……米首席代表を務めるヒル国務次官補は15日、同協議で採択された共同文書が、崩壊した94年の米朝枠組み合意と酷似しているとの批判について、「今回は多国間合意であり、中国が保証人の役割を果たしていることが大きな違いだ」と反論した。米CNNテレビのインタビューに答えた。次官補は、北朝鮮が第1段階として取る核施設の「活動停止・封印」への見返りとなる重油5万トン相当の支援は約1150万ドル、第2段階の「無能力化」に対する重油95万トン相当の支援は2億3000万ドルに相当するとした上で、いずれも「5か国間で負担する」と述べた。ただ、具体的な負担割合は明示せず、合意文書が「100万トンの重油に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援」とされていることから、「人道・経済支援(の形態)もあり得る」と述べた。
2月16日 読売新聞
■ブッシュ政権が何よりも怖れているのは、「クリントン政権と同じ」と言われる事ですから、違う!違う!と大統領本人も言い張っております。「多国間協議」だった点が違うのだそうですが、「今度は北朝鮮が約束を守るかも?」などと、非常に苦しい言い訳をしているようです。「悪の枢軸」で信用できない嫌な国だ!と言っていた同じ口で何を言っているのでしょう?イラク戦争にまだまだ軍資金を投入しなければならない米国政府が、北朝鮮向けの支援を喜んで負担するはずは無く、民主党政権に変わったとしても「カーター特使の悪夢」が蘇らないように、ブッシュ政権の前期のような強硬姿勢で臨む可能性も有りますなあ。でも合意そのものを破棄するわけには行きませんから、問題は「負担割合」になって行きそうです。
韓国の聯合ニュースによると、欧州歴訪中の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は15日、ローマ市内で開かれた韓国人記者団との懇談会で「(6カ国協議で北朝鮮が)欲しいだけあげて問題解決すべきだ。それでも成り立つ商売だ」と語った。北朝鮮核廃棄への初期段階措置の合意文書が13日に発表されるまでの心境を振り返りながら語ったもので、「言いたくて言えなかったが、心の中で思っていた」と打ち明けた。……「核問題解決で我々が相当な負担を負うことになってもやるべきだ」と強調。「(05年9月の)共同声明は無理に引き出した感じですっきりしなかったが、今回は本当に米朝とも問題を解決しようとしている」と合意文書の実現に期待感を示した。
2月17日 毎日新聞
■身内からも脱党者が群を成して逃げ出したのは、まるで脱北者を見るようなものでしたが、もう可哀想な裸の王様になってしまった盧武鉉大統領としては、意地になって「融和策による南北統一」を主張し続けねばなりません。韓国で同じ発言をしたらどうなるかは、欧州歴訪から帰ってからのお楽しみ?
ロシアのアレクサンドル・ロシュコフ外務次官は13日夜、北京で記者団に対し、同日採択された6か国協議の共同文書に盛り込まれた「重油5万トンの支援」に「ロシアは加わらない」と語った。……「旧ソ連時代に北朝鮮国内に建設した発電所の更新など、いくつか案がある」とし、別の形でエネルギー支援を行う用意があると表明。また、共同文書について、「朝鮮半島非核化の第一歩となる」としつつも、「完全解決までの道のりは長い」との見通しを明らかにした。……「北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の査察要員復帰を認めるなら、原子力を平和利用する権利がある」と述べた。
2月15日 読売新聞
■今回の協議で、一番上手に立ち回ったのはロシアだったかも知れません。最後の「原子力を平和利用する権利」というのはイランにも適応可能な主張なので、後に問題となるかも知れませんが、これからの作業部会を通じた交渉が、相当な難物で「道のりは長い」と冷静に観察しているのは大したものです。ロシアは、6箇国協議に同期するように旧ソ連時代からの債務を帳消しにするという伝家の宝刀を抜く構えも見せているので、米国がもたもたしている間に東アジアの支配力を外交的に確立してしまう可能性も見えて来ましたなあ。シベリアの天然ガスというエネルギー戦略の武器も持っていますし……。
……ロシア首席代表アレクサンドル・ロシュコフ外務次官は15日、協議中に行われた露朝2国間会合で日本人拉致問題を取り上げ、北朝鮮の金桂寛(キム・ケグァン)外務次官に対し、設置で合意した日朝国交正常化に関する作業部会で日本側と対話を継続し、問題解決を急ぐよう働きかけたことを明らかにした。これに対し、金次官は「本国にロシアの見解を伝達する」と返答したという。ロシュコフ次官がモスクワへの帰路、機中で読売新聞などに語った。同次官は、「協議で合意した共同文書を履行し、日本が経済支援に加わるためにも拉致問題解決の必要がある」と伝えたという。
2月16日 読売新聞
■讀賣新聞はハコ乗り取材をしていたのですなあ。「言うのはタダ」という事も有りますが、日本の好意を引き寄せるための芸の細かさを感じる話であります。米国が馬鹿な戦争に足を取られている間に、エネルギー・領土という懸案事項に加えて北朝鮮問題に関しても、ロシアとの連携が強く求められる展開になるかも知れません。ロシアと協力し、米韓関係をフォローし、対中貿易を拡大して行けば、新たな北朝鮮包囲網が作れるかも知れませんが、小泉政権時代に積みあがってしまった外交上の負の遺産を解消しなければならない安倍政権には、少々荷が重いかも知れませんなあ。(おしまい)
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