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将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾七

2007-02-17 13:18:00 | 外交・情勢(アジア)

……米首席代表を務めるヒル国務次官補は15日、同協議で採択された共同文書が、崩壊した94年の米朝枠組み合意と酷似しているとの批判について、「今回は多国間合意であり、中国が保証人の役割を果たしていることが大きな違いだ」と反論した。米CNNテレビのインタビューに答えた。次官補は、北朝鮮が第1段階として取る核施設の「活動停止・封印」への見返りとなる重油5万トン相当の支援は約1150万ドル、第2段階の「無能力化」に対する重油95万トン相当の支援は2億3000万ドルに相当するとした上で、いずれも「5か国間で負担する」と述べた。ただ、具体的な負担割合は明示せず、合意文書が「100万トンの重油に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援」とされていることから、「人道・経済支援(の形態)もあり得る」と述べた。
2月16日 読売新聞

■ブッシュ政権が何よりも怖れているのは、「クリントン政権と同じ」と言われる事ですから、違う!違う!と大統領本人も言い張っております。「多国間協議」だった点が違うのだそうですが、「今度は北朝鮮が約束を守るかも?」などと、非常に苦しい言い訳をしているようです。「悪の枢軸」で信用できない嫌な国だ!と言っていた同じ口で何を言っているのでしょう?イラク戦争にまだまだ軍資金を投入しなければならない米国政府が、北朝鮮向けの支援を喜んで負担するはずは無く、民主党政権に変わったとしても「カーター特使の悪夢」が蘇らないように、ブッシュ政権の前期のような強硬姿勢で臨む可能性も有りますなあ。でも合意そのものを破棄するわけには行きませんから、問題は「負担割合」になって行きそうです。


韓国の聯合ニュースによると、欧州歴訪中の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は15日、ローマ市内で開かれた韓国人記者団との懇談会で「(6カ国協議で北朝鮮が)欲しいだけあげて問題解決すべきだ。それでも成り立つ商売だ」と語った。北朝鮮核廃棄への初期段階措置の合意文書が13日に発表されるまでの心境を振り返りながら語ったもので、「言いたくて言えなかったが、心の中で思っていた」と打ち明けた。……「核問題解決で我々が相当な負担を負うことになってもやるべきだ」と強調。「(05年9月の)共同声明は無理に引き出した感じですっきりしなかったが、今回は本当に米朝とも問題を解決しようとしている」と合意文書の実現に期待感を示した。
2月17日 毎日新聞

■身内からも脱党者が群を成して逃げ出したのは、まるで脱北者を見るようなものでしたが、もう可哀想な裸の王様になってしまった盧武鉉大統領としては、意地になって「融和策による南北統一」を主張し続けねばなりません。韓国で同じ発言をしたらどうなるかは、欧州歴訪から帰ってからのお楽しみ?


ロシアのアレクサンドル・ロシュコフ外務次官は13日夜、北京で記者団に対し、同日採択された6か国協議の共同文書に盛り込まれた「重油5万トンの支援」に「ロシアは加わらない」と語った。……「旧ソ連時代に北朝鮮国内に建設した発電所の更新など、いくつか案がある」とし、別の形でエネルギー支援を行う用意があると表明。また、共同文書について、「朝鮮半島非核化の第一歩となる」としつつも、「完全解決までの道のりは長い」との見通しを明らかにした。……「北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の査察要員復帰を認めるなら、原子力を平和利用する権利がある」と述べた。
2月15日 読売新聞

■今回の協議で、一番上手に立ち回ったのはロシアだったかも知れません。最後の「原子力を平和利用する権利」というのはイランにも適応可能な主張なので、後に問題となるかも知れませんが、これからの作業部会を通じた交渉が、相当な難物で「道のりは長い」と冷静に観察しているのは大したものです。ロシアは、6箇国協議に同期するように旧ソ連時代からの債務を帳消しにするという伝家の宝刀を抜く構えも見せているので、米国がもたもたしている間に東アジアの支配力を外交的に確立してしまう可能性も見えて来ましたなあ。シベリアの天然ガスというエネルギー戦略の武器も持っていますし……。


……ロシア首席代表アレクサンドル・ロシュコフ外務次官は15日、協議中に行われた露朝2国間会合で日本人拉致問題を取り上げ、北朝鮮の金桂寛(キム・ケグァン)外務次官に対し、設置で合意した日朝国交正常化に関する作業部会で日本側と対話を継続し、問題解決を急ぐよう働きかけたことを明らかにした。これに対し、金次官は「本国にロシアの見解を伝達する」と返答したという。ロシュコフ次官がモスクワへの帰路、機中で読売新聞などに語った。同次官は、「協議で合意した共同文書を履行し、日本が経済支援に加わるためにも拉致問題解決の必要がある」と伝えたという。
2月16日 読売新聞

■讀賣新聞はハコ乗り取材をしていたのですなあ。「言うのはタダ」という事も有りますが、日本の好意を引き寄せるための芸の細かさを感じる話であります。米国が馬鹿な戦争に足を取られている間に、エネルギー・領土という懸案事項に加えて北朝鮮問題に関しても、ロシアとの連携が強く求められる展開になるかも知れません。ロシアと協力し、米韓関係をフォローし、対中貿易を拡大して行けば、新たな北朝鮮包囲網が作れるかも知れませんが、小泉政権時代に積みあがってしまった外交上の負の遺産を解消しなければならない安倍政権には、少々荷が重いかも知れませんなあ。(おしまい)

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将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾六

2007-02-17 13:17:35 | 外交・情勢(アジア)

……6か国協議で13日に採択された共同文書について、北朝鮮が同日、自らに都合のいい一方的な解釈を打ち出し、早くも履行に暗雲が差している。共同文書は、北朝鮮が核放棄に向けた措置を取らない限り、大量なエネルギー支援を得られない仕組みになっているが、北朝鮮は核施設を「臨時」に停止しただけで100万トン供与の合意を取り付けたと主張しているためだ。北朝鮮が支援規模に文句をつけ、合意を履行しないための布石でないかとの見方が出ている。共同文書は、北朝鮮が核放棄に向けて取るべき措置を2段階にわけ、①60日以内に核施設の活動停止・封印と、国際原子力機関(IAEA)による監視・検証を受け入れれば、他の国は重油5万トンを支援
②さらに核計画を完全に申告し全施設を使用不能にすれば、最大95万トンを支援する――としている。
2007年2月14日 読売新聞

■協議が終了したと同時に北朝鮮が勝手な事を言っている、という記事です。やはり「稼動不能」が「臨時停止」へと再解釈され、米国では「封印」だと言い張る。一体、どんな話し合いをしていたのでしょう?


①最終的な放棄を目標として、朝鮮は寧辺の核施設を再処理施設を含め停止ならびに封印すると共に、国際原子力機関(IAEA)と朝鮮が合意したすべての必要な監視および検証を実施するために、IAEA職員が復帰することを求める。

■『人民日報』電子版にはこのように掲載されていますから、「封印」を求めているわけです。しかし、「停止ならびに」が気になりますなあ。これを北朝鮮側が勝手に「2段階」と解釈したらどうなるでしょう?「停止」したのだから約束通りに石油をよこせ!と言い出すのではないでしょうか?「封印」は後で考える、と言うかも?


外交部の姜瑜報道官は15日の定例会見で、第5回6カ国協議・第3段階会議について質問を受け、次のように述べた。今回の協議は、6カ国協議プロセスが重要な一歩を踏み出し、朝鮮半島の非核化プロセスも実質的な段階に入ったことを意味している。関係各国が承諾事項を適切に履行し、初期段階措置の具体的な実現を図ることを希望する。中国は各国と共に、関係作業に早急に着手し、相応の義務を果たしていく考えだ。 初期段階措置の実施と共同声明の完全履行のため、各国は5つの作業部会の設置で合意した。……各国による協議の結果6者は30日以内にすべての作業部会を開始することで合意した。作業部会の具体的な運営方法、構成、開催地など詳細は、各国のさらなる協議を経て決定される。共同文書が言及する対朝エネルギー支援の具体的な実施方法については、「経済およびエネルギー協力」作業部会における適切な評価を経て決定される。
「人民網日本語版」2007年2月16日

■「関係各国が承諾事項を適切に履行し、初期段階措置の具体的な実現を図ることを希望する」。これが核心でしょう。議長国の中国は合意文書をまとめる仕事を終えたのだから、後は各国の責任だと言う事です。しかし、その「初期段階措置」の解釈と対応が協議終了の翌日から対立するようでは、議長国の責任を問う声が上がるのは時間の問題でしょうなあ。「30日以内」に始まる事になっている「作業部会」にしても、入れ物は立派なのですが、各部会の責任はそれぞれの議長国に丸投げされることになりそうですぞ。


中国が「朝鮮半島の非核化」、韓国が「経済およびエネルギー協力」、ロシアが「北東アジアの平和および安全保障体制」、朝鮮と米国が「朝米国交正常化」、朝鮮と日本が「朝日国交正常化」の、各作業部会の議長を務める。

■これは同じ記者会見からの抜粋です。「朝日国交正常化」の作業部会の議長?!ならば東京に朝鮮側代表を呼びつけて交渉が始まるのでしょうか?それとも平壌に議長が呼び付けられて駆け付けることになるのでしょうか?『日朝平壌宣言』の存在も気になります。この作業部会が開かれるなら、『宣言』に書かれている流れに沿って「国交正常化」交渉を進めねばならないわけですが、あの文書には「過去の拉致犯罪」についての言及は無いのですぞ!その代わりに「過去の謝罪と賠償」に関しては詳細な規定が有ったはずです。本当に作業部会を開くのなら、一体、どのタイミングで「拉致問題」を提示するのでしょう?

■「作業部会の具体的な運営方法、構成、開催地など詳細は、各国のさらなる協議を経て決定される」というのも気がかりです。日朝国交正常化交渉の運営方法・構成・開催地を、誰が決めるのでしょう?長期間に亘って日朝間の外交パイプは切られているのですから、誰かに仲介に入って貰わねばなりません。まさか、米朝国交正常化の交渉と併行開催などというトボケたことにならねば良いのですが……。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾伍

2007-02-17 13:17:09 | 外交・情勢(アジア)
 
インタファクス通信によると、6カ国協議に近い筋は13日、同通信に対し、北朝鮮代表団がエネルギー補償と引き換えに寧辺の核施設を「稼働不能の状態」にすることに同意したと語った。北朝鮮には見返りとして年間50万~60万トンの重油に匹敵するエネルギーが提供されるという。
2月13日 時事通信

■「稼動不能の状態」という具体的な表現がロシアから入るというのは意味深です。国内事情のすべてを知られているロシアに対しては、隠し立ても誤魔化しも通じないという自覚が北朝鮮には有るのでしょうなあ。日本がもう少しロシアから情報を引き出すパイプを持っていれば、と残念に思います。佐藤勝さんは元気でしょうか?「稼動不能の状態」は「解体」とはまったく違いますし、「封印」でもないでしょう。「閉鎖」とさ呼べないかも知れません。「休眠」と解釈した方が良さそうですなあ。


……13日午前、首席代表会合を約50分間にわたり開催、同日未明に議長国・中国が合意文書最終案として提示した第2次草案について各国が立場を表明し、事実上合意した。最終案は、北朝鮮が取るべき初期段階措置の範囲と、その見返りとなるエネルギー支援の規模などを明記。各国は同日午後4時半(日本時間同5時半)から全体会合を開き、共同声明を採択する見通しとなった。……最終案は、北朝鮮が寧辺の核関連施設を閉鎖し、国際原子力機関(IAEA)による査察を受け入れ、これらの措置を60日以内に履行するよう明記。同時行動の原則に基づき、他の5カ国はエネルギー支援などを行う。具体的な支援額も盛り込まれており、エネルギー支援は5カ国による「均等分担」原則で一致。韓国の聯合ニュースによると、閉鎖の見返りに重油50万トンを提供し、北朝鮮が追加措置を取れば、年間最大100万トンに支援規模が段階的に増えるという。
2月13日 時事通信
 
■「均等分担」原則!これは翌日に崩れ始め、将軍様の誕生日には跡形も無くぼろぼろになってしまったようです。さて、日本はどうするのでしょう?最初に「韓国がやるんだろう?俺は知らんぞ」とロシアが言い出し、米国も数日遅れて「支援は第2段階から」と言い出しました。


……6か国協議の共同文書に盛り込まれた対北朝鮮支援で、米政府がエネルギー支援には加わらず、食糧などの人道支援だけを実施する方針であることが15日、わかった。……北朝鮮が核放棄に向けた具体的な措置を取らないまま大量のエネルギー支援を得る事態を阻止すると共に、北朝鮮支援に対する米議会などの理解を得やすくする狙いがある。米政府は、北朝鮮が第1段階として取る核施設の「活動停止・封印」への見返りとなる重油5万トン相当の支援については、韓国が単独で実施すると解釈している。

■6箇国協議は、援助したいのに核実験に対する国際的な非難の声に遠慮していた韓国に、援助を再開しても良いという許可を与えるために開催されたようなものです。自国内にも拉致問題を抱えながら、まったく無視している韓国が影の主役だったのなら、拉致問題を連呼する日本代表が邪魔者扱いされたのも当然ですなあ。


第2段階の「無能力化」に対する重油95万トン相当の支援については、①重油95万トンの換算価格である約4億ドルを、日本、ロシアを除く米国、韓国、中国の3か国で約1億3300万ドルずつ均等負担する②中国はインフラ整備などの経済支援、韓国はエネルギー支援、米国は人道支援を、各負担分の限度内で実施する――との基本方針に基づき、関係国と交渉を進めるという。
2007年2月16日 読売新聞

■協議が終わって各国の代表が帰国した直後から、それぞれの立場がはっきりと分かる動きが起こっているようです。韓国は早々に「作業部会」の開催日程を決めましたし、米国は合意に対する不信感が続々と発表されているようです。中国とロシアは沈黙し、日本はもう忘れてしまったかのようです。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾四

2007-02-17 13:16:32 | 外交・情勢(アジア)
……北朝鮮が柔軟性を見せ始めた背景では、初期段階措置での合意により、▽念願の「米朝関係正常化」作業部会が設置される▽核交渉の進展と連動すると見られる金融制裁の解除への期待がある▽16日の金正日(キムジョンイル)総書記の65歳の誕生日までに「成果」を上げたい――などの思惑があると見られる。一方、ヒル代表はエネルギー支援の規模は「作業部会で話し合うべきだ」と問題の先送りを主張してきただけに、米国にとっても譲歩となった。ブッシュ政権が対北朝鮮で柔軟姿勢を見せているのは、同国の核開発問題をこれ以上悪化させたくないという現実路線に傾いた結果だ。

■既に「誕生日」になって、平壌は例年通りのお祭り騒ぎを熱心に繰り広げているようです。しかし、例年に無い現象も見受けられるそうで、特に、「先軍政治の大成功!」に拍手喝采、つまり、原爆を作った将軍様は偉大な勝利者だという文章が発表されているのは、予想された通りとは言え、これから莫大な資金援助を押し付けられる側としては、釈然としないものがあります。「贈り物」の中身を誕生日前には決めたくなかった米国も、結局は北朝鮮代表の熱意?に負けたという事なのでしょうなあ。


しかし、6カ国が初期段階措置で合意しても、北朝鮮が核を放棄するという保証はない。エネルギー支援を行う5カ国にとっては極めて大きなリスクを背負った合意になる。
2007年2月13日 毎日新聞


 
北朝鮮は16日に金正日(キム・ジョンイル)総書記の65歳の誕生日を迎え、金総書記に対するひたむきな忠誠と米国の圧力に対抗する体制の維持を呼びかけている。……労働党政治局の崔泰福(チェ・テボク)候補委員兼秘書は15日に開かれた慶祝中央報告大会で、「金正日同志はわが党と軍隊、人民のあらゆる勝利と光栄の象徴だ」と述べ……「首領決死擁衛精神」を持ち、革命の首脳部を政治思想的に命をかけて支えなければならないと主張した。……忠誠とともに強調されているのは、持続的な国防力強化を通じた体制の維持だ。崔秘書は、朝鮮半島では米国の対北朝鮮敵視政策で厳しい情勢が続いていると指摘し、誰であれ北朝鮮の自主権や尊厳を損ねる行為は、北朝鮮軍や人民が断じて許さないと述べた。核実験についても「先軍政治の誇らしい勝利であり、5000年の民族史に特記すべき歴史的な出来事だ」と評価した。4月15日には金日成(キム・イルソン)主席の95回目にあたる誕生日、4月25日に北朝鮮軍創建75周年記念行事……。
2月16日 YONHAP NEWS

■広島と長崎が原爆で焼き尽くされたのは、日本の2700年!の歴史上「特記」すべき出来事なのは間違い有りませんが、核実験が「5000年の民族史」に特記すべき慶事だ!と言い張る国が隣に有るという事を、しっかりと心に刻んでおかねばなりません。こうした勝った!勝った!の動員ヤラセ祝祭が平壌で盛り上がっている時に、米国内では大変な非難が政府に寄せられているようです。当然の事です。不思議に日本国内は静かなものですなあ。その件は後で取り上げましょう。


……佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は13日、中国が示した合意文書の最終案について「おおむね良いテキスト(文書)だ」と述べ、日本として受け入れる考えを明らかにした。北京市内で記者団に語った。安倍晋三首相も同日の衆院予算委員会で、6カ国協議について「一定の前進があった」と評価した。北朝鮮へのエネルギー支援については「拉致の問題があるので、そういう援助を行うことはできない」と強調。ただ「(核廃棄に向け)北朝鮮を各国が促すことについては協力していく」と指摘し、政府方針との齟齬(そご)が生じない形で協力する考えを明らかにした。これに関連し、麻生太郎外相は同日、ライス米国務長官と電話で協議し「日本は核以外に拉致の問題もあるので引き続き協力してほしい」と要請した。
2月13日 毎日新聞

■「一歩前進」「援助はしない」「協力していく」この3つの言葉を矛盾無くつなげるのは、普通の言語感覚では不可能です。「拉致問題の解決」が絶対の条件ならば、今回の合意文書は「良いテキスト」であるはずもなく、席を蹴って出て来れない日本はすっかり足元を見られているのです。本来なら、拉致問題は外務省と警察が担当し、核問題は防衛省の専権事項として総理大臣が大所高所から適切な指示を出して相乗効果を狙うべきなのですが……。外国籍の轢き逃げ犯人程度でも、相手国の良心に頼る「代理処罰」でしか追及できない日本ですから、外国の謀略組織にとってはお花畑みたいなものでしょうし、日本近海はミサイルの発射実験もやり放題の試射場同然なのでしょう。

■拉致問題と核・ミサイル問題とを一体化して解決する外交能力など、何処の国も持ってはいないと思われますが、その奇跡のような話を日本政府は自分の能力と実績を知らないのか、平気で主張し続けているのが不思議です。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾参

2007-02-16 20:31:28 | 外交・情勢(アジア)

米国を訪問しているハンナラ党の朴槿恵(パク・クネ)前代表は12日、マサチューセッツ州にあるハーバード大学ケネディ校で講演し、北朝鮮の核問題解決に向けた韓米同盟の重要性を強調した。……北朝鮮の核実験により朝鮮半島の安保は新たな局面に入ったと指摘し、1950年の朝鮮戦争が最初の危機だとすれば、現在は2番目の安保的危機だとの認識を示した。

■これは非常に分かり易い総括の仕方です。「50年の悲願」が適った北朝鮮は、やっと朝鮮戦争の敗北を克服したと確信しているはずです。米国は、第二次朝鮮戦争の勃発を心底怖れています。誰もそんなものを期待してはいないのですが、やる気になっている乱暴者を制御するには、この種の弱気は非常に危険なのです。


核問題解決に向けては、6カ国協議、国連安全保障理事会の制裁決議と拡散安全保障イニシアチブ(PSI)、米朝会談、南北会談の4つのカギがあるとし、北朝鮮という閉じられたドアを開こうとするならばこれらのカギをすべて動員し、実質的な進展を得られるようアプローチすべきだと提案した。その上で、どのような場合であれ、北朝鮮の核保有は認めないという国際社会の強い意志が維持されなければならず、韓国政府も安保理決議とPSIに積極的に賛同すべきだと述べた。

■これらの「4つの鍵」は重要ですなあ。しかし、現政権が「南北会談」を開くのは好ましくないと思われますし、「PSI」を実施しようにも頼みの米軍が北朝鮮とは事を構えたくないというシグナルを送っています。そして北朝鮮は一度も国連の言うことなど聞いた事は有りません。結局は「米朝会談」だけが有効な「鍵」として残るというわけですが、ブッシュ大統領の任期切れ前に開かれたらエライことになりそうですなあ。


朴前代表はまた、4つのカギのほかに核問題解決の決定的重要性を持つもうひとつのカギが韓米同盟だと述べた。韓米関係は離婚直前の夫婦関係との例えまで出ているが、今後の韓米同盟を決して悲観しておらず、両国の国民もこれ以上同盟を破壊するような行為は認めないだろうと強調した。 ……
2007年2月13日 YONHAP NEWS

■反日・嫌米で熱狂した韓国も、地下核実験で正気に戻ったとも言われていますが、実質的に真っ二つに割れてしまった傷跡は、そんなに簡単に治らないのではなかろうか?と隣人として心配しております。


……6日目に入った13日未明、最大の障害だったエネルギー支援問題で急転直下の進展が図られ、核放棄を目指す「共同声明」(05年9月採択)の履行で第一歩を踏み出す合意が成立する可能性が高まった。エネルギー支援で過大な要求に固執する北朝鮮に対し、米国が「これ以上の交渉は必要ない」(ヒル国務次官補)と最後通告を突きつけた結果、北朝鮮が土壇場で柔軟性を示した結果だ。

■この段階で、やっとヒルさんが「必要ない」と強く出られたのは、本国からの指示に従っての事でしょうから、その間、ブッシュ大統領の周辺では硬軟相対立した意見がぶつかって居たと推測されます。でも、結局は「値段交渉」を少しばかり短くしただけの話で、基本的な枠組みは、すべて北朝鮮の注文通りなのですから、ブッシュ外交の敗北です。


ヒル国務次官補は11日夕の金桂冠(キムゲグァン)外務次官との米朝会談で、5カ国が北朝鮮に行うエネルギー支援で「可能なことと不可能なこと」を明確に伝え、平壌と相談して回答するよう求めた。ヒル代表は12日朝、「最終日」と位置づけたこの日の協議を前に「北朝鮮が決断を下すときだ」と述べ、交渉決裂もいとわない強い姿勢を見せた。

■この時だけは、きっとヒルさんも気持ちが良かった事でしょう。でも、大勢に影響は有りませんでした。


北朝鮮は、核施設5カ所の稼働停止など核放棄に向けた「初期段階措置」の見返りに、200万キロワット相当の電力供給など大規模なエネルギー支援を求め、「過大な要求」と受け止める他の5カ国と鋭く対立した。こう着した交渉は、12日朝から13日未明にかけた断続的なマラソン交渉の結果、代表団レベルで事態打開が図られた。……北朝鮮に対し
①核施設を閉鎖すれば参加国は重油50万トン相当のエネルギーを提供
②核施設の「不能化」措置を受け入れれば重油100万トン相当のエネルギーや人道支援を提供する――の2段階で見返り支援を与えることで合意したという。

■面倒な交渉は「部会」に先送りし、本交渉は「2段構え」の結論にして最悪のペテンに引っ掛からない保険にしたのでしょうが、次の「6箇国協議」での無理難題が予告されているようなものです。どうせ、「我々は約束を守ろうとしたのに、○○国が邪魔をしたから……」と言い出して、「約束通りの支援」を要求することでしょう。その時には、きっと「2回目」の実験準備が整っていることでしょうなあ。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾弐

2007-02-16 20:16:30 | 外交・情勢(アジア)

……議長を務める武大偉中国外務次官は12日午後、北京の釣魚台迎賓館で額賀福志郎前防衛庁長官と会談、北朝鮮はエネルギー支援など見返り措置が実行されることを前提に、同国が取るべき初期段階措置として寧辺の核施設閉鎖と、ほかの核施設のリスト提供に同意していると述べた。同協議で5つの作業部会設置で合意していることも明らかにした。武次官は最終局面を迎えた6カ国協議に関し、「今がヤマ場だ」と指摘。「北朝鮮への支援規模や、ほかの5カ国で支援をどう調達するかが焦点だ」と明かしつつ、エネルギー支援の数字は「流動的だ」と述べた。支援規模に関しては「科学的根拠を集めて算定しなければならない」と述べた。
2007年2月12日 時事通信

■「科学的根拠」とは大層な表現です。何処かの貧困にあえぐ破綻国家に対する「救援策」なら、国民が必要とする食糧や生活基盤を「実地調査」に基づいて算定して話し合いの材料にするのですが、原爆という物騒な品物を競り落とす相談ですから、それがどれ程の価値(危険性)を持っているのかに関して参加国が別々の計算をしていれば、こんな協議がまとまる筈は最初から有りません。米国が本気で心配している「核の拡散」という大問題に直結する焦眉の外交課題なのですが、北朝鮮の核保有を認める以上は、それなりの覚悟が必要です。最初から、この問題を真剣に考えていたのは「世界の警察官」を自認する米国だけだったようなもので、それがとうとうアフガニスタンとイラクで息切れしてしまったからには、誰も本気で心配しなくなるという事になりそうです。


……議長を務める武大偉中国外務次官は12日、自民党の額賀福志郎・前防衛長官と会談し、6か国協議で北朝鮮が核放棄に向けた初期段階の措置として、
①寧辺の核施設の停止(シャット・ダウン)
②他の核施設のリスト提出――に合意していることを明らかにした。
……北朝鮮がその見返りとしてエネルギー支援を要求し、その規模や支援を残りの5か国がどう手当てするかが協議の焦点になっていると説明した。 また、武次官は、北朝鮮とほかの5か国が
①非核化 ②エネルギー・経済支援 ③北東アジアの安保協力
④米朝関係 ⑤日朝関係――の5つの作業部会を設置することですでに合意していることを明らかにした。
2007年2月13日 読売新聞

■「シャット・ダウン」が閉鎖なのか、封鎖なのか、はたまた封印なのかは微妙なところでしょうが、少なくとも「解体」と訳すのは無理でしょう。この段階で、初めて「作業部会」の内容が明らかになっています。①は米国、②は韓国、③は中国とロシア、という担当配分でしょうか?「日朝関係」が寂しく目立つように思えるのは気のせいでしょうか?下手をすると他の部会が行き詰った時に、全部⑤の部会が不調だからだ!と言われそうですなあ。その時に米国はフォローする余裕が有れば良いのですが……。


アーミテージ前米国務副長官は12日、毎日新聞のインタビューに応じ、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議が合意に達しても、北朝鮮の核兵器やウラン濃縮施設の脅威は依然残ると指摘し、交渉に時間がかかり過ぎたとの認識を示した。また、拉致問題にも言及し、解決に向け今後も米政府は日本政府を支援すべきだと強調した。……エネルギー支援の見返りに北朝鮮が核放棄の「初期段階措置」を取るとの内容で決着するのなら、北朝鮮核問題は「(ブッシュ米政権が発足した)01年1月20日の状況に戻るだけだ」と発言。昨年10月に地下核実験を実施したうえ、核兵器生産に使用可能なウラン濃縮施設の状況も不明なままであるなど北朝鮮の脅威は着実に増大していると指摘、「我々は6年間を無駄にしたことになる」と述べた。

■「我々は6年間を無駄にした」のは、そっくり裏返せば、北朝鮮は見事にやり遂げた!という事でしょう。アーミテージさんは日本向けのメッセージが上手ですから、拉致問題にも言及するサービスを忘れませんが、「支援すべきだ」というのは、何とも心許無いご支援でありますなあ。


一方で、「合意はないよりはいい」とも語り、6カ国協議を通じた北朝鮮への関与政策そのものは誤りではないとの認識を示した。……
2月13日 毎日新聞

■そうでしょうか?「94年のジュネーブ合意」も無いよりは良かったのでしょうか?そもそも、6箇国協議自体、本当に設置して良かった会議なのかどうか、これだけ北朝鮮の好き放題に振り回され、最終的には核保有を公認した上で、注文通りに理屈に合わない「支援」を約束させられるのは、本当に良い事だったのでしょうか?


ボルトン前米国連大使は12日、CNNテレビに出演し……「悪い妥協だ。核を拡散する国に対して誤ったシグナルになる」と強く批判、ブッシュ大統領に再考を求めた。ボルトン氏は、6カ国協議が最終調整している合意内容に関して、
(1)従来のブッシュ政権の基本的立場と相いれない
(2)イランの核問題に対処する上で米政府の力を弱める
(3)ウラン型核開発を阻止する措置が考慮されていない-と指摘。形骸(けいがい)化された1994年の米朝枠組み合意の二の舞いになりかねないと警告した。
2007年2月13日 時事通信

■「ブッシュ政権の基本的立場」などと言うものが、それほど確固としたものではなかった事が問題で、ボルトンさん自身もイラク戦争前に議会の承認を取り付けるのに一騒動有って、それを無視する形でブッシュ大統領の鶴の一声で就任が決まったようなものでしたなあ。それが、ラムズフェルドさんと一緒に職を追われたのですら、「基本的立場」などは無くなっているのでしょう。地獄の釜の蓋が開かなければ良いのですが……。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾壱

2007-02-16 20:15:56 | 外交・情勢(アジア)

……ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は10日深夜、記者団に対し、合意文書について「妥結を妨げている問題が一つあり、あと1、2日間必要かもしれない」との認識を示した。中国外務省の秦剛副報道局長は同日夜の記者会見で「焦点は北朝鮮への経済・エネルギー支援だが、立場の相違が比較的大きい」と指摘。佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長も同夜、記者団に「解決方法が見いだせず、厳しい状況が続いている」と述べた。タス通信によると、ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は同日、最も困難な点は「(北朝鮮への)経済支援の規模とその時期・期間だ」と述べた。……
2007年2月11日 時事通信

■この段階になって、交渉が難航している理由がはっきりして来ます。200万トンから5万トンまで、一気に値切ったものの、その後をどうするか?それだけの話です。米国は寧辺の実験炉を「解体しろ!」と要求するのを北朝鮮は必死で回避しようとしているのでしょう。さて、この時に至っても日本は「拉致を忘れるな!」と言い続けていたのかどうか、怪しくなっておりますなあ。佐々江さん自身が言っている「解決方法」の中には拉致問題は含まれていなかったのではないでしょうか?


……ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は11日、合意文書案をめぐる協議を「まとめるべき時だ」と強調した。また、「1つの問題」が残っているとした上で、「作業部会で扱うのがより適切だ」と述べた。4日目の協議を前に滞在先のホテルで記者団に語った。北朝鮮へのエネルギー支援の規模や時期などをめぐって協議が難航する中、具体的討議を作業部会に先送りすべきだとの考えを示したものだ。
2007年2月11日 時事通信

■本交渉の場所では解決しないから、「作業部会」に丸投げしてしまう、これは何度も繰り返された時間の無駄と分かっている方法です。議長国の中国と最も不熱心なロシアは、責任を米国に押し付けられますし、何より「援助したい!」と熱望している韓国が居るのですから、会議を決裂させずに玉虫色の合意文書を作り上げれば、大騒ぎした会議の格好は付くというわけです。こうして、日本の要望が一切言及されない文書がまとまって行くのでした。


6カ国協議のロシア首席代表、ロシュコフ外務次官は11日午後、北朝鮮へのエネルギー支援について「異なる具体的数字が議論されたが、結論は出ていない」と明らかにした。その上で「代表団のレベルでは解決できず、本国政府に報告して検討してもらわねばならない」とし、政治判断が必要との認識を示した。韓国首席代表の千英宇外交通商省朝鮮半島平和交渉本部長と北京市内で会談した後、記者団に語った。……
2007年2月11日 時事通信

■「具体的数字」というのは、金額のことでしょう。ポンコツ実験炉を馬鹿高い金額で他国に売り付ける交渉だった事は明らかです。それを買いたくて仕方が無い韓国を、日本などにはとても押さえ切れませんし、米国としても韓国に任せてしまいたい誘惑は強かったはずです。要は米国が一方的に負けて騙された形にしないだけの、北朝鮮側にとって厳しい条件が盛り込めるかどうか、それだけが問題だったのでしょうなあ。


在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙、朝鮮新報(電子版)は11日、6カ国協議の米朝首席代表による1月のベルリン会談で「米側が30日以内に金融制裁を解除すると保証していた」と報じるとともに、米国の「裏切り行為」が北京で開催中の同協議に難関をつくり出していると指摘した。北朝鮮代表団は米韓軍事演習などを問題とし、対米不信感を表明しているという。
2007年2月11日 時事通信

■側面からの援護射撃が巧みですなあ。惚れ惚れしてしまいます。拉致問題に関しても「日本政府が裏切った!」と言い立てるのとまったく同じ作戦です。自分は断固として被害者で、常に騙され利用され苦しんでいる、この論法は変わらないのでしょうなあ。でも、この悪い癖を直さないと大変なことになるぞ、と警鐘を鳴らす韓国人も居るのですが……。注意すべきは、後でこの論法の材料になるような生返事だけはしない事でしょう。通常の10倍くらいの強さで否定と拒否をしておかないと、後で何を言われるか分かったものではありません。ご近所とは言っても、付き合い方が難しい方々なのです。


韓国の通信社・聯合ニュースは12日、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で議論されている核放棄への「初期段階措置」の見返りと関連し、北朝鮮が当初、電力225万5000キロワットに相当するエネルギー支援を要求したが、交渉過程で要求水準を下げることに事実上同意したと報じた。その結果、北朝鮮は重油換算で約100万トンを要求。一方、ほかの国は核施設の「閉鎖」レベルの見返りとして50万トンを主張しているという。……米韓などは北朝鮮が核施設の「閉鎖、封印」よりも高い水準の「核施設不能化」の措置まで取る場合には、提供するエネルギーを相当量増加することができるとの意思を伝え、北朝鮮の決断を促したという。
2007年2月12日 時事通信

■米国側はすっかり受け身に回っているのが分かります。ライス長官が発表した2008年度の計画から『戻すことができず、検証可能に(CVID)』廃棄という文言を削ったのは、交渉がこのように進むことを見越していたいからなのか、或いは北朝鮮側が米国の譲歩を見抜いて協議に参加したのか、まあ、阿吽の呼吸なのでしょうが……。それにしても「225万キロワット」という小刻みな数値には驚かされます。少しでも大きな数値を出しておけば、値切られた時に多大な妥協を強いられたと言い張れますからなあ。

将軍様に誕生日プレゼント 其の壱拾

2007-02-16 20:15:30 | 外交・情勢(アジア)

北朝鮮側の回答は不明だが、協議筋は「武器輸出は北朝鮮にとって貴重な外貨獲得源の一つ。簡単に中止することはないのではないか」と述べ、具体的な進展はなかったとみている。ファロン中央軍司令官は1月30日の上院軍事委員会公聴会で、北朝鮮とイランの長距離弾道ミサイルでの協力の可能性について、「(両国が)技術交流をしていることは疑いの余地がない」と断言した。メープルズ国防情報局(DIA)局長も上院情報委員会に提出した書面で、「北朝鮮はミサイルや関連技術を売却しつづけている。国際的孤立で顧客は減ったものの、イランとシリアとの関係は強く、主な懸念事項だ」と指摘した。
2007年2月10日 産経新聞

■北朝鮮を締め上げたら、苦し紛れに中東諸国に物騒な物を「薄利多売」されたら大変だあ!と米国政府は心配なのでしょうなあ。


韓国の通信社・聯合ニュースは10日、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議で北朝鮮が寧辺の核関連施設の閉鎖など「初期段階措置」の見返りとして、200万キロワット相当のエネルギー支援を要求し、同措置の期限である60日内に使用できるよう求めていると報じた。複数の協議筋によると、3日目に入った6カ国協議では、北朝鮮が同措置を取った場合、ほかの5カ国がエネルギー支援などでどのような見返り措置を講じるかについて調整が難航している。
2007年2月10日 時事通信

■「60日以内に200万キロワット」その前提は意味不明の「閉鎖」です。こんな勝手な数値に真面目な対応している参加国もどうかしていますが、一種のショック効果で、誰も本気で自腹を切って支援しようとは考えていないという本音が透けて見えますなあ。


……北朝鮮が核関連施設の稼働停止など「初期段階措置」を受け入れる見返りの支援として、議長国の中国が日米中韓露5カ国が重油5万トン程度を北朝鮮に提供する案を各国に打診していることが10日、明らかになった。ただ、日米露は負担に消極的で、合意文書には負担を義務づける表現は削除され、各国の判断に委ねられる見通しだ。北朝鮮は50万トン以上の重油提供を求めており、反発は必至だ。

■1日で200万トンが50万トンに値切られて、御丁寧に「手付け」の5万トンまで提案されています。急いでいるのは明らかに北朝鮮なのですが、不熱心な参加国と面子だけが問題の議長国、そして地球規模で窮地に追い込まれている米国、居るか居ないか分からない日本……。ひとり北朝鮮だけが元気です。実に奇妙な会議ですなあ。


参加各国は10日午前から北京市内の釣魚台迎賓館で、北朝鮮の非核化に向けた合意形成づくりの協議を継続。議長国の中国は同日、参加国間の前日までの協議を踏まえ、合意文書草案の修正案を示す見通し。修正案には義務化しない5万トン程度の負担も盛り込まれているもようだ。……日本側が「拉致問題を含む日朝関係の進展がない段階では、できることに限界がある」との方針に基づき重油提供の負担に難色を示しているほか、米国やロシアも消極的だった。

■賛成するのは韓国だけでしょうが、それを利用して議長国が雰囲気を盛り上げ、ロシアに気の無い返事をさせたら米国が動きます。日本の立場を勘案してくれる国など有りません。


……ヒル国務次官補は10日午前、北京市内のホテルで記者団に「問題点はいろいろあるが、北朝鮮が何が重要と考えているのか分からない」とした上で、「今日はさまざまな2国間協議がある」と述べ、北朝鮮首席代表の金桂寛外務次官との再会談の可能性を示唆した。日本首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は同日午前、記者団に「産みの苦しみの時期に入った。合意達成に至るまでに相当の努力を要する」と述べた。……
2007年2月10日 産経新聞

■無内容な事しか言わないヒルさんしか、記事のネタにする発言が得られないのは困りますなあ。この段階で「分からない」などとトボケたことを言っているのですから、取材元としては最低です。


米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の合意文書案について、北朝鮮が2カ月以内に主要な核施設を閉鎖・封印する見返りに韓国が重油を提供し、さらに米国との関係正常化交渉を開始する行程表を盛り込む案で、米朝両国が合意に近づきつつあるようだと報じた。米政府高官は同紙に対し、同案の内容について、核兵器開発を断念して関連資材の引き渡しを決定した「リビア型」と説明。北朝鮮核施設の「凍結」にとどまった1994年の米朝枠組み合意とは、大きく異なると指摘した。
2007年2月10日 時事通信

■北朝鮮がリビアと同じ動きをすると思っているところが、何ともアメリカ風です。この報道では財布を痛めるのは韓国だけ、米国は国交正常化の交渉を始めるという「行程表」が出て来ますが、中東で似たようなプランがどうなったか、米国の新聞は健忘症のようですなあ。

将軍様に誕生日プレゼント 其の九

2007-02-16 17:31:26 | 外交・情勢(アジア)

北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、6カ国協議についての論評で、日本が同協議で拉致問題解決を主張していることに対し「朝鮮半島の核問題解決に関心がない」などと批判した。論評は「多くの国々が朝米間の核問題を解決しようとする我々の立場に共感を示している」と評価する一方、「日本は流れに逆行している」と批判した。
2007年2月9日 毎日新聞
 
■仰るとおり、と言うしか有りませんなあ。時々、外国から拉致事件意関する反響が届きますが、それが政治家からであろうと、学者から、或いは一般市民からであろうと、すべては「同情」の言葉だけです。昨年公開されたドキュメンタリー映画にしても、「初めて知った」などという愕然とする感想が届きました。日本政府は、「国際世論に訴えている」と悲しい自画自賛を述べることも有りますが、それはウソです。誰も知らないのなら、訴えたことにはなりません。事実として、6箇国協議の会場で拉致を積極的に取り上げる声など一度も出たことはありません。北朝鮮側から「邪魔者扱い」されても、参加各国からは何の反応も有りません。日本代表は、黙って米国の隣に座っていれば良いのでしょうし、会議が終わったら「請求書」を押し頂いてすごすごと帰れば良い、そう思われているのでしょうなあ。

 
来日中のペリー元米国防長官は9日、都内で開催された北朝鮮核問題に関するシンポジウムに出席し、現在継続中の6カ国協議の進展に期待感を示しつつ、北朝鮮に対しては経済支援などと同時に「威圧的外交」が必要だと訴えた。ペリー氏はこの中で、1994年の米朝枠組み合意当時、北朝鮮・寧辺にある核施設の凍結は「交渉開始の条件にすぎなかった」と指摘。「6カ国協議の成功とは核計画を中止させることで、その意味では何の成果も出ていない」と楽観論を戒めた。その上で、核開発を放棄させる「威圧的外交」と、凍結を継続させる「見返り」の必要性を強調。効果的・現実的な強制措置の具体例として、中韓両国による燃料・食糧支援停止を挙げた。
2007年2月9日 時事通信

■これこそ、真っ当な意見と言うものです。米国政府内にも多様な意見が有ることを、もっと日本政府は強調すべきでしょうし、どんどん利用するべきでしょうなあ。

 
……2日目の9日、午前の首席代表会合終了後、ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)と北朝鮮の金桂冠外務次官が北京市内のホテルで昼食を取りながら会談した。金次官は会談後、議長国・中国が提示した合意文書案に関して「(米側との間で)意見が一致した部分も対立点もあるので努力して打開したい」と述べた。協議筋によると、文書案に明記された北朝鮮が核放棄に向けて取るべき初期段階措置などに関する各論で交渉が難航している。

■「2日目」から、北朝鮮はゴネ始めます。米国側も予想はしていたのでしょうが、ベルリンで根回しは終わっているので、ヒルさんが困ったような顔をして見せるのも、単なる演技だったのでしょうか?まあ、あっさりと草案がまとまってしまったら、北朝鮮の金次官も自分の苦労と業績を将軍様に見せられないでしょうなあ。


インタファクス通信によれば、同措置として挙げられた寧辺の実験用黒鉛減速炉の「稼働停止」の文言について、米国が「解体」に変更するよう要求したが、北朝鮮は応じていない。ヒル次官補も金次官との会談後、記者団に「合意文書案をめぐり、異なる意見が表明された」と語り、対立点が依然残っているとの認識を示した。韓国代表団筋は9日夜、「立場や利害関係の差があり、合意は簡単ではない状況だ」と述べた。
2007年2月9日 時事通信

■協議の「紛糾」は、出来レースだったとしたら、付き合わされた日本やロシアは馬鹿馬鹿しい暇潰しに付き合わされたことになります。放って置けば「解体」どころか、その費用も無いので「放棄」するしかない施設の扱いで、米国が熱心に交渉しているというのは、演技にしても間が抜けています。


タス通信によると、中国外交筋は9日、6カ国協議の合意文書案に北朝鮮への軽水炉支援は盛り込まれていないことを明らかにした。同筋によれば、合意文書案は北朝鮮に核施設凍結を義務付け、凍結後に石油による見返りを提供する内容。石油の量については協議中で、数字が頻繁に修正されているという。……
2007年2月10日 時事通信

■KEDOの「落とし前」も着いていないのですから、新たな軽水炉など言語道断です。要求されている石油にしても、北朝鮮の発電所は水力と石炭が中心で、重油を燃料にする施設は少ないという話も有りますから、一体、何に使うつもりなのでしょう?軍隊の燃料が不足しているという話は何度も聞きますなあ。


……1月にベルリンで行われた米朝協議で、米国が北朝鮮に対しイランと弾道ミサイルなどでの協力を中止するよう求めていたことが9日、分かった。複数の6カ国協議筋が明らかにした。米政府内では北朝鮮がイランとの間で、中距離弾道ミサイルだけでなく、米本土まで到達可能な長距離弾道ミサイルの開発でも協力を進めているとの懸念が高まっており、北朝鮮に直接米政府の考えを伝えたものとみられる。

■ここには、明らかに中東の影が射しています。北朝鮮側が、イランとの関係を案じさせるような言い回しをしているのかどうかは分かりませんが、米国側にはそれなりの情報が集まっているのではないでしょうか?現在のところ、ミサイル技術に関してはイランよりも一日の長が有る北朝鮮ですから、米国は本気でイランに協力し内容に哀願したのかも知れませんぞ。イラクが片付いたらすぐにでも平壌を標的にしそうな勢いだったブッシュ大統領の姿が懐かしい!

将軍様に誕生日プレゼント 其の八

2007-02-16 16:52:47 | 外交・情勢(アジア)

……先月中旬、ベルリンで米国との間で行った事前協議以降、韓国に対する関係改善の呼びかけを強めている。米国との事前協議での手応えに加え、対北援助に前向きな韓国・盧武鉉政権の足元を見ているかのようだ。北朝鮮の金己男・朝鮮労働党書記は先月17日、韓国政府に向け「政党・政府・団体連合声明」を発表、「現在の南北関係を一日も早く回復し和解と協力、統一の道に進むための相応の措置を取るべきだ」などと強調。南北間の開城工業団地、金剛山観光の活性化も主張した。南北間では、昨年7月のミサイル発射で韓国がコメ、肥料支援を中断、10月の核実験後には国連の対北朝鮮制裁も加わり関係は冷却化していた。

■ベルリンでの事前協議とほぼ同時に、このような性急な提案が出ているということからも、米国側の軟化は明らかです。韓国は国際的な圧力によって北朝鮮への援助を中断せざるを得なかったのですが、今の盧武鉉政権は支持率が最低レベルに落ち込んでも、絶対に「太陽政策」を止めませんから、すべての計算している北朝鮮は現政権が存続している間に、欲しいものは全部取ってしまい、万一、次期政権が政策転換をしても後戻り出来ない実績を作ってしまおうとしています。


……先月末には、「南北首脳会談7周年」にあたる今年6月15日に民族共同行事の平壌開催などを提案し、韓国に対する働きかけを加速した。盧武鉉政権は、核問題で日米に協調する一方で盧政権の「成果」と位置づけている南北対話をさらに推進したい意向で、先月の盧大統領の年頭記者会見でも核実験の批判など、北を刺激する発言は避け、対北支援についても、かなり前向きだ。

■日本では金大中さんの人気が異様に高かった時期が有りましたし、ノーベル平和賞の受賞も重なったので、偉人のような印象を持っている人も多いようです。しかし、韓国のジャーナリズムの中には、金大中さんが政治家になる直前から、故金日成から物心両面で支援を受けていたと指摘する声も有ります。韓国の政治状況は、ちょっと他国の理解を超えた闇と激情が渦巻いているようなところが有りますから、とても現政権の代表と手を組んで6箇国協議を進めるようなわけには行きませんなあ。北朝鮮が急いでいるのは、マカオの銀行に隠した後ろ暗い金ではなく、韓国で起こりつつある政変の方なのかも知れませんぞ。


青瓦台(大統領府)は6日、国家安全保障会議(NSC)で「6カ国協議が進展、成果があれば適当な時期に人道的次元からコメ、肥料支援を検討する」(大統領府・安全保障室長)との方針を打ち出している。北朝鮮では前年の食糧を食べ尽くす春窮期(3~6月)が目前で、肥料も4月に与えるのが適しているとされている。
2007年2月9日 産経新聞

■日本国内にも、人道支援は拉致や核とは別扱いで実施すべきだ、と自分の博愛精神に陶酔しているような人も居るようですが、それらを別々に処理しようとしたら、食糧とエネルギーを贈った返礼にミサイルが飛び、拉致犯罪を揉み消す相談の招待状が届きますぞ!南北統一という朝鮮半島の課題は、果たして東アジア全域で応援しなければならないものなのか?韓国の人々は本当に統一を望んでいるのか?よくよく考えないと貧乏籤ばかりが日本に回って来てしまいます。韓国の現政権が北朝鮮を援助したいのは、彼らの趣味と特殊な事情が有ってのことですから、日本も同調して援助に加わる必要は無いでしょう。少なくとも大甘の『日朝平壌宣言』でさえも、解決すべき課題が前に置かれ、その解決の後に援助をするという内容になっているのですから、責任は全部北朝鮮側に有ります。その時期を黙って待っていれば良さそうなものなのですが……。


外交通商部の宋旻淳(ソン・ミンスン)長官とライス米国務長官は8日、電話会談を通じ、同日に北京で再開された北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議について、具体的な合意に達するよう動向を注視し、緊密な協力を続けていくことを確認した。外交通商部によると両長官は、韓米間の戦略的共助が今回の協議再開の基礎になったと評価し、これまでに行われた関連国間の協議により、初期段階の措置履行計画に対する具体的な合意に至るよう協力していくことで一致した。初期段階の措置については、朝鮮半島の完全な非核化を早期に達成するために必要な実質的な行動に着手することであるとし、今回の協議が共同声明の全面的な履行につながるよう緊密な協力を続けていくことにした。
2007年2月9日 YONHAP NEWS

■ライス長官は、このところ学者の面がどんどん強く出ているような印象が有ります。理路整然と理想論を語ってしまうのは、国務長官としては非常に危険です。

将軍様に誕生日プレゼント 其の七

2007-02-16 16:52:17 | 外交・情勢(アジア)

国際危機グループ(ICG)のベック北東アジア事務所長は、交渉に参加した国の間に容易に乗り越えられない認識の差が存在するとしながらも、核放棄の見返りとして軽水炉の提供を要求するといった北朝鮮のアプローチ方法は依然として進展を引き出せるとの見解を明らかにした。

■「核放棄」を気安く使うような自称専門家に意見を聞いては行けませんなあ。北朝鮮は一度もこの言葉を使ったことがないのですから、こちらの思惑と希望を投影して相手の真意を見誤るのは愚かなことでしょう。


……CSIS太平洋フォーラムのコッサ所長はロイター通信との会見で、「今回の会談で一般的なレベルでの目標は再確認できるだろうが、実質的な進展まではまだまだ道のりは遠い」と述べた。中国軍縮協会研究部の騰建群主任はDPA通信を通じ、先月の米朝金融会合は6カ国協議に向けた「すばらしい準備」になったと評価し、米国が本当に解決を求めるなら今回の協議後に金融制裁を解除するべきだと主張した。米朝間の不信を最大の問題として指摘し、米側に信頼構築に向け乗り出すことを求めた。
2007年2月8日 YONHAP NEWS

■確かに、マカオの銀行口座を凍結する前、北朝鮮の態度は今より一見、柔軟だったような印象が有ります。しかし、あれは核実験を実施するまでの時間稼ぎだったことは明らかです。予想外に効果が有った口座凍結を問題とするのは、裏では相当の恫喝外交が続いている証拠のような気がしますなあ。「2日目の実験やるぞ!」「核弾頭の存在を発表するぞ!」などは、ブッシュ政権の誰もが聞きたくも無い話ですからなあ。

 
6カ国協議で日本首席代表を務める外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は8日、協議の冒頭演説で「拉致問題を含む日朝間の諸懸案を解決し、国交正常化を実現することは北朝鮮にとっても利益となる。実質的進展が得られれば、経済・エネルギー支援を含む他分野でも一層積極的な役割を果たす用意がある」と発言した。
2007年2月8日 毎日新聞

■これは驚くべき事ですが、日本政府は『日朝平壌宣言』がまだ有効だと信じ込んでいるのです。この佐々江さんの発言も、小泉前総理が平壌で頑張った時の発言とそっくりです。でも、小泉政権の時代から6箇国協議の場で拉致問題が正式に取り上げられた事は無いのですから、この発言も日本代表も出席している事を記録に残すための虚しい発言としか聞こえなかったでしょう。


……8日午後、北京の釣魚台迎賓館で約1カ月半ぶりに再開した。北朝鮮の金桂冠外務次官は全体会合で、2005年9月の共同声明に基づき、核施設凍結など核放棄に向けた「初期段階措置」を受け入れる用意を表明した。各国首席代表は、初期段階措置とともに作業部会設置の必要性でも一致した。タス通信によると、金次官はこの日の会合で、寧辺の原子炉を停止し、国際原子力機関(IAEA)査察官を受け入れる用意を1月中旬にベルリンで行われた米朝協議で伝えたことを明らかにした。

■何故か理由がまったく分からないのですが、米国は寧辺だけを取り上げ続けています。それ以外の地名を挙げると相手が席を蹴って出て行き、代わりにミサイルが飛んで来ると怖れているかのようです。米軍のミサイル防衛システムも実験段階ですから、完成前に本土の何処かにミサイルが着弾でしたら、パパ・ブッシュ時代からの大計画が批判に晒される可能性が有りますし、イラクで手一杯なのに北朝鮮にも軍隊を送って報復して見せないと米国大統領の責務が果たせません。


ただ、金次官は正式合意には「しかるべき条件」が熟すことが必要とも指摘。核施設凍結の見返りとしてエネルギー支援などを要求する方針を示唆したもので、米朝の攻防が今後、本格化する可能性もある。ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は8日夜、記者団に対し、初期段階措置を盛り込んだ「共同声明の採択を期待している」と語った。議長国・中国は8日深夜、合意文書の草案を各国に提示した。
2007年2月9日 時事通信。

■ここから「初期段階措置」が公の場で走り始めます。早々に「草案」が用意されていたのですから、米中間では話が着いていたと考えるべきでしょう。日本側にはどれほどの事前情報が与えられていたのやら……。


……議長国の中国が核廃棄の初期段階履行措置と見返りなど「行動計画」を盛り込んだ合意文の草案を参加国に提示した。9日に現地の外交消息筋が伝えた。草案は中国が各国の意見を取りまとめたもので、共同声明になるのか文書の性格についてはまだ決まっていない。行動計画となる合意文には、寧辺の原子炉など核関連5施設の稼動中断と閉鎖・封印措置を特定の期限内に履行し、これに対する見返りとして代替エネルギーなどを同じ期間内に提供を開始する「同時履行」を原則にしたという。……
2007年2月9日 YONHAP NEWS

■一度は大嘘をついた北朝鮮と、大恥を掻かされた米国が「同時履行」という曖昧な表現で納得するはずは有りません。映画では、拳銃を向け合った2人の役者が、あれこれと交渉してから、ゆっくりと「同時に」拳銃を下ろすようなシーンが有りますが、原子炉の封鎖とその確認という時間のかかる作業と、重油の搬入と電力の供給と言う比較的短時間で実施できる作業とを、どうやって「同時履行」させるのでしょう?案の定、この文言で協議は紛糾することになりました。

将軍様に誕生日プレゼント 其の六

2007-02-16 16:51:50 | 外交・情勢(アジア)

KEDOは昨年9月7~8日に開かれた執行理事会で、北朝鮮に被害補償を要求する意見が出されたことを受け、同月に18億9000万ドル相当の補償要求を盛り込んだ書簡を北朝鮮の国連代表部と北朝鮮外務省に送っている。
2007年2月8日 YONHAP NEWS

■4割近い拠出金を受け取りながら、その使途も公表しないので、それがミサイルと原爆実験に流用された疑惑も有るというのに、北朝鮮はこの返還要求に一切応えようともしません。

 
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は8日、ベルリンで1月に行われた北朝鮮との協議で朝鮮半島の非核化に向けた初期段階の措置で大筋合意し、覚書に署名したとの報道に関して「何ら署名していない」と述べ、否定した。滞在先の北京のホテルで記者団に語った。 
2007年2月8日 時事通信

■「署名していない」というのは、「合意していない」という意味ではありません。朝鮮半島の「非核化」というのも、既に有名無実になってしまいましたなあ。パパ・ブッシュが冷戦の終了を世界に示すために在韓米軍基地から核兵器を引き揚げたのに、その息子は北朝鮮に核武装を許してしまったという因果が巡っております。KEDO資金を引っ張り出し、計画通りにミサイルと核兵器を開発した北朝鮮の1人勝ちという結果は、この段階で見えていたことになります。


先に北朝鮮を訪れた元米国務省担当官のジョエル・ウィット氏は8日、米国と北朝鮮が1月にベルリンで行った2国間会談で、北朝鮮の原子炉の稼働停止など朝鮮半島の非核化に向けた初期段階措置やその見返りとしてのエネルギー支援に関して「一定の合意」に達した可能性が高いとの見方を明らかにした。8日に開会する6カ国協議では、米朝会談の結果を踏まえ、初期段階措置の履行に向けた各国間の調整が行われるとみられる。
2007年2月8日 時事通信

■こうして、「初期段階措置」という言葉が巧みにリークされ続け、その胡散臭さが徐々に消えて、何か素晴らしいもののように思えるような情報操作が行われていたようなものです。KEDOは「初期段階」を能天気に通り越して、半分近くも拠出金を巻き上げられたところで停止しましたが、今回の合意が「60日間」という初期段階の期限が切れる時、どんな展開になっているのか、誰にも分かりませんぞ。

 
安倍晋三首相は、8日から始まる6カ国協議に関連し「拉致問題で進展ないと支援できない」と述べ、北朝鮮への人道支援について拉致問題の進展が条件との考えをあらためて示した。官邸内で記者団に語った。また、塩崎恭久官房長官は午前の記者会見で、拉致問題に関して「問題は国民が納得できる話し合いができるかどうかだ」とし、あくまで解決に向けた具体的な成果を求めていく方針を強調した。
2007年2月8日 ロイター

■この安倍総理が縋り付いている一枚看板が、一体、いつまで掲げられているのか?米国からちょっと強めに頼まれたら、拉致問題の解決は一時的に棚上げされて、北朝鮮の要求通りに94年合意の「残金」の支払いが決まり、おそらくはそれでは足りないと言われて積み増すことになりそうです。


朝鮮半島情勢に詳しい米国と中国の専門家らは……おおむね楽観視している。米国の国家安全保障会議(NSC)上級部長を歴任した米戦略国際問題研究所(CSIS)のグリーン専任諮問役は英フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「米国側に、北朝鮮が示す少ない『契約金』で制裁の解除と米朝関係の正常化を進展させたい意思があるようにみえる」と述べた。北朝鮮が6カ国協議に復帰したのは、マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)問題のためだと主張したグリーン諮問役は、資金難を経験した北朝鮮がBDA問題に合意することで、資金問題の解決を図るとの見通しを示した。

■「少ない契約金」というのは上手い表現でしょう。北朝鮮側が、勿体ぶってテーブルに上げたのは、耐用年数が過ぎようとしている寧辺の出力5000キロワットという小さな実験用黒鉛減速炉を、大仰に「停止・封印」する事だけです。解体は断固として拒否したとか……。ポンコツ実験炉は放って置いてもスクラップにするしかないのですから、あと数年したら「解体」に応じるからその費用を出せ!と言い出すのは目に見えていますぞ!

将軍様に誕生日プレゼント 其の伍

2007-02-16 16:51:24 | 外交・情勢(アジア)

米シンクタンクの科学・国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト所長は6日、米国のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューで、北朝鮮が6カ国協議で核施設の凍結に合意しても、1カ月程度で再稼働できるような凍結にしか応じないとの見方を示した。オルブライト所長は最近、訪朝し、6カ国協議の首席代表、金桂冠外務次官らと会談した。同所長は「北朝鮮が言う初期段階の措置とは比較的早く再稼働が可能な状態の(核施設)凍結だ。原子炉の再稼働に1年以上かかる凍結には合意しない」と語った。……金次官は「核凍結後の段階で軽水炉提供問題を議論する必要がある」との立場を明確にしたという。米国は北朝鮮への軽水炉提供に強い難色を示している。
2007年2月7日 時事通信

■6日の段階で、「初期段階」の中身がちらりと見えていたのが分かります。ベルリンでの話し合いが表沙汰になっていないのが歯痒い限りですが、あのヒルさんが軽率な生返事を何度もしたような気がしてなりません。あの時、北朝鮮代表は安心して大いに酔っ払ったのでしたからなあ。北朝鮮は、ちょっと休んで見せるだけで莫大なエネルギー支援が受けられると解釈した可能性が大であります!

 
8日に再開する6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は7日午後、北京に到着した。同次官補は今回の協議で朝鮮半島の非核化をうたった2005年9月の共同声明のうち、初期段階措置の実施を目指すが、「共同声明の完全履行に関心がある」と述べ、北朝鮮に全面的な核開発放棄を求める考えに変わりがないことを強調した。

■ここでも「初期段階」が出て来ます。その後に「全面的な核開発放棄」を慌てて付け足しているのですが、北朝鮮側はそれは余計なものと聞く耳を持たなかったようです。


……6カ国協議の共同声明と、北朝鮮の核施設凍結の見返りに軽水炉供与や重油の提供を定めた1994年の米朝核枠組み合意を比較し、「共同声明は(米朝2国間合意でなく)6カ国によるものだ。形式のほか、扱っている問題も異なる」と指摘。「共同声明を枠組み合意になぞらえる者は、2つの文書をよく理解していない」と述べた。米国が北朝鮮の核施設凍結を最優先する方針を示す一方、北朝鮮は見返りとしてエネルギー支援を求めるとされ、枠組み合意に似た内容の妥協が成立する可能性が浮上しているが、ヒル次官補は共同声明と枠組み合意の違いをあえて強調した形だ。
2007年2月7日 時事通信 

■合意後の15日になって、ブッシュ大統領はこれとまったく同じ事を発言しています。「2箇国でなく、6箇国だ!」という主張は、ずっと前から考えられていたようですなあ。カーター大統領を特使に送ったクリントンは間抜けだったが、自分は賢いので周辺諸国を巻き込んだから偉い!と言いたいようですが……。

 
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が北朝鮮・琴湖地区での軽水炉建設事業が中断されたとして北朝鮮に18億9000万ドルの補償を要求していることに対し、北朝鮮の週刊紙「統一新報」は7日、「一顧の価値もない」と反論した。同紙は「補償は誰がすべきか」と題した記事で、軽水炉建設を台無しにしたKEDOがその責任を北朝鮮に押し付け補償金を要求するのは破廉恥な行為だと批判した。

■日本もこのペテン話に500億円も拠出して、何処に消えてしまったのか、誰が儲けたのかも追及出来ず、勿論、政府の担当者も責任を取っていません。これほど明々白々の税金の無駄遣いなのに!しかも、北朝鮮側は自分が仕掛けたペテンによって反故にされた「94年合意」の内容を、まるで冷凍食品のように持ち出して、当時の相場で50億ドルと言われた、出力100万キロワットの軽水炉2基を中心とする馬鹿馬鹿しい約束を、当然のように「解凍」する心算と言われています。50億ドルの内、日本が引き受けたのが10億ドルで、既に拠出した500億円は4億1000万ドルと換算されるので、残りの6億ドルを涼しい顔をして日本政府に要求することになりそうだと聞けば、オイ、オイ、と仰け反ってしまいますなあ。


さらに、補償金はKEDOではなく北朝鮮が受け取るべきだとし、「米国の反共和国(北朝鮮)敵対視政策で米朝枠組み合意は紙くずになり、軽水炉建設も中断された。ブッシュ政権の圧殺策動に同調し、軽水炉建設を中断させたKEDOの責任も重い」と指摘した。KEDOが1994年の米朝枠組み合意に基づき2003年まで北朝鮮に軽水炉を提供するために作られた機関であることを強調し、合意に違反したのは米国とKEDOだと主張した。

■こんな暴論を吐かれれも、6箇国協議に固執するブッシュ政権の変質振りは驚きを通り越して呆れるばかいですなあ。勿論、付いて行きます下駄の雪!の日本政府も、激怒することもなく、誰も聞いていない拉致の話を散発的に持ち出して席に着いていたのでした。

将軍様に誕生日プレゼント 其の四

2007-02-15 21:49:44 | 外交・情勢(アジア)

……報告書は「北脱出者たちを米国に収容する政策を推進していく」と明らかにした。国務省がこの日に発表した2008会計年度予算案も「北朝鮮の外に居住する北脱出者」を含む東アジア難民支援費として2000万ドルを充てた。北朝鮮の民主化支援基金でも200万ドルを策定した。国務省は2004年北朝鮮人権法通過によって2008年まで毎年最高2400万ドルの北朝鮮民主化支援基金を策定する権限を受けた。しかし実際予算を策定したのは今回が初めてだ。

■今も大洪水の爪痕が無惨に残るニュー・オーリンズの廃墟を眺めて暮らしている人達が聞いたら、激怒するような話ですが、CIA好みの破壊工作員やら情報活動要員を獲得するには、こうした「人道的」予算が計上されねばなりませんから、国内で天災と人災に遭った不運な人はじっと我慢しなければならないでしょうなあ。イラク戦争には湯水の如く戦費が使われているというのに……。


予算案はまた、米国の声(VOA)、自由アジアラジオ(RFA)の対北放送を1日10時間に増やし、北朝鮮を含む対外放送支援費として6億6800万ドルを割り当てた。国務省は「来年度、対外放送支援費は北朝鮮と中東、ソマリア、キューバが重点目標」だと強調した。議会傘下米国平和研究所(USIP)支援費3000万ドルで北朝鮮関連で対立を予防し、調整するのに一部が使われるようにした。

■北朝鮮に向けたラジオ放送には、韓国が続けている『開かれた北朝鮮放送』や『自由北朝鮮放送』というのが有るそうですが、日本にも「救う会」の皆さんが始めた拉致被害者向けの『しおかぜ』が有り、韓国の放送局との連携を強めているそうです。ラジオは最も古い大規模謀略の装置ですから、妨害電波が発射されたり、それを避けるために放送場所を移動したり周波数を変更したりと、昔も今も同じ事が繰り返されているようです。これらの対北朝鮮ラジオ放送は1日に1時間くらいしか放送できないのに比べて、「1日10時間」も放送し続けている「VOA」は、この種のラジオとは老舗であり、最強の地位を保持しているというわけです。

■旧ソ連時代も、受信が発覚すれば国家反逆罪で死刑になるのに、多くのソ連人が耳を澄ませて聞いていたというのは有名な話です。でも、北朝鮮の工業力と電力事情を考えますと、ラジオ自体を持っている人が少ないという難問が有るようです。超寿命の電池を仕込んだ超薄型の短波ラジオを1億台ほど、北朝鮮全土に空中散布でもすれば面白いのですがなあ。でも、韓国の対北朝鮮放送をしている組織には、南北融和政策を採っている政府から陰に陽に圧力が掛かっているとか……。それにしても、「悪の枢軸」のイランに対する謀略宣伝放送に重点が置かれていないのは不思議ですが、マスコミ管制が緩くて一定の言論の自由が保障されているからでしょうか?


米財務部も北朝鮮、パキスタンなどの金融部門を圧迫するために政策諮問官2人を追加採用する費用として38万5000ドルを来年度予算案に加えた。「不良政権(RogueRegimes)粉砕」と命名されたこのプログラムは(北朝鮮などに)追加的な金融圧迫を加える戦略を開発するためのものだ。また米国防省は北朝鮮の長距離ミサイル脅威に備えるミサイル防衛(MD)体制開発費用として89億ドルを2008年予算案に策定した。
2007年2月7日 中央日報

■韓国の新聞は米国の動きに敏感で、こうした詳細なレポートがよく掲載されます。「不良政権粉砕」政策など、余り日本のマスコミは取り上げませんなあ。一説にはマカオの銀行口座を凍結したのは財務省のお手柄で、これが「瓢箪から駒」だったそうで、大金を遣って軍隊を動かすよりも、ずっと安上がりで効果的だと分かったと言うのですから、米国外交も迂闊なところが有るのです。虎は死して皮を残しますが、ラムズフェルドさんは不名誉な辞任をしたものの、協力に推し進めていたミサイル防衛戦略は、こうして米国政府の中に深く埋め込んで去ったのですなあ。勿論、その巨大な棘は日本にも刺さっているのですが……。

将軍様に誕生日プレゼント 其の参

2007-02-15 21:48:58 | 外交・情勢(アジア)


北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で米首席代表を務めるヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は7日午前、同協議での拉致問題の扱いについて「まずは(2005年9月の共同声明履行に向け)『初期段階の措置』を話し合う必要がある。その初期段階で拉致問題に関する日朝協議もあり得る」と述べた。成田空港で記者団に語った。拉致問題への米政府の姿勢についてヒル次官補は「日本の人々が拉致問題を非常に強く案じていること、とりわけ被害者の家族のつらさはよく分かる。ブッシュ大統領も家族と会っており、思いは強い」と強調した。
2007年2月7日 時事通信

■「初期段階の措置」という言い方で、ヒルさんはベルリンで大方の話は着いていることを暗示していたと、今になったら分かりますが、ベルリンでは日本人の拉致事件に関してなど、おそらく一言も触れていなかったに違いなのにですから、「成田空港」という場所柄を弁(わきま)えた日本人向けのリップ・サービスを、こうして報道するのは如何なものだったのでしょう?

 
ロシア上院のマルゲロフ外交委員長は6日、北朝鮮に核開発放棄を促すため、ロシアが北朝鮮の債務帳消しに応じる考えを示唆した。タス通信が伝えた。同委員長は、8日から北京で開催される6カ国協議では北朝鮮がどのような核放棄の対価を要求するかが焦点だと指摘。その上で「米国もロシアも北朝鮮が核兵器やミサイルを保有するのを望んでいない。核拡散防止にはアメとムチが必要で、われわれはさまざまな手段で北朝鮮の核計画放棄を促すつもりだ」と述べた。
2007年2月7日 時事通信

■建国以来の経緯から、ロシアは北朝鮮から圧力や脅威を感じた事など一度も有りませんし、これからも半永久的に地政学的な関係は変わらないのですから、自分の方に向って来ないミサイルや核兵器が朝鮮半島に出現する事を、どれほど本気で反対するのやら、はなはだ疑問です。すっかり銭ゲバぶりが板に付いている最近のロシアが、ろくな支払い能力も無い北朝鮮に自慢のエネルギーを売り付けようとは思っていないでしょう。「6箇国協議」の参加国の中で、常に影が薄いロシアは、北朝鮮問題は米中の問題だと割り切っている節が有ります。

 
ライス米国務長官が来年初めまで北朝鮮核廃棄交渉を終えて、核兵器解体を開始すると5日「2008会計年度業務計画報告書」で明らかにした。また対北人権及び金融圧迫も続けると述べた。 こうした方針はすでにブッシュ大統領にも報告されている。ライス長官は1年前に発表した2007年業務計画報告書では「北朝鮮が核を『戻すことができず、検証可能に(CVID)』廃棄する交渉を続けるのが目標」だと明らかにした。しかし今回は交渉の期限を1年と明示する一方、CVIDの原則も削除した。これは2009年1月に終わるブッシュ大統領の任期内に北核問題を解決するという強い意志を表明したものと分析される。

■「CVID」原則を削除するということは、相当に杜撰な方法であろうとも、一応の決着を見るためには拙速と言われようと構わず処理してしまう事を意味します。「交渉を終え」「核兵器解体を開始」という流れでは、解体方法も解体終了時期も定まっていないようなものですから、ブッシュ大統領の任期中に慌てて「解体作業」を始めて見ても、その時になっても北朝鮮での核開発の全貌も分からず、保有している核兵器の数さえも分からないままの見切り発車になることでしょう。そこまで持ち込むまでに、一体、どれ程の見返りを要求される事やら……。


……報告書は今年、北核交渉が続くと前提し、来年初め交渉妥結及び北朝鮮の核兵器、核プログラム廃棄開始と検証体制稼働を目標に提示した。引き続き、来年中、北朝鮮のすべての中長距離ミサイル解体を目標に、別途の交渉を開始するという目標も付け加えた。ミサイル技術統制体制(MTCR)の1等級統制対象である弾頭重量500キロ、射程距離300キロ以上のすべてのミサイル……ミサイルプログラムに対して検証可能な制限および禁輸措置をするという内容だ。

■中途半端な核兵器の対する制限交渉でさえ、「100万トン」のエネルギー支援を約束させられているのですから、全土に地下発射基地を設置してるとも言われる北朝鮮のミサイルに対する「検証可能な制限」などを本気で持ち出して交渉したら、今度はどんな物を強請(ねだ)られるのでしょう?


北朝鮮の化学、生物武器も国際的化学武機輸出統制体制である「オーストラリアグループ(AG)と国際生物武器協約を通じて監視と圧迫をしていくと報告書は明らかにした。

■オウム真理教がばら撒いたサリン袋の中に、妙に古びた物が混じっていたという噂が流れたことが有りましたなあ。その出所がロシアだの北朝鮮だのと、謀略好きには堪らない、実に興味深い説も囁かれていたとか……。当時は、まだ拉致犯罪が公式には認められていなかったので、警察トップの狙撃事件にもロシアの影が見えると言い張る人もいたのでしたが、それらは丸ごとトンデモ話として消えて行ったのでした。