■今年最後の三連休、いろいろと予定を立てて充実した楽しい時を過ごそうか……などと考えていましたら、鬼の霍乱と申しましょうか、三年ぶりの大発熱に襲われまして、水分補給のほうじ茶と葛根湯を飲んで横臥の連休となってしまいました。時節柄、よもや新型インフルエンザか?!と少しばかりは身構えましたが、幸いなことに深刻な高熱は半日で治まり、節々の痛みも意識障害もないまま経過したのでありました。野口晴哉さんの『風邪の効用』については、以前に『病み上がりの記』其の弐でも取り上げましたが、通常の風邪とウイルス感染症とは別物と考えねばなりませんから、体温計でこまめに検温しながら自分の体調を観察して過ごしたのでありました。
■それにしましても日本国中で起こっているワクチン不足に関する騒動には憤りを感じます。家族の協力もあって風邪による発熱で過労状態が解消し、心身ともにリフレッシュ出来たのは幸いでしたが、万が一、日々の嗽(うがい)と手洗いの予防努力にもかかわらず、本物に感染してしまったら48時間以内に抗ウイルス薬を投与して貰わねばなりません。特効薬とされるタミフルやリレンザの備蓄は十分だと言われていますから、ワクチンによる感染予防は心配だけれど、感染してしまった後は安心?という実に変な状況になってしまっているようですなあ。
■『週刊文春』10月8日号の阿川佐和子さんの対談コーナーで木村盛世さんが登場した時に名指しされ、それを受けた形で同誌の11月12日号で小林信彦氏の連載記事『本音を申せば』で再び実名が書かれてしまったのが上田博三・健康局長。
……(厚労省医系技官の)木村(盛世)さんの話では、厚労省には医師免許を持った医系技官が二百五十人いるがまるで役に立たず、その中でもモンダイの人物は、上田博三という健康局長で、新型インフルエンザのワクチン輸入を阻止し、ワクチンを国内の弱小四社にしか許可していない。このことは前にも書いたが、しつこく記しておく。それが利権と天下り先のためだというから、国民はたまったものではない。……
■小林信彦さんが激怒しているのは、御自身の御家族、特にお孫さんが感染したことに加えて小さな子供が落命したニュースを知ったからだそうです。連載されている文章の中には、原始的な予防法を宣伝している厚労省に対して「まるで中世だ!」という激しい文言もありましたぞ。
■11月28日のテレビ朝日、『朝まで生テレビ』に木村さんが出演して、またまた、厚労省医異系技官が諸悪の根源だ!と発言しまして、上田博三さんの名前が改めて電波に乗りました。木村さんによりますと、これまで繰り返された薬害事件とまったく同じ、政・官・業の間に巣食う持たれ合い天下り構造がワクチン騒動の原因だと言うのですから、ワクチン接種が間に合えば助かったはずの命と引き換えに守られたどろどろした利権構造とでは釣り合いが取れそうもありません。
■『朝生』の番組では、カナダで発覚したワクチン回収を外国産ワクチンは危険だ!という悪質な宣伝に利用している厚労省内の悪い連中の存在が指弾されていたようですが、ミスター年金の長妻新大臣はかつて厚労相時代にHIV感染問題で名を上げた菅直人さん以上の業績を残せるのでしょうか?
長妻厚生労働相が最近、部下である厚労省の官僚に厳しくあたる場面が目立っている。就任当初は官僚の説明を聞き、理解するのに懸命で、その慎重さから「ミスター検討中」とやゆされていたが、省内では、「野党時代に得意とした官僚バッシングが復活した」とピリピリした空気が漂っている。
■大臣をレクチャー責めにして自分で考える時間を奪いながら、大臣の政敵に悪口を耳打ちし、マスコミには省益を守るための歪んだ情報をリークする、というのが官僚が駆使する三種の神器だとか……。
「皆さんは説明能力が低すぎる。私は大臣として恥ずかしい」長妻氏は16日、厚労省の局長らを急きょ集めると、厳しく言い放った。12、13日に行われた行政刷新会議の「事業仕分け」で局長らが「説得力のある回答が全くできていない」と不満を爆発させたのだ。局長らの意識を引き締めるため、毎週月曜日に幹部による朝礼を開くことを命じた。……
■別に厚労省の仕事で「恥ずかしい」のは、説明能力が他の省庁に比べて劣っている点だけではないでしょう。今回のワクチン不足の騒動も、その前の「水際封じ込め作戦」も、目立ちたがり屋の舛添前大臣を踊らせておいて国内の弱小メーカーにワクチンを作らせるための時間稼ぎをしていた節があり、国民の健康と生命を守るべき役所としての自覚を遠い昔に失って、自民党の長期政権と結託して失政を重ねて来たことが恥ずかしい!
また、民主党がマニフェストに掲げた「待機児童ゼロ」達成までの期間を大幅に短縮するよう指示した際、難色を示した担当局長に対し、部下の前で「もういい。あなたにはやらせない」とどなりつけることもあった。大臣室には、省に寄せられた苦情の電話やメールの内容をまとめた分厚いファイルが積み上げられている。「民間ではお客様の声は宝だ」と語る長妻氏は、こうした苦情への回答を命じ、苦情の内容によっては、謝罪文も出させている。
■「苦情への回答」を書かせてみても、結局は永田町文学を駆使して自分達には責任が無いことを縷々述べて返答するだけでしょうし、謝罪文にしても同工異曲の内容になっているのでしょう。省内の意識改革には多少の効果は期待できるかも知れませんが、国民の健康と生命を最優先にする行政感覚を復活させる効果は無さそうです。
これに対し、同省のある幹部は「大臣は、メールを世論と勘違いしている。本来の仕事以外の業務が増え、省が推進するワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実行できているのは、夜早めに帰宅する大臣だけだ」……。「業務上のストレスを部下にぶつけている」……政府内でも、「省内ばかりたたいていては、官僚との溝が深まり、政策実現の上で逆効果になりかねない」と心配する声も出ている。
11月28日 読売新聞
■今のところはミスター年金に対する国民の期待はまだ高いはずですから、長妻大臣を悪者にしてしまうのは厚労省の役人としては得策とは言えないでしょう。政権交代を後押しした手前、マスコミも民主党批判は遠慮している時期でもありますから、もう少しの間はじっと猫を被って我慢の日々が続きそうですが、12月の半ばくらいから徐々に悪意に満ちたリークが始まり、民主党批判の声が目立ち始める頃には一斉に逆襲が始まるのでしょうなあ。
■それにしましても日本国中で起こっているワクチン不足に関する騒動には憤りを感じます。家族の協力もあって風邪による発熱で過労状態が解消し、心身ともにリフレッシュ出来たのは幸いでしたが、万が一、日々の嗽(うがい)と手洗いの予防努力にもかかわらず、本物に感染してしまったら48時間以内に抗ウイルス薬を投与して貰わねばなりません。特効薬とされるタミフルやリレンザの備蓄は十分だと言われていますから、ワクチンによる感染予防は心配だけれど、感染してしまった後は安心?という実に変な状況になってしまっているようですなあ。
■『週刊文春』10月8日号の阿川佐和子さんの対談コーナーで木村盛世さんが登場した時に名指しされ、それを受けた形で同誌の11月12日号で小林信彦氏の連載記事『本音を申せば』で再び実名が書かれてしまったのが上田博三・健康局長。
……(厚労省医系技官の)木村(盛世)さんの話では、厚労省には医師免許を持った医系技官が二百五十人いるがまるで役に立たず、その中でもモンダイの人物は、上田博三という健康局長で、新型インフルエンザのワクチン輸入を阻止し、ワクチンを国内の弱小四社にしか許可していない。このことは前にも書いたが、しつこく記しておく。それが利権と天下り先のためだというから、国民はたまったものではない。……
■小林信彦さんが激怒しているのは、御自身の御家族、特にお孫さんが感染したことに加えて小さな子供が落命したニュースを知ったからだそうです。連載されている文章の中には、原始的な予防法を宣伝している厚労省に対して「まるで中世だ!」という激しい文言もありましたぞ。
■11月28日のテレビ朝日、『朝まで生テレビ』に木村さんが出演して、またまた、厚労省医異系技官が諸悪の根源だ!と発言しまして、上田博三さんの名前が改めて電波に乗りました。木村さんによりますと、これまで繰り返された薬害事件とまったく同じ、政・官・業の間に巣食う持たれ合い天下り構造がワクチン騒動の原因だと言うのですから、ワクチン接種が間に合えば助かったはずの命と引き換えに守られたどろどろした利権構造とでは釣り合いが取れそうもありません。
■『朝生』の番組では、カナダで発覚したワクチン回収を外国産ワクチンは危険だ!という悪質な宣伝に利用している厚労省内の悪い連中の存在が指弾されていたようですが、ミスター年金の長妻新大臣はかつて厚労相時代にHIV感染問題で名を上げた菅直人さん以上の業績を残せるのでしょうか?
長妻厚生労働相が最近、部下である厚労省の官僚に厳しくあたる場面が目立っている。就任当初は官僚の説明を聞き、理解するのに懸命で、その慎重さから「ミスター検討中」とやゆされていたが、省内では、「野党時代に得意とした官僚バッシングが復活した」とピリピリした空気が漂っている。
■大臣をレクチャー責めにして自分で考える時間を奪いながら、大臣の政敵に悪口を耳打ちし、マスコミには省益を守るための歪んだ情報をリークする、というのが官僚が駆使する三種の神器だとか……。
「皆さんは説明能力が低すぎる。私は大臣として恥ずかしい」長妻氏は16日、厚労省の局長らを急きょ集めると、厳しく言い放った。12、13日に行われた行政刷新会議の「事業仕分け」で局長らが「説得力のある回答が全くできていない」と不満を爆発させたのだ。局長らの意識を引き締めるため、毎週月曜日に幹部による朝礼を開くことを命じた。……
■別に厚労省の仕事で「恥ずかしい」のは、説明能力が他の省庁に比べて劣っている点だけではないでしょう。今回のワクチン不足の騒動も、その前の「水際封じ込め作戦」も、目立ちたがり屋の舛添前大臣を踊らせておいて国内の弱小メーカーにワクチンを作らせるための時間稼ぎをしていた節があり、国民の健康と生命を守るべき役所としての自覚を遠い昔に失って、自民党の長期政権と結託して失政を重ねて来たことが恥ずかしい!
また、民主党がマニフェストに掲げた「待機児童ゼロ」達成までの期間を大幅に短縮するよう指示した際、難色を示した担当局長に対し、部下の前で「もういい。あなたにはやらせない」とどなりつけることもあった。大臣室には、省に寄せられた苦情の電話やメールの内容をまとめた分厚いファイルが積み上げられている。「民間ではお客様の声は宝だ」と語る長妻氏は、こうした苦情への回答を命じ、苦情の内容によっては、謝罪文も出させている。
■「苦情への回答」を書かせてみても、結局は永田町文学を駆使して自分達には責任が無いことを縷々述べて返答するだけでしょうし、謝罪文にしても同工異曲の内容になっているのでしょう。省内の意識改革には多少の効果は期待できるかも知れませんが、国民の健康と生命を最優先にする行政感覚を復活させる効果は無さそうです。
これに対し、同省のある幹部は「大臣は、メールを世論と勘違いしている。本来の仕事以外の業務が増え、省が推進するワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実行できているのは、夜早めに帰宅する大臣だけだ」……。「業務上のストレスを部下にぶつけている」……政府内でも、「省内ばかりたたいていては、官僚との溝が深まり、政策実現の上で逆効果になりかねない」と心配する声も出ている。
11月28日 読売新聞
■今のところはミスター年金に対する国民の期待はまだ高いはずですから、長妻大臣を悪者にしてしまうのは厚労省の役人としては得策とは言えないでしょう。政権交代を後押しした手前、マスコミも民主党批判は遠慮している時期でもありますから、もう少しの間はじっと猫を被って我慢の日々が続きそうですが、12月の半ばくらいから徐々に悪意に満ちたリークが始まり、民主党批判の声が目立ち始める頃には一斉に逆襲が始まるのでしょうなあ。
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