旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

津波に注意 其の伍

2010-02-28 22:56:32 | 日記・雑学
■野党に転落した自民党が、学校の耐震補強工事を急げ!と民主党の予算案に文句をつけていましたが、いざという時の緊急避難先になる公共施設は丈夫にしておいて貰わねばなりません。でも、長い長い自民党政権の時代に、どうして十分な地震対策が出来なかったのか?という問題に答えて頂かない限り、自民党が自力で復活するのは不可能でしょうなあ。馬鹿馬鹿しい口喧嘩ばかりしている国会がある東京、関東地方では、ずっと大きな地震が発生していないのが気になります。いつになるか分からない二度目の五輪大会ですが、開催されるまでに直下型の大地震が起きないのか?開催中に起きたらどうするのか?ハイチやチリの復興支援をしながらも、自分達の足元をよくよく見つめ直すことを忘れないようにしたいものです。

■沖縄とチリが揺れる2日前にはチャイナの雲南省が揺れました。その翌日には冬季五輪の女子フィギュア・フリー演技が控えていましたから、ほとんどの日本人は隣国の地震など気にしていなかったのでしょうが……。
 
 
2010年2月25日、雲南省中部の楚雄イ族自治州で午後1時ごろにマグニチュード5.1の地震があり、29人が負傷、家屋や学校、病院などが損壊した。死者が出たとの報道はない。……家屋241戸が倒壊、約1万戸が被害を受け、3万5600人が避難した……
2月26日19時7分配信 Record China

■北京五輪の前に起きた四川パンダ大地震からの復興がどの程度済んだのか?無残に倒壊した学校の手抜き工事問題はどうなったのか?思い出したように救出されたパンダの話が流れて来ますが、被災地の実態はさっぱり分かりません。四川省を襲った大地震は南北に走る巨大な活断層が大きくズレて発生したもので、今回の地震が起った断層もつながっているか、隣り合って走っているかも知れません。地球の裏表で地殻がほぼ同時に大きく動いたのだとしたら、何とも気味の悪い話であります。大きな地震が連続すると救援・支援の活動が中途半端になって新たな被災地に関心が移って行く様なことにもなり兼ねません。勿論、日本がいつまでも「支援する側」にばかり居続けられる保証はまったくないのですが……。
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津波に注意 其の四

2010-02-28 22:56:02 | 日記・雑学
深海魚リュウグウノツカイが今冬、富山、石川県などの日本海沿岸で相次いで見つかっている。全長が5メートルを超え、生態はほとんどわかっていない謎の多い魚。……富山県では昨年12月以降、定置網で捕獲されたり、海岸に漂着したりするなど4匹が見つかっている。石川県では昨年11月以降、十数匹が見つかり、京都や島根、長崎などでも発見されている。……大きいものでは10メートルほどになるという。平たい体に長い腹びれと背びれがあり、水深200~1000メートルに生息している。姿を現すと、「地震の前触れ」との言い伝えもある。
2月27日 読売新聞

■日本海の底でも何かが起っているのかも?記事の通りだとすると、西南方向から順に深海魚が浮き上がって来たことになりますが……。ナマズを始めとして野生生物の異常な行動が地震予知に役立つのではないか?とあれこれ取り沙汰されることもありますが、まだ偶然や迷信と思われている事も多いようです。地震雲やら電波の異常なども研究されているようですが……。インドネシアの大津波では象が一斉に山に逃げ込んで一頭も死ななかったという話がありましたが、ハイチ地震や今回のチリ地震では動物関連の話は報道されていないようです。

■チリの大地震は日本時間で2月27日の午後3時34分に発生したそうですが、不思議なことに同日午前5時31分ごろ、沖縄県那覇市の東約50キロを震源とするM6.9の地震が発生していました。糸満市で震度5弱を観測したそうですが、震度5以上の強い揺れは1911年以来99年ぶりだそうです。被害は女性2人が軽傷を負っただけとのことで何よりでしたが、まさか、日本海に浮き上がった深海魚たちは、この地震を察知して何ヶ月も前から北上していたのでないでしょうな?!


今回の沖縄本島近海地震の震源近くでは、過去約90年間に4回、今回と同規模のM6級の地震が発生している。……過去4回の同規模の地震は、今回の震源地の東側にある琉球海溝付近を震源地とし、フィリピン海プレートが南西諸島側のユーラシアプレートに潜り込むことにより発生していた。今回の震源地は、琉球海溝の西側で沖縄本島に近い。また琉球海溝付近で発生する地震とは異なり、北東と南西方向から断層に圧力がかかる「横ずれ断層型」地震だった。この断層が発生地点の海底にもともとあったのか今回の地震で生じたかは不明。
2月28日 琉球新報

■誰も知らない断層が動いて予想もしていない地震が発生したというわけです。、2004年(平成16年)10月23日17時56分に新潟県で起った中越地震の時も、専門家が知らない断層が動いたのでした。陸上も海底も断層だらけだと思っていた方がよさそうです。


27日早朝に発生した沖縄本島近海地震。地震の研究者は原因となった活断層について「これまでにないパターン。未知の活断層が存在するかもしれない」と分析する。建築の研究者は県内で好まれる「ピロティ型建築物」住宅の脆弱性を指摘した。……本島東側の近海で活断層の調査はあまり行われていない。……新たな活断層が発見されれば地震予測で「想定しなければいけない断層が増えることになる」という。……琉大工学部の山川哲雄教授(建築構造学)によると、1階を駐車場にするピロティ型建築物は上部に力が集中し大きく揺れる「ホイッピング現象」が起こり、崩壊しやすいという。「古かったり、粘りのない建築物だと、震度5強の揺れに耐えられないものも少なくないはずだ。県民はもっと建築物の耐震性に関心を持ってほしい」と警鐘を鳴らした。
2月28日 琉球新報

■今回の地震で被害が少なかったのは沖縄の建物が丈夫だったからではないようです。地震の少ない所では指摘されているような構造の家が多いような気もしますが、関東地方でも珍しくはありません。地価が高くて駐車スペースを住居とは別に取れない場合は、この種の構造になってしまうのでしょうから、1階部分の柱を増やしたり壁に補強材を入れて耐震性を高めておかないと大変ですよ、というお話のようです。

津波に注意 其の参

2010-02-28 22:55:25 | 日記・雑学
■太平洋岸の各地で大規模な非難行動が実施されて、津波による人的被害は出ずに済みそうです。半世紀前には監視衛星もなく通信ネットワークも整っておらず、太平洋の反対側から襲って来る津波に気が付くのか到達直前だったのですから、来るぞ、来るぞとマスコミが総力を待ち構えているというのは隔世の感があります。

気象庁の関田康雄地震津波監視課長は28日午後4時45分から、同庁で記者会見を開き、今回のチリ沖地震に伴う津波について、「最初に小さい津波が到達した後に大きな津波が到達しており、50年前のチリ地震津波と同様の傾向が見られる」として、全国で142人の死者・行方不明者を出した1960年のチリ地震による津波と傾向が似ていることを指摘した。また、「第一波が小さいからと安心せず、海岸に近づかないよう、引き続き警戒をお願いしたい」と改めて注意を呼び掛けた。

■1993年(平成5年)7月12日22時17分に発生した北海道南西沖地震はM7.8で死者172名、行方不明26名、重軽傷者143名に登ったのでした。特に奥尻島では地震発生数分で最高30.5mの津波が押し寄せて壊滅的な被害を受けたのを覚えている方も多いのではないでしょうか?津波の恐ろしさをよく伝えている『稲むらの火』という作品が戦前には小学校の副読本に掲載されていたという防災教育の伝統を復活させるべきだという話もありますが、鮮明な映像記録が豊富になった現在ならば、もっと効果的で多様な教育方法があるようです。要は受け手の問題で、どこまで真剣に受け止められるかは最終的には個人の問題になりましょうなあ。

■津波到達までには時間があるからでしょうが、日曜日のサーフィンを楽しんでいる命知らずが散見されるニュース映像が流されていたようです。それも個人の判断ということになりますが、万が一の時には多くの人が救助やら捜索に苦労しなければならないのですから、素直に災難に遭ったことを受け入れて今日だけは我慢して安全な場所で別の楽しい事をして過ごした方がよいでしょう。


……同日午後4時5分現在、岩手県の久慈港で1メートル20センチ、北海道根室市、仙台市の仙台港で90センチの津波が観測されている。同庁ではこれらの数値はあくまで潮位の観測点の数値で、地形によっては今後も更に高い津波が起きる可能性があるとして警戒を呼びかけている。
2月28日 読売新聞

■半世紀前、チリ地震の発生から約22時間半後の未明に最大6メートルの津波が三陸海岸沿岸を中心に10波も繰り返し襲来して142名が犠牲になりました。53名の死者が出た岩手県大船渡市や41名の宮城県南三陸町などでは、今でも津波が襲来した5月24日を忘れないように避難訓練を続けていると聞いたことがあります。同じく被害を受けた北海道浜中町霧多布では11名が死亡しておりますが、その8年前の1952年に発生した十勝沖地震でも津波被害を受けたそうで、市街地は10年と空けずに2度目の被害を受けてしまいました。

■『稲むらの火』は実際に起った津波災害を下敷きにして書かれたフィクションだとも言われていますが、作品に出て来る津波は1854年(嘉永7年・安政元年)の安政東海地震(M8.4)と、その32時間後に続いて起った安政南海地震(M8.4)、もしかすると東南海地震も連動して発生したいたかも?とも言われる恐ろしい連続地震のうち、南海地震の震源に近かった和歌山県田郡広川町を襲ったものだったそうです。地震と津波に対しては警戒し過ぎということはないのかも知れませんなあ。

津波に注意 其の弐

2010-02-28 19:52:43 | 日記・雑学
2010年1月12日にハイチを襲い壊滅的な被害をもたらした大地震。専門家の発表によると、この地震によって異常な津波が発生し、複数の家屋が倒壊、3人が死亡したという。……その規模は平均波高およそ3メートルの荒波で、ポルトー・プランス湾沿岸、さらに湾と反対側のイスパニョーラ島南岸に押し寄せた。……津波はポルトー・プランス付近の震央(震源の真上)から100キロほどの沿岸部も襲った。……ハイチ地震はマグニチュード7.0だったが、それを大きく上回る規模の地震でなければ津波は発生しない……。

■ハイチ地震の震源は首都に近い陸地でしたが、津波は起こっていたのですなあ。カリブ海で津波が起っても日本には関係がないのですが、地震・津波の被害は他人事ではありません。


……今回は2種類の波が沿岸を襲ったことも明らかになった。海底プレートの移動による地殻変動が引き金となる津波と、地震後の不安定な陸地が海面に崩れ落ちて発生する地滑りによる津波だ。地殻変動による津波の場合は、波が沿岸部に到達するまでに数分から数時間かかることが多いため、危険察知に長けている者であれば安全な場所へ避難できる猶予がある。地滑りによる津波は局地的に発生し、たいていの場合は規模が小さい。……ポルトー・プランス湾沿岸の町グラン・ゴアーブでは、海岸にいた男性1名と少年2名が地滑りによる津波で死亡した……。海岸沿いの家々も波に呑まれ流されていた。死亡した3名は地震の生存者だった。浜辺を訪れていたのは避難のためではなく、押し寄せる大波を”見学”するためだったという。……
2010年 2月24日 ナショナルジオグラフィック

■土砂崩れでも津波が起るのですなあ。やはり、大きな地震の後は海辺には近寄らないのが一番のようです。インドネシアでの大津波でも、突然の引き潮が津波の前兆だと知らずに魚拾いをしていた人たちが犠牲になりましたし、茶の間でテレビを観ているようなつもりで災害を「見学」などしては行けません。野次馬根性は何処の人も同じように持っているのではありましょうが、「君子危うきに近寄らず」であります。テレビもラジオも一斉に津波情報をしつこく流すのも、君子になり損なう人が出て来ないようにするには必要な事なのでしょう。

■ハイチ地震から1月半、その間に日本では民主党の「政治とカネ」「選挙大敗」、トヨタ車の大規模リコー問題、そして冬季五輪に湧いて地震のことなどころりと忘れしまった感がありましたが、「天災は忘れた頃にやって来る」ものですから、明日は我が身と考えておくべきでしょう。勿論、それを肝に銘じておかねばならないのは鳩山サセテイタダク首相であります。


チリ政府は、同国で27日未明に発生したマグニチュード(M)8.8の巨大地震による死者が214人に達したと発表した。……、震源地はコンセプシオンの北東115キロで、震源の深さは35キロ。……日本やハワイ、ロシアを含む太平洋一帯に津波警報が出されている。
……地震の規模に対して犠牲者の数が比較的少ないのは、チリの建築の安全基準がしっかりしているためとみている。また現地の救急隊員は、今後同地震の死者数が大幅に増える可能性は低いとの見方を示した。しかし今回の地震は、1900年以降に世界で発生した地震の中で5番目の大きさ。先月12日にハイチを襲った大地震はM7.0だった。 
2月28日 ロイター

■1900年以降の大地震上位、1位はやはり1960年5月22日のチリ地震でM9.5で犠牲者は約5700人。2位は1964年3月28日の発生したアラスカ地震でM9.2。3位は1957年3月9日のアリューシャン地震でM9.1。4位は記憶に新しい2004年12月26日に起ったスマトラ沖地震でM9.0、津波被害を含めて犠牲者は16万6320人!ロイターの記事では今回のM8.8が5番目に大きいとしていますが、1952年11月4日にカムチャッカ地震がM9.0で5番目になり、今回のチリ地震は6番目になるのではないでしょうか?

■どちらにしても100年余の間に世界1位と6位の大地震に襲われているのですから、まともな政府が存在する国なら地震対策を真面目に行なっているでしょう。その点で日本は大丈夫なのでしょうか?


鳩山由紀夫首相は28日午後、チリ中部沿岸で発生した大地震による津波に関して設置した官邸対策室を視察し、「住民の被害を最小にするため、避難に万全を期し、沿岸住民に情報提供を適切に行うように」と指示した。視察後、記者団に「津波は初動だけではない。第1波が過ぎ去ったから安心だという楽観は絶対できない」と語り、国民に警戒を呼びかけた。

■鳩山サセテイタダク首相の口から「万全」や「適切」などの言葉を聞くと空々しく聞こえてしまうのは何故でしょう?「楽観は絶対にできない」のは内閣支持率か、夏の参議院選挙かも知れませんし、自分の脱税事件やら幹事長の不正献金疑惑も同様でしょう。沖縄の基地移転問題もマニュフェスト破りも本当に「楽観」はできません。民主党の全議員に対しても「警戒」を呼びかけたいところでありましょう。


首相は視察に先立ち、チリでの大地震の被害について「心からお悔やみを申し上げたい」と表明。被災地支援について「特に復興支援に関して、必要ならば常に『いつでも』という用意をしておきたい。その指示も出している」と強調した。……
2月28日 Nikkeiネット

■ハイチ地震に対する支援が出遅れた事をどう考えているのか?反省点は無いのか?「友愛」政治と支援活動はどのように関連付けられるのか?多くの機会があるのに鳩山サセテイタダク首相は何も語ってくれません。その上、今度は日本列島が載っている太平洋プレートの湧き出し側で大地震が起きたのですから、国内向けに地震対策に関して気が利いたことを言い添えておくべきではないでしょうかな?

津波に注意 其の壱

2010-02-28 19:51:26 | 日記・雑学
■米国の広範囲で春の豪雪が降り、遠く離れた日本でも例年になく何度も春の雪が降りました。日本では東京周辺が春霞どころではない濃霧に押し包まれて、潰れかかっているJALだけでなく、すべての飛行機が離発着不能の事態になったのは3日前のことでした。大地震と同様に濃霧も天災ではありますが、さすがに首都の玄関口で100便以上が欠航!などという恥かしい事態になりますと、前原誠司・国土交通相が計器着陸装置(ILS)を更新して霧や雲に強い空港にして行くと発表せざるを得ませんでしたから、羽田で起った春の椿事は人災の範囲だったようです。

■羽田は限界だから千葉県の富里に「新東京?国際空港」を作ろう!と思ったけど成田にしよう。と言い出して大騒ぎなったのは自民党の佐藤内閣の時代でしたなあ。時は流れて三里塚闘争もすっかり忘れられ、やっぱり羽田を拡張して「ハブ空港」にして「24時間運用」にしようという話になったのは自民党政権の最末期でありました。その間、日本中に98もの空港を建設したのも自民党政権でしたが、国会議事堂から最も近い羽田空港が旧式の誘導着陸システムしか持っていなかったとは?!驚くべきか、呆れるべきか……。

■JALの再建にしても自民党時代の負債を新政権が受け継いで対処せねばならない巡り合わせで、その点は鳩山サセテイタダク内閣は同情に値するでしょうが、選挙用にまとめたバラマキ政策の財源を含めて自民党が重ねた失政を一挙に清算できるような大風呂敷を広げたのは大失敗でした。不況デフレ対策や財政再建も重要な政治課題ではありますが、避けられない天災に対する備えも忘れては行けません。自社連立で誕生した村山内閣の時代に発生した阪神淡路の震災の犠牲者は6434人と記録されていますが、あの苦い経験から日本の政府は多くを学んだはずなのですが……。


ハイチのプレバル大統領は21日、訪問先のメキシコで、先月12日の大地震の死者が30万人に達する可能性があると語った。……24万2000人が犠牲となった1976年の中国・唐山地震を上回り、20世紀以降で最悪の人的被害をもたらした震災となる恐れが強まっている。……遺族などが自分たちの手で埋葬した遺体も多く、正確な犠牲者数は当局も把握できていないのが実情だ。
2月22日 時事通信

■政変が続く西半球で最も貧しいと言われる国が大きな地震に襲われたらどうなるか?想像を絶する困難が長く続くのは間違いありませんが、犠牲者の数さえ正確に把握できない政治状況からの復興は大変な苦労を覚悟しなければなりますまい。日本の「友愛」首相の決断が遅過ぎた!と非難する声があるようですから、もしも自国で大災害が起った時に「お母ちゃん」の指示を待たずに迅速に対処出来るかどうか、少々心配ではありますなあ。

226の日にフィギュア一色 

2010-02-27 13:21:53 | 日記・雑学
■日本中が五輪大会の女子フィギュア競技に熱中した一日でしたが、2月26日は昔のことながら日本の運命を大きく変えた「2・26事件」が起った日です。当日のテレビ・ラジオ欄をざっと見渡しても、歴史を振り返るような文言はまったく見付かりませんでした。軍事クーデターなど起りそうもない平和国家でもあるし、国民の半数以上が知らない昔の事件を掘り起こしても視聴率も聴取率も稼げないとの判断なのかも知れません。

■何より政治・経済に明るい話題が見当たらず、何やら大変動が近付いているような嫌な予感がしている人々が若者たちの活躍に時を忘れて感情を昂ぶらせたくなるのも分かります。石原東京都知事はまたまた莫大な税金を投じて短い宣伝映像を作らせていたそうですが、それも五輪大会を東京に誘致できれば国民が元気になるに違いない!と不思議な確信を持っているからのようです。先立った弟の石原裕次郎さんと一緒に過ごした若い頃の日本を懐かしんでいるだけの個人的な思い込みだと揶揄する声もありますが、少なくとも前回の東京五輪大会の時と同様に日本人選手があちこちで大活躍する情景は期待できそうにありません。

■青少年の体力が落ち、運動能力も下がり続けている現状が変わらないのなら、その大集団から抜け出して来る稀有な才能も減り続けて行くでしょう。バブル時代にピークだったスキー人気は低落して実際にスキー人口は半減しているとも聞きますし、日本中からスケート場が消えつつある現実から目を背けて冬季五輪の時だけ「メダルを取って欲しい」と選手達を追い立ててしまうのは如何なものでしょうなあ?

■朝から晩までマスコミに大きく取り上げられていた女子フィギュア競技に関して、周囲から洩れ聞こえて来る声を聞いているうちに、金メダルを取った選手が絶対に出来ない大技を2回も成功させ、金メダルを取った選手の得意技を1回失敗しただけで驚くほど得点差が大きくなって銀メダルになってしまう理由がさっぱり分かりませんでしたが……。


……最大の論争となったのは男子の4回転ジャンプだ。五輪優勝者は3大会連続で4回転を成功していたが、今回は回避したライサチェク(米国)が金メダル。SP、フリーともに4回転を降りて銀だったプルシェンコ(ロシア)は、「フィギュアの進歩は止まってしまった」と厳しく批判した。

■成程、成程、競技をしている御当人も疑問を感じるような評価基準で得点が決まっているわけですなあ。時間・距離・重要などの数値で勝敗が決まる競技が多い中で審査員の主観で評価が変わる競技もあります。競技する人は審査員の目と頭を信頼するしかない立場ですし、競技自体が持っている目標や理想が不明瞭だったり恣意的に変えられてしまうようだと、その競技は廃れて行くのではないでしょうか?観ていても実際にやってみても面白くありませんからなあ。


4回転トーループの基礎点は9・80で、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は8・20。連続ジャンプなら、4回転トーループ-2回転トーループ(同11・10)より、3回転半-3回転トーループ(同12・20)の方が高くなる。日本スケート連盟特別強化選手の中庭健介氏は「採点方法には現場の選手やコーチの意見があまり反映されていない。4回転の点数の低さは高橋(大輔)ともよく話している」という。

■氷の上で跳躍して1回転するだけでも素人にとっては神業で、それを4回も!スポーツというのは恐ろしいものですから、いつか誰かが4回転半、5回転などというトンデモないことを実現してしまう可能性があるものの、3回転半と4回転との間には想像を絶する違いがあるに違いありません。要するにチマチマした小技を器用にこなして地道に得点を積み上げた者が優勝するのなら、誰も困難な未知の分野に挑戦しなくなるだろう、という当然の心配が現場からも出ているわけであります。


技の評価という点では女子も事情は同じだ。浅田が跳んだ3回転半-2回転トーループの基礎点は9・50。金妍児の3回転ルッツ-3回転トーループは10・00。「3回転半の価値は男子と女子で全然違うのに、基礎点が同じというのにも疑問を感じる」と中庭氏。「(高難度技は)今の制度では評価されない。採点システムは変更されるべきだ」とプルシェンコ。スポーツとしてのあり方が問われている。
2010年2月26日 産経ニュース

■何だかどこかの国の大学入試を思い出すような話ですなあ。さらにこの競技には素人にも判断可能な「基礎点」の上に、Grade of Excusion(GOE)という出来映え評価、さらに Total Program Component Score(PCS)とかいう「構成点」なども上乗せされるそうで、観客が度肝を抜かれる大技もないのに「史上最高点」が飛び出す理由はこうした評価方法にあるようです。こんなにややこしく曖昧な要素も多い採点方法に振り回される選手も可哀想ですが、細かいことは知らないまま単純に応援している素人にとっては精神衛生上、甚だ宜しくないことにもなりそうです。急にカーリングという競技が注目された理由が分かるような気がします。
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チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

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ダライ・ラマ法王が訪米 其の壱拾壱

2010-02-22 07:19:02 | チベットもの
■今回の1時間ばかりの会見を利用して、オバマ政権は自らの立場を過去の歴史を継承するものとして、改めて内外の人々に示そうとしたようです。

チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は19日、オバマ米大統領と18日にホワイトハウスで会談した際に、自身が少年時代に受け取ったフランクリン・ルーズベルト大統領の書簡の複製を贈呈されたことを明らかにした。ワシントンの議会図書館で行われた、非営利団体「全米民主主義基金」による民主主義功労勲章授与式の場で語った。

■同会場で行なわれたスピーチもなかなか毒のあるジョークを交えた興味深いものだったようですが、ここで授与された「民主主義功労勲章」はオバマ大統領が会見で語った内容と見事に連動していて地味な演出ながらも効果的だったでしょう。贈られた「書簡の複製」というのは1942年にルーズベルト大統領が書き送ったもので、目的は大日本帝国がビルマに侵攻してチャイナとインドとの軍事物資輸送ルートを切断してしまったので、チベット領内に新たなルートを作る許可を求めるためでした。日本にとってもチベットは重要な場所で明治以来、いろいろと面白い交流の歴史がありますが、この書簡が届いた時もチベットは連合国側に対して全面的な協力はしませんでした。


書簡は、1942年、当時7歳だったダライ・ラマが、チベットを訪れたルーズベルト大統領の特使から、贈り物の腕時計と共に受け取った。ダライ・ラマはこの時計を愛用し、2007年の訪米時にブッシュ大統領から議会黄金勲章を授与された際も持参していたが、書簡の方は長らく行方不明になっていたという。ダライ・ラマはオバマ大統領からの粋な贈り物について、「当時の私は時計にしか興味がなかったが……」と冗談を飛ばしながら、満足げな笑顔だった。
2月20日 読売新聞

■ダライ・ラマ14世の即位は1940年2月22日だったはずですから、ルーズベルト大統領からの親書を受け取ったのは即位2年後ということになります。映画になった『セブンイヤーズ・イン・チベット』や『クンドゥン』にも描かれていましたが、若き日の法王が機械類に強い興味を持っていたのは事実で、米国から送られたいくつかの贈上品の中から腕時計を特に気に入ったのでしょう。

■親書には大統領の写真が添えられていたそうで、それらを運んで来たのはワシントンの軍事戦略局が派遣したイリヤ・トルストイ大尉とブルック・ドラン少尉の2人で、ラサに1ヶ月間滞在した後、年が明けてからチベット人の護衛に守られて今の青海省・西寧市を経由してチャイナに入ったと記録されています。因みに14世の故郷は西寧市の近郊です。

■記事の中にある通り、大統領からの親書は「行方不明」だったようですが、その原因は1959年に起ったチベット動乱でしょう。着の身着のままで夜陰に紛れての亡命劇でしたから、外交文書など持ち出せなかった物が多かったはずですからなあ。でも、現物が失われても内容は記録されていたようです。文面には「……アメリカ合衆国においては大勢の人々が――私もその一人ですが、貴国及び貴国の住民に興味を抱いており……」と書かれていまして、使者の目的を「法王猊下もご承知のようにアメリカ合衆国民は現在27の諸国の人民と連合して、征服欲にとり憑かれ、思想、宗教、行動の自由を破壊しようと意図する国々によって仕掛けられた戦争に抗しております。……」だから、その正義の戦争に協力して欲しいという要請を言外に滲ませております。

■ダライ・ラマ14世の名で出された返書には、「サイン入りの肖像写真」と「月齢と曜日が表示される極めて精巧な金時計」に対する御礼の言葉が書かれております。そして文面には「チベットもまた歴史始まって以来、自由と独立を享受し、これらに重きをおいて来ました。……この戦いが速やかに終結し、世界の国々が自由と親善の原則に基づく正義の平和を恒久に享受できるよう強く祈願するものであります」と書かれておりまして、改めて「中立」の立場を伝えています。

■親書に出て来る「征服欲」「思想、宗教、行動の自由を破壊」などと糾弾されているのは北京政府ではありません。また中華民国の時代でしたし、連合国の敵は三国同盟を結んだ枢軸国で、チベットの協力を得て戦う相手は大日本帝国陸軍でありました。この親書がラサに届いたのは1942年の末でしたが、日本陸軍は1941年12月にタイ、翌1942年3月にはビルマのラングーンを支配下に置いています。この年の始めから大英帝国配下のインドと中華民国は日本によって切断された補給路の代替地としてチベット南東部を使おうと、ラサ政府を脅迫しておりまして、親分の英国公使も「将来の援助」を餌にして要求を呑まそうと図ります。しかし、チベット政府は飽くまでも「中立」を守り抜き、「非軍事物資」の通過のみを人道的に認めただけでした。

■1936年10月に始まった毛沢東の大逃走作戦でも、チベット東部に逃げ込んだ第2方面軍に対してチベット政府は、人道的に通過を黙認しつつも「早く出て行ってくれ」と要請していたくらいですから、ずっと中立を守って独立していたことが分かります。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の壱拾

2010-02-21 10:46:55 | チベットもの
■共同記者会見も無く会談内容の詳細も発表されず、公表されたのは今時珍しい静止画像の写真1枚だけ。会見は粛々と地味な形に収まるように注意深く行なわれたような印象で、会見自体は「自由と人権」を擁護する国の大統領として意地を見せて強行しなければならず、かと言って過剰な演出で北京政府を極度に刺激するようなことは避けるという難しい綱渡りをしたと海外メディアは解説しているようです。

12日、香港紙・明報は、18日に予定されているオバマ米大統領とダライ・ラマ14世の会見場所が中国政府への配慮から、通常は個人的なミーティングに使用されるマップルームになったと報じた。……
2月14日 Record China

■散歩の途中でちょっと立ち寄った風情の部屋選び、後悔された写真には白いティーカップとクッキーが2枚載った小皿が小さなテーブルの上に見えます。その位置からダライ・ラマ法王のために用意された物のようで、オバマ大統領の飲み物は写っていません。撮影直前に片付けたのか、最初から来客用の茶菓しか用意されなかったのかは不明です。


18日、英国の複数のメディアは、オバマ米大統領がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことで、中国側がどのような報復措置を取るのかについて論じた。……ガーディアン紙は、中国側は会談が行われれば報復措置に出ることを強く示唆していたが、実は中国側も両国関係のひずみが制御不能になる危険性を認識していると指摘。米空母「ニミッツ」の香港への寄港を許可したのも、そうした事態を避けたい中国側の思惑が働いたためだとした。同紙は、中国が本当に米国に報復したければ、一切の軍事交流を中止し、4月に予定されていた胡錦濤国家主席の訪米を延期にするはずだとの見方を示した。……

■腐っても鯛と申しましょうか、国際情勢の分析に関しては今も定評がある英国の高級紙も今回の会見には大いに注目していたようです。何故か日本のメディアはバンクーバー五輪を盛り上げるのに急がしい振りをしてダライ・ラマ法王の米国での動きを詳しく伝えようとはしなかったような印象がありましたなあ。政権政党の中に乱暴な「正三角形」理論が出て来た時期でもありますから、米中間が緊張する話には触れたくないのかも知れませんが……。


……タイムズ紙は、米国がダライ・ラマを支持することは、「02年チベット政策法」で明確に定められているとし、オバマ大統領がダライ・ラマと会談することは、中国がそれに強く反発することと同じように避けられないことだと指摘。その上で、胡主席は今、米国に対し、どの程度の強さの報復措置をとるかについて決断を迫られていると報じた。
2月19日 Record China

■台湾問題でもしっかり法律を持っている米国が必要な武器を供与するのは当然ですし、2002年に成立した『チベット政策法』が有効である限り米国はチベット問題に積極的に関与するのも当然の話です。チベット問題に関しては2009年6月に米国下院が『在チベット領事館設立法案』と仮称される改訂法案を可決しております。その内容は以下の通りだそうです。
(1)米国政府に対し、中国政府と接触する全ての執行機関が米国のチベット政策にリンク(協調)していることを、国家安全保障会議(NSC)を通じて確認するよう指示。
(2)チベットに米国領事館が設置されるまで、北京の米国大使館内にチベット担当部署を設立することを認可。さらに政府に、米国領事館をラサに設置するよう努力するよう指示。
(3)(2)のラサの米国領事館は「チベットを旅行する米国市民へサービスを提供し、青海、四川、甘粛、雲南省のチベット人居住区を含むチベットの政治的、経済的、文化的発展を監視する」もの。
(4)チベット人に対する奨学金や研究補助金の制度を認可し、予算をチベット文化と歴史の保護や、チベットの経済発展、環境保護、教育、医療サービスに充てる。
(5)中国に対し、チベット仏教における転生のシステムなどのチベット人の宗教的問題への「あらゆる干渉」をやめるよう求める。

■(1)が規定する国家安全保障会議(NSC)によるチベット政策の一括関与というのは対チャイナ戦略が国務省の担当範囲を越える複雑なネットワークが存在していることを前提としていると思われます。一説にはチベット地域に眠る21世紀型の産業に不可欠なレアメタルを優先的に確保するための深謀遠慮があるとも言われていまして、台湾と同様に建て前としては「独立は認めない」と北京政府に同調しておいて、それでも万が一の事態が起った時には米国の国益を最優先にした動きに出るための体制作りという解釈があるようです。

■(2)と(3)では北京政府が切り刻んで今の自治区に押し込んだ政治的なチベットを無視して、歴史的事実として存在しているチベット文化圏を包括的に「監視」する機関としてラサに領事館を置くというチベット人にとっては嬉しくも当たり前の計画が打ち出され、(4)は当面の人道的援助の強化策、(5)はチベット問題の核心とも呼べるダライ・ラマ転生に関する立場の表明になっています。チャイナの懐深くラサの地に外交特権で守られた領事館を設置できるかどうか、両国政府がどの程度まで交渉を進めているか不明ですが、米国の長期戦略は既に定まっていると申せましょうなあ。今のところ、ピンハネ目的で(4)の援助くらいしか北京政府は受け入れそうもありませんが……。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の九

2010-02-20 19:21:25 | チベットもの
■とうとうダライ・ラマ法王が米国の首都を公式に訪問しました。ホワイトハウスの質素な小部屋であろうが、ベランダであろうが、雨露を凌げる場所で米国大統領との会見が実現しました。昨年はオバマ大統領の訪中予定と法王の訪米が重なって残念ながら延期となっていた約束を履行しただけのことですから、あれこれ尾鰭を付けて誇大妄想気味に憤慨して見せねばならない北京政府も、どこまで本気で拳を振り上げているのやら……。

■まあ、一回目は胡錦濤国家主席との直接会見を拒否されないようにとダライ・ラマ法王に事情を斟酌して貰って延期したことを、チャイナ側は意図的に「恭順の意」を表わしたものと拡大解釈して「愛(う)い奴じゃ」とにんまりしたようですから、今回の会見は中華に対する反逆という印象が強くなってしまったのかも知れませんが、それは勝手な思い込みというものでありましょうなあ。一部のマスコミは米中対立を大袈裟に煽っているようですが、両国は別々の独立国家なのですからそれぞれの国是に従って外交を展開するのは当然の話で、それは商売とは別の次元の事として取り扱うのが大人の流儀なのですが……。


中国外務省報道官は19日、、オバマ米大統領がホワイトハウスでチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことに対し、強い不満と断固とした反対を表明する声明を発表した。米国が反中の分離主義勢力の黙認、支援を止めることを要求するとも主張した。また、外務省は米国のハンツマン駐中国大使を呼び、抗議した。米大使館は大使と崔天凱外務次官との会談の内容の詳細には触れなかったが、大使は「両国が共に恩恵を受ける方法で協力、前進する時が来た」とのメッセージを伝えたとしている。……米中関係は、米国による台湾への武器売却発表などできしみが既に生じており、今回の会談でさらに悪化する可能性もある。……
2月19日 CNN

■台湾に売却された最新兵器がよほど怖いのか?対岸にずらりと並べた虎の子の中距離ミサイルが無力化されてしまうと、昔懐かしい毛沢東好みの人海戦術に逆戻りして強行上陸作戦を覚悟しなければならないのが嫌なのか?どちらにしても、大きな声でチベットの独立を認めない!と怒鳴ることで、その反響の中に「台湾の独立も認めない」と聞こえる木霊を埋め込んでいる心算なのかも知れませんなあ。


米国民の53%が、中国との良好な関係を維持するより同国内の人権問題で米国は強く出るべきだと考えていることが最新世論調査で18日分かった。CNNとオピニオン・リサーチ社が共同実施した。良好な関係がより重要としたのは44%だった。また、台湾問題では、中国との良好関係の維持を重視する比率より、力に訴えてでも強く対応すべきとするのが6ポイント上回った。約4分の3がチベットは独立国家になるべきだとも考えていた。

■ちょっと青臭い正義感を素直に表明するのが米国気質というもので、前政権のイラク戦争は失敗だ!と断じても懲りず主戦場をアフガニスタンに移して誤爆事故を頻発させてしまう欠点は気になりますが、自由・独立という言葉に敏感に反応する伝統は変わらないようです。もしも日本で同様の世論調査をしたら、まったく違う結果になるような気がしてしまうのは何故でしょう?「力に訴えてでも」という選択肢が最初から奪われているからとも思えますし、事を荒立てずに商売最優先の情けない選択を長く続け過ぎたのかも知れませんなあ。


……最新世論調査によると、米国民の56%がチベット亡命政府を率いるダライ・ラマを好意的に評価、逆の回答は18%だった。……
2010年2月18日 CNN

■18%もの米国人がダライ・ラマを嫌っている?ということになりますが、仏教を「偶像崇拝」の「多神教」と分類する乱暴な考え方が流布していたり、もう少し深く仏教を理解して「無神論」だと言って敵意を丸出しにする敬虔なキリスト教徒も多いと聞きますから、チベット問題や法王個人に対する好悪の表明とは違った数値になっている可能性がありそうです。それに対して56%の好意を持つ米国人の方は、もっと単純に世界の「自由と人権」を守るべき米国の使命を素直に信じているのでしょう。

■18%の中には米国社会における華僑・華人の数と地位を考えると、星条旗に対する忠誠心の裏側に御先祖様に対する尊崇の念も混入しているかも知れませんが……。

新政権に募る不安 其の弐

2010-02-14 15:16:20 | 政治
夕方の閣議開催のため、天皇陛下の夜のご執務が相次いでいる問題について、宮内庁の羽毛田信吾長官は12日の定例会見で、問題発覚後に内閣側から時間連絡などの面で配慮があるという認識を示し、「もう少し様子を見たい」とする考えを示した。……「夜のご執務は望ましくはないが、大事な国事行為のご公務との兼ね合いを考えなければならない」とした。平野博文官房長官は4日の記者会見で「陛下の負担にならないよう宮内庁と相談して対応したい」とし、10日には、閣議開催時間について連絡を早めるよう努力するという考えを示していた。閣議は毎週火、金曜に開かれる。通常国会が開会した1月18日以降は夕方の開催が相次ぎ、陛下は1月22日▽同26日▽2月2日▽同5日▽同9日に計5回の夜間執務を行われた。12日の閣議は午前中に開催された。
2010年2月12日 産経新聞

■何だか朝青(暴)龍の左手問題みたいな具合になって来ましたぞ。元横綱は親方などの言う事を聞かず自己流で型を壊して軍配上の懸賞金を受け取っていたのに、天覧相撲の時だけはちゃっかり右手で行儀よく受け取ったものでした。陛下の健康を気遣った宮内庁長官を小役人扱いして「文句があるなら辞表を出せ!」と凄んで見せた人民解放軍の野戦司令官を兼務する民主党の幹事長を筆頭に、朝はお勉強会で忙しくて閣議を開いている暇が無い素人閣僚が集まる鳩山サセテイタダク内閣も、国民から顰蹙を買ってばかりいると選挙が心配になったとて、少しはものを考えるようになったのかも知れませんが……。折角、午前中に開いた閣議でトンデモないことが確認されていたそうですぞ。


菅直人副総理・財務相と松野頼久官房副長官が、昨年11月に挙行された政府主催の「天皇陛下ご在位20年記念式典」の最中に居眠りしていた疑惑が、政府が12日に閣議決定した答弁書で“暴露”された。自民党の木村太郎氏が質問主意書で「(式典の)実行委員会副委員長である菅副総理は、天皇陛下のご臨席で、首を何度も何度もこっくりこっくりとし、居眠りをしていた」と指摘。松野氏に関しても「数回、これまた居眠りをして隣の席の松井(孝治)副長官から注意を受けていた」として、「式典に臨む姿勢としていかが」と鳩山内閣の見解をただした。……答弁書は「政府の参列者は天皇陛下のご在位20年を慶祝する気持ちで臨んだ」「鳩山内閣は天皇陛下をはじめとする皇室の方々に、尊崇の念を持って対応している」としつつも、2人の居眠りについては否定も肯定もしていない。
2月12日 産経新聞

■「慶祝する気持ち」「尊崇の念」などと、当たり前過ぎて開いた口が塞がらないことしか答弁できないのは残念なことであります。もしも、その気持ちを持たずに参列していたらエライことではありますが……。天皇陛下がご臨席の場で居眠り出来るとは、なかなか図太い神経を持った人物だ、とは誰も思ってくれないでしょうなあ。式典が挙行された昨年11月といえば菅副総理は看板だけの国家戦略室に押し込められて、一部では暇を持て余しているなどと揶揄されていた頃でありましょう。財務大臣に起用されて役人からレクチャー攻めに遭い、膨大な資料と格闘するようになる前のことですから、毎日の激務で疲れ切っていたとは言い難い時期でした。

■松野官房副長官の方は、アホな官房長官の分まで仕事をさせられて心身ともに草臥れていた可能性はありそうですが、それでも長大なオペラ観劇でもあるまいし、場所柄も弁えずに居眠りするのは如何なものか?隣に座っていた同じ副官房長官に起こして貰っていたのなら猶更、政治家個人として見過ごせない失点だったと言えそうですなあ。

■同じく12日午前の閣議では、在日外国人参政権問題と沖縄基地問題に直結しそうな重大事も話し合われていたそうです。
 
 
政府は12日の閣議で、日韓両国が領有権を主張する竹島について「現在の竹島は現実にわが国が施政を行い得ない状態にある」として、日米安全保障条約の適用外とする答弁書を決定した。国民新党の亀井亜紀子氏の質問主意書に答えた。答弁書は、日米が共同で防衛にあたる、日米安保条約第5条が規定する範囲を「わが国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合」と説明。竹島では米国の防衛義務が生じないとした。
2月12日21時28分配信 毎日新聞

■「施政を行い得ない状態」のまま放置していたのは前政権の重大な責任ですが、連立与党である国民新党からの質問に対して、「何かあっても指を銜(くわ)えて見ています」とも解せる答弁を作るとは……クラッシャー小沢の「普通の国」は何処へ行ったのでしょう?日米安保の規定外だとしても日本が領有権を主張している大事な島なのですから、勿論、万が一の場合は自衛権によって防衛活動はするのでしょうな?小沢流の票田開拓戦術を突き進めて変な参政権を認めてしまうと、人口の少ない島根県に突如として「竹島放棄」を公約とする政治勢力が現われるかも知れません。

■「トラスト・ミー」「ゼロベース」「沖縄県民の声」「5月に結論」と発言がころころ変わる鳩山サセテイタダク首相ですから、日米安保の規定から外れる島がもっと増えて行くのも心配です。約束を守らない報復として米国が台湾以北の東シナ海西半分にも出て行かないかも?などと言い出したらガス田問題はあっと言う間にチャイナの思惑通りに進んで行ってしまいそうです。一体、鳩山サセテイタダク首相は何処の誰の「命を守りたい」のでしょうなあ。まさか、自分が「まったく知らない」うちに毎月15000万円ずつ与えてくれた母親のことばかり考えているわけでもないのでしょうが……。
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新政権に募る不安 其の壱

2010-02-14 15:15:23 | 政治
■仮免許の試運転期間はとうの昔に切れていて、今の鳩山サセテイタダク内閣は天下の公道を失踪……ではなくて疾走中のはずであります。国の内外を問わず難問山積で、中には前の政権が小手先で誤魔化しながら先送りしている間に雪達磨式に大きくなり過ぎた問題も多々含まれてはおりますことは同情に値することではありますが、選挙期間中に高く掲げて振り回した国民との約束・契約・マニフェストがなし崩しに反古にされて行くのは感心しませんし、新たなに火種を掘り起こして手が付けられないというのも困ります。

■攻める野党の自民党としては「政治とカネ」という与党時代に散々に苛められた苦い思い出がいっぱいのテーマで意趣返し、それで党内を結束させて勢いをつけたいのは山々でしょうが、鳩山一家の奇怪な母子関係やら小沢幹事長が引き摺る昔懐かしい田中角栄時代の長くて太い尻尾を踏み付けて見せても、次の選挙で票を呼び戻す効果は薄いのではないでしょうか?確かに鳩山サセテイタダク首相を始めとして閣僚たちが素人同然にしどろもどろの答弁をする姿を見せられ続ければ、間違いなく民主党に流れた票が蜘蛛の子を散らすように何処かに消えてしまうでしょう。しかし、その先が自民党だとは到底思えないのであります。


衆院予算委員会は9日午前、鳩山由紀夫首相と全閣僚が出席し、基本的質疑を続けた。岡田克也外相は、核兵器持ち込みに関する日米密約の調査について「確定的なことは言えないが、3月のしかるべきときには結果が出る」と述べ、調査結果が3月ごろになるとの見通しを示した。平岡秀夫氏(民主)の質問に答えた。

■沖縄の普天間基地が何処に移転するのか?という大問題に答えを出すことになっているのが5月ですから、その2箇月前に「密約問題」の調査結果が公表されることになるわけですなあ。今の連立政権ならば、秘密裏に米軍の核抑止力を東アジア全域に及ぼしてくれて有難う、という結論にはなりそうもありませんから、本気で「自分だけ非核」戦略を打ち出すことになりそうです。その勢いで「核も要らない、海兵隊も要らない」と社民党辺りがはしゃぎ出したらどうなるのでしょう?


……長妻昭厚生労働相は、10年度予算の社会保険関連事務費などの事業費(4475億円)のうち、年金保険料から2046億円を充てていることを明らかにした。民主党はマニフェストに「年金保険料を年金給付だけに充当する」と明記しており、質問した大村秀章前副厚労相(自民)は「明確なマニフェスト違反だ。謝罪すべきだ」と追及した。長妻氏は「マニフェストは4年で実現することになっている。初年度に実現できなかったことは遺憾だ」と答弁したが、大村氏は納得せず、紛糾した。……
2010年2月9日 毎日新聞

■4年後に年金制度はどうなっているのか?自民党時代に行く不明になった年金記録を探索修正する費用に加えて2000億円もの事務費を充当する財源が見付かるのか?自民党が社保庁を監督管理できなかった歴史的な責任は余りにも大きくて、この一つだけでも10年や20年の反省・謹慎期間が必要だろうと思えるくらいであります。年金問題をきれいに解決して国民の信頼を取り戻すには、4年は短過ぎるような気もしますが、将来のビジョンを示すのに要する時間としては長過ぎるような気がします。

■責任の所在と制度上の問題点を徹底的に明らかにしないまま、自民党が先に決めていた看板の架け替え政策をそのまま継承するだけでは、何も変わらないまま新たな年金問題が再び起こるだけかも知れません。先の事業仕分けでも、年金積立金を運用すると称して政府の指示に従って国債を買ったり民間金融機関に実際の運用を丸投げしているだけの天下り団体には指一本触れられなかった民主党政権が、4年たったら国民が驚くような立派な年金制度を作り上げるとは思えなくなってしまった今日この頃であります。
 

平野博文官房長官は10日の記者会見で、鳩山政権で始まった夕方の閣議開催が天皇陛下の執務の長時間化につながっていると指摘された問題について、「前日に連絡できるものは連絡をし、できる限り陛下の負担を軽減するように努力はしている」と釈明した。事前連絡があっても天皇陛下が夜間に執務せざるを得ないとの見方に関しては、「精神的に軽減できるのではないか。(執務も)明日の朝でもいいものもあり、そこは幅の中でやっていただける」と述べた。……。
2010年2月10日 産経新聞

■本来なら議場から消えて無くなったはずの官僚答弁が、閣僚の背後からメモを渡す黒子となって復活している図は、何だか出来の悪い落語の一場面のような感じがしますが、所詮は素人集団だったと「政治主導」の看板を徐々に小さくして行くしかないのが現状。天皇陛下を露骨に政治利用するのも「政治主導」の一環だとバレてしまった鳩山サセテイタダク内閣を見渡してみれば、皇室軽視の政治家生活が長かった人が目立っているようですから、自動車会社の労働組合出身の官房長官が「努力はしている」と困ったところに「は」を挟み込んだ答弁をしてしまうのも仕方がないのでしょうなあ。

既視感と呼ぶには間が無くて 其の弐

2010-02-14 08:04:45 | 社会問題・事件
まるでどこかの元横綱の会見を見ているかのようだった。トレードマークのドレッドヘア、鼻ピアス姿で現れた国母は「その件(服装)について、指摘されたので(入村式を)欠席しました。反省してまーす」と悪びれる様子もなく、語尾を伸ばし謝罪。騒動も、どこ吹く風だった。事の発端は、9日の成田からの移動の際にサングラス、シャツ出し、ズボンをズリ下げ姿だったこと。テレビなどで国母の姿を見た視聴者から、全日本スキー連盟に抗議があり、この日は日本オリンピック委員会(JOC)が、日本代表選手団の橋本団長を通じて注意。JOCの市原則之専務理事は「スポーツマンの常識からかけ離れてる。国民の代表として来ている人間の服装じゃない」と、声を荒らげた。

■今時は「服装の乱れは心の乱れ」などと昔の風紀係みたいな事を言っても仕方がないのでしょうが、朝青(暴)龍も髷に浴衣姿という相撲の伝統的な風俗を軽視していることを何度も指摘されていましたなあ。「スポーツマンの常識」とスノーボード界の常識とが合致していないのを承知で、商売優先の理屈を押し通すから五輪種目が不自然に増え続ければ、こういう結果になるのではないでしょうかな?そもそも入場行進を乱雑で無作法な観光客の集団散歩にしてしまった阿呆な米国流を容認した時点で、五輪大会の歴史は大きな曲がり角を通過していたような気もしますなあ。


前夜に入村式参加自粛について本人と話し合ったというスノーボードの萩原監督は「本人はこんなに大騒ぎになるとは思ってなかったみたいで、深く反省していた。本当に残念」と話していたが、プロボーダーとして活動もしており、五輪について「自分にとって活動の中の一つ。特に位置づけはない」と話す若武者には、それほど効果はなかったようだ。最後には国母の態度にしびれを切らした萩原監督が「特に男子は若い子が多くていろんな面で言葉足らず。迷惑をお掛けするかもしれないですが、よろしくお願いします」と、“謝罪”する異例の展開となった会見。……自分の演技を見て、“しぶい”と思ってもらえたら」と意気込む国母だが、2度目の五輪の舞台はメダルへの期待とともに、“日本代表選手の品格”も問われることになりそうだ。
2月12日 デイリースポーツ

■JOC=相撲協会、監督=親方、メダル=優勝と対応させれば朝(暴)龍騒動と瓜二つ。相撲は純粋にプロの興行事業でもありますから、他の格闘技商売との違いがどんどん減って行く可能性があるでしょうし、その先例となっているのが五輪大会ということが言えそうです。参加国の出場枠に入れる実力を持ち、あわよくば表彰台に乗って世界中に顔と名を売れば実入りがぐんと良くなる。そのための大きな階段でしかない五輪大会なら、何もかもが自分のため、国の威信や崇高な精神などは何処かに置き忘れたかのように世界最大のイベントを「楽しみます」と素直に?言い放つ若者は増え続けるのでしょうなあ。既にその是非を論ずる時は過ぎているようですが、相撲はどうなのでしょう?


……国母和宏選手(東海大)が12日、バンクーバー市内で会見し、改めて謝罪した。国母選手は10日の入村式に続き開会式参加も自粛。17日の競技には出場する。国母選手は会見で「ご心配、ご迷惑をおかけしすみませんでした」と謝罪。「いい滑りができるように頑張ります」と話した。橋本団長は「結果を出すことでおわびすることが大事」とし、17日の競技を視察する。

■やっぱり「結果=勝利」が一番大事なのか?と嘆息が漏れそうな団長発言であります。勝てば何でも許されるんだなあ、と多くの若者に正確に伝わってしまいますが、それで宜しいのでしょうか?国際親善にも、スポーツを通しての人間の精神や尊厳の向上にも、厳粛な儀式性が必要なのではないでしょうか?入村式が形骸化し開会式は単なる大掛かりな見世物でしかなくなった五輪大会は、これからますます空疎な催し物になって行きそうです。


9日の日本出発時とバンクーバー到着時、国母選手は日本選手団公式ウエアのネクタイを緩め、ズボンを腰の低い位置に下げ、シャツのすそも出していた。……SAJは五輪代表推薦の取り消しを申し入れたが、橋本団長が国母選手と話し合い、最終的に出場させることを決めた。橋本団長は国母選手の服装については選手団の規範に反しているとの判断を示したうえで、「ここまで来て試合に出ない方が無責任。責任をまっとうしてほしい」と理由を説明した。また、服装の乱れを正せなかった萩原文和監督と2人のコーチにも責任があるとして、開会式出席を自粛させた。今後は五輪終了後、SAJが処分を判断する。
2月13日 産経新聞

■少なくとも「責任=試合」が終わるまではマスコミも下手に騒いで八つ当たりされても困るので静観の構えとなるのでしょうが、大会終了後に「処分」が待っているような状況で、まともに競技に集中できるのか?と心配になります。海から無理やり山に登って来たようなスノーボードという新しい競技に関して、何の知識も興味もない者としても五輪大会の歴史に残りそうな開会式の欠席という事態には大いに興味が湧きます。もしかしたら慌てて付け焼刃の知識を拾って国母選手の競技を凝視することになるかも?

■報道されている映像を見る限り、競技である程度の成績を残せれば国母選手の「商売」には大した支障は無さそうですし、逆に今回の騒動で箔が付いて最高の宣伝になった可能性さえありそうです。それにしても、会見の映像を観ながら、変わった防寒帽子を被っているなあ、と思ったら国母選手の髪の毛だったのですなあ。新聞の全面広告に掲載された顔写真では後頭部でチョン髷風に束ねていたので誤解してしまったのでした。この騒動の後で金星を獲ってしまったら、親方衆や協会に当たる責任者たちはどうするのでしょうなあ?
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既視感と呼ぶには間が無くて 其の壱

2010-02-14 08:03:34 | 社会問題・事件
■教育に関して「個性」だ「ゆとり」だと分かったような分からないような旗が揚げられて授業時間を削り、教科書を薄くしてみたら、今度は学力崩壊だ!モンスターペアレントが急増だ!と慌てて時間を巻き戻そうとしたのは旧自公連立政権でしたが、不思議なことに弱肉強食放任政策が目立った小泉長期政権の時代に「ナンバーワンよりオンリーワン」という、これまた分かったような分からない歌詞の歌が大流行していたおりました。朝青(暴)龍が一人横綱で頑張っていた時期とも重なる長きに亘った自民党政権の末期でありました。

■バブルの崩壊、その後の「失われた10年」、ずっと続くゼロ金利、こつこつ働いて将来のために貯金していると結果的には損をする。国の年金制度を信じて保険料を言われるままに払っていると、これまた酷い目に遭うかも知れない。長引く不況で就職先に困り、うっかり派遣社員に登録すると抜け出せなくなる。それより欧米を見習って株や為替で一攫千金を狙う方が賢いのだ、と囃し立てる者が出て来た時代の寵児になったのがホリエモンで……。

■朝青(暴)龍の引退騒動は真相が分からないまま日本相撲協会の太い腕で強引に幕引きが図られましたが、これから一波乱も二波乱もあるような雲行きであります。どうやら横綱の品格などという業界内の問題を越えて、商売上の個人的な付き合いが広がっている中に相当に怪しい人物が絡まって来ていることを知って腰を抜かした相撲協会が慌ててトカゲの尻尾を切り、縁切り口止め料を出して一件落着、あの人は「元横綱ですから」と今後何が起こっても無関係だと言い張れるアリバイ作りをしたような印象が残っております。

■最初から最後まで「品格」を問われ続けたモンゴルの暴れん坊は、高校時代に留学を決意した時から自分がモンゴル一の出稼ぎ出世頭になろうと固く心に決めてから、どこか暢気な日本人の何倍も稽古を重ね相撲という「競技」を研究し尽くして横綱に上り詰めたのでありました。そこには結果がすべての勝利至上主義が貫かれていたようで、それが激しい好悪の感情を呼んでファンを二分して奇妙な人気を呼んだので、高砂部屋も相撲協会も大切な米櫃として重宝し、マスコミも何かと騒動を起こしてくれる横綱にはたくさんのネタを提供して貰ったので足を向けて寝られないとか……。

■このところ世間のあちこちで目立つのが、本来の目的とはちょっと違う商売上の思惑がどんどん混ざり込んで素人の目にも露骨に映るほど表面化し、ケジメが無くなっているような気がします。何でもかんでも伝統の名に安住しているのも、自主性を捨てて先例を墨守するのも感心しませんが、それでも守るべき一線が消えてしまうと収拾が付かなくなって元も子も無くなってしまいます。世界最大のスポーツ興行と化した五輪大会も例外ではありますまい。


バンクーバー冬季五輪日本選手団の入村式が10日、バンクーバーの選手村で行われ、橋本聖子団長やスノーボードの男女ハーフパイプ代表ら30人が出席した。メダル候補に挙げられる国母和宏(21)=東海大=は、成田からの移動時に公式ユニホームを乱して着ていたとして、日本オリンピック委員会(JOC)から注意を受け、式への出席を自粛。ただその後、公式会見に出席した国母に反省の様子はなく、あくまで“オレ流”を貫いた。

■「オレ流」というのはプロ野球の落合監督が選手時代に使われ始めた言葉のはずですが、いつの間にか周囲から浮き上がった人物を嘲笑もできるし絶賛もできるという実に便利は道具に進化したようですなあ。さんざんに持て囃された「個性」を全身から発散させていないと商売にならない「競技」が五輪大会に混入しているのが実態なのではないでしょうかな?

ダライ・ラマ法王が訪米 其の八

2010-02-14 06:39:04 | チベットもの
■アルナチャルプラデシュ州は立派なチベット文化圏で1959年のチベット動乱で若きダライ・ラマ14世がインドに亡命した折にも、同州のタワン寺に滞在して情勢判断のために情報を集めたり会議を開いたりしたそうですが、この御寺はブータン国境に近く、皮肉なことに大英帝国の置き土産となったマクマホン線と北京政府が「もっと南だ!」と主張する国境線に挟まれているのであります。

■そういう曰く因縁のある思い出の地を訪問してはダメだ!と激しく抗議している北京政府としては、単なる国境画定問題を越えて半世紀前のチベット大動乱を皆が思い出してしまったら困るという事情もあったのでしょうなあ。
 
 
……中国外交部の馬朝旭報道官は20日、北京での定例記者会見で「中国政府はダライ・ラマによるインド訪問に断固として反対する」と述べた。……ダライ・ラマは11月の第2週にインドのアルナーチャル・プラデーシュ州を訪問する予定で、インド政府高官は「ダライ・ラマがアルナーチャル・プラデーシュ州を含むインドのいかなる場所への訪問も許可する」と述べた。

■「解放」によって領土を切り刻まれて小さな自治区だけを与えられたチベットとしては、長い交流の歴史のあるインドとの間に境界線を引けと言われれば、大英帝国の線とも北京政府の主張とも違う区分けを提案したいところなのでしょうが、残念ながら亡命政府を受け入れてくれている恩義のあるインドに対して国境紛争を起こす必要はなさそうです。


中国国際放送局によると、中国はインドのアルアルナーチャル・プラデーシュ州について、「1954年、インドは一方的に確定したマクマホン・ラインの南方において東北辺境特区を設立し、1987年にそれをアルナーチャル・プラデーシュ州に昇格させたが、地理的には中国チベット南部地区の一部で、歴史では中国の領土に属している」と主張する。

■少なくとも17世紀からは「チベット南部地区の一部」だったのは確かなようですが、「歴史」を根拠に「中国の領土に属している」と断定するのは強引過ぎるでしょうなあ。


馬朝旭報道官は「周知のように、中国政府はインドのアルナーチャル・プラデーシュ州における立場は一貫している。中国はダライ・ラマの今回の訪問に強い関心を持っており、今回の訪問はダライ・ラマの中国を分裂させようとする本質をさらに暴露したものだ」と指摘した。
2009年10月21日 サーチナ

■以上のように、ダライ・ラマ法王のインド訪問というのは国境未確定の紛争地に世界の耳目が集まると「分裂」が心配になる北京政府にとっては看過できない大問題なのであります。インド政府が北京政府の横槍を制して後ろ盾になってくれた御蔭で、ダライ・ラマ法王は目出度く11月8日に思い出深い?タワン寺僧院を訪問したのでした。訪問する前には何だのかんだの文句を言っていた北京政府は、訪問してしまった後はインドに対しても沈黙しているようです。もしもタワン寺訪問を許可・支持したインド政府の裏には米国政府の影が動いていたとしたら、今回のオバマ大統領との会見に対して北京政府が驚くほどしつこく怒っている理由も分かるのですが……。

ダライ・ラマ法王が訪米 其の七

2010-02-13 15:46:22 | チベットもの
■米中関係が怪しい雲行きになっているというのに、日本では上野動物園にパンダがやって来る!という話が大ニュースになっているとか……。「パンダなんか要らんぞ」と啖呵を切っていた石原都知事が、五輪誘致運動の一環なのか、はたまた新政権を牛耳っている不起訴幹事長からの要請があったのかは分かりませんが、レンタル料を値切って繁殖目的でパンダのつがいを借りることにしたそうですが、ダライ・ラマ法王が来日する予定が明らかになった時にも、マスコミは同じくらいの扱いをして欲しいものです。

ダライ・ラマは2003年以降、チベット独立を希求する従来の方針を転換し、中国指導部との対話による問題の平和解決を目指す中道路線に転じた。しかし、直接対話は実現せず、「特使による予備協議でも成果も進展もない」(チベット亡命政権筋)。このため、ダライ・ラマは会見で、「国際社会はチベットへ、そしてウイグル(新疆ウイグル自治区)に行き、真実を見極めてほしい」と話し、国際社会がチベット問題に対する関与を強めるよう強く訴えた。

■ウイグル騒乱が起って間もない来日でしたから、このような発言も出ましたが、日本の多くのマスコミはこの切実な提案に同調した様子は見えなかったらしく、情報管制の厚い壁を破って「真実」を伝えてくれたテレビ番組や新聞記事は無かったようです。まあ、純粋に学問的な共同研究を日中両国の歴史学者が行なっても、現代史を扱った部分は非公開にしてしまうような国ですから、「真実」が明るみに出るには気が遠くなるほど長い時間が過ぎるか、お家芸になっている血生臭い政権交代でも起らない限り無理なのでしょうが……。

■さて、お話は訪米が本決まりになる前に起っていたダライ・ラマ法王のインド訪問の話の続きです。


ダライ・ラマの訪日は今回で13回目。(11月)7日に離日してインド・ニューデリーに戻った後、中国が領有権を主張し、中印間の火薬庫となるインド北東部の国境地帯に入る。亡命政権筋によると、訪問目的はアルナチャルプラデシュ州タワンで行う「支持者向けの法話」で、現地入りは10日前後となる見通しという。
2009年10月31日 産経新聞

■このインド北東部に足を踏み入れることに関しても北京政府は盛んに文句をつけて騒いでおりました。歴史を掘り返せば現代に中東問題を残した大英帝国がインドを支配していた1914年に開かれたシムラ会議で決まった一本の国境線が紛争の発端になっているのですが、インドとチャイナにはこのアルナチャルプラデシュ州と北部のカシミール地方アクサイチンという領土問題が残っています。アクサイチンの方はほぼ無人の山岳地帯で鉱物資源も見付かっていない3万8千平方キロの土地ですが、1962年に中印紛争が勃発した記念すべき?場所でもあります。

■一方のアルナチャルプラデシュ州はブータンの東隣で中東問題のタネを撒いたマクマホン卿が秘密裏にチベット(チャナイではありません)とインドとの境界線を押し付けてインドの州になった歴史的な経緯があります。国民幸福度とか何とか、味気ないGNPに替わる国力を測る尺度が少しばかり話題になったことがありまして、ブータンは世界で一番幸福度が高いというので、テレビ番組でも熱心に取り上げていましたが、あまりブータンがチベット仏教文化圏に入ることには触れたがらなかったようでした。

■ブータンの人たちが幸福感に満たされて暮らせるのは、宗教に根ざす独特の死生観を持っているからでしょうし、日本も仏教と言われているはずなのに、どこが違うのだろう?と考える大切な材料になる話なのですが……。