旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

亥年は政変の年 其の弐拾壱

2007-06-28 22:56:18 | 政治
■地味ながらなかなか面白い業績を残した小渕総理の時代を知ろうと、その関連の本を読めば、必ず出て来る言葉が有ります。それが「恒久減税」です。「永代供養」の「永代」と、自民党が約束した「恒久」と、さてさて、どちらが長いでしょう?これは高等数学の「無限問題」にも通じる、非常に面白い頭の体操ですぞ!そんなまともな「日本語」の問題は無視されて、何故か今年の六月から日本国の「恒久
」が終了しました。それを決定した自民・公明政権は「増税ではない」と言い張っています。「恒久」と「100年安心」と、二つ並べると、どうもこの政権は時間感覚が壊れているとしか思えませんなあ。


6月から始まった「住民税増税」をめぐって、自治体がパニックになっている。新潟県五泉市では、「住民税が上がると生活できなくなる」「オレに死ねというのか」と職員が住民にナイフを突きつけられる事件が起きている。三位一体改革によって、これまで所得額によって5%、10%、13%の3段階だった住民税は、6月から一律10%に統一される。これで年収500万円の標準家庭は年額6万円、年収700万円なら9万7500円の増税になる。さらに、定率減税の全廃が加わり、年収700万円なら4万1000円、1000万円なら8万9000円の増税分が上乗せされるから、あっと言う間に10万円超の増税になってしまう。

■この時期ですから、別にナイフを振り回さなくても良さそうです。しっかり「選挙」に参加して、立会い演説会や街角演説にも小まめに出掛けて、どんなに忙しくても力の限りに「ターゲット議員」に向かって罵詈雑言の野次を投げ付ける。物体を投げると犯罪になりますし、「名誉毀損」になるような個人的なネタは現金です。その代わり「年金はどうする!」「またウソをつくのか?」「いい加減にしろ!」この程度の事を大声で叫んでも、警官が飛んで来ることはないでしょう。ただ、強力な「支援団体」がガードを固めている某政党の候補者に向かう時には、ちょっとした逃げ足の速さが必要かも?でも、その政党を熱心に応援している人達は、あらゆる縁を頼って電話や手紙で必死の選挙運動を展開する事で有名ですから、応援依頼電話が来たら、迷惑がらずに新聞記事などを存分に利用してぐちぐちだらだらと、「あれはどうなるのか?」「その根拠は何か?」「それは本当か?」などなど、じっくりねっとりと質問攻めにするのも良いかも知れませんなあ。


各自治体は先週、確定申告をしている住民に対して「納税通知書」を一斉に郵送。増税額を知った住民が役所にドッと押しかけ、どの役所にも苦情電話が殺到し、仕事にならない状態に陥っている。
「1日に1400本の問い合わせの電話があります。住民税増税については広報してきたつもりですが、実際の増税額を知って驚かれているようです」(東京・杉並区)「1日に200人近くの区民の方が役所に来られています。計算式をお見せして納得していただくしか……」(世田谷区)……安倍政権は住民税増税に対する国民の反発が強まらないように「住民税の増税は所得税の減税とセットです」と盛んにPRし、定率減税の全廃に触れようとしなかった。それが逆に混乱を招いているという。「サラリーマンは6月25日の給料日に住民税の増税を実感するはずです。このまま参院選に突入すると考えたら恐ろしい」(自民党関係者)……
6月21日 日刊ゲンダイ

■このように、正確には「恒久減税」と呼ばなければならないのに、「定率減税」という言葉に変わっているのです!これは「日刊ゲンダイ」だけが、いい加減なメディアだという話ではありません。何故か日本中の大手メディアは一斉にこの言い換えを採用しているのです。平時の政治は税制とほぼ同義です。米国が英国に対して独立戦争を仕掛けたのは「増税」に対する怒りが原因でしたし、チャイナの歴代王朝が倒されたのは正規の税金以外に腐敗役人が好き勝手に税金を要求したからです。他にどれ程重要な政策が有ろうと、納得いかない税制を実施する現政権を追放するのは、民主政治の常道です。

■保存しておいたちょっと古いネタを取り上げていますが、リアル・タイムの世界では、宮澤元総理が死去しました。日・漢・英・仏語を自在に操る大正デモクラシーの教養人として育ち、東大法学部以外の高等教育機関を一切認めない明治以来のエリート官僚主義の権化みたいな人でしたが、宮澤さんが歴史に刻まれるのは、サンフランシスコ講和条約の裏交渉や議員会館で暴漢と立ち回りを演じた逸話ではなく、長く続いた自民党単独政権の最後の首相になったというこの一点でしょう。弔問に駆けつけた安倍総理は、きっと背中に冷たい汗が流れたに違いありません。これはきっと前兆だ!と思ったのではないでしょうか?

■でも、あの時のように甘いの辛いの固いの柔らかいの、何でも有りのごった煮政権が出現するのだけは勘弁して貰いたいものですなあ。あの時も「改革」という虚しい言葉が錦の御旗になって、結局は泥舟の社会党を逃げ出した人、消滅した民社党からの亡命者、自民党内の権力闘争に敗北した元田中派の議員などなど、どう考えても一つの集団など構成できるわけもない政権が出来てしまった、実に恥ずかしい時代でしたなあ。

■これほど無茶クチャな政権を倒すためには、野に下って冷や飯の不味さに驚愕した自民党の残党は、手段を選ばず「数は力だ!」の田中角栄さんの教えを守って、死に体だった社会党の死肉を漁って村山政権という笑うに笑えないトンデも内閣を作ってしまったのでした。政治ネタを得意とする四コマ漫画の作者や新聞の風刺がを描いている人にとっては大助かりでしょうが、第二の細川政権だけは勘弁して欲しい!

亥年は政変の年 其の弐拾

2007-06-26 22:35:47 | 政治
■米国のイラクと日本の年金問題は泥沼のようです。選挙が迫る中で、案の上、参議院の会期を伸ばしたらほとぼりが冷めるどころか、長年の膿みは底なし状態で吹く出し続け、どんどん具体的になって行きますから、誰かに不安と不満と怒りをぶつけたい気分が日本中に蔓延して行きますなあ。

兵庫県豊岡市の女性(90)が、戦中から戦後にかけて会社勤めをした際に加入していた厚生年金を受給しようと、約30年前に豊岡社会保険事務所に申請したものの、「記録がない」と支給を拒まれ、昨年になって加入記録が見つかっていたことが分かった。女性は最近5年分約150万円を受け取ったが、残る24年分約500万円は時効で受給できずにいる。女性は事務所に記録漏れを再三訴えたといい、社会保険庁関係者は、窓口の職員が必要な確認作業を怠ってきた可能性を指摘している。……
6月24日 読売新聞

■正に「数は力」で、マスコミが火を付けると、我も我もと「昔話」を思い出しての告発合戦です。マスコミは次々に飛び込んで来る可哀想なカモを材料に、いつもながらの過剰演出を織り込みながらの大奮闘です。でも、「30年間」もこの問題を放置していた、「横一列」の大手マスコミにも、大きな責任が有ると言うべきでしょうなあ。既に70年代から年金の支給制度が狂っている!という悲惨な声が上がっていた事実もバレていますぞ。それなら、この40年間、マスコミは何をしていたいのでしょう?マスコミ業界の上層部は、高級官僚や政治家や企業人と対等に付き合っている間に、役人と同じ権力と大企業の経営陣と同じ収入を得るのが当然と思っている節も無きにしも有らず……。まあ、戦中と戦後のマスコミと政界・軍部・財界との関係をちらりとでも見れば、日本のマスコミがそうなってしまうのも仕方が無いなあ。と思えるのですが……


約5000万件に上る年金記録の不明問題を巡り、当時の社会保険庁年金保険部が79年以降、変換ソフトなどを使い、厚生年金の被保険者の氏名を漢字から片仮名に置き換えた際、本人から確認せずに勝手に読み仮名を入力していたことが分かった。同庁はこれまで、97年の基礎年金番号導入時の社会保険事務所や自治体の入力ミスが年金記録不明の主な原因などと説明してきたが、本庁でのミスと確認の不徹底が大きな要因となったとの見方が強まっている。

■とうとう、遥か昔の70年代まで引っ張り出されてしまいました。「30年も前の領収書など有るか?!」と怒りの声が弱い立場の国民から上がっていましたが、何の事はない。当時からまともなデータを社保庁が持っていなかったのが理由で「門前払い」をし続けていただけのようです。盗人猛々しいとはこのことですなあ。今更、「ボーナス返納」などと言われてもねえ。ゼロからシステムを組み上げるのも大変ですが、ずたずたボロボロのゴミ・システムのメンテナンスは、その何倍のエネルギーと資金が必要なのでしょう?算盤という世界に冠たる計算器具で、盤面がごしゃごしゃになったら「ご破算」にしてやり直すでしょ?でも、算盤の玉と2万人近い社保庁職員とは、やっぱり別なのでしょうなあ。


……被保険者記録は以前、国民年金は片仮名で、厚生年金は東京都と沖縄県を除いて漢字で管理していた。1957年からパンチ入力したカードや紙テープが使われ、62年度には磁気テープを導入。この際、漢字は1文字を4けたの数字コードに変換して入力した。同庁は78年までに、厚生年金の被保険者の氏名約5400万件を漢字から数字に置き換えた。同庁は79年、オンライン化に伴い、処理を早くするために、厚生年金記録の氏名を漢字から片仮名に変更することにした。厚生年金の入力は、各社保事務所から台帳の一部を送らせ、すべて当時の年金保険部業務1、2課(現・同庁社会保険業務センター)で担当。その際、漢字を仮名変換するソフトを使うなどし、数字コードに置き換えられた漢字を変換した。

■ワード・プロセッサーは英語文化圏で誕生した機械でした。スペル・チェック機能が付いている上に、画面上で何度でも打ちなおせる夢のタイプライターとして華々しく登場したのです。しかし、漢字と仮名文字が混在している日本語には、この種の機械は無関係だと思われていたのが60年代。しかし、確率計算に基づいた日本語文法の構造分析を頑固に進めたエンジニア達が、夢の日本語ワープロを開発してしまったのです!「漢字を4桁の数字」にするシステムは、ずっとチャイナの電子化を阻んでいた大きな壁だったのと同様に、日本語も膨大な漢字の底なし沼に沈んでIT時代に対応は出来ないだろうと思われていたのでした。この壁を易々と越えられたのは、「てにをは」の存在でしたなあ。

■日本語の「てにをは」の凄さを知りたい方は、拙著『チベ坊』をお読み頂きたいと切望しておりますが……。


ところが、このソフトは漢字の一般的な読み方をするため、正しい読みと違うケースも多かったとみられる。しかし同庁は本人に確認せず、相当数がそのまま置き換えられたとみられる。オンライン化が本格実施された866年以降は、社保事務所で入力するシステムになった。87年までに仮名入力された厚生年金記録は8862万件に上った。社保庁はこれまで、記録の誤りの原因について「(本人の)市町村への届け出の誤り、市町村からのデータの誤り、事業主の届け出など過程ごとのヒューマンエラー発生は否めない」(5月25日の衆院厚労委員会での同庁運営部長答弁)などとし、本庁のミスについては明確にしていなかった。しかし、約5000万件のうち約4000万件に上る厚生年金の不明記録は、仮名変換時の本庁のミスと確認の不徹底が大きな要因となった可能性が高いとみられる。社保庁総務課などは「漢字を一般的な読み方で仮名にしたという話はあるが、詳しく承知せず、今後の検証の課題だ」と話している。
6月24日 毎日新聞

■日本語の深層に触れるような技術の大発展が起こった時期に、常に先回りしようとして方向を間違った役人が敷いたレールの上を、「先例主義」と「予算消化主義」が暴走していたのですなあ。実質的に日本語の構造を無視する決断をした事を、当時のテクノクラートはまったく知らなかったのでしょう。有名大学に一直線に続いていた「エリート進学」コース上には、日本語の教養を高めるカリキュラムも、何より試験科目が無かったのですからなあ。今も、大した事は習えないのですが……。

軍隊ダイエット 其の弐

2007-06-26 00:15:26 | 日記・雑学
「ビリーズブートキャンプ」(ビリーの訓練所)で有名なビリー・ブランクス氏(51)が来日し、テレビの情報バラエティー番組をにぎわしている。ツルツル頭でキック、パンチ、手をグルグルと激しく回すたくましいアフリカ系米国人男性の姿を、深夜のテレビ通信販売番組で見た方も多いのでは。ビリーズブートキャンプは7日間の短期集中ダイエットプログラムのDVD。世界での販売数は1000万セットといわれ、ビリー氏はその“訓練所”の隊長だ。

■違法な残業代踏み倒しの犠牲者と長距離通勤を強いられる人達が、「深夜のテレビ通販番組」を観ているのではないでしょうか?そんな番組を観ている事自体が、残念ながら不健康と言われても仕方が有りません。日付が変わる頃には安眠態勢に入っていたいものですなあ。まさか、テレビ通販で買った過激な兵隊体操を、日付が変わった狭苦しい居住空間で実演しているのではありますまいな?!


4枚組のDVDは「ビリーバンド」と呼ばれるエクササイズに使用するゴム製のバンドがセットになって価格は1万4700円。日本の販売元になっているオークローンマーケティング(名古屋市)は国内での販売枚数を明らかにしていない。ただ、単純に1万4700円を全世界で1000万セット売ったとするとその額は1470億円にのぼる。今回の来日では、多数のテレビ番組に出演するほか、24日には東京ドームで“合同演習”をこなす予定だ。

■「隊長」「演習」とマスコミは大はしゃぎですが、同じ言葉を自衛官が使うと変に文句を言われてしまうのは何故でしょう?「こんな血生臭い物を買っては行けません!」と憲法擁護派から声が上がるかと思ったら、そんな事も無いようです。確認はしていませんが、筑紫哲也さんの番組の後や、ニュース・ステーションの数時間後には、この米国兵隊体操のテレビ通販番組が放送されているのではないでしょうか?深夜や早朝の押し売り洗脳通販番組は「宣伝番組」の枠ではなくて、「情報提供番組」だから許されるという建前なのですから、ニュースで憲法9条・平和・沖縄……を深刻な顔で「報道」していながら、この種の商売に加担するのは如何なものでしょう?

■まあ、オウム真理教もコムスンも、テレビ媒体を利用して急成長したのでしたのですから、放送する側にあれこれと求める前に、視聴側が警戒すべき事なのでしょうなあ。


米陸軍専属トレーナーを経て、ハリウッドスターやアスリートのトレーナーとして活躍しているというビリー氏。1週間という短期間で5キロ以上のダイエットを強いられるハリウッドスターにも彼の信奉者は多い。米国ではヨガと並ぶ人気エクササイズの一つ。厳しい軍隊的な口調で激しいエクササイズを指導するプログラムは日本でもヒット。女優の米倉涼子さんや、お笑いタレントの劇団ひとりさんら芸能人、著名人も愛用しているとか。深夜の通販番組で人気となったビリーズブートキャンプ。約1週間と日本の滞在も短期だが、一気にファンのすそ野を広げDVD爆発的ヒットにつながりそうだ。
6月22日 産経ウェブ

■毎年、一つや二つのブームが起こる「痩せる」話ですから、これも来年を待たずに忘れられる事は誰もが知っているのに……。文科省が苦し紛れに言っているのは間違っていないようですぞ。「早寝・早起き・朝御飯」。日本中の人々が、これを遵守できるような政策はまったく出て来ませんが、朝日を迎える散歩に始まって、しっかり朝食、普通に昼食、極軽い夕食を摂って午後10時前には就寝。週末の一日くらいは仲間と一緒に体を動かしてさえいれば、外人部隊の特訓映像を借りなくても、肥満に苦しむ事はないそうですぞ。

■食材・料理・評判の店をがんがん放送しながら、手を変え品を変えてテレビの前から視聴者を逃がさない努力を怠らないテレビ局が、どうして早朝と深夜の不健康な時間帯に、健康食品やらダイエット体操の「情報提供」をしているのか、過激な体操ではなく、気楽な散歩をしながらじっくりと考えてみよう。

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軍隊ダイエット 其の壱

2007-06-26 00:14:54 | 日記・雑学
■またマスコミが裏で怪しげな取きをして、数ヶ月で消える変なアメリカ踊りを囃し立てているようです。マイケル・ムーアの『華氏911』を観れば、米国の新兵さんは、昔の昭和の兵隊さんと同じで、経済的な理由で一種の有利な迂回ルートに軍隊を使おうと思って、偶々、在籍中にうっかり本物の戦争に遭遇してしまった若者(この点ブッシュ大統領は上手でしたなあ)と、定員割れを補うために設けられたボーナスを目当てに、大体の事は覚悟の上でイラクに送られる者との雑居状態だと分かります。エライ人と大金持ちの一族からは、誰も兵隊さんになる若者は出て来ないのです。
 
■そんな、ちょっと物悲しい米軍の、新兵の訓練用に考案された体操を、人殺しテクニックに直結する動作を削って「痩せる体操」に仕立てた黒人俳優が居るそうで、その「あまり痩せていない」人が来日したと、何故か日本中が大騒ぎ!遠慮しないで日本の自衛隊、フランス外人部隊、米国籍か市民権を取って、本物の「体操」をした方が、ずっと効果的ではないかと意地悪く思ってしまうのでした。。


世界的な動画投稿サイト「You Tube(ユーチューブ)」に陸上自衛隊第1空挺(くうてい)団(千葉県習志野市)などの教育訓練用とみられる映像が流出していることが分かり、陸上幕僚監部が事実関係の調査に乗り出した。映像は部外秘指定の内容ではないが、ナイフで相手を倒す方法などを具体的に解説した内容が含まれ、青少年への影響や犯罪への悪用を懸念する声が出ている。流出したのは、陸自部隊が対抗形式の訓練を行う際の状況想定などを説明した動画とみられ、「対抗部隊の構成、武器」「敵遊撃隊の前進速度・潜伏要領」「捕虜の取り扱い」「昼間射撃」「遭遇時の至近距離射撃」などを説明。

■民間自衛官のような制度も有りますし、体験入隊も大歓迎らしいですから、一般の自衛隊を利用する方法はいろいろと有りそうです。とは言っても、コムスン騒動で高校から大学まで自衛隊予算を利用してから、あっさり任官を拒否して旧軍人の親玉みたいな長生きな人が頑張っている大手商社に就職して、「バブル踊り」から人買い「人材派遣」業、そして絶対に取りっぱぐれのない国を顧客にした「介護事業」で大儲けしたコブラ男の出現で、ますます肩身が狭くなってしまった自衛隊ですなあ。でも、自衛隊のエリート部隊の実力はスゴイ!

■昔、角川・麻薬・映画で『野生の証明』という、自衛隊の特殊工作部隊を扱ったトボケた映画が製作された事が有りましたなあ。見直してみると、主人公の高倉健さんはその寡黙さで特殊部隊の存在感を出すのですが、アクション場面の演出が取材不足で、健さんの動きは最後まで特殊部隊を思わせるものではないのが残念でした。あの映画の見物は、芸能界一の高所恐怖症として有名な松方弘樹さんが、米国ロケで無理やりヘリコプターに乗せられて、急旋回しながら森林に逃げ込んだ健さんを空中から固定式銃機関銃で銃撃するシーンだけです。いつも以上に目を剥いた必死の形相で機関銃をぶっ放していたのは、恐怖の余りに正気を失ってパンツを小便でびしょびしょにして演技していたからだそうです。

■特殊部隊は、簡単に演技で真似できるものではないようです。因みに、『皇帝のいない8月』で三国連太郎さんが演じた、自衛隊の奥の院、諜報関係のベテランは怖かったなあ。本当に怖い!早口で自分が会得している拷問技術のレパートリーの豊富さを誇る場面は、ぞっとしますぞ。


「近接戦闘」の部分では、上半身裸で急所にバツ印が書かれた隊員などが登場し、ナイフなどで相手を倒すためのさまざまな方法が具体的に解説されている。陸自によると「内部で作成した教育訓練用ビデオの可能性があり、古いものと推測できる」という。調査で流出を確認した場合は、ユーチューブに削除を求めるという。……
2007年5月15日 産経新聞

■積極的に「自衛隊ダイエット」に打って出るべきでしょうなあ。警察畑の特殊部隊は、先日、愛知県の小心者破門ヤクザに射殺されてしまって世界を唖然とさせてしまいましたが、あれは、殉職した警官を始め、現場で命を張った英雄達が無能なのではなく、恩給・年金・天下りだけを考えている不健康な菌類のような上層部の間抜けさが原因でした。憲法問題が解決されて、ああいう警察の手に負えない凶悪事件が発生したら、さっさと「専門家」が鎮圧に向かって貰えば、ものの10分で事件は解決して、あとは葬儀屋さんの担当になります。仮に「民間住宅地だから発砲を禁ず」と事前に命令されれば、自衛隊の精鋭はちょっと切れ味の鋭い道具で任務を遂行してくれるでしょう。もともと気の弱い日本の住民は、一度でもそのお手並みを見れば、拳銃を持ってアパートに立て籠もるような危ない事はしなくなると思うのですが……。勿論、鎮圧後は勲章と感謝状とワイド・ショーの特別出演が続きます。

■別に米国からたるんだ肉体の体操兄ちゃんを呼んで来なくても、素晴らしい肉体は自衛隊にも警察にもごろごろしております。


泥棒も追いかけられない肥満の警察官を減らそうと、昨年5月に千葉県警が始めたキャンペーン「歩け歩け千葉県警」(通称・あるちば)から丸1年。県警厚生課が全部署を対象に実施したアンケートによると、「体重・ウエスト・体脂肪のいずれかが減った」との回答は全体の約2割で、「運動・健康管理の意識付けになった」との回答が約7割を占めた。それなりの成果があったようだ。県警厚生課は昨年5月、県警職員約1万2500人全員に歩数計を配布。歩いた歩数を毎日記録するための用紙も合わせて配り、少しでも多く歩き、運動する習慣をつけるよう奨励した。

■こんな事をやっているから、市川市でノバ講師の英国人女性殺害犯人を、一度は素手で捕まえながらも取り逃がすような、世界中の警官から笑われるような大失態を演じるのでしょうなあ。後悔された映像では、逃走中の若い犯人はスリムで足が速そうでしたなあ。引退した若いボクサーを警官にスカウトする話も有りましたが、もっと数の多い、埋もれているスプリンターに手錠と拳銃を持たせた方が、日本の治安を回復させるのには効果的でしょうなあ。


これに合わせて健康増進のための独自プランを練った部署もあった。船橋署は、通勤時に電車や自転車を使わず、パトロールを兼ねて歩く「めざせ!うぉーキング・イン・船橋」を実施。鎌ケ谷署では、市の健康管理課の職員を招いて「やせる食事セミナー」を開いた。また、たばこの自動販売機を撤去した署もあったという。
 警察官は不規則な勤務時間のため、食生活が乱れがちで、県警職員の約4割が肥満体型とされている。同課は9月に集計される健康診断の分析結果でBMI(肥満指数)値が下がっていることを期待している。
6月24日 産経新聞

■お巡りさんのご健康も大切ですが、国民としては「肥満指数」よりも「逮捕率」の向上を願っておりますよ。


亥年は政変の年 其の壱拾九

2007-06-25 22:57:41 | 政治
自民党愛知県連の定期大会が23日、名古屋市内で開かれ、現職の鈴木政二官房副長官が3選を目指す参院選愛知選挙区(改選数3)での勝利を誓った。大会には公明党愛知県本部の荒木清寛代表が出席し、同じく3選出馬する同党現職の山本保氏への選挙協力を要請。これに対し、鈴木氏は「自民党の組織を壊したくない」とけん制するなど、与党協力の難しさを改めて浮き彫りにした。……来賓あいさつに立った荒木氏は、鈴木氏も座る壇上で危機意識をあらわにした。山本氏の6年前の得票数は約50万票で最下位当選。危機感を強める中、同氏陣営は10万票程度の「票割り」を自民側に求めている。……一方、荒木氏の退席後に決意表明に立った鈴木氏は「いろんなことが言われています。でも、私は自民党の組織を壊したくない」と主張。「自民党が勝つことが、日本、愛知のためになる」とも訴えた。愛知選挙区は民主党が現職、新人の2人を擁立する激戦となっており、年金記録不明問題で政府・与党に逆風が吹く中、鈴木氏も自分の票固めに懸命になっている
6月24日 毎日新聞

■愛知県の選挙区は、今回の選挙でも最も注目を集めている「本音」が噴き出す面白い選挙区だそうです。候補者名と政党名を使い分ける奇怪な投票を要求する、政党政治の自殺行為と言われる無茶を重ねて政権にしがみ付いている自民党と、政権与党には絶大な魅力を感じるけれども自民党は嫌いな公明党が、何処かの激戦区で大喧嘩でも始めたら、全国の選挙戦術は崩壊するかも知れません。こちらの方が面白いでしょうなあ。公明党が与党に入ってからの変化より、これだけ長く与党の微温湯と甘い汁の味を知ってしまった後に、もしも野党に転じたら、一体、どんな顔をして政権を攻めるのかは見物です。まあ、小沢さんのお友達みたいに、「元の家がダメだから飛び出したんだ」と言い張るのでしょうが……。

■大仁田ファイヤー議員が不出馬宣言!という、大きくもないニュースが、政治ネタではなくて芸能ネタとしてマスコミを少しばかり潤しているようです。拙ブログとしては、プロレスの歴史と絡めて大きく扱いところですが、そんな時間は無いのが残念です。それのしても、いつの間に大仁田ファイヤー議員は、アニメ・フィギュアみたいな奇怪な目玉になったのだろう?最悪の場合、「野生派ホスト」にでもなるのかいあなあ?とも邪推しますが、一部のスポーツ新聞には「東大に入る」という、こちらは大ニュース!が掲載されているようです。きっと、「あの枡添が教師をやっていたところだろう?」と、非常に良いところを付いた、ナメた感想を持っての事なのかも知れません。
 
 
参院選に比例代表で出馬予定だったプロレスラー出身の大仁田厚参院議員(自民)が23日、1期限りでの引退を表明した。個人名でも投票できる「非拘束名簿」方式が初めて導入された01年の参院選では各党が著名人擁立に躍起となり、大仁田氏のほかタレントの大橋巨泉氏(民主)、大学教授だった田嶋陽子氏(社民)も当選したが、いずれも政党への失望を口にして既に国会を去っている。自民党は大仁田氏に代わり「ヤンキー先生」で知られる義家弘介氏(36)を擁立する方針だが、著名人で集票を図る手法が改めて問われそうだ。同日記者会見した大仁田氏は「参議院は首相官邸の人気取りの道具ではない」と切り出した。

■この記者会見の翌日に発売された週刊誌の特集記事が、「大仁田議員の乱交パーティ」だったのは、単なる偶然なのでしょうか?女心を弄んだような、黒い噂が週刊誌を賑わわせた事も有りましたなあ。


引退の直接の理由は、安倍政権が主導した今国会の会期延長と、参院選の日程先送りに対する抗議だと説明。「国民が求めているのは付け焼刃で法案を通すことでなく、慎重審議だと思う。選挙目当てにウソをついてまで当選したくない」と強調した。

■この人は「当選」を前提にして語っていますぞ!他の候補が聞いたら激怒するような話です。プロレス業界でも、目立つ割には裏街道を歩いて大恩のあるジャイアント馬場さんの葬儀にも行けなかったとか……。今となっては「自民党票」を上乗せしての当選だったと分かっていますから、「ファイヤー!」の勢いで投票者が急増して名前を書いたという事でもないらしいですから、ちょっとばかり安心ではあります。


また、参院の存在意義について「3年くらい前から悩んでいた」といい、「衆院から降りてきたことをそのままやっていく。今回もそうだが『ハイ、そうですか』で通してしまっていいのか」と疑問を投げかけた。01年選挙では個人名で46万票を獲得したが、「タレント議員」としての迷いもあったようだ。「何百という選挙区に応援に行った。それがタレント議員の仕事みたいなもの。(テレビに映る)僕の映像は(審議が荒れた時)いつも委員長を守る場面ばかり。レスラーという偏見を打ち破ろうとしたが、自分の勉強不足を痛感することもあった」と語った。

■何を今更!としか言いようの無い不思議なコメントですなあ。あの、「おばんです」でダントツ一位で当選し続けた宮田輝議員だって、竹下総理の「ふるさと創生」政策の20年も前に、「ふるさと運動」を立ち上げて見せたのに、結局はろくに予算も付けて貰えず、最後は選挙の看板にも使えないとゴミ扱いされたのでしたなあ。それに比べますと、大仁田議員は……。強行採決の現場で、嬉しそうに見えたのですがなあ。


一方、41万票を獲得した大橋氏は、民主党への不満が膨らみ、02年1月に議員辞職した。会見で「党が自民党と同じ体質と知り、力が抜けた。6カ月で辞め、無責任なタレント議員というバッシングも覚悟している。出馬は後悔していないが、民主党から出たことは後悔している」と党批判を展開した。

■そんな選挙騒ぎを起こす前から、「ずっと働き詰めだったから、これからは週休5日」などと啖呵を切っていた大橋さんが、妙に生臭い「テレビの生きた化石」になって、テレビ画面にひょっこり顔を出しいるのは、やはり老醜を晒しているという事ではないでしょうか?本職はジャズ評論家との事ですが……。戦後の日本人は皆ジャズが大好きでしたなあ。


田嶋氏は51万票を集めたが、北朝鮮問題での党の対応などに不満を募らせ、02年10月に社民党を離党。会見では党について、「外で抱いていたイメージと違う。透明性もなく、説明責任も果たしていない」と批判した。03年4月の神奈川県知事選に出馬(落選)。「知事は小さな大統領。党を離れた時からずっと首長になりたかった。国会はリズムが合わず、窒息しそうだった」と語った。
6月23日 毎日新聞

■田嶋元議員に対して、拙ブログで書くべき言葉は一つもゴザイマセン。だた、自分の無知を知ったのなら「無恥」を少しでも減らしたら如何でしょう?大学という業界には、こういう人でも生きて行ける優しさ?が有るそうです。

亥年は政変の年 其の壱拾八

2007-06-25 22:57:04 | 政治
■欧州の英国、大統領戦に突進中の米国、後を追うように盛り上がる台湾、分裂に到ったパレスチナ……。ペルーに戻れないフジモリ前大統領が日本で国会議員になるなどという噂まで流れて、何処に焦点を絞れば良いのか分からなくなる文字通りの「政変の年」になっております。 

塩崎恭久官房長官は25日午後の会見で、安倍晋三首相が、行政のトップとして年金記録問題のけじめをつけるために、6月期における総理としての賞与234万円を返上することを決断したと述べた。官房長官自身も安倍首相を支える立場として、柳沢伯夫厚生労働大臣も所管の大臣として同様に、それぞれ94万円を返上するという。これらの金額は法律的に返還ができる上限という。

■本当に安倍首相が「けじめ」という言葉を使っているのかどうかは不明ですが、ボーナス返上は実に面目の無い話ではあっても、「けじめ」になとなりません。社保庁の闇はまったく五里霧中で、「年金制度」全体を議論すべきだ!という正論を書き並べる新聞も有りますが、その議論の叩き台となるべき「数字」がまったく掌握されないのですから、当面は、魔女裁判で当事者を追い詰めるしかないのはないでしょうか?どうやら、当事者の筆頭は安倍首相ではなさそうです。先週号の『週刊ポスト』の記事を読みますと、安倍首相が当事者として血涙を絞って謝罪しなければならないのは、年金制度ではなくて、自分が中心になって進めた「介護保険制度」の問題らしいからです。

■もしも、ボーナス234万円を返納することが社保庁問題の「けじめ」だとしたら、小泉改革が生み出した人材派遣会社という化け物と、厚労省の役人と一部の自民党議員が結託して組み上げた介護保険制度が抱え込んでしまっている大問題に関して、本当の「けじめ」を求められたら、安倍首相は何を差し出すつもりなのでしょう?


社会保険庁長官や厚労省幹部などの賞与返還問題については「柳沢大臣が判断される事柄」としたうえで「当然、総理の判断を踏まえて、しかるべく対応されるものと理解している」と付け加えた。
6月25日 ロイター

■柳沢大臣は、ほんの数週間前まで、官僚が書いて来る「年金は大丈夫」作文を大真面目に読み上げていた人です。そんな人が幹部連中に何が言えるでしょう?厚労省幹部と言えば、日本中の血友病患者の皆さんに対する「殺人未遂」を仕掛けたり、人口動態調査の三種類の予測値を悪用して、考えられない「人口増加」説を長年採用して来た罪も有ります。年金制度を食い荒らすだけでは足りず、介護問題も得意の「保険制度」に仕立て上げて、怪しげな企業を呼び集めて、裏で結託して何をしているのやら……。肝心の「労働問題」には常に冷淡で、過労死・鬱・自殺・労働難民を全部「自己責任」として放り出しているような役所です。見事なまでに組み立てられた「無責任体制」ですから、年金制度が「詐欺だ」「振り込め詐欺だ」「横領天国だ」「泥棒だ」など悪罵を叩きつけられても、しらっと日々を暮らせる人達の中に、責任を感じているような人は居ません。

■選挙に直接関係する首相や大臣だけが、まるで責任を感じているようなパフォーマンスを演じているのでしょうなあ。騙されまいぞ!


財務省が発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、国債や借入金などを合わせた国の債務残高(借金)は、2007年3月末時点で834兆3786億円となった。昨年12月末から2兆1155億円増加し、過去最高を更新した。
国債残高は674兆1221億円で、12月末から2兆1698億円減少した。
普通国債531兆7015億円のうち、10年以上の長期国債は344兆7351億円、2年から6年の中期国債は145兆5159億円、1年以下の短期国債は41兆4505億円。
借入金は2178億円減の59兆2824億円、政府短期証券は4兆5031億円増の100兆9741億円となった。また、政府保証債務は49兆7283億円だった。
6月25日 ロイター

■安倍首相が「けじめ」と言ったかどうか知りませんが、返還したのはボーナスで、これほど恐ろしい数字が並ぶ日本国という大赤字会社の社長が、どうして234万円のボーナスを貰える事になっているのでしょう?そちらの方が、よほど不思議です。すべては国民の安心と幸福のために必要な経費だ!などと言われても、誰も本気にはしませんぞ。天下り用の公益法人を養う経費もこの中から毎年垂れ流されていますし、政治家の影が常にちらつく「談合」「キックバック」「票とカネ」の公共事業費の水増し分も、数十年間に亘って積み上げられているわけです。

■表の年間予算の10年分以上の借金を抱えて、裏予算の「特別会計」には指一本触れられない、そんな歴代総理が続いて来たのですから、国の借金が天文学的な数字に膨れ上がるのも当然なのでしょうなあ。1964年の東京オリンピック、その後の大不況がやって来るまで、敗戦の痛手は負っていても日本国に借金は無かったそうですなあ。まあ、建設国債という後に田中角栄さんを化け物にしてしまう切り札はあったものの、赤字国債はタブーだったのでした。こんな麻薬を一度注射したら、政治家と役人は考えるのを止めてひたすら貪るばかりでしたとさ……。

■日本は二院制を採っていますから、変人総理が思い通りにならないからと、衆議院に八つ当たりして解散選挙を断行しても、おかしな法律は衆議院に叩き返す権能を持っているのが参議院です。「全国区」などという歴史の産物が残っているので、「これから勉強します」などと寝言を言う当選者が毎回現れるのは、実に困った事です。

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亥年は政変の年 其の壱拾七

2007-06-25 12:13:45 | 政治
■朝鮮総連の「地上げ」「土地転がし」事件と米国のヒルさんの平壌電撃訪問の二連発を受けた、拉致に強い?安倍首相は、参議院選挙の惨敗が現実感をもってひそひそと語れる状況で、「辞めなくてよい」という大きな声と、「選挙前に交代」という小さな声に挟まれて、だんだん影が薄くなる一方のようです。年金問題が勝負の分かれ目みたいなものですが、実は安倍さんは総理に就任する前から、「介護の安倍」を目指してコムスン・グッドウィルのコブラ社長と昵懇(じっこん)の仲だった事がぼちぼちと指摘する声も出て来ましたなあ。

■何でも、国民生活に欠かせない重要法案が山積みだったから、参議院の会期を12日間も延長したのだそうです。その中にイラクに派遣されている自衛隊に関係する法律も通りました。


東京・市谷の防衛省に勤務する航空自衛隊幹部の多くが、水色地に白く「Wings of Peace」(平和の翼)と書かれたリストバンドをはめている。イラク復興支援のため空輸活動に当たるC130輸送機と同色のバンドには、「今でもイラクの空で危険を伴う任務にあたっている隊員がいることを忘れないでほしい」という思いが込められている。自衛隊のイラク派遣の根拠法を2年間延長する改正イラク復興支援特別措置法が20日成立した。空自は平成16年1月以来、クウェートを拠点にイラク国内で500回以上におよび多国籍軍や国連のための空輸を実施しているが、昨年7月にイラク・サマワから撤退した陸自部隊と比べると、約200人の空自部隊への注目度は低い。

■具体的に空自が何をやっているのか、何を飛行機に積んで運んでいるのか、現場を詳細に取材した日本のジャーナリストは居ないようですし、初代防衛大臣の久間さんでさえ、これまでに2回も激励にイラク訪問を考えたのに、米国から「危険だ」という理由で足止めされていた事が明らかにされ、そんなに物騒な「非戦闘地帯」で、これからも少なくも2年間、日本の自衛隊は米軍と共に活動します。米軍は石油利権を確保して10年、20年の駐留を考え始めているのに、日本は米国から石油のおすそ分けが有るのか無いのか分からないまま、「出口」を考える政治家もおらず、トコロテンのような法律が定期的に通って行きますなあ。


特措法延長をめぐる初めての国会審議を機に「イラクのためほかに日本ができることはないか」「出口戦略をどうするのか」といった課題を議論し、空自の活動に対する国民の関心を高めることは与野党の責務だったはずだ。しかし、民主党は10年1日のごとく「イラク戦争には正当性がない」という「そもそも論」にこだわり、特措法廃止法案を提出して空自の撤退を求めるばかり。一方の政府・与党にしても「石油輸入の9割を中東に依存する日本にとって、イラクの安定は国益に直接かかわる」と派遣の意義を強調したが、空自の活動がどう国益に結びついているか十分な説明はできず、お互いの議論はかみ合わなかった。

■「イラク戦争」の意味や功罪は、ジャーナリストや歴史家が熱心に取り組んでくれれば良いテーマです。自衛隊が誇りをもって帰国できるように、あれこれと動いて考えるのが政治家の仕事でしょう。強行採決を続ける与党の方からも、納得の行く説明はまったく聞かれませんなあ。


田母神俊雄航空幕僚長は22日の記者会見で特措法延長について「日本の国が決めて、われわれに命令を下す限りそれを淡々とやるのは義務だ」としながらも、派遣が複数回に及ぶ隊員への精神面、経済面でのケアの必要性を強調した。空自部隊の派遣は12期目となり、3回目の派遣を経験した隊員は50人を超え、4回目の派遣経験者も7人いる。……
6月23日 産経新聞

■知らない内に、自衛隊はどんどん深みに入って行くようです。離着陸時に携帯型ミサイルに狙われる恐怖はいかばかりか、そんな過酷な仕事をするために熱砂の土地に送り出す家族の御心中はどのようなものなのか、法案を通した政治家の中から家族や隊員への手紙や電話連絡を入れた人は居るのでしょうか?確かに年金問題はトンデモない話なのですが、その横を素通りするようにあれこれと「重要法案」が成立して行きますなあ。新聞や雑誌も、法案の不備や問題点を検証する気持ちが弱いような印象も受けます。最後は参議院で法律は成立するのですから、変な法律を通しているのなら、来月の選挙の投票行動にしっかりと反映させなければなりませんぞ

亥年は政変の年 其の壱拾六

2007-06-24 00:24:17 | 政治
自民党は23日、夏の参院比例選に、「ヤンキー先生」で知られる義家弘介・教育再生会議担当室長(36)を擁立する方針を固めた。25日の選対小委員会で正式決定する。義家氏は23日午前、広島市内で開かれた中川自民党幹事長の会合に出席し、参院選に自民党から出馬する意向を表明した。
6月23日 読売新聞

■既に空中分解してしまった教育再生会議ですから、マスコミ受けを狙って据えられた座長の役も暇になるので、議員になるのでしょうか?どこかの学校の教壇に立つという選択は、この人には無いようです。元々「ヤンキー先生」というのは、「ヤンキー」という過去と「先生」という現在とを結び付けた造語です。「元ヤクザの絵描き」とか、「安藤組組長の映画俳優」とか、「元暴走族総長のタレント」などと同列に扱われる人なのかと思っていたら、「夜回り先生」よりも偉くなってしまいましたなあ。教育再生会議の座長や神奈川県の教育委員に抜擢した人は「先生」の方を評価しているのでしょうが、マスコミの扱い方はどうしても「ヤンキー」の方に偏ります。

■関西弁が語源と言われる「ヤンキー」が、どうして北海道の高校に流用されるのかが分かりませんが、どうせ出版業界とマスコミ業界が結託した乱暴な宣伝材料として作られたのでしょうなあ。でも、再生会議を中途半端に放り出して出馬するのは、下手をすると元教師という身分が、プロレスラーや漫才師と同じ扱いを受ける事になるかも知れません。どうして本職で活躍し続けられないのか?この疑問に正面から答えられない限り、最初から総理大臣を諦めた陣笠議員になる気でいるのに、選挙では自分が国政を左右するような大ボラを吹くピエロ役を演じるだけに終わるのですが……。


プロレスラーの大仁田厚自民党参院議員(49)=比例代表、当選1回=は23日午前、東京都千代田区の参院麹町宿舎で会見し、夏の参院選比例代表での党公認を辞退し、立候補しないと発表した。政界引退も表明した。……「参院は首相官邸の人気取りの道具ではない」と述べ、公認辞退の背景に国会会期延長などを巡る安倍晋三首相の政権運営に対する不満があることを明言。「(夏休みに入る)7月29日投票では政治に関心のない若者に訴えが届かない。官邸への異議申し立てだ」と語った。大仁田氏は長崎県出身。全日本プロレスをへて独自の団体を設立し、人気レスラーとなった。01年参院選で初当選。昨年5月に党の第1次公認候補となっていた
6月23日 毎日新聞

■突然の引退声明よりも、「第一次候補」になっていた事の方が驚きですぞ!一体、何をするために議員になったのか、さっぱり分からなかった落ち目レスラーだった大仁田さん。普通の試合では客が来ないとて、玩具とは言え爆弾・地雷・電線などで過剰演出をしていたそうですから、てっきり本場のレバノンやバクダッドに乗り込んで、どうやら本人は意味が分からず叫んでいたらしい「ファイヤー!」を披露して、素直にその声に応じたライフル銃やミサイルが飛んで来るという究極のパフォーマンスをちょっと期待したのですが、同じ「ファイヤー」を愛用していた福沢某アナウンサーは、いつの間にやらこれを封印しているようです。意味がやっと分かったのかも知れませんね。その関連で言うと、突然「辞める」と言い出した大仁田議員とは対照的に、ゴルフ場盗聴未遂事件に怒って職を辞すような事を口走った福沢某アナンサーは、その後も元気にテレビに出演している由……。

■本当に「立法」の能力と行政調査能力の有る議員だけを糾合しなければならない時ですから、「テレビで見た」程度の動機で一票を無駄にしたり、「お世話になっているから」などと談合・収賄の片棒を担ぐような動機での投票も止めて、最も効果的に「政変」が起こる一票を投じるべき時かも知れませんなあ。
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亥年は政変の年 其の壱拾伍

2007-06-24 00:23:25 | 政治
■「責任」という言葉の意味が、この数年で随分と変わりまして、いつの間にかまったく逆の用法が定着している模様です。曰く「この問題をしっかり解決するのが私の責任で……」と、結局、誰も責任を取らない理屈に埋め込まれてしまって、日本中がバレなきゃ大丈夫だぜ!という悪人の理屈にまとわり付いていた後ろめたさが、すっかり拭い去られまして、「バレても大丈夫」という事になっております。今のトレンドは、「法に触れなければ最後まで逃げ切れる」というものです。この暴論を上手に使う連中は、日本の法律が歪(いびつ)な「性善説」によって組み上げられている事と、その穴だらけの法を自在に操っているのが役人と政治家と一部の大企業だという困った仕組みを知悉しております。

■ホリエモンのように、この一味の仲間入りさせて貰えるかと勘違いしてしまうと、最後に放り出されるので、コムスンのコブラ頭や苫小牧の食肉王も、同じ運命を歩みましたなあ。要するに、日本の法体系というのは、扱う人間によってどうとでもなるような代物なのですなあ。まあ、それは欧米も似たようなものだそうですが、日本版の法の穴は度外れているようです。社保庁のように、大穴の蓋が吹き飛ぶと、その後始末など誰にも出来ないのですなあ。


年金記録漏れ問題の原因や責任の究明のため設置された総務省の年金記録問題検証委員会(座長・松尾邦弘前検事総長)が、インターネットやファクスを通じて記録漏れの実態などの情報を提供するよう、国民に呼び掛ける方向で検討していることが22日、分かった。
6月23日 時事通信

■「ウチに蕎麦を注文した人は申し出て下さいね」などと広告を打つ蕎麦屋が日本の何処かに有るでしょうか?蕎麦屋の看板を掲げながら、蕎麦粉も職人も店の中にはまったく備わっていないのに、出前注文を山ほど受け付けて、「引越し」も「大晦日」も「昼時」も過ぎてから、「蕎麦粉も職人も無くて、鍋にも穴が開いていて…」などと大真面目な顔をして、ビラを播いたり「情報提供」を呼び掛けているのだそうです。変な蕎麦やですなあ。どうしても、その場所で営業し続けたいのなら、町中に無料で蕎麦を振舞ってお詫びするしか、世俗の蕎麦屋には生き残る道は有りません!社保庁は気楽なものです。民主党が「自治労に厳罰を」の一言を叫べば、選挙は圧勝なのですが……・


政府は年金記録漏れ問題に関連し、ずさんな年金管理を行っていた社会保険庁について、職員のボーナス(期末・勤勉手当)や給与の一部を削減する検討に入った。首相自身のボーナスなども一部返上する方向で調整している。首相周辺が22日、明らかにした。公務員のボーナスは、6月と12月の年2回支給されており、6月の支給は目前に迫っている。このため、いつの支給分から適用するか、削減対象を社保庁職員のどの範囲まで広げるかなどを政府内で検討している。

■他にやる事も無いので、こんな絵に描いたような「焼け石に水」のパフォーマンス。どうせなら、社保庁長官が「歴史に残る捨て台詞」を残して辞任して、後任は決めず、国会に歴代長官と現役を含めた歴代幹部を呼び付けて、半年でも1年でもNHKの生中継を垂れ流しにして「証人喚問」を続ければ、頭を失った社保庁の組織は文字通りに「馬脚」を表わして各社会保険事務所の窓口は、ほとんどパレスチナのガザ地区かアフガン国境地帯のような状態になって、やっと職員の皆さんも「事の重大性」に気が付く…そのくらいの極端なパフォーマンスをやらないと、収まりは付かないのではないでしょうか?まあ、窓口では市民の中からは器物損壊・暴行・放火・殺人未遂などの逮捕者は出るでしょうし、窓の中からは……。南無阿弥陀仏。アーメン。インシャアッラー……。


首相は22日の読売新聞などのインタビューで、「社会保険庁には親方日の丸的な体質が残っている」などと述べ、社保庁の組織体質が年金記録漏れの温床になったとの認識を改めて示した。ボーナスや給与の返上は、国民の社保庁への批判に対し、一定のけじめをつけさせる狙いがある。
6月23日 読売新聞

■「一定のけじめ」とは何でしょう?社保庁が非合法に保険金に空けた穴の総額と、「一定のけじめ」の総額とを、きっちりと並べて示して頂かないと、「けじめ」の評価が付けられません。勿論、もっと罪深いのは、ふざけた法律を後から作って、「事務費」「福利厚生費」の身内用と、「保険金の運用」名目でぶん播いて消えた金額の方が遥かに莫大だとは分かっていますから、こうした役人のお手盛り法案を可決し続けた歴代与党議員全員に責任が有ります。従って、「議員年金」を丸ごと辞退・返納を求めるべきでしょうなあ。自分達の年金制度を「高級退職金だ」などと嘯(うそぶ)いて談合の上で嵩上げし続け、国民の年金保険料が消え去って行くのを黙認したのですからなあ。


自民党の森喜朗元首相は22日、TBSの番組収録で、参院選で与党が過半数を割った場合の安倍晋三首相の責任について、「仮定でも首相の責任などと言うべきではない。最後まで勝利を信じて頑張ることだ」と述べ、党内の首相責任論にクギを刺した。一方、民主党の渡部恒三最高顧問は、与党を過半数割れに追い込めなければ「小沢一郎(民主党)代表は責任をとって辞める」と指摘した。
6月23日 産経新聞

■片や「鮫の脳みそ」とまで揶揄されて笑っちゃうほど低い支持率に耐え切れずに辞任した元総理と、もう片方は田中角栄さんの「七奉行」の生き残りですから、こういう対照的な表現になるのでしょうなあ。「最後まで勝利を信じて…」と言い出して、勝負に勝った者は居ませんぞ!でも、民主党の方も勝っても負けても分裂は避けられないと思っているのでしょうなあ。手負いの自民党は、アノ社会党委員長の村山さんを総理大臣にしてしまう節操の無い政党ですから、参議院で与野党が逆転でもしたら、何を仕出かすか分かったものではありません。それ以上に、国民を愚弄するような政変劇に、大喜びで参加しそうな議員が民主党内にごろごろしている事の方が問題でしょうなあ。そこに「絶対与党」の公明党と、「絶対野党」の共産党が絡んで来ると、何がどうなるやら、さっぱり分かりません。

亥年は政変の年 其の壱拾四

2007-06-23 22:14:44 | 政治
2007年6月16日夜、湖北省十堰市警察は山西省違法レンガ工場事件の指名手配犯・衡庭漢(ホン・ティンハン)と妻・楊小蘭(ヤン・シャオラン)を逮捕した。……山西省の多くのレンガ工場で、誘拐された子供やだまされて連れてこられた出稼ぎ農民らが奴隷並みの待遇で働かされているという。中国政府はこの事態を深刻に受け止め、徹底的に調査するように指示を出した。

■こういう話は大昔から多いようです。ちょっと事情が違う日本との関係で、劣悪な場所で働かされた!と日本まで出掛けて来て訴える老人も居るのですが、戦争という非常時でもないのに、こういう犯罪が横行する国だという事は覚えておいた方が良いでしょうなあ。戦時中の「罪」を認めて謝罪する日本人の心根は美しいのですが、針小棒大の極端な表現に無条件で乗るのは如何なものか?とも思います。本当の「男尊女卑」や「生命軽視」とはどんなものなのか、日本の河野議長あたりにも、しっかり勉強して貰わないと、日本外交はいつまでもカモのままでしょう。


衡は山西省洪洞県で違法レンガ工場を経営、32人の出稼ぎ農民を劣悪な待遇で働かせていた。1日の労働時間は15~16時間にものぼったという。工場には「打手」と呼ばれる用心棒と大型犬が見張りについており、逃げたり仕事をさぼったりしないように監視していた。2006年11月には、知的障害者のある出稼ぎ農民を用心棒が殴り殺す事件が発生した。しかし特に問題にもせず、遺体を工場付近に埋葬してしまったという。この殺人を犯した用心棒もかつては奴隷として働かされていた出稼ぎ農民、その後用心棒へと“昇格”したという
6月18日 Record China

■こんなニュースが日本で流れたら、連日、ワイドショーの元役者さん達が押し掛けて、あることないこと「再現」して視聴者の怒りと涙を誘うでしょうなあ。「万人坑」などという日本語には無い恐ろしい犯罪行為が有った、という証言が出て来たり、それに乗って大騒ぎする日本人が居て、でも、いくら探してもそんな物が出て来ないというという奇怪な話も有ります。現実に、戦時でもなければ過酷な植民地支配を受けている時代でもないの、このような悲惨な奴隷労働者が存在する人民社会主義を標榜する国と言うのは、何とも無気味です。虐げられた人々が、自棄を起こして反乱を起こすのも、チャイナの歴史の中で繰り返された事実です。宗教的・民族的・経済的に加えて環境汚染や凶悪犯罪の被害などが混ぜ合わされて、絶望に狂う集団を統率するたった一人の「英雄」が出現したら、トンデモないことに発展するのがチャイナの歴史ですから、オリンピック開催まで、上手にガス抜きを続けられるかどうか、注意深く見て行かねばなりませんなあ。どうやら「環境問題」を上手に煙幕に使って人権問題を隠蔽しようとしている節も有りますから……。

■国会の会期延長が決定した週末、日本はいよいよ選挙モードに入ったようですが、自民党の惨敗は間違いのない流れなのに、決して民主党が圧勝するという見通しもまったく有りません。安倍総理は「負けても辞めなくて良い」という空気があちこちから湧き出しているのに、民主党の方は、小沢さんが「負けたら辞める」という話の方が妙に現実味のある背水の陣というのも変な話です。まあ、元々、どうして野党第一党の代表が小沢さんなんだ?と立ち止まって考えると、「政権交代」と「派閥交代」と、どう違うのかがさっぱり分からなくなる政界です。政党を作っては壊し、壊しては何故かまた作り、自分が総理になりたいわけでもなく、キングメーカーの「闇将軍」になりたいわけでもなさそうな小沢さんは、自民党に対する怨念だけで動いているようにも見えます。彼が言っている「政権交代」は「自民党改革」に限りなく近いようにも思えますから、その下に集まっている有象無象は何を考えているのやら……。


7月の参院選を前に、読売新聞社が全国のインターネット利用者1000人を対象に実施した「参院選ネットモニター」の第1回調査結果が22日、まとまった。最も「好感」を抱く政党は、民主党が31%と最も多く、自民党の26%を上回った。小泉前首相が「郵政解散」に踏み切った2005年衆院選公示前の調査と比べると、自民党は24ポイント減少、民主党は11ポイント増加した。次いで公明、共産両党が4%、社民、国民新、新党日本の各党が1%。好感政党が「特になし」は32%だった。……
6月22日 読売新聞

■瞬間風速みたいなものでしょうが、今、投票すれば勢いで民主党が地滑り的勝利を収める可能性が高いのは確かです。でも、このアンケート調査が問うたのは「好感」ですから、政策の中身をじっくりと比較しての選択では無さそうです。公明党と同じ高感度を得たのが共産党というのは面白い!まだ二大政党時代になっていないのですから、選挙民は自民党か民主党か?の選択肢を突きつけられている訳では有りません。少しはあの「郵政解散」選挙の空騒ぎを、有権者はよくよく思い出して考えた方が良いでしょうなあ。あれから、新しく有権者になった若者も居ますし、あれは何だったんだ?と思い始めた人達が増えているという期待も混ぜると、なかなか面白い票の動きが見られるかも知れませんぞ。

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亥年は政変の年 其の壱拾四

2007-06-22 23:38:01 | 外交・情勢(アジア)
2007年6月16日夜、湖北省十堰市警察は山西省違法レンガ工場事件の指名手配犯・衡庭漢(ホン・ティンハン)と妻・楊小蘭(ヤン・シャオラン)を逮捕した。……山西省の多くのレンガ工場で、誘拐された子供やだまされて連れてこられた出稼ぎ農民らが奴隷並みの待遇で働かされているという。中国政府はこの事態を深刻に受け止め、徹底的に調査するように指示を出した。

■こういう話は大昔から多いようです。ちょっと事情が違う日本との関係で、劣悪な場所で働かされた!と日本まで出掛けて来て訴える老人も居るのですが、戦争という非常時でもないのに、こういう犯罪が横行する国だという事は覚えておいた方が良いでしょうなあ。戦時中の「罪」を認めて謝罪する日本人の心根は美しいのですが、針小棒大の極端な表現に無条件で乗るのは如何なものか?とも思います。本当の「男尊女卑」や「生命軽視」とはどんなものなのか、日本の河野議長あたりにも、しっかり勉強して貰わないと、日本外交はいつまでもカモのままでしょう。


衡は山西省洪洞県で違法レンガ工場を経営、32人の出稼ぎ農民を劣悪な待遇で働かせていた。1日の労働時間は15~16時間にものぼったという。工場には「打手」と呼ばれる用心棒と大型犬が見張りについており、逃げたり仕事をさぼったりしないように監視していた。2006年11月には、知的障害者のある出稼ぎ農民を用心棒が殴り殺す事件が発生した。しかし特に問題にもせず、遺体を工場付近に埋葬してしまったという。この殺人を犯した用心棒もかつては奴隷として働かされていた出稼ぎ農民、その後用心棒へと“昇格”したという
6月18日 Record China

■こんなニュースが日本で流れたら、連日、ワイドショーの元役者さん達が押し掛けて、あることないこと「再現」して視聴者の怒りと涙を誘うでしょうなあ。「万人坑」などという日本語には無い恐ろしい犯罪行為が有った、という証言が有って、それに乗って大騒ぎする日本人が居て、でも、いくら探してもそんな物が出て来ないという事も有ります。

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亥年は政変の年 其の壱拾参

2007-06-22 23:37:34 | 外交・情勢(アジア)
2007年6月17日、新華社電によると、中国沙漠化防止対策グループの賈治邦(ジャー・ジーバン)氏は、中国の沙漠化の状況は深刻で、すでに174万平方kmと国土の18%が沙漠化したことを明らかにした。……6月17日は、第13回世界沙漠化干ばつ防止デー。賈氏は中国の沙漠化対策は明らかな成功を収めており、植樹面積は順調に増加し、沙漠化面積は減少する傾向を見せていると述べた。これに伴い、沙漠地帯での農畜産業は生産増・収入増となっているという。

■何でも記念日にして人民総出の運動を企画するのが大好きなお国柄ですから、「沙漠旱魃防止」の日を決めるのは結構なことですが、本当に「世界」を冠しても良い記念日なのでしょうか?それにしましても、「砂漠地帯での農畜産業」が生産増ということは、「過放牧」が進んでいることを意味する可能性が有りますぞ!


とはいえ、中国の沙漠化は楽観視できる状態にはないとも指摘。……特に黄河首曲自然保護区・石羊河下流・タクラマカン砂漠周辺での沙漠化は深刻で、進行し続けているという。沙漠化対策が始まったばかりの地域では、乱開発・過剰な放牧・水資源の浪費などの問題がいまだ根絶されていないと指摘した。また地球温暖化も沙漠化対策の困難を増していると賈氏は話した。
6月18日 Record China

■何がどのように「成功を収めている」のか、さっぱり分からない報告ですなあ。こういうのを「羊頭狗肉」と昔の偉いチャイナの人は言いましたし、「矛盾」とも呼びました。「黄河首曲自然保護区」は甘粛省の黄河がS字型に曲がる草原地帯ですぞ!そんな所が沙漠化するのは地球温暖化のせいにする前に、草原を畑に変えたり過剰な放牧を強いる農業政策を一刻も早く改めるべきでしょう。「水資源の浪費」とは、強引な農地変更を白状したも同然です。草原を追われた遊牧民や畑を失った農民が順繰りに山を下り、地方都市を経由して大都会に流れ込み、不満と絶望の揮発性の高い毒ガスが溜まって行きます。

■「タクラマカン沙漠周辺」は、アフリカのサヘル地帯とまったく同様で、毎日裁くが村々を飲み込んでいる場所です。軍事費に馬鹿みたいなカネを注ぎ込んでいる場合ではないのですがなあ。まさか将来はエリート集団だけが自慢の宇宙ロケットに乗って何処かの星に逃げ出そうなどと考えているのではありますまいな?悪い冗談はさて置きまして、チャイナは世が乱れるとアウト・ローの英雄が出現すると決まっております。悪運が強いと乱世の将軍になって、あれよあれよ思う間に初代皇帝になったりします。そのへんの事情を表からフィクション仕立てで書くと『三国志』になって、裏を書くと『水滸伝』になってしまうような次第で……。あれこれと義侠心だの忠誠心だのと飾っても、登場人物は乱世の梟雄(きょうゆう)です。

■名目が、世直しの革命であろうと、暴動の首領であろうと、新興宗教の親分であろうと、話の筋はみんな同じというのが面白いのです。経済成長という画期的な時代にも、「英雄」を自負する乱暴な人物が掃いて捨てるほど現れる理由がここに有ります。日本では国内最強の軍隊を持ったり、天文学的な富を得たり、大人から子供まで誰でも名前と顔を知っている人気者になっても、天皇にはなれないという不文律が有ります。ですから、『孟子』という革命万歳の書物は長い間禁書だったわけですが……。


広西チワン族自治区南寧市の住民から18日正午ごろ、「不審な男がマンションをよじ登っている」と警察に通報があった。警官が駆けつけると、男は「飛び降りる」などと自殺をほのめかし、約1時間後にようやく捜査官に取り押さえられた。18日付で人民網が伝えた。
男は他地域から仕事を求めて来たいわゆる「民工」で、賃金未払いに腹を立てて……泥酔状態でマンションをよじ登り、ベランダから「ビールを持ってこい」と警察に要求した。押し問答の末、警察はビールを与えたが、男が興奮してガラス片を投げるなどしたため、更に「おとり」のビールを置いて男が手を伸ばしたところを取り押さえた。人民網は「泥酔したスパイダーマン、警察に捕まる」と報じた。
6月20日 サーチナ・中国情報局
 
■笑い話ではなく、この種の度胸の良い兄ちゃんが、有能な子分や「軍師」に担ぎ上げられると皇帝になってしまったりするのがチャイナの面白いところです。史書に残る歴代皇帝の中にも、ただの酔っ払いや乱暴者など、困った男達がごろごろ見つかります。


2007年6月15日、貴州省桐梓県の県警察は、麻薬取り締まりの検問に反発して警官と格闘、射殺された「4.11事件」の犯人が、海南省で知らぬものはない有名なマフィア「独行客」こと陳ジエ(チェン・ジエ)であると発表した。今年4月11日、貴州省桐梓県の高速道路で麻薬取り締まりの検問が行われていた。重慶方面から来た1台の乗用車を検問しようとしたところ、取り調べを拒否。懐から拳銃を取り出した。警官は男を取り押さえようとするも、巧みな武術で鼻の骨を蹴り折られ、あっという間に返り討ちに遭ってしまった。緊急事態だと判断した別の警官が発砲、男を射殺した。

■香港名物のカンフー映画は、「単なる踊りだぜ」と凄みを利かせて笑う男達が、確かにチャイナ周辺には居ます。「世界最強」を決めるような看板を立てて商売する日本人も多いのですが、「殺しても良い」との一言が無いので出て来ない猛者が存在するようです。バーチャル体験で高揚感を得られる客を相手にするのと、本当に命を懸けている乱暴者とはぜんぜん違うようです。伝説のブルース・リーが、テレビCMに出演する交渉で秘かに来日した折に、関西の某空港でうっかり関西ヤクザさんに喧嘩を売ってぼこぼこにされたという噂も有りますなあ。見世物と命のやり取りは違うという教訓として聞いておきましょう。

■一時大流行した東映ヤクザ映画にも、孤独なアウト・ローが題材に採られましたが、やはり大陸の本物は違います。チャイニーズ・マフィアが米国本土を席捲した話もウソではないようで、日本でも裏社会は相当に食い荒らされているとも言われていますなあ。相手はヤクザが皇帝になれる伝統の命知らずですから、付き合い方は難しい。暴力であろうと健康体操であろうと、ちょっと有名になった主人公は、筆の立つブレインを雇ってもっともらしい「全集」を書き上げてしまいますからなあ。因みに、60年代の日本で大流行した『毛沢東著作集』だって、ゴースト・ライターの名前が判明しているくらいですからなあ。このヤクザも英雄や天才になる可能性は有ったでしょう。


県警はこの男の身元について捜査を進めていたが、このたび多くの罪で指名手配になっている、海南省の有名マフィア・「独行客」こと陳ジエであると判明した。陳は武術と拳銃の達人で、地下カジノ強盗事件やディスコでのマフィアボス射殺事件などでその名を知られている。
6月16日 Record China

■日本の大阪ベラミの鳴海事件みたいな話ですが、本場の『ゴッド・ファーザー』に似ているかも知れません。香港あたりで映画化が進んでいるのでしょうか?それとも、昔取った杵柄で、日本の東映が頑張りますか?

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亥年は政変の年 其の壱拾弐

2007-06-22 23:36:56 | 外交・情勢(アジア)
■亥年は干支(えと)の数え方です。干支は天平時代あたりから本格的に日本がチャイナから学び取った暦法で、最初から魔術的な占い道具でした。性格判断から天変地異の予言まで、いろいろな方面に利用された歴史がありまして、今でも重宝している人が多いようです。干支の本場?でも、政変の鳴動が響き始めているようですぞ。

2007年6月18日、中国最高人民検察院はこの1年半の間に汚職摘発捜査を集中的に行い、その結果、6600名の国家機構職員が自らの汚職行為に関して代償を支払ったと発表した。……全国30省において「反涜職侵権局」と呼ばれる専門の汚職摘発機構を設け、捜査レベルを高めてきた。また、汚職行為は一般に証拠が隠滅されたり、隠匿行為が行われたりしているため摘発は困難とされてきたが、そうした問題に対処するためこれまで各部署で小規模に行われていた捜査を一本化し、さらに自省で対処できない問題がある場合は他省の検察院が捜査摘発するなどの新たな項目も定めた。

■実際にチャイナの地方政府は強力な独立性を持っているので、内側の「お手盛り」は凄まじく、大昔の悪代官みたいに好き勝手に税金を新設したり、土地や建物を好き放題に処分して大儲けしたりして、住民が怒り狂っております。大小の町での土地収奪も恐ろしい話ですが、今でも続く山林の乱伐や草原の乱開発など環境問題に直結する乱行もぜんぜん減らないようです。


最高人民検察院が発表した2004年から2006年までの3年間の統計によると、一件の汚職行為に関わる金額は平均46万元(約736万円)。さらに、検査機構が2003年から行ってきた捜査で明らかになった汚職行為が国にもたらした経済損害の合計は、357億元(約5712億円)。四川省では、副省長らが汚職事件に関わったとして摘発され、その職を失っている。
6月18日 Record China

■「5712億円」は確かに大金ですが、全国30省で行われている汚職の総額としては微々たるものと思われます。たとえ微々たる数値であっても、摘発と処罰を続けていないと、各地で頻発する暴動がちょっとした切っ掛けで結び付いて大爆発を起こす恐れが有りますから、マッチポンプを続けるしかありませんなあ。


来日中の台湾の李登輝前総統にペットボトルを投げ付けたとして中国籍の自称エンジニア、薛義容疑者が逮捕されたことに反発する中国の民間活動家15人が18日午前、北京の日本大使館前で抗議活動を行った。日本政府に即時釈放を要求するなど「反日」的な気勢を上げ、抗議書を大使館側に渡した。 
6月18日 時事通信

■「即時釈放」とは乱暴な話です。北京政府が招いた要人に同じような事をしたら、どんなに酷い目に遭わされるかをよく知っているのに、まったく困った話です。無法を働いた暴漢を「英雄」扱いするようなエスカレーションは誰かさんが抑え込んでいるようですが、ちょっと乱暴を働く相手が変わったらエライ事ですからなあ。


李登輝・前総統は9日、日本での11日間の訪問日程を終え、東京の日本外国特派員協会で最後の記者会見を開いた。会場には300人以上の記者が集まった。…1日に後藤新平賞を受けたことは光栄だとし、かつて台湾で民政長官を務めた後藤新平の台湾近代化への貢献を評価、自分の精神にも通じると述べた。……中国大陸や韓国が指摘する靖国神社参拝問題について、李登輝・前総統は、自分たちの内部の問題を処理できないことから作り上げた問題だとの見方を示し、「日本の政治はあまりにも弱かった」と述べた。

■まったく仰る通りで、チャイナの中にも内心では同感している人も多いはずです。後藤新平が莫大な予算を日本政府から持ち出して社会インフラを急速に整えた台湾と、内戦の後の大躍進・整風運動・文化大革命と続いた人災で復興も発展も無かった大陸とでは、随分と話が違いますからなあ。


李・前総統は日本が戦争で亡くなった若者たちを祀るのは当然で外国の批判を受ける理由は無いとしている。……李登輝・前総統は、北京当局が訪日を台湾独立推進の動きとしていることに対し、プライベートな訪問だと反論すると共に、「台湾は独立した国で、台湾の人たちは台湾は自分たちのもので唯一のものだと思っている。これは大変自然なことだ。」と述べた。
2007年6月14日 中央広播電視台

■台湾でも総統選挙が近付き、米国政府を巻き込んだ対外政策を模索する一方で、大陸との関係を経済に限定して政治的な影響を最低限度に抑えるという綱渡りを進めねばなりませんから、台湾海峡にも亥年の波が立つでしょうなあ。日本の安倍総理が面白い事をやれば、少しはめりはりも付きそうなものですが、米国の生煮え政策を丸呑みして中途半端な態度を続けるしかないでしょう。要するに「何も言わない」メッセージを送り続ける念力外交ですなあ。

亥年は政変の年 其の壱拾壱

2007-06-22 19:19:12 | 政治
苦情相談は、02年度までは100件前後で推移していたが、03年度は327件に急増し、06年度は過去最多の577件に上った。……「会社に5年勤続したのに、社会保険事務所に登録がなく、年金額が少ない」…「国民年金が1か月分未納だと言われたが、領収証を持っている」(02年)など、記録漏れを指摘するケースがあった。
6月21日 読売新聞
 
■年金制度が破綻するぞ!とNHKを始めとして各マスコミが騒いだのは1980年代のことでしたが、その後のバブル騒動でうやむやになった経緯も有りますから、政府内部では「これはヤバイぞ」という感触は有ったはずです。日本経済に地力が有った時に、しっかりと制度設計を改善しておけば良かったものを、バブル景気に便乗してグリーンピアなんかを作っていたのですから破綻するのも当たり前なのでしょうが……。厚生大臣・官僚・国会議員が寄ってたかって保険料を食い散らかした実態を解明しないと、本格的に少子高齢化社会に対応した厳しい制度変更をするにしても、国民は納得しないでしょうなあ。自分達が無駄遣いした事は無かったことにして、その大穴を埋める分も被保険者に背負わせるというのは、どう考えても道理に合いません。


政府は22日午前の閣議で、該当者不明の年金記録約5000万件の存在について、安倍首相や塩崎官房長官が認識したのは「昨年暮れから今年の初め」とする答弁書を決定した。政府は5月25日と6月4日に、年金記録漏れ問題に対する対応策を発表したが、ほぼ半年間は具体的な対策が示されなかったことになる。

■おそらく「5000万件」の数値が明らかになった事に首脳部は大して驚かなかったはずです。社保庁の闇、年金制度の欠陥は、それよりも遥かに深刻だと分かっていたはずだからです。安倍首相としては、前政権まで隠し通せたのだから、自分の代でも先送りできる。そんなものは放っておいて「美しい国」を目指そう!と思っていたに違いないのです。勿論、それは安倍首相だけが無能な悪人だった事にはなりません。年金官僚が半世紀以上も好き勝手しているのを放置し、自治労と喧嘩するのを避けて来た責任は、これまでのすべての政権にあります。


答弁書は、江田憲司衆院議員の質問主意書に対するもの。不明記録の総数について、2006年6月現在で5000万件に及ぶことを政府が公表したのは今年2月。民主党の松本政調会長らが、国会審議などに備え、昨年12月、衆院に要請した予備的調査の報告書で明らかになった。……社保庁から首相、官房長官に報告が行われたとみられる。
6月22日 読売新聞

■江田さんは元通産官僚で、村山内閣当時から橋本龍太郎通産大臣に仕え、橋本首相の政務担当内閣総理大臣秘書官(首席秘書官)に現役官僚から抜擢された面白い人です。自民党から出馬して落選、無所属になって当選と落選を繰り返して現職という変わった経歴を持っています。故橋本龍太郎さんは有名な厚生族議員でしたから、橋本さんに最も近い位置に居た江田さんにも年金制度を放置した責任が有りそうです。


塩崎恭久官房長官は22日午後の記者会見で、今年初めまでに年金記録漏れ問題を認識していたにもかかわらず政府の対応策が5月となったことについて「(問題が)どこまでの奥行き、広がりがあるのか全体像を把握するのに時間がかかった」と釈明した。……基礎年金番号に統合されていない記録が5000万件に上ると分かったのは2月と説明し、「(問題を認識した時点では)全体像が明らかではなかった」と語った。その上で「早めの対応があってもしかるべきだとは当然言える」としながらも、「どういう問題なのか(全体像が)分かった段階ですぐ手を打った」と政府の対応に理解を求めた。
6月22日 時事通信

■塩崎官房長官がウソツキでないのなら、今の安倍政権は年金問題の「全体像」を把握している事になりますぞ!長年のドンブリ勘定でぼろぼろになった収支の全貌が分かっているという事でしょうか?漂流している5000万件とは別に、完全に消えてしまった記録、それによって支給されなかった年金の総額など、全部が揃ってこその「全体像」です。全体像がまださっぱり分からない内に国会で攻撃され、参議院選挙も近付いてしまったからこそ、日替わり定食みたいな安請け合い答弁を繰り返したのではないでしょうか?本当に年金の闇を知っているのなら、「1年以内に解決」などと空手形を切れるはずもありませんぞ。

■全貌が明らかになり始めれば、社会保険事務所や市町村役場の職員の中から横領罪でぞろぞろと逮捕者が出るでしょうし、キャリア官僚の中からも背任や詐欺で逮捕も有り得るはずです。勿論、グリーンピア問題などでは、政治家の中に受託収賄罪を適応される人も居るでしょう。公明正大な善人ばかりが年金資金を扱っているのなら、世界最悪の収支状況になどなるはずないでしょうに?!


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亥年は政変の年 其の壱拾

2007-06-22 19:05:59 | 政治
■国会の会期延長が決定して、夏休み・花火大会・海外旅行などとのバッティングやら、某テレビ局のバカ長い特別番組との兼ね合いやら、民間人が右往左往しているようです。お上の方でも別の選挙との抱き合わせ予定だった群馬県や、手回し良く投票準備を進めていた地方自治体はあれこれ調整するのに大童(おおわらわ)だそうです。場所の確保から人件費まで、民主政治には不可欠な選挙ですが、莫大な費用がかかりのだから、ちょっとは考えて貰わないと困りますなあ。

自民党は21日、夏の参院選向けの新ポスターを発表した。キャッチコピーは「成長を実感に!」。青空を背景に、クールビズ姿の安倍晋三首相が遠くを見つめて立つデザインで、24万部を作製し都道府県連に配布する。これまでのポスターは「地域に活力。成長で活力」。首相の「成長重視」路線を表現したが、地方から「恩恵は都市部ばかり。地方の実態に即していない」と不満も出ていた。片山さつき広報局長は、新ポスターの狙いを「改革の成果を暮らしの実感につなげる。その解決力があるのが自民党」と語った
6月22日 毎日新聞

■「菅直人が悪い!」という子供の喧嘩みたいなビラを造った片山さつき広報局長ですから、「その解決力」の中身がまったく不明だという事実もけろっと忘れていられるのでしょう。さわやかなデザインのポスターに「成長を実感に!」などとデカデカと印刷して、地方のシャッター商店街にでも張るつもりでしょうか?各地の社会保険事務所の入り口にでも張れば、毎日、火を点けられたり破かれたりするでしょうなあ。医者不足で閉鎖されそうな地方の総合病院の待合室にも貼って欲しいし、「ハローワーク」の入り口には必ず貼って欲しい!


年金記録紛失問題について総務省は22日、都道府県知事と政令市長に対し、住民の不安解消に向けて協力を求めたことを明らかにした。住民から問い合わせが寄せられた場合、社会保険庁や「年金記録確認第三者委員会」などに取り次ぐよう要請するとともに、行政相談委員との連携や年金相談窓口設置の周知などを求めた。

■「都道府県知事と政令市長」に頼むのなら、特例措置で一括納入して行方不明になった年金保険料の件でしょ?!まるで「第三者委員会」が庶民の味方で絶大な権能を持っているかのような話ですが、決して騙されませんぞ!同じ職権を持つ機関が、以前から作られていた事実が判明しているのですから、似たような物を作って選挙宣伝に使おうなどとは、何とも姑息な手段です。


菅義偉総務相は同日午前の記者会見で、「国民の一番身近なところで年金の問い合わせがあれば可能な限り対応してもらいたい」と述べた。
6月22日 産経新聞

■その身近な所に払い込んだ保険料が、横領されたり消滅したりしているから皆が怒っているのです。社保庁の内部を監査する組織を立ち上げた総務庁が、選挙向けに正義の味方を演じる筋書きのようですが、そうは問屋が卸しませんぞ!

 
総務省は22日、同省所管の公益法人に対する06年度の立ち入り検査結果を公表した。307の所管法人のうち120法人を立ち入り検査し、51法人に対して改善を指導した。主な改善点は▽財務諸表などの情報公開が不十分▽収益事業の割合が高く、公益事業規模が総支出の2分の1を下回っているなど。
6月22日 毎日新聞

■公務員制度改革=天下り禁止法案を強引に通そうとする安倍首相が、総務省をこき使って大急ぎで揃えた数字のようです。5割の公益法人に問題が有るというのは大問題ですが、もっと問題なのは、「そんなに少ないはずはないぞ!」と国民が考えている事でしょう。「天下りを禁止する」と安倍首相が叫んでいますが、正確に言うと「これまでのような」が前に付きます。ですから、天下りのやり方がちょっとだけ変わるだけの話でしょ?本気で「天下り」の悪弊を無くすのなら「公益法人」自体を廃止すればよいだけの事です。


内閣府は21日、1997年度から2006年度までの10年間で、国民生活センターに寄せられた年金に関する苦情相談が2439件あったことを明らかにした。民主党の長妻昭衆院議員に説明した。……「支払った保険料が未納になっている」など記録漏れを指摘する事例が50件程度あり、長妻議員は「政府は10年前から年金問題(の存在)を把握しながら対策を講じず、反応が鈍かった」などと批判している。

■長妻議員は参議院の選挙運動が本格化すると、民主党議員の応援演説で引っ張りだこでしょうなあ。さて、自民党の方にはそんな人材が総理を含めて居るのでしょうか?社保庁の村瀬長官が頭を丸めてお詫び行脚でもすれば、少しは見物人も集まるかも?