旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

チャイナの縦割り

2008-09-30 23:00:50 | 外交・情勢(アジア)
 ■長年、日本の縦割り行政が「お役所仕事」の中でも最大にして最悪の懸案事項ですが、さすがは『韓非子』を生んだ国らしく、チャイナの縦割りは日本の逃げ腰でたらい回しばかりしている消極的な無責任体質とはレベルが違います。権力中枢から末端まで、竹を割って引き裂いたかのようにそれぞれの担当領域がきっちりと積極的に限定されているようです。

■「食の安全」が農林水産省と経済産業省と総務省とに分割されて、危険な添加物や毒物に関する検査内容も基準値も違っていて、悪知恵が働く連中にとってはその隙間にぼろ儲けのチャンスがあるらしいのですが、チャイナは役人がぼろ儲けする縄張りを縦割りにしているのかも知れません。国内の縦割りに並んで、対外的な縦割りも歴史が古く中華思想と呼ばれる自分は常に正しく先進的で唯一の文明国だと最初に規定しておいて、その外側には野蛮で無知な礼儀知らずばかりが住んでいて、ウソばかりついているのだと、一度も調査も検証もしたこともないのに信じられているそうな。

■それを真に受けて信じ込む者が居るのは実に不思議なのですが、その筆頭は日本かも知れませんなあ。昔は聖人の国だと崇めた貴族は学者がいましたし、割と最近まで毛沢東は偉い人だと信じて本を書き大学で教えていた人がたくさん居たのですからなあ。


26日、中国国家品質監督検験検疫総局(質検総局)によると、三鹿製粉ミルク事件発生後、同局は輸入乳製品に対してサンプル商品検査のチームを組んだ。……市場で今月9日以降に輸入された牛乳及び乳製品を抽出し、282のサンプル商品に対しメラミン検査を行い、すべての商品にはメラミンは検出されなかった。……出入国検査・検疫の各部署は今後引き続き輸入乳製品に対してメラミン検査を行い、合格した製品のみ輸入を許可する方針である。
2008年9月30日 サーチナ・中国情報局

■これは悪い冗談や悪質なデマではありません。工業用樹脂を乳製品に放り込んで窒素成分の数値を上げて商売しようなどという短絡的で恐ろしい人間が、チャイナの外にも存在する可能性は非常に低いと思うのですが、チャイナの検疫所は大真面目に「輸入乳製品」のサンプル検査を実施したようです。毎日のように世界各地からメラミンが混入した食品が発見されていますが、原料調達も加工生産もチャイナ以外の該当地は他に無いようですなあ。

■5年ほど前にも基準値を大きく上回る残留農薬が検出されて、日本政府はチャイナからの農産物を輸入禁止にした事がありましたが、あの時は日本製の家電製品や化粧品などにイチャモンを付けて輸入禁止にする報復措置が取られました。その御蔭で日本製品の偽物が氾濫するわ密輸される本物の値段が跳ね上がるわ、大変な騒ぎになったものです。今回は輸入禁止にできそうな目ぼしい品物が無かったらしく、報復手段は採らずに万が一の可能性を求めてのメラミン検査を始めたのでしょうなあ。そんな暇が有ったら自国内の怪しげな商品を一つ残らず詳細に検査して少しは食の安全を確保したらどうなのでしょう?


外国ブランドの日用品を国内ブランドだと勘違いしている中国人消費者が多い、という興味深い統計が出ている。コンサルティング企業のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が、「中国人の愛国心」と「購買傾向」の関連性について13都市、4000人あまりの中国人を対象に調べた結果だ。

■なかなかユニークな調査を実施したものだと感心しますが、結果は大体見当がつきますなあ。


……パンテーンやコルゲートなどは8割の人 が、ペプシやラックスなど有名企業のものでも4割以上が中国製品であると回答した。北京や上海などの大都市住民でも傾向は同じだった。中国で外国ブランドの製品が販売される際、商品名は漢字に置き換え、広告には中国人タレントを使うなど、外国色が薄められる傾向が強い。企業側が「中国人は愛国心が強いから自国ブランドを好むだろう」と考えるからだ。しかし実際には、その考えが必ずしも正しいわけではないようだ。なぜなら、国内製品と勘違いしていた消費者に「今まで使っていた外国ブランドを止めて中国ものに替えるか」という質問を行ったところ、ほとんどの人が「NO」と答えたからだ。

■せっせと包装と容器だけを真似た偽物を作っている国が、自国製品を好んで買っているはずがありません。昔からの中華思想という基盤の上に、安い労働力を求めて製造プラントを持ち込んでせっせと生産拠点を作った海外企業の業績が載ったから起こった珍妙な現象なのでしょう。そもそも、五輪大会など開催したものの人民のほとんどは世界地図を理解していませんし、外国の名前と位置を性格に把握している人も極少数のはずです。従って「中国製」という概念も甚だ怪しいもので、他国の名前も性格に知らない上に、中国内の工場に生産工程の一部が入っているケースも含めて答えた人が多かったとも考えられます。


BCGは「中国内の多くの消費者たちは表向きには自国ブランドがよいと言いつつも、価格と品質によって合理的な選択をしている」と分析している。
9月30日 東亜日報(韓国)

■実際には安いだけが取り得の三鹿ブランドを買って酷い目に遭っている多くの人が居る一方で、日本に高級品の買出しにやって来る成金集団も現われている事から考えても、決して「合理的な選択」をしているとは思えませんが……。やっぱり、愛国教育の成果で「中国は強国になった!」「中国はすばらしい!」という空念仏が頭と舌先にこびり付いている一方で、万国共通に少しでも安くて安全な商品を求めている人が多いというところでしょうなあ。さすがに日本製ブランドを自国製と取り違える人が居ないのも、これまた愛国教育が反日的なものだった事の証拠なのでしょうなあ。

■教育と宣伝が同義語の国は、どうしても情報が偏ったり歪んでしまうものです。


北京の中国紙関係者は30日、共産党宣伝部から汚染粉ミルク事件に関する報道を一段と抑制し、国営通信新華社の配信記事以外は報道を控えるよう国内メディアに対し29日に通知があったことを明らかにした。……共産党宣伝部は有人宇宙船「神舟7号」の打ち上げを控えた先週初め、宇宙船に関する報道を大きく扱い、粉ミルク事件の報道を抑えるよう通知を出していた。

■神船7号の本体、宇宙服、管制装置などなど、どれほどが「中国勢」なのかは極秘事項なのでしょうが、徹頭徹尾自国製ではないのは確かです。中には非合法な手段で盗み取った技術もあるでしょうし、軍事や宇宙開発に使用するのを伏せて買った物もあるでしょう。凝ったロケット作りに拘って次々とチャイナに追い抜かれる日本の宇宙開発を考えれば、どんな手段を使ってでも宇宙ステーション建造と月面到達に向かって着実にハードルを飛び越えているチャイナの姿勢には、敬意はともかく圧倒される思いがしますなあ。


今回の通知は、神舟7号が中国初の船外活動を成功させ28日に帰還し、関連報道が一段落したため、政府の対応に批判が根強い粉ミルク事件に再び焦点が当たるのを避けるためとみられる。
2008年9月30日 産経ニュース

■四川省での大震災や危険な食料品を放置して、北京五輪を開催したり宇宙開発に大金を投じている場合ではないような気がしますが、国威発揚の宣伝効果を第一義に考える現体制が続く限り、弱者救済の民主的政治が行われる可能性は皆無のようです。宣伝・軍・民生は見事に縦割りになっていると同時に決して変わらぬ優先順位が付けられているのがよく分かります。
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いよいよ選挙が待ち遠しい 其の参

2008-09-30 18:26:47 | 政治
■中山前大臣のインタヴューは、ここで日教組問題から社保庁問題に移ります。つまり、「民主党のトップが輿石参議院会長だよね」の一言には危険なメッセージが埋め込まれていたことになりますなあ。

もう一つは社保庁の組合、自治労ですよね。この2つが民主党の大きな支援母体なんですね。……労使交渉で世の中、全部機械化になっていても、機械化に反対。労働強化になるからとずっと反対してきた。最終的に機械化を受け入れる条件として、スカスカの労働条件という甘い処遇、「何とかチェア」というのを買ったわけですよ。それで政治活動、ヤミ専従もいっぱいいるでしょ。政治活動に専念しているわけですよ、去年の参議院選挙、民主党比例代表の社保庁職員は50万票取りましたよ。

■誰の事を言っているのか?と調べてみれば相原久美子議員のことだと直ぐに分かります。大学を卒業して札幌市非常勤職員に採用されますが、担当は「国民年金」で、その後は自治労札幌市役所職員組合特別執行委員という自分でも覚えているかどうか心配な長い名前の役職に就きまして、自治労北海道本部執行委員、自治労北海道本部副執行委員長と「自治労」一筋の人生を歩み続けて、2003年には念願の?全日本自治団体労働組合中央執行委員になれたのだそうです。それから中山前大臣が言う通り、昨年の参議院選挙では比例名簿第一位で立候補して見事?507,787票を獲得して当選しております。例の「50分作業して10分休憩」というIT時代を知らないふざけた条件闘争を全面的に弁護している人でもあります。


社保庁の職員は1万ちょっとしかいない。だから結局、仕事をはしないで政治活動ばっかりしていたというのが年金記録問題の本質なんですね。それを組合員が内部告発というか「こんなこともしていませんでした、こういうこともしていませんでした」と、自分たちの恥なんだけど、そういうのを民主党の議員に届けて、それが民主党の議員が政府を追及する。すると自民党の厚生労働大臣が謝る。変な構造だよね。

■確かに変な構図ですが、そもそも厚労相が社保庁(自治労)に手が出せないのは、自民党が55年体制に埋没して社会党と裏取引して来たシガラから生まれた悪弊ではないかと思われますし、「盗人を牢屋に入れる」こともせず、大急ぎで不祥事に蓋をしてアホな職員を再就職させるような「社保庁解体」を決めたのは自民党でしたなあ。つまり、自民党内には55年体制を引き摺っている骨董品がごろごろしているのではないでしょうか?

■まあ、自民党を飛び出して55年体制の残滓にしがみ付いて政権交代を叫んでいる小沢民主党も変なのですが、政権交代が起これば自民党は野党となって忘れていた野性と精気を取り戻し、与党となる民主党のスキャンダル体質を徹底的に攻撃すればよいだけの話。民主党が抱き込んでいる労働組合も酷いけれど、組合とは無関係の官僚と自民党政権との癒着依存構造は、どうしても一度は壊さねばならない問題ではないでしょうか?


結局、民主党の支持母体である自治労が、自分たちの怠慢を民主党に言わせて、それを自民党の政権の責任だと言っているんですけれども。この民主党と自治労と日教組と、私に言わせればね、組合費ですか、これたくさん上納してきますけれども、これは「労働貴族」ですよね。ついでにいえば、その組合から支援されている民主党の議員ていうのは「選挙貴族」ですよ。票も金も組合が出してくれるんだからね。まあ、自民党の議員ていうのは一人一人、金を集めてドブ板選挙をやってくるんだけど、こういう優雅な民主党の議員だということを国民の皆さん知らないんだな。だから、自治労と日教組に支援されている民主党が政権をとるとどうなるか。端的にいえば、それが大阪府だということですよ。
■ドブ板選挙は「収賄選挙」に簡単に変質してしまうものですから、組合費を巻き上げて当選する議員との違いは、支援者の企業を喜ばすための税金無駄遣いをするか、怠惰な労働組合を甘やかすかの究極の選択という事になりそうです。しかし、日本の政治を活性化させ、ずっと隠され続けて来た腐敗や無駄遣いの構造を、攻守ところを変えた国会で徹底的に議論するためにも政権交代が必要な気がしますなあ。仮に政権交代しても、またまた短期間で政権が終わるかも知れませんが、その時には自民党もタガが緩んで離党者が続出しているでしょうし、民主党内も出自に立ち戻って所属すべき集団を作る者とそれに便乗する者とに別れて、割と簡単に政界再編が完了する可能性があります。そもそも、55年体制が終わったのに、「昔の名前で出ています」みたいな議員と組織が生き残っているから話がややこしくなるのですから、「組織票」などという気味の悪い民主主義に反するような代物を作り出す選挙文化も同時に変わるように願いばかりであります。

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いよいよ選挙が待ち遠しい 其の弐

2008-09-30 18:26:24 | 政治
大阪府の橋下徹知事と大阪市の平松邦夫市長の友好ムードが続いている。財政再建や文化行政をめぐり、たびたび衝突してきた両者だが、ここにきて府庁移転や全国学力テストの結果公表など思惑が一致する問題が多く、一時的に、意見を同じくすることが増えているのだ。……大阪市教育委員会は今月26日、全国学力テストの平均正答率を10月中旬をめどに公表することを決めた。全国学力テストの結果公表は橋下知事が各市町村に強く求めており、平松市長も「教育現場の現状を知るために必要」と橋下知事の意向を支持。同市教委の判断は両者の要望に呼応した形だ。……もともと選挙で自民、公明両党に支援された橋下知事と、民主党など野党推薦だった平松市長とは政治的立場が違い、しばしば対立してきた。
2008年9月29日 産経ニュース

■たった1日違いのニュースですが、結果公表が知事の要求通りに広がって行くと困る中学校があったと仮定すると、先の「紛失」事件が複数の学校で同時に発生していた理由が少し分かるような気がします。民主党と各種労働組合との関係が、総選挙が近づくに連れて問題視されるようなことがあると、民主党には逆風、自民党にとっては神風になるかも知れません。もしも、中山成彬議員の暴言自爆テロが民主党の躍進を阻止する効果を生むようなことにでもなれば、民主党の方が先に空中分解を始めるかも?公明党の選挙協力をまったく必要としていない福田ホイホイ前首相が、公明党の逆鱗に触れて自民党内から反感を買って政権を放り出したように、民主党内でも労働組合の組織票に頼らない議員たちが、一緒にされては堪らない!と離党し始めるかも知れませんからなあ。

■中山前大臣がミノモンタさんの『朝、ズバ!』に出演した後、産経新聞系のインタヴューに応えているのですが、その中で日教組・自治労・民主党の関係が指摘されていましたぞ。


--日教組、自治労との関係から民主党を批判しているが

これからそこを突こうと思っている。一部の過激分子が引っ張っているから日教組が問題の集団なんです。ほとんどの先生は一生懸命なんですよ。私は文部科学大臣もやったし、いま党の文教制度調査会の会長をしているが、そのなかで、一生懸命やっている先生の待遇を改善しようと努力してきているんですよ。だから、問題は過激分子だと。その分子が主導権を握っているところが問題だと指摘したいんですけれど、民主党の頂点が輿石参議院会長(輿石東氏、元山梨県教組執行委員長)だよね。

■輿石参議院会長の経歴は、1958年に神奈川県の青野原小学校教諭に始まって熱心な組合活動が認められたらしく、1984年に山梨県教職員組合執行委員長に就任に、1986年には山梨県労働組合総連合会議長!ここまで出世したら次は国会議員です。社会党系の議員は各種労働組合のトップに上り詰めた後の論功行賞か御褒美みたいに選挙に押し出されて国会議員になるケースが目立った時代が長く続きました。社会党がソ連崩壊に続く北朝鮮の拉致犯罪露見で、政党として融解したのは、自衛隊合憲・阪神大震災・地下鉄サリン事件の三点セットで歴史に残る村山内閣が総辞職した1996年1月のことでしたから、まだ12年しか経っていないのですなあ。こうした歴史的変遷が輿石参議院会長の半生にも大きく影響しているわけです。

■平成2年(1990年)の第39回衆議院議員総選挙に旧山梨全県区から、勿論、日本社会党の公認で立候補して初当選!オウム真理教が山梨県の上九一色村に建設したサティアン群でサリンを作っていた頃かも?その後、教団幹部が一網打尽にされる大捕り物が日本中を震撼させたのに、村山総理はオウム教団に破防法を適応するのを拒否したのでしたなあ。

■そんな事を知ってか知らずか、平成5年(1993年)の第40回衆議院議員総選挙に同じ選挙区から再出馬して、勿論、日本社会党の公認で当選!そして1月に社会党が空中分解した平成8年(1996年)の10月20日に行われた第41回の衆議院議員総選挙には山梨1区から、勿論?民主党の公認で3選を目指しますが落選しておりますなあ。でも大丈夫、翌年には山梨県教育研究所の所長に迎えられ(これも一種の天下りかも?)平成10年(1998年)の第18回参議院選挙に、今度は無所属で当選です。参議院への鞍替えに成功したのも、某組織が獅子奮迅の運動を展開したからとか……。

■それがバレるのが、いつの間にか民主党に復党してから迎えた平成16年(2004年)の第20回参議院議員選挙で、勿論、民主党の国対委員長になっていましたから公認を受けて参院2期目の当選!この時の得票数が「231,631票」だったのだそうですが……。当選直後に山梨県教職員組合が組織を挙げて小中学校の先生方から選挙資金を掻き集めていたことが発覚しますし、先生方を動員して有権者への電話作戦を展開!これが「教育基本法」と「教育公務員特例法」と「政治資金規正法」に違反しているんじゃないか?と大問題になったそうですが、何故かうやむやになって今でも民主党の大幹部。

■中山前大臣がインタヴューの中で輿石参議院会長の実名を出したのには深い因縁が……。どんな「研究」をしているのかは知りませんが、輿石さんが落選中に所長を務めていた山梨県教育研究所に「長期研修中」、つまりサラリーマンには夢物語でしかない長期有給休暇を取っていた山梨県内の教職員が「事務局長」をしていた事が発覚したのだそうですなあ。この時、第2次小泉改造内閣で初入閣して張り切っていたのが中山成彬文部科学大臣!平成17年12月27日付けで文部科学省の名で山梨県に対して『指導通知』を出したのでした。ああ、何とも長い因縁話ですが、中山前大臣が次の選挙で浪人にでもなれば、なかなか興味深い回想録を書くかも知れませんぞ。

いよいよ選挙が待ち遠しい 其の壱

2008-09-30 18:25:56 | 政治
■中山成彬国交相が史上最短の5日間で大臣を辞任した翌日、麻生総理大臣は型破りの所信表明ならぬ「民主党は嫌いだ!」演説をやりました。どちらも感情が先走った幼稚な印象が強く、マスコミが大々的に取り上げて視聴率や発行部数を増やそうと思ったようですが、一夜明けて米国下院が金融恐慌を避けるために提案された法案を否決!というニュースが飛び込んで来たら、日本の政治がどれほどちっぽけな物かを強烈に相対化して示してくれましたなあ。

■従って世界で誰も注目していない日本の新内閣で、国土交通省の大臣が少々滑稽な経緯で就任5日で辞任した、その原因になった日教組という組織についてなど、どの国でも報道されていないのは当然で、世が世ならば援護してくれたはずの旧ソ連や小平以前のチャイナやら、先代将軍様の朝鮮民主主義人民共和国などは、それぞれが社会主義の旗を投げ捨てて国家主義・大国主義・民族主義に移行してしまいましたから、日教組の組織率が下げ止まらないのは仕方がないのでしょう。全盛期にはスターリンや毛沢東や金日成を超人的な偉人だと信じ込んだ組合員も多かったようですが、今となっては社会主義を標榜していた国々が、「平和」とも「民主主義」ともまったく無縁だったことも、経済的繁栄とは何の関係も無かったことも、全部バレてしまいましたから、放っておいても日教組は衰亡して行くのでしょう。

■解散消滅する前に、歴史的記録として活動内容や各種文書類を網羅的に収拾して保存しておかないと、日本の戦後史に大きな欠落部分が生じるのではないか?と心配する時期を迎えていたはずなのですが……。他の組織と同じように組織を存続させようと最後の抵抗?と努力を続けている地域が、日本各地に残っていることが、大阪府の知事と宮崎選出の大臣が注目された事で炙り出されたような次第です。しかし、本当に日本の教育問題が日教組問題と等値なのかどうか?問題教師や不祥事を起こす教員が、1人残らず日教組の組合員ならば話は簡単ですが、それほど事態は単純でもなさそうですからなあ。

■60億円の巨費を投じて実施された全国学力テストは、中山前大臣が文教族のドンとして日教組の尻尾をつかまえる目的で計画実行されたという話ですが、その目論見は不成功に終わったらしいのですが、大金をつぎ込んだ調査なのですから、何かの役には立って貰わねばなりません。少なくとも大阪府では大いに利用される流れになっているようですから、中山前大臣もさぞご満足なさっているのかも?


昨年度の全国学力テストで大阪市内の中学校の校長が生徒の照合用資料を紛失した問題で、他にも照合用資料を紛失するなどして、学校の判断で結果の配布自体を取りやめていた中学校が市内に5校あり、生徒計581人が結果を受け取っていなかったことが判明、市教育委員会は30日、すでに退職した1人を除く校長5人を減給1カ月(10分の1)の処分とした。

■橋下知事にクソ呼ばわりされた大阪府の教育委員会については、問題の本質をついた報道がほとんど無いのが実情で、これに日教組がどの程度関係しているのか?他の労働組合は無関係なのか?そもそも大阪で騒動になっているのは教育問題なのか?それとも労働組合の問題なのか?外部からはその区別さえ難しいようです。


……矢田南中(東住吉区)では21人分の照合用資料を紛失。誰の結果か特定できなかったとして学校の判断で結果を配布しなかった。城東中(城東区)、淀中(西淀川区)では解答用紙に本人の名前を記入させなかっため、誰の結果か特定できないとして、配布しなかった。……文科省が委託するコールセンターに連絡を取り、出席番号で誰の結果か特定する方法もある。市内では照合用資料を紛失した8中学が利用していたが、この4校は利用しなかった。

■最初からテストに反対している確信犯のように見えますが、単なる事務処理の粗雑さが原因のミスでないのなら、露骨にボイコットするのではなくサボタージュで反抗してみせるというのは、随分と陰湿なやり方ですなあ。真面目にテストを受けた生徒達はどんな気持ちなのでしょう?中学時代の忘れられない思い出になるのは間違いなさそうですが、それが教師や学校に対する尊敬や感謝の気持ちになっていればよいのですが……。


巽中(生野区)、三稜中(住吉区)では、結果の配布時期が進路指導の時期と重なっていたため、生徒への影響を考慮し、校長の判断で結果を配布していなかった。

■「進路指導」と重なるとどんな支障が有るのか、さっぱり分からない話ですが、校長の独断で受験した生徒全員の結果を封印してしまえるとは、校長の統制力が行き届いている学校のようですなあ。さてさて、これらの中学校が校長から有力職員までが揃って日教組に所属しているのかどうか?個人情報保護法が壁になって資料紛失と日教組の関係が明らかにならないのなら、無責任な憶測や噂が流れて疑心暗鬼が広がりそうです。


いずれも市教委には報告しておらず、市教委は「あってはならない判断。6校では生徒、保護者に説明したうえで文部科学省に照会するなどして配布をやり直したい」としている。
2008年9月30日 産経新聞

■この6校が、本当に大事なデータを愚かなミスで紛失させ、その後も対応策を取らなかったのなら、生徒や保護者に対して顔向けが出来ない醜態ということになりますが、何か含むところがあってのサボタージュであれば、問題は深刻になりそうですなあ。橋下知事がこの件について何を言い出すか、ちょっと注目です。

秀才大臣の蹉跌 其の九

2008-09-29 15:30:26 | 政治
全国学力テストで小学校の4分類すべてがトップだった秋田県。管理職を除く小中学校教職員の半分以上が県教職員組合に加入し、組織率は東北トップという。「日教組の強いところは学力が低い」と言い放った中山氏は、根拠も示さず、「解体」「ぶっ壊せ」と最後まで日教組との対決姿勢をみせた。……行事回りをしていた自民党の御法川信英衆院議員(44)は「発言は正直、理解に苦しむ」とため息。ただ、衆院選については「個人の失言で争われる選挙ではない。自民党がダメということにはならない」と強調した。

■さすがは保守王国の秋田県!あの程度の暴言くらいで長年の支持は変わらない!でも、農業政策の失敗が続いているのは事実で、米所の秋田県でも農民の反乱が静かに始まっているのではないでしょうか?学力テストが最上位でも人口当たりの自殺率も最上位だと、日教組が弱くても勉強のやり方や教育内容に足りないところがありはしないか?と独自の調査と対策が必要かも知れませんなあ。中山前大臣は、全国学力テストの復活実施を主導した人で、かかった予算の60億円は、日教組が強い地域は学力が低いことを立証するための必要経費だったと自慢しているとか?何か大きく勘違いしているようですなあ。

■それに、同僚の鳩山前法相が「ぶっ壊した」民間の業者テストを利用したら、60億円の半分以下でも実施可能だったはずです。天下り組織を使わずに公正な入札を実施するべきでしょうなあ。まさか、学力テストに関連した天下り団体に御自身が再就職してしまうのではないでしょうな?


……25の小選挙区があり、政党対決の勝敗の鍵を握るとも言われる東京都。この日、秋祭りの会場や敬老会など約20カ所のあいさつ回りをこなした自民党の平沢勝栄氏(63)=東京17区=は困惑している。「総理も大臣も『回転ずし』のように変わり、じっくりと政策の実現ができない印象を国民に与えている。結果がどうなるか分からないで発言しているようなら、お粗末だ。日教組どころか自民党をぶっ壊しかねない」

■北朝鮮の拉致犯罪を変な具合に選挙利用して評判を落としてしまった平沢勝栄議員は、東京都の議員らしくテレビ出演が大好きで、ボクシングの亀田騒動にもちゃっかり便乗していたような警察官僚出身の議員です。安部首相の時代には、東大生だった昔、安倍晋三さんの家庭教師をしていた話を売り物にしていたのですが……。


……中山氏は、28日の辞任会見で「迷惑をかけた方には陳謝した」と釈明したが、日教組への一連の発言については「確信的に申し上げた」と撤回を拒否し、最後まで批判を繰り返した。……会見は国土交通省で始まった。中山氏は目を潤ませながら「辞めるなという山のようなメール、電話をいただいた。(職務に)意欲を燃やしていたのだが」と切り出した。

■山のようなメールや電話とは別に、「辞めろ!」のメールや電話も山のように来ているのではないでしょうか?自分に都合の良いことしか耳と眼に入らなくなるのは一種の病かも知れません。張り切って大臣仕事を始めて途中で辞任に追い込まれる姿は、田中真紀子元外相の姿とも少し重なりますが、役人と大喧嘩したわけでもない役人出身の大臣ともなると、どこか騒ぎが陰湿になってしまいます。


辞任の理由について「補正予算案の審議に支障があるのは本意でない。自ら身を引いた。内閣への影響が一番心配なこと。そんなことがあれば万死に値する」と説明。官邸で麻生首相から「誠に残念」と言われたという。日教組批判については「教育に関心を持ってもらうきっかけになればいい」「『自分の職をかけても子供たちのことを考えた』と言ってほしい」と強調した。
2008年9月28日 毎日新聞

■教育に対する関心は世界的に見ても異常に高いのが日本かと思っていましたが、中山さんが世間に訴えたいのは「日教組」に限定した問題なので、それを教育問題一般に押し広げるのは如何なものでしょう?日教組に限らず、官民に共通して労働組合には多くの問題があるのは確かですから、労組問題として提起すれば違った展開があったかも?


……後任に金子一義元行政改革担当相を起用、早期の事態収拾を図った。だが、内閣発足早々のダメージに与党の動揺は収まらない。首相は平成20年度補正予算成立後の解散を模索しているが、公明党は「予算審議すれば傷が広がる」(幹部)として態度を硬化。与党内では代表質問終了日の10月3日の解散に向け、地ならしを始めており、3日解散が濃厚な情勢となってきた。……政府・与党は29日に首相の所信表明演説を行い、10月1~3日に衆参両院で代表質問……6日から補正予算案審議に入り、10日までに成立を目指す考えだった。民主党なども10日の「話し合い解散」を与党側に打診していた。

■何度も解散に追い込むチャンスがありながら、ここまで時期を逸して来た民主党も、決して大勝は望めないでしょう。与野党ともに、長く審議をしていたら互いにボロが出そうで心配だと「話し合い解散」に落ち着いたのなら、今度は投票する有権者が困ってしまいます。結局は地元の利害関係が突出して前面に出て、地縁・血縁・補助金欲しいの三点セットで選挙運動が展開され、国の財政や外交は何処かに吹き飛んで大盤振る舞いの赤字国債政治に逆戻りするしかなくなってしまいます。


ところが中山氏の失言を受け、公明党が「このまま予算審議に入れば野党に首相の任命責任を徹底追及され、内閣支持率が急落しかねない」(幹部)として補正予算案審議に難色を示し始めた。すでに公明党所属議員に対し、10月3日午後は国会周辺での待機を命じる「禁足令」を発した。3日に解散し、衆院選を「10月21日公示、11月2日投開票」とするシナリオが透けてみえる。……首相が予算案の委員会審議に執着するのは、審議に入らずに10月3日に解散すれば、野党から「敵前逃亡」と批判される公算が大きい……しかし、公明党の北側一雄幹事長は28日、首相官邸で麻生首相と会談し、「政策を実現するには早期に国民に信を問うべきだ」と強調した。……。
2008年9月29日 産経新聞

■公明党の北側さんが言う「早期に国民に信を問うべきだ」という話は、安倍政権時代から民主党が声を嗄らして訴え続けて来たものとまったく同じ!安倍・福田・麻生と解散を避けて逃げ回ってここまで総選挙を引き伸ばして来たのは公明党も同じ穴の狢です。今になって「早期に……」などと言われても困ってしまいますなあ。この不用意な発言は、きっと選挙期間中に民主党議員が公明党崩しの切り札として毎日のように連呼して打ち返して来ますぞ。どうやって打ち返すのでしょう?公明党はずっと解散を考えていたのに、自民党が嫌がっていたんだ、とは言えないでしょう。

■因みに10月3日には、日本相撲協会が『週刊現代』を名誉毀損で訴えた八百長報道に関する裁判が開かれることが決定しているそうですなあ。大麻を吸ってクビになった若の鵬が、相撲の裏側を暴露する!と週刊誌側の証人として立つのだそうです。日本は米国のように裁判所からの実況生放送はありませんが、どこかのテレビ局が速報特別番組でも組んだら、何処かに出掛けようかと計画していた人達が心変わりして、組織の不正について考え込んだりすると選挙行動に大きな変化が起こってしまうかも?

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チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

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秀才大臣の蹉跌 其の八

2008-09-29 15:29:59 | 政治
自民党の田中直紀参院議員は26日、同党に離党届を提出した。……「次期衆院選に立候補する妻の真紀子元外相(新潟5区)を応援することなどもあり、総合的に判断した」と説明した。……参院新潟選挙区選出で当選2回。05年の郵政民営化法案の採決では、党の方針に反して反対票を投じた。その後、同年の衆院選では党公認候補を妨害したとして、党員資格停止1年の処分を受けた。妻の真紀子氏は無所属で、故田中角栄首相の長女。
2008年9月27日 毎日新聞

■あの田中角栄の娘婿にして、あの田中真紀子さんの夫である田中直紀議員が、あの田中角栄さんが支配し続けた自民党を離れるというのに、何とも小さな扱いのニュースになってしまいましたなあ。記事にある「党公認候補を妨害」というのは、先に離党している妻の真紀子さんを応援した事を責められたという件です。妻の言う事には自分の政治生命を懸けてでも従う直紀議員!かつての田中角栄の大ブームは小泉劇場以上のものがありましたし、その小泉劇場も田中真紀子さんの活躍が無ければ不発に終わったに違いなく、あれは一体、何の騒ぎだったのか?と今更ながらに考えてしまう小さなニュースであります。しかし、「蟻の一穴」とも言いますから、田中直紀さんの後に誰かがまた、ひっそりと解散風が吹き荒れる嵐の中を立ち去って、それからまた1人という具合に……。


中山国交相……宮崎市内で開かれた自民党県連の会合で、「日教組(日本教職員組合)を何とか解体しなきゃいかんと思っている」と改めて日教組批判を展開。……進退問題に関し中山氏は同日夜、東京に戻った際に羽田空港で「自分の出処進退は自分で決める。今晩、女房(中山恭子首相補佐官)と2人でゆっくり相談する」と記者団に述べていた。
2008年9月27日 産経ニュース

■「自分で決める」と「女房と相談する」とでは、またまた意味が食い違ってしまいますなあ。暴言・失言問題でも、自分の言語能力が低かったと少しは認めているような節もあるようなのですが、秀才人生まっしぐらの中山前大臣にとっては、心底反省することなど無理なのでしょう。田中夫妻とは違って中山夫妻は官僚出身夫婦ですから、間違っても手に手を取って組織から飛び出すような冒険はしないに違いありません。最後まで官僚無謬神話にしがみ付いて生きて行くしかないでしょう。

■それが許されるような仕組みが日本の社会には完備されているのですから、自分のことを棚に上げて「女性の品格」みたいな「政治家の品格」やら「教育の品格」やら、天下り機関に収まって好きなだけ本を出すもよし、ほとぼりが冷めたら子供に議員職を世襲させるもよし。でも、先に追い出された太田スーパーフリー前農水大臣とコンビを組んで政治漫才でもしてくれれば面白そうなのですが……。
 
 
中山恭子首相補佐官(前拉致問題担当相)が28日、香川県多度津町で開かれた文化講演会で、「中山成彬という主人がおります。お騒がせして申し訳ありません」と、一連の問題を謝罪した。いつもの穏やかな口調で話したせいか、会場は笑いの渦に。一方で、「日本のために一生懸命やっているんです」と夫をかばった。講演会は町などが主催し、自民党支持者ら約700人が集った。「それぞれ(別に)動いており、私がコントロールすることはできない存在」と恭子氏。しかし日教組批判については神妙な面持ちで、「教育問題は以前から家の中でしていたが、もう少しきちんと準備をして話をしたらいいのに。たまっていたものをつい言ってしまったのかな」と話した。
2008年9月29日 毎日新聞

■香川県の自民党支持者が持っている笑いのセンスというのは、ちょっと無気味で無責任なようです。どんな人が700人も集まったのかは分かりませんが、成田空港問題・アイヌ問題・日教組問題などとは無縁の生活をしている人ばかりが集まったのか、何が起こっているのかさっぱり分からない人が選ばれたのか?大笑いして聞いている700人の姿というのを想像すると恐ろしいものさえ感じますなあ。少なくとも中山夫妻の間には政治的見識の違いは無いという事だけは分かりました。

 
放言を重ねた末の中山成彬・国土交通相の辞任は、衆院選に向けて臨戦態勢に入った議員らに大きな影響を与えている。とりわけ自民党議員にとっては、麻生太郎首相の支持率が伸び悩む中、追い打ちをかけられた形だ。「風当たりは厳しい」「最悪の選挙になる」。週末、地元に帰った議員らの口からは、怒りや不安の声が漏れた。

■昔、麻生総理の祖父吉田茂首相が議場で「ばかやろう」と言ったの原因で解散総選挙になったことがありました。名付けて「馬鹿野郎解散」。今度は「ごね得・単一・日教組解散」とでも呼ぶのでしょうか?ちょっと呼び難いので、やっぱり「中山(失言)解散」になるのでしょうか?


成田国際空港に近い千葉県成田市三里塚出身で自民党の実川幸夫・衆院議員(64)=千葉13区=は「多くの地権者を知る人間として、『ごね得』発言は許せない。辞任は当然だ」と中山氏を厳しく批判した。……「自分が経験した選挙の中で最悪の状況。郵政解散とまったく逆になってしまった」と怒りをぶちまけた。

■国土交通大臣の暴言ですから、成田周辺では大変な影響が出るでしょうなあ。少しでも成田空港の問題に興味を持った経験のある人なら、これまた自民党に対する反発を感じたでしょう。国政でも地方自治体の議員でも、地元で成田問題に関わって来た人達はトンデモないとばっちりを食わされたわけですから、その点はお気の毒であります。自分が言ってもいない暴言が原因で落選でもしたら、誰に文句を言えばよいのでしょう?中山前大臣は議員辞職はしないようですから、成田に近い千葉県の選挙区をお詫び行脚して貰わねばならないでしょうなあ。でも、また余計な事を言い出したりして……。

秀才大臣の蹉跌 其の七

2008-09-29 15:29:18 | 政治
24日も混乱は続いた。朝刊各紙には「入閣が固まった顔ぶれ」が掲載された。人事情報を一切漏らさない小泉内閣以来のスタイルは崩れたのだ。総裁選で麻生選対の本部長を務めた鳩山邦夫氏は「法相」と報じられたが、2度目の法相就任に難色……総務相に横滑りさせ、総務相起用を検討していた甘利明氏を国交相で処遇しようと考えた。

■麻生内閣に関する奇妙なリーク情報が、総裁選挙も終わらないうちから讀賣新聞紙上に大きく掲載されていましたから、組閣の舞台裏などはその気になったら素人でも推測できそうなくらいに情報量は多かったわけで、何も土壇場のドタバタ劇だけを取り上げなくてもよいのですが……。強面の鳩山弟大臣も、案外と小心なところがあるらしく朝日新聞に「死神」と書かれた心の傷は想像以上に深かったようですなあ。でも、恥を忍んでキグルミに入ったり、自らのセンスで広報看板のコピーを変えさせたりして広報に努めた裁判員制度の実施がどんどん近づいているのですから、2度目だろうと3度目だろうと真面目に取り組んだ方がよかったでしょう。


同日午後、首相指名選挙を控えた衆院本会議場でまた“事件”は起こった。町村派事務総長の中山成彬氏が、官房長官就任が内定していた河村建夫氏に近づき、ポスト差し替えを求めたのだ。中山氏は、麻生首相から「行革担当相」を提示されたが、家族が公務員のため、公務員改革には不向きだという理由だ。……日経新聞は中山氏が河村氏に「首相指名選挙で町村派が『小沢一郎』と書いてもいいのか」と詰め寄ったと報じた。

■これは「ゴネ得」どころか恫喝か脅迫ですぞ!日教組よりも鹿児島ラサールや東大法学部での教育の方が生徒の品性を悪くするのでしょうか?世襲問題は目立つ政治家のことで騒がれますが、実は官僚組織こそが世襲化がどんどん進んでいるのが実情なのだそうですなあ。議員は落選する可能性は有りますが、官僚組織は「遅れず、休まず、働かず」の鉄則を守ってスキャンダルさえ発覚しなければ退職後の天下りを含めて一生ものの安定職!何せ税金で運営されている組織ですから絶対に倒産はしないし、戦争や革命が起こっても「実務経験」を振り回せば何事もなく昔と同じポストに残れるのですから、親が子に同じ甘い汁を吸わせたくなるのは人情です。だから大問題なのです!自分の口から「我が家は役人ファミリー」などと平然と語れる神経を疑わねばなりません。御子息も官僚だそうですが、大分県の教育委員会みたいな口利きは無かったのでしょうな?


最終的に中山氏は国交相になり、国交相を検討されていた甘利氏は空いた行革担当相に着任した。甘利氏は就任会見で「これだけ、ポストがいろいろ報道されたのは経験がない」と不満を漏らした。福田改造内閣で、麻生派の鈴木恒夫氏が務めていた「文科相」には、同派の森英介氏の起用が検討されていたが、森氏は鳩山氏が固辞した法相に着任した。……報道機関は記事を差し替え続けた。党内各派にしこりも残した。
2008年9月26日 産経ニュース

■こんな人事抗争の中を無派閥ながら生き残って留任した舛添厚労相は大したもの?かも知れませんが、末期(後期)高齢者医療保険制度の改正問題を人質に取っての留任では、最初から腰砕けの尻すぼみが見えるようです。麻生内閣の人事は、決して「適材適所」などではなく、選挙対策の効果も無い、要するに昔ながらの派閥間談合の数合わせ調整人事の結果でしかないという事のようです。それなら長期間の国会審議は地雷原を歩くように危険なものになります。総理自身が就任前からマスコミで「失言」特集を組まれるほどの人ですし、「友達の友達はアルカイダ」の鳩山前法相、その鳩山さんが驚いたほど過激な中山国交相、エエカッコしいの舛添厚労相などなど、下世話な興味を大いに欠きたてられる陣立てではありました。

秀才大臣の蹉跌 其の六

2008-09-29 15:28:40 | 政治
中山成彬国土交通相が成田空港反対闘争を「ゴネ得」と批判した問題で、公明党の山口那津男政調会長は27日午前、民放番組で「本当に不適切極まりない。とんでもない発言だ」と厳しく批判。自民党の古川俊治参院議員も「ちょっとかばいようがない。本人も『傷が浅いうちに』ということもある。きっぱり辞表を出されていくと思う」と述べ、中山氏の辞任は不可避だとの認識を示した。……
2008年9月27日 産経ニュース

■衆議院の解散総選挙に続く解散都議会選挙で何が何でもニ連勝しなければならない公明党は、矢野元議員の国会への参考人質疑を手段を選ばず潰した勢い、さらに危機感を煽って運動員を走らせ、訳が分からない熱気で押し切ろうとしているようです。民主党のばら撒き政策に文句を言った舌先も乾かないうちに、財源も分からない定額減税を自民党に飲ませてしまったようですが、民主党は財源確保を三段階に分けて裏付けるマニュフェストを出して来るようですから、外交でもインド洋での給油支援活動に反対だとこれまた民主党と同じような事を言い出した公明党としては、麻生内閣のボロが出る前に総選挙を片付けたのでしょう。でも、それなら何のために新内閣を作ったのでしょう?連立与党としての責任問題も出て来そうですなあ。

■自民党内でも文教族の過激派として有名だった中山成彬議員を国交省の大臣にした任命責任が麻生総理に突きつけられているので、どんなに短期間の国会開催でも議場は大荒れになると予想されます。制度の上では確かに最終的な任命責任は総理総裁が負わねばならないのでしょうが、前の福田内閣が誕生した時に負けないくらいの派閥からの注文と圧力が加わって、毎度の事ながら決して適材適所の配置にはならなかった事情が既に暴露されておりますぞ。


24日に発足した麻生太郎内閣は組閣当日、朝刊各紙に閣僚人事情報がスッパ抜かれたうえ、その後、ポストが二転三転するドタバタ劇を見せた。自民党総裁選を圧勝し、強いリーダーシップを目指した麻生首相に何があったのか。その舞台裏は。……

■何とも軽量級の内閣らしい情報漏洩ぶりですが、これも小泉劇場の向こうを張って麻生劇場を演出しようという魂胆なら、小泉劇場がちょっとした実録路線のヤクザ映画だったのに対して今度は間抜けなコメディになりそうであります。


波乱は組閣前夜の23日夜から始まった。麻生首相が都内のホテルで、自民党の細田博之幹事長や公明党の太田昭宏代表と食事をしていたところ、ニューヨーク滞在中の森喜朗元首相から国際電話が入った。森元首相はオーナーを務める町村派からの入閣が1人との情報を聞きつけ、「1人じゃダメだ」とまくし立てた。弱小派閥(20人)の領袖である麻生首相は、最大派閥・町村派(88人)の意向に逆らえない。麻生氏は「衆院1人、参院1人ではどうか」と提案したが、森元首相は衆院2人を譲らなかった。

■人数が多ければ人材が豊富という理屈は通らないのが今の日本の世襲議員だらけになった政界が抱える大問題!具体的な議員の名前が出るならまだしも、規格製品でもあるまいし数だけを交渉しているとは?!自民党は危機感の持ち方さえも忘れてしまったようですなあ。それに麻生さんが言っている「参院1人」というのは拉致担当大臣の留任を考えていた中山恭子さんだったと聞けば、森元首相の拉致犯罪に対する姿勢が透けて見えるようです。

秀才大臣の蹉跌 其の伍

2008-09-29 15:26:19 | 政治
■麻生新総理が国連総会での演説を終え、気の毒なくらいに忙しくとんぼ返りして来たら、案の定、選挙がらみの大騒ぎの渦中に引っ張り込まれてしまいました。週が明けて待ち構えていたように与党の自民党にスポットライトが集中させてマスコミがあれこれと取り上げるのは当然なのでしょうが、気になるのは日曜日の夜、新聞のテレビ欄を覗いてみましたら皆様のNHKが選挙関連のドキュメンタリーを1本放送しただけで、民放各局は名は体を表わす番組名をいちいち列挙するのも恥ずかしくなるようなエネルギーと時間の無駄としか思えない能天気な悪ふざけ企画を並べていたのでした。国民をバカにしているのか?いよいよテレビ業界がヤケを起こして自爆テロ並みの開き直りを始めたのか?ラジオも通常番組を律儀に放送していたようですが、知りたい情報を好きなだけ選んで取り入れられるネット・メディアに既存の公共放送メディアは敗れ去りつつあることをまざまざと見たような思いがしましたなあ。

■原子力空母の母港になった横須賀では、小泉元総理大臣が政界を引退する小さなセレモニーが催されたとのことですが、大人気だった元総理が父親だからと言っても、その後ろを歩いている次男の姿は「世襲」という不思議な日本政治の文化を絵解きしているかのようですなあ。これこそ親の過保護と過干渉の典型だと思えば中山前国交相が激怒している「戦後教育」の悪しき例ではないのかなあ?と思ったり、逆に戦後の日本が「ぶっ壊した」はずの封建主義の因習が保存されている証拠のようにも思えたり、まるで戦後と戦前の悪いところだけを抜き取って貼り付けた奇怪な風景のような気がしましたぞ。

■こうした実にややこしい錯綜して混乱した戦後の日本文化を上手に利用し、際どい綱渡りを続けて来たのが保守合同以来の自由民主党政権だったと考えれば、最大派閥の圧力で閣僚に押し込まれた中山成彬議員が暴走したのも戦後の自民党文化が生んだ当然の結果だったのかも知れませんなあ。話は少し時間を遡ります。


千葉県の堂本暁子知事は26日、中山成彬国土交通相が成田空港建設への反対闘争を「(住民の)ゴネ得」「戦後教育が悪い」などと発言したことについて、「ピントの外れた発言だ」などと述べ、強い不快感を示した。堂本知事は同日夕、国交省で中山国交相と面会し、空港問題などに的確な認識を持ってもらうよう要望するという。……「大臣として地域住民に受け入れられる姿勢で(空港問題に)臨んでほしい。成田空港を所管する大臣がこのような発言をしたことに驚き、残念に思う」と語った。
9月26日 産経新聞

■中山前大臣としては、日本が発展するために計画した国家プロジェクトならば国民は率先して賛成し、自分の権利をぐっと我慢して主張せず、政府に喜んで協力すべきだ!と強引な道徳論を引き出したかったようですが、こうした偏狭な思考は強固な「官僚無謬説」から生み出されている事に御本人はまったく気が付いていないようです。羽田空港が手狭になって拡張工事も法律の縛りなどで難しくなったとて、都心から驚くほど遠い成田に新空港を建設しよう!と言い出したのは誰だったか?それも最初は富里という地名を出しておいて、突如として成田の三里塚に変更するような乱暴なことをしたのは誰だったのか?

■今でもアクセスの悪さで国際的に評判が悪い成田の空港ですが、当初は空港ターミナルの地下に新幹線の駅を抱き込んで、空と陸とを完全に結び付ける高速交通網の拠点にする計画だったはずですが、やっと収穫に希望が出て来た開拓地を奪われる事に対する開拓農民の怒りと反対運動が余りにも激しく、大量高速輸送を目的とする新幹線が過激な抗議行動の標的にでもされたら大変だ!と新幹線計画だけが中止され、世界中から不思議がられるほど都心から遠く不便な国際空港だけが建設されたという経緯があるようです。

■計画立案して用地買収から建設開始までの実務を担当した官僚群、それを法的に支えた政府与党は、20年以上もの時間が経ってから「やり方が間違っていました」と正式に謝罪したのでした。成田空港の建設計画は完全な官僚主導プロジェクトだったという指摘もされていますが、最終的な責任は政治家が取らねばならないので莫大な余分な予算と浪費された長い時間を中心になってプロジェクトを進めた官僚は誰一人処罰もされず、国家に与えた損失を責められることもなかったのでした。悪いのは「ゴネ得」を狙った愚かな農民だ!という短絡した結論が出て来る背景には、「官僚は絶対に悪くない!」「官僚は常に正しい!」「官僚は優秀で民は愚かだ!」という気味の悪い信仰に近い思い込みがあるのでしょうなあ。

秀才大臣の蹉跌 其の四

2008-09-29 00:32:12 | 政治
拉致問題も膠着状態です。先の日朝協議で合意したはずの拉致問題の再調査について、北朝鮮から何の連絡もありません。権限を与えられていない調査委員会を立ち上げても意味はなく、しっかりとした再調査を開始することが大事です。まして、調査委員会が立ち上がったから、即制裁を解除するということにはならないはずです。そもそも、北朝鮮は拉致した日本人をしっかり監視しているはずであり、再調査の必要などないのです。アメリカさえも相手にしたたかな外交を展開している北朝鮮です。日本としてもしっかりとした体勢と強い決意でもって対処しないと、北朝鮮に引っかき回されるだけです。

■福田前総理の「他人事」口調を思い出すような外交評論家のレポートみたいな文章ですが、奥様は拉致担当大臣だったはずですぞ。拉致問題の「再調査」などというものは、米国のブッシュ大統領がイラク政策の失敗ですっかり弱気になったために経済制裁の解除の可能性を臭わせたばかりに、オマケとして北朝鮮が付け加えたホラ話みたいなものですから、「しっかりとした体勢」だの「強い決意」だのと、怠慢な外交官や他人事政治家を喜ばせるような空疎な文言を並べている場合ではありますまい。拉致問題に心を痛める国民なら、ぶっ壊して貰いたいのは日教組ではなくて北朝鮮の現体制でしょう?


4月に行われた第2回目の全国学力調査結果が8月末に公表されました。昨年より2ヶ月も早く公表し、残された年度間の授業内容の改善に活用できるようになった点は評価されると思います。公表結果を一覧すると、昨年に引き続き、秋田県や福井県などが上位を占め、沖縄県、北海道、大阪府、大分県などが下位を占めるという構図は変わっていません。特に私が強調したいのは、今問題になっている大分県を始め学力の低い県は日教組の加入率が高く影響力の強い県であるということです。

■出ました!最後に「大分県」です。果たして日教組の組織率と学力との相関関係が立証できるかどうかは難しい問題でしょう。そう思って見ればそのような気もするという程度ではないでしょうか?今回の大分県教育委員会で発覚した採用汚職事件は、日教組よりも自民党が強行した地方自治体の合併によって生まれた巨大地方都市の辺境に置き忘れられた小規模学校の教員採用を組織ぐるみで私物化したものです。元を質せば県議や市議など地元のエライ人が長年にわたって「口利き」圧力を楽しく使っていたの原因ですから、宮崎県の自民党議連は無関係なのか?と自問自答した方が良さそうですぞ。何でも日教組が悪い!と言い切るのは、秀才らしからぬ思い込みと視野の狭い見識だと思われますなあ。


資源高騰で、私達は資源小国日本の悲哀をひしひしと感じます。人材しか日本には資源がありません。少子化で若者の数が減っています。将来とも、日本が経済的に発展し、しっかりした社会を維持していくためには、しっかりした学力、体力と充実した気力と日本人としての道義をきちんと身に着けた日本人をたくさん輩出することです。

■ここまでは誰にも文句の付けようのない立派な御高説であります。そんな事は誰でも分かっています。でも、さり気無く最後に置かれる「日本人としての道義」というのが曲者で、中山前大臣の好みに合わない主張や理想は全面的に否定されるのでしょう。是非ともこの「道義」については詳しく聞きたいものですなあ。特に米国に対して厳しい注文をつける「道義」は有るのか無いのか?


その点で地方に行くと先生の数が生徒よりも多いような小規模校が増えています。一つの教室を学年別に分け、子供たちが後ろ向きになって授業を受けているような複式学級もあります。これは教育の機会均等にも反すると思います。子供たちに社会性と競争性を身に付けさせ、社会に出てから幸せな人生を歩ませる為にも、適正規模の学校が必要なのではないでしょうか。今度自民党内に「学校規模の適正化小委員会」を設置します。

■おいおい、山や川で市の中央部から離れた地域に住む子供たちをどうしようと言うのでしょう?「学校規模の適正化」を断行すれば学校が地域の中心部にしか残らず、小学生の時から親子が分かれて暮らさざるを得ないケースが激増するでしょう。もしかしたら、それを防ぐために学校は強引に統廃合しておいて、日本版のスクールバスを大規模に導入する!という名目で高規格道路を中山間地に張り巡らそう!などと言い出すのではないでしょうな?

先週、宮崎県から大分県の蒲江まで行ってきました。行きは国道338号線、帰りは県道122号線を通りました。運転初心者では怖くなるような、狭い曲がりくねった道でとても国道とは言えず、酷道だと皆で話したとこでした。県境に「宗太郎峠」という大変な難所があるとは言え、日本国内に隣県とのアクセスがこんなに途絶されたようなところがあるとは信じられない思いでした。中央のマスコミは地方の道路建設は無駄遣いであると言わんばかりの論調ですが、せめて日本中を繋ぐ幹線道路だけは一日も早く完成させなければならないという思いを新たにしたことでした。
平成20年9月1日 衆議院議員  中山 成彬

■ああ、やっぱりなあ。この段階で国交相就任を目指して運動していたことがよく分かりました。

秀才大臣の蹉跌 其の参

2008-09-29 00:29:25 | 政治
■たった5日間で辞任してしまった中山国交相の9月1日付け「御挨拶」の続きです。

改革は進めなければなりませんが、行き過ぎた改革には調整が必要で、これは小泉改革にも言えることだと思います。……私はこの国家的危機を乗り越えなければ明日の日本はない。財源を掻き集めても緊急対策を行うべしと主張しました。又、私は10年前に実施された定率減税に対しては、景気対策にもならないし、廃止する時のことを考えると反対だと主張しましたが、今回はガソリンや物価の高騰で苦しんでいる人たちの為に政府は定額減税を実施すべきだと考えています。

■「定率減税」と「定額減税」をきちんと使い分けているのは、さすがは大蔵官僚出身!過ぎてしまった選挙目当ての「定率減税」を今更ながらに批判して、何故か同じ選挙目当ての「定額減税」には賛成するというのは如何なものでしょう?公明党がやいのやいのと喧しく要求していたらしい「定額減税」には、本当に景気対策となる効果があるのでしょうか?年金制度がボロボロで、言い出しっぺで熱心に正当化運動を続けていた舛添厚労相の口から「ダメだ」と切り捨てられた末期(後期)高齢者医療保険制度もどうなるのか誰にも分からない。何を食わされているのかも誰にも分からず、燃料代も幾らになるのやら誰にも分からない。そんな御時世に僅かばかりの「定額減税」をしても、大半は貯蓄に回るでしょうし、急いで消費してしまうのはギャンブル中毒か絶望した趣味人(オタク)か、新興宗教の熱心な信者ぐらいなものではないでしょうか?

■先の「定率減税」が終わる時を心配した秀才大臣が、一発花火の「定額減税」には大賛成というのも解せない話です。


2011年にプライマリーバランスを回復するという財政再建計画を2、3年先送りしてでも、当面は経済再建、国民生活の再建を優先すべきです。福田総理の父上福田赳夫総理が昭和48年の第一次オイルショックによる狂乱物価を退治するために全治3年、自分に時間をくれと言われて、大蔵大臣に就任された時のことを思い出します。

■あれ?福田パパは宿怨の田中角栄さんに頼まれて蔵相に就任して、大蔵官僚を総動員して芸術的な帳尻合わせ予算を組んだのは確かですが、日本の歴史初の「赤字国債」を発行したのも福田蔵相だったのではないでしょうか?「1年だけ」という時限立法だったのに自民党が寄ってたかって禁断の麻薬を使い続ける口火を切ったようなものでした。そのまま息子が首相になるまでその悪弊が一度も途切れずに続いたからこそ、自民党政権は長持ちしたのではなかったのでしょうか?


インド洋に於ける海上自衛隊の給油活動について民主党は反対、友党公明党も消極的なのは心配です。先般もソマリア沖で日本やフランスの船舶が海賊に拉致されました。救出に向ったのはインド洋に展開する多国籍軍でした。公海と言えども世界の海は安全とは限りません。特に中東から原油を日本に運ぶシーレーンは日本にとって大動脈とも言えます。これを守っている多国籍軍に給油する活動は、武力を使えない日本にとって可能な、やらなければならない国際平和活動であり、日本の安全にも繋がることを考えなければなりません。平和を求める世界の動きに背を向け、内向きな政治に陥っていては日本の尊厳どころか生存すらもおぼつかなくなってしまいます。

■「内向きの単一民族」は気に入らない中山前大臣ですが、どうやら「単一民族」神話は嫌いではなく、「内向き」なのが嫌いなようですなあ。それならさっさと憲法を改正して「やる時はやれる」国にしてしまった方が話はすっきりします。どうして自国の船が襲われているのに、外国の軍艦に「給油」して救出に行って貰わねばならないのでしょう?憲法を厳守して見棄てるか、憲法を改正して自国民も同盟国の民もしっかり救出できる能力と権利を持つべきだと、既に自滅してしまった日教組などを攻撃している暇があったら、憲法改正に努力したらどうなのでしょうなあ。


北京五輪の後で 其の八

2008-09-28 14:59:47 | 社会問題・事件
2008年9月20日、最近中国国内のポータルサイトの各掲示板に、「三鹿集団の毒粉ミルク事件を最初に報道した記者…緊張で眠れなかった」という題名の文章が貼りつけられている。この文章は国内で最初に「三鹿集団」という実名をあげて毒粉ミルク事件を報道した記事「甘粛省で乳児14人が腎臓病に、『三鹿』粉ミルクが原因か?」を書いた簡光洲記者のブログを抜粋転載したもの。……

■どうやら、この記事は本物らしいのですが、報道の自由が無い国と言うのはどれほど恐ろしいかを、よく表わしている内容です。でも、あまり珍しい話とも思えませんが……。
香港の「文匯報」が紹介した。

……「企業名を公表すると決めた夜は一睡もできなかった」理由について、「乳児の結石発症に関する報道は甘粛省や湖北省の現地メディアが過去に何度も取りあげていたが、すべて『某企業の粉ミルク』として企業名を伏せていた」からと述べている。同記者は公表前に三鹿集団の広報部にミルクの安全性について問い合わせたが、「わが社の商品に品質上の問題はありえない」という自信に満ちた回答を得たという。しかし小児科の医師らの証言や独自調査の結果、三鹿集団の粉ミルクが原因であることを確信。

■「自信に満ちた回答」というところに救い様のない悪質さを感じますが、情報を操作したり歴史的事実も好き放題に改竄してしまう政府を手本にしているのだと考えれば、この三鹿集団だけが極悪非道の商売をしていたわけではないことは想像できます。しかし、本当に「過去に何度も」危険なミルクの報道があったのなら、その後も怪しげな粉ミルクを我が子に与え続けた親は何を考えていたのでしょう?よほど小さな扱いだったのか、家にテレビも無く新聞報道の字も読めない人はかなり多いとは思いますが、噂が広がれば静かな不買運動が広がって行くはずなのですが……。やはり安価な商品であったのが致命的だったのか?


報道当日の午後、三鹿集団から「記事の削除依頼」の電話があったと明かす簡記者は、これまでに各メディアが企業側から「口止め料」を受け取っている可能性は「かなり高い」と述べながらも、「中国メディア業界のあまりにも過酷な生存競争を知っているだけに、企業だけを非難する気持ちにはなれない」との本心を吐露した。9月22日 Record China

■日本にも似たような事例はあるようですが、これほど露骨に企業とメディアが結託して悪質な犯罪を続けていたような例は無いはずです。報道メディアとしてのテレビ局にはCM広告収入という生命線がありますから、バレない間は知らない振りをして問題企業の商品も平気で宣伝しているのでしょう。だんだん広告収入が減少していると言われる日本のテレビ局も、こうした例を他山の石としてよくよく胆に銘じる必要がありそうですなあ。


2008年9月19日、中国社会を混乱に陥れている「毒粉ミルク事件」で、製造メーカー・三鹿集団のイメージキャラクターをつとめていたタレントの1人、シュエ・ジアニン(薛佳凝)が事件後初めてコメントを発表した。……事件発生後、消費者の怒りは「広告塔」として同社の顔をつとめた複数のタレントにも向けられている。人気女優のシュエ・ジアニンは以前、同社の生乳加工飲料のCMに出演しているが、「オファーを受ける前に自分で商品を試しているし、その後メーカーからプレゼントされた商品をずっと飲んでいるけど何の異常もない」と話している。

■それは共産党幹部用の特別に安全な商品を選んで贈っているからでしょう。まさか、出演料だけ貰っておいて本物の商品は口にしていないとは考え難いですし、乳製品に対するアレルギー体質なのにイメージキャラクターの仕事を受けるとも思えませんなあ。日本では明石家さんまという人が、1滴も酒が飲めないのに有名ビール会社の宣伝に出ていたという変な話がありましたが……。
【その他の写真】

ジアニンによると、自身が出演したCM商品は現在、関連機関で成分を検査中だが、「もし異常があったら、出演ギャラは全額返還して、今回被害を受けた子供たちの治療費にしてもらう」と宣言している。シュエ・ジアニンは中国・黒竜江省出身のアイドル女優。数々の流行語を生んだ大ヒットドラマ「粉紅女郎」シリーズで天真爛漫な「天真妹」を演じ、一躍人気者になった。
9月22日 Record China

■自分の芸能活動と将来を考えるのなら、さっさと契約を解除して出演料に若干の上乗せをして医療機関に寄付してしまった方が良さそうですなあ。自分が宣伝で飲み食いした物がメラニン入りかどうかより、契約したメーカーの罪が問題なのですから、検査結果などを待っている必要などないでしょう。ジアニンさんがどんな人なのかはまったく知りませんし、熱心なファンだというわけでもないのですが、過剰な宣伝が溢れる今の世の中を考えますと、有名な若い人が宣伝に使われ、その影響で同世代の若者が騙されるのは、悪い大人が子供を食い物にしている生々しさがありますから……。

北京五輪の後で 其の七

2008-09-28 14:35:24 | 社会問題・事件
マカオ衛生当局は25日夜、マカオで販売されているロッテのスナック菓子「コアラのマーチ」(中国名・楽天小熊餅)から、1キロ・グラムあたり24ミリ・グラムの有害物質メラミンが検出されたことを明らかにした。問題の製品はロッテのグループ会社「中国ロッテ食品」(北京)が製造している。
9月26日 読売新聞

■「コアラのマーチ」といえば1984年の発売以来、20年以上も愛されているお菓子のロングセラー!戦後の商品トレンドを扱う書物には必ず登場するという既に歴史的遺産!のようなものですぞ。勿論、その間に食品事故などは起こっておらず、今でも子供たちには大人気のようですし、これだけ長寿の商品ともなりますと20代や30代になっても懐かしく食べている人も多いはずです。ロッテは「お口の恋人」のキャッチフレーズで一世を風靡した有名メーカーですから、お口に毒物が入ったら金看板がぼろぼろですなあ。お菓子は何より楽しい気分を味わう商品でしょうし、幼児にも喜ばれるには保護者に対して絶対に安全性を誇示し続けねばなりません。さてさて、この「コアラのマーチ」は日本に輸出されているのでしょうか?やっぱりコアラの故郷であるオーストラリアには輸出しているのでしょうなあ。何だか国際問題にでもなりそうな心配もしてしまいます。

■まだまだ続くチャイナ発のメラミン事件ですが、本当にあの国が五輪大会を経験して食の安全を真面目に考えるようになったのか?と首を傾げたくなるようなニュースがたくさん流れておりますなあ。やはり、チャイナに安全や人権を求めるのは「百年、河清を待つ」愚かなことなのかも知れませんなあ。


……有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石になった事件で、中国衛生省は21日の時点で、乳幼児用粉ミルクを飲んだことを理由に治療や相談のため病院で診断を受け、既にほぼ回復している乳幼児が3万9965人に上ったことを明らかにした。入院治療中の乳幼児は1万2892人、このうち104人が重症。既に治癒して退院したのは1579人。疫学調査によると、治療を受けた乳幼児のほとんどが、三鹿(河北省石家荘市)ブランドの粉ミルク飲用と関連があり、牛乳飲用と関連がある症例は見つかっていないという。
9月22日 時事通信

■具体的な数字が早めに公表されるようになったのは、グローバル化時代に適応しようとしている変化の表われだと良い方に解釈するにしても、「回復している乳幼児が3万9965人」と「退院したのは1579人」との差は何を意味するのでしょう?小さな体の中にできた結石を「安全に」粉砕したり溶解汁するような技術が普及しているとは考えにくい国なので、退院したから安全とも思えませんし、三鹿ブランドや伊利ブランドは奥地の小さな雑貨屋にも並んでる商品ですから、全国的に被害を調査したらどんな結果になるのやら……。


中国ナンバーワン検索サイト・百度がメラミン混入事件の粉ミルク製造メーカーに関するマイナス情報を不正操作により削除しているとの疑惑が広がっている。9月13日、21世紀網はある広告代理店が粉ミルク製造メーカーの三鹿集団に多額の広告料を支払えば検索データから粉ミルク事件関連の情報を消去可能と持ちかけたことを報じた。一部では検索データ1件あたり1万元(約15万円)……百度は検索データの不正操作疑惑を否定したが、ネット掲示板では「マイナス情報の処理について」「百度の否定的ニュース掲載取りやめと引き替えに検索順位を引き上げる提案」など不正操作疑惑を裏付ける百度幹部のメールが公開され、ネットユーザーの注目を集めている。

■地方都市でもネット・カフェもどきの店は多いので、国営のマスコミはこの大事件を全国的には報道していないという話がありますから、口コミ伝聞が発達しているチャイナですから、ちょっと気になって検索してみようという保護者や心配する人に頼まれて調べようとする人など相当数に上るはずです。情報操作をしている最大の組織が共産党政府なのですから、下々が商売目的で不利益になる情報を操作するのは当たり前なのでしょうなあ。奥地では、今も何の知らずに体調が悪くなっている我が子に毒入りミルクを飲ませている母親が居るかと思うと、非常に悲しく憤りを感じます。


もともと百度は検索結果の上位を広告料の多寡によって決定していると言われており、人気キーワードの場合は上位数ページにわたり広告出稿サイトで埋め尽くされているという。また中国市場シェア2位のグーグルと比べ検索結果が大きく違うこともネットユーザーの疑念を呼んでいる。……
2008年9月19日 Record China

■毒入りミルクで大儲けした上に情報操作をしていると聞いても、現地の人達は激怒はしても決して驚きはしないでしょう。こんな事でいちいち驚いていたらとても暮らして行けませんからなあ。それでも経済格差が急速に広がっているので、貧しいながらも生き延びる方法を編み出して来た知恵も、大量生産・大量消費の荒波には対処できなくなっているのが辛いところです。本来なら日本が品質管理や安全管理の方法を教えてあげねばならない立場にあるのですが、人件費の安さに幻惑されて自社の信頼を損なっているようでは、とても大きな顔をして指導など出来ませんなあ。きっと、毒入りミルクを原料にしている日本メーカーに対して、同情や軽蔑や落胆の声が上がっているのかも?

北京五輪の後で 其の六

2008-09-27 16:49:12 | 社会問題・事件
■工業用樹脂のメラミンを放り込んだ毒ミルクは姿と形を変えて世界中に侵入していた事が次々に判明しておりますが、報道を見ながら奇妙な既視感に襲われている人も多いのではないでしょうか?企業倫理という意味から言えば、ほぼ同時に日本で発覚した工業用毒ゴメの食用への転売問題にそっくりですし、全貌をつかむのが難しい点で似ているのは、一足先に世界中を騒がせ始めた金融界のサブプライム・ローンにそっくりです。

■農産物や原料とは法律上の扱いが違う食料加工品には何が入っているのか分かったものではないという事情は、貸し倒れになると分かっている危ない債権を証券化した上にそれを挽き肉みたいに細かく分けて、もっともらしい別の債権と抱き合わせて混ぜ込んで再び証券化するという実にタチの悪い「加工品」を発明したのは誰なのでしょう?時が来れば次々と焦げ付き始める危ない債権を細かくして多少とも安全な別の債権と組み合わせれば、ダメージが小さくなると計算したのか?複雑な売買を繰り返せば破綻の連鎖は何処かで途切れて最悪の事態は免れるとでも考えたのか?半永久的に続けられるババ抜きゲームなら、半永久的に儲け続けられるとでも思ったのか?

■バレる前に儲けてしまえ!少しばかりバレても人間業では全貌を把握できるはずはない!と富を偽造する証券会社も、人間の食い物ではない物を混ぜ込んで食料品に仕立て上げる食料加工会社も、グローバル化の時代が生んだが化け物なのかも知れませんなあ。一説には日本の金融機関はバブル崩壊で痛い目を見たので、安全第一の経営方針を採っていたから、サブプライム債権を組み込んだ金融商品には手を出していないとも言われていますが、素人同然の役人が運用を丸投げしているような各種年金基金や公的保険などは怪しいものです。

■国民の安全と健康を守るべき使命を忘れて、不思議な「性善説」を振り翳して最悪の場合を想定した検査をしようともしない公的機関の職務怠慢は目に余るものがあるのでしょう。信用を失ったら即倒産の危険がある民間企業は必死でチャイナの毒を抜こうと大童(おおわらわ)のようですが、それに引き換え日本の官庁は誰が責任を問われるわけでもないので、妙に呑気に構えているようですなあ。同じ官庁でも北京五輪の次には上海万博が控えているチャイナの共産党政府は、毒入りミルク事件が発覚してから電光石火の早業で、製造会社の責任者を一網打尽にして国内向けには一罰百回の効果を狙い、対外的には食の安全に向けた取組みをアッピールしようと必死のようです。でも、問題が大き過ぎたし、遅過ぎたようですなあ。


有害物質メラミン混入の恐れがある中国製牛乳を使った食肉加工大手、丸大食品が菓子回収を発表してから27日で1週間。日本の食品メーカーが中国産原材料の調達を見直す動きが出てきた。メーカー各社は中国製冷凍ギョーザの中毒事件を機に検査体制を強化してきたが、消費者の中国産に対する不信がさらに高まるのは必至で、原材料購入にとどまらず、生産体制の見直しに発展する可能性もありそうだ。

■日本で賞味期限の改竄問題が名産の菓子類にまで及んだのは昨年のことでした。生菓子風の商品ならば、どんどん作ってさっさと売り尽くさねばならない!と各社は生き残りを掛けて新鮮な商売に努めていたに違いありません。その証拠に丸大食品が作った菓子類のほとんどは回収される前に消費者の胃袋に消えていたのでした。「健康には問題はない」と報道されていますが、腎臓などの内臓に蓄積されるには時間が掛かるだけのことで簡単に安全宣言など出来ないはずなのですが……。三度の食事と間食でミルク入りの飲み物だけでなく惣菜やデザート、菓子類までまんべんなくメラミン入りの商品を何年間も摂取していたらどうでしょう?世界のどこかでメラミンを使った動物実験をした機関が存在するのでしょうか?正確なデータも無いのに安全だと言うのは、単なる気休めでしょうし、政府機関ならば無責任ですぞ。


菓子大手の江崎グリコは、中国の子会社「上海グリコ」の原料調達先を変更した。同子会社はこれまでビスケット用の粉乳を現地で調達していたが、全量をオーストラリアとニュージーランド製に切り替えた。

■日本で売られているグリコのビスケットは上海製なのか?それともチャイナ国内でしか販売していないのか?肝腎な情報が落ちています。グリコ本社としてもこういう報道は迷惑でしょうなあ。


即席めん最大手の日清食品では、香港の現地法人がメラミン混入事故を起こした大手乳製品メーカー「伊利集団」から牛乳を仕入れていたことが判明。同現地法人は伊利との取引を打ち切ることを検討するとともに、牛乳や乳原料を順次、中国以外から調達していく方針だ。

■ラーメンにも毒入りミルクが使われるのか?他の商品に使われているだけなのか?これまた「日清食品」という名前が付いているだけで警戒してしまう書き方で、消費者としては困惑してしまいますなあ。


……の森永乳業は、中国ハルビンの合弁会社の検査体制を強化する。同合弁は現地で原料となる生乳を調達し、粉ミルクを生産している。原料にメラミンの混入がなく安全であることを確保できたが、安全確保を含めた品質管理をいっそう徹底するのが狙い。このため日本から検査技術者を現地に派遣した。上海でカフェラテなど乳原料の飲料8品目を現地向けに生産しているビール大手のサントリーも、従来対象となっていなかったメラミンの検査を国内も含めて検討する。

■ハルビンは河北省とは違うのか?森永乳業は独自にメラミン混入の有無を調べられる能力を持っているのか?単に調達先に電話で確認しただけではないでしょうな?!「粉ミルク」と聞いただけで日本中の母親はぎょっとしているでしょう。サントリーが言う「現地向け」8商品というのは本当に日本向けではないのでしょうな?ウーロン茶製品を日本に広めたメーカーですから、チャイナで原料調達から製造まで行って日本に輸出している商品も多いはず!


……原材料価格が高騰していることもあって、価格が安い中国製の食材を排除することは難しいのが実態。実際、冷凍ギョーザ事件で中国での生産縮小を決めたのは、問題のギョーザを扱った日本たばこ産業(JT)のみ。食品メーカーの間では「農産物の大半は中国に頼っている。これを止めると量の確保が難しく、ほかに代替できる国もない」との声が多い。

■冷凍食品は日本のあちこちで割引だの半額だのと投げ売り状態になっているのではないでしょうか?餃子だけではなく加工食品全般が買い控えられ、外食産業も敬遠されているのではないでしょうかな?今度の毒入りミルクでは既に死者が出ているのですし、被害者は5万人と報道されていますが、最終的に何十万人になるのか見当もつきませんから、日本の消費者も怪しいと思った商品には手を出さないでしょうなあ。


「想定外のものが入ってくることも想定して検査を行う」(日清食品)としているが、今後、メラミン混入問題が追い打ちとなって、中国産原材料の比率を低減させていくメーカーが増える可能性は高い。中国で生産する日本の食品メーカーは、日本国内の生産比率を高めるといった抜本的な対策に迫られることにもなりそうだ。
2008年9月27日 フジサンケイ ビジネスアイ

■安さと「安全」とを真剣に天秤に掛けねばならない時期を迎えたということです。高くても安全な物を選んで食べる量を減らすしか対処方法はありません。たくさん食べて楽しみたいのなら安全を気にしては行けない時代になりそうです。でも、昔から本物は高くて紛(まが)い物は安いと相場は決まっていたのです。安全な原料を使って混ぜ物なしで製造しようとしたら1000円以下では市場に出ないはずの食料品が、何故か100円以下で流通していたり、特売品ともなればもっと安かったりするわけですから、常に「何かが入っている」と思って裏面の表示を睨みつけねばなりませんが、添加物の名前など素人には分かりませんから、やはり「中国産」の三文字を頼りに少しでも安全な物を選ぶことになるのでしょうなあ。

秀才大臣の蹉跌 其の弐

2008-09-27 12:50:27 | 政治
■次は福田首相が政権を投げ出すとは夢にも思っていない9月1日付けの中山議員の「御挨拶」からの抜粋です。

9月12日からは臨時国会が開かれることになりました。民主党は代表選挙が終わり、新しい陣容が決まるまでは国会審議に応じないと相変わらずのわがままぶりです。今秋も解散総選挙に持ち込むために何でも反対の政局中心、国民不在の国会対策に終始するのでしょうか。私は引き続き予算委員会の筆頭理事として舞台回しに汗をかく事になりました。又、党の文教制度調査会長の仕事も続けていきます。

■小泉政権が終わってから一度も総選挙を実施しない自民党が悪いのか、何度もチャンスがあったのに解散に追い込む決め手に欠ける民主党がトンマなのか?どちらにしても安倍・福田と小泉政権の後継と言われながら改革が進められないまま次々と新内閣が1年周期でころころ変わって行くのに、一度も総選挙が行われないのは議会制民主主義のルールを無視していると言われても仕方がないでしょうなあ。ただ、どんなに自民党が間抜けな失策を繰り返しても、それでも民主党よりはマシだと思っている国民が半分以上いるというのが問題です。


……何と言っても将来に対して明るい希望が見出せないことに問題があると感じました。こういう時こそ政治の出番だという思いが強くなっています。

■あまりにも長く政権を独占していると、「希望が見出せない」ような政治を続けて来たのが自分たちだという事実をころりと忘れるようです。こればかりは民主党に責任を押し付けて悪口を言うわけには行きません。「政治の出番」はずっとずっと前から続いているのに、小泉人気に便乗して意味も分からず「改革!」を叫び、安倍内閣の「美しい日本」というますます意味不明の政策目標にも便乗し、とうとう何もやる事がない福田首相が逃げ出すと、今度は改革の見直しだ!と一斉に声が揃うから小泉元首相は馬鹿馬鹿しくなって次男坊に世襲させて隠居することにしたのでしょう。


地元宮崎でも建設業最大手の志多組が民事再生法の申請を行い……、問題は融資を受けても返済のめどが立たないということです。公共事業の削減ももう限界です。一方で、入札改革により、運よく落札しても赤字になるという事態を招いており、企業にとっては死活問題ですが、そんなことがあってはなりませんが、手抜き工事が行われれば災害が起こった時に被害を受けるのは一般国民です。


■公共事業を抜本的に見直すのは小泉改革の眼目でしたから、地方の建設会社が激減するのは誰にでも予測できたことです。不思議な人気を維持した小泉劇場では誰も反対せず、いよいよ小泉改革の結果が出始めたら「地元」の救済に熱心になる。だから長年の支持者が自民党を見棄て始めたのでしょうなあ。官製談合は莫大な税金の無駄遣いを蔓延させて数々の汚職事件の温床にもなっていました。これを是正することが税金の無駄遣いを止める第一歩なのは間違いない話で、贈収賄に使う分を上乗せした水増し入札を止めると、どうして「手抜き工事」の危険が出て来るのか、その道理がさっぱり分かりません。丸投げ孫受けなどと悪しき商習慣を卒業し、変な口利きブローカーを排除して業界を近代化しないと、世界に誇れる日本の建築技術自体が滅んでしまいますぞ。

■大分県の教育委員会で発覚した教員採用の口利きなど、実に他愛も無い小遣い稼ぎでしかありませんが、公共事業を巡る口利きと談合で闇に消えて行く税金は比べ物にならないくらいに巨大なものですからなあ。中山さんが国交相に就任したと聞いて、宮崎県内の建設会社が大喜びしたのなら、いよいよ小泉改革は終わったのです。