新たに主張している境界線だと、ソウルは北の領海から約100キロで、韓国の対北防衛体制は大きく揺らぐ。仁川国際空港などすぐそこだ。 

■今は立派なハブ空港や港湾を整備した都市の仁川ですが、ここは両国にとって忘れられない「仁川上陸作戦」が実施された歴史的な場所であります。一旦は半島南端の釜山まで包囲された韓国がマッカーサー指揮下の連合軍がノルマンディーさながらの大規模な上陸作戦を敢行したことで救われ、逆に北朝鮮側は伸び切った兵站線を真っ二つに切り離される危機的状況に陥り、命からがら北へ北へと逃げ帰った朝鮮戦争の分水嶺となった記念すべき?場所であります。北朝鮮の軍部などは恨み骨髄の仁川を奪い取って旗でも立てたい心境かのかも知れませんなあ。


北朝鮮はNLLを軍事紛争化し、米国(国連軍)との間で新たな境界線設定など“平和協定交渉”を狙っている。韓国としては軍事挑発を繰り返す金正日・正恩軍事独裁政権を相手に、領海譲歩の現状変更には絶対に応じられない。北朝鮮は一連の軍事挑発でNLLの紛争化に成功しつつあると評価しているはずだ。さらに“戦争脅迫”が韓国世論を李政権批判に向かわせ、新たな対北融和政権誕生につながることを期待している。これに対し韓国政府は「今度こそは断固たる対応」を取ることが北の軍事挑発と狙いを挫く道と判断している。南北の緊張・対決は続きそうだ。
●=領の頁を羽の旧字体に
2010年12月21日 産経新聞 

■勝手な屁理屈で領土・領海を好き勝手に拡張する所業は決して北朝鮮だけのものではなく、救いの主・養い親も同然の北京政府が偉大なる?お手本になっている可能性が高いと思われます。北朝鮮の南侵開始は1950年の6月25日ですが、前年の1949年10月に中国共産党軍は国民党軍を駆逐して全土を掌握すると同時に「チベット解放」を宣言しまして、着々と準備を進めて1950年10月7日に8方向から東チベット地域に侵攻を開始するのであります。世界の目が朝鮮半島に釘付けになっていたからチベットを侵略したのか、チベット併合を見習って半島統一を急いだのか、鶏と卵みたいな話ですが、何らかの連関があったと思われます。

■北朝鮮がNLLにイチャモンを付け始めるのは、北京政府が勝手に『領海法』を制定して南シナ海から日本近海まで、尖閣諸島も西沙諸島も南沙諸島も、全部丸ごと自国の領土だ!と規定したのが1992年で、1997年には軍事的な海洋権益の維持を明記した『国防法』まで制定して、今年の尖閣衝突事件を起こしているのであります。では、北朝鮮がちょっかいを出しているNLLの方はどうかと申しますと、朝鮮戦争の「休戦協定」が締結された1953年7月の翌月に米軍主導の国連軍が独自に設定したもので、70年代半ばからちょいちょい越境事件を起こし始め、チャイナが『国防法』を定めた2年後の1999年9月に、NLL設定は「他人の家の庭にひそかに線を引く白昼強盗のような行為」だった!と北朝鮮は騒ぎ始めました。お手本通りにNLLの南方に「海上軍事境界線」と称する独自の境界線を設定して勝手に「領海だ!」と宣言したのでした。そんな経緯の中で今年3月の韓国海軍哨戒艦撃沈事件が起きて乗員46人が戦死したのであります。

■砲撃事件の後、北京政府が相手を間違えて韓国政府に「自制」を促して埃を被っている6カ国協議を再開しましょうよ、などと能天気なことを言い出したのも、今回の国連安保理で北朝鮮を名指しで非難する文書に断固として反対したのも、本当は自分が手本にされている事が理由なのではないでしょうかな?近々、台湾に向かって「砲撃」するかも知れないし……??。

キナ臭い年末 其の伍

2010-12-21 09:36:02 | 外交・情勢(アジア)
■12月20日の菅・小沢会談は復活したイラ菅がしつこく「同じことを」くどくどと何度も怒鳴り散らしていたとの情報が漏れて広まっているようです。その剣幕でチャイナやロシアと渡り合ったらよいものを……。元代表・元幹事長のクラッシャー小沢を相手に言いたい放題のパフォーマンスをして、さんぞや菅アルイミ首相は溜飲を下げつつ、小沢叩きで支持率アップ!と悲しくも情けない皮算用をしているようです。自業自得で自ら消費税論議を封印せざるを得なくなり、数合わせのためだけに一度は手を切った社民党を抱き込んだ新たな足枷を求め、その結果、理念もマニフェストもかなぐり捨てた支離滅裂なパッチワーク予算を作っても、「小沢外し」の茶番劇で国民の支持が得られると本気で考えているのでしょうか?

■「石にかじりついても」総理の椅子にしがみ付くと、この一点だけは決して揺らがぬ固い信念の亡者となった菅アルイミ首相なればこそ、政権交代を実現したバカ勝ち選挙を指揮した功労者のクラッシャー小沢を生贄にするのも平気なら、国民の知る権利に益することをした海上保安官を血祭りに上げるのも平気なのでしょう。しかし、日本の海上保安庁に対する国家機密漏洩に関して厳しい処分が決まるという時に、チャイナの漁船が何をしているのかを如実に教えてくれる「映像」が韓国から素早く世界に向けて発信されるというのは実に皮肉な話であります。


韓国海洋警察庁によると、18日、黄海にある韓国・於青島(オチョンド)沖の排他的経済水域(EEZ)で、同庁警備艦(3000トン)の海洋警察官4人が違法操業していた中国漁船(63トン)に停船命令を出し、小型ボートで漁船に乗り込もうとしたところ、漁船員から突然、鉄パイプで殴られるなどの暴行を受け、4人が右腕骨折などの重軽傷を負った。漁船は警備艦に突っ込んだ後、沈没した。警備艦と周囲の中国漁船が沈没した船の漁船員10人中、8人を救助したが、1人が死亡、1人が行方不明となり、同庁が捜索を行った。周辺には当時、約50隻の中国漁船が操業していた。……黄海で中韓両国のEEZは重なっており、完全に画定していないが、現場海域は漁業協定などにより、韓国側のEEZとすることで合意済み。韓国外交通商省は18日、在韓中国大使館に対し、電話で「人命が失われる結果となったのを遺憾に思う」と伝えた。中国側は、「行方不明者の捜索などの面で協力していく」と応じた。抗議はなかったという。菅首相は18日夜、前原外相に衝突事件に関する情報収集を指示した
2010年12月18日 読売新聞 

■日本政府がいつの間にやら国家機密に指定した証拠映像は、いまだに全面公開はされておらず、噂として「鉄パイプで殴られるなどの暴行」に匹敵する凄まじい抵抗を受ける海上保安官の姿が映っているとかいないとか……。神戸の保安官が流出させた映像には疑惑の「逮捕場面」が含まれておらず、職務に忠実な海上保安庁の中から真相を伝える声は出て来ませんから、日本国民は韓国とは比べ物にならない情報統制下にあるとも申せましょうか?

■それにしましても、菅アルイミ首相は何のために「情報収集を指示」したのでしょうなあ?救助された8人の漁民?は逮捕されるのでしょうが、まったく抗議をしないチャイナの態度には唖然としてしまいますなあ。菅アルイミ首相や仙谷ノーコメント官房長官は隣国の対応をどう思っているのでしょう?是非とも聞いてみたいものです。


……中国漁船衝突のビデオ映像流出事件で、ネットへの投稿を申し出て警視庁から任意聴取を受けている神戸海上保安部(神戸市)の海上保安官(43)が海上保安庁に辞職を申し出ていることが政府関係者の話で分かった。海上保安庁は辞職を認めていないという。警視庁は国家公務員法(守秘義務)違反容疑で近く書類送検する方針で、海保はそれを受けて年内にも保安官を処分する方針。併せて、映像の管理責任を問い、複数の部署の関係者を大量処分、鈴木久泰長官も、馬淵澄夫国土交通相が責任を問うとみられる。……海保は政府の限定公開方針にあえて反して一般公開した行為が懲戒事由に当たると判断するとみられる。また、庁内ネットの使い方を誤り、映像流出を招いた第11管区(那覇市)、海上保安大学校(広島県呉市)、数十人の保安官が映像を見ていた第5管区など、複数部署の幹部らを管理上の落ち度があったとして処分する
2010年12月19日 毎日新聞 

■国家機密の「使い方を誤り」、外交でも内政でも大失敗をした菅アルイミ内閣の方は無傷で、他の事件・事故と同様に情報を共有して全管区で学習・研究に資すると同時に、全国民向けの広報用に映像を編集して保存している慣行を無視して突如として「国家機密だ!」と言い出したのは菅アルイミ政権でした。命懸けの仕事をしている韓国の海洋警察官と日本の海上保安官なのに、地位や扱い方には大きな違いがあるようです。そんな国の内閣がまとめた『防衛大綱』が骨抜きにされて画餅に帰するのも時間の問題かも知れませんなあ。
-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

キナ臭い年末 其の四

2010-12-20 16:16:40 | 外交・情勢(アジア)
■韓国の聯合ニュースは20日に、国防省スポークスマンの話として、韓国軍が延坪島からの射撃訓練を午後1時から実施すると報じました。これは偶然にも長引いた菅・小沢会談が終了した直後みたいなタイミングで、何処かの政党とは違って韓国は断然、「有言実行」を貫いて計画・予告通りに射撃訓練を行なったそうな……。

……(韓国)政府消息筋は19日、「韓国軍の延坪島海上射撃訓練方針に対応し、北朝鮮軍が全般的に緊張の程度を高めている」とし、このように明らかにした。北朝鮮砲兵部隊は対応態勢の格上げに基づき、放射砲の一部を前方地域に移動する体制を整えたと伝えられた。また西海岸の空軍基地の格納庫にあった戦闘機の一部が、地下格納庫から出て地上で待機していると、韓国軍当局は判断している。…… 

■地下格納庫から引っ張り出しても戦闘機を思う存分に飛ばす燃料が不足。さらに昔のベレンコ中尉みたいに訓練中にパイロットが逃亡するのを恐れて短時間しか飛行させられないともっぱらの噂の北朝鮮ですから、人間を動かして燃料を使わない「対応態勢」を取るのが精一杯なのでしょうなあ。韓国側は「再び砲撃されたら航空機で反撃する!」と断言しているのですから、過剰反応で戦闘機を発進させたら骨董品みたいな旧式飛行機で戦うよりも、さっさと翼を振って降参し韓国へ亡命するパイロットが続出するような気もしますなあ。


北朝鮮の……祖国平和統一委員会は18日、インターネット扇動サイト「わが民族同士」に載せた論評で、「この地で戦争が起これば、朝鮮戦争(6.25)当時とは比較にならない、とてつもない核の惨禍がわが民族の頭の上を覆うことになる」と主張した。外務省は18日の談話で「最も主となる責任は南朝鮮の傀儡を挑発でそそのかした米国にある」と述べた。また今回の訓練に一部の在韓米軍兵力が支援任務を遂行するのと関連し、「人間の盾まで米国が直接用意している」と非難した。…… 

■日本のテレビ・メディアの中には韓国内に点在する核シェルターの実態を報道しているところがあるようですが、人海戦術やトンネル工事や特殊工作員によるテロではなく、露骨に核を使うぞ!と脅迫するようになると、韓国側でも核武装論が湧き起こる可能性がありそうです。本当に使用可能な核兵器を所有しているのかどうか?確証は無いのに既に核保有を前提に使用を匂わせて脅迫に出るのは、相当に追い詰められている証拠なのでしょうが、迎撃技術が未完成の段階で核使用を予告するような悪質な宣伝をし続けると、報復用の核兵器を周辺国が持たねばならぬと考えるようになるのは当然の話で、「半島の非核化」という大嘘が破綻してしまったら、いよいよ北朝鮮は破滅の道を突き進みそうな心配が出て来ました。


在日本朝鮮総連機関紙の朝鮮新報は18日、「延坪島事態が発生した時、南側が準備していた戦闘航空機による対北朝鮮爆撃が途中で中止になっていなければ、局地戦の枠組みを抜け出し、全面戦争に拡大する可能性もあった」と強調した。……
2010年12月20日 中央日報日本語版 

■そもそも韓国が戦闘機を発進させねばならないような砲撃を仕掛ける側が悪いのでしょうに?!勝手に「局地戦」で終わらようと虫のいい事を考えての不意打ちを喰らって面子を潰された韓国軍は、今頃、あの時途中で中止などしなければ良かった!と思っていることでしょうから、次も局地戦で収まると思ったら大間違い。それを心配している金欠病の米国と緩衝地帯を失わず韓国とも商売を続けたいチャイナとが、硬軟使い分けて事態の収拾に動いてはいるようですが、韓国の面子を立てる工夫が出来ないままだと北朝鮮国内の家庭の事情次第では軍部が暴発して韓国を激怒させてしまう危険が残りますなあ。拉致犯罪とミサイルに加えて裏献金やら麻薬犯罪やら、日本も堪忍袋の緒を切って積年の怒りを少しは表明しては如何なものか?と菅アルイミ首相には荷が勝ちすぎるとは分かっていても、つい考えてしまいます。

キナ臭い年末 其の参

2010-12-20 16:16:00 | 外交・情勢(アジア)
■やはり話はちょっとキナ臭い「選挙」へと収斂して行きます。

「……現在の民主党の状況を考えたとき、いつ解散・総選挙があるかわからない。ひょっとすると早いぞ、とそのようなことも言われているような状況ですが、決して楽観はできる状況ではないことは皆さま方ご案内の通りです。こういう厳しいときだからこそ、後援会が頑張ろうじゃないか、と大変暖かい気持ちをいただいたことを本当にうれしく思っています。皆さま方のお気持ちを一つにさせていただくことができるかどうか、その判断は皆さま方に委ねさせていただきますが、その折にはしっかりと国益に資するような鳩山に戻らせていただくような、そんなことをさまざま行動で示させていただきたい。命を大切に、国民の生活を第一にする政治を取り戻すためにこれかも皆さんとともに頑張ってまいりたい」
2010年12月18日 産経新聞  

■「皆さま方のお気持ちを一つにさせていただくことができるかどうか」という実に回りくどい言い方は矯正不能のようですが、「解散・総選挙」を最も恐れているのは菅アルイミ首相ですから、この発言は北からの脅迫みたいなものですなあ。過去を恥ずかしげもなく極度に美化してしまう「国益に資するような鳩山に戻らせていただく」などという発言が繰り返されるようだと、後援会の皆様もいよいよ精神上の疾患を疑い始めるかも知れません。「国民の生活を第一にする政治」はクラッシャー小沢のキャッチフレーズだったはずで、何にでもくっ付けられる便利な「友愛」と融合したのが奇怪なマニフェストだったのですから、国民の多くを失望させ激怒させている元凶をもう一度引っ張り出して悪夢のような迷走政治を再現するのだけは御免蒙りたいものであります。

■米国に不振感を抱かせ沖縄の普天間基地を移転させる話をぶっ壊し、鵜の目鷹の目で隙を狙っていたチャイナとロシアに無言の招待状を送ったようなものの鳩山外交でしたが、その失点を少しは取り返すと思ったら菅アルイミ内閣は御丁寧にもチャイナの怪しい暴走泥酔船長に「お帰り願う」一方で、誰が決めたか知らない国家機密を漏洩したとて海上保安官が罪人になったばかりか、恣意的な機密指定のとばっちりを受けて数十人の職員も処分されるのだそうですなあ。一体、どっちを向いて政治をしているのやら……。でも、金輪際、前首相に「自分だったら」などと考えては欲しくありません。

■その後の菅アルイミ政権は、沖縄をもっと怒らせ、ロシア大統領の北方領土上陸を許し、財源の保障がない国家予算と『防衛大綱』をまとめ上げたのですが……。


国連安全保障理事会は19日、緊急会合を開き、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件後、緊迫化する朝鮮半島情勢について協議した。声明で北朝鮮を名指し非難するかをめぐり、日米などと中国の溝は深く、交渉は難航。同日中の声明発表を見送った。……会合開催はロシアが要請した。同国は目下の緊張を緩和するため、韓国、北朝鮮双方に最大限の自制を求める内容の声明案を各国に配布。これに対し、日米など多数の国が、韓国を砲撃した北朝鮮を非難する文言を盛り込むよう主張した。ロシアはこれを受け入れる姿勢を示したが、中国は事件への具体的な言及にすら反対し続けたもようだ。 
2010年12月20日 時事通信 

■北朝鮮の砲撃事件は韓国の「友愛」精神を吹き飛ばし、本当に脅迫される立場のチャイナは尖閣衝突事件を棚上げするように「6カ国協議」の再開を提案して関係諸国から顰蹙を買い、北方領土の領有をなし崩しに推し進めるロシアが国連安保理の開催を呼び掛ける。
先に起こった哨戒艦撃沈の際に韓国を見捨ててしまった安保理には担当能力があるとは思えませんし、北朝鮮の崩壊を無条件に避けたい北京政府が拒否権を持っている限り、何時間の議論を重ねたところで何の成果も出ないのは当たり前の話であります。日本はあれよあれよと相手の注文どおりに懸案事項を忘れて行くのでしょうか?

キナ臭い年末 其の弐

2010-12-20 15:10:40 | 外交・情勢(アジア)
■鳩山サセテイタダク前首相の「辞めるのを止める」寝言の続きです。

「いまこそ、民主党が一致団結をして挙党態勢を作らなければならない時ではないか。……いまこそ、いがみ合うのではなく国民の皆さまにご信頼をいただけるような体質に今一度作り代えていかなければならない」 

■「今一度」というのは過去に起こった同様の事象が前提となるはずですが、民主党が「国民に信頼される」政党になった瞬間があったのか?自民党型の政治が続けられないと判断した有権者が民主党に投票したのは、決して「信頼」などという余裕のある気持ちからではなかったはずです。まさか、自民党よりも悪くはなるまいから……と「変化」を求めただけの話で、マニフェストに羅列された夢見がちで相矛盾する公約に不安を抱きながらも一度だけの賭けに出たところが、もっと悪くなるばかりの政治に怒り、呆れ、「聞く耳持たず」の心境に至ったのでありましょう。


「私は自分自身、民主党を立ち上げるときに存在した人間でありますが、だからこそ、よく分かっています。民主党を政権交代のできる政党に高めることができたのは、いわゆる小沢先生(の自由党)と合流をして、民由合併を成し得たからだと思っております。ややもすると民主党の体質が必ずしも保守ではないかと思われていますが、その民主党に対して保守的な、保守の安定した考えをリードしてくれる方が入ってくださったことで民主党が大きく躍進をとげることができたと確信をしております。……

■「政権交代のできる政党」になったのは単に頭数が揃ったからでしょう。特に比例区で当選した議員の中には変な有名人が紛れ込んでいるようですし、選挙に強い小沢伝説が時を得て自民党の固定票を根こそぎに奪って大勢が決まった結果、「友愛」も「保守」も関係の無い候補者がぞろぞろ出現して不思議な追い風に乗ってうっかり当選して一度だけの大勝を得ただけのことでした。その証拠に勝った後は絶対に選挙しないぞ!という一点だけで民主党は団結していますなあ。


「だからこそ、さまざまな政策を議論しながら高めていくことができた政党だとも思っております。その民主との良さというものが失われてはなりません。いまこそ民主党の良き文化や伝統を取り戻さなければならない。民主党の原点を忘れてはならない。原点を思い出して、行動しなければならない時だと思っております」 

■「さまざまな政策を議論」してしまったからこそ、奇怪なごった煮マニフェストが出来上がってしまったのでしょう。何処かにある謎の財源の在り処を知っている!と言い出したのは誰だったのか?今となっては謎ですが、少なくとも幻の財源を大前提にして農業・道路・子育てなどの自民党が握っていた票田を奪うためにこそ、予算も組めないほどのバラマキ公約を並べてしまったのでしたなあ。民主党に「良き文化」などという物があるのなら、それは無責任に夢見がちに「政権交代」を仲間内で語り合っていた古き良き時代の一時期を思い出しているとしか思えませんぞ。

■「原点」「原点」としつこく拘る鳩山前首相は、自分が民主党の創設者で最も偉いのだ!と言いたいだけのようです。「政治とカネ」の一点張りで追い回されているクラッシャー小沢と並んで、御自身も醜悪な疑惑を持たれている事実を、すっかり忘れてしまっているようですなあ。


「民主党はこの北海道9区からスタートした政党です。9区の後援会の幹部の方が一番お分かりだと思います。いまこそ党を一つにすることが、国民の皆さま方に、国益に資する体質の民主党に育て上げていく、大変重要なときだと思っておられると思います」 

■地元の「北海道9区」は大切にするけれど、最も遠い選挙区の沖縄に対しては甚だしく無責任な言動で基地移転を白紙に戻すような乱暴なことが出来たのか?と意地悪く問われそうな発言です。鳩山家の占拠地盤がそのまま民主党の生誕地だとは誰も考えていないのではないでしょうか?歴代総理の中で最も「国益に資する体質」ではなかった人が、「今こそ」などと力説しても「国民の皆様が聞く耳を持って下さらない」政権末期の悲しい状況が再現されるだけでしょう。


「国民の声を忘れてしまえば、その政党の未来はないと思います。国民の皆さま方の声を大切にさせて、そして国益に資する政治というものを行わせていただくために、鳩山自身、皆さま方のご期待というものをいただけるのであれば、次の衆院選挙においても行動をともにさせていただきたい、そのように感じているところであります。言うまでもありません。後援会の皆さま方がお認めをいただけるかどうかにかかっておりまして、自分一人で突っ走ってまいるつもりはございません。皆さま方とともにこれからも、もし、ふるさとのためにもっともっと汗をかけとご指導をいただけるなら、そのようなことをこれからも行わせていたければと思っているところでございます」 

■「外交」だの「国益」だのと大きな事を言っていたのに、最後は生まれ故郷でもない「ふるさとのために」利益誘導の話になってしまうのは仕方がないのでしょうなあ。本当に「後援会の皆様方」の力で「自分一人で突っ走って」しまわないように出来るのならば、総理大臣に就任してすぐに「ご指導」して欲しかったですなあ。

キナ臭い年末 其の壱

2010-12-20 15:09:59 | 外交・情勢(アジア)
■年の瀬に意味も目的も分からない無駄な会議や会談が内外で開かれているようであります。12月20日には性格は違っても積もりに積もった長年の怨念が破裂しそうな「一触即発」の事態が、日本の首相官邸と朝鮮半島で続いて発生。世界中が固唾を呑んで見守る半島情勢の緊迫化については後で取り上げることとして、マスコミが冷笑に附してまともに取り上げない現政権政党の前代表・前総理大臣の軽気球みたいにますます軽くなった発言を取り上げます。

■寄り合い所帯の政権与党が元々不得手の外交で大失敗した上に、とうとう税制も変えられず予算もまともに組めない現実を国民の目の前に突きつけてしまった時に、日本を危機的状況の追い込んだ張本人が「ベター」な話をしに行った現総理大臣の露払い役も務めず何処で何をしているかと思ったら……。


鳩山由紀夫前首相は18日、北海道苫小牧市内で開いた自身の後援会役員会で、政界引退を正式に撤回した。発言の詳細は次の通り

「私も議員を続けさせていたくべきか悩んでおりますなかで、さまざまな外交の問題も直撃しました。『自分だったらな』とさまざまな思いを申し上げたこともございました。信頼関係というものが外交のある意味での基本だと思っております。その信頼関係をわずかな期間でしたけれども、アジアを中心に結ばせてもらった。そのことを国益に継がせさせていただくことがきようかな、とそのようにも感じて行動して参りました。…… 

■恥を晒して政局の要所要所にひょこひょこ顔を出しているのは如何なる神経が為せる業かと訝っておりましたら、御本人は真面目にこんな事を考えていたのか!と大いなる発見をした思いが致します。日米間の「信頼関係」を危うく消滅させるような大失敗をしておきながら、鳩山政権の外交は「アジアを中心に」成功していたとはついぞ知らなんだ。誰も「嗚呼、この時に鳩山総理だったら……」などと考えたこともなかったでしょうに、何と御本人は「自分だったら」と本気で考えていたのですなあ。


中国に参りました。韓国にも参りました。(首相を)辞めたことは残念だけど、これからもおつきあいしようじゃないか。自分も大統領辞めてもあんたとは一生付き合っていきたい、そんなお気持ちまで頂戴をいたした方もございます。ベトナムにいった折にも、まだ最終結論が出ていなかった原子力やレアアースについても、おかげさまで、結論をそのときに頂戴を基本的にできたことは何よりだと思いました」 

■「大統領」ということは韓国の李明博大統領が「一生付き合っていきたい」と言ったのでしょうか?もう会ったことも忘れているような気がするのですが……。ベトナムとの商談成立を自分の手柄みたいに喋ってしまっても大丈夫なのでしょうか?他に自慢の材料が無いからでしょうが、幼稚な牽強付会・我田引水の悪い癖はしっかり直しておかないと高齢化が進んでいるように見受けられる地元の後援会の皆さんからも見捨てられそうです。


「そして、国益ということを中長期的に考えたときに、こういった外交案件に関して、自分なりの役割というものを、(議員)バッジを付けて果たしていくことの方が望ましいのか、あるいはバッジを付けなくても十分にこなすことができるのか自問自答した。多くの先方の方の話も伺いましたが、やはり国会議員として行動してもらいたい、という先方からのお気持ちもたくさん頂戴したところでございます」 

■仮に「前言撤回」をせずに議員を辞めていたとしても、国益にかかわる「外交案件」に手を出す心算だったのか?!「先方の方」とは誰なのか?少なくとも党を二分して血みどろの権力闘争をしている民主党の半分は推理の候補にさえならないでしょうし、少しでも手勢が欲しいクラッシャー小沢あたりの甘言だったのか?


「……私が民主党を作った張本人です。その張本人として申し上げれば、民主党こそ、それぞれある意味での出自はさまざまあります。考え方もさまざまです。しかし、それをお互いにぶつけながら、議論というものを大いに自由闊達に行いながら、一つは和というものを大事にして、友愛精神のなかで党を運営してまいりました。さまざまグループは存在してまいりましたが、グループがいがみ合うのではなくて、むしろ協力し合って、民主党という党の一体感を作り上げることができた。その民主党の友愛の政策、そして友愛の体質が、ある意味で壊れ始めているのではないか、非常にそのことを心配している。国民の皆さんに、民主党の原点に戻んなさい。沢山の方からそのような気持ちも頂戴をいたしております」 

■「民主党の原点」とは何か?2度、3度と発表された空手形と嘘ばかりのマニフェストを読み直せば分かるのでしょうか?自民党に安住できなくなった一派、旧社会党から逃げ出した一派、政党自体が消滅した旧民社党系の一派、その他諸々が吹き溜まって政党になったのは「友愛精神」とは無縁の鳩山ママさん基金が放つ強烈なカネの臭いだったのではなかったか?悪評高いマニフェストを生み出した党内での議論なら、「自由闊達」ではなく「支離滅裂」と言うべきでしょうし、「党の一体感」があったのは後先考えない「政権交代」という四文字熟語を旗印にしていたからでしょう。そもそも鳩山サセテイタダク前首相とその奥さんの口からしか「友愛」の二文字を聞いたことがないのですから、外交政策のみならず党内管理の面でも「友愛」を振り回して自ら窮地に追い込んでしまったようですなあ。

首相と海老蔵、二つの会見 其の壱拾

2010-12-12 11:33:24 | 政治
--この臨時国会で野党側が強く求めていた小沢一郎元代表の国会招致が結局実現しなかった。岡田克也幹事長も「実現に向けて努力する」と言っておきながら、実現できなかった。首相自らが小沢元代表を説得する考えはあるのか。もしくは民主党の代表として離党勧告に踏み切る考えはあるのか

「……代表選の折でも小沢元代表自ら『国会の決定にはいつでも従う』と、国会における説明を自ら示唆をされていたわけであります。私はやはりご本人が国会の場できちっと国民の皆様が納得されるような説明をすることが必要だろうと思っています。現在、岡田幹事長がその方向で努力を続けてもらっているわけでありまして、最終的な段階で私に対して何らかの判断が必要だとなれば、今申し上げたような方向でそういったご本人の国会における説明をやってもらうように、そういう判断が必要であれば、そういう立場から対応していきたいと思っております」 

■つまり、自分の手を汚さずに多数決による「国会の決定」を経てクラッシャー小沢に面と向かって「代表選の時に言った約束を守って下さいよお」と言うかも知れないなあ、と言っているのでしょう。しかし、何度も連絡が取れない、会えない、と泣かされた相手にこんな事を伝える機会などあるのでしょうか?民主党の総意をまとめられず、他党の協力を頼んで直近の代表候補を国会に呼び出して吊るし上げの生贄にしようと言うのですから、随分と残酷で陰惨な話であります。マルクス・レーニン主義の垢が取れない仙谷ノーコメント官房長官の趣味なのでしょうか?

■クラッシャー小沢も北京で「人民解放軍の野戦軍司令」を自称した陰謀・政局が飯より好きな武闘派ですから、「国会の決定」には従うけれど、「国会の決定」が下される前に得意の分裂新党結成に走り出す公算が高いようです。巷間言われるように「付いて行くのは20~30人」かも知れませんが、中途半端に残った過半数割れの民主党が打って一丸となるとは思えませんし、隠れキリシタンみたいに党内に小沢シンパが潜伏して時限爆弾か地雷原のようなことになりはしますまいか?


--予算について法人税5%という議論がありますが、首相は5%という数字にこだわりがあるのか。また、政策経費71兆円、国債発行44兆円という大枠はすでに決まってるが、これは死守するのか

「法人課税については……関係者の間で活発な議論がされています。何%がどうかということはですね、最終的には私が判断いたしますが、今何%がよくて何%がだめだというところをこの場で申し上げることはちょっと控えておきたいと思います」 

■数値を避ける菅アルイミ首相には、自民党案を参考に10%!と消費税論議の口火を切ってしまったトラウマが残っていることが分かりますなあ。だから「関係者の間で」政策論議が迷走するのですが……。


「……44兆円の国債あるいは71兆円の一般経費の枠というのは私が財務相のころにもそういう趣旨のことを申し上げて……閣議決定までしているのですから、当然のこととしてそれをきちっと守っていくとこういう考えです」 

■子供手当てを筆頭に、選挙目当てで社会保障制度と農業(不)振興政策などのバラマキをするのなら、「きちっと守」れる金額ではないような気がしますなあ。仕分け作業で躓き、公務員改革に失敗したツケが来年度予算の編成に響きそうです。

首相と海老蔵、二つの会見 其の九

2010-12-12 11:33:06 | 政治
--参院選で消費税の増税を掲げたが、参院選で敗北した後はめっきりと発言が減ったように思う。……基礎年金の国庫負担は、来年度分は特別会計などで何とかやり繰りする考えかもしれないが、再来年度以降は先送りは許されない。消費税問題をどのように取り組むのか。取り組むのであればいつまでにやる考えなのか

「わが党の再スタートした政調の中で……社会保障のあり方と財源。それには消費税や所得税、法人税含むですね、税制合わせての議論をするということの作業も進んでおりますし、今政府と与党の間でそうした社会保障と財源をめぐる議論の場もできております。……この課題については、党としての取り組みも含めてですね、しっかりと何と言いましょうか足下を固めながらですね議論を進めていっていただいていると理解しております」 

■党内で意見の集約も出来ないのに「党としての取り組み」とは笑止千万。「足下を固めながら議論」などしていたら、何も決められないでしょうに?!、


「……他の党も社会保障の将来のあり方を議論する上では、財源の問題、つまりは税の問題も議論が必要だという立場をとっておられるいくつかの党も、有力な党もありますので、できればそうした場がですね、与野党間で作れることが望ましい。……まあそういったことが果たしてこの次の通常国会に向かってですね、まさに熟議の国会として、できるかどうか、まあしっかりと取り組んでいきたいとこう考えております」 

■まだ言っている「熟議の国会」。それが到底不可能であることは、党首討論からも逃げ回った菅アルイミ首相自身の態度が如実に示しておりましょう。どうせ内閣も政府も仙谷ノーコメント官房長官が仕切っているのですから、「熟議の国会」が実現しなかった責任を取って海老蔵と同じく「無期限謹慎」になっても、案外、何の支障も無いかも知れませんなあ。海老蔵は「海老蔵の名前の返上や、歌舞伎自体を辞めるという気持ちはないのか?」と記者に鋭く突っ込まれ「今のところ、そういったご質問に明確に答えるような状態ではございません」と教科書通りの慎重な答えで応じていたようですが、菅アルイミ首相は「石に齧り付いても」政権を手放したくないばかりに、絶対に「解散しない」と言われているようです。

■でも、鬼門の社民党と手を結んだことから、国会運営は混迷の度を深めて党内から総辞職して総理大臣の「名前の返上」を求める声が高まる可能性はありそうです。海老蔵が「新婚間もない麻央」に心から申し訳ないと後悔していたように、再び協力して貰えるようになった社民党と通常国会が開かれる前にすったもんだが起こるかも?


--首相は、社民党とのいわゆる政策ごとの部分連合を目指すという考えだと思うが、将来的には統一会派の結成、あるいは社民党の連立政権復帰ということも視野に入れているのか。一方で社民党で安全保障政策の根幹でもある米軍普天間基地の問題で離脱した。安全保障政策では大きな違いがあるが、そのあたりをどう克服するのか

「今日、朝の両党の党首会談の中で議論したことは……社民党としては今言われたようないくつかの問題では、こういう考え方だからという要望もいただきました。それに加えて来年度予算についてもですね、いろいろと共通の場を作って、場合によっては国民新党との3党の間で来年度の予算についてもできるだけですね、意見をすり合わせていきたいとこういうことを話をいたしました」 

■社民党の「考え方」を取り入れて妥協したら「来年度予算」が組めなくなるのではないでしょうか?国民新党の亀井さんに説得して貰う心算かも知れませんが、普天間問題で連立を離脱した時と同じく聞く耳持たずに飛び出して行ってしまうでしょう。


「まあ今の段階でそれ以上のことはお互いにまだ何かこう会派とかですね、連立の復活とかそういうところまでは特に議論は致しておりませんし。あまりあの、そういうことを考えると逆に難しい部分も出ますので、私は今の段階では、共通している政策について、あるいは予算について協力してやっていくと、そういうことで信頼をお互いに確かめ合っていくことが重要だとこう考えています」 

■「共通する政策」だけの賛成を取り付けたところで、来年度予算は可決されるとは限りません。立法府の仕事は予算を組んで法律を作ることなのですから、予算にも法律にも「部分」などは無いはずです。安易な小さな妥協が「蟻の一穴」となって予算案全体の整合性を失い、関連法案も「部分」的にでも否決されることになれば、何も決められずに内閣は立ち往生。

■海老蔵は「あの日の自分に声をかけるとしたら?」と問われて「出かけるのを止めなさい」と言ったそうです。菅アルイミ内閣が消滅することになったら社民党との部分連合を決めた12月6日が「あの日」になるかも知れませんなあ。