■長年、日本の縦割り行政が「お役所仕事」の中でも最大にして最悪の懸案事項ですが、さすがは『韓非子』を生んだ国らしく、チャイナの縦割りは日本の逃げ腰でたらい回しばかりしている消極的な無責任体質とはレベルが違います。権力中枢から末端まで、竹を割って引き裂いたかのようにそれぞれの担当領域がきっちりと積極的に限定されているようです。
■「食の安全」が農林水産省と経済産業省と総務省とに分割されて、危険な添加物や毒物に関する検査内容も基準値も違っていて、悪知恵が働く連中にとってはその隙間にぼろ儲けのチャンスがあるらしいのですが、チャイナは役人がぼろ儲けする縄張りを縦割りにしているのかも知れません。国内の縦割りに並んで、対外的な縦割りも歴史が古く中華思想と呼ばれる自分は常に正しく先進的で唯一の文明国だと最初に規定しておいて、その外側には野蛮で無知な礼儀知らずばかりが住んでいて、ウソばかりついているのだと、一度も調査も検証もしたこともないのに信じられているそうな。
■それを真に受けて信じ込む者が居るのは実に不思議なのですが、その筆頭は日本かも知れませんなあ。昔は聖人の国だと崇めた貴族は学者がいましたし、割と最近まで毛沢東は偉い人だと信じて本を書き大学で教えていた人がたくさん居たのですからなあ。
26日、中国国家品質監督検験検疫総局(質検総局)によると、三鹿製粉ミルク事件発生後、同局は輸入乳製品に対してサンプル商品検査のチームを組んだ。……市場で今月9日以降に輸入された牛乳及び乳製品を抽出し、282のサンプル商品に対しメラミン検査を行い、すべての商品にはメラミンは検出されなかった。……出入国検査・検疫の各部署は今後引き続き輸入乳製品に対してメラミン検査を行い、合格した製品のみ輸入を許可する方針である。
2008年9月30日 サーチナ・中国情報局
■これは悪い冗談や悪質なデマではありません。工業用樹脂を乳製品に放り込んで窒素成分の数値を上げて商売しようなどという短絡的で恐ろしい人間が、チャイナの外にも存在する可能性は非常に低いと思うのですが、チャイナの検疫所は大真面目に「輸入乳製品」のサンプル検査を実施したようです。毎日のように世界各地からメラミンが混入した食品が発見されていますが、原料調達も加工生産もチャイナ以外の該当地は他に無いようですなあ。
■5年ほど前にも基準値を大きく上回る残留農薬が検出されて、日本政府はチャイナからの農産物を輸入禁止にした事がありましたが、あの時は日本製の家電製品や化粧品などにイチャモンを付けて輸入禁止にする報復措置が取られました。その御蔭で日本製品の偽物が氾濫するわ密輸される本物の値段が跳ね上がるわ、大変な騒ぎになったものです。今回は輸入禁止にできそうな目ぼしい品物が無かったらしく、報復手段は採らずに万が一の可能性を求めてのメラミン検査を始めたのでしょうなあ。そんな暇が有ったら自国内の怪しげな商品を一つ残らず詳細に検査して少しは食の安全を確保したらどうなのでしょう?
外国ブランドの日用品を国内ブランドだと勘違いしている中国人消費者が多い、という興味深い統計が出ている。コンサルティング企業のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が、「中国人の愛国心」と「購買傾向」の関連性について13都市、4000人あまりの中国人を対象に調べた結果だ。
■なかなかユニークな調査を実施したものだと感心しますが、結果は大体見当がつきますなあ。
……パンテーンやコルゲートなどは8割の人 が、ペプシやラックスなど有名企業のものでも4割以上が中国製品であると回答した。北京や上海などの大都市住民でも傾向は同じだった。中国で外国ブランドの製品が販売される際、商品名は漢字に置き換え、広告には中国人タレントを使うなど、外国色が薄められる傾向が強い。企業側が「中国人は愛国心が強いから自国ブランドを好むだろう」と考えるからだ。しかし実際には、その考えが必ずしも正しいわけではないようだ。なぜなら、国内製品と勘違いしていた消費者に「今まで使っていた外国ブランドを止めて中国ものに替えるか」という質問を行ったところ、ほとんどの人が「NO」と答えたからだ。
■せっせと包装と容器だけを真似た偽物を作っている国が、自国製品を好んで買っているはずがありません。昔からの中華思想という基盤の上に、安い労働力を求めて製造プラントを持ち込んでせっせと生産拠点を作った海外企業の業績が載ったから起こった珍妙な現象なのでしょう。そもそも、五輪大会など開催したものの人民のほとんどは世界地図を理解していませんし、外国の名前と位置を性格に把握している人も極少数のはずです。従って「中国製」という概念も甚だ怪しいもので、他国の名前も性格に知らない上に、中国内の工場に生産工程の一部が入っているケースも含めて答えた人が多かったとも考えられます。
BCGは「中国内の多くの消費者たちは表向きには自国ブランドがよいと言いつつも、価格と品質によって合理的な選択をしている」と分析している。
9月30日 東亜日報(韓国)
■実際には安いだけが取り得の三鹿ブランドを買って酷い目に遭っている多くの人が居る一方で、日本に高級品の買出しにやって来る成金集団も現われている事から考えても、決して「合理的な選択」をしているとは思えませんが……。やっぱり、愛国教育の成果で「中国は強国になった!」「中国はすばらしい!」という空念仏が頭と舌先にこびり付いている一方で、万国共通に少しでも安くて安全な商品を求めている人が多いというところでしょうなあ。さすがに日本製ブランドを自国製と取り違える人が居ないのも、これまた愛国教育が反日的なものだった事の証拠なのでしょうなあ。
■教育と宣伝が同義語の国は、どうしても情報が偏ったり歪んでしまうものです。
北京の中国紙関係者は30日、共産党宣伝部から汚染粉ミルク事件に関する報道を一段と抑制し、国営通信新華社の配信記事以外は報道を控えるよう国内メディアに対し29日に通知があったことを明らかにした。……共産党宣伝部は有人宇宙船「神舟7号」の打ち上げを控えた先週初め、宇宙船に関する報道を大きく扱い、粉ミルク事件の報道を抑えるよう通知を出していた。
■神船7号の本体、宇宙服、管制装置などなど、どれほどが「中国勢」なのかは極秘事項なのでしょうが、徹頭徹尾自国製ではないのは確かです。中には非合法な手段で盗み取った技術もあるでしょうし、軍事や宇宙開発に使用するのを伏せて買った物もあるでしょう。凝ったロケット作りに拘って次々とチャイナに追い抜かれる日本の宇宙開発を考えれば、どんな手段を使ってでも宇宙ステーション建造と月面到達に向かって着実にハードルを飛び越えているチャイナの姿勢には、敬意はともかく圧倒される思いがしますなあ。
今回の通知は、神舟7号が中国初の船外活動を成功させ28日に帰還し、関連報道が一段落したため、政府の対応に批判が根強い粉ミルク事件に再び焦点が当たるのを避けるためとみられる。
2008年9月30日 産経ニュース
■四川省での大震災や危険な食料品を放置して、北京五輪を開催したり宇宙開発に大金を投じている場合ではないような気がしますが、国威発揚の宣伝効果を第一義に考える現体制が続く限り、弱者救済の民主的政治が行われる可能性は皆無のようです。宣伝・軍・民生は見事に縦割りになっていると同時に決して変わらぬ優先順位が付けられているのがよく分かります。
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■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い
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■「食の安全」が農林水産省と経済産業省と総務省とに分割されて、危険な添加物や毒物に関する検査内容も基準値も違っていて、悪知恵が働く連中にとってはその隙間にぼろ儲けのチャンスがあるらしいのですが、チャイナは役人がぼろ儲けする縄張りを縦割りにしているのかも知れません。国内の縦割りに並んで、対外的な縦割りも歴史が古く中華思想と呼ばれる自分は常に正しく先進的で唯一の文明国だと最初に規定しておいて、その外側には野蛮で無知な礼儀知らずばかりが住んでいて、ウソばかりついているのだと、一度も調査も検証もしたこともないのに信じられているそうな。
■それを真に受けて信じ込む者が居るのは実に不思議なのですが、その筆頭は日本かも知れませんなあ。昔は聖人の国だと崇めた貴族は学者がいましたし、割と最近まで毛沢東は偉い人だと信じて本を書き大学で教えていた人がたくさん居たのですからなあ。
26日、中国国家品質監督検験検疫総局(質検総局)によると、三鹿製粉ミルク事件発生後、同局は輸入乳製品に対してサンプル商品検査のチームを組んだ。……市場で今月9日以降に輸入された牛乳及び乳製品を抽出し、282のサンプル商品に対しメラミン検査を行い、すべての商品にはメラミンは検出されなかった。……出入国検査・検疫の各部署は今後引き続き輸入乳製品に対してメラミン検査を行い、合格した製品のみ輸入を許可する方針である。
2008年9月30日 サーチナ・中国情報局
■これは悪い冗談や悪質なデマではありません。工業用樹脂を乳製品に放り込んで窒素成分の数値を上げて商売しようなどという短絡的で恐ろしい人間が、チャイナの外にも存在する可能性は非常に低いと思うのですが、チャイナの検疫所は大真面目に「輸入乳製品」のサンプル検査を実施したようです。毎日のように世界各地からメラミンが混入した食品が発見されていますが、原料調達も加工生産もチャイナ以外の該当地は他に無いようですなあ。
■5年ほど前にも基準値を大きく上回る残留農薬が検出されて、日本政府はチャイナからの農産物を輸入禁止にした事がありましたが、あの時は日本製の家電製品や化粧品などにイチャモンを付けて輸入禁止にする報復措置が取られました。その御蔭で日本製品の偽物が氾濫するわ密輸される本物の値段が跳ね上がるわ、大変な騒ぎになったものです。今回は輸入禁止にできそうな目ぼしい品物が無かったらしく、報復手段は採らずに万が一の可能性を求めてのメラミン検査を始めたのでしょうなあ。そんな暇が有ったら自国内の怪しげな商品を一つ残らず詳細に検査して少しは食の安全を確保したらどうなのでしょう?
外国ブランドの日用品を国内ブランドだと勘違いしている中国人消費者が多い、という興味深い統計が出ている。コンサルティング企業のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が、「中国人の愛国心」と「購買傾向」の関連性について13都市、4000人あまりの中国人を対象に調べた結果だ。
■なかなかユニークな調査を実施したものだと感心しますが、結果は大体見当がつきますなあ。
……パンテーンやコルゲートなどは8割の人 が、ペプシやラックスなど有名企業のものでも4割以上が中国製品であると回答した。北京や上海などの大都市住民でも傾向は同じだった。中国で外国ブランドの製品が販売される際、商品名は漢字に置き換え、広告には中国人タレントを使うなど、外国色が薄められる傾向が強い。企業側が「中国人は愛国心が強いから自国ブランドを好むだろう」と考えるからだ。しかし実際には、その考えが必ずしも正しいわけではないようだ。なぜなら、国内製品と勘違いしていた消費者に「今まで使っていた外国ブランドを止めて中国ものに替えるか」という質問を行ったところ、ほとんどの人が「NO」と答えたからだ。
■せっせと包装と容器だけを真似た偽物を作っている国が、自国製品を好んで買っているはずがありません。昔からの中華思想という基盤の上に、安い労働力を求めて製造プラントを持ち込んでせっせと生産拠点を作った海外企業の業績が載ったから起こった珍妙な現象なのでしょう。そもそも、五輪大会など開催したものの人民のほとんどは世界地図を理解していませんし、外国の名前と位置を性格に把握している人も極少数のはずです。従って「中国製」という概念も甚だ怪しいもので、他国の名前も性格に知らない上に、中国内の工場に生産工程の一部が入っているケースも含めて答えた人が多かったとも考えられます。
BCGは「中国内の多くの消費者たちは表向きには自国ブランドがよいと言いつつも、価格と品質によって合理的な選択をしている」と分析している。
9月30日 東亜日報(韓国)
■実際には安いだけが取り得の三鹿ブランドを買って酷い目に遭っている多くの人が居る一方で、日本に高級品の買出しにやって来る成金集団も現われている事から考えても、決して「合理的な選択」をしているとは思えませんが……。やっぱり、愛国教育の成果で「中国は強国になった!」「中国はすばらしい!」という空念仏が頭と舌先にこびり付いている一方で、万国共通に少しでも安くて安全な商品を求めている人が多いというところでしょうなあ。さすがに日本製ブランドを自国製と取り違える人が居ないのも、これまた愛国教育が反日的なものだった事の証拠なのでしょうなあ。
■教育と宣伝が同義語の国は、どうしても情報が偏ったり歪んでしまうものです。
北京の中国紙関係者は30日、共産党宣伝部から汚染粉ミルク事件に関する報道を一段と抑制し、国営通信新華社の配信記事以外は報道を控えるよう国内メディアに対し29日に通知があったことを明らかにした。……共産党宣伝部は有人宇宙船「神舟7号」の打ち上げを控えた先週初め、宇宙船に関する報道を大きく扱い、粉ミルク事件の報道を抑えるよう通知を出していた。
■神船7号の本体、宇宙服、管制装置などなど、どれほどが「中国勢」なのかは極秘事項なのでしょうが、徹頭徹尾自国製ではないのは確かです。中には非合法な手段で盗み取った技術もあるでしょうし、軍事や宇宙開発に使用するのを伏せて買った物もあるでしょう。凝ったロケット作りに拘って次々とチャイナに追い抜かれる日本の宇宙開発を考えれば、どんな手段を使ってでも宇宙ステーション建造と月面到達に向かって着実にハードルを飛び越えているチャイナの姿勢には、敬意はともかく圧倒される思いがしますなあ。
今回の通知は、神舟7号が中国初の船外活動を成功させ28日に帰還し、関連報道が一段落したため、政府の対応に批判が根強い粉ミルク事件に再び焦点が当たるのを避けるためとみられる。
2008年9月30日 産経ニュース
■四川省での大震災や危険な食料品を放置して、北京五輪を開催したり宇宙開発に大金を投じている場合ではないような気がしますが、国威発揚の宣伝効果を第一義に考える現体制が続く限り、弱者救済の民主的政治が行われる可能性は皆無のようです。宣伝・軍・民生は見事に縦割りになっていると同時に決して変わらぬ優先順位が付けられているのがよく分かります。
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