旅限無(りょげむ)

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改めて知る日本の大穴 其の参

2006-02-28 22:01:15 | 外交・情勢(アジア)
■国会が訳の分からない馬鹿騒ぎをしていても、国土の安全を守っている皆さんには、笑いながら見物している暇は無いようです。

自衛隊と在日米軍が23日から3月3日までの日程で実施している図上演習「キーン・エッジ」(日米共同統合指揮所演習)で、北朝鮮と中国を事実上の「仮想敵」としていることが27日、明らかになった。防衛庁、自衛隊は公式見解で「中国脅威論」を否定しているが、演習では両国の軍事行動を想定し、ミサイル防衛や海上警備行動などの円滑化に主眼を置いている。今回の演習は、3月末からの陸海空自の統合運用に向け、統合任務部隊の命令・情報伝達や在日米軍との連絡調整の円滑化を図るのが主目的。部隊の動きや命令、情報の流れをコンピューター画面上で演習している。

■図上演習ならば大した費用は掛からないのですから、平壌に出向く前準備の段階で、米国に頼み込んで対北朝鮮の日本海の海岸部を守る図上演習くらいやっておけば良かったのです。列島越えの「人工衛星」打ち上げ用ロケットが飛来した時に、「もしも、あれが核弾頭を持った弾道弾だったら」という仮説を立てて計画を練って見せるくらいのデモンストレーションは必要でした。本物を用意していても、「今度も人工衛星だぜ」と言われたら、米軍に言い付ける事しか打つ手が無いのではないでしょうか。米国が前衛で、日本は後衛に回るのは分かり切っている事ですから、単独で外交交渉をすれば舐められるのは当たり前ですなあ。


関係者によると、演習シナリオ上では、日本を「青国」、米国を「緑国」などと国名を色で表している。まず「紫国」(北朝鮮)の弾道ミサイルへの燃料注入の動きを米国が探知した事態を想定。日米が警戒態勢に移行し、日本海で在日米海空軍や海自イージス艦などが監視体制を強化。「茶国」(韓国)でも緊張が高まる中、空自輸送機による韓国からの邦人輸送のため命令、連絡などを演習している。

■やっぱり、「米国が探知」なのですね?これでは、米国が意地悪をして教えてくれないような恐ろしい事は願い下げですから、米国が買え!と言ったら危ない食べ物も我慢して買わないと行けないようですなあ。偵察衛星を贅沢なロケットもろとも海の藻屑にしてしまう日本ですから、情報は米国頼みが続きそうです。

 
さらに、朝鮮半島の動きに合わせ、東シナ海で「橙(だいだい)国」(中国)の海軍艦艇や潜水艦、空軍偵察機などの活動が活発化、日中が領有権を主張している無人島に中国の民間人とみられる一群が不法上陸、周囲に不審船が出現する事態を想定。官邸や海上保安庁、警察への連絡調整を演習する。

■尖閣諸島の奪還作戦も織り込まれているとは、なかなか勇壮な図上演習ですぞ!南の海で猛特訓中の特殊部隊が投入されるのでしょうか?でも、日本の民間人が対抗して上陸するような想定は無いのですなあ。

 
次の段階では、同島周辺で中国の海軍艦艇、潜水艦の活動が報告され、領海侵犯が確認されたと想定。海自は海上警備行動に移行、周辺で警戒中の艦艇や航空機などの部隊が一斉に対処行動に移る。陸自も島の侵攻に対処するため西部方面隊の部隊投入を準備、空自も中国の航空侵攻に対し、本土からF15数個飛行隊を那覇基地と宮古島市の下地島空港に移動展開する作戦準備命令を出すことを訓練する。

■やっぱり特殊部隊が投入されるのですなあ。島国のくせに、明治以来、海兵隊を本気で装備しなかった変な国でしたが、島の奪還を命じられても対応出来る部隊が、着々と整備されているとの話を聞くと心強くなります。でも「準備」ですね。「準備」。敵を欺くにはまず味方からというわけですね。


陸海空自がそれぞれ有事への対処要領を定めた「平成17年度防衛警備計画」では、中国、北朝鮮を「脅威対象国」とし、日本への侵攻の可能性について中国は「小さい」、北朝鮮は「ある」と認定している。しかし、防衛庁、自衛隊は外交上の影響に配慮し、「中国を脅威とみなしているわけではない」(2月16日、守屋武昌事務次官)との立場を堅持しており、今月15日に「中国は沖縄の自衛隊にとって脅威」と発言した空自幹部が口頭注意されている。

■この空自幹部は、民主党の前原代表の代わりに叱られたのでしょうなあ。京都大学で高坂先生の教えを受けたわりには、外交と国内の人気取りを混同する程度の「お坊っちゃん」ですから、自衛官が身体を張って誤魔化さないと行けません。本当に手の掛かる野党第1党の党首さんですなあ。憲法9条の改正が先なのに、それを飛ばして「現実的な脅威」などと、何処の国を相手にしても政治家が言っては行けません。余りに当たり前過ぎる話なので、生前の高坂先生も京都大学のゼミでは仰らなかったのでしょうなあ。でも、受験秀才というのは、言われた事はどんどん覚えますが、試験に出ない「常識」を知らないという弱点が有りますからなあ。政治は「常識」の積み重ねですから、受験秀才には向かない職場と言えそうです。


今回の演習で北方有事(赤国=ロシアによる侵攻)は想定外とされ、ロシアの脅威が相対的に低下、中国や北朝鮮の脅威が増しているとの認識を改めて裏付けている。今回の演習シナリオについて自衛隊幹部は「一切明らかにできない」としている。
産経新聞 - 2月28日

■これだけ詳しく記事にしているのに、「明らかにしない」というのは面白いですなあ。ロシアはチェチェン問題に手を焼きつつ、イランを何とか利用しようと必死ですし、西から迫る「民主化」の大波を止めるので精一杯ですから、中国や北朝鮮が短気を起こしても、他人事として国連あたりに、「困ったもんだ」と訴えて済ますでしょう。沿海州の領土が少しでも現在の北朝鮮に食い込めるような気配が見えたら、いそいそと暗躍し始めるでしょうが、天然ガスを使った「恐喝商売」の方が面白いので、日本海の隣国が何をしようと、関係ないでしょう。

■それでも、北方領土に開いた大きな穴は塞がりそうもないのですから、対ロシア外交の建て直しが急がれます。佐藤優さんを追い出してしまった外務省は、もう耳も腕ももがれたも同然でしょうから、とても心配です。イランに夢中になっている間に、ロシアに対する次の手を用意していて欲しいものです。ルーブルの闇両替で「裏金」のかさ上げなどしている場合ではありませんぞ!というわけで、日本の大穴は、やっぱり外務省の中に開いているという事のようです。自衛隊が埋めようにも、米国をダシに使わないと何も出来ないのですから、この穴を通って様々なポンコツが出て行き、有り難くない物や人がどんどん入って来るのでしょうなあ。

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改めて知る日本の大穴 其の弐

2006-02-28 22:00:20 | 外交・情勢(アジア)
■世界のヤマハが無人ヘリコプターを人民解放軍御用達で輸出していましたが、ヤマハと言えば世界一の船外機が有名なのですから、北朝鮮の軍隊用に密輸されているなどと言う事はないでしょうなあ。

調べなどによると、社長は2005年6月末、津居山(ついやま)港漁協(兵庫県豊岡市)に所属していた底引き網漁船「第2大和丸」(75トン)を約350万円で購入。同年07月に同船を韓国に輸出する際、船体価格を90万円と偽って税関に申告し、外為法で100万円を超える漁船を輸出する際に義務づけられた経済産業相の承認を得なかった疑い。関係者によると、「第2大和丸」を所有していた同漁協の組合員は同年6月末、兵庫県香美町の漁具販売会社役員(74)に同船を350万円で売却。この会社役員は、同じ値段で社長に転売したという。組合員は売却にあたり、同船の登録を抹消した。昨年7月上旬、門司海上保安部の海上保安官が北九州市の門司港から、韓国へ向かっていた第2大和丸を見つけ、立ち入り検査を実施。関係書類を調べた結果、同船の不正輸出の疑いが浮上し、同保安部は社長の会社などを捜索し、社長から任意で事情聴取していた。

■国民の怒りを結集して…!と拉致被害者の家族会が声を嗄らして訴えて回っているというのに、こういうオヤジが暗躍しているのですなあ。相手に足元を見たれて舐められても仕方がないかも知れませんぞ。


この社長は00年8月、イカ釣り漁船(130トン)をインドネシアに輸出すると偽り、通産相(当時)の承認を受けず、福島県・小名浜港から韓国経由で北朝鮮に輸出したとして、外為法違反(無承認輸出)などの容疑で01年6月に逮捕・起訴され、東京地裁で懲役2年6月、執行猶予4年、罰金100万円の判決を言い渡された。99年3月の能登半島沖領海侵犯事件では、「第2大和丸」「第1大西丸」と書かれた2隻の北朝鮮の工作船が、海保の威嚇射撃や海上自衛隊の警告射撃にもかかわらず、高速で逃走した。
読売新聞 - 2月28日

■懲りずに違法の商売をしているオヤジも情けないけれど、オンボロの中古船を取り逃がす海上自衛隊も、ちょっと情けないですなあ。


地村保志さん夫妻や蓮池薫さん夫妻の拉致事件で逮捕状が出た辛光洙(シングァンス)容疑者(76)と通称「チェ・スンチョル」容疑者の拉致支援グループの一部が、同一の飲食店に出入りしていたことが警察当局の調べで分かった。警察当局は、朝鮮労働党の「対外情報調査部」(当時)の指示を受けた両容疑者ら限られたグループが、田口八重子さんをはじめ複数の日本人拉致に関与していた可能性があるとみて解明を急いでいる。

■少し前まで通称「朴」と呼ばれていた謎の工作員の本名?が、突然明らかになり。ちょっと驚きましたが、『正論』3月号にウラジミールさんが書いている「スクープ!辛光洙は「拉致実行犯」ではない」という文章に指摘されているように、工作員としては相当にマヌケなこの人物を余り大物扱いしない方が良いのかも知れません。ウラジミールさんの主張は、過去の細かい行動がほぼ解明されてしまうようなヘマをしている上に、日本中の人々が顔と名前を知ってしまうような工作員に、巨大な謀略の全てを押し付けてしまうと、事件の真相が見えなくなる、というものです。確かに、あんなヘマな工作員一人に、日本の警察や公安が手玉に取られたとしたら、これはエライことですぞ!テレビ局のカメラに追い回されて、肉声の悪口雑言を放送されるスパイなど、どこの世界にいるのでしょう?まして、謀略を仕掛けていた日本の野党の政治家に助命運動してもらう工作員とは何なのでしょう?

 
飲食店は、東京・池袋にあり、78年6月ごろ失跡した田口八重子さんが勤務していた。チェ容疑者の配下で客として出入りしていたのは「宮本明」を名乗る男。大韓航空機爆破事件(87年)の実行犯が不正使用した日本人名義の旅券の取得に関与するなど、複数のスパイ事件で名前が取りざたされている。また、店の客だった辛容疑者の協力者は「(辛容疑者が北朝鮮で教育を受けていたため日本にいなかったとされる)78年に都内で(辛容疑者に)会った」と証言している。

■大韓航空機の爆破テロも、いまだに認めていない北朝鮮政府を相手に、どうやら本気で国交正常化交渉をしようとしていたのが日本の外務省でしたからなあ。こんな昔の話を今頃になって穿り出しても、相手がどんな返答をするのか、分かり切っているような気もします。苦しい者同士の誼(よしみ)で、ミャンマーと北朝鮮が仲直りしたという笑えるニュースが有りましたが、アウンサン廟の爆破テロは韓国の大統領を爆殺するのが目的でしたから、どちらも一人ぼっちになるよりは、過去は水に流して仲良くなるというわけですなあ。日本も同じように…などと考えるアホが外務省に居ない事を願うばかりです。

蓮池さんと地村さんが一時同じ招待所にいた時に、監視役を務めていたのが、蓮池さんを拉致したとされるチェ容疑者だ。帰国した拉致被害者らの証言では、拉致の実行から招待所での教育や監視まで一貫して同一人物が行っていた実態が浮かんでおり、チェ容疑者が地村さん拉致に絡んでいた疑いも出てくる。チェ容疑者は「(拉致は)命令で仕方がなかった」などと話していたという。地村さんらの拉致前の77年に起きた久米裕さん拉致で国際手配されている金世鎬(キムセホ)容疑者(77)の協力者の一部は、辛容疑者らの支援者と重なることも判明。こうしたことから、ある警察幹部は「従来の見方と違い、田口さん拉致を含め拉致事件のほとんどは、金、辛、チェの各容疑者ら極めて少ないグループによって行われた可能性もある」とみる。毎日新聞 - 2月28日

■どんどん話が生々しくなって行きますなあ。「命令」が何処から出ていたのか、折角、平壌まで2回も出向きながら、「一部のハネッカエリ」が拉致をやっちまったんだぜ!と言われて、「ああ、そうですか」と承って小泉さんが帰って来たのは残念でした。金総書記が言った台詞は、父親の時代に韓国ソウルを襲った、恐るべきテロ事件の後で使ったものとまったく同じだったのに、「どこかで聞いた台詞ですなあ」ぐらいの事は言わねばなりませんでした。平壌会談の準備不足は、今回の民主党のスットコドッコイを笑えないほど酷いものでしたからなあ。

改めて知る日本の大穴 其の壱

2006-02-28 21:59:28 | 外交・情勢(アメリカ)
■拉致被害者が帰国してから過ごして時間がゆっくりと、しかし沈鬱に流れていましたが、意を決して思い出したくもない記憶を手繰って貴重な証言をし始めたのはオリンピックの喧騒が始まる頃だったと思います。その後は、実に馬鹿馬鹿しい民主党のホリエモン・メール自爆茶番劇に日本中の目と耳が奪われて、実に勿体無い時間を浪費してしまいました。拉致問題に関しても大きな動きが出始めている時に、西村議員を失った民主党は一人のオッチョコチョイのために、ますます出る幕を失ってしまいました。自民党の幹事長を追い詰めるより、拉致問題を進展させて見せる方が、遥かに次の選挙に勢いを付けられたでしょうし、次の政権の期待も高まったでしょうに!

政府は27日、北朝鮮に向けた郵便物の監視を強化する方針を固めた。先の日朝政府間の並行協議で拉致事件などに進展がみられず、現行法の厳格な適用による北朝鮮への「圧力」の具体策の一つ。政府は、北朝鮮にかかわる不法電波の監視も強化する構えで、総務省、警察庁などの関係省庁で検討を進める。日本から北朝鮮にあてた小包や手紙などの郵便物は約12万5000件(平成16年度)にのぼる。最高約48万円の現金送金が可能な保険付き郵便物も503件が北朝鮮に送られている。単純計算すれば、2億4000万円以上が送金された可能性がある。

■戦後の熱狂的な帰国事業以来、地上の楽園の建設というのは真っ赤なウソで、単なる卑劣な人質戦略だった事がバレてしまったのですから、日本からの支援物資や送金が親族の命を繋ぐ唯一の頼りとなっている事実も分かっていました。しかし、なるほど、北朝鮮への送金の実態は明らかにされておらず、万景峰号に怪しげなダンボール箱が運び込まれているという噂や親族の北朝鮮訪問に際しては、あれこれと大量の荷物を持って行くという話は聞きますが、合法的な送金がこれほど大規模に行なわれているとは知りませんでした。郵便局を通して送られるのは個人のお金でしょうから、莫大な寄付金を集めていたとされる在日組織や、それに連動していたとされる民族系金融機関からの送金額などは闇の中なのでしょうなあ。


このため、政府は日本郵政公社などと連携し、北朝鮮への郵便送金の実態把握を急ぐ方針。通常の郵便物でも中身に疑問があるものについては、厳しく目を光らせていく構えだ。また、日本国内に潜伏する北朝鮮の工作員や協力者が不法な無線電波を使って連絡をとりあっている可能性もあるため、免許を受けない不法無線などの監視も強化する方針だ。

■拉致事件が放置されていた四半世紀の間も、羅列した番号をひたすら読み上げる奇怪な放送が夜な夜な続いていたのは有名な話で、日本側ではその解読に努力していたという話はまったく聞きません。外国がどんなに奇妙なラジオ番組を放送していようと文句は言えないのでしょうが、国内の工作員に向って謀略指令を流していたのですから、日本は実に呑気な国だったのでした。

 
ただ、総務省が16年度中に摘発、警察当局に告発した400件の不法電波の大半はトラックの無線で、「北朝鮮との交信など特異な摘発例は報告されていない」(幹部)という。政府は、2月上旬の日朝並行協議で北朝鮮側に「誠意ある対応」が見られず、北朝鮮側の譲歩を促すためにも現行法の厳格な適用で圧力を強めるべきだとの判断に傾いている。すでに(1)麻薬や偽札の取り締まり強化(2)在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連施設への固定資産税減免措置の見直し-などを検討しており、引き続き効果的な圧力の具体策を模索する。産経新聞 - 2月28日

■麻薬犯罪の摘発数も押収量も相手国が腰を抜かすような増加を見せてはいないので、「取り締まりの強化」と言っても、人員を増やすとか麻薬の本場に調査員を出したり捜査官の海外研修などは考えているのかどうか…。まさか、ポスターを印刷して警察署に配る等のトボケた予算の使い方はやらないとは思いますが、呆れるほど後手に回っているのですから、担当部署の皆さんには国民の正常な精神維持のためにも、大いに頑張って欲しいものです。


北朝鮮の人権改善に取り組む韓国の活動家らが運営するインターネットサイト「デーリーNK」は27日までに、北朝鮮には「偽たばこ」の生産拠点が複数存在し、同国北部・咸鏡北道では台湾の犯罪組織が出資・運営して「マイルドセブン」「ダンヒル」などの外国たばこが偽造されていると報じた。韓国野党議員が公開した資料を基に伝えた。同サイトによると、製造されたたばこは台湾やロシアを経由して韓国の釜山に持ち込まれ、韓国内で流通している。日本への浸透に関する言及はない。時事通信 - 2月27日

■日本のセブンスターは世界的に売れているのは有名な話でしたが、今はマイルド・セブンに世界の嗜好が変わっているのでしょうか?まさか、JTがセブンスター・シリーズのパッケージを全面的に変更したり種類を多くしているのは、北朝鮮の偽物に対する営業戦略だったのはないでしょうな?韓国の愛煙家は日本の悪口を言いながら、マイルド・セブンを愛好しているのでしょうか?偽物の味は日本製と同じとは思えませんが、葉っぱは何処から調達しているのか興味は涌きますなあ。JTには有能なテイスターが居て、毎日欠かさずブレンド状態を確認しているわけですが、まさか、そんな人の中から拉致被害者が居るなどという事はないでしょうな?!


宮城県多賀城市の海運会社社長(64)が、中古漁船を不正に韓国に輸出していた疑いが強まり、第7管区海上保安本部(北九州市)などは27日、外為法違反(無承認輸出)などの疑いで逮捕状を取り、行方を捜している。この漁船の船名は、1999年に能登半島沖で発見され、護衛艦の警告射撃などを振り切って北朝鮮に入港した工作船に使われていた。社長は以前にも、韓国経由で北朝鮮に中古漁船を不正輸出して摘発されており、7管は今回も北朝鮮へ輸出する目的がなかったかどうか、調べている。

■廃棄処分の家電製品やら、放置されていたのか盗まれたのか分からない自転車などを、錆だらけの貨物船に山積みして出港する北朝鮮の船は有名ですが、それらは修理して中国に「本物の」メイド・イン・ジャパンとして売り捌くのだそうですが、廃船寸前のボロ船を買い込んでどうするのかと思ったら、耐久性の高いエンジンを中心にして部品をばらして再利用するのだそうですなあ。ロシアやパキスタンの商売人の真似をしているのでしょうが、日本製のエンジンを付けてパワーアップした北朝鮮の船を日本の海上保安庁の船が追い回すというのは、何とも奇妙な話です。

マヌケと頭の良さとの関係 其の四

2006-02-28 17:49:57 | 政治
■発言集の大トリは鳩山さんです。

※鳩山由紀夫幹事長
▽100パーセントの信憑性を立証することは残念ながらまだできていない。ここ数日が勝負だ=23日
▽私たちも永田氏が質問したこと、信憑性に理解を示してきたことに責任を感じる必要があるが、その前に事実関係を詳しく調査したい=24日
▽国会を混乱させている状況は謝罪し、世論なども斟酌して、それぞれの身分については判断する=26日 以上産経新聞 - 2月28日

■誰が言い出しのか、「100%…ではない」という目も当てられない苦しい言い回しを、本来理系の鳩山さんまでが使っていますなあ。「では、何%の信憑性が有るんだ?」と質問されたらどうするのでしょう?既に、『週刊新潮』が怪しい元記者の実名以外の素性と過去を詳しく記事にしてしまっている段階で、こんな虚しい質問をする記者は居ないのでしょうなあ。26日の段階でも「世論なども斟酌」する神経が分かりませんなあ。斟酌も精査も必要は有りません。民主党本部でも、週末に選挙区に帰った議員達も、世論が民主党を相手にしていない事を骨身に沁みて知ったでしょう。日本中の世論は、マヌケな民主党ではなく、トリノで日本が取った唯一の金メダルに集まっているのです。民主党も「金星」を取りに言ったのでしょうが、土俵に上がる前にコケて泥だらけになってしまいましたなあ。「勝負はこれからだ」などと、全身複雑骨折して泥だらけの顔で言われても、悲惨ですなあ。/font>

民主党は27日、ライブドア事件をめぐる「送金指示メール」問題で、一時は辞職の意向を示した永田寿康衆院議員の進退を鳩山由紀夫幹事長が預かり、辞職回避で収拾を図る方針を固めた。永田氏は28日午後、記者会見し、「メールの信ぴょう性を立証できなかった」と国民に陳謝するとともに、自民党の武部勤幹事長と二男にも謝罪する予定。前原誠司代表も監督責任を認める党見解を発表する方向で調整しているが、与党の反発が予想され、決着に向かうかは不透明だ。

■武部さんにも謝るとは、何とも痛々しい話になってしまいましたなあ。


民主党の野田佳彦国対委員長は27日夜、メールの入手後に黒く塗りつぶして公開したと説明してきた差出人と受取人の欄が、入手当初から塗りつぶされていたことを記者団に明かした。メールの真偽が疑わしかったにもかかわらず、信ぴょう性を高めるために隠していたとの批判を浴びるのは必至。野田氏は「不正確な表現をして誤解を招いた」と釈明した。

■「不正確な表現」ではなく、「間違った表現」「ウソ」でしょう?「誤解を招いた」のではなく「騙した」のです。最も悪質なウソは、前原代表の「明日の党首討論をお楽しみに」発言ですが…。奇怪な言い回しで逃げ回るのは与党側であるはずなのですが、野党が逃げ回ってどうするのでしょう?


同党は28日の会見で発表する党内調査の中間報告ではメールの真偽を特定しない方針。永田氏に対しては党内処分を検討しているほか、与党提出の懲罰動議を受け入れる案も浮上しており、野田氏ら執行部の責任論も強まりそうだ。鳩山氏は27日、記者団に「必ずしも正確でない情報で追及したことに対して素直に謝るべきところはある」と対応の誤りを認める一方、執行部や永田氏の処分については「一任を受けている」と述べるにとどめた。毎日新聞 - 2月28日

■民主党の内輪で傷を舐め合って、マヌケの連鎖辞任が起きないようにして収めようと思っているのでしょうが、それでは民主党全部がマヌケ色に染め上げられてしまいますぞ!演説会でも報告会でも、過去の事を話せば「また偽造だろ!」と野次られるでしょうし、将来の展望を語れば、「おお、楽しみにしてるぞ!」と合いの手が入りますぞ!そうなったら会場は苦笑と爆笑の渦になりますなあ。騒動の大元には、「ヤング・エリート集団」の自分達は人並み外れて頭が良い、という困った思い込みが有るようです。受験勉強に熱心に取り組み、厳しい競争を勝ち抜いた事は認められて良いでしょうが、それだけで人格の高さや賢さが保証されるわけではないという単純な真理を、受験シーズンに日本中が再確認したというわけですなあ。

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マヌケと頭の良さとの関係 其の参

2006-02-28 17:47:07 | 政治
■「世代交代」を声高に誇っていた前原体制ですが、やっぱり困ったときには年長者だけが頼りのようです。

「堀江メール」問題で、民主党の鳩山由紀夫幹事長は27日午後、都内の病院に入院中の永田寿康衆院議員に電話し、「進退を預けてほしい」と要請した。永田氏は「分かりました」と応じ、いったん示した辞意を撤回する方向となった。民主党は28日、永田氏の謝罪会見に続き、執行部が会見でメールの信憑(しんぴょう)性に関する調査結果を報告。執行部の責任については厳重注意処分などが浮上しているが、進退には触れない方針だ。
 鳩山氏は永田氏から進退の一任を受け、羽田孜元首相や小沢一郎前副代表、菅直人元代表らと相次いで会談し、執行部の方針を説明した。小沢氏とは「苦しい時を乗り越え、政権交代を目指す」として、9月の代表選まで前原誠司代表を支えていく考えで一致した。ただ、菅氏は永田氏の議員辞職の必要はないとする一方で、執行部の責任は免れないとの見方を表明。執行部は28日、常任幹事会や両院議員総会を開いて党内に理解と協力を求め、一連の騒動にけじめをつけたい考えだが、最終的な責任問題は世論の動向を見極めながら判断する。
 
■壊し屋の小沢さんが民主党の中でいつまで大人しくしているのか?と政治記者は動乱を心待ちにしていますから、ここで大暴れが始まれば面白い記事が書けると張り切ったかも知れませんが、先の選挙での大敗は、政権交代の芽をすっかり摘んでしまったので、やはり「政権交代」のためにはマヌケな前原体制を壊さずに隠忍自重するのでしょうなあ。菅さんは、四国の御遍路地図と杖などの「反省キット」を既に三人分用意しているのかも知れません。


…永田氏は23日、いったんは議員辞職の意向を漏らし、同日夜に都内の病院に入院した。永田氏はかつて、出身校の東大生のサークルが運営するAkamon.net」のインタビューに、「ぼくとか民主党が目指している社会というのは、失敗した人が責任をとるという社会なんですよ」と発言。党幹部に慰留されたとはいえ、謝罪だけで済むのか。自民党提出の懲罰動議の行方とあわせ、党内外で批判が渦巻くのは必至だ。… 野田佳彦国対委員長は同日夜、「もともと黒塗りだった。送受信者を知っていて質問したわけではない」と、“自作自演”との見方を否定した。しかし、野田氏は17日夜、永田氏は送受信者欄を見ていると明言しており、矛盾が露呈した。… 「(メール問題の先には)巨大な闇がある」と言い続けてきた前原誠司代表は27日、終日無言を貫き、午後4時過ぎには早々と都内の議員宿舎にこもってしまった。「ボロボロになっても9月までの任期をまっとうする」と周囲に語る前原代表。28日の記者会見では「断定的に質問したこと」を陳謝するものの、「政治とカネの関係を追及していく」との姿勢を崩さない方針だ。

■同じく9月までの任期の小泉さんは、民主党が瓦解したりマヌケな前原代表が交代などしないように、皮肉で優しいまなざして盛んに庇っているようですが、それに助けられて任期を全うすると意気込んでいる前原議員は、喧嘩の素人なのでしょうなあ。ゴミのように捨てられた前任者の岡田さんの姿を間近で見ていますから、ああはなりたくない!の一念なのでしょうか?


逆に積極的に動いているのは、永田氏の質問を事前に知らされていなかった鳩山由紀夫幹事長。「ここで混乱を収拾すれば、党代表選に向けて主導権を握ることができる」(中堅)との思惑も働いているようだ。ただ、羽田孜元首相からはこの日、「国民の信頼を取り戻すため」として鳩山氏の辞任が必要との考えを伝えられた。与党内には「表面的な謝罪をして済む問題ではない」(武部勤自民党幹事長)との強硬論が再燃しつつある。小泉純一郎首相は27日夜、衆院議長公邸で行われた河野洋平議長らとの懇親会の席上、民主党の混乱について「親分(前原代表)が腹を切る方法もあれば子分(永田氏)が腹を切る方法もある」と言及した。

■鳩山さんのハト派根性も大したものですなあ。この混乱が収まった後、春風でも吹いて来ると思っているのでしょうか?次の選挙で民主党が提出するマニュフェストも「偽造だろ?」と笑われるでしょうし、選挙演説の端々で「証拠が有るのか?証人を出せ!」とヤジり倒されますぞ!それに加えて、ヤクザな元記者と同じに扱われては困ると思って情報提供者も激減するでしょうし、民主党側でも玉石混交の情報の中で疑心暗鬼に陥って碌な質問も出来なくなるでしょう。そんな恥ずかしい政党の代表になって、何が面白いのでしょう?


【民主党幹部の主な発言】
※前原誠司代表
▽確度の高い情報だ。党を挙げて追及をしていく=16日
▽民主党はたくさんの情報を精査…メールは信憑性の高いものだ=17日
▽確証を得ている。国政調査権の発動に応じるのであれば、銀行口座名、口座番号を含めてしっかり提示する=22日
▽今の段階で(永田氏辞職の)必要は全くないと思っている=24日
▽断定的に永田氏が国会で質問したことは、おわびを申し上げなければいけない。背後にある政治と金の関係を検証し、野党第一党としての責任を果たしていきたい=26日

■京都大学や松下政経塾では日本語の授業は無かったようです。「確度」「精査」「信憑性」「確証」「しっかり」「責任」こうした政治家に欠かせない単語の意味と使用法を、誰かが教えてあげないと、可哀想です。


※野田佳彦国対委員長
▽永田氏から情報源とのやり取りを聞き、確度の高い情報だと認識した=17日
▽ライブドアと武部氏周辺の資金的な流れの解明に全力を尽くすのがわれわれの責務=23日
▽国会の中の責任は一番私にある。やり方の問題、確かな証明ができていないところは、少なくとも反省しなくてはいけない=26日

■早稲田政経はジャーナリスト志望の学生が多い伝統が有りますから、野田さんの日本語は比較的まともなようです。しかし、永田議員に乗せられたのですから、マヌケさは変わりないとも言えます。(其の四も有ります)

マヌケと頭の良さとの関係 其の弐

2006-02-28 17:46:00 | 政治
■軽量級なのに、地位と肩書きだけでエリート意識に凝り固まって大物ぶってしまう傾向は、海部さん辺りから始まったような気もしますなあ。

■永田・野田・前原トリオを支えているのが鳩山由紀夫さんで、絵に描いたような二代目政治家で、本当は理工系の大学教授になるはずの人だったそうです。戦後政治の中心にい続けた鳩山家の長男というだけの人ですが、豊富な政治資金が有るのであちこちで重宝されているとの話も有りますなあ。穏やかな口調で「させていただく」を連発しながら、時々トンデモない事を言うことも有りますが、その影の薄さで大した問題にもされない得な体質を持っている人です。「ヤング・エリート集団」を自負するヤンチャな三人組は自民党の何倍も複雑な構造を持っている民主党の中ではすっかり干されているそうですが、鳩山さんがクッション役を引き受けてくれた御蔭で辛うじて半年持っています。

■悲願の政権交代をするには、2つの方法しか有りません。1つは、与党の失政に対するビジョンと法律案をセットで掲げて衆参両院の選挙で堂々と勝って政権を奪う事。もう1つは、各種のスキャンダルを暴いて与党を追い詰め、与党内の内紛を利用して清潔なイメージで政治を刷新するだけの交代劇で政権を掠め取る方法です。極最近までは、第1の方法で政権交代が起きる可能性が有ったのですが、4点セットの中に国土交通省に関するスキャンダルの臭いが強まった辺りから、「ヤング・エリート」集団が拙速に走り始めたようですなあ。小泉劇場選挙ですっかり地味な脇役を演じさせられた岡田代表が、持ち前の演説下手を露呈した上に、寄り合い所帯の悲しさで、玉虫色のマニュフェスト作文を書いて自滅してしまった民主党は、前原体制になってからも自民党と対等に論争する主義主張を見つけられないままでしたなあ。

■長妻・馬淵コンビを先頭にして、党が一本の巨大な槍となって突き進んでいれば、建設業界との癒着構造をじわじわと抉り出して自民党を追い詰められたでしょうし、トドメに牛肉輸入問題で対米外交の御粗末さを突き回して見せれば、次の参議院選挙で勢いをつけ、国民の中から世間交代待望論を引き出して盛り上げる筋書きが有ったのです。


民主党は27日、「送金メール」を取り上げた同党の永田寿康衆院議員に対し自民、公明両党が共同提出していた懲罰動議について、衆院懲罰委員会への付託を受け入れる方針を固めた。動議の付託は2004年6月以来。永田氏が28日に記者会見し、根拠のないメールを示して国会内で自民党を追及したことを謝罪するのを踏まえ、与党側の要求に応じる。民主党としては、国会質疑での発言の「誤り」を理由に、最も重い除名処分になることはないと判断。永田氏の責任問題に決着を付ける狙いがあるとみられる。
時事通信) - 2月28日

■まったく政治と言うのは面白いもので、あっと言う間に自民党が民主党を追求する立場を楽しめる構図になってしまいました。前原代表の「党首討論」ほどは「楽しみに」していなかった病み上がりの永田議員の記者会見は、NHKと日本テレビで生中継されたようですが、それは随分と奇妙に静かなお詫び会見だった模様です。質問する報道陣も勢いづくこともなく、前原代表を抜いた鳩山・野田両議員に挟まれた永田議員は、前傾90度の最敬礼を繰り返し、「御迷惑」と「ご心配」を掛けたと平謝りのようでしたが、迷惑は分かるにしても、一体、何人の有権者が「心配」などしているのでしょう?それ以上に奇妙なのは、「国会を混乱させた」と何度も謝ったことです。報道を見ていても、国会はまったく混乱などしていませんぞ!混乱しているのは「民主党」です!

■自民党はポスト小泉で、世代交代論議が花盛りなのに、民主党は大混乱の中で「ヤング・エリート集団」のマヌケさが目立ち過ぎ、逆・世代交代に進んで行きそうな気配が濃厚です。永田議員の生殺与奪は完全に自民党に握られ、もっと露骨に言えば次男坊が名指しされた武部幹事長の胸三寸で決する段階になっています。本当に疑惑メールに書かれていたような黒いカネの流れが事実無根ならば、鬼の形相で永田議員の政治生命を完全に絶つ懲罰を断固として主張するはずなのに、不思議に穏便に済まそうとしているようですなあ。民主党の長老軍団と自民党の実力者が、裏で手打ちを済ましてのではないでしょうか?

■民主党側でも、ここで永田議員を追放して辞職させてしまう訳には行かない事情が有ると思えますなあ。辞めさせる理由を考えるに、「国会を混乱させたから」というのはウソですし、「ガセネタ」に踊らされたマヌケだから、という分かり易い理由ならば、同じようなマヌケの首をぞろぞろと並べて晒さねばならなくなって、民主党は再起不能の大混乱に発展するでしょうなあ。立派な学歴と経歴を鼻にかけて間違ったエリート意識で跳ね上がった勢いで政権交代など起こしたら、今のフィリピンのような恥ずかしい混乱状態に陥るでしょうから、永田議員の大チョンボは日本の国政に対して大きな貢献をした事になるかも知れません。前原首相、鳩山幹事長、野田官房長官、永田大臣…なんとおぞましく不安な布陣でしょう!そうならなかっただけでも良かったような気がしますなあ。でも、ちょっとだけ、瓢箪から駒が出て民主党の有象無象が猟官運動に奔走して、トンデモ人事が繰り広げられるドタバタ劇は見てみたかったような気もしますが、政治はもっと真面目なものでしょうなあ。(其の参に続きます)

マヌケと頭の良さとの関係 其の壱

2006-02-28 17:45:17 | 政治
■受験シーズン真っ盛りですが、昔の人が良く言った「勉強すると馬鹿になる」という世俗の格言が思い出される騒動が起こっております。これは青少年に対しても、受験生を支える御家族の皆さんに対しても、実に嫌な感じのする事件ですなあ。その事件の中心にいるのが民主党という困った政党です。渦中の人々の「学歴」を再確認してから、迷走の極に達している現状を考えて見ます。

永田寿康衆院議員
1988年 慶應義塾志木高等学校卒業
1993年 東京大学工学部卒業、大蔵省入省
1995年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA課程へ留学
1999年 大蔵省退職・国会議員秘書となる
2000年 衆議院議員選挙に立候補し初当選。
2003年 は小選挙区で再選
2005年 第44回衆議院議員総選挙において、小選挙区で落選するも    比例代表で復活当選、現在3期目

■東大と大蔵省が並べば単純に「エリート」と呼ぶのが日本のマスコミの規則になっているようです。大学受験ゲームの最難関となっている東大は特別視されるのでしょうが、大蔵省は「ノーパンしゃぶしゃぶ」などの卑しく恥ずかしいタカリ体質が暴露されて以来、とてもエリート集団などと言えないでしょうなあ。永田議員が入省した年次は大蔵省の権威が地に堕ち始めた頃だと思われます。国費で米国に留学してマスコミの目を逃れたのではないか、と疑われる動きとの印象も有りますし、同じように入省後に給与を貰いながら国費で留学し、そのまま外資系の企業に就職して大蔵省には戻らないちゃっかり者が結構居るという問題も指摘されて事も思い出します。いつから国会議員を志望したのか、それによって議員になった目的も明らかになりそうですが、ここまでマヌケぶりを国中に知られてしまってからは、どうでも良い事でしょうが……。

■慶応系列の高校から東大に進んでいるのですから、小中学校の頃から熱心に受験勉強に励んだのでしょうし、東大時代にも公務員試験に向けて勉強に励んだのでしょう。大蔵省に入ってからも国のお金で米国に留学しているのですから、勉強が好きな人のようですが、工学部からMBA過程に進むというのは珍しいのではないでしょうか?時期的に米国のMBAが持て囃されていた頃に当たるようですから、目立つ事が好きだったのかも知れません。とにかく、勉強に向ける努力は立派なものです。MBAは取得していないようですが、合格直前に政界へ進む事にしたのでしょうか?どうも最終的に何をしようとしていたのか、良く分からない人物のように思えますなあ。


野田佳彦
1980年 早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業する。
1985年 松下政経塾を卒業。
1987年 千葉県議会議員選挙に29歳で当選する。
1992年 日本新党結成に参加する。
1993年 第40回衆議院議員総選挙に日本新党公認で当選する。
1994年 新進党に参加する。
2000年 第42回衆議院議員総選挙に民主党公認で当選。
2002年 12月民主党国会対策委員長に就任する。

■野田さんの場合は、早稲田の政経から松下政経塾へとまっすぐ進んでいるので、随分と早い時期から政治家志望だったようです。細川内閣の出現と消滅にその渦中で立ち会って、新進党から民主党への合流という経歴は、自民党の分裂騒ぎによって引き起こされた野党の離合集散のど真ん中に居たというわけですなあ。大真面目に「二大政党制」を主張する立場をずっと守っている本流に立っているという事でしょうが、自民党に入っていても不思議ではない人のようにも思えます。


前原誠司
1978年 京都教育大学教育学部附属京都中学校卒業。
1981年 京都教育大学教育学部附属高等学校卒業。
1982年 京都大学法学部入学。高坂正堯ゼミで国際政治学を専攻。1987年 4月松下政経塾に入塾(第8期塾員)。
1991年 京都府議会議員当選(左京区)無所属。
1993年 第40回衆議院議員総選挙(旧京都1区)当選。日本新党公認。1996年 第41回衆議院議員総選挙当選(比例近畿)民主党公認。

■京都大学で高坂さんについて国際政治学を学んだとは、今更ながら驚くような経歴ですなあ。吉田茂さんの本を代筆したほどの高坂さんの教えを受けたにしては、外交感覚が稚拙な印象が強く、軽率な言動も目立って間違っても外務大臣にはなって欲しくない政治家のように思えます。この人も松下政経塾出身で、野田さんの後輩に当たるそうです。野田さんと同じように自民党に入らなかったのは「二大政党制」を目指していたからなのでしょうか?そうなると、形だけ2つの大きな政党が出現すれば目的は達成される事になります。確かに官僚主導の政治を改めるには、政権交代が必要でしょうが、それには明確な政策上の違いが前提されていなければなりません。同じような政策を採るのならば、官僚達は大喜びで「ご説明」に日参するでしょうからなあ。

■こうして並べると、三者三様で強烈なエリート意識を持っている共通性が有ります。一説には、松下政経塾出身の総理大臣は永久に現われないとの見方も有るようですが、海部総理大臣出現以来、誰でも総理大臣になれる事になっているので、必ずしも不可能ではないでしょう。海部総理大臣は、芸者さんにスケベ爺呼ばわりされて宇野総理が世間の物笑いになり、自民党が選挙に惨敗した後始末をするだけの理由で金丸さんから指名を受けた変な総理大臣でした。三木元総理の弟子でしたから、金丸・竹下ラインに乗れるはずのない政治家でしたから、自民党が分裂すると居場所が無くなって右往左往していましたなあ。(其の弐に続きます)

チャイナは危機の缶詰か? 其の弐

2006-02-27 21:43:07 | 外交・情勢(アジア)
■株だ不動産だと、日本国内でもチャイナに投資しよう!と煽っていた本や週刊誌が目立っていましたが、ライブドア騒動に隠れてすっかり店じまいしているような様子ですが、間違って投資してしまった人達は、ちゃんと資金を引き上げたのでしょうか?

北京市統計局は同市の商品房物件について、2005年末時点の未入居面積が05年初めから31.6%拡大して1374.2万平方メートルにのぼったことを発表した。このうち、住宅物件の未入居面積は10.5%増の799.7万平メートルだった。26日付で中国新聞社が伝えた。統計局によると、05年の北京市の不動産景気指数では、販売価格、未入居面積、竣工面積、新規着工面積などが上昇、開発投資額、土地開発面積、土地購入費などが下降した。

■要するに需要の無い住宅建設が乱暴に続行されていて、既に供給過剰になっているのに、欲の皮が突っ張っている誰かさんが、住みもしないで「転がす」ためにまだ買い続けているという事ですなあ。


中国では05年4月、不動産価格を抑制するための一連の措置が出されたが、北京市の05年の分譲住宅の予約販売価格は、1平方メートルあたり6725元と、04年から19.2%上昇。分譲住宅の売買成立件数は前年比11%減の28.3万件、総面積は8%減の3366.7万平方メートルだった。このうち、予約販売は21.8%減の18万件だった。また、未入居物件のうち、1年以上未入居となっている物件が全体の27.7%を占めるとともに、77.3%が三環路内に集中していた。サーチナ・中国情報局 - 2月27日

■バブル崩壊後の越後湯沢辺りの風景を想像すれば良いのでしょうか?不動産価値が出るぞ!とスキー場の近いリゾート・マンションを手当たり次第に建てて売り捲った後、夜になっても明かりの点かない暗黒の高層住宅が林立する無気味な風景が現出したのでしたが、もともと薄暗いチャイナの夜ですから、余り目立たないのでしょうか?借金して大家さんになったチャイニーズが、店子が居ない事に気が付いたらエライことになりそうですなあ。日本と違って、融資額の大部分はコネと脅迫の情実融資である可能性が高いので、大規模な銀行の倒産が相次ぐかも知れませんなあ。さすがの米国ハゲタカ・ファンドも、ヒューザーより信用できない工事物件を買い叩こうとは思わないでしょう。本当に危ないらしいですからなあ。


中国吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春市交通局は27日、同市の企業が北朝鮮北部の日本海沿岸にある羅先の港湾や道路を合弁経営する計画について、北朝鮮当局が認可したことを明らかにした。1月には金正日労働党総書記が訪中して中朝経済関係がさらに強化されたが、両国の協力を通じて中国東北部から日本海に出る貿易ルートを確保することが狙い。時事通信 - 2月27日

■そんな所に投資して、どうやって元を取ろうと言うのでしょう?「羅先」というのは「羅津」とは違うのでしょうが、ちょっと場所が分かりません。ロシアとの海上交易を狙っているのか、日本の港との貿易を計画しているのでしょうか?北朝鮮の港からやって来ても、日中友好の船だと言い張れば日本は喜んで入港させると思っているのなら、日本は随分と舐められていることになりますなあ。しかし、向こうから来るのなら対処のしようが有りますが、日本側から切実な理由で出掛けて行く場合は止めようが有りません。


肝臓や腎臓の臓器移植を受けるため最近2年間に中国へ渡った日本人少なくとも7人が、手術直後に上海や遼寧省瀋陽などで死亡していたことが26日、分かった。これまでに中国で移植手術を受けた日本人が、計180人以上いる事実も判明した。中国の臓器移植では、ドナー(臓器提供者)が死刑囚である点など人権上の問題が指摘されている。厚生労働省の研究班と日本移植学会は、安全性を含めた実態把握に向け、渡航移植者の調査に乗りだした。 
時事通信 - 2月27日

■いつぞやの、「人体の神秘展」とか言うミイラの展示会が日本全国を巡回しましたが、あれもメイド・イン・チャイナだと言われましたなあ。「新鮮な臓器」をどうやって入手しているのか誰も知らないというのは怖い話です。以前はフィリピン辺りの囚人が腎臓の片方を半強制的に摘出されてドナーにされている、という告発報道が有りましたが、比較にならない巨大な人口に見合ったびっくりするような数の囚人がストック?されているチャイナの裏側で何が起こっているのか、誰も知りません。記事に有る「少なくとも7人」というのが気になりますが、敢えてそのまま計算すれば、180回の移植手術で7人ならば、約4%の死亡率です。

■でも、「手術直後」という但し書も気になりますなあ。数時間後、数日後、数週間後の死亡はデータになっていないのですから、死亡率は何処まで上がるか分かったものでは有りません。米国に渡るよりも安いからチャイナに希望を繋ぐのでしょうが、中華5000年の神秘などを信じるのは命懸けという話なのでしょうか?臓器移植の希望がこれほど切実なら、日本国内で対応できるようにもっと努力する必要が有るかも知れません。とは言え、臓器移植には微妙な宗教観や死生観などが絡むので、キリスト教風のシステムでは精神的な摩擦が起きます。日本がそんなナイーブな事で悩んでいる間に、苦しんでいる金持ちの日本人をカモにするような国が近くに有るのは困りましたなあ。

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チャイナは危機の缶詰か? 其の壱

2006-02-27 21:42:17 | 外交・情勢(アジア)
■ヤフーやグーグルなどの強力な協力を得て、チャイナの内側はますます見えにくくなりそうですが、一枚の薄皮のような国境周辺からも危ない香りが立ち上っているようですぞ。

台湾の陳水扁総統は27日、中国との統一を最終目標にした「国家統一綱領」と、総統府直属の諮問機関「国家統一委員会」の運用を終了すると発表した。「一つの中国」を前提にした対中政策指針を事実上廃止したもので、中国は強く反発している。同綱領は、1991年、李登輝・国民党政権が策定したもので、中台を対等な政治実体として、「交流」や「敵対状態終結」など、統一に向けた段階的道筋を明記している。独立志向が強い陳政権が2000年に発足してからは、実質的に機能停止状態にあった。陳総統は、同綱領の運用終了について、「台湾住民の自由な選択権を守るためだ」と説明した。

■中東で「民主化」の旗を振っている米国に、何らかの事前通告をしていたに違いないこうした動きが出ても、我が国の外部省や首相は、何も言わないのでしょうなあ。「総合的に判断して、適切に対処」するのでしょうから、結局、米国に尻を叩かれるまでは、知らん振りしていれば良いと思っているのも今の内かも知れませんぞ!


中国共産党台湾工作弁公室は26日に発表した声明で、この問題での陳政権の動きに対し、「陳水扁は『台湾独立』活動をエスカレートさせ、台湾海峡地域の深刻な危機を招いている」と名指しで非難していた。読売新聞 - 2月27日

■誰も台湾海峡にミサイルを撃ち込んだり、ポンコツ潜水艦をぶくぶくさせなければ、「危機」など発生しないのですが、御当人がこう仰っているのですから、「危機」の準備は着々と進めているぞ!という予告的脅迫なのでしょうなあ。イラクの後始末が付かない内に、ロシアを巻き込んだイランを警戒している米国は、北朝鮮への空爆準備態勢は取っていても、台湾海峡が火を噴いたら、日本に「ちょっと出て来いよ」と言うに違い有りません。日本は綱渡りのように、「中間線」の上を器用にトレースして真っ直ぐ公海上を進んで、限界点で「ゴー、スターン」の一声で後進して帰って来るのでしょうか?それでは、「流れ弾」の標的ですなあ。

■「北朝鮮は引き受けるから、台湾海峡は任せますよ」とも言えないし、イラクの陸上自衛隊の皆さんをイラン攻撃の助っ人に御用立てるわけにも行きません。イラク駐留の任務を果たされた皆さんには、何が何でも全員無事に御帰国願わねばなりませんし、インド洋で神業の給油活動をしておられる海上自衛隊の皆さんも同様です。北京にだったら、呼ばれもしないのにいそいそと出掛けたがる議員さんが山ほどいるのに、台湾には誰も行きませんなあ。河野洋平さんのように、台湾に緊急着陸しても機内で「謹慎」していた事を自慢するような方も居られるそうですからなあ。政治家や外交官が割っては入れなければ、いきなり自衛隊の派遣という事になりはしませんかな?それでは、自衛隊が可哀想過ぎますぞ。


北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が行っていたとされる偽米ドル札の製造疑惑に関連して、香港に本拠を置く集友銀行の3つの口座が1年前に凍結されていたことが判明した。米当局は「偽米ドル札は米経済にとって脅威となっている」と警告を与えた。香港メディアなどが伝えた。問題となっている口座は、中国大陸からの移民女性の名義。米シークレットサービスなどのおとり捜査によって、同口座が偽米ドル札の入手に深く関与していることが明らかになり、米司法省の求めにより1年前に凍結された。移民女性は、偽米ドル札を手に入れるために支払われた代金を送金する役割があったのではないかとみられている。

■額は減ったと言え、日朝間の合法・非合法の貿易は続いているのですから、偽札犯罪を他人事のように見物している場合ではありません。以前の金丸さんのように、刻印無しの金の延べ棒を自宅の金庫に山積みしているようならば、まだ安心?かも知れませんが、札束で支払って貰っている日本の誰かさん達は大丈夫なのでしょうか?マカオがダメなら香港が有るさ、香港がダメなら、クアラルンプールが有るさ…でも、最後は東京ではないのですかな?


米当局は2月下旬に担当者を香港に派遣、同口座の267万ドルを近日中に、差し押さえる方針だ。 米捜査当局の関係者は「香港は北朝鮮の不法活動と関わりがある」「大きな問題となりつつあり、米ブッシュ政権は『香港は目を覚まさなければならない』とメッセージを送っている」などと話している。集友銀行は2001年に中国銀行(香港)の系列行になっているが、中国銀行(香港)や香港警察当局はコメントを拒否しているという。
サーチナ・中国情報局 - 2月27日

■シンガポールにも華人系の銀行は軒を連ねていますし、フィリピンやインドネシアにも似たような金融機関が並んでいます。そうしたネットワークの中を日本のお札が大量に行き来しているのですから、どこかで摩り替わっていたりしたらどうするのでしょう?米国は自国通貨の探索には熱心ですが、日本のお札の事など心配してはくれないでしょうなあ。自国の通貨も守れない国は、物笑いの種にされるだけですからなあ。こうした場合、偽札の庁舎は外務省の所管なのでしょうか?日銀から専門家が派遣されるのでしょか?否、やはり警察関係の強面の皆さんがぞろぞろと出掛けて行くのでしょうか?ちゃんと分担が決まっているのでしょうな!
(其の弐に続きます)

小学校で英語 どこまで続く泥濘ぞ

2006-02-27 16:09:33 | 教育
■実に変なニュースを目にしました。誰でも教育が大切だと言いますし、どうも今の日本の教育には問題が多いようだとも言います。最低限の読み書きと計算の能力も無いまま中学卒業証書を押し付けられる生徒や、高校どころか大学に入ってから分数計算の補習を受ける生徒まで出現して、日本の将来はどうなるんだ?と驚愕した人達も多かったようですが、そんな騒ぎの中で出て来たのが「ゆとり教育」で、マラソンを完走出来ない者が多くなったから、距離を三割短くしてしまおうという荒業です。42,195キロを走りぬかなければ、それをマラソンと呼んでは行けないのに、隣の国を真似して「日本の特色ある教育学」という訳でもないのでしょうが、教えるべき内容を削って全員に「達成感」を与えて生徒のご機嫌取りをしよう!と考えた愚か者が居た事だけは確かでしょう。完走出来ないのなら、足腰を鍛え直して出直すしか他に方法など有りません。

■週休2日制を断行しながらカリキュラムの再編成をしなかったのですから、教育内容を削るしかなかったのは分かりますが、授業時間を削るのなら、贅沢な目標は遠慮して地味な基礎訓練しか出来ません、と言うべきなのに、創造性だの個性だのと評価不能の得体の知れない才能を伸ばすのだ!などと言われるから保護者は混乱して不安になるのです。公教育よりも自由が聞く私立学校に我が子を押し込もうとする親達が増え続けるのは、公立学校が教育市場から見棄てられているからだと誰でも知っているのでしょう。科目数の帳尻合わせをするために「総合学習」というお任せ日替わり定食みたいな科目を捻り出し、そんな教員免許を取得した教師など一人もいないのに、全国一律に授業を開始されては学校の先生方は堪ったものではないでしょうなあ。

■そこに追い討ちを掛けているのが、小学校からの「英語」授業です。


小学校での英語教育は是か非か――。三重県で行われている日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会の外国語教育分科会では、中央教育審議会で検討中の小学校への英語教育の導入を巡り、現場の教師から賛否の声が上がっている。

教師という職業は、国が定める免許を取得して就くものですから、免許の種類によって職能がまったく違います。料理をする人達になぞらえれば、河豚を調理して良い板前さんとそうでない人が居るのと同じ事です。免許を持っていない板さんが捌いた河豚を食べる勇気を持っている人は少ないでしょう。だいたい、それは犯罪になるのですぞ!それほど「毒性」は強くなくとも、小学校の教員免許を取得した時には英語の授業などまったく想定されていなかったわけですし、もう少し以前には中高生の英語授業で高度なコミュニケーション能力なども想定されていませんでした。

■文科省が思いつきで、免許内容を逸脱した仕事をやらせようと言うのは、非常に危険なのは明らかです。意識の高い現場の先生方が危機感を抱くのは当然なのです。


富山県氷見市立海峰小の表克昌教諭(40)は27日午後、織田信長と豊臣秀吉らを例に、「どちらが偉いと思うか」と6年生の児童たちに英語で討論させた実践例を報告する。表教諭は「慣れない英語で自分の考えを相手に伝えようとする努力は、コミュニケーション能力を高める」と肯定的だ。大阪市立鯰江(なまずえ)中の酒井聖教諭(51)も、大阪府内の9割以上の小学校が英語をとり入れている実態を報告する。酒井教諭は「小学校英語は定着しており、是非を議論する段階はもう過ぎている」と話す。

■「織田信長と豊臣秀吉」に関する歴史的意義を議論するとは素晴らしい授業ですが、そんなに立派な討論が成立したのなら、是非とも社会科の授業で、日本語を使ってみっちりと議論して見せて欲しいものです。まさか、日本語ではロクな議論も出来ない代わりに、英語では大学生も恐れ入るような高度な討論が繰り広げられたのではありますまいな?!そこはもう日本の学校ではありませんぞ!大阪の酒井先生の「見切り発車」発言は、まるで昔の対米戦争を決めた時の理屈とまったく同じではないでしょうか?そんな先の見えない決断をしてしまって良いのでしょうか?


これに対し、金沢市立港中の七田桂子教諭(48)は26日の分科会で、全小学校で英語の授業を行っている同市の状況を踏まえた上で、「教師にも生徒にも負担が大きく、双方とも疲れ切っている」と指摘した。同市は昨年度から英語教育の構造改革特区に認定されたが、石川県教組金沢支部のアンケートでは、「英語を教える補助教員との打ち合わせ時間がない」「評価が難しい」などの声が目立ち、七田教諭は「十分な授業が出来ない」と効果に懐疑的だ。分科会に参加した別の教員からは、「中学入学時点で既に英語が嫌いという子どもが増えた」との意見もあった。
読売新聞 - 2月27日

■英語で討論まですると言うのなら、全ての資料を英語で読み、メモ類やノートも全部英語で書いて準備して置かねば間に合いませんが、一体、どんな歴史討論をやったのやら……。これらの作業を全部日本語でこなす事が出来ないところに基礎学力の崩壊の危機が露呈しているのではないでしょうか?使いこなせる漢字の数よりも、自在に操れる英単語の方を多くしようとでも思っている先生が居るのでしょうか?日本語の扱い方も良く分からない生徒に、今度は英語だ!と詰め込んで、どこが「ゆとり」教育なのかさっぱり分かりません。

■こんな訳の分からない研究会をやらされる先生方も可哀想ですが、文科省の思いつき行政に振り回される生徒が一番可哀想ですなあ。こんな事だから、親たちは藤原正彦先生の『祖国とは国語』などを貪り読む事になるのでしょうなあ。そもそも、「教育研究全国集会の外国語教育分科会」に参加された先生方は、こういう議論を英語で行なったのでしょうな?!

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米百俵は何処へ消えたのだろう? 其の弐

2006-02-27 11:16:08 | 教育
■大雪や寒波に苦しめられ、風邪の大流行にも耐えねばならない2月の入学試験という風習は暫く変更されそうもないのは、喉元過ぎれば何とやらで、昔の受験生達にとっては受験は所詮他人事だからでしょうなあ。桜の花を見ながら卒業と入学の儀式を執り行う美意識は大切なのでしょうが、カリキュラムがころころ変わったり、受験方法まであれこれと新しい工夫が実施されると、受験生ばかりでなく大学側でも大混乱なのでしょうなあ。

25日の長崎県立大学(佐世保市)の入試で、200点満点の小論文の配点が問題用紙に誤って100点と表記されるミスがあった。同大は25日中に受験者全員にミスがあったことを伝える文書を郵送。26日中に大学のホームページに訂正と謝罪を掲載する。小論文は募集要項通り200点満点で採点する。毎日新聞 - 2月25日

■受験生の中から、合計点が100点分不足している事を指摘する声が出なかったのが不思議ですなあ。点数配分など一切気にせずに、第一問から解き始める受験生ばかりが集まったのでしょうか?予備校では点数配分の重要性をしつこく指導しているはずなのですが、長崎大学には現役の受験生だけがやって来たとも思えないのですが…


25日にあった熊本大(熊本市)の2次試験前期日程で、一斉放送方式で行う予定だった教育学部の英語のリスニング試験がテープレコーダーの不具合のために取りやめとなり、予備のペーパーテストに切り替えられた。同大入試課は「教育学部の受験生全員が予備の問題を受けており、合否に影響はない」と説明している。同課によると、教育学部の受験生は429人。英語の試験は全4問で午後3時40分から2時間あり、リスニングは4問目だった。英語の試験の開始直前、職員が試験会場の教育学部棟6教室に放送機材に接続して一斉放送するテープレコーダーを最終点検したところ、聴き取りにくい部分があった。受験生に対しては、リスニングが始まる予定時刻に試験監督が口頭で予備の問題への切り替えを説明した。
毎日新聞 - 2月25日

■今時、テープレコーダーを使っていると言うのも呑気な話ですが、急激に生産量が減っているとは言え、メイド・イン・ジャパンはそんなにヤワな製品ではない筈です。何処かの国から輸入した製品だったのか、何十年も前の製品だったのか、原因を知りたいものですなあ。


香川大学(高松市)は25日、同日行った入試の化学で出題ミスがあったと発表した。実施後に教員の指摘で分かったという。ミスがあったのは大問1の小問3。出題文に不要な数値が含まれていたため、問いの趣旨に反し2通りの解答が可能になった。同大は化学の受験者496人全員を正解扱いにした。香川大では昨年の入試の数学でも出題ミスがあった。同大は「迷惑を掛け、心よりおわびする」としている。時事通信 - 2月25日

■新聞の署名記事ではありませんが、大学入試問題にも出題者の名前を書いておいたらどうでしょう?まさか文系の先生が化学や数学の問題を作っているわけではないでしょうから、こういう問題を作る先生の名前を知っていれば、入学後の講義選択の時に参考になるでしょうなあ。最終的に国の知的レベルを決定するはずの大学が、内部から崩壊し始めている、という指摘は随分前から内部告発の形で出されていますが、一向に改善の方向が見えていないようです。文科省が梃入れしようと小手先の対応策を出しても、理系の研究をしたいと志す若者は、ますます米国への留学を希望するようになるでしょう。それを防止するどころか、「使える英語」授業が会話重視に加えて、英語で論文が書けるようにしよう!と言うところまで話が進んでいるようです。日本語でろくな作文も書けない生徒を大量に抱え込んでいる小中学校の先生方はどうするのでしょう?

■英会話に重心を移した時に、「英文科」卒業の先生方を補助しようと外国人を大量に呼び込んだのは御愛嬌としても、英語の論文指導となれば、そんじょそこらの外人なら誰でも良いという訳には行きませんぞ!資金力に余裕のある有名私立学校がカネに物を言わせて米国の優秀な大学院生あたりを高待遇で招いたりするのでしょうか?英語で論文など書いた事も無いような先生を抱えている地方の大学などには閑古鳥が鳴いて、倒産の連鎖が置きそうですなあ。残念なことに、英語論文などとは別問題で、今存在している大学の半分は、あと数年の内に縮小と消滅の氷河期に襲われるという予測が有りますなあ。消える可能性の高い出身校を持とうとは誰も思いませんし、通学中にマスコミが押し掛けて来て追い回されたい学生も居ないでしょうから、志望大学を選ぶのも大変なら受験する大学を選ぶのはもっと大変になっているでしょう。それも「自己責任」と切り捨てられますから、「ゆとり世代」の受験生の受難は妬市を年を追って厳しくなりそうです。


家庭の経済格差拡大の影響が子どもの学力に及び、成績の下位層が増えた、と考えている教員が5割近くに上ることが25日、共同通信社が全国の小中学校教員を対象に実施したアンケートで分かった。家計の格差が拡大していると感じる教員は約8割に達した。教員の多くは格差拡大の影響として、低所得層では、親が勉強をみる余裕がなくなっていると指摘。勉強の遅れた子への学校の対応も不十分と考えるなど、長期間にわたった不況の中、生活に追われる親の状況が子どもの学習面に影響していることに教員が苦慮している実態が浮かんだ。アンケートは三重県で始まった日教組の教育研究全国集会参加者のうち250人に行い、126人が回答した。
共同通信 - 2月25日

■基礎学力の不足は、学校の責任ではない!という暗黙の前提が出来上がっているようです。貧乏な家の子供は馬鹿だと言い切ったも同然のアンケート結果ですから、こんな資料を公表しても良いのか?と大いに疑問です。マスコミがあれこれと調査して資料として発表するのは仕事として認められるでしょうが、先生方の全国集会でこんな事を調べて発表するのなら、法律を改正して、学校に行かなくても良いようにした方が話が早いようにも思えますなあ。「大きな政府」よりも「小さな政府」の方が良さそうだと思うなら、同じように「小さな学校」を覚悟しなければなりますまい。「米百俵の精神」が何処に活かされているのかさっぱり分からない事になっているようですが、それを誰も騒がないのは、元々、教育に関して誰も気にしていないという証拠なのかも知れませんぞ。

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米百俵は何処へ消えたのだろう? 其の壱

2006-02-27 11:15:26 | 教育
■受験シーズンも大詰めで、受験生の諸君には花粉症やインフルエンザになど感染せず、蓄積した力を存分に発揮して頂きたいものです。戦後7度目の学習指導要領の改訂が実施されて、「円周率が3」「学習内容が3割減らされる」などと大騒ぎされて、文科省は最初の親方日の丸を降ろして「指導要領は最低限」などと苦しい言い訳をしましたなあ。2000年問題の後で「2002年問題」と名付けられる真っ最中に、ピカピカですかすかの教科書を渡されたのは高校一年生の時でしたかなあ?古い厚くて重い教科書を使っていた浪人生諸君は、受験科目の変化に対応するのが大変でしょうが、試験用紙の取り違えなどしなかったでしょうか?

■「ゆとり教育」の裏側に隠していた「週休2日制」を変えるわけには行かない文科省は、学力低下の後始末を結果的に各家庭に押し付けてしまったようです。勿論、憲法との兼ね合いで、そんな事を文科省が認めるはずは有りません。管轄違いの厚生労働省が発表し続けた「人口は増加に転じる!」という戯言を信じたふりをして、大学の増設を続けていたのは文科省で、大学を作れば若者が集まるぞ!と皮算用した地元選出の政治かも頑張って、大学はどんどん増えているので、名前だけ書けば合格する所もだんだん増えているようです。人間社会は正直なもので、大学が増えて入り易くなればなるほど、明治時代以来の伝統を持つ有名大学のブランド化が一層進んでしまいましたなあ。中学校どころか、小学校、幼稚園から受験レースに参加した者だけが有名大学に入れるようになれば、公立学校に真面目に通った者は馬鹿を見ることになります。

■それも構造改革・行政改革の一環ですから、生まれた時代に合わせて努力するしか有りません。赤紙が届いて戦場に引っ張り出されない時代に生まれなかった事を有り難く思い、大量の残飯が捨てられるような食糧が豊かな時代に生まれた事に感謝するしか無いようです。高額な月謝を払って小さな頃から受験塾に通った者も、公立学校だけで勉強していた者も、大学を受験する時には同じ試験問題を解かねばなりません。「ゆとり教育」から導き出される大学入試は、画一化や偏差値の輪切りと訣別した各大学ごとに特色を持たせて斬新なものになるはずでしたが、何故か全国一律のセンター試験に参加する大学が増えるという奇妙な流れが止まりません。

■全国学力試験をやるのやらないのと騒いでいても、センター試験の一次試験は完全に全国一律の学力判定テストとして機能しています。大学の特色を出せるのは、二次試験という事になりますが、一次試験でも可笑しな機械を導入して英語の試験が混乱したり、出題ミスが見つかったりしているのですから、二次試験で何が起こっても不思議ではありません。受験生の中には、学校不信から人間不信に陥る若者も多いかと思いますが、世の中と言うのはそんな物なのかも知れませんぞ。


日本学術会議(黒川清会長)は、理科離れ対策の一環として、教師の“科学的教養”の向上を目指し、検討委員会を設置した。大学の教員養成課程での取り組みや現職教員の教育方法について報告書をまとめる。検討委は自然科学、教育学、心理学の専門家約10人がメンバー。教員や教員志望の学生に、進展が速い科学技術を理解させ、レベルアップを図る対策を練る。黒川会長は「(自然科学の)研究者が学校の先生に転身する道を広げるなどの方法も含め、教員教育の問題を考える」としている。読売新聞 - 2月26日

■どこまで本気なのかは分かりませんが、学問は日進月歩で進むのは当たり前ですし、グローバル化がどんどん進めば世界中の知性が交流して新しい知識が毎日のように獲得されています。新聞紙面に紹介される科学関連の記事を丹念に読むだけでも、相当の基礎知識と努力が必要な昨今です。それが特に如実に現われる理系の科目を担当する学校の先生方が、大学を卒業してからどれほどの努力を続けているのか、甚だ心細いのが現実のようです。本来なら、大学時代に専攻した分野以外にも目配りをして日々是研鑽の日々を送って貰う為に、様々な制度で恩恵が与えられているはずなのですが、大学時代に引き続いて?本など読まない、と平然としている先生方が増えいてるのが実情のようですなあ。


岡山大(岡山市)は25日、同日の入試で、理科の問題にミスがあったと発表した。岡山大によると、1冊になった地学、生物など4科目の問題から選択解答するが、地学に地球の誕生時期を問う設問があるのに、生物の問題文に「地球は約46億年前に誕生」という記述があった。科目間の問題点検が不十分で、重複に気付かなかったという。この問題は配点をなくし、別の問題に追加配点する。

■答えが書かれているのに気が付いたのは、規定の時間内にあちこち目配りが出来た生徒だけでしょうから、それも学問には必要な才能として認めるべきだと個人的には思うのですが、これは大学の裁量ですから、仕方が有りませんなあ。しかし、こうした問題が起こるのは別に驚くべき話ではありません。青春を懸けて一生を左右する大学受験!と言われていますが、それを受け容れる大学側では、受験問題を作る仕事を誰もやりたがらないそうです。特別に受験問題を専門的に考える先生がいるわけではなく、押し付けられた可哀想な先生に支払われるアルバイト料も微々たるもので、結局、大学内の力関係で弱い立場の若い者がぶつぶつ言いながら、一応は過去に出題された内容を調べ直し、高校の教科書を読み直して問題を作り、面倒臭い採点作業までしなければならず、新学年の講義の準備と前年度の成績の整理作業と重なって、晩秋から春先まで、大学の先生方はへとへとになるそうです。完璧な準備を整えて受験生を待ち構えている大学など存在しないと考えた方が良いようですが、大手予備校に試験問題の制作を外注してしまう大学も増えているそうですなあ。


試験室の1つで理科の開始時刻が5分遅れるトラブルもあった。問題を入れる封筒と予備の封筒を取り違え、人数分の問題冊子を予備の封筒に入れたため、試験監督が数が足りないと思って試験本部へ取りに行き、開始が遅れた。田中宏二副学長は「受験生にご迷惑を掛けたことをおわびし、今後は的確な入試を実施したい」とコメントした。共同通信 - 2月25日

■受験生も直前まで受験勉強を続けて疲れ切っているでしょうが、大学の先生方も疲れているのでしょうなあ。受験生の中には、合格しても他の大学に入学しようと思った者も居たかも知れませんが、試験会場には現われないすばらしい先生が大学に居られるかも知れませんから、こういう凡ミスで大学全体を判断しない方が良いでしょうなあ。

美人局と書いて… 其の弐

2006-02-26 17:25:33 | 社会問題・事件
■しかし、法律を上手に悪用すれば、もっと上品に稼げるようです。

割賦販売法では2カ月3回以上のローンを組む場合、クーリングオフなど消費者を保護するしくみがあるが、翌月一括払いが多いカード決済は、多くのケースが対象外。また、加盟店の不法行為については、カード会社や決済代行業者に責任を負わせる制度もないため、悪質な決済代行業者の存在はトラブルにつながりやすいという。

■カード決済が便利だと、誰が言い出したのかは分かりませんが、70年代の米国はベトナム戦争の影響も有ってか、窃盗や強盗が頻発して現金を持ち歩くのは自殺行為だと言われていました。そこで本人がサインしなければ使えない銀行振り出しの小切手帳が必需品になって、当時の映画やテレビ・ドラマにも良く出て来たものです。そこにカード社会が出現したのですから、国民全員がこぞってカード決済をするようになるのは当然です。しかし、日本もそれに同調する必要が有ったのかどうか、誰も疑問に思わず、便利だから、の上に米国文化を崇拝する気分も加わって急速にカードが普及して行ったのでしたなあ。まさか、それがいとも簡単に偽造されたり、データを読み取れるようなヤワな代物とは思いもしなかったのでした。


土井弁護士は「薬物や銃器、アングラ情報の売買なども、決済代行会社を介すことで、信用あるクレジットカードの支払いが可能になり、さまざまな詐欺商法の支払いもできてしまう」と警鐘を鳴らしている。毎日新聞 - 2月25日

■カード自体にも多くの弱点が有ったのに、法律がまったくカード社会に対応できていないとなれば、こんなに危険な物は無いように思えるのですが、売られている財布には、「便利なカード用スリット」が沢山付いていますなあ。携帯電話も必需品になりましたし、インターネットの利用方法は小中学校でも熱心に教えるように文科省が推奨して予算も付けているのですから、ネット版の「美人局」は増え続けることでしょう。その内、色気づいた暇な高校生や中学生が被害者になったというニュースが続出する可能性も高そうです。否、既に親が泣く泣くカネを払って黙っている事件が多発しているのかも知れませんなあ。美人局を「ツツモタセ」と読ませるのは、日本のヤクザさん達の隠語で「筒持たせ」という専門用語が有ったからだとか、辞書類は巷間囁かれる語源の噂を付記しています。

■「筒」を持たせる、という表現を即物的に解釈すると、まぐわう途中で行為が中断されるイメージが涌きますが、行為が終わろうと途中であろうと、美人局と言うのでしょうなあ。ちょっと声を掛けたとか、物欲しそうな視線を送ったとかいう些細な理由でも脅迫は出来るでしょうし、詳しく考えると頭が混乱してしまいます。しかし、美人局が成立する時には間違いなく被害者は金品を巻き上げられているのは確かでしょう。金品でなくとも、何か有利な取り引きを強要されるとか、犯罪行為を代行させられるという事も有りそうですなあ。手を切りたくなった女性を脅迫する相手に押し付けてしまうような場合も美人局と呼べるのかどうか、難しいところです。

■世の中は男と女で構成されているのですから、あちこちで美人局もどきの騒動が起こっていることでしょう。しかし、これも詐欺の一種だと考えれば、その歴史的な起源は随分と古いのかも知れませんなあ。詐欺と泥棒は、石川五右衛門さんが言う通り、「浜の真砂が尽きるとも、…尽きぬ」ものでしょうから、ご用心、ご用心。さて、言葉の上で美人局の本家本元?とされる話では、本妻でもない女性を本妻だと言って相手を騙すのでした。これはライブドアがやった事とまったく同じ事ではないでしょうか?

■株式の交換や怪しげな資金で「M&A」という名の会社乗っ取りを繰り返して、本体のライブドア株を大きく見せて株価を吊り上げる。プロ野球、地方競馬、宇宙旅行…と、マスコミが集まりそうな話題を目ざとく見つけると、その中心に飛び込んで新聞紙面やテレビ画面を賑わして企業の名前を売って株価を吊り上げる。その繰り返しですから、最後には株式の最高値を見極めたプロが売り浴びせて大儲けした後、素人が大慌てで売り抜けようとして失敗するのは目に見えていたでしょう。国の許認可事業であるテレビ局を手中にすれば、政治家や役人とも仲間になれると思ったのか、ネットとテレビ・ラジオ放送を融合させる!と、本家の米国でも成功していない大事業を打ち出したりもしましたが、一番熱心にやっていた事は職種に区別を付けずに弱みを見せる企業の強引で怪しげな買収だけだったようです。

■本体のライブドアを本妻さんとすれば、経営ノウハウも分からない業種の企業を子会社化した時点で、娼妓を本妻に見せかける偽装をしていた事になるのではないでしょうか?法律に抵触すると問題になっている粉飾決算も、トルコのスルタンがハーレムを営んだように子会社を侍らせておいて、株式市場に向っては全部が本妻のように見せかけたのでしょう。本やDVDなどのメディアを総動員して宣伝していただけでなく、公共電波も利用して美人局を仕掛けていたようなものです。但し、この奇妙で大規模な美人局には、最後に凄んで出てくる怖い男は登場しません。先の悪質サイトで稼ぐ「愛人契約」詐欺と同様で、愛人の代わりに「株主」をマスコミを挙げて募集していたようなものです。愛人(株主)になったら高額の報酬が約束されているかのように囃し立てた者が大勢いたわけですから、実体の無い契約に資金を投げ込んだ人は、何処にも居ない愛人を求める大金持ちにも会えず、株主としての利益も得られないまま、世間の冷笑を浴びる事になったというお話です。

■石川や、浜の真砂は尽きるとも、世に美人局の種は尽きまじ……。
ご用心、ご用心。

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美人局と書いて… 其の壱

2006-02-26 17:24:46 | 社会問題・事件
■「美人局」と書いて「ツツモタセ」と読みます。ものの本によると、元の時代に書かれた中国の本に出ている単語らしいのですが、その時はプロの娼妓を自分の妻だと偽って、客になっていた男を脅迫する話なのだそうです。妻を娼妓に仕立てても、娼妓を妻だと偽っても騙される方のダメージは同じとも思えますなあ。この犯罪の成功率を高めるのは、脅迫された被害者の心に自責の念や羞恥心などがふつふつと湧き上がる正常な心理が働くからです。ですから、「逆ギレ」されたら犯罪は失敗に終わります。陰に隠れていた男が現われて「オレの妻(女)に何をしやがる!」と凄んで脅迫するわけですから、相手に迫力負けして返り討ちに遭う危険も有るでしょう。ですから、出来るなら相手との接触を避けてカネを巻き上げられれば、犯人にとっては実に稼ぎ易い事になりますなあ。今の世の中には、それを可能にする仕組みや道具が揃っているらしいのです。ご用心、ご用心。

「会ってくれるならお小遣いをあげる」――。裕福な男女が交際相手を探していると装って勧誘し、後から多額の利用料を請求する悪質な出会い系サイトが横行している。運営業者は、海外に法人格を持つ決済代行会社を“トンネル”として経由させることで、クレジット決済を可能にしている。現行法では、こうした悪徳商法を規制するしくみが不十分で、法律家は法整備を求めている。

■「出会い系サイト」という正体不明の商売が大繁盛しているような風聞が広がっているようですが、噂通りの内容ならば売春斡旋業と余り変わりが無いようです。人権問題にかかわる「自由恋愛」を楯にして営業しているのでしょうが、美人局の草刈場にするには最適な環境を提供しているとも言えますなあ。それでも業者が減らないのですから、妄想を成就させた人がどれほど存在するのかは分からないのに、次々と客になりたがる人が跡を絶たないのは確かなようです。中にはこの記事に有るような、愛人契約の仲介話も紛れ込んで来るのは仕方が無いのでしょうが、昔のような「苦界」だの「日陰者」だのと言う陰湿な響きを持った言葉が死語になっているのでしょうなあ。


悪質サイトは無差別に電子メールを送り、「無料体験」などを口実に勧誘。登録時にクレジットカード番号を記入させ、入会すると「セレブの主婦」「青年実業家」「デザイナー」などの肩書でメールが続々と届く。メールのやりとりをするうちに、有料化する通知が届き、ドル建てで月数万~数十万円の利用料を請求してくる。
 メールの相手は「会えば300万円あげる」「お金がいっぱいある」などと言い寄るため、会員は「会って元を取ろう」とメール交換を継続。ところが、デート直前になると「事故に遭いけがをした」などと理由をつけて相手は逃げてしまう。
 
■携帯電話のメールに同種の「迷惑メール」が次々と着信し始めた事が有りました。最初は、ルミちゃんやリカちゃんのお誘い手紙の文面を眺めながら、どこの馬鹿者がどんな顔してこんな下手くそな文章を打ち込んでいるのだろう?と笑って楽しんでいましたが、文面がほとんど同じで、時にはまったく同じ物も送りつけられて来ました。同じ詐欺なら、もう少し努力するべきだ!と腹が立つ頃には、着信した時点で「料金が発生しています」だの「未入金の使用料が多額になっています」だのと、脅迫が始まったのでアドレスを変更して騒ぎは収まりました。全国的にアドレス変更が行なわれたり、警察による摘発が始まったりして、業者は随分と減ったらしいのですが、携帯電話会社やネット関連の会社は相当に儲けたはずなのですが、まるで自分達も被害者であったかのような顔をして特に利用者に謝罪などしていないようですなあ。

■問題のメール内容ですが、ルミちゃんやリカちゃん本人がそんなメールを打つはずなど無いのは明々白々なのですから、本物に見せかけるには高度な技術が必要となります。しかし、悲しい事に状況判断が出来ない上に、文章の読解力に乏しい人が多いのか、文面を本気にして妄想を膨らませてしまう椿事が多発しているようなのですなあ。手の混んだ物になると、誰だか分からない女性の写真を貼り付けて送りつけるメールも有るそうなので、文面を吟味される弱みを誤魔化すのに必死なのでしょうなあ。


悪質サイトに関する訴訟を複数担当した土井裕明弁護士(滋賀弁護士会)らによると、出会い系サイトなど実態不明の企業は通常、カードの加盟審査で除外され、カード決済はできない。しかし、新規の起業が相次ぎ、加盟の申請が増加する中で、加盟審査などの業務をカード会社に代わって行う決済代行業者が次々と誕生。悪質サイト運営者が、海外に法人格を持つ決済代行業者に申請して審査の目をすり抜け、カードで決済するケースが目立つようになった。

■「決済代行業者」というのが曲者で、法律的には「善意の第三者」とか言う被害者と同じ立場を確保して理不尽な取り立てが可能になるのだそうですなあ。元々、発信元が誰なのか分からないので書類上だけで同じ悪い奴が「決済代行業者」に成り済ます事も簡単なのでしょうし、脅迫の専門家があちこちから仕事を請け負う場合も有るでしょう。

産経新聞インタヴュー

2006-02-26 12:06:19 | 著書・講演会
■産経新聞 2月26日

【著者に聞きたい】 中村吉広さん 『チベット語になった「坊っちゃん」』

自分たちの言葉に誇りを

中国青海省の小さな町、チャプチャの青海民族師範高等専科学校に一九九八年から
二〇〇一年まで滞在、チベット人に日本語を教えた体験記をまとめた。しかし最初から
日本語教師として赴任したのではない。チベット仏教の理論書を読むための語学留学
先として選んだのがこの学校だった。

「きっかけはオウム真理教事件。チベット仏教を騙(かた)る彼らを誰も止められなかっ
た。チベット仏教の本質は何だろうと興味がわいた。ところが、チベット仏教の超能力
や神秘的な側面について書かれた本は出ているけど、本質に迫る本は国内では手に
入らない。留学して理論書を読むしかないな、と」

同校は中国政府がチベット民族教育のための教員を養成する施設で、学生の九割が
チベット人。チベット人が多く住む奥地でチベット語を学びたいという希望に合う学校で、
初めての外国人留学生が中村さんだった。

三年間、生徒として学び、チベット人の日本語教師が学校を去ったことから、留学期間
を延長して四年目から日本語を教えることになった。「大変でした。日本人が韓国語を
勉強するのに、フランス語で書いた韓国語教科書を使う人はいない。でもここでは、同じ
ようなことをやっていた」。チベット語は、日本語と同じように単語を助詞でつないでいく
「膠着(こうちゃく)語」。ところが、教科書はまったく系統の違う中国語(北京語)で書か
れている。これでは効率よく教えることができない。

中国語を介せず、チベット語を日本語に訳すための教材として学校に所蔵されていた
日本文学全集から夏目漱石の『坊っちゃん』を選んだ。『坊っちゃん』と同じように寄宿
舎で生活を送っている彼らは、ときに笑い声を上げながら翻訳作業に取り組んだ。

生徒たちは、中村さんの一年間の任期中には最後まで訳すことはできなかった。しかし
近代化が進み、チベット語が話されなくなっていく中、「チベット語は道具として機能する
んだ、自分たちの言葉に誇りを持てというメッセージは伝わった」と手応えを感じている。
途中までとはいえ、チベット語版「坊っちゃん」を残すことができた。

「次の世代がこれを見て日本語に興味を持ってくれれば」



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