■四川省の大地震に続いて日本でも岩手・宮城内陸地震が発生して、日本のマスコミは「地震」の話題に集中して、報道の焦点を北京五輪からズラしてしまったような感があります。巧妙な連想ゲームのような気もしますなあ。五輪大会の話題と言えば、水泳競技の水着に執着したものが多くなって、聖火リレーについての報道はほとんど消えてしまったのは何故でしょう?その間にも五輪大会の開会式に何が何でも出席したい福田ホイホイ首相の御意向に沿うかのように、おそろしく前のめりの「領海」交渉が進められまして、肝腎の境界線問題は野放図に棚上げ先延ばし!合意の内容は単なる「投資話」になってしまったそうですなあ。こんな姑息な商売話を、日本の外務省が自画自賛してどうするのでしょう?
■長野市では大騒ぎだった傍迷惑な「聖火リレー」は、多くの日本人がすっかり忘れてしまった後も、紆余曲折を経ながらも基本的には当初の計画通りに続けられています。そして、とうとうチベット自治区のラサと、拙著『チベ坊』の舞台ともなった青海省でも計画通りに人民を動員してリレーは敢行されたようです。
23日午前、北京五輪の聖火リレーが中国最大の内陸湖である青海湖で行われた。……スタート式典の前には全員で四川大地震の犠牲者に1分間の黙祷を捧げ、午前10時50分、リレーが正式にスタートした。青海省医療チームの副隊長として四川大地震の被災地で救急活動を行ったダガ氏が最初のランナーを務め、青海湖の畔の全長6キロを合わせて162名のランナーが走った。
6月23日 サーチナ・中国情報局
■式典を行ったのは西寧駅前の広場でしょうか?自然破壊が進んで水質汚染と水位の低下が著しい可哀想な青海湖は、確かに今でも「中国最大」の塩水湖ではありますが、拙著にも記した通り、チベット語名とモンゴル語名を持ち、それを漢訳したのが青海湖という歴史的な経緯があるのですが、聖火リレーの走者いは意図的にチベット人やモンゴル人が目立たないような工夫が施されているような気もしますなあ。西寧市からの交通の便を考えますと、湖岸のリレーは南岸の道で行われたはずですが、沿道には漢族が作ったレストランが点在し、道を挟んだチベット人の牧畜地区が広がっている美しい風景が見られたことでしょう。今は草原が最も輝いてきれいに見える季節であります。
24日付中国新聞社電によると、北京五輪大会の青海省の省都、西寧市での聖火リレーが同日午前、始まった。第1ランナーは青海高原医学科学研究院の呉天一院長が務めた。呉院長はタジク族。青海省はチベット系、中央アジア系、モンゴル系など多くの民族が住む。タジク族はペルシャ系民族。
6月24日 サーチナ・中国情報局
■ダライ・ラマ法王が「チベット人は二級市民扱いされている!」と訴えましたが、それは他の少数民族も似たようなもので、中にはエライ人に出世している人も居るのですが、どんな組織も最終的な権力を独占しているのは漢族の共産党員と決まっていますから、こういう式典に引っ張り出されるカムフラージュ用のエライ人の誇らしげな笑顔には、なかなか複雑な背景があったりします。シルクロードの延長線、河西回廊での攻防の歴史が青海省には色濃く刻まれているのであります。誰が歴史を独占するか?という恐ろしい話になるわけですが、共産党が組み上げた「正しい歴史」以外の各民族が継承している歴史は全面的に禁止されてる現実にも、ちょっと目を向けておくべきでしょうなあ。
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23日午前、北京五輪の聖火リレーが中国最大の内陸湖である青海湖で行われた。……スタート式典の前には全員で四川大地震の犠牲者に1分間の黙祷を捧げ、午前10時50分、リレーが正式にスタートした。青海省医療チームの副隊長として四川大地震の被災地で救急活動を行ったダガ氏が最初のランナーを務め、青海湖の畔の全長6キロを合わせて162名のランナーが走った。
6月23日 サーチナ・中国情報局
■式典を行ったのは西寧駅前の広場でしょうか?自然破壊が進んで水質汚染と水位の低下が著しい可哀想な青海湖は、確かに今でも「中国最大」の塩水湖ではありますが、拙著にも記した通り、チベット語名とモンゴル語名を持ち、それを漢訳したのが青海湖という歴史的な経緯があるのですが、聖火リレーの走者いは意図的にチベット人やモンゴル人が目立たないような工夫が施されているような気もしますなあ。西寧市からの交通の便を考えますと、湖岸のリレーは南岸の道で行われたはずですが、沿道には漢族が作ったレストランが点在し、道を挟んだチベット人の牧畜地区が広がっている美しい風景が見られたことでしょう。今は草原が最も輝いてきれいに見える季節であります。
24日付中国新聞社電によると、北京五輪大会の青海省の省都、西寧市での聖火リレーが同日午前、始まった。第1ランナーは青海高原医学科学研究院の呉天一院長が務めた。呉院長はタジク族。青海省はチベット系、中央アジア系、モンゴル系など多くの民族が住む。タジク族はペルシャ系民族。
6月24日 サーチナ・中国情報局
■ダライ・ラマ法王が「チベット人は二級市民扱いされている!」と訴えましたが、それは他の少数民族も似たようなもので、中にはエライ人に出世している人も居るのですが、どんな組織も最終的な権力を独占しているのは漢族の共産党員と決まっていますから、こういう式典に引っ張り出されるカムフラージュ用のエライ人の誇らしげな笑顔には、なかなか複雑な背景があったりします。シルクロードの延長線、河西回廊での攻防の歴史が青海省には色濃く刻まれているのであります。誰が歴史を独占するか?という恐ろしい話になるわけですが、共産党が組み上げた「正しい歴史」以外の各民族が継承している歴史は全面的に禁止されてる現実にも、ちょっと目を向けておくべきでしょうなあ。
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