旅限無(りょげむ)

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野田ドジョウ外交の始まり 其の弐

2011-09-21 15:14:15 | 外交・情勢(アメリカ)

米国を訪問中の玄葉光一郎外相は19日(日本時間20日)、クリントン米国務長官と会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を推進する方針を確認した。クリントン氏は「(移設の)早急な進展」を求めた。発足間もない野田政権だが、問題を先送りしないよう強く牽制したものだ。玄葉氏は具体的な道筋を示せなかった。……民主党政権の外相は玄葉氏で4人目で、特にこの半年では3人目。日本の外相は会談のたびに就任あいさつを繰り返してきた。今回も玄葉氏は「日米合意を着実に進めたい」と語ったが、辺野古移設の日米合意の順守は、もはや「時候のあいさつ」と化している。米側の要求の背景には、いつまでも沖縄を説得できない日本側へのいらだちに加え、財政支出削減を訴える米議会の圧力もある。議会には「実現性が分からない普天間移設と海兵隊のグアム移転にカネを出す状況ではない」との雰囲気が広まりつつある。…… 

■少なくとも野田ドジョウ首相は「学べば学ぶほど」やっと抑止力の必要性を理解するような地球外頭脳を持っていないと思われるので、宇宙人の向こうを張って愚かな大見得を切って悦に入る心配はなさそうですが、菅アルイミ前首相のように無関心・丸投げ・先送りを単純にひっくり返して対米追従で突っ走る可能性は大いにありそうです。所信表明演説でも普天間飛行場の移設問題については「日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の固定化を回避し沖縄の負担軽減を図るべく、沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組みます。また、沖縄の振興についても、積極的に取り組みます」と、たったこれだけしか言及していませんでしたから、要するに鳩山サセテイタダク政権が引っ掻き回した揚句に大混乱のオマケ付きで元の木阿弥に戻したところから、菅アルイミ前政権の空白を飛び越えて再び話を始めるという事のようです。本当にこの2年余の貴重な時間は何だったのでしょうなあ?


外務省幹部は「日本の決断を待つ余裕が米政府になくなりつつある」と指摘する。加えて頻繁な首相や外相の交代に、米側は「だれと話せばいいのか」と不信感を募らせている。辺野古移設で正式合意した6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、沖縄駐留米海兵隊の平成26年までのグアム移転完了を断念し、「できるだけ早い時期」とすることでも合意した。ゲーツ国防長官(当時)は直後の記者会見で「1年以内の進展」を日本側に要求。7月に就任したパネッタ国防長官は下院議員として長く予算や財政に携わり「コストカッター」と呼ばれた。決断を求める米側の圧力が今後一層強まることは必至だ。…… 

■「誰と話せばいいのか?」と米国側が当惑するのは当然で、安全保障政策を持たない政党が与党となった日本は実質的に無政府状態が続いているようなものですから、首相・外相・防衛相が三者三様バラバラで特に首相は何も考えず、何も知らない体たらくでしたから交渉ごとなど進むはずは無かったのでした。何とも恐ろしい話であります。


「圧力」は米側からだけではない。沖縄県の仲井真弘多知事は19日、ワシントンで講演し「移設先は日本の別の地域を探した方が断然早い」と強調した。
「移設ができなければ普天間を継続するしかない」「ゆすり発言」をしたとして3月に更迭されたケビン・メア元国務省日本部長は18日、更迭後初めて沖縄を訪れてこう語った。「日米合意順守」の掛け声だけで済む時期は過ぎており、残された時間は少ない。
2011年9月20日(火) 産経新聞 

■「できれば国外・最低でも県外」と何の準備も計画も無いままパンドラの箱を開けてしまった鳩山サセテイタダク前首相は今頃、一体、何処で何をしているのでしょう?三代目を決める代表選挙の時には気味が悪いほど生き生きと明るく?暗躍している姿が報道されていましたが、もう沖縄基地問題など頭の片隅にさえ残っていないように見受けましたぞ。多くの国民が求めたのは政権交代ではありましたが、決して鳩山サセテイタダク政権などではなかった!と臍を咬んでも後の祭なのですが……。民主党政権には外交は無理で、沖縄基地問題は荷が重過ぎると分かってしまっても震災からの復興と原発事故収束の大義名分があるかぎり日本国民は歯を食いしばって我慢しなければならないようです。それが間違った政権選択をしてしまった罰なのかも知れませんが、犠牲が多過ぎるような気もしますなあ。特に外交での失点は後になって大きな影響が出るものですから……。


訪米中の仲井真弘多沖縄県知事は20日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合案を提示している上院軍事委員会のレビン委員長(民主)やウェッブ委員(同)ら3議員と面談し、普天間飛行場の県外移設を改めて求めるとともに、嘉手納基地をめぐる騒音問題などを説明した。仲井真知事は「嘉手納基地周辺の人々は戦後長期間にわたり基地と付き合い、非常に厳しい環境(騒音)問題を抱えている」と、被害訴訟を含めた実態を説明した。これに対し、レビン委員長らは騒音被害を認識しており、普天間基地の嘉手納基地統合案では、騒音が軽減されることを前提にしているとの考えを示したという。同委員会のマケイン議員(共和)は「議会でも普天間問題を放置してはならないとの意見がある。現実的な解決策を目指すべきだ」と話した。 
2011年9月21日(水) 時事通信 

■軍用機の騒音が消えることはなさそうですし、嘉手納基地の問題は決して騒音だけではないでしょう。それを手繰って行けば沖縄全体の基地問題という戦後日本の大きな負の遺産を掘り出すことになりましょうが、世界最大最強の軍事力を持つ米国と建前上だけでも軍隊を持たない日本との同盟関係という世にも珍しい構造が冷戦が終わった後でも説得力があるのか?という戦後日本が先送りし続けた宿題にもつながって行きます。冷戦が終わったという歴史的事実に鈍感だった日本は、チェルノブイリ原発大事故に対しても愚かしく鈍感で安全基準を見直すこともなく今回の大事故を起こしてしまったのでした。国民的議論も必要でしょうし正確な情報と知識の共有を促す教育も必要でしょうが、最後は政治的決断がなければ何も動かないのですから政治家と政党の質を向上させない限り、反米か対米追従かの悲しい二者択一をその場しのぎで「苦渋の選択」が続けられることになるのでしょうなあ。


仲井真知事はワシントン市内で記者会見し、日米両政府が合意しているキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への普天間移設に関し、「地域住民が反対しているのに、政府が手続きを進めて、どうやって実行できるのか」と述べ、移設の前提となる環境影響評価書を政府が県に提出する動きをけん制。さらに、移設を強行した場合、「銃剣とブルドーザーで基地を造るかというところまで行ってしまう」と指摘した。
2011年9月21日(水) 毎日新聞

■玄葉外相の気味悪い笑顔と対照的だった中井真知事の鬼気迫る表情とを並べて見れば、米国人にもどちらが必死なのかは直ぐに分かりましょう。そこに乗り込んだ野田ドジョウ新首相がぬめぬめと掴みどころの無い発言ばかりして帰国するようだと、いよいよ日本外交の孤立化は深刻なものになりますぞ。
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野田ドジョウ外交の始まり 其の壱

2011-09-21 15:13:44 | 外交・情勢(アジア)
■先の台風12号が残した傷跡は国の激甚災害指摘を受けるほどに深刻で、今回の台風15号による大雨で土砂ダムの決壊が懸念されているのは天災でありますが、12号来襲時に官邸を空けて1000円散髪に外出した野田ドジョウ首相の危機管理能力が疑問視されたのは災害対応が後手に回る人災になるのを懸念するが故の声だったのでしょう。そして15号が速度を上げて日本列島に上陸せんとする動きを見せている時に野田ドジョウ首相御夫妻は無事に米国ニューヨークに到着された由。紀伊半島の土砂ダム決壊も心配ですが、庄内川の氾濫による名古屋市周辺で避難生活をしている人達のことも気になります。そして台風上陸後に直撃を受けるかも知れない首都圏の大混乱はもっと心配で、それから辿る北上進路によっては福島第一原発の汚染水流出も不安の種となります。

■野田ドジョウ首相は20日、訪米前に米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに応じたそうで、原発は「来年の春以降、夏に向けて再稼働できるものは再稼働していくということを、きちっとやっていかないといけない」と唐突に発言した由。どうやら前と前の前の総理大臣のような稚拙で愚劣な「思いつき」ではなく対外的な宣伝効果を狙った民主党政権にしては周到な?準備をした上での発言らしいのですが、国民にとっては6万人の反原発デモが行なわれた直後でもあり、やはり「唐突」な印象を持ってしまいます。


野田佳彦首相は20日午後、福島県広野町議会の坂本紀一議長らと首相官邸で会い、東京電力福島第1原発事故収束へ向けた取り組み強化の要請を受けた。この中で首相は、来年1月としてきた原子炉を「冷温停止」させる時期を、年内に前倒しする意向を伝えた。原子炉の温度を安定した状態で100度以下に保つ冷温停止の実現は、事故収束に向けた政府と東電の工程表で「ステップ2」と位置付け、来年1月までの達成を目指していた。これについて首相は「何とか年内に目標を前倒しして実現できるよう、頑張りたい」と述べた。
冷温停止をめぐっては、細野豪志原発事故担当相も19日にウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)の年次総会で、年内に達成する方針を表明している。 
2011年9月20日(火) 時事通信 

■1日前に国際社会に向けて「大丈夫だよ」と精一杯のアピールをしておいて、翌日には事故現場の町議会議長さんに直接「大丈夫だよ」と胸を張って見せることで外と内とが呼応して原発大事故の収束を印象付けたかったようです。でも、問題は「冷温停止」後に待っている広域となった被災地での除染作業が喫緊の問題でしょうし、それ以上に廃炉作業と最終処分方法の決定という気の遠くなるような大仕事もどっかりと残っているのですから、「工程表の前倒し」ではしゃぎ過ぎるのは実に危ない感じがしますなあ。

■菅アルイミ前首相が唐突に言い出したストレス・テストと抱き合わせの「脱・原発依存」という話は、民主党の党是にも政権の継承事項にもなっていなかった事実を、やっぱりなあと脱力感と共に考えるのであります。まあ、そのストレス・テストも欧米の基準とは雲泥の差がある穴だらけのお手盛りテストだと分かってしまった時から新政権の方向性は誰かさん達によって決められていたものと想像されます。原発問題が外交問題でもあることは菅アルイミ内閣の時から、日本国内では脱原発なのにトルコやベトナムには原発を買って貰って大喜びというチグハグな素人外交を見せ付けられていますから十分に国民も理解していることでしょう。

■菅アルイミ前首相の不思議な思考回路では矛盾なく両立できていたそうですが、実際には二兎を追って一兎をも得ずに谷に落ちたか池で溺れたか、結論を示すことなく辞任してしまい、後を継いだ野田ドジョウ内閣は呆れるほどあっさりと脱・原発依存をしれっと棚上げして「再稼動」の日程をイの一番に米国新聞で発表!これが新首相本人の決断なのか、誰かさんの入れ知恵や振り付けなのかは分かりません。しかし、自民党も民主党もころころ首相が変わりましたが、民主党は政策そのものが根こそぎ丸ごとガラッと変えてしまう不気味で信用できない正当だという事だけははっきりしましたなあ。これが泥臭いドジョウ政治の本性ならば日本は泥にまみれてずぶずぶと沈んで行ってしまうかも?

■政党としての綱領も無く、安全保障政策も統一されていない寄り合い所帯の民主党ですから、前の前の首相が沖縄でパンドラの箱を開いて日米関係をぶっ壊してしまった後始末など出来ないだろうと諦めていた時に大震災と原発大事故が起こり、国を挙げて国難だ!国難だ!の大合唱になるドサクサに紛れて政権与党としての寿命が延びてしまったのは、やはり日本の歴史にとっては不幸な出来事だったとそろそろ分かり始めているのではないでしょうかな?民主党政権にとっては国連ビルは鬼門中の鬼門で、鳩山サセテイタダク元首相も菅アルイミ前首相もあまりの嬉しさに正気を失って薄っぺらで直ぐ破ける大風呂敷を広げて見せて、後で大恥を掻く悲喜劇を続けて演じておりますから、三度目の正直でまたトンデモない空手形を切ってひらひら見せびらかすような愚かなことだけはしないで欲しいものであります。

■野田ドジョウ首相ご夫妻が降り立ったニューヨークには何と沖縄県知事が一足先に乗り込んでいたそうで、すでに火の手が上がっている現場に入って行くことになります。玄葉外相も露払い役で先に渡米しているようですが、とても火消し役は務まりますまいなあ。


 --米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設は

「安定した秩序をアジア・太平洋に作り上げていくための基軸は日米関係であり、さらに深めることが大事だ。普天間問題は関係閣僚、前原誠司政調会長らともどのように連携をとるか早く決めたい。移設は(名護市辺野古に移設する)日米合意に基づき進めていく。沖縄の負担軽減は大事なことなので、踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄の皆さんに向き合っていく」……
2011年9月8日 産経新聞 

■新閣僚として就任後発の公式会見で玄葉外相は野田ドジョウ首相の所信表明演説を先取りする格好で「誠(正)心誠意」を使っていたのですが、「沖縄の皆さんと向き合う」前に米国であれこれ話を進めてしまって大丈夫なのでしょうか?

怒りの矛先が定まらない? 其の弐

2011-09-20 15:29:25 | 社会問題・事件
■行き場のない怒りと不安に襲われている国民は本当の敵を見つけられず、見当違いの共食い同然の迷走をあちこちで起こしているのは何より悲しいことであります。

愛知県日進市で18日夜行われた花火大会で、放射性物質の拡散を心配する市民から苦情を受けた実行委員会が、福島県で製造された花火の打ち上げを中止していたことが19日、分かった。「にっしん夢まつり・夢花火」で、東日本大震災の復興を支援しようと、被災3県の花火を含め計2千発の打ち上げを予定していた。このうち80発が福島県川俣町の菅野煙火店の花火だったが、愛知県内で製造された花火に差し替えられた。岩手、宮城両県の花火は予定通り打ち上げられた。…… 

■福島県の花火職人は小型原爆でも作っていると思い込んでいる人がいるとも思えませんが、京都の送り火事件やら成田山新勝寺さんの御焚き上げの事件に続き、またまた過敏な話が飛び出してしまったのは非常に残念なことであります。千葉県に避難した一家が子供の虐めを理由に福島県に戻って行ったという事件も忘れられませんが、「放射能をうつすぞ」と言ったの言わないのと新聞が書き立てて大臣を就任9日目に辞任させて喜んでいるマスコミと足並みを揃えるような過剰反応は自制して欲しいものであります。花火が製造された場所は原発から40キロ以上も離れた場所で、幸いにも大気中の放射性濃度も基準値を下回っているとも聞きますから、決して川俣町は「死の町」ではないのですから、心配ならば騒ぐ前に冷静に情報を集めてみて欲しいものでありますなあ。まあ、政府が情報をてきぱきと伝える努力を怠ったツケがこんな形で噴出したとも言えそうなのですが……。


16日の新聞紙上の案内で知った市民から「汚染された花火を持ち込むのか」などと、電子メールや電話が計約20件、市に寄せられた。市や商工会で構成する実行委員会が福島の花火を打ち上げないことを決め、17日に萩野幸三市長に伝えた。市は「苦渋の選択だったが、市民が不安を感じる状況で打ち上げは難しい」と判断。萩野市長は「抗議が相次ぎ打ち上げられなかったことは残念。福島の皆さんには深くおわび申し上げたい」と語った。…… 

■日進市の人口は2006年9月1日時点で77,595人だそうです。「抗議」の20件には同一人物からの重複も含まれている可能性があるものの、7万7千人のうち20人に文句を言われて腰砕けになる市政には違和感がありますが、測定を怠った実行委員会にも油断があったのは事実でしょう。放射能汚染が心配なら花火打ち上げ会場から離れて火の子を避ければよさそうなものですが、心配で堪らない人は会場に高濃度の放射性物質がばら撒かれてしまうイメージにとらわれてしまうのでしょうなあ。


菅野煙火店の菅野忠夫社長(77)は「悔しい思いでいっぱい。福島から愛知に避難されている人も多いと聞き、花火を見てもらって元気づけたかった」と話した。19日に今後の対応を協議した市の担当者は「基準などはないと思うが、放射性物質を測定した上で問題がないと判断できれば、来年の花火大会で打ち上げたい」としている。
2011年9月20日(火) 河北新報

■こうして「日本は一つ」でもないし、助け合いの精神が満ち溢れているのでもない事が判明してしまうのでありますが、原発事故が日本をどれほど変えてしまうのか?を東電も原子力ムラの住人もよくよく考えて身の処し方を決めるが宜しいでしょう。廃炉と除染という気が遠くなるような時間とカネと人力を要する大仕事が残っているのですから、国民も原発の賛否はどうあれ、事故の後に共に生きていく方法を考えて、ゆっくり心構えを作って行きたいものであります。その先頭に政治家が立ってくれるのが一番よいのですが、無い物ねだりをしている余裕はありませんから、次の総選挙までは臥薪嘗胆、怒りの矛先を何処に向けるべきかを弛(たゆ)まず考え続けましょうぞ。
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怒りの矛先が定まらない? 其の壱

2011-09-20 15:28:44 | 社会問題・事件
■今度は台風15号が来襲。先の12号で大きな被害を受けて場所に再び強風と大雨が襲い掛かりそうで心配なことであります。台風の経験が豊富なはずの紀伊半島で避難せずに被災した方が多かったことを聞き、東日本大震災で津波に流されてしまった人たちの悲劇と似た驚きがありました。過去のつらい経験が正確に伝えられないのか、それとも過去の経験が役に立たないほどの天変地異が起こっているのか?どちらにしましても嫌な事が続いております。一体、いつから嫌な事ばかりが続いているのか、多くの日本人は忘れてしまっているではないでしょうか?

■もしかしたら若者世代に至っては嫌な事ばかり起こっているのが常態だと思っているのか知れませんなあ。2年前に政権交代が起こった時、今から考えてみれば「政権交代」を連呼して数だけ膨れ上がった寄り合い所帯が選挙目当てに羅列した『マニフェスト』ほど罪深い物は無いような気にもなります。長過ぎた自民党政権が積み上げた負の遺産のすべてを知っていたわけではないにしろ、多くの国民が怒りを込めて政権の交代を求めたのでした。ぼろぼろの年金制度も然り、財政破綻の瀬戸際まで膨れ上がった借金、そして、福島第一原発が吹き飛んで初めて分かった真っ暗闇の原子力行政!この三大失政に関して潔い反省の弁も聞かれず、改善方法も提出されないうちは自民党の政権復帰などは悪い冗談でしかないでしょう。

■1000年に一度の東日本大震災と今も世界中が固唾を呑んで見守っている福島第一原発の大事故が、もしも起こっていなかったら、きっと民主党政権は素人政治を揶揄され大嘘つき呼ばわりされて支持率を限界まで低下させ、日本の政界は一斉に解散総選挙に向けて再編の動きを活発化させていたのではなかろうか?あの大震災と原発事故が起こる直前、国会は菅アルイミ首相の外国人献金問題で蜂の巣をつついたような大騒ぎが始まっていたのですし、件の『マニフェスト』も賞味期限切れが明らかになってもいましたからなあ。地震対策の遅れと原発行政の闇は深いところでつながっている可能性がありますが、少なくとも地震は天災に違いなく、片や原発は人間が作った製品ですからその取り扱いを定めた法律を作った者の責任は重大であります。

■聞くところによりますと、自民党政権下の1996年に「高経年化に関する基本的な考え方」という経済効率最優先の方針が打ち出され、福島第一原発の60年稼動延長も可能とする新しい方向が決定したそうですなあ。特に1号機は設計ミスの目立つ不良品だ!と米国の関係者から指摘されているのですから、それをコスト削減で当初の設定30年の倍も長く使って大儲けするのはよいことだ!とお墨付きを与えてしまったのですから、今更、野党第一党の自民党は原発事故に関してはグウの音も出ないのは当然。それを悪辣に利用して政権与党の甘い汁を吸い続けているのが民主党で、まるで大震災と原発事故の犠牲者に寄生して延命しているかのようにも見えます。震災と津波で選挙どころではない場所が多く、原発事故では住民の所在すら確認できない自治体もあるという悲しい現実を理由にして解散総選挙をどんどん先延ばしできるのですから、3箇月間も厚顔無恥な居座りを決め込んだ菅アルイミ前首相だけでなく、民主党全体が国難を幸運と取り違えていはしまいか?被災地の復旧・復興が進まない本当の理由は任期満了まで「全力で」政権にしがみ付けると一安心してしまったからではないでしょうな?!


東京電力が受け付けを始めた福島第1原発事故の個人向け損害賠償を巡って、被災者から「書類が多すぎる」「書き方が分からない」などの苦情が殺到している。被災者に届いた書類は、記入方法を示した案内書だけで約160ページ、記入用紙は約60ページに及ぶ。東電は「丁寧に説明するために分量が多くなってしまった」と釈明するが、被災者からは「請求させないためとしか思えない」との声さえ上がっている。…… 

■自民党の麻生政権時代に実施されたエコ・ポイント制度の時も面倒な書類に辟易したものですが、あの時はお客様第一の商売熱心な全国の電気屋さん達がお年寄りや面倒臭がり屋のために多大な努力とサービスを尽くして下さり、我が家でも僅かなポイントを得られたものでした。それに比べても今回の東電の態度は何だ!と本当に腹が立ちますなあ。お役所以上にお役所的な会社だとは聞いていましたが、長い長い、本当に長い避難所生活で精根尽き果てかけている人たちに対して、ゴマ粒みたいな字をびっしり並べた160頁もの書類を平気で渡せる神経が分かりませぬ。「損害賠償」の意味が分かっていないのではないでしょうか?


東電は12日に3~8月分の損害の請求書類の発送を始めた。東電の相談センターへの電話は発送前は1日1000件程度だったが、その後3000件に急増した。福島県田村市の仮設住宅に暮らす60代男性は「数日前に書類が届いたけど全然分からないから手をつけていない。説明会で直接書き方を聞かないと無理」とあきらめ顔だ。福島市では20日午前、同県飯舘村の住民を対象にした説明会が開かれた。夫婦で訪れた杉岡茂さん(59)は「前日も来たけど人が多くて今日出直した。請求通りの額になるか不安だし、何より東電の姿勢に納得できない」と話した。…… 

■「相談センター」に電話連絡している皆さんは、一体、何処の電話を利用しているのでしょう?追い立てられるように着の身着のままで故郷・自宅を後にした人たちに「電話して下さい」と待ち構える姿勢が変でありましょう。東電が建てたわけでもない仮設住宅には電話があるのか?御連絡用にと無料の携帯電話でも配ったのか?本来なら手土産の一つも持って個別訪問して謝罪と説明をして歩くべきところなのに、被害が大き過ぎるからと言って血も涙も無い事務的処理を無理に進めるようなら、愚かな民主党政権が作ってしまった東電救済法を見直して頂かねばなりますまいなあ。電気は必要ですが、こんな会社は要らないのですから……。


東電は現在280人態勢で県内各地で請求手続きの説明会を開いているが、10月からは900人に態勢を強化して対応するという。しかし、全国に散り散りになった被災者は直接説明を聞けず、電話で問い合わせするしかない。福島第1原発から十数キロの自宅から北九州市八幡東区に避難した鈴木芳王(よしおう)さん(44)は「途方に暮れている。将来を左右する問題を電話で済ませられるわけがない。東電は各戸を回って説明すべきだ」と憤る。…… 

■取材を受けた鈴木さんの仰る通りであります。思えば夏の猛暑を乗り切った国民的な節電運動の動機には、「東京電力が作った電気は嫌いだ!」という素朴な怒りが含まれていたような気もします。残念ながら原価総括方式とかいう卑怯千万なカラクリで電気の使用量が激減して売り上げが落ちても高い給料は微動だもしないことになっているそうなのですが……。


福島県双葉町の井戸川克隆町長は「分厚い用紙に答えなければ補償しない高飛車な態度に怒りを感じる」と批判し、17日、東電に説明会の中断を要求した。18日以降、同町向け説明会の開催が見合わされる異例の事態となった。今後、9月以降の請求も3カ月ごとに必要になる。被災者は「せめて次回は簡素にして」と訴えるが、東電は「今のところ、変更の予定はない」としている。
2011年9月20日(火) 毎日新聞 

■「発送電分離」や「東電解体」の話も出ていたのに「やる事はやった」と誰にも納得できない自己満足の言葉を残して首相の座を降りた菅アルイミ首相が残した東電救済法をひっくり返す運動が必要かも知れませんなあ。大事故発生以来、東京電力のイメージは地に墜ちているのに経産省を筆頭に政府が軽々と救済スキームを作り上げてしまったことを国民は決して忘れてはなりますまいぞ。本当は国民の怒りは原発行政そのものに向かわねばならず、そこから旧自民党政権と原子力ムラとの癒着関係、東京電力の独占・独裁システムに批判の矛先を転じながら新しいエネルギー政策を素人なりに考えて行かねばなりません。昨日も6万人規模の「反原発」デモと集会があったようですが、次には「反東電」デモが起こらないとも限りませんぞ。

ドングリころころ…… 其の伍

2011-09-07 16:03:37 | 政治
■初代首相にも二代目首相にも政治資金にまつわる疑惑があり、野田ドジョウ新首相にも二代目と同じような不正献金問題が発覚している事を考えても「大好きだ!」と悦に入っている場合ではありますまい。

野田佳彦新首相が30日、民主党の新幹事長に内定させた小沢一郎元代表の側近、輿石東参院議員会長(75)。支持母体である山梨県教職員組合の違法な資金集めが問題になったほか、民主党の使途不明金でも名前が挙がる。幹事長は金の流れを一手に握る。……山教組出身の輿石氏は、自らの選挙に教職員をフル稼働させてきた。昨年の参院選でも甲府市内の小学校教員が学校の封筒を使って、支持を呼びかけたことが発覚。違法な資金集めが半強制的に行われたこともあった。山教組幹部は政治資金規正法違反で罰金刑を受けている。
自ら「教育の政治的中立はありえない」と公言する輿石氏。教育評論家の小林正氏は「山教組が教員を選挙にかり出した問題などはうやむやにされている。日教組の利益代表者が与党幹事長として国政を牛耳る立場に立つのは大いに心配だ」と話す。…… 

■綱領も作れぬ寄り合い所帯が党内融和を図ろうとすれば、当然のようにお互いに隠している暗黒面も表面化しましょうし、莫大な政治資金が利権化して怨念込めた兵糧攻めの道具に使われることにもなるでしょう。そんな道具に税金を吸い上げて使っているのは嘆かわしいことで、他の党では有り得ない骨肉の争いばかりが目立って大震災の復興も原発事故の収束も遅々として進まず、外交は停止して経済政策も見るべきものが無い!それでも代表選挙だの党内人事が大手新聞の紙面を飾っているのは、総選挙を限界まで先延ばしするという国民世論を無視した求心力が働いているからで、それ故に幹事長も実質的には名誉職のお飾りにしておけて安心なのでしょう。小沢グループに恩を売ることにもなって一石二鳥だとこの人事を考えた誰かさんはほくそ笑んでいるのでしょうが、油断は禁物で裁判が終わればクラッシャー小沢が満を持して動き始めるでしょうから、その時にはよく切れる便利な懐刀に早変わりするかも知れません。


一方、「政治とカネ」が不透明な“小沢流”の手法に逆戻りするのではないかとの懸念も広がる。小沢氏が民主党の要職にいた平成18年4月~22年6月、党本部から「組織対策費」名目で小沢氏と近い5議員に計37億2510万円が支出された。使途は明かされていない。主な原資は、国会が支払う「立法事務費」。小沢氏の民主党代表就任前はこうした使途不明金はなかった。5議員には輿石氏も含まれ、9500万円を受領。「政治資金オンブズマン」の上脇博之神戸学院大教授は「党内融和を図るための人事だろうが、政治とカネの点から見ると、こうした人物が政治資金の配分権を握ることには、問題があると言わざるを得ない」と話す。
上脇氏によると、こうした手法は小沢氏の率いた新進、自由両党でも横行し、藤井裕久元財務相ら5議員に計76億円余が支出され、いずれも使途不明になった。上脇氏は「いずれも裏金になった可能性がある」と指摘している。
2011年8月30日 産経新聞 

■法律を徹底的に研究して違法性が出るぎりぎりの線を見切るのがクラッシャー小沢の真骨頂ですから、謎の76億円など絶対に行き先は分からないままで、菅アルイミ前首相の政治団体よりも怪しい組織に資金が流れている可能性もありそうです。税金を無駄にする金権腐敗政治を否定していた民主党が、やはり政治資金に疑惑を持たれて説明責任を果たさないのは問題でありましょうなあ。こんな内輪揉めばかりしているから政権与党としての成長がないのでしょうか?既にマニフェストを見直すとの三党合意が再確認されているというのに、四角四面のマニフェスト原理主義が生き残り、その一方で新閣僚から勝手気ままな政策とも呼べない思いつき発言が飛び出します。普天間基地問題も八ッ場ダムも、子供手当ても公務員改革も、あれもこれも実行不可能な空手形がどれほど国政を混乱させてしまったのか、まったく反省のない民主党の頑固さと幼稚さはなかなか治らないようであります。


小宮山洋子厚生労働相は5日の記者会見で、たばこの価格について「データからすると700円台まで(値上げしても)税収は減らない。そこまではたどり着きたい」と述べ、来年度以降、7000円を一つの目安にたばこ税を増税する考えを示した。愛煙家の野田佳彦首相は財務相時代、たばこ税増税に慎重な姿勢をみせており、早くも“閣内不一致”となった。小宮山氏のたばこ嫌いは政界では有名。超党派の禁煙推進議員連盟に所属しており議連幹事長も務めた。
会見では「日本は非常にたばこの価格が安い。世界平均は600円台だ」として、毎年100円ずつたばこ税を引き上げ、禁煙を促すべきだとの持論を展開。「たばこ事業法で財源を財務省が所管するのもおかしい。厚労省が持つ方向で協議したい」と述べた。…… 

■分煙だの喫煙だのと聞く度に、国民が心配している放射能汚染の方はどうなっているんだ?と疑問が湧きます。タバコの煙を「封じ込めろ!」「きれいな空気と混ぜるな!」と熱心なのに低レベルだからと放射能に汚染された大量の水を海に放出し、大気中にはまだ放射性物質が出されていると言うのに、ましてや復興財源のために増税の是非が大問題になっている時に、厚労相になった嬉しさを表現するのなら、少しは時勢に即した話をすべきではないでしょうか?被災地では「長生きしたくない」という声が日に日に多くなっているのですぞ!


一方の首相は7月、東日本大震災の復興財源としてたばこ税増税が検討された際には「たばこ増税は税制を通じた『オヤジ狩り』みたい」と不快感を表明。首相と同様に愛煙家の藤村修官房長官も5日の会見で小宮山氏の発言を聞かれ「本当に?」と当惑の表情を浮かべるなど、閣内には異論も多そうだ。
2011年9月5日 産経ニュース 

■本当に厚労省にとって管轄外のタバコ増税が喫緊の最重要課題なのか?被災地ばかりでなく都会でも深刻な医師不足、ワクチン・ギャップや遅い新薬認可の問題はどうなのでしょう?ぼろぼろになって手の施しようもない年金問題は?派遣労働の急増も深刻でしょうし厚労省は難問山積のはずです。ネジレ国会の綱渡りをする中で緊急の震災復興の財源を確保して野田ドジョウ新首相が目指す財政健全化との兼ね合いも微妙だと承知の上で、どさくさに紛れて「ついでにタバコ税も上げちゃうわ」としか聞こえないお気楽発言は大問題でしょう。家族や財産を失って不便を忍んで避難所生活に耐えている人々が、ボランティアから受け取った一箱のタバコに涙を流して感謝したのを御存知ないのか?御祝儀相場で期待を込めた支持率が高い時に、こういう無責任発言が飛び出して来ますとあっと言う間に支持率は下がり始めましょうなあ。まだ、野田ドジョウ新内閣は何も仕事をしていないというのに……。


小宮山厚生労働相が5日の記者会見で、たばこ税を増税し、1箱あたり700円程度とすべきだとの考えを表明したことが波紋を広げている。藤村官房長官は6日の記者会見で「個人的な思いを述べられたものだ」と述べ、政府方針ではないとの見解を強調。安住財務相も「ご高説は承っておく。(たばこ税の)所管は私だ。小宮山先生はたばこ嫌いなんですよね」とけん制した。小宮山氏は6日の記者会見で「(厚労省は)700円に上げると決める省ではない」とトーンダウンしたものの、「個人的意見というよりは厚労省を代表して申し述べた意見だ」とこだわりをにじませた。新政権発足早々の「閣内不一致」ぶりに、野党からは「閣僚の言葉が軽い民主党政権の未熟さが早くも露呈した」(自民党幹部)との指摘も出ている。
2011年9月7日(水) 読売新聞 

■「厚労省を代表して申し述べた」のならば、厚労省はタバコ税の所管を財務省から奪い取ろうと省として決意しているということですな?!そんな省庁間の利権争いの火に油を注ぐようなことをしている暇はないはずです。民主党政権を崩壊させたい人達にとっては恰好の攻撃材料になりそうな財務省VS厚労省の陰湿な喧嘩も期待できそうですなあ。財務省はもっと大きな財源を掠めろうと野田ドジョウ内閣を応援しているのですから、畑違いの厚労省がタバコ税に手を突っ込んで掻き回して欲しくはないでしょう。そもそも、景気対策も打てず円高問題はお手上げ状態、失業率も高止まり、デフレは一向に出口は見えず、そんな時にタバコを700円にしたら貧乏人は買えなくなって禁煙せざるを得なくなるだろうと言うのは、政治家として本末転倒ではないでしょうか?

■タバコの値上げと税収の関係を試算したデータなど勉強しているより、放射能と健康に関する正確がデータを作って国民に示して欲しいものです。既に原発大事故は経産省の専管問題の領域を超えて厚労省の所管事項になりつつあるのではないでしょうか?不用意なタバコ値上げ発言が呼び水となって厚労省が隠蔽している諸問題が集中的に掘り返されて省としての怠慢と無能を国会で厳しく追及されるようにでもなれば、小宮山新厚労相が蟻の一穴を掘ったことになるのですが……。
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ドングリころころ…… 其の四

2011-09-07 16:03:05 | 政治
■野田ドジョウ新首相が代表選挙の前に書いた論文を月刊誌の『Voice』が掲載するそうで、その中には鳩山サセテイタダク政権が掲げただけで終わった「東アジア共同体」構想に対する批判が含まれているそうですし、6日には鳩山・菅両政権が官僚を排除して稚拙な素人政治の馬脚を現わして大混乱した恥ずかしい過去を反省して脱「脱官僚」に転じるからと全府省の事務次官を首相官邸に集めて改めて御挨拶したそうです。その直前には鳩山サセテイタダク元総理と菅アルイミ前総理を党の最高顧問という名前だけの閑職に祭り上げておいたのですから、野田ドジョウ新首相もなかなか抜け目がないようであります。日夜、最高顧問となった偉大な二人の「反面教師」の存在を意識しておれば、何かに迷った時には二人ならどんな行動を採っただろう?と密かに自問するだけでほぼ正しい選択が出来そうですし、いよいよ困ったら「最高顧問!」と教えを乞うておいて、助言された為すべきことはせず、禁じられたことを行なえば、両政権が踏んだ恥ずかしくも罪深い轍を無様に踏むことはなさそうですなあ。持つべきものは利用価値の高い先輩というところかも?でも、菅アルイミ前首相の方は違法献金問題で当局の取調べが始まるようですから忙しくて新首相のご意見番?にはなれないかも知れません。

■石橋を叩いて渡る慎重派かと思ったら、やはり油断や手落ちはあるもので徐々に緊張感が高まって後々には大爆発しそうな人や起用されたのが嬉しくて大きな勘違いをしたまま早くも暴走し始めている人もいるようで……。


民主党は5日、同党に割り当てられた衆参両院の常任、特別委員長などの人事を内定した。注目を集めているのは、田中真紀子元外相の衆院外務委員長内定と、岡田克也前幹事長の衆院予算委員会筆頭理事への起用だ。田中氏は2001年4月の外相就任から翌年1月に更迭されるまで、人事や外交日程の調整を巡り、外務省としばしば対立。同省を「伏魔殿」と呼んだこともある。このため、同省は「驚愕の人事だ。外交を進めなくてはいけない時期に、そういう人事をする民主党の感覚がわからない」(幹部)と動揺を隠せない。…… 

■1993年の衆院選で初当選して翌年には1年生議員で科学技術庁長官!と華々しいデビューを飾ったものの政治家としての業績は乏しく、2001年の小泉内閣誕生には即興演説を武器に大活躍して女性人気が最高潮に達し、自薦で外務大臣になったのは大失敗で失政と官僚との大喧嘩で日本の外交が停止状態になってしまい2002年に更迭されてしまいました。小泉人気の大部分はマキコ支持によるものだと知っていた小泉プレスリー首相は平壌電撃訪問で人気を回復したものです。更迭直後に秘書給与問題が飛び出して議員辞職!2003年衆院選で復帰して恨み骨髄の自民党と対峙して民主党と統一院内会派「民主党・無所属クラブ」を結成したものの、激しい転身に人心が離れたしまいマスコミに取り上げられることもめっきり減り、衆院選を目前にした2009年8月15日の終戦記念日に夫の田中直紀参議院議員と一緒に民主党入りを表明したものの喜んだのは鳩山サセテイタダク民主党代表だけでしたなあ。やはり田中角栄の娘さんが反自民は似合わないということでしょう。

■同年9月の鳩山由紀夫内閣では当然、入閣はできず衆議院文部科学委員長に就任。2011年6月の菅オロシ騒動では不信任決議案の投票を棄権し党議拘束違反とされて3ヶ月の党員資格停止処分を受けましたが、特に注目されることはありませんでした。マキコさんの名前を再利用するなら外務省と喧嘩させればよい、と誰かの浅知恵かも知れませんが鳩山・菅と外交政策がころころ変わって大混乱させた民主党に正常な外交を復活させる大任を負わせるのは可哀想かもしれませんなあ。


一方、岡田氏のように与党幹事長を退いたばかりの“大物”が、予算委筆頭理事に就くのは珍しい。自民党の同筆頭理事が、党幹事長経験者の武部勤氏であるため、「民主党も重量級を充てるべきだ」と対抗した。2011年度第3次補正予算案の審議に向け、「野田首相を国会でしっかり支える」狙いもあるという。
9月6日(火) 読売新聞 

■岡田財務大臣!と1面大見出しを打って大恥を掻いた新聞もありましたが、菅VS小沢の痴話喧嘩の板挟みになって党内でも他党との関係でも調整に骨を折って疲れ切ってしまった岡田タリバン前幹事長に予算委員会で一騎当千の力が残っているのか不安がありますが、与野党折衝で民主党の欠点を見に沁みて学んだ経験が活かされれば予想外の活躍が期待できるかも?増税悲願の財務省に取り込まれて野田ドジョウ内閣の増税路線を暴走させない調整役になって欲しいのですが、どうでしょうなあ。


政府は5日の臨時閣議で野田内閣発足に伴う各府省の副大臣などの人事を決定したが、日本教職員組合(日教組)出身の神本美恵子、水岡俊一両参院議員を、文部科学政務官と首相補佐官にそれぞれ起用する異例の人事を行った。同じく日教組出身の輿石東幹事長兼参院議員会長に配慮した形だが、野田政権で文部行政に日教組がさらに介入する懸念が出てきた。日教組出身者の文部行政への関与は、平成7年の村山内閣当時に、佐藤泰介氏が文部政務次官に就任して以来とされる。
9月6日(火) 産経新聞 

■日教組のドンの異名を持つ輿石幹事長が登場したのですから、民主党内に巣食う日教組系の議員が脚光を浴びることになっても何の不思議もありません。党内に極左思想を抱え込む寄り合い所帯の家庭の事情は厳しいものがありまして、代表選挙で「民主党が大好きだ!」と野田ドジョウ新首相が叫んだ時にも違和感を持ったものですが、偽メール問題で議員を辞めて自ら命を絶った永田寿康議員も「私は民主党を愛している」と涙を浮かべて訴えていたことを思い出して嫌な気分にもなりました。他の党でこのような発言をした議員を知りませんから、民主党特有の奇妙な愛党精神があるのかも知れません。しかし、政権交代を実現させた多くの浮動票には民主党に対する愛情など最初からありませんでしたし、今では政党としての信頼も失われている現実を反省すれば、「大好きだ」発言は出ないはずなのですが、内輪の飲み会の放言なら兎も角も、マスコミが見守る中で発すべき事ではないような気がしました。

ドングリころころ…… 其の参

2011-09-06 15:57:45 | 政治
■拉致被害者の家族会などによる緊急国民集会が開かれた翌日、逃げるように会場を後にしたのがプライドを傷つけたのか、山岡拉致担当相は引継ぎで恥の上塗りをした後で拙速な弥縫(びほう)策を講じようとしたようです。

野田佳彦内閣が本格始動した5日朝、内閣府で新旧の拉致問題担当相の引き継ぎ式があった。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相は開口一番、「何年やられましたか」と中野寛成前担当相に質問。担当相が短期間で頻繁に交代している現状を認識しているのか疑わせる発言をした。中野前担当相は「いや、7カ月半です。私は何をやっても短い」とやや語気を強め、「その分、(拉致被害者の)ご家族には申し訳ない」と答えた。…… 

■この「申し訳ない」という謙虚な姿勢が大切です。鳩山サセテイタダク元首相も菅アルイミ前首相も政権末期の土壇場になるまで無理な背伸びをして見苦しい強がる姿勢が目立ち、この一言が出るようになったのは二人とも辞任が決まってからだったような気がします。自民党政権の方が腰は低かったような気もしますが、民主党は経験不足を隠すように自信過剰気味で開き直ってしまう短慮が目立ちました。その点を大いに反省したと思われて野田ドジョウ内閣の支持率は高いのでしょうが、案外、化けの皮が剥がれるのは早いかも?


民主党政権の2年間で拉致問題担当相は山岡氏で5人目。山岡担当相は4日の拉致被害者の家族会などによる集会に出席し、被害者家族と面会したが、担当相がコロコロ代わることが批判された。これを受け、5日午後に記者会見し、野田首相に被害者家族と早期に面会し、拉致問題担当副大臣人事で特別な配慮をするよう要請したことを明らかにした。首相は了承したという。新副大臣にサポートしてもらうことが狙いのようだが、“弱気”な一面は被害者家族の目にどう映るか-。
2011年9月5日 産経ニュース 

■就任早々に実際には何も知らずに「ご家族のお気持は心得ている」などと気楽な仕事と思って緊急国民会議の修羅場に臨むから尻尾を巻いて逃げ出すようなことになるのです。とても「兼務」などで済む話ではないと被害者家族と初めて会ってやっと気がついた山岡担当相はスタート・ダッシュで転倒したも同然。さてさて、誰が仲介役の副大臣になって家族会の信頼を取り戻してくれるのでしょう?


国土交通副大臣に就任した松原仁氏が拉致問題担当副大臣を兼務することが5日、複数の政府関係者への取材で分かった。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相が同日、野田佳彦首相に要請し了承された。6日、首相から正式に兼務を指示される。内閣府以外の省庁の副大臣が拉致問題担当副大臣を兼務するのは極めて異例。松原氏は超党派の国会議員でつくる拉致議連事務局長を務め、被害者家族からの信頼も厚いが、畑違いの職務との兼務に民主党政権の場当たり的対応がまた浮き彫りになった。…… 

■クラッシャー小沢に近いと言われて委員会の理事など裏方仕事ばかりしている一方でテレビには頻繁に顔を出している松原議員は、確かに拉致問題に熱心に取り組んで米国にも乗り込んで意見交換したりしていましたが、菅アルイミ政権の延命で日陰者生活が長くなり、ちょっと元気が無くなっているような印象もありましたが、被害者家族とのパイプや活動実績を考えれば山岡担当相の御氏名を受けるのは当然かも知れません。野田ドジョウ新首相にとっても松下政経塾の1期後輩でもあるので無理を承知で上で乱暴な「兼務」を命令することも出来たのでしょうが、国交副大臣の仕事と拉致問題とを掛け持ちするというのは如何なものでしょうなあ?無役の時には声高に原理原則論を振りかざして生煮えの書生論を怒鳴っていても実害はありませんでしたが、たとえ副が付いても大臣ともなると得意の評論家めいた原則論は封印せざるを得なくなるのでは?あるいは問題発言を連発して自爆するかも?


山岡氏は4日、拉致被害者の家族会などによる集会に出席し、被害者家族と面会したが、家族からは担当相が頻繁に代わることに加え、山岡氏が消費者相などと兼務であることを不安視された。これを受け、既に松原氏の国交副大臣就任が決まっていたが、野田首相に「副大臣人事での特別な配慮」を要請したという。ただ、畑違いの国交行政との兼務なだけに業務がこなせるか疑問視する声もある。……
2011年9月6日 産経ニュース 

■担当大臣も副大臣も揃って畑違いの「兼務」では野田ドジョウ政権が拉致問題には不熱心だと重ねて証明するようなもので、最初から拉致問題担当に松原議員を起用しておけば印象はまったく違ったでしょうに、勿体無いことでありました。党内融和の微妙なバランスを考える余り、過度に内向きになって組織防衛を優先させてしまうと身動きが取れなくなって再び実質的な政治空白が生まれる危険が高まりそうで心配ですなあ。二重の兼務は決して「適材適所」の人事ではありますまい。

ドングリころころ…… 其の弐

2011-09-06 15:23:54 | 政治

消費者相などとの兼務に対する家族の懸念も大きい。田口八重子さん=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(73)は、「これまで兼務になると、拉致問題がおろそかにされてきた。また一から出直さなきゃいけないと思うとつらい」と力なく語った。横田めぐみさん=同(13)=の母、早紀江さん(75)はこう嘆く。「こんなことの繰り返し。いつまでこんな状態が続くのか、言葉にもなりません」
2011年9月3日 産経ニュース 

■確かに「兼務」というのは頂けない話で、取って付けた添え物扱いと受け取られても弁解のしようがないでしょう。それも選りに選って消費者相との兼任となれば尚更です。一体、どんな関係があるのでしょうなあ?北朝鮮からの密輸品を熱心に摘発してくれても良いのですが、今の消費者庁は食品の放射能汚染対策で手一杯のはずですから、被害者家族の皆さんが感じている不安は的中してしまいそうであります。まあ、その放射能汚染の問題にしたところで山岡節で「安全です。大丈夫です」と言われても誰も信用しないでしょうが……。

■野田ドジョウ新内閣の組閣が終わったのに合わせるように拉致犯罪被害者家族会が大規模な集会を催した由。勿論、山岡新大臣も御出席だったのですが……。


拉致被害者の救出を訴える拉致被害者の家族会などによる緊急国民集会が4日、東京都内で開かれた。コロコロ代わる拉致問題担当相に拉致容疑者につながる政治団体への献金、家族らが反対する朝鮮学校無償化の審査再開など続出する問題に、民主党政権に対する家族らのいらだちと失望感が噴き出した。集会は、平成20年9月4日に北朝鮮が拉致被害者の再調査に合意しながら先送りを通告して3年になるのに合わせ、開かれた。集会では、再調査に応じない北朝鮮への追加制裁や、無償化審査を停止するよう政府に求める方針を決議した。…… 

■悲しくも虚しく流れた3年間のうち2年間は間違いなく民主党政権の時代であります。事件解決にまったく誠意を見せない北朝鮮に対して、文句の一つでも言うかと思えば、逆に無償化の対象にしたり奇怪な政治団体に巨額献金をしていたり民主党政権は変なことばかりしています。寄り合い所帯の党内にはこうした動きに明確に反対する議員もいて、前任の中野大臣は菅アルイミ前首相が唐突に言い出した朝鮮学校無償化について即座に反対の意を示していましたが、民主党の上層部は無視してしまい、野田ドジョウ新内閣ではあっさり交代ですから無償化は誰にも止められないかも知れせん。


田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(73)はあいさつで、「首相がコロコロ代わるためほごにされたが、再調査の約束は生きている。野田佳彦首相には拉致に対する日本の姿勢をはっきり大きな声で語ってほしい」と話した。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相もあいさつに立ち、「解決に誠心誠意尽くす」と述べたが、準備された原稿を棒読みするだけ。さらに「政府で検討したが、追加制裁の結論に至っていない」と話し、会場から非難の声が上がった。これに先立ち、山岡担当相は家族らと初めて面会したが、就任あいさつだけで具体策は示さなかったという。集会でもあいさつを終えると早々に退席した。…… 

■民主党の「誠心誠意」というものの正体は原発事故の被災地の皆さんが身に染みて分かっておられるでしょうし、大震災からの復興が進まない東北地方の皆さんもよく知っておられるでしょう。政治主導がいつの間にやら役人が書いた「原稿の棒読み」になり、責任はすべて現場や個人に押し付けて知らん振り、そんな民主党政治を続けていれば次の総選挙では政党自体が消滅するのは間違いないでしょう。自分の容姿がぱっとしないから「解散はしません」と変な約束をした野田ドジョウ新首相でしたが、御祝儀相場の高い支持率が急降下し始めたら分かりませんぞ!


出席者からは、菅直人前首相側の献金や朝鮮学校無償化審査の再開指示に対する批判が相次いだ。松木薫さん=同(26)=の姉、斉藤文代さん(66)は「家族は政府がどうにかしてくれると信じ、何とかやってきた。『全力を尽くす』といった菅前首相の言葉は嘘だったのでしょうか」と語った。集会後、家族の一人は「山岡担当相には自分の言葉で話してほしかった」と話していた。
2011年9月4日 産経ニュース 

■実に残念なことですが、「菅前首相の言葉は嘘だったのでしょうか?」と問われたら、「そうです。ウソでした」とお答えするしかありません。菅アルイミ首相が本当に全力を尽くしたのは、大震災と原発事故を悪用した自分の延命工作と次の党代表をクラッシャー小沢の影響を受けない人物にすることだけでありました。そして、山岡担当相に拉致問題について「自分の言葉で話して欲しい」というのは無理な相談でありましょう。菅アルイミ前首相に負けず劣らず権力志向が強い人のようですから、大臣の椅子に座っている快感に浸っているだけで何ら目立った業績も残さず終わる可能性が極めて高そうです。

ドングリころころ…… 其の壱

2011-09-06 15:23:16 | 政治
■民主党の代表選で飛び出した泥鰌演説に便乗しようとマスコミ以上にデフレ不況と闘う企業や商店が続々と現われているようですが、自民党の石破政調会長が童謡『ドングリころころ』を的確に引用して意外だった野田内閣誕生を「泥鰌が出て来てこんにちは」と冷笑気味に皮肉っぽく語っているのを聞きまして、青木存義作詞・梁田貞作曲の『どんぐりころころ』の歌詞が気になり改めてYAHOO!知恵袋で確認してみたところ、何だか民主党の近未来を予言しているような気味の悪さを感じたのであります。

どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
ぼっちゃん一緒に 遊びましょう 

■これは1番の歌詞。どんぐりは民主党自体か、閣僚の誰かさんか?「池」は鳩山・菅の両政権が続けた失政によって失墜した政権与党民主党がのたうち回っている絶体絶命の現状。泥鰌はそのまま野田ドジョウ新首相で、「ぼっちゃん」と呼び掛けている相手として最も相応しいのはクラッシャー小沢ですが、閣僚や続々と決まっている副大臣以下の内閣スタッフの中にも候補者がいるかも?


どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた 

■この2番の歌詞で謎めいて不気味なのが「お山」であります。気楽だった野党時代のことか?それとも「ノーサイド」に飽きて疲れた頃に頭をもたげる各グループのことか?或いは半島の某国という特定の場所ではないかと深読みが可能な候補者もいそうですかな?「泣く」と言えば海江田ナキムシ前経産相が思い出されますが「鳴く」や「啼く」と字を替えれば誰が起こすか知りませんが、閣内不一致で野田ドジョウ新首相が泣きたくなる場面が創造されますなあ。

■更に作詞者不詳の幻の3番というのが有るそうで……。


どんぐりころころ ないてたら
なかよしこりすが とんできて
おちばにくるんで おんぶして
いそいでおやまに つれてった 

■はて、どんぐり救出に駆け付ける「小栗鼠」とは何者か?「落ち葉に包んで負んぶして」という強引なところから、堪忍袋の緒が切れて党を割って出て行くクラッシャー小沢の姿がちらりと脳裏をかすめるのですが、その反対側、反小沢が骨の髄までしみこんでいる菅アルイミ前首相あたりが忘れられた頃にしゃしゃり出て来て合併前の民主党に先祖返りなどということもあるのかも?

■某保育所では別の歌詞が歌われているそうです。


どんぐりころころ ないてたら
やさしいハトさん とんできて
やままでおくって くれました
どんぐりおれいを いいました 

■ここではズバリ!鳩山サセテイタダク元首相が名指しされておりますが、「やさしい小鳩が飛んで来て」と変えれば露骨な新党結成の予言になりますなあ。組閣人事が終わった直後から既にあちこち襤褸(ぼろ)が出始めるのが民主党らしいところなのでしょうが、慎重の上にも慎重に派閥均衡型の陣容を整えたのが裏目に出てしまう心配がもう出ているのは非常に気になるところであります。


「野田佳彦首相の拉致問題への考え方が出ている。拉致問題軽視としか言えない」。消費者相と国家公安委員長と兼務で山岡賢次氏が拉致問題担当相に就任したことに、増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で拉致被害者の家族会事務局長の照明さん(55)は、失望感をあらわにした。山岡氏は、超党派の国会議員でつくる拉致議連にも所属せず、拉致問題に関しては全くといっていいほど活動実績がない。拉致被害者家族らは「拉致問題での発言を聞いたことがない」と声をそろえる。…… 

■クラッシャー小沢の側近中の側近を自称する目立ちたがり屋の山岡さんが念願の入閣!という第一報を聞いた時には「蟻の一穴」という言葉が思い浮かびました。消費者相としての適正に疑問が持たれるほど違法なマルチ商法に深く関わっているという脛に傷持つ身でありながら、何を聞かれても表情ひとつ変えずにぺらぺらと立て板に水を流すように言い抜けてしまう才能には恵まれているようですが、「策士策に溺れる」の譬えもあるように後々、墓穴を掘ってしまう危うさが感じられる人物のようですから野党第一党の自民党にしてみれば恰好の標的となりましょう。以前にも民主党政権の国家公安委員長には何かと問題の多い人物が登用されたこともありましたが、このポストを軽視、或いは蔑視でもしているのか?と薄ら寒いものを感じてしまいます。自分の立ち位置を保守と明言している野田ドジョウ新首相にしてこの程度の人選をするのですから、民主党の命運はやはり尽きているのかも知れませんなあ。


山岡氏は2日、官邸で記者団に「家族会とは、今まで直接、お話はしていないが、お気持ちは心得ているつもり。全力で対応していきたい」と語った。しかし、家族会などが平成21年の総選挙前に行った拉致問題への取り組みを問う議員アンケートでは、回答すらなかっただけに家族らの不安はぬぐえない。菅直人前首相ら民主党議員側による拉致事件容疑者の長男が所属する政治団体側への巨額献金の発覚に続き、菅前首相は辞任直前に家族らが反対する朝鮮学校無償化の審理再開を指示するなど、家族らの民主党政権への不信は募る一方だ。 

■何事もソツなくこなせるオールマイティを演じて見せているのでしょうが、拉致犯罪被害者家族を相手にこういう口先三寸の軽口は慎んだ方がよいでしょう。まして菅アルイミ政権時代に聞き飽きた虚しい「(無力の)全力」を繰り返されたら、何もしないと言ったも同然ですぞ。延命のためとは言え北朝鮮への電撃訪問を画策して失敗した節のある菅アルイミ政権は拉致事件を政局の玩具にしただけで解決に向けては冷淡で不熱心でしたから、口舌の徒になりそうな山岡大臣では被害者家族の心はつかめないでしょうなあ。


その中で、家族らは政策の継続性を訴え、中野寛成前担当相の留任を求めたが、その声も無視され、民主党政権の2年間で5人目の拉致問題担当相の就任となった。野田首相は2日の会見で頻繁に担当相が替わることを問われ、「拉致問題を含め、その継続性で信頼を取り戻すことがこの内閣の最初の課題だ」と述べた。しかし、山岡氏は2日の会見で野田首相からの拉致に関する指示が6項目中の5番目だったことを明かしており、拉致問題軽視の姿勢が浮かぶ。…… 

■どうして「5番目だった」ことをバラすのでしょう?こういう無神経なところだけ「情報公開」して見せても仕方がないでしょうに?!思いやりが無いと申しましょうか、無神経だと申しましょうか、野田ドジョウ新首相も「継続性」などという場違いな言葉を使うと、ああ、またかいなあ、と多くの国民が溜息をつきましょうぞ。

やるべき事をやった後で…… 其の弐

2011-09-03 17:06:43 | 政治
■民主党の代表選で最も印象的だったのは、戦い済んで日が暮れて司会者に呼ばれて舞台に上って野田ドジョウ新首相と握手した菅アルイミ前首相のニタニタ顔でした。驚いたことには代表選を戦った前原・馬淵・海江田・鹿野候補に混じって野田ドジョウ新首相を中心に並列握手をした時にもニタニタし続けていたばかりか、壇上に立った人達の中で一番嬉しそうな顔をしていましたぞ!一体、何がそんなに嬉しいんだ??と最後の最後まで理解不能の奇人ぶり全開でありましたなあ。

■思い出せば1年前、民主党を真っ二つに割っての小沢VS菅の仁義なき戦いに辛勝した菅アルイミ前首相の第一声は、とろけるような満面の笑みで発した「あっりがとございま~す」でした。総理大臣になれて本当に嬉しいなあ!大嫌いな小沢を倒して気持がいいなあ!自分は日本で一番偉いんだなあ!と全身から大勘違いの濁ったオーラを発散させていたのでした。その勘違いを1年以上も持続する根性は大したものなのかも知れませんが、やはり病的に内向きで狭い視野しか持てない宰相の器には程遠い政治家だったのでしょう。どこかの小さな小さな地方都市の市長さんにでもなっていれば、ちょっと目立った面白い事が出来たかも知れませんぬが、鳩山サセテイタダク元首相がぶっ壊した日本を建て直し、同じくずたずたになった日米関係を修復することなど最初から無理で、自分に降りかかった違法献金疑惑を掻き消してくれた大震災と原発事故に全国民の目を釘付けにしようとでもするように、他の政治課題は放り出して「すごく詳しい」原発問題にたった一人で取り組んでくれた御蔭で大量の被爆者を出してしまい、震災復興はぴくりとも動かず、基地問題で翻弄された沖縄県民も北朝鮮による拉致犯罪の被害者家族も忘れ去られて心を痛めておられた長い長い半年が過ぎました。

■今回の代表選挙で最も可哀想だったのは海江田ナキムシ前経産相ではなかったかと思います。「浜岡原発停止」「脱原発」「ストレステスト実施」と唐突に国策を変更する菅アルイミ前首相に何度も梯子を外され手柄は横取りされ、地道な努力が徒労に終わる損な役ばかり押し付けられた怨念は決して忘れられるものではないでしょう。8月27日に開催された面白くも可笑しくもない「共同記者会見」が終わった後の記念撮影では左に野田・鹿野候補、右に馬淵・前原候補を引き連れるような格好で真ん中に立って勝利を確信した満面の笑みを浮かべていたのに、一夜明けて蓋を開けてみたら菅アルイミ前首相が大喜びするような「反小沢」大連合が生まれていて、あれよあれよと思う間に党の過半数の票が逃げて行ってしまいました。おそらく選挙後の壇上でニタニタし続けた菅アルイミ前首相は、「反小沢」大連合を作った首謀者は自分だと勘違いして、イッパシのキング・メーカーにでもなった気分であったのでしょう。最後まで自分に甘い異常な神経回路が働いていたようです。

■共同記者会見の席でも、問われれば幾らでも菅アルイミ政権の裏話(修羅場)を材料に辛辣な前政権批判が聞けたでしょうに、政治記者諸氏はクラッシャー小沢との関係ばかり質問して経産相として忍耐し続けた苦労話を披露できずに不満だったでしょう。しかし、候補者の中で誰一人として菅アルイミ内閣の業績を高く評価して「このまま丸ごと継承する」と宣言する者はなく、山形県出身の鹿野農水相の口からは「スピードが足りない!」と率直な悪口が連発され、野党対策では「誠心誠意」の四字熟語が連打されて菅アルイミ政権の幼稚な唯我独尊を押し通した失政を見事に撃っておりましたなあ。

■自称・経済評論家出身の海江田経産相も「消費税引き上げに失敗」したのがダメ!と独自の味付けに必死のようでしたが、原発ムラの生殺与奪の権力を持ちながら「更迭」の決断は出来ずに「人心一新」の順送り官僚人事を認めたからには、日本の原発行政は菅アルイミ首相の常軌を逸した夢物語に対する反動を利用して、なし崩しの官僚主導政治の尖兵になって財務官僚に取り込まれた新総理になってしまう危険がありました。財務省にすっかり取り込まれたと噂されている野田ドジョウ新首相が、どんな方法でそんな噂を否定するのかしないのか、気なるところではあります。消極的・場当たり的・その場凌ぎの当て馬(第三の男)候補であっても総理大臣の椅子に座りたい!と無責任なマスコミの票読み報道に乗せられて日々刻々と反小沢・親小沢で股裂き状態になる親政権を背負い込む艱難辛苦の道をまっしぐらに突き進んでいることにまったく気付かない御様子だった海江田ナキムシ前経産相は、野田ドジョウ新内閣での入閣は無く、自分を担いでくれた小沢グループからさえ2人も入閣しているというのに、同じく無役になりそうな馬淵ターミネーター元国交相とは違った意味で孤独な党内生活が始まりそうです。

■「鳩山はダメだ!菅ではもっとダメだ!」と言いたいのに言えない代表選挙は多くの国民にとっては稚拙な茶番劇でしかありませんでしたし、単なる党内行事で終わったことで政権交代専用の選挙互助会から脱皮できない民主党の実態を改めて天下に示してしまったようなものです。あと1年もしないうちに本番の代表選挙があると言うのですから野田ドジョウ新政権がどれほど神経をすり減らして派閥均衡ノーサイド人事で切り抜けようと思っても、本格的に政権が動き出したら何が起こるか分かったものではありません。新し物好きのマスコミは菅アルイミ前首相など眼中に無く、もう四国のお遍路に行ってしまったかのような御用済み扱いをしているようでありますが、最後の最後まで政治を私物化して玩具にして去った事実を決して忘れてはなりますまいぞ!代表選挙の告示日にも菅アルイミ前首相はしっかり傍迷惑な「仕事」をしておりました。


菅直人首相は27日午後、福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」の初会合に出席し、「避難住民が元にいた所へ帰ることができるよう、全力を挙げて取り組んでいくことを約束する」と表明。「やらなければいけない政府の役割は必ず次の首相に引き継ぎたい」と語った。
2011年8月27日 産経ニュース 

■「やらなければいけない政府の役割」を何も果たさなかった自分の無能無力を棚に上げて、次の首相にあれこれ指示や注文など出来ないはずなのに、腐っても鯛、無能でも前首相という強引な権威主義を丸出しにして去り行く者の遠吠えにしては気味が悪いほど自信たっぷりの表情だったようであります。何とかの一つ覚えの「(無力の)全力」を最後まで繰り返す話を誰も真剣には聞いていなかったと想像されますが、「避難住民が元にいた所へ帰ることができるよう」と言いながら、この会合の直前に行なわれた福島県知事との会談では「福島圏内に中間貯蔵施設を作りたい」とまたまた唐突に言い出していたのですから、絶望的に長い期間「帰れない場所」が出現するという重大事をころっと忘れてしまったように「約束」してしまえるのが菅アルイミ前首相なのであります。


菅直人首相は27日午後、福島県庁で佐藤雄平福島県知事と会談し、東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質に汚染された土壌やがれきに関し、「国として、県内で生じた汚染物質を適切に管理する中間貯蔵施設を県内に整備をお願いせざるを得ない」と述べ、福島県内への設置を要請した。ただ、首相は「最終処分地とは考えていない」と述べた。
一方、原発周辺に居住していた住民の帰宅については、「放射線量が非常に高い地域がある。除染を講じてもなお長期間にわたり、住民の帰還・居住が困難となる可能性は残念ながら否定できないのが現実だ」と指摘した上で、「大変、申し訳ない。おわび申し上げる」と陳謝した。 
2011年8月27日(土) 時事通信 

■この「中間貯蔵施設」に関して、代表選挙の中では一切語られることはありませんでした。やっと居座り続けられなくなって、憲政史上最も愚かだった首相の次に最も卑怯未練で独断暴走が目立った首相として追い出される事が決定した後になって「現実」を語り始めて、珍しく「お詫び申し上げる」と謝罪してもらっても被災地の人たちは誰も感動しないでしょうし相手にもしないでしょう。新聞・テレビの報道でも極めて小さく軽い扱いだったのは印象的でした。本当は重大な「現実」と「陳謝」だったのですが……。


政府は27日、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された地域のうち、年間の被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される場所では、線量が下がり、避難している住民が帰宅できるまでに20年以上かかる可能性があるとの試算結果を、福島市で開かれた「福島復興再生協議会」で示した。放射性物質を取り除く除染などをしない場合に、セシウム137や134が時間経過とともに減少することや雨や風で地表面からなくなることにより、帰宅の目安となる年20ミリシーベルト以下になるまでの期間を求めた。現在の推定線量が100ミリシーベルトの場所は10年程度、50ミリシーベルトの場所では4年程度となる。
細野豪志原発事故担当相は協議会の終了後、記者団に「除染でどれぐらい前倒しできるかに挑戦する。やり切らなければならないが、かなり長期間、帰宅が難しい人が出る現実も直視しなければならない」と述べた。
2011年8月27日 産経ニュース 

■正確な情報も出さず、事故から半年も経ってから「挑戦する」と言われても、口裏合わせのように発表された詳細な汚染マップで帰りたい故郷に赤丸を付けられてしまった人達にとって、この半年間の不安に満ちた彷徨は何だったのか?という虚しさと絶望の深さは想像も出来ません。本当は厳しい「現実」を示す正確な情報を隠蔽していたのは厳しい政治決断を迫られるのを誰かさんが避けていたからではないのか?!一切の責任を取らない奇怪な政治主導を推し進めた結果がこれならば、代表選挙の中で「政治主導は間違いでした。民主党には無理でした」と候補者一同が認めて謝罪するべきだったのではないでしょうか?誰もが「原発事故の収束」を喫緊の問題と認めているのに処理施設に関しては何も具体策を示さないというのは菅アルイミ前内閣と同様に卑怯千万な話であります。もたもたしている間に汚染物質はどんどん拡散し続けているという恐ろしい指摘があるというのに、沖縄に続いて福島でも問題を先送りして時間稼ぎをするのなら早々に政権を投げ出すべきでしょうなあ。

やるべき事をやった後で…… 其の壱

2011-09-03 15:48:55 | 政治
■目下、台風12号が四国に上陸して自転車並の鈍足で瀬戸内海に向かって北上中。紀伊半島や東海地方でも大雨が降り、台風から距離のある北海道でも前線が刺激されて大雨とのことで、洪水や高波に襲われて不安な週末を迎えておられる皆様には謹んでお見舞い申し上げます。夏の終わりから秋にかけての台風襲来は日本列島の位置からして避けられない宿命のようなものですが、今回の12号は強力な高気圧に東西から挟まれてほぼ直線状にゆっくり北上しているのが気になりますし、いつもなら東の海上に台風を吹き流してくれる偏西風が意地悪でもするかのように、いつもよりずっと北で吹いている由。唯一の救いは福島第一原発周辺が直撃を免れ、北の雨雲も遠くを流れていることでありましょうか?1000ミリを越えるような集中豪雨の直撃を受けたら大量の汚染水がどうなるかと思うと事故現場を西側に迂回するように進む台風の進路を見ておりますと、西日本各地の皆様には大変申し訳ないこととは承知しながら、少しばかりの天佑に感謝したくなります。長過ぎた菅アルイミ政権の1年余がやっと終わったのですからなあ。

■その台風12号が南の海からもたもたと日本に接近している間に民主党は3人目の総理大臣になる代表を選ぶお祭り騒ぎをやっておりまして、新聞・テレビは「海江田優勢」だの「前原VS海江田」だのと、困ったときのクラッシャー小沢頼みを丸出しにしたヨタ話を大真面目に報道しておりましたなあ。最初は野田を担いだ仙谷ノーコメント前官房副長官が、土壇場で裏切って前原元外相を引っ張り出したのが混乱の原因とも言われているようですが、新聞の1面が日替わり定食みたいにころころ変わっていた時、台風12号の西側にもう一つの台風11号がふらふらと北上していたのでありました。結局、民主党代表選挙当日の8月29日に台風11号は台湾海峡上空で昼過ぎには熱帯性低気圧に変わり、31日に対岸に上陸して間も無く消滅したのでした。不思議な天気図を見ながら、「はて?何だか代表選挙のような怪しく鈍い動きであることよ」と独りごちておりましたが、片方がふらふらとチャイナの上海辺りを目指して北上して行く様を見て、クラッシャー小沢が推した方の候補が消滅するかも?と思っていたら決選投票で海江田ナキムシ前経産相が落選したのでありました。『週刊文春』の記事によりますと、密かに選挙会場に入っていたクラッシャー小沢は海江田敗北の直後に人目を避けて裏口から駆け出して行ったとか……。

■野田ドジョウ内閣が正式に発足した日、聊か女子の影に隠されてしまった感のある日本男子サッカーが因縁の宿敵?北朝鮮を相手にあわや屈辱の引き分けか?!という苦しい戦いのロスタイム5分間の延長でやっと1点を取って連勝記録を伸ばしてくれました。苦戦の原因は右膝半月板損傷で離脱したFW本田の不在だと誰にも分かっておりましたから、万が一の場合でも試合会場で乱闘・暴動騒ぎは起こらなかったでしょうが、国際的に通用するトップ選手を欠いての「全員サッカー」に冷や冷やさせられますと、泥臭いと自称する野田ドジョウ内閣が間も無く始める素人政治の第三幕を見せられているような実に嫌な気分になったのは確かであります。

■誰が当選しようとも、まったく希望の光がは見えない民主党代表選挙が、文字通り粛々と事務的に終了して政権交代後3人目の代表(首相)が決まってしまいました。誰が当選しても国民生活にとっては大差が無いからこそ7人も立候補に動き出し、国民は週刊文春が頭文字を並べて「また馬鹿のかお」と溜息混じりに喝破した通り、永田町の空騒ぎを冷ややかに見て見ぬふりをしていたのでしょうが、最後の最後まで菅アルイミ首相は根拠不明の自信に満ちた奇怪な自画自賛を臆面もなく吐き散らして長過ぎた居座り政権に幕を引き土壇場まで、一種病的な執念を見せて怪しい言動を続けていたのが気になって仕方がありませんでした。マスコミは日本の総理大臣が変わる!という大きな看板を掲げて代表選挙の下馬評をさも重大事の如く装って大仰に報道する一方で、菅アルイミ首相は既に辞職したかのようにその行動と存在を無視していたのは迂闊でした。

■病膏肓に至り、菅アルイミ首相は正真正銘の裸の王様になった最後の3箇月間、実に陰湿で勝手気ままな行動を地道に?続けていたのは通常の神経では理解不能。もしかすると精神医療の対象になるのではないか?と本気で心配したくなるほど強靭で鈍感な神経回路を持つ不思議な総理大臣の心の奥に何が有るのか?あの底なしの不気味な権力欲の強さ、「他人に厳しく自分に大甘、いつもニヤニヤ腹黒く」の行動原理の強固さには尋常でないものがありました。既に人間社会の尺度では計れず、人を喰って生きると言われる政治家の世界でも菅アルイミ首相の無神経さと厚顔無恥さ加減は図抜けておりました。その後ならば、それこそクラッシャー小沢が断じた通り「菅さん以外なら誰でもよい」と思うしかない脱力感と絶望感が日本中に満ち満ちていたのでありました。

■後継総理を実質的に決める民主党代表選挙が行なわれましたが、28日の日曜は朝から各テレビ局が5人の候補者を並べて出演させ、飽きもせずに同じ質問を投げ掛けては、まったく具体性の無い「べき論」を喋らせていたようでありますが、面白いことに全候補者に共通するのは直截な表現を避けつつも「菅内閣は継承しない」という消極的な否定論を基盤にして話を始めている事でした。候補者の中に菅アルイミ内閣の現役閣僚が3人も入っているというのに、それぞれが意気込みを語る言葉の端々に「菅内閣はダメだった」という意味のメッセージが聞き取れるのは実に不思議な話でありました。消極的消去法で小鳩連合に担がれ「第三の男」という情けない異名を貰ってしまった海江田経産相は、号泣事件で男を下げてしまった弱みを補うには親分の鳩山アルイミ前首相に縋り付くしか身の振り方は無く、笑ってしまうほど影が薄い元総理大臣の裏にはクラッシャー小沢の豪腕が隠れているので、これを利用して恨み骨髄の菅アルイミ首相に一矢報いておかねば気が済まぬ!という怨念がどうしようもなく透けて見えておりましたなあ。

■つまり、5人の代表候補には菅アルイミ首相は大嫌いだ!という共通点がありながら、その度合いが微妙に違っていたようです。党を再び二分する危険を承知の上で小鳩軍団の支援を受ける決断をするほど海江田ナキムシ経産相が断トツで、その次は誰だろうと想像しますと、首相補佐官の椅子を蹴っ飛ばした馬淵ターミネーター元国交相辺りが二番手で、次が度が過ぎた反小沢主義で党を分裂させて対立させた罪を許せないらしい鹿野コノヨウニ元農水相、その反小沢ブームに便乗していた前原元外相と野田ゾウゼイ財務相の松下政経塾コンビは当初の協力関係が破れた後、慌てて立候補した前原エエカッコシイ元外相が小沢詣でに出向いた事実から、鼻の差で前原エエカッコシイ元外相の方が菅アルイミ首相を嫌っていると思われます。

■代表選挙で各候補者が渋々認めざるを得なかった政権交代から2年間続いた素人政治の大失敗は日本を蝕み続けているのですが、選挙会場にしらっと他人事みたいに座って無表情で投票し、決選投票の後には呼ばれて舞台に登って野田新代表と例の気味の悪いニヤニヤ笑いを一瞬見せて握手した場面は滑稽を通り越して実に不快でありましたが、全候補者が各自の立場から批判や反省の意を表明した原発事故への下手くそな対応でさえ、菅アルイミ首相本人にとっては辞任記者会見で「やるべき事はやった!」と誰も予想しなかった??能天気な自画自賛できるものだったのですから、既に民主党の命脈は絶たれているはずなのですが、寄り合い所帯が無くなると路頭に迷って惨めに頭を下げて歩かねばならない一蓮托生の相見互いの400余人の議員達は、総選挙を先送りするという一点に於いてだけは鉄壁の団結力を保持しているのですから、変な総理大臣が次々と現われるのも仕方がないのでしょう。「政権交代」しか共通理念の無かった烏合の衆ですから当然なのですが、そんな歪な政党が政権を担い続けることに不安ばかりが湧いて来るのであります。

■永田町では「鳩山と組んで物事が上手く行った例がない」とジンクスめいた話が流布していたのだそうですが、今回も鳩山サセテイタダク元首相の名前がちらほら出始めた時から代表選挙は混乱し始めて、空騒ぎが終わって「ノーサイドにしましょ、もう」と野田ドジョウ新首相が呼び掛けた時から鳩山サセテイタダク元首相の名前も影も綺麗さっぱり消えて無くなってしまいました。鳩山グループというのは何のために存在しているのか、さっぱり分かりませんなあ。

やっと辞めます菅総理 其の八

2011-09-01 21:53:32 | 政治
■東日本大震災と福島第一原発事故が起こってから1箇月後の4月18日のことでした。参議院予算委員会の集中審議の場で菅アルイミ首相は原発事故対応に関して根拠の無い自画自賛をいたのでした。今にして思えば悪い冗談みたいな話ですが、驚くべきことにこの時の自画自賛のずっと続いてぼろぼろになっての辞任会見でも「やるべき事はやった!」と締め括ったのですから、手の施しようのない鉄面皮だったと再認識させて貰いました。そして、すっかり野田ドジョウ新首相の気配り人事ばかりが注目されておりますが、何と!正式に総理大臣に就任していないので今でも日本の総理大臣は菅アルイミ前首相なのだそうですなあ。

■4月の集中審議で記憶に残るのは、自民党の脇雅史参院国対委員長から前年の10月に実施された大規模な防災訓練について問われた場面であります。菅アルイミ首相を本部長として、行われた「原子力総合防災訓練」について、「どういう想定で行われたか覚えているか?」と質問されて「いろいろな事態を想定したはずで…」とシドロモドロになってしまい、脇議員から「非常用冷却装置と複数の設備故障により、放射性物質が放出されたという想定だった」と追求され「本当に記憶はないのか?」と問い詰められた菅アルイミ首相の答弁は、「私が細かいところまですべてを知っているかと言われれば、承知していない」と小泉プレスリー元首相ばりに開き直って「東海村の臨界事故や、チェルノブイリなどは、私なりに知見を持っている」とまったく別の話に逃げてしまったのでした。

■そんな菅アルイミ前首相が東日本大震災・原発事故が起こってから初の東京直下型地震が発生したとの想定に基づく防災訓練の最高責任者になっていたというのは民主党らしい国民を馬鹿にした悪い冗談みたいな話でありますなあ。


政府本部運営訓練には、既に総辞職している菅内閣の閣僚たちが参加した。野田佳彦新首相が皇居での任命式を2日以降に先送りし、憲法上、菅内閣が「職務執行内閣」として存続しているため。現行憲法下で「防災の日」を職務執行内閣の下で迎えるのは初めて。
菅直人首相は地震発生想定時刻の午前8時過ぎに公邸から官邸に出勤。想定に沿って衆院赤坂議員宿舎から徒歩で約10分かけて首相官邸に向かう閣僚もいた。菅首相は午前8時25分に緊急災害対策本部会議を開き「情報収集と的確な対応」を各閣僚に指示。野田新首相も財務相として対策本部会議に出席した。任命式の先送りは野田新首相が人事構想を練る時間を十分確保するためだが、閣僚からは「訓練してすぐに退任するなら訓練の意味がない」と疑問の声も漏れた。
2011年9月1日(木) 毎日新聞 

■被災地の皆さんは、一体、どんな気持でこんなニュースを観るのでしょう?津波被害の復旧・復興も見通しがまったく立たず、原発事故の処理はもっと進んでおりません。半年前に「情報収集と的確な対応」を各閣僚に指示して誠実に実行して欲しかった!菅アルイミ前首相はどんな気持でこんな猿芝居の主役を演じていたのでしょう?さてさて、話はしつこく「原子力安全庁」(仮称)の件に戻ります。


政府は15日の閣議で、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を統合した「原子力安全庁」(仮称)を、環境省の外局として新設することを柱とした原子力安全規制に関する組織改革の基本方針を決定した。ただ組織改革の具体的な項目で詰め切れなかった部分もあり、環境省の受け入れ体制など来年4月の発足に向けた課題は多い。政府は準備室を月内にも設置し、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。細野豪志原発事故担当相は15日の記者会見で「規制についても根本的な改革が必要で早急に作業に入る」と述べ、制度の見直しにも着手する考えを示した。ただ、素案段階で明記されていた「核燃料物質の運搬に関する規制」や「放射線障害防止」などの役割を担うかどうかについては議論が先送りされた。規制の役割分担で省庁間調整の難航も予想される。安全庁の出先機能として環境省が持つ地方組織を活用する方針だが、政府関係者は「自治体や事業者との間でうまく機能するかは不透明」と指摘する。…… 

■確かに「原子力安全庁(仮称)」の設立準備室は開設されて麗々しく真新しい看板が細野担当大臣の手で部屋の入り口に掛けられたのであります。しかし、原発事故発生後に訳の分からない「本部」を滅多矢鱈に濫立させた愚かしくも腹立たしい稚拙な手法を思い出させるばかりで、マニフェストの目玉だった「国家戦略室」の看板と同様に文字通りの看板倒れになりそうな気がしてなりません。主題の戦略室長は菅アルイミ前首相でしたからなあ。在任中に一度もで「省庁間調整」に成功しなかった菅アルイミ首相の置き土産なのですから、ますます経産省の圧力に負けて影が薄い形だけの組織になり果ててしまうのは時間の問題かも知れません。


長官には政治任用で民間人を起用する方針だが、「原発の専門家の人材は限られていて適任者を探すのは簡単ではない」(菅直人首相周辺)ともされる。政府は、組織改革の第1段階で安全庁を発足させ、第2段階として東京電力福島第1原発事故の検証結果や原子力政策の見直しを踏まえて平成24年末をめどに機能や組織体制などの強化案を決める。
2011年8月16日(火) 産経新聞 

■幼児が次々に新しい玩具を求めるように、次々に新しい思い付き政策を唐突に掲げては次々に放り出していた菅アルイミ政権らしく、まるで福島第一原発の事故が収束したかのように悪名高い保安院を延命させるだけの新組織を作っているようにしか見えません。「民間人の起用」などと意気込んで見せても、誰がこんな脆弱で信頼性のない政権が作った新しい組織に乗り込んで来るというのでしょう?どうせ原子力ムラの住人かお友達がどさくさに紛れて就任する公算が高いのではないでしょうかな?こんな中途半端な組織を押し付けられる野田ドジョウ新首相が可哀想であります。


原子力の安全規制を担う新組織「原子力安全庁(仮称)」の設立準備室が26日、内閣官房に設置された。原子力安全・保安院を経済産業省から分離して内閣府の原子力安全委員会と統合し、環境省の外局として来年4月の発足をめざす。準備室は経済産業省や警察庁など37人で構成。室長には環境省の森本英香審議官が就いた。細野豪志・原発担当相は26日、「安全規制や組織のあり方など検討課題は山積み。能力と経験をいかしてほしい」とあいさつした。
2011年8月26日 asahi.com 

■米国の原子力監視規制組織に比べてずっと小規模の組織を、今回の大事故を起こした既存の組織を形だけ組み替えて何やら大そうな改革でもしたように装うのは歴史的な政権交代から2年余りも素人・寄り合い似非政党の無能振りをゲップが出るほど見せられた国民にとっては、「嗚呼、又かいなあ、性懲りも無い」と溜息で応じるしかない悲しい出来事でしかありますまい。その歴史的政権交代に関しても「クーリングオフ」と呼ばれる諦めても諦めきれない有権者の中から「あの騙し取られた1票を返せ!」という切実な声がじわじわと増えているやに聞きますから、頼りない障子の骨に貼り付けた薄紙に尤もらしい名前を書いて、さも立派な政治をしているような中学生の学級会だの高校生の文化祭だのと陰口を叩かれるような、恥ずかしいだけの政治ごっこは止めて欲しいものでありますなあ。

■生兵法の「政治主導」で自縄自縛に陥り、情報を握っている官僚群から見棄てられ、昼間は官邸でうつろな目をしてパソコンのネット・サーフィンをして時間を潰し、日が暮れたら唯一の理解者?とされる奥様と食道楽に励んでいた由。よほど暇だったことが分かりますが、小泉プレスリー元総理を必死で真似て延命しようと頑張った菅アルイミ首相は、おそらく手当たり次第に大衆情報の上澄みを掬い取る孤軍奮闘を続けていたと考えられる証拠に、ネット上で大反響を呼んでテレビ各局が露骨に後追い報道に走った児玉龍彦教授と問題の8月15日に会っていたのであります。死に体以下の菅アルイミ首相に呼ばれてしまった児玉教授の心中を察するに、昼寝する馬鹿者もいる国会の某委員会より少しは政府の目を醒ます効果があるかも?と一縷の望みを懸けて渋々応じたのだろうと同情しつつ想像いたします。これは官邸に呼びつけた側より、無駄足になると覚悟の上で出掛けて行った側の圧倒的勝利でありましょうなあ。


菅直人首相は15日、東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の除染に関し意見を聞くため、東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授らと官邸で会った。児玉氏は「汚染の程度を全部明らかにし、住民中心で除染計画を考えないといけない」などと提言した。
福島県南相馬市で除染活動をしている児玉氏は、7月27日の衆院厚生労働委員会に参考人として出席し、「7万人が自宅を離れてさまよっている時に国会は一体何をやっているのか」と国の対応を批判し反響を呼んだ。首相は、政府の除染対応が縦割りになっているとの意識を持っており、児玉氏を呼んだのは首相の強い意向。会談は約2時間続き、細野豪志原発事故担当相や松下忠洋副経済産業相らが同席した。
2011年8月15日 毎日新聞 

■政党としての綱領を持たない民主党の最も恐ろしい所は、自分が属している政党の実在をまったく認めず中には感じてもいない議員がごっそり集まっていることでありましょう。各種ニュースショーからお呼びが掛かると、最も安上がりで効果的な選挙活動になると大きな勘違いをして登場する民主党議員達は、異口同音に「評論家」めいた発言しかしないのは政権与党になって2年以上も経っているのにまったく変わっていない異様さが目立ちます。野党気分で政権を担えると本気で考えているのか?と怒りと共に問おうと思っても、初代の鳩山サセテイタダク元首相の奇妙奇天烈な夢遊病者の如き言動を思い出せば、嗚呼、民主党という政党は……。と腹立たしい結論がすぐに見付かってしまいます。その初代総理が約束通りに政界を引退もせず、思考回路を点検するための入院もせず、永田町辺りに今でも生息して訳の見果てぬ悪夢と見続けているとか……。使い切れないほどの「子供手当て」があるのなら、北海道の室蘭にでも日本一に精神医療の拠点を建設して、自分自身が最初の入院患者になっては如何か?と毒づきたくもなりますが……。