旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

悲しき日中関係 其の弐

2006-03-14 19:57:21 | 外交・情勢(アジア)
■貰える物は何でも余分に貰うけれど、出す話になると「猛反発」するのがあちらの流儀です。何とも恐ろしい話ですなあ。そんな国を相手に海底資源の争奪を「話し合い」で決着させようと言うのですから、日本の政府は頭がどうかしているのでしょう。

米国は13日、国連通常予算の分担率決定に当たり、購買力平価の概念を導入することを盛り込んだ独自案を国連総会第5委員会(行政・予算)に提出した。米国案によれば、中国の分担率(約2・1%)は大幅に引き上げられ、日本を追い抜く見通し。この日の第5委員会では、日本も安保理常任理事国の分担率に最大5%の下限を設け、中ロ両国に負担増を求める自国案について説明した。予算拠出額で1、2位を占める日米両国が中国の負担増を目指す姿勢で一致し、同国が反発を強めるのは必至。中国の張義山次席国連大使は日本案について、「受け入れられないし、実現の可能性もない」と言明した。時事通信 - 3月14日

■自分でも拠出金を出し渋っている米国に言われたくはないでしょうが、元々中国が国連を尊重するはずなど無いのですから、日本代表も単なる「嫌がらせ」で提案しているだけなのでしょうな?まさか、本気で「話し合い」を試みようなどとは思っていますまいな?!


中国の温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)閉幕後、北京の人民大会堂で記者会見し、台湾の陳水扁総統が中台間の段階的統一を目指した「国家統一綱領」などの事実上廃止を表明したことについて、「『1つの中国』原則に対する公然の挑発であり、両岸(中台)の平和安定を破壊するものだ」と強く非難。その上で、「事態の発展を注視し、発生し得る一切の結果に対応する準備を進めている」と述べ、武力行使を含めた強硬対応を示唆した。時事通信 - 3月14日

■「反日」ばかり騒いでいても、自分の首を自分で絞める結果になりそうなので、人民の心を一つにまとめるには「台湾奪還」の方が手っ取り早い!と人民解放軍が騒ぎ出しているのではないでしょうか?渡海能力とミサイルの性能を向上させているのですから、何をしようとしているかは明らかですぞ。台湾を飲み込んだらオマケとして尖閣諸島もイタダキですからなあ。事が始まったらゴチャゴチャ言うに決まっている国連など、本当は脱退したのに常任理事国の椅子を手に入れてしまったから仕方なく入っているようなものです。その内、日本に100兆円くらいで売りつけるかも知れませんぞ。分割払いで買おう!と言い出しそうな外務省が怖いですなあ。


温家宝・首相は14日、第10期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の閉幕にあたって記者会見を行い、今回の会議で大きな注目を集めた「新農村の建設」という方針について説明した。…温・首相は「農業、農村、農民の問題は中国の現代化にかかわる根本的な問題だ」として、「農村振興は内需の拡大につながり、経済発展の基盤をさらに強固なものにする」と主張。さらに、農村のインフラ建設を整えることなどにより、生産と農民の生活の条件を改善すること、農民の民主的権利、特に土地に関する「請負生産」の自主権を保障するとともに、農民の意思を尊重すること、農民の現実的な利益を確保することが必要だと指摘した。
サーチナ・中国情報局 - 3月14日

■「農村のインフラ」など、建国以来ずっと放置しているのも同然なのに、広大な農村地域で本気で実現出来るとは、温家宝さんも考えてはいないのでしょう。水も電気も医者も学校も無い、偶に来るはずの回覧板も無いような広漠たる貧困地帯で、一体、どんなインフラを整備するつもりなのでしょう?結局は日本にODAの増額を申し込んで来るだけなのではないでしょうかな?沿海部の経済成長よりも、奥地に抱え込んでいる「貧困」そのものを武器にしてタカって来るのは目に見えているのですが、外務省はちゃんと準備は出来ているのでしょうか?可哀想な鈴木茂さんが、未来の日本の姿では目も当てられませんぞ!奇跡でも起こって鈴木茂さんには是非とも回復して頂いて、手記を発表して貰い、各地で講演会を開いて変な結婚斡旋業者を告発する運動の代表になって貰わねばなりませんなあ。心より、ご快癒をお祈り申し上げます。

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悲しき日中関係 其の壱

2006-03-14 19:55:46 | 外交・情勢(アジア)
■千葉で発覚したインシュリン殺人の騒ぎは、国際結婚やら嫁姑問題やらの人生相談の定番を飛び越えて、もっと直截な守銭奴と素朴な農夫の物語になりつつあるようです。千葉の田舎の風景と浅草の風俗店が客寄せ用に作った写真とは、余りに違っているのが悲しいですなあ。

千葉県光町、農業鈴木茂さん(54)が糖尿病治療薬のインシュリンを大量投与されて重体となっている事件で、殺人未遂容疑で逮捕された中国出身の妻、詩織容疑者(33)の親族に送っていた仕送りなどを巡り、夫妻が互いに不満を募らせていたことが13日、わかった。千葉県警は、こうしたいさかいも動機につながったとみて調べる。関係者らによると、茂さんと詩織容疑者は中国での見合いを経て1994年9月に結婚。婚約時に中国の親族への仕送りを約束し、毎月、数万円を送金していた。

■千葉県警という所は、慎重なのか呑気なのか判断が分かれるところですが、中国からやってきた金の亡者には舐められていた事だけは確かのようです。一部マスコミの報道では、10年前の「殺人放火事件」の捜査本部がずっと捜査を続けているような話も有りましたが、テレビで見る限り、まさか全国捜査が必要な場所柄とも思えませんし、容疑者は2人しか出て来ないような事件のようですから、10年間もどんな仕事をしているのか、非常に興味が有りますなあ。警察の気も長いのですが、とうとう意識不明にされてしまった夫の方も、辛抱強いと言うべきか、呑気と言うべきか、周辺の人々も含めてのんびりした場所のようですなあ。


夫妻には長男(7)と二男(5)がいるが、いずれも2002年ごろから中国の親族に預けられ、これに伴って仕送りの送金額も増加。詩織容疑者も、子供に会うことや、日本人男性と中国人女性のお見合いの仲介をすることなどを理由に、度々、里帰りし、渡航費用がかさむようになった。このころから茂さんは友人に対し、「向こう(中国)の嫁さんをもらうと、仕送りなどがあって大変」と漏らすようになり、詩織容疑者も「私が自由に使えるお金が少ない」と近所の知人に話していたという。読売新聞 - 3月13日

■何も知らずに「お見合いツアー」でカネを巻き上げられ、野心満々の小娘に鼻毛を読まれ、両親が(何者かに)焼き殺され、2人の子供は取り上げられて日本国籍の中国人にされて、鈴木茂さんの12年間は何だったのでしょう?マスコミが探し出した風俗店(中国人エステ?)のHPには、1000万円もかけて変身した経営者兼従業員の奥さんの紹介写真が掲載されているのだそうです。この人にとっての日本という国は、相当に歪んだイメージで凝り固まっているのでしょうなあ。日本からの情報発信も良いですが、髪が金色になったり臍(へそ)を出して歩き回っている変わった娘さんの映像などばかりが流れて行くのは心配な事です。この奥さんは、芸能人にでもなって大金を稼ぎたかったのかも知れませんなあ。


国家広播電影電視総局(広電総局)は12日、テレビとラジオの放送局が全国的、または省をまたがるなど一部の地域を対象としたオーディション番組などを主催、放送する際の規則を発表した。この規則によって、オーディション番組やコンテスト番組の出場者は18歳以上に限定される。また、低俗な内容、奇抜な内容、そのような衣装・髪型などは禁止。また、地方予選の様子を衛星放送することも禁じている。今回出された規則は、中国で幅広い人気を集め、社会現象まで巻き起こした女性アイドル発掘のオーディション番組「超級女声(スーパー歌姫)」などの影響力の大きさを考慮しての対策とみられている。サーチナ・中国情報局 - 3月14日

■「靖国」「反日」と北京政府が騒いでいる足元では、日本から雪崩れ込んでいる偏った小娘大衆文化に翻弄されているのが今の中国のようです。北京よりも上海の方が間口が広いらしく、騒々しい音に紛れて歌っている姿は国籍不明の娘さんが沢山いるそうですなあ。その本場は日本だと思われるのも迷惑ではないでしょうか?そんな日本人ばかりではないですからなあ。


国連分担金の見直し交渉を協議する国連総会第5委員会(財政問題)で13日、小澤俊朗・国連三席大使が安保理常任理事国の分担率の下限を3%か5%に設定すべきだとの新提案を行った。これに対し、現在の分担率が2.1%の中国代表は「受け入れられない」と猛反発した。毎日新聞 - 3月14日

ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の参

2006-03-14 11:54:28 | 外交・世界情勢全般
■ドイツにはトルコ人ばかりでなく、トルコ経由でさまざまなイスラム教徒が入っているようですから、携帯電話などの電波を拾うのに大きな耳を持った飛行機が盗み聞きしようと飛び回ることも有るでしょうなあ。領空通過の問題は、レーガン時代にリビアのカダフィ大佐を爆殺しようと米軍機が首都トリポリに奇襲を掛けた時、英国は経由地として自国内の空軍基地を提供し、フランスは地中海への直線コースとなる領空の通過を許可したのでしたなあ。但し、許可する代わりに通過直後にリビアにその旨を通知して逆恨みされるのを防ぐという取り引きをしていたのがフランスでしたなあ。

フランスのシラク大統領が先月、タイを訪れた。核協力で合意するなどしたその後のインド訪問にばかり関心が集まったが、タイ訪問は実は時代を画する事件だった。300年以上に及ぶ両国の外交関係でフランスの国家元首がタイを公式に訪れたのは初めてだったのだ。
「アジアと欧州の外交関係が始まって以来、フランスは貴王国を友人と見なしてきました。ナライ王(17世紀のシャム=タイの前の国名=の国王)派遣使節の威厳に満ちた訪問はルイ14世とベルサイユの宮廷に深い感銘を与え、その記憶はフランスの歴史に刻まれています」

■物は言いようとは言いますが、これほど臆面も無くイケシャアシャアと歴史を捻じ曲げて粉飾して見せられる作文が掛けないと、一流国の外務省は駄目なのでしょうなあ。


タイとフランスの国交は320年前、太陽王ルイ14世統治下のフランスにシャムの大使館が開設されたことに始まる。プミポン国王夫妻による歓迎晩餐(ばんさん)会でシラク大統領は、150年前の修好通商条約締結、ほぼ50年前のプミポン国王の訪仏などにも言及し、両国の「長い友好関係」をうたいあげた。しかし、これはあくまでも外交辞令である。実際の両国関係は不信と対立の時代が長く続いた。欧米列強がアジア各国を植民地化する中で、タイが日本とともに独立を守り抜いたことはよく知られている。機を見るに敏なタイ伝統の外交術に加え、結果的に緩衝国となった幸運が大きかった。西と南から迫る英国、東から忍び寄るフランスに挟まれ、英仏ともにタイの独立を守ることで利害が一致した。

■日本とタイが仲良しなのは昔からの事です。先のブログ記事にも愛子チャンが上野(恩賜)動物園でタイから誕生祝に送られた象さんに初めて会ったニュースが隠匿されたのは怪しからん!と書きましたが、日本こそタイとの友好関係をどしどし宣伝すべきなのですぞ!


…カンボジアやラオスにまで広がっていた領土を次々とフランスに奪われた。フランスの軍艦がシャム湾からチャオプラヤー川をバンコクまで遡航(そこう)し、その威圧の下に領土問題などで屈辱的な要求を受け入れさせるという事件もあった。文字通りの砲艦外交である。シラク大統領は前述の晩餐会での演説で「欧州による植民地拡大の脅威にもかかわらず」独立を守り抜いたとタイの先王の英知をたたえた。まるでひとごとのような発言は、過去の歴史と重ね合わせると実に興味深い。映画「王様と私」に英国人女性家庭教師が主役として登場したように、総じてタイは英国の影響をより強く受け、フランスは近い存在ではなかった。第二次大戦が終わった後の両国関係も多分にタイの片思いだった。現在のタクシン首相だけでも二回、フランスを公式訪問していることからも、それはうかがえる。

■数年前にも、カンボジアの「アンコール・ワット」はタイの物だ!とタイの人が言ったの言わないのと、大騒ぎになりましたが、タイの領土はフランスが押し掛けて来るまでは今よりずっと大きかった事は確かです。但し、大活躍した悲劇の名称「山田長政」伝説はウソらしいですなあ。せっかく長谷川和夫さんが演じた綺麗な日本映画が有るのに残念です。


…最大の狙いは成長著しいタイ市場の開拓…タイの一人あたり国内総生産は2000ドルを超え、東南アジア主要国の中ではシンガポール、マレーシアに次ぐ。金持ちクラブといわれる経済協力開発機構(OECD)内では、新規加盟国の候補としてタイをあげる向きもあるという。シラク大統領のタイ訪問には外務、国防、経済など主要五閣僚が同行し、航空機メーカーのエアバスや重電メーカーのアルストムなどフランスを代表する企業の首脳約30人も加わった。タイ政府は最近、インフラ整備を中心に総額約5兆円にのぼる巨大投資計画を発表したが、訪タイに合わせて開かれた第1回フランス・タイ経済サミットでシラク大統領は自らこの計画に言及し、フランス企業の参加に強い期待を表明した。

■日本も呑気に構えているとトンビに油揚げを攫(さら)われますぞ!一時期は日本語学習熱が高かったのに、今では北京語教室が大繁盛だそうですなあ。売春とムエタイばかりに目を奪われていると、トンデモない事になるでしょう。


1962年に欧州を歴訪した池田勇人首相を「トランジスタ・ラジオのセールスマン」と揶揄(やゆ)したのはフランスのドゴール大統領である。そのフランスから多数のお供を連れて大統領自らフランスを売り込みにタイにやって来る-。これはやはり、時代の変化を象徴する訪問だった。在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真
産経新聞 - 3月9日

■まったくヨーロピアン・サンドウィッチは「食えない」連中が折り重なった危険な料理のようです。日本の明治政府は熱心に彼等に学んで、法律も軍隊も手本にしたものです。途中から米国が割り込んで来てうっかり計算間違いをした日本は酷い目に遭いましたが、その悲劇は場所を移して繰り返されるでしょう。戦後の核開発競争の時代を手本にする北朝鮮やイランが、ちょうど昔の日本と同じ立場に追い込まれているようにも見えますなあ。でも、核兵器の投げ合いになるのだけは御免被りますぞ!少なくとも、核の悲惨さを知っている日本は、その馬鹿馬鹿しさをもっと熱心に説いて回らねばならないでしょうなあ。勿論、隣の大きな国にもですぞ!

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ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の弐

2006-03-14 11:52:59 | 外交・世界情勢全般
■別に、プロヒューモさんが死去したのを記念して暴露したわけではないでしょうが、イランの核武装を何としても阻止したがっている自国の政府が、中東の核武装に協力していた事を公にするのは大変な事です。時期的に、第2次中東戦争を引き起こした負い目もあってイスラエルの要求に応じたのかも知れませんが、英国は中東にモメ事のタネを撒き続けているようなものです。イスラエルの核武装は英国などの特定の国に依存して進められたわけではないので、この僅かなプルトニウムがどんな役に立ったのかも分かりませんが、核武装をする権利が有るの無いのと、訳の分からない理屈を付けてイランを止めに掛かるのには問題が有ります。核武装は早いもの勝ちだと誰でも知っているのですからなあ。

12日付英紙サンデー・タイムズは、英当局幹部の話として、米政府が2012会計年度中にも製造する方針である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)トライデントの後継核弾頭について、英政府が自国での製造を視野に独自に設計を進めていると報じた。米国の研究よりも進んでいるという。英政府は、トライデント搭載の潜水艦が退役を予定する2025年以降の核戦力の在り方を検討中だが、戦略核を更新するかどうか明確な方針は示していない。更新すれば「イランのような国に核不拡散を訴える英国の立場を弱くする」との声も出ている。共同通信 - 3月12日

■こんな断片的な報道では何が何だか分かりませんなあ。B29がバカでかい原爆を腹に抱いてよたよた飛んで来る時代は去って、大陸間弾道ミサイルで地球上の何処へでも好きな時に好きなだけ原爆を打ち込める時代、これも同じ技術で打ち上げた軍事衛星が上空から覗いているので、相手が撃つ前に撃てるようになったので、ミサイルを地下か海に隠して発射準備段階が分からないようにする時代が続いているわけですなあ。北朝鮮や中国はせっせと穴を掘るモグラ作戦を採っているようです。本物と偽物の発射口を沢山開けておいて、地下トンネルの中をミサイルが移動して何処から飛び出して来るか分からないようにしています。でも、一番良いのは何年でも海に潜んでいられる原子力潜水艦に仕舞ってうろうろさせておく事だそうです。

■七つの海を支配した大英帝国も、空母機動艦隊までは造りましたが、原子力潜水艦やら長距離ミサイルとなると米国に助けて貰わねばならず、米国は協力する変わりに発射命令権を寄越せと迫ったそうですなあ。そこで英国が考えたのが、潜水艦もミサイルもお世話になるけれど、肝腎の核弾頭だけは自前で作るから発射命令権は渡さない、という策だったそうです。核弾頭がなければ通常爆弾のミサイルしか使えませんから、英国が核保有国の米国に刃向かうはずは無い、という取り引きが成立したという前置きが無ければこのニュースの意味がさっぱり分かりません。英国は立派な核保有国としての地位を失うわけには行かない!と決意しているという話です。何処かの海に世界一の原爆ミサイルを積んだ原子力潜水艦が居る限り、英国を核の標的にする国は無いという理屈です。ドイツは核武装する心配な無さそうですが、フランスは世界中が非難しても兵器で核実験をやり続けるような国ですから、国益が衝突したら狙って来るかも知れませんし、駄々っ子の米国も将来的には核で脅迫して来るかも知れません。それが欧州という場所の一面でしょうなあ。


イラク戦争に強硬に反対し、米国と対立したドイツのシュレーダー前政権が、独連邦情報局(BND)要員をバグダッドに開戦前から駐在させ、フセイン旧政権の首都防衛計画をひそかに入手して米軍に提供するなど、実際は裏で米国に協力していたとされる疑惑が独政界を揺さぶっている。独連邦議会(下院)の野党三党は近く、調査委員会を発足させ、真相究明に乗り出す構えだ。この疑惑は、米紙ニューヨーク・タイムズが2月末、「コブラⅡ」と呼ばれる米軍の機密資料をもとに報じたもので、2人のBND要員が開戦直前の二2003年2月、首都防衛に関する情報を作戦図とともに入手し、カタールの米中央軍司令部にいた別のBND要員を通じて米軍側に提供したとされる。3人はこの功績により、米軍側から勲章を授けられたという。

■これが外交と言う物ですし、情報戦そのものですなあ。米国のCIAや英国のMI6を出し抜いて極秘情報を入手して恩を売る。その上で国際会議ではイラク攻撃反対を言い立てる。情報も政治決断も全部米国に丸投げしている国とは違います。


この防衛計画はもともと、フセイン元大統領が02年12月18日、同国幹部を招集した特別会議の際に明らかにしたもので、イラクの陸軍と共和国防衛隊がバグダッドを四重に取り巻いて守り、米軍の進攻を食い止めるという重要な計画だった。独政府はこれまで、米軍による攻撃開始後もBND要員を現地に残す決断をしたことは認めたものの、米軍側に知らせたのは主に病院や大使館、モスクなど攻撃対象以外の場所だとして、「米軍への支援」は否定してきた。シュレーダー前首相はイラク戦争反対を唱え、02年9月の総選挙にまでそれを利用し、小差で勝利を収めた。今回浮上した疑惑がBNDレベルにとどまりシュレーダー前首相が関与していない可能性もあるが、前首相が仮に事実を把握していた場合には、国民から「二枚舌」と批判されかねない。

■これが本当だとしても、「攻撃対象外」の詳細な情報でも逆に考えれば、それ以外は攻撃対象となるわけですから、どちらにしても情報を提供して攻撃に協力した事になりませんかな?

 
こうした状況の中、野党三党(自由民主党、90年連合・緑の党、左派党)は10日、「政府の説明は不十分」だとして、17日にも調査委員会を設置することで一致した。調査委は、シュレーダー前政権が02年秋、キューバの米海軍グアンタナモ基地の収容所にドイツの治安要員を秘密裏に派遣し、拘束中のトルコ国籍の男性を尋問したことが適当かどうかも調査する。また、米中央情報局(CIA)の航空機が01年-05年にかけて、ドイツ上空を700回以上も飛行した目的を調査するなど、前政権と米国との協力関係を徹底的に洗い直す方針だ。…産経新聞 - 3月13日
(其の参に続きます)

ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の壱

2006-03-14 11:51:47 | 外交・世界情勢全般
■パンに具を挟んで食べる習慣が18世紀のイギリス、サンドウィッチ村で始まったなどという馬鹿馬鹿しい、何でも欧州中心主義を真に受けて子供用の資料にまで掲載していては行けませんぞ。メソポタミアやエジプト、インドなどのパン食先進国にサンドウィッチが無かったと考える方が変なのですからなあ。トランプが大好きな伯爵のジョン・モンタギュー 4世が、ゲームの合間に片手で食べられるように工夫したと言い触らしたのは博打仲間らしいですなあ。トランプ遊びが大好きな伯爵などと言うと聞こえは良いでしょうが、単なる博打好きです。相手を突き刺すような毒の有るジョークと博打は、今の英国にも欠かせない文化のようです。

■さてさて、イラクに攻め込むのに協力した「新しい欧州」と区別された「古い欧州」とに分けたのはラムズフェルド国防長官でしたが、古い方の親玉がフランスとドイツなのに対して、新しい方に英国が含まれていたのは奇妙でした。ドイツが大復活して巨大な「中欧」が出現するのでは?と疑心暗鬼に陥ったフランスとイギリスが別行動を取って自国の存在を主張したとも解釈できますが、要するに英・仏・独は昔から三つ巴でくっ付いたり離れたりして「世界」を揺さぶって来たのですなあ。「欧州史」の半分以上は、この三国の喧嘩と和解の物語のようなものです。EUに新しい希望を託して、東アジアにも同様の共同体を作ろう!と恐ろしい事を無邪気に主張する日本の学者さんも居るようですが、ちょっとナイーブ過ぎますなあ。

■欧州における鉄鋼会社の再編成でフランスは激怒しているそうですが、この国は米国に自由の女神を贈った革命仲間であると共に、何でも自分が世界一と思いたがる国です。先の大戦でも「世界一の防衛線」マジノ線をヒトラーに迂回されてころりと負けてしまい、英米に散々世話になって戦後に独立を回復しても、けろりとしていた国です。アメリカが主導した北大西洋条約機構(NATO)も国際連合も気に食わないので、NATO本部をフランスから追い出して自分も脱退するわ、国連分担金の支払いは止めるわ、イギリスが主導的に動いた欧州経済共同体(EEC)なんか加盟しない!と駄々っ子ぶりを発揮したのは有名な話です。

■1960年2月にはサハラ砂漠で原爆を破裂させて米ソ英に次いで第4の核保有国になったかと思うと、1964年には共産主義政権の中華人民共和国を承認してヴェトナムの権益を守ろうとして、結局失敗。巻き添えを食った米国は深い傷を負ったのでしたなあ。イスラム過激派に対してだけは、同類相憐れみ合ってブッシュ大統領に協力して「対テロ戦争」で団結はしてみたものの、イラク問題では仲たがいしていたばかりか、裏では抜け駆けと足の引っ張り合いをしていたようですぞ。


英国のリード国防相は13日、イラク南部に駐留する英軍のうち、「約800人を5月中に撤収して7000人規模に削減する」と発表した。国防相はかねて「撤収は、治安が比較的安定した地域から始める」と明言しており、自衛隊が活動するサマワを含むムサンナ県が対象地域となるのは確実な情勢。英軍の動きは自衛隊の撤収計画にも影響を与えそうだ。国防相は、本格的な撤収に着手する理由として、英軍が訓練を続けているイラク治安部隊の規模が、昨年10月の19万人から現在23万5000人にまで拡大するなど、地元の治安維持能力が高まっているなどの「戦術的な理由」であると説明。今回の撤収は「イラクに治安権限を移譲するという、政治運用上の理由からではない」と述べた。読売新聞 - 3月14日

■中東を掻きまわして大混乱を起こしたら放り出す、大英帝国時代からの悪い癖で、どうも英国は飽きっぽくて行けませんなあ。日本政府が「非戦闘地域」と認定しているような場所が、「治安が比較的安定」するのは当たり前の話で、いよいよ日本の自衛隊はだんだん薄着になって風邪を引きそうになりますなあ。最後は裸で砂漠に置き去りにされる可能性が出て来ましたぞ!これが外交というものなのですが、情報戦に最初から参加していない日本が貧乏籤を押し付けられるのは始めから分かっていたのです。小泉総理は任期を終えて、次期政権に後始末を「丸投げ」して失政の責任から逃げ切れそうな雲行きですなあ。


1960年代に英政界を揺るがし、旧ソ連を巻き込んで東西冷戦を象徴するスキャンダルとなったプロヒューモ事件の主役、ジョン・プロヒューモ元英陸相(91)が9日深夜、ロンドン市内の病院で脳卒中のため死去した。病院当局者が10日明らかにした。同氏は…マクミラン保守党内閣の陸相を務めていた63年、コールガール、クリスチーヌ・キーラーさん=当時(19)=との関係について下院で「一切やましいことはない」と証言したが、その後、偽証を認め、同年6月に辞任した。キーラーさんが在英ソ連大使館の海軍武官エフゲニー・イワノフ氏=94年に死去=とも関係していたため、機密がソ連に流れたとの憶測を呼んで政界を揺さぶるスキャンダルとなり、89年には映画化された。政界引退後は慈善事業に尽くし、75年にはエリザベス女王から叙勲された。ブレア英首相はBBC放送で、プロヒューモ氏に関し「重大な過ちを犯したが、(その後は)大勢の人を助けて償いの旅路を歩んだ。華麗な経歴の政治家だった」とコメントした。共同通信 - 3月10日

■さっさと手を切っていたフランスは、そら見たことかと笑ったとか笑わなかったとか…。007の国としては、一刻も早く忘れたい恥ずかしい事件でしたが、これでやっと「思い出」になり風化するのを待つばかりとなりました。その国には受信料を強制的に徴収する国営放送が有って、自国の政府に対しても容赦しない報道で国の内外から信頼を勝ち取っておりますなあ。


英BBCテレビは9日、英国が1966年、核兵器開発につながる恐れがある少量のプルトニウムをイスラエルに提供していたと報じた。BBCが情報公開法に基づいて入手した機密指定解除の公文書によると、イスラエルが当時のウィルソン英労働党政権にプルトニウム10ミリグラムの提供を要請したという。毎日新聞 - 3月10日
(其の弐に続きます)