旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

金賢姫訪日の裏? 其の四

2010-07-23 16:16:15 | 教育
■朝鮮学校からの「転入」に関する記事の続きです。

東京韓国学校の金明植校長(57)は、朝鮮学校からの転入生について、「同じ民族として歓迎すべきことだ。学校で他の生徒と区別することはないし、(朝鮮学校からの転入生は)韓国語ができるので、日本の学校から来るよりも適応しやすい」と話す。生徒自身は、教育内容や進路への不安を理由に挙げるケースが多い。朝鮮学校から転入した中等部の生徒は「語学など、ちゃんとした教育を受けるには韓国学校の方がいいと思った」。別の生徒は「朝鮮学校から韓国の大学へ行くのは難しいから」と打ち明ける。韓国学校の学費は朝鮮学校とほぼ同程度だが、高校になれば年間10万円以上の「授業料無償化の恩恵」も受けられる。

■ただでさえ在籍していても良い事が無かったところに、降って湧いたような無償化の話が飛び出して、朝鮮学校の特異性が韓国学校との比較によって浮かび上がってしまったようです。もしも、無償化政策が朝鮮学校を兵糧攻めにして衰退させる深謀遠慮の上に生まれたのだったら、日本の政治もなかなかのものなのですが……。


北朝鮮、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の支援を受ける朝鮮学校は、1970年代には全国で約160校(初、中、高級学校)、児童生徒数も4万人を超えていたが、金日成・金正日父子を賛美する偏向した教育内容に加えて、日本人拉致事件の発覚などにより、現在は73校、約8300人にまで激減した。……児童生徒離れは地方ほどひどく、「中級部(中学)全体で10人あまりしか生徒がいない学校もある。この状態では授業やクラブ活動は成り立ちにくい」という。ただ、朝鮮学校側にとって韓国学校への転出は日本の学校以上に容認しがたく、「(韓国学校は)悪いことばかりやっている」などと教師が強硬に引き留めるケースが多いという。
7月18日 産経新聞

■税金の無駄遣いだ!と悪い評判が立ち始めた金賢姫の来日でしたが、唯一の収穫はベトナム・ハノイの国際会議に出席している北朝鮮外務省のリ・ドンイル課長にFNNの取材陣がマイクを着き付けて得た発言だったという話があるようです。何でも課長さんは「祖国を裏切って親を捨てた女について、話をする価値はない!」と金賢姫は北朝鮮出身だと初めて公に認めてしまったわけですから、逮捕直後から「韓国の謀略だ!」と頭から偽者呼ばわりを続け、証拠写真が出れば「別人だ!」と本人を名乗る女性が現れたりもしましたからなあ。韓国の国内でも北朝鮮が叫び続けた韓国政府による自作自演説を信じている人が多いとも聞きますから、教育熱心な朝鮮学校の生徒達となれば純粋に韓国謀略説を信じ切っているものと想像されます。祖国のエリート外交官であるはずのリ・ドンイル課長の発言は、生徒達の「転入」を更に加速させる効果を生むかも知れませんなあ。

金賢姫訪日の裏? 其の参

2010-07-23 16:15:44 | 教育
■来日した元工作員・死刑囚・爆破テロ犯の金賢姫が韓流スターより盛大な歓迎?を受けて4日間の滞在を終えて帰国したそうです。日本中が猛暑と水害に襲われている時に軽井沢の別荘に滞在、ベンツで移動した先は調布の飛行場で東京上空を遊覧飛行したとかしないとか……。肝腎の「新情報」はほとんど手に入れられず、一体、何のために?とあちこちから非難の声が上がり始めているというのも、費用対効果を考えれば当然でありましょうなあ。どうも民主党政権がやることは素人臭くて行けません。

■金賢姫の離日を待っていたかのようにベトナムのハノイでは重要な国際会議が始まり、その会議に合わせるかのように米韓共同で大規模な軍事演習が始まるというのが東アジアの主たる動きであります。それに比べてお涙頂戴話で塗り固められたような金賢姫の訪日騒動は日本政府の外交政策が見当違いの方向に捻じ曲げられているような印象がありますなあ。内政も同様で、沖縄の基地問題に関してパンドラの箱の蓋を開けてしまった鳩山サセテイタダク前首相は口をぬぐって後始末を菅新政権に丸投げしておいて、今度はお祖父ちゃんから貰った別荘を提供して北朝鮮による拉致問題の解決に関与している印象を偽造しようとしたり、「既に死んでいる」新首相の呼び出しを無視しているクラッシャー小沢を首相に合わせる橋渡し役をして党内での存在感を回復しようと生臭くもちっぽけな事をやっているようですから、東アジアで始まっている大きなウネリに乗じて日本の発言力を強めようなどとは誰も考えていないのでしょうなあ。

■沖縄の基地問題を振り出し以前に押し戻して地元の感情を爆発させたのは鳩山サセテイタダク前首相個人の失敗だとしても、「外国人参政権」問題は民主党の党是とされているのですから、在日外国人社会を動揺させている責任は党全体にあることになりましょう。ハノイの会議に出席している岡田外相も、熱心な推進者だそうですなあ。


高校授業料無償化の適用問題で揺れる朝鮮学校から、韓国系の東京韓国学校(東京都新宿区)へ転入する児童生徒が相次いでいる。例年なら「1人いるかどうか」(東京韓国学校)という中等部(中学)からの転入生が今春は4人。全校(初、中、高等部)では11人の転入生が在籍している。深刻な朝鮮学校の“児童生徒離れ”に加え、「朝鮮学校を出ても大学に行けない」といった進路や教育内容への不安が背景にあるようだ。

■拉致犯罪が発覚してから、北朝鮮系の総連から韓国系の民団への「転入」が急増したという話もありますが、その後も核兵器やミサイルの開発と乱用が続きましたから、将軍様を見限って去る者が後を絶たないのでしょう。そこに授業料の無償化が加わって、長引く不況下で少しでもよい教育を受けたいと思う若者の心情は国籍とは無関係で共通のものだとは思いますが、その中にナリスマシがまったく含まれていないのかどうか……。転入生に『踏み絵』を強いる隠れキリシタンみたいな問題は起こらないのか?と余計な心配をしてしまいます。


東京韓国学校(児童生徒数約1100人)は、在日韓国人子弟の教育機関として昭和29年に開校。朝鮮学校と同じ「各種学校」の扱いだが、今年から始まった高校授業料無償化の対象となっている。関東では唯一の韓国学校で、本来の民族教育に加えて、大学受験や日、英、韓の語学教育に力を入れており、現在は日本に駐在する企業や公務員らの子弟が圧倒的に多い。……朝鮮学校からの転入生は今春、特に目立ち、遠方の東京郊外の朝鮮学校から初めて転入したケースもあった。朝鮮学校から日本の学校などを経て韓国学校へ来る児童・生徒を含めれば「転入組」はさらに増えるという。……

■高校無償化政策は長く続いた自民党政治との違いを強調するためには有効だと認めるにしても、対象となる「各種学校」の線引きやら「年齢制限」「地域格差」「給付方式」など具体的な施策となると、どうも場当たり的で後々問題が噴出しないとも限りませんぞ。農家への戸別補償が米作農家に限定された本当の理由が不明なように、高校無償化も対象となる学校の線引きがすっきりしないまま、ロクな国会議論もせずに実施してしまって、後で制度の不備やら不正やらが発覚して現場が大混乱しなければよいのですが……。

■無償化が実施されると生徒が公立高校に流れて中高一貫校などの私立高校が敬遠されるのではないか?と少子化と学力低下の板挟みに悩む現場では、大きな変化が起こる可能性が取り沙汰されているようですが、外国人学校の方ではアメリカン・スクール17校などと共に韓国学校がすんなりと無償化の対象になったのに、朝鮮学校が排除された!と人権派弁護士などが騒ぎ立てたばかりに、世間の注目が集まってしまい保守系雑誌などは盛んに北朝鮮問題と直結させた論じて、民主党内の誰かさん達は苦々しく思っているのかも知れませんなあ。

金賢姫訪日の裏? 其の弐

2010-07-22 16:33:44 | 教育
■この「専門家会議」が誕生した時にも、民主党政権は非常に慎重でした。

4月からスタートした高校授業料無償化制度の対象に朝鮮学校を含めるか検討する文部科学省の専門家会議のメンバー選定が遅れていた問題で、やっとメンバーが決まったことが24日、分かった。ただ、朝鮮学校の無償化には国民から強い反発があることなどから、同省は当面、メンバーや会議日程、内容を非公表とする方針だ。審議会の公開を原則とする同省では異例の対応になる。……川端達夫文科相の諮問機関として設置される同会議のメンバーは、最近になって教育行政や教育制度の専門家ら約10人が決定した。ただ、「静かな環境での議論が必要だ」(川端文科相)として、メンバーの氏名・役職、会議の日時や場所などは当面、非公表とすることにした。現時点ですでに会議が行われたのかも公表していない。……

■仮に「含める」と結論すれば保守系のマスコミや世論は強烈に反発するでしょうし、逆に「含めない」となれば暗がりからの逆恨みが心配でしょうから、このような秘密主義を貫かねばなりますまい。こうして見ますと民主党が参院で過半数を失い、衆議院で再議決しようにも3分の2を制していない勢力図が現出したことが嬉しくも思えますなあ。


会議は、朝鮮学校の教育が、日本の高校に準じる内容か-などを5月下旬から8月まで計5回程度審議した上で、無償化制度の対象にすべきか結論を出す。民主党がマニフェストに掲げる情報公開推進に反しないよう、会議終了後にメンバーの氏名や議事録の概要などをまとめて公表する方針だという。……
2010年5月24日 産経新聞

■選挙前に強行採決を繰り返してまったく民主的でない体質を天下に示し、結党以来、今になっても党の綱領がまとめられない寄り合い所帯の民主党ですから、対米関係も迷走を続けるし経済戦略も竜頭蛇尾・羊頭狗肉のまま大混乱するのも分かります。それなのに不思議なくらいに一致団結して推し進めようとしているいくつかの政策がある!というのは不気味なものを感じますなあ。

■まだ『外国人参政権』の法案が通っていないのに、既に韓国系の団体がせっせと民主党の選挙応援に汗を流しカネをつぎ込んでいるという話があるようですが、現行の有権者がそっぽを向いてしまったら新しい票田を開拓しても焼け石に水だと思い知ったはずなのですが……無償化問題に関しては相手が悪過ぎるかも?


朝鮮学校への高校授業料無償化適用をめぐり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が生徒の父母らに文部科学省に適用を要請する電話攻勢をかけるようノルマを課していたことが(6月)12日、内部文書から分かった。同時に、複数の日本人になりすまして電話回数を稼ぐよう指示。総連の無償化運動がモラルを著しく逸脱し、北朝鮮同様に統制された組織動員のもとで展開していた実態が明らかになった。……

■拉致犯罪が白日の下に晒された時期に「背乗り」というナリスマシ工作があることを一般の日本人は知ったのでした。組織的に同じような事をやっているのは、指示主体が同じだからでしょうか?


文書では「『高校無償化』がわれわれの学校に適用されるまで全組織、全同胞を立ち上がらせ闘争し続ける」とげきを飛ばし、無償化適用を求める署名を「1人当たり100人」集めるよう指示。文科省が開設した無償化の相談窓口「高校就学支援ホットライン」を通じて無償化即時実施を求める要請活動を展開するようにも命じた。文書にはホットラインの電話番号が目立つように書き込まれているが、関係者によると、この文書が出された際、総連幹部は「在日としてだけでなく、一般の日本人になりすまして複数回電話するように」命じたという。関係者は「日本人も適用に賛成していると見せた方が効果がある」と、意図を説明する。

■「ホットライン」を管理しているのが民主党政権の文科省なのですから、何となく「阿吽の呼吸」という言葉を思い出してしまう話であります。こうした工作活動の存在を知らなかったことにして無機的な数字を集計して「民意」だとして発表されたら堪りませんなあ。


文書では「高校無償化闘争」についてのDVDなどを積極活用して民主党の地方組織や地方議会へも強く働きかけるよう求めている。さらに、活動結果について「5月29日」「6月26日」「7月10日」「7月31日」と期限を指定して報告ノルマを課し、集めた署名数のほかホットラインへの電話回数も報告を指示している。

■『週刊新潮』7月22日選挙特大号に似たような話が掲載されていたのを思い出しましたぞ。題して「大量の怪文書でも山教丸抱え輿石東」という記事で、「あと数日、投票日が先だったら輿石さんは間違いなく負けていた」との地元記者の発言に続けて、次のような県内のベテラン教師の証言が出ているのです。「今回の選挙でも電話作戦を行うための個票と呼ばれる後援会カード集めをさせられました。まず選挙が始まる前に30票を集めるようノルマが課され……投票日の3日前になって翌日までに1人、個票を5人分集めろとの指示が下りました」という何処かで聞いたような内容なのであります。


……同省によると、ホットラインには「朝鮮学校にいつ無償化が適用されるのか」「一日も早く適用してほしい」との意見が実際に寄せられており、「正確な数は集計していないが、少なくない」(文科省担当者)という。なりすましについて、担当者は「匿名の電話が多く、時間帯で電話を受ける職員が代わるため、同じ人物が電話してきても分からない」と話した上で、総連による動員については「コメントしかねる」としている。
2010年6月13日 産経ニュース

■『外国人参政権』の法案が通ってしまったら、その後に何が起こるのだろう?と想像するのには大いなるヒントとなりますが、組織的なナリスマシ運動の存在を知ってしまうと、次のような動きの裏にも何かが隠されているのではなかろうか?と邪推したくもなります。

金賢姫訪日の裏? 其の壱

2010-07-22 16:32:44 | 教育
■「元工作員」「元死刑囚」とテレビ局によって肩書きが微妙に違っているものの、どこも総力取材でワイドショーとニュース番組で使い回せる旨みに引かれてテレビ各局はお祭り騒ぎのようなのですが……。

■参院選で落選した身で閣僚の椅子に座り続けている日本の法務大臣は案外と意気軒昂で、『夫婦別姓法』の実現に向けて鋭意努力中との報道があるようです。参院用に急増されたマニフェストからふっと消えていたので、民主党は「悪法3法案」の成立を断念したのか?と思った人も多いでしょうし、何よりも唐突に飛び出した菅新首相の「消費税10%」発言ばかりが注目を集めてしまったので、ますます話が核心からずれて行ったのは、もしかしたら新政権の肉を切らせて骨を断つ捨て身の謀略だったのかも?
 
■千葉景子法相は比例票を独占して生き残った社民党の福島党首と親しい弁護士仲間で、人権派の大きな看板を背負っているそうですから、民主・社民の連立が崩れても気脈は今でも通じていることになります。9月の代表選までの残留とも言われていますが、民主党は「悪法3法案」を秋の臨時国家に提出して強引に成立させるという選挙惨敗前に立てていたスケジュールを変更したという話は聞こえてきませんから、消費税の煙幕が晴れたら奇怪な法律案が怪しい部分連立の詐術によって成立してしまうかも知れません。

■悪法は他に『人権侵害救済法』と『外国人参政権』で、前者は警察や検察を越える強権を持つ「人権委員会」なる怖い組織が好き放題に暴れ回れるスターリン好みの法律だそうですし、後者は50万票とも言われる在日外国人の票を新たな組織票として取り込もうという政権与党のサモシサと浅はかさが生んだ妄想みたいな法律だとか……。「国民の信を問う!」と大見得を切って戦った選挙戦だったはずですが、普天間移設問題も「悪法3法案」もまったく争点にならなかったのは甚だ残念なことでありました。惨敗に終わった選挙の総括も怖くて出来ないほど弱り切った菅新政権であるはずが、有権者の目を逃れるように事態は着々と民主党の隠された真意を実現するように動いているようなのが気になります。
 

高校無償化に朝鮮学校を適用対象にするかどうかについて、川端達夫文科相は20日の閣議後の会見で「8月をメドに判定基準と判定方法を含めた方向性が出るものと思っている」との見通しを示した。……是非をめぐっては、同省が5月、この問題について議論する専門家会議を設置。拉致問題などから朝鮮学校への同制度の適用に反発する声が挙がっており、一方で朝鮮総連などが適用対象とするよう求める組織的工作活動を展開中であることが次々と明らかになっている。同省は専門家会議が議論する日程や場所、議論の内容を非公開で行っていた。
7月20日 産経新聞

■「5月に専門家会議を設置」「8月をメドに」と並べますと、普天間基地移設問題とピタリと重なる政治日程になっていることが分かります。鳩山サセテイタダク前首相の迷走が朝から晩まで報道される中で「5月決着」は予想通りにホラ話で終わり、「8月決着」も相手の米国側が聞く耳を持ってくれそうもないので早々と「11月」に先送りとか……。それに比べて朝鮮学校の問題は巧みに国民の目から隠れて予定通りに事が進められているようで、民主党が本気で取り組んでいるのがこちらの方だった!と気づいた時には手遅れかも?

切羽詰まった「ゆとり」の話 其の壱

2010-06-07 22:25:40 | 教育
■私事ながら、何かと忙しい日々を送っている間に鳩山サセテイタダク首相はクラッシャー小沢と「抱き合い心中」の格好で辞任、世界で最も危険な普天間基地の移設問題の写し絵のように「最初からそうしておけば……」という代表選挙による管代表・総理大臣の誕生という壮大な茶番劇がありました。可哀想なのは現在も発売中の『週刊文春』最新号に「参議院選挙前の辞任はあり得ない!」とディープな取材記事を書いた上杉隆氏でありましょう。ブッシュ大統領の時代、『朝まで生テレビ』なる番組でバクダッド攻略戦は無い!と断言した当時売り出し中の国際ジャーナリストの言動と姿が重なってしまいますが……。
 
■余り先走らず、衝撃的な?「抱き合い心中」W辞任劇を跡付ける論評がマスコミでは目立っているようですが、どうしてもクラッシャー小沢の存在が軸となってしまうのは、例の「官房機密費」などの影響かも?などと邪推したくもなるのですが、郵政を所管する総務大臣として「連立が第一」の小沢幹事長の意を受けて団栗眼(どんぐりまなか)を見開いて頑張った原口大臣が陰のキーパーソンだと、年齢とギャラの高さ故にテレビ朝日から追い出されたはずの田原総一郎さんが日曜日に、古巣番組の後番組に「ゲスト」として登場して「9月の代表戦」をネタに原口大臣を昔ながらの手法でフレーム・アップしていたようです。

■その原口大臣が何を言うかと思ったら、文科相でもないのに今の日本政府にとって最大のテーマは「一に教育、二にも教育、教育こそが最大のテーマだ!」と、全盛期の英国ブレア前首相の発言を恥ずかしげもなく真似て悦に入っている場面を偶々見てしまった旅限無は、その前日に管・新代表総理が鳩山サセテイタダク首相の「思い」を継承して改革の「タイマツ」を受け取った!と1960年代の米国ケネディ大統領の就任演説から単語を剽窃してしまった場面を重ねて思い出していたのでありました。何となく年代順に英国のブレア、米国のケネディと既に各種の書籍でその本性が暴かれているというのに、いざとなると御自信が感銘を受けた他国の有名人の口吻(こうふん)を真似てしまいたくなるようですなあ。

■「天に唾して」日米関係を傷付け沖縄県民の心情を御丁寧にも付不用意にずたずたにして「覆水盆に還らず」の内外の政治状況を作り出し、やっと「綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)」の意味が分かって鳩山サセテイタダク首相が辞任したのかと思いきや、そんなタマではなかった事が辞任直後からぽろぽろと御自身の口から漏れたり噴出したりしているようですなあ。「嗚呼、やっぱり、そういう人だったのだなあ」と、うっかり政権交代に夢を託した貧しき我ら庶民は、巨大な銀の匙を咥えて生まれた赤ん坊は、毎月1500万円ほどのハシタガネの動きなど「まったく知らない」まま、無理な借金をお願いできる故に御神輿に乗せて貰っていることを知らず、誰も「聞く耳を持っていない」念仏かお題目のような「友愛精神」に党内の賛同が集まり、先の総選挙では「とうとう国民全体に友愛精神が浸透した!」と本気で勘違いしてしまったようです。

■御自身も管新代表総理にも縁(ゆかり)のある東京工業大学で、形式上は総理大臣であった最後の時を歴史に残るような一人でボケとツッコミを演じる際どくも味わいのないジョークを鏤(ちりば)めながら、気楽な「放言」をしたようであります。1年に満たない首相在任中、あんな調子で国難に立ち向かっていたのかいなあ、と講演内容を見聞きした国民は怒る気持ちにもなれずに改めて呆れていたのではないでしょうか?やっぱり「独り言」しか言えない人なのではないでしょうか?

■件の講演には気楽な「放言」が次々に飛び出していたようですが、殊、教育に関して以下のような壮大なホラ?を吹いていたのが気になりましたぞ。少しばかり、鳩山サセテイタダク首相の「最後っ屁」に拘ってみたいと思います。

森繁逝って市橋捕まる 其の参

2009-11-12 11:13:30 | 教育
■千葉県行徳警察署で逮捕された市橋容疑者は、黙秘と断食を続けている由。オバマ米国大統領が予定を1日遅らせて来日するとて東京都下は厳戒態勢だそうですが、鳩山サセテイタダク内閣がうっかり蓋を開けてしまったパンドラの箱から飛び出した「沖縄基地問題」が日米関係を根底から揺るがすのではないか?と交渉の推移を心配する声も出ているという時に、市橋容疑者が選んだ国内最後の逃亡先が沖縄。基地問題に関する政治的な思想などは持ち合わせていそうもない暇な30男にとって、ふらりと流れ込んで気ままなリゾート暮らしが出来る特殊な場所が点在する沖縄は最後に残された希望の地だったのかも知れません。しかし、迷惑な米軍基地に加えて変な連中が税金も払わずに居付いてしまうのも沖縄の人々にとっては頭の痛いことでありましょうなあ。ましてや全国指名手配されている犯罪者などは御免こうむりたいところでしょう。

■都道府県別の指名手配容疑者の数が公表されていました。元々、居住人口に大きな偏りがありますから単純に数の多少は論じられないのですが……。逃げ回っているらしい合計1933人を多い方から並べてみましょう。

①大阪 335 ②東京 261 ③愛知 117
④福岡 115 ⑤神奈川 96 ⑥北海道 65
⑦千葉  65 ⑧兵庫  63 ⑨埼玉  58
⑩滋賀  46……

■人口比で圧倒的に多い東京都を楽々と抜いて大阪府が第一位というのはちょっと不気味でありますが、名古屋市を擁する愛知県にぴたりと付いている福岡県も迫力がありますなあ。以下を見てみますと……。

岡山  45、広島 43、栃木 41、静岡 41、三重 35、
和歌山 31、宮城 30、京都 26、山口 26、岩手 24、
長崎  23、群馬 22、新潟 22、沖縄 20、茨城 19、
石川  19、大分 19、香川 18、愛媛 18、福井 16、
鳥取  16、佐賀 16、奈良 15、島根 15、富山 12、
鹿児島 12、熊本 11、青森 11、岐阜 11、山形 10、
長野  10、宮崎  9、高知  7、福島  6、秋田  5、
山梨   4、徳島  4。

■犯罪の発生件数や検挙率などの数値とも摺り合わせないと迂闊な判定は出来ませんが、少ないながらも全都道府県に未解決の凶悪犯罪が存在しているというわけですなあ。所轄の警察に頑張って頂くしかないのではありますが、平均寿命が今の半分以下だった大昔に定められた「時効制度」がずっと放置されたままだったのは政治家の怠慢だったのでありましょうし、なかなか冤罪事件が根絶できないのは警察の構造的な問題なのでしょうなあ。

■今回の市橋容疑者逮捕の功績は、通報した整形外科医とフェリー乗り場の職員にあり、整形情報に過剰なほど反応して集中豪雨的に騒ぎ立てたマスコミが陰の主役だったことになりそうです。残念ながら警察は「電話番」になってしまいました。それならアルバイトでも勤まるぞ!とまでは申しませんが、これから解明されるはずの空白の逃走期間の内容によっては警察の責任が改めて問われることになるのではないでしょうかな?返す返すも現場からの逃走を許した最初の対応の拙さが、これだけの大騒ぎを引き起こしてしまったのですから、これで万事が目出度し目出度しとはなりませんぞ。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

日本の最高学府 其の参

2009-08-01 07:38:35 | 教育
■同じ東北大学の大学院ですが、この事件が発覚する1ヶ月前に歯学研究科でも変な事件が起こっておりました。 
 
東北大大学院歯学研究科の女性助教の論文に不正があったとされる問題で、……この助教と指導教授ら計3人の研究者が01~07年に発行した11本の論文についてデータ改ざんの不正行為があったと発表した。……研究が不正とされたのは上原亜希子助教(39)。実験は上原助教が単独で実施したが、調査委は、指導教授らが実験データの信頼性の検証を適切に行わなかったとして、不正に関与したと認定した。……昨年3月、口腔(こうくう)の免疫に関する論文で、日本細菌学会から若手研究者に贈られる「黒屋奨学賞」を受賞したが、不正を疑う会員の指摘が同学会にあった。同学会がこの論文を含む上原助教執筆の論文の作成過程を調査した結果、16本の論文で不正の疑いが強まり、大学側に調査を求めていた。一連の論文は、別々の実験に基づくデータとしているにもかかわらず、実験結果の顕微鏡写真などの画像が複数の論文でぴったり一致していたという。さらに、上原助教は実験の証拠となる記録について「パソコンに保存していたが、パソコンの故障とウイルス感染により喪失した」として、提出しなかったため、実験データの不正を認定した。
2009年4月21日 毎日新聞

■話が専門的過ぎて、何のことやら分かりませんが、要するに実験データを自分の都合のよい様に切り貼りして大発見を偽造したということのようです。資料の文脈を無視して都合のよい箇所だけを抜き取って引用し、強引に自分の主張を補強してしまうという手口は文系の論文では多いものですが、理系ではデータの改竄(かいざん)という手法が採られるので問題は発覚し易いようですなあ。今回の場合は大きな賞の受賞が切っ掛けですから、多少は同業者のやっかみがエネルギーになったのかも?

■日本の大学には各種の「質の問題」が隠れているようなのですが、少子化の影響で「量の問題」が目立っております。経済問題や政治の課題にまで発展し兼ねない日本の大問題であります。


今春の入試で定員割れを起こしていた私立短大が前年度比1・9ポイント増の69・1%と過去最悪だったことが30日、日本私立学校振興・共済事業団の調査でわかった。同事業団は「大学全入時代を前に、4年制大学に入学しやすくなったため」と分析している。……私大570校と私立短大356校を対象に今年5月1日現在の入学状況を調べた。定員割れの短大は前年度より4校増えて246校。このうち27校は、入学者が定員の5割に満たなかった。

■少子化が叫ばれ続けて10年以上が経ちますが、その間も何処かの誰かさんの差し金で、日本各地に大学は新設され続けておりますし、「定員割れ」の問題は20年以上も前から受験産業の業界では先取りされておりました。どんどん入り易くなる大学進学事情の中で、生徒達の尻を叩いて勉強させるためではありましたが、「消えて無くならない大学へ!」と熱心に鼓舞していたものです。誰でも知っている有名大学でも、団塊の世代から見れば信じられないほど入り易くなっている現状があり、ほとんど誰も知らない大学ともなりますと、何の苦労もせずに大学生になれてしまう昨今のようであります。


各短大は定員削減を進めており、総定員は7万9522人と前年度より約3500人減った。しかし、志願者はそれを上回る1万1000人以上減少していた。一方、定員割れの4年制私大は、過去最悪だった前年度から0・6ポイント回復し、46・5%だった。大学数は1校減の265校。入学者が定員の5割に満たない私大は2校増えて31校となった。

■短期大学から4年制大学への衣替えラッシュが起こったのは10年ほど前でしたでしょうか?専門学校でもなく4年制大学でもない短大の価値はどんどん下がり続けているそうですが、それでも全国で8万人分もの受け皿があるとは驚きです。4年制大学でも定員の半分しか生徒が在籍してない状態で、どんな指導体制を採れるのでしょう?経営難で指導員の数と質が落ちれば生徒の質も落ちます。そんな実態を見た受験生は逃げるから志願者が減る。更なるコスト削減で講義や指導の内容が劣化して……。早めに統廃合しておくべきだったかも?

日本の最高学府 其の弐

2009-07-31 10:37:50 | 教育
……米国は1998年以降、大量破壊兵器の開発が懸念される国からの留学生に対してビザ発給を規制している。早稲田大学の山本武彦教授(安全保障論)は「米国では、リストに載った研究機関出身の留学生が入国することは考えられない。日本も法的な入国規制の仕組みが必要だ」と指摘する。これに対し、東北大量子エネルギー工学専攻の長谷川晃・専攻長は「留学生の研究課題は、核物質を使わないので問題がないと判断した」と話している。
7月31日 読売新聞

■知識や技術というものは、使いようによっては毒にも薬にもなるという基本的な認識が東北大学では希薄なのでしょうか?例えば、自分は生徒に「刃物の砥(と)ぎ方を教えただけで、刃物自体は渡していない」と言い張ったところで、留学生が帰国した所には打ち上がったばかりの名刀が待っているかも知れないのですから、後で抜群の切れ味の人切り包丁が出現した時には砥ぎ方を教えた者は責任を問われるのではないでしょうか?

■こういう問題が起こりますと、大学内部に何か問題が有るのではなかろうか?と勘繰りたくなるのが人情というもので……。あれは2箇月余り前のことでした。


東北大は(5月)13日、学術資源研究公開センターの男性准教授(52)が、指導していた大学院理学研究科博士課程に在籍する男性(当時29歳)による博士論文の受け取りを2年連続して拒否し、この男性が昨年8月に自殺していたとの調査結果を発表した。准教授の行為を「重大な過失」とし、自殺につながったと判断した。准教授は今月になって自主退職したが、同大は懲戒委員会で退職金減額などの処分を検討する。

■大学の閉鎖性と封建的な因習などが度々問題にされますが、なかなか改まらないようでありますなあ。博士課程まで学生生活を続けるというのは並大抵のことではないはずで、よほど富裕な親が援助して続けてくれるならともかくも、奨学金を受けていても生活を維持する苦労は大変なものだったのではないでしょうか?よほどの大失敗さえしなければ地位を失わないと言われる大学の先生方の中には、学生が背負っている経済的な苦労に鈍感な人がいるようです。


……男性は博士課程3年目の06年に准教授から論文提出の延期を指導され、07年12月には准教授に論文を提出したが、准教授は男性が07年度の提出予定者ではなかったことなどから受理しなかった。自殺の原因について報告書は「(不受理によって)将来に深い絶望感を抱いたことが自殺の直接のきっかけになった」としている。

■同じ東北大大学院でも、先のイラン人留学生に高度な分離技術を2年間で授けた「量子エネルギー工学専攻」部門と、この「理学研究科」とでは指導方針がまったく違っているように見えます。蛇の生殺しのような事をして学生を虐めることが趣味になっていたのなら、指導者として失格でしょうなあ。


調査は、男性の研究を「博士授与について審査を受けうる状態にあった」と判断する一方、准教授については「研究の進展状況を十分に把握しておらず、論文の具体的な改訂指示などの適切な研究指導を行ったとは認めがたい」とした。男性は昨年8月28日、研究の一環で訪れたことがある滋賀県内で自殺。翌月に父親から「指導教員の不適切な指導がなかったか調査してほしい」との手紙が届き、同大が調査委員会を設置していた
2009年5月13日 毎日新聞

■学生の研究内容を知らず、当然ながら「適切な指導」もしないからと言って、学生側が指導者を変更できる立場にはなかったのでしょう。専攻するテーマが狭く限定される専門的なものであれば、指導者は限定されて学生は運命を完全に握られてしまいます。感情的な問題でも起こったら、もうダメでしょう。大学のエライ先生にも幼稚な世間知らずが多いらしいですからなあ。

日本の最高学府 其の壱

2009-07-31 10:37:16 | 教育
■お隣のチャイナでは経済構造の変化を読み間違えたばかりに大学を作り過ぎ、「大学は出たけれど」の大集団が絶望的な就職活動をしているそうです。それなりに学力はあるので、カネとコネがあれば一時避難とキャリア・アップの一石二鳥を狙える海外留学を考える風潮も強まっているとか……。深刻な定員割れが続いている短大と大学が目白押しの日本には、補助金欲しさに怪しげな留学生で員数合わせを企む困った学校経営者も多いと聞きますから、あれこれと心配なことでありますなあ。

東北大学の原子力工学の研究室が、核兵器開発に関与する恐れがあるとして経済産業省の規制リストに載ったイランの研究所からの留学生に対し、使用済み核燃料の再処理に関連する研究を指導していたことが30日、わかった。国際社会が核拡散に神経をとがらせる中、日本の高度な技術の流出を防ぐ法規制の不備や、大学によるチェック機能の甘さが問題になりそうだ。

■「非核三原則」などという実に奇妙な政治基準を作って後生大事にしている日本には、この世にも珍しい内向きの自縄自縛原則がグローバル・スタダードにでもなっているかのような幻想や錯覚が広まっているような気がします。原子力に関する研究と開発は専(もっぱ)ら平和利用に限られるという極めて限定的なローカル基準を勝手に他国にも適応してしまうナイーブさは、『平和憲法』が産んだ多大なる教育効果なのかも知れません。

■これが原因で日米軍事同盟にヒビが入っても何の不思議も無いのですが、平和憲法を押し付け、飛行機開発を厳禁し、IAEAの予算の半分以上を注ぎ込んで核武装の芽を徹底的に監視して潰して来た米国が、最も警戒している仮想敵国のイランに日本から優秀な人材が供給される事態に驚くことになろうとは、これも歴史の皮肉と申せましょうなあ。


同省は、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいて「外国ユーザーリスト」を2002年から作成、現在は大量破壊兵器の開発が疑われるイランや北朝鮮などの約250機関を掲載している。リストに載った研究機関から留学生を受け入れる際には、大量破壊兵器開発への関与の有無などを「判定」することが求められている。

■原爆の開発に使われた機材の9割は日本製とも言われる北朝鮮には、日本の国立大学やら研究機関から多くの優秀な人材が供給されていたという話もありますから、今頃になってリストを作って形ばかりの制限を加えたところで、時既に遅し、ということになりましょうなあ。本気で「非核三原則」を貫いて『平和憲法』を守りたいのなら、よくよく相手を選んで留学生を受け入れるべきでしょうし、いっそのこと「関連技術を持ち出させず」を加えて四原則にでもしたらどうでしょう?く


留学生は02年9月に来日し、同10月に東北大大学院の量子エネルギー工学専攻に入学した。04年3月になって、留学生が来日直前に所属していた「ジャッベル・イブン・ハヤーン研究所」がリストに載った。留学生の研究内容は、使用済み核燃料の再処理で発生する放射性廃液から銀などの有用金属を回収する技術。プルトニウム抽出には直結しないものの、核爆弾製造のために再処理システムを構築する際、重要な役割を果たす可能性がある。

■核の闇社会に君臨したパキスタンのカーン博士が欧州に留学した時には、単なる冶金技術の習得を目的とした国費留学生だったそうですから、受け入れ国や在籍した教育機関は責められることはなかったわけですが、今回の問題はあまりにも露骨なので責められても仕方がないかも知れませんなあ。


……外為法は自由な貿易や技術提供の確保を目指す法令で、来日から半年たった外国人を日本人と同等に扱う規定があるため、リスト掲載時には留学生は「判定」の対象外となっていた。留学生は研究を続け、2年半後の06年9月に博士号を取得して帰国した。経産省は「技術流出を防ぐ法の趣旨からは、04年のリスト公表後、大学は研究指導の是非を再確認する必要があった。東北大から事情を聞きたい」としている。

■少なくとも04年までは核関連技術の研究は対外的に野放し状態だったことは政治の怠慢でありましょう。北朝鮮が核弾頭の小型化に着手するまでに技術水準を引き上げてしまってから、慌てて法律を作ってみても政治判断の誤りは帳消しにはなりますまい。

大学の生存競争 

2008-12-27 09:57:27 | 教育
■楽しい話題が実に乏しい年末に、40億円もの公金をつぎ込んで実施た「学力テスト」の結果を公表するかしないかで国も地方も大騒ぎしております。実施した本当の目的は日教組の影響力が強い地域の学力が低いことを実証するためだ!という、とても分かり易い解説をしてくれた中山前国交相の話が本当なのかどうかは、不思議に検証されていないようですが、公表するな!と主張している側は「序列化」や「過当競争」が起こるから、具体的な学校名が順番に並ぶような資料は公表するな!と言っているようです。

■序列化や競争の向こうには、名門大学・一流企業、あるいは高級官僚への道が続いているのでしょう。詰め込み教育を否定するための「ゆとり教育」が登場した時に、某週刊誌が文科省のキャリア官僚の子供たちのほとんどが有名進学塾に通っているという、驚く者など居ない当たり前の調査結果を記事にしていましたなあ。大分県で発覚した教育行政のポストを内輪で私物化している人事問題でも明らかなように。問題は「競争」ではなくて犯罪になる「不正」と「情実」でしょう。この件は巧みに大分県限定の特殊な事件としてテキパキと裁判も進んで大急ぎで蓋をしようと、誰かさんは一生懸命のようですが……。


関西プレスクラブの12月定例会が26日、大阪市北区のヒルトン大阪で開かれ、京都大学の松本紘総長が「時空と大学~京都大学のポジション」と題して講演した。今年10月に総長に就任した松本氏は、京都大の今後について「世界的な大競争時代に突入する中で、知の追究だけではいけない」とし、「30~40年先を目指して、世界を見渡せるような学生を育てていきたい」とした。

■天下の京都大学ともなりますと、「時空と大学」などという大仰なテーマで話をしなければならないのでしょうか?単に「時代と大学」「現代と大学」でも十分すぎるような話の内容のようなのですが……。湯川秀樹博士以来、理系のノーベル賞の後光が射している京都大学ですが、今年の大量受賞者の中に京都大学と縁が有る人は居なかったようですし、そもそも湯川博士も米国に移ってからの研究活動が物を言ったという説も多いようですから、今頃になって「大競争時代」を持ち出しているようでは、在学生も入学希望者も落胆してしまうかも?


講演では「社会として生き残りをかけた人類の本格的な生存競争が始まる」と指摘。その上で大学のあり方について、「エネルギー資源の乏しい日本で何を優先的に取り組むか、その中で大学として何をすべきかを改めて問うていくべきだ」と話した。
2008年12月26日 産経ニュース
 
■エッ?「問う」のは素人庶民で、大学人はそれに「答える」のが任務なのではないでしょうかな?「何を優先的に取り組むか?」「何をすべきか?」を問い続けるだけなら、生徒を指導する指針が無い!という実情を正直に告白したようなものです。国家100年の計とは申しますが、「30年~40年先」と妙に遠慮して時間を区切っているところは「時空」という壮大なテーマとは合致しないようです。

■それよりも、新学長の口から「生存競争」という、聞き様によっては物騒な響きのある言葉が飛び出したことに注目しましょう。話は1箇月ほど遡ります。


(11月)18午前10時45分、京都市左京区 京都府宇治市の無職、伊達悟さん(57)が刺殺された事件で、事件3日前のトラブルで伊達さんにけがをさせた傷害容疑で逮捕された京都大学職員、岩手利之容疑者(50)について、伊達さんが通報時に「酒くさかった」などと話していたことが18日、わかった。府警は同日、岩手容疑者を送検するとともに、勤務先の京都大学数理解析研究所(京都市左京区)や宇治市内の自宅などを家宅捜索。殺人事件との関連についても慎重に捜査している。……

■京都大学の「数理解析研究所」に殺人容疑で司直の捜査が入るとは、まるで『刑事コロンボ』に出て来るような話ですなあ。コロンボ・シリーズなら、理系の知識と論理を駆使して凡人には絶対に見破れないトリックを使った凶悪犯罪が起こって、そこによれよれのコートを来たコロンボがチビた葉巻を加えて現われるのでしょうが、日本の京都大学ではその種のドラマは成立しないようです。


岩手容疑者は10月22日未明、伊達さんが生活拠点にしていた乗用車にぶつかってトラブルになり、もみ合った末に双方が負傷。伊達さんは110番通報し、駆けつけた警察官に「相手は知らない男で、酒くさかった」などと話していたといい、府警は岩手容疑者が当時、飲酒していた疑いがあるとみている。一方、岩手容疑者は調べに「相手が向かってきたから抵抗した」などと供述。自身も頭を殴られて負傷、出血したが、帰宅時には血は止まっていたため、病院には行かなかったという。
2008年11月18日 産経ニュース

■結局、岩手容疑者は殺人容疑で再逮捕され、大学も懲戒免職になってしまったのだそうです。真相は裁判で明らかになるのでしょうが、自動車暮らしをしている人の「自宅」に酔っ払って追突した京都大学の職員が、通常の事故処理をせずに刃傷沙汰の喧嘩をして結果的に刺殺してしまったという事件です。国立大学の50代の職員がホームレス同然の50代の男を殺害する。流行語になった、勝ち組と負け組との衝突事故とも言えそうですが、こういう場合に「生存競争」などという恐ろしい言葉は聞きたくないものです。

■この刺殺事件の1箇月前にも、京都大学の校内で暴行事件が起きています。


京都大は(9月)16日、教授に暴行したとして低温物質科学研究センターの男性助手(57)を停職10日の懲戒処分にした。……助手は昨年5月8日、同センターの男性教授(59)に貸したタオルが返却されないのに腹を立て、学内で教授の眼鏡を手でたたき落とし、教授や近くにいた学生らに暴言を吐くなどした。教授は唇から出血したという。京大は「就業規則に違反して学内の秩序を乱した。再発防止に努めたい」としている。
2008年9月16日 産経ニュース

■ほぼ同じ歳の教授と助手という関係は、単なる「タオルの貸し借り」を切っ掛けにして暴力沙汰に到るほど複雑で危険なものなのでしょうなあ。医学部の暗部は『白い巨塔』という名作に描かれていますが、何処の学部も内側では相当にどろどろした感情が渦巻いているようです。学問研究や教育よりも学内政治が大好き!という変な大先生が蠢いていたり、新進気鋭の若手を陰湿に虐めて潰してしまったり、それも一種の「生存競争」と呼べないこともなさそうですなあ。


京都大学は(9月)10日、東京都内の会社役員から高級腕時計を受け取ったとされる工学研究科の男性教授(60)を訓告処分に決めたと発表した。京大では昨年8月、同研究科の研究生だった役員から約130万円の腕時計を受け取ったとする報道を受け、調査委員会を設置し聞き取りなどをしていた。時計の授受は確認できず、懲戒処分を見送ったが、総合的に判断して訓告処分にしたという。この役員は、パチンコ情報提供会社「梁山泊」グループ実質経営者らによる株価操縦事件で証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われ、大阪地裁で公判中。
2008年9月10日 産経ニュース

■これも京都大学の理系学部内で起こったものですが、工学研究科の「研究生」が会社「役員」で、その裏に株価不正操作の犯罪集団が潜んでいるという実に奇怪な事件であります。IT技術の塊と化したパチンコ遊具には高度な工学的な技術と情報が必要とされるのなら、京都大学の工学研究科で最新のパチンコ技術を研究している人物が存在するとしても不思議ではありません。しかし、60歳の教授が130万円の高級時計を貰う具体的な理由は不明で、もともと国会の証人喚問より捜査能力が劣る大学内の調査委員会では真相究明などは最初から不可能なのは分かっているようなもので、意味不明の「総合的に判断して訓戒処分」という体面を繕う玉虫色の処分になるのも当然でしょう。これもやっぱり一種の「生存競争」なのでしょうなあ。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

天下の台所 其の伍

2008-10-01 22:50:18 | 教育
■この辞任会見の10日前に起こったのが「クソ教育委員会」発言の事件でしたが、その前に学力テストの結果に関する騒動が起こっていたのでした。。

……橋下徹知事は「教育委員会には最悪だと言いたい。これまで『大阪の教育は…』とさんざん言っておきながら、このザマは何なんだ」と述べ、26日の教育委員との懇談の際と同様、府教委を厳しく批判した。そのうえで教員の意識改革が必要との考えを示し、「現場の教職員と教育委員会には、今までのやり方を抜本的に改めてもらわないと困る」と注文をつけた。綛山(かせやま)哲男教育長は「昨年の結果を受け学力向上を喫緊のテーマとしてきたが、改めて大変厳しいと認識した」とのコメントを発表。……

■「喫緊のテーマ」などという古風な言い回しをしているところに、この教育長の味が出ていますなあ。「喫緊」とうのは本当に大変な事態を表わす言葉です。自分に非常に近しい人に深刻な危険が迫っているとか、自分自身の命に関わる事が起こっているのが「喫緊」です。ですから、呑気に「そのうち何とかなるだろう」とか、「自分はそれなりにやっているのだから……」という意味では使えないはずなのです。巨大なメタボ腹を抱えて爪楊枝をシーシー言わせながら「飢え死にしそうだあ」と言い放つような不真面目さを感じますなあ。


小中学校の放課後無料学習や習熟度別授業推進など新たに取り組む施策の充実を目指すことを強調し、「保護者、子供たちをはじめとする府民の期待に応える教育の実現に全力を尽くす」とした。

■出ました!「全力を尽くす」です。先の大戦争で乱用された「必勝の信念」みたいな悪質な役人作文の典型です。下種の勘ぐりながら、この教育長が本当に「全力を尽くして」いる別な事が有るに違いない!そもそも、若造の橋下知事に「このザマは何だ!」などと実に失礼千万な悪口雑言を吐かれても、この教育長は特に激怒しているわけでもなさそうですからなあ。心は別のところに有るのでしょう。


今月6日に府特別顧問に就任した東京都杉並区立和田中学校前校長、藤原和博氏は「全国第2の都市としては考えられない結果。先生方は熱心で頑張っていると感じるが、システムが成り立っていないのだと思う」。課題として、国際学習到達度調査(PISA)に対応した学力の育成を挙げ、「先生方の熱意が効果を発揮するシステムを作れば大阪でも不可能ではない」との見方を示した。
2008年8月29日 産経ニュース

■和田中学の藤原校長も「特別顧問」になっておられるのですなあ。どんどんエース級の有名人が投入されていますが、やり過ぎると一時の4番バッターばかり集めたナベツネ巨人軍みたいになりますぞ。そろそろ、大阪の地域性を生かして吉本興業から成功した極僅かな人気芸人と、毎年佃煮にするほど挫折して消えて行く勘違い芸人モドキとを同席させて、吉本流に「アホにも種類があるんやでえ」と実地教育を試みたらどうでしょう?売れっ子芸人なら、必ず「学校の勉強」の大切さと楽しさと、何より簡単さ!を熱心に語ってくれると思うのですが……。くれぐれも一発芸で人気を取って、後はどうなるか心配な人は呼ばないようにご注意を。

■橋下知事の口から「クソ」発言が飛び出したのは、それより10日後のことでした。


大阪府の橋下徹知事は7日、同府箕面市で地元FM局の公開生放送に出演。全国学力テストの結果公表に消極的な市町村教育委員会などを指して「くそ教育委員会が、みんな『発表しない』と言うんです」と発言した。……終了後、記者団に発言の真意を問われた知事は「今の教育制度全体を指している。ずっと言っていることだ」と問題ないとの認識を示し、「(公表による)競争を甘受するかどうかは市民の判断だ」と述べた。さらに学力テストの結果公表に関連し「2009年度から(テスト結果の)開示・非開示によって、予算をつけるかどうか決めさせてもらう」と、市町村への予算配分にも反映させる考えを強調した。
2008年9月7日 産経ニュース

■非常に下品な表現ながら、何故かすんなりと耳に入ってしまうのは何故でしょう?教育委員会が「クソ」なのは大阪に限った事ではないのですが、知事から「クソ」呼ばわりされるのは大阪以外には今のところ思いつかないほど、ハマッた表現ですなあ。この「クソ」がそのまま日教組に結び付くかどうか、橋下知事はどんどん外部からの風を入れて「クソ」の臭気を入れ換えているようですから、換気扇から何が飛び出して来るのか、注目しておりましょう。

天下の台所 其の四

2008-10-01 22:49:40 | 教育
■世間では、「おばかキャラ」などと称して小中学校で学ぶ基礎知識や常識を持たない振りをしているのか、本当に読み書きが出来ないまま社会人になってしまったのかは分かりませんが、義務教育の普及度を数値で誇っていた日本が、いつの間にやら学校にも通えない貧困国家の子供と変わらない人々を大量生産しているのなら、これこそ大問題です。誰が誰やら分かりませんが、大阪府知事や中山前大臣にとって格好の餌食となるデータが得られる対象かも知れませんなあ。「おばかキャラ」を目にした人の中には、その人にも小中学校の担任教師や保護者が居たのだろうに……と涙ぐんだり絶句してしまった人も多いのではないでしょうか?『裸の大将』とはまったく違うテーマであることだけは確かだと思います。

■さて、橋下知事がクソ呼ばわりした教育委員会の中でも、再任を拒否された二人の言い分も聞いてみましょう。


大阪府の橋下徹知事が「教育ビジョンがない」と批判し再任を拒否した府教育委員の井村雅代氏(58)=北京五輪シンクロ中国代表ヘッドコーチ=と、木戸湊(あつむ)氏(69)=元毎日新聞大阪本社代表=が18日、今月末の任期満了を前に退任会見を開いた。井村氏は「ビジョンとは話し合いの中で示していくものだ」と猛反発。木戸氏も「テレビ受けしか考えない『テレビ中毒』。ポピュリズムにおちいり自滅するだろう」と知事の政治姿勢を厳しく批判した。

■日本を裏切ったとか、結局は待遇問題だろうとか、有ること無いことを言われた揚句に、チャイナのシンクロ技術を世界レベルに引き上げて北京五輪の大成功に貢献した井村コーチが、大阪府の教育委員だったとは知りませんでした。スポーツ関連の報道で井村コーチの劇務を見知っている人も、エッ?と思ったに違い有りません。井村コーチ個人のビジョンや資質の問題以前に、どんなに忙しい人でも務まるのが大阪府の教育委員なのだという事実がバレたということです。それなら寝る間も無いほど忙しいテレビ界の売れっ子や、選挙で寝る間も無い政治家でも、否、皇族関係にでも委員を頼めそうですなあ。要するに、事務方がすべてを取り仕切っている強固な組織のちっぽけなお飾りだからこそ、井村コーチのように命をすり減らすような劇務に耐えている人でも務まる役職だという事なのでしょう。


最後の定例委員会議を終えて会見した両氏。席に着くなり木戸氏は「私は『再任は結構です』と事務局に伝えていた。なのに知事が『ビジョンがないから再任しない』と言い出すとは…。失礼、無礼だ」と切り出した。また、今年3月、橋下知事から「高校の学区をなくせば東大と京大に300人の合格者を出す学校を作れる」との提案を受けたことを振り返り、「そういう話を真顔で言うことにあきれた。裏づけなしにアドバルーンを上げても絵に描いたもちではないか」。井村氏も「私たちが取り組んだ府立高校再編の結果、公立高校に行きたいという子供は増えている」と主張し、「知事は教育行政がどうあるべきかをまったくご存じない」と語気を強めた。

■完全な平行線状態ですが、「最後の」と書かれた定例委員会議は、一体、どれほどの頻度で開かれていたのでしょう?毎週は無理でも毎月となったら北京との往復で井村コーチは異動だけで疲れ果ててしまいそうですし、社会通念の「会議」となれば膨大な資料を事前に読んで問題点を見つけ、自分の提案を練らねばなりませんから、命懸けの五輪大会と二股で務まるような公務ではないはずです。

■「再任は結構だ」と言った元毎日新聞大阪本社代表は、出身の新聞社が倒産の危機に立たされ若手記者は体力の限界を越える難行苦行を強いられている現状を考えれば、呑気に教育委員などをしていては元同僚に申し訳ないという立場なのは分かりますが、自分の業績を自画自賛するのなら、どうして熱心に再任を望んで仕上げに取り組まないのでしょう?


……井村氏は「記事や映像になりやすい言葉を発しているだけ。大阪府政が全国の人から茶番劇のように見られるようになった。行政とは派手に行うものではなく、粛々と進めるものだ」。木戸氏はこうした知事の姿勢を「テレビ中毒」と批判したうえで、「ビジョンとは一言でぱっと示せるものではない。繁華街のネオンサインじゃあるまいし」。さらに、「知事の発言を面白おかしく書き立てるのではなく、核心を突くような報道をしてほしい」とメディアにも注文をつけた。

■下手くそなシンクロ選手は、「笑いながら溺れている間抜けな人」のように見えてしまいますが、化粧も仕草さも徹底的に目立つために磨き上げた競技のはずで、しかも五輪大会と言う「結果がすべて」の厳しい世界で戦っている人が、「茶番劇」発言をするのは変でしょう。毎日新聞出身の木戸さんの発言はメチャクチャで、「TBSテレビを観るな」と知事と府民に言ったらどうでしょう?そして毎日新聞の紙面とTBSテレビに対してこそ「繁華街のネオンサインじゃあるまいし」と下劣でウルサイだけの番組を自粛するように進言して貰えれば幸いです。

■馬鹿馬鹿しいネタを「面白おかしく書き立てる」ことに社運を賭けている新聞社とテレビ局が有るのではないでしょうか?マスコミの仕事と教育は違う!などと言うのなら、マスコミが教育問題を取り上げるべきではないでしょうし、マスコミ出身者が教育委員などに就任するのが間違っていることになりますなあ。


……木戸氏は「だれかがやらなければならない財政再建に手をつけたことは評価できる」とも指摘。井村氏も「4年間で結果を出そうという姿勢はいい」としたが、「教育は長いスパンで取り組むもの。『新風を吹き込んだ』といった言葉で任期を締めくくってほしくない」と訴えた。両氏の退任会見を受け、橋下知事は報道陣に対し「批判は受け入れる。長い間ボランティア的な活動をしてもらい感謝している」と述べた。
2008年9月18日 産経ニュース

■「新風を吹き込んだ」という便利な表現を毎日新聞は多用したことが無いのか?「長いスパン」などと悠長な事を言っているから毎日新聞が倒産の危機を迎えているのではないのか?「君子豹変す」という言葉があるように、人は年齢に関係なく劇的に変わる可能性を常に持っているのです。毎日新聞にそれが有るかどうかは分かりませんが……。少なくとも若い社員が過労死するような待遇は改めるように元同僚に指示するべきでしょうなあ。大阪府の教育委員会で過労死する人は絶対に居ないことは誰でも知っていますが……。

天下の台所 其の参

2008-10-01 22:49:04 | 教育
■天下の台所だった?大阪が、これからどうなるのか、何処から変わるのか、何が変わるのか?いろいろと注目すべき点が多いのですが、中山成彬前大臣が期待しているような日教組と自治労を壊滅させる荒業に着手しているのかどうかは、今のところは不明ですが、大幅な給与のカットを職員に突きつけたのに続いて、クソ呼ばわりした教育委員会の伏魔殿に手を突っ込み始めたのは確かなようです。ただし、その手法が小泉政権の時代に広まった過剰なパフォーマンスに通じる危うさがあるとの指摘も出ていますが、どうでしょう?

大阪府の橋下徹知事が府教育委員に起用した「百マス計算」で知られる立命館小学校副校長の陰山英男氏(50)と、大阪樟蔭女子大非常勤講師の小河(おごう)勝氏(64)に1日、辞令が交付された。橋下知事が「教育ビジョンがない」として再任を拒否した2委員の後任を務める。

■府知事が再任を拒否した二人の委員についても後ほど取り上げますが、何かと便利に使われているような印象の陰山英男氏はご苦労様なことだと思いますなあ。教育には師弟間の信頼や尊敬などの第三者には窺い知れない感情が関係していますから、万能薬のように特殊な名人芸を持つと特定の人物を持ち上げるのは、ちょっと危険な気もします。神憑り的な教育効果を上げたとされるようなカリスマ教師は存在しますが、その教え子たちが全員、その教師を慕って尊敬していたかどうかは誰も検証しませんから、最後まで分からないものです。

■橋下知事が求める「ビジョン」というのも、勝手な思い込みを上意下達で押し付けるようだと反発を買って空廻りに終わる恐れもあります。


……陰山氏は「子供たちに三たび(全国学力テストでの)悪い結果を味わわせるわけにはいかない。私のやり方なら必ず1~2年で結果は出る」と強調。教育現場の反発を踏まえ「文句があるならそれ以上のものを出してほしい」と訴えた。小河氏も「基礎学力を欠いた子供たちは非常に苦しんでいる。公立学校が守ってあげなければならないものは学力だ」と述べ、「実際に教育を行う教職員との合意形成のため、現場を走り回りたい」と意気込みを語った。

■「受験戦争」などと言われた昭和40年代などに比べると、同じ偏差値でも格段に学力は落ちていると予備校や塾関係者は異口同音に言っておりますが、そんな学力低落現象の中で全国最低レベルの結果が出るというのは、確かに大変な問題が蔓延しているのでしょう。地道な訓練で基礎中の基礎の読み書きと計算の能力をじわじわと磨いて行く陰山メッソードなら、いくら何でも全国最低レベルからは脱出出来そうです。しかし、そんな地道な訓練を真っ向から否定して指示に従わない変な熱血教職員が居るとか居ないとか……。

■全国学力テストの結果という「論より証拠」の伝家の宝刀が手に入りましたから、間違っても自分の長いキャリアを持ち出して自分流の教育方針やイデオロギーを強弁するような教職員は出て来ないとは思いますが、そんな常識を軽々と越え出てしまう狂信的な組合員が居るのかも?まあ、何ししましても、陰山氏が予告した「1~2年後」が楽しみですなあ。


橋下知事は「きょうから大阪の教育は変わる。2人には大阪全体の“校長先生”になってほしい」と期待を示し、「これまで大阪の教育が掲げてきた『学力だけがすべてではない』という誤ったスローガンは改められることになるだろう」と話した。陰山氏は、兵庫県の小学校教諭時代に反復学習法「陰山メソッド」を考案し、広島県尾道市の市立小校長を経て立命館小副校長に就任した。小河氏は元大阪市立中教諭。数学や国語の書き込み式教材「小河式プリント」で知られ、小中学生を対象とする「小河学習館」を開いている。両氏は共著「学力低下を克服する本」を出版している。
2008年10月1日 産経ニュース

■「学力だけがすべてではない」という言い方は、本来なら「だけ」に力点が置かれていたはずなのですが、いつの間にやら「学力無視」の極論に曲げられてしまう傾向が有るようです。「学力だけ」に対して、「学力以外に」何が求められるべきなのか、それを明確に語ってその目標を達成するための具体的な方法と、結果を検証する手段も提示して貰わない限り、危険な教師の自己満足か自分の怠惰と無能さを糊塗するための単なる煙幕になってしまいます。もしも、「心の豊かさ」「思いやりの心」「寛容さ」などが必要だと言う場合も、読み書き能力が小学校低学年レベルのままで中学や高校へと送り出すような事は許されることではありません。

天下の台所 其の弐

2008-10-01 15:27:25 | 教育
大阪市中央卸売市場でタイ産のチリメンジャコが淡路島(兵庫)産と偽って販売されていた事件で、不正競争防止法違反(原産地偽装)の罪に問われた水産卸売り大手「大水」(大阪市福島区)社員、山本訓正被告(42)と仲卸業者「竹村商店」(同)役員、竹村章被告(60)の判決公判が29日、大阪地裁で開かれ、山崎威裁判官は山本被告に懲役1年6月、執行猶予3年……竹村被告に懲役1年、執行猶予3年……言い渡した。また、法人としての大水と竹村商店も、それぞれ罰金180万円……同90万円……。

■偽装事件が発覚するたびに「不正競争防止法」が使われるのですが、あちこちから「詐欺罪」の適用を求める声が上がります。もしかしたら、量刑や罰金が軽いのは、この後の社会的制裁の凄まじさを暗黙の前提にしているからかも知れませんなあ。プロの詐欺師などは何度捕まっても監獄内で新たなアイデアと仲間を作って何度でも悪辣な詐欺犯罪を繰り返すものです。しかし、偽装事件で店や会社を倒産させた張本人は少なくとも同じ業種では再起不能になるはずですからなあ。


判決によると、山本、竹村両被告は共謀し、今年1~2月、タイ産のチリメンジャコを「淡路島産」と印刷された段ボールに詰め替えて産地を偽装し、15業者に5キロ入り段ボール約580箱(計2900キロ)を約430万円で販売した。
2008年9月29日 産経ニュース

■こうした一連の事件は、決して日教組や自治労が悪いから起こったものではないような気がします。商売の方法と目的が取り違えられて刹那的になって、バレるまでは濡れ手に粟の荒稼ぎをして成金気分を味わえれば、終身刑や死刑になる訳でもないから使い残した儲けは上手に隠して出所後の楽しみにする。そんな恐ろしい事を考える人は日教組が衰退している地域にも居そうです。そして日本人の食文化の根幹、コメを汚した三笠フーズの話です。


……24日日午前、福岡県筑前町 農薬にまみれたコメを食用に転売するという前代未聞の食品偽装に捜査のメスが入った。……大阪、福岡、熊本の3府県警が一斉捜索に乗り出した三笠フーズは、消費者の危険を顧みず事故米を食用として売りさばいた。「いいコメや」「農薬は1年で消える。大丈夫」。冬木三男社長(72)の言葉に罪の意識は感じられない。……

■摘発後の記者会見でも、妙に落ち着いた態度だった冬木社長でしたが、本当に悪い事をしたとはまったく考えていないのでしょう。規正法や基準値が変わる前から、似たような商売をしていた可能性さえ想像してしまいます。被害者は増える一方で、日本各地の小売店から商品が撤去され続けているのに、この大事件の全貌はなかなか見えて来ません。冬木&宮崎の責任の擦り付け合いが始まって、まるで下品なドツキ漫才みたいな状況になっているらしいのですが、何よりも最終的な責任を問われるべき農水省が、真相解明を望んでいないとか思えません。


「なんであんな高値で買えるんだ」。平成18年11月、東京で行われた農薬汚染米の第1回入札会場。1キロ当たり9~14円という事故米の相場の2~3倍で次々と競り落とす冬木社長に、競合した他の業者は疑念の目を向けた。……工業用では採算割れ必至でも、食用として転売すれば莫大な利益を生む。入札前、農薬に汚染された中国産もち米が売却されることを知り、「いいコメや。あるだけ買いたい」と漏らしていた冬木社長が、最初から不正を考えていたのは明らかだった。

■そんなに「いいコメ」なら、自分自身が家族と(愛人も含めて)一緒にたくさん食べれば良さそうなものですが、御本人はコメも加工品も一度も口にしていないとか……。自分でも食えない物を「フーズ」として売ってボロ儲けする根性は、中山前大臣のいう「戦後教育」の結果なのか?でも、冬木社長は73歳ですぞ。会見内容から日教組が好む左翼思想の臭いはまったくしませんし、家庭の事情でご自身はほとんど学校には通えなかったという話もあるようです。


三笠フーズがこのときの入札で落札したのは500トン。食用の相場で全量が売れれば、粗利は5000万円前後に上る。食品偽装が原因で倒産する企業が相次いでも、うまみを知ってしまった冬木社長は「事故米ビジネス」から手を引くことができなかった。……冬木社長に指南したとされるのが、不正の舞台になった九州工場の元責任者、宮崎一雄非常勤顧問(76)。事故米の取り扱い歴は冬木社長より長く、社内でも一目置かれていたという。持論は「事故米と農薬米は別物。雨にぬれてカビが生えたコメは食べられたもんじゃないが、薬剤が1年かそこらで消えるメタミドホス米はきれいだし、全然害もない」。

■是非とも冷凍イチコロ殺人餃子で実質的に倒産してしまったチャイナの製造会社に教えてあげて欲しい珍説であります。この宮崎顧問も「全然害のない」メタミドホス米を自分自身や家族には食べさせて居なかったのではないでしょうか?「事故米」の不正取引に関しては宮崎顧問が大ベテランらしいのですが、冬木社長の方でも決して善良な商品などではなく、怪しげなコメを不正操作して高値で売り抜けるテクニックを駆使して成り上がったという話もあるようですなあ。一体、この二人はいつから毒コメ商売をしていたのでしょう?


冬木社長も「残留農薬の規制強化前までは普通に食べられたコメが安く買える」と語っており、農薬汚染米に対して同じ認識を持つ2人が不正転売に手を染めたのは必然だった。三笠フーズが事故米の不正転売を始めたのは、5~6年前とされる。農薬に汚染された米の流通ルートなどはほぼ解明されたが、かびが生えるなどした事故米がいったいどれだけ転売されたのか、冬木社長と宮崎顧問のどちらが最初に不正を提案したのか、解明されていないことは多い。最初の記者会見で、不正の指示や利ざや目的だったことを認めた冬木社長。14日に公表した釈明文では……「万死に値すると後悔し、司直の手に身を委ねて裁きを受ける覚悟です」。
2008年9月24日

■「1万回」も死ななくて結構ですから、悪辣な稼ぎで貯め込んだ私財を全部吐き出して、これから次々と起こる保障問題にきちんと対処して貰わねば困ります。既に焼酎メーカーなどからは10億円やら20億円やらの大型訴訟が起こされているとか……。万が一、冬木社長が主張している「規制強化前までは普通に食べられた」という話が本当なら、今回の事件は根底から覆るのですが、その点に関して政府からは何の説明も出ていないのが気になりますが、食品偽装事件は農水省や経産省の所管ですから橋下知事には何の責任もないのですが、残念ながら国の省庁に任せておけば府民の安全が守れるというわけでもない状態なので、大いに知名度の高さを利用して警鐘を鳴らして商人文化・倫理を高めるような仕事をして欲しいものです。

天下の台所 其の壱

2008-10-01 15:26:24 | 教育
■辞任に追い込まれた中山成彬前国交相は、日教組の力が強い地域は学力が低い!と断言しながら、具体的な地名や人名は挙げませんでした。間近に迫った選挙に支障が出るかも知れないと用心しているのでしょうが、国政選挙でしか全国規模の問題に関する議論は出来ないのですから、途中で言葉を切ったり濁したりせずに、徹底的に語って頂きたいような気もしますが……。そんな中山前議員が唯一、具体的な地名を挙げたのは大阪府と山梨県で、人名は橋下府知事と民主党の輿石参議院議員会長でした。二人からのコメントはまだ発表されていないようです。

■「民主党が政権を取ったら日本が大阪府になる」という発言は、非常に分かり易くインパクトも有りますが、地元の人々はどんな感想を持ったのかと気になります。まあ、解散総選挙となったらその反響がどんなものだったのかが分かるかも知れませんなあ。中山前大臣が持っているイメージは、日教組と自治労に操られる傀儡政権が大阪を滅ぼし、民主党も同様に傀儡となって日本を滅ぼすというもののようです。産経新聞系のロング・インタヴューに応えている中山前大臣は、民主党が掲げる政策マニュフェストが日本を「大阪府みたいに」してしまうと言っているわけではないようですが、財源の裏付けも無いバラマキと対米関係などの外交政策は矛盾だらけだ!と怒った勢いで、民主党は「公約偽装」をしている。と、悲しく流行している「偽装」という言葉を使っていました。

■大阪は昔から「天下の台所」と自他共に誇った食糧・物資の集散地として反映した土地柄で、将軍も大名も頭が上がらない大商人がぞろぞろ居たそうです。優れた商人というものは、情報の収集能力と分析力、そして果敢な決断力を兼ね備えていなければ、決して成功はしないのは古今東西、共通しております。大阪は商業ばかりでなく、繊維や靴などの軽工業でも日本有数の生産地になっていましたし、江戸時代には元禄文化を残しました。

■自立心が旺盛で明治時代には政府が全国に帝国大学を設置した時などは、京都大学を作ったから大阪には作らない!と政府が言ったというので地元の有力者が一致協力して大阪大学を創立してしまったのだそうですなあ。そんな歴史と伝統を持つ場所で、子供達が読み書き算盤の能力で全国最低レベルの評価が出たのですから、これは日本の歴史的問題かも知れませんぞ。

■商人は何より信用を重んじる高い倫理観が必要だとも言われます。紛い物や偽物を扱ったらどんな金看板も一夜にして終わり!そう言えば両替商という商売が昔の日本にはありまして、今の銀行とまったく同じ仕事をしていましたが、幕府が発行する小判を包む丈夫な白い和紙には両替商のサインがあって、中身を確認せずに巨額な取り引きの決算に使われたとも聞きます。最近の五輪大会で金メダルを噛んで見せる下品なことが流行しているようですが、あれは偽金貨をつかまされないために西洋で始まった習慣が元だとか……。最近も英国で流通している硬貨の中には相当数の贋金が入っていて、それを英国の中央銀行は気にしていないという衝撃的な報道がありましたなあ。


中国産タケノコを国産と偽って販売した農産物加工販売会社「丸共」(大阪市)が大阪地裁に自己破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けたことが30日、分かった。……負債総額は約7億5000万円。丸共は9月10日、農林水産省などからJAS法に基づく表示是正などの指示を受けた。その後、得意先からの受注が激減し、資金繰りが急速に悪化していた。……昭和6年創業。こんにゃくを中心に、タケノコや山菜の水煮、総菜などの製造加工を手掛けた。平成18年9月期には売上高約27億円を計上していた。
2008年9月30日 産経ニュース

■世間で言われる三代目のジンクスに墜ち込んだかどうかは知りませんが、もう少しで創業100年!を誇れたはずの老舗が、「偽装」一発で倒産です。偽物の本場はチャイナだ!と世界中から知的所有権の問題で批判が集中している国から安価に輸入した「食べ物」を、無理やり売り抜けようと「国産」の表示をする。そんなバカ者が1人でも現われれば日本中の商品に貼ってある「国産」表示の信頼が吹き飛んでしまい兼ねません。少なくとも販売元に「大阪」の二文字を見たら消費者は購買意欲を失うでしょうなあ。三笠フーズという大物が摘発されて、大阪ブランドは「偽装」の色に染まって見えるようになってしまいました。