旅限無(りょげむ)

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「正しい歴史」には「正確な記憶」 其の弐

2006-03-08 23:27:44 | 外交・世界情勢全般
■分裂後のパキスタンとの度重なる戦争も、自国内のイスラム教徒に対する巨大な圧力を生む目的を持っていた事も重要です。つまり、インド国内のイスラム教徒やパキスタン政府の強硬派にとって、インドはイスラム教に「復帰すべき」汚された場所として認識されている事になります。ですから、互いに核弾頭付きのミサイルを並べているのは、汚された悪魔の地を浄化する!とどちらかが言い出したら一切の躊躇などせずに撃ち合いが始まる可能性が高いのです。そんなややこしいところに、単純明快なブッシュ大統領が乗り込んだのですから、インドはとても物騒な場所になってしまいました。

安倍晋三官房長官は8日午前の記者会見で、東シナ海の石油ガス田開発をめぐり中国がわが国固有の領土である尖閣諸島と日韓共同大陸棚の共同開発を提案したことについて「受け入れられない」と述べたうえで、「中国側は東シナ海を『友好の海』にするという認識に立ってよく考えてほしい」と強い不快感を示した。安倍氏は「(中国から)東シナ海の北と南の二地点について共同開発の提案があった」と述べたが、場所の具体的な言及は避けた。また、「われわれの提案をもっとよく吟味して考えてほしい。両国にとって利益のある提案だ」と述べ、「白樺」など4カ所の石油ガス田の共同開発を軸にした日本の案を受け入れるよう中国側に求めた。
産経新聞 - 3月8日

■取れるかも知れないと思ったら、相手が本気で怒るまでは偉そうに屁理屈を並べれるのを「外交」と思っている国と、最初から「落としどころ」だの「根回し」だのと、何の保証にならないものを頼りにして「外交」を展開することしか知らない国が、外交の核心となる「国境線」を奪い合うのですから、勝負は最初から付いているのですが……。そもそも、東シナ海が「友好の海」だった時代などが有ったのでしょうか?少なくとも、明の時代からは常にきな臭い海だったはずですが、安倍官房長官は違う歴史を勉強したのでしょうか?東シナ海が多少なりとも安全になったのは、大日本帝国が台湾を保護領化してから、マリアナ沖海戦に破れる頃までだったのではないでしょうか?


ラムズフェルド米国防長官は7日、記者会見し、イランが精鋭部隊の革命防衛隊をイラクに送り込んでいると非難した。米政府はこれまでも、イランがイラクの内政に干渉していると再三批判していたが、同長官が革命防衛隊のイラク潜入に具体的に言及したのは初めて。ブッシュ政権が核問題をめぐってイランへの圧力を強める中、イラクへの干渉についても具体例を指摘することで、イランを一層孤立させる狙いがあるとみられる。ラムズフェルド長官はイラクに潜入したイラン革命防衛隊について、国外でのテロ活動などを任務とする「コドス部隊」とし、イラン政府の指示に基づいた動きとの見方を示した。同長官は具体的な目的や規模には言及しなかったが、「イラクの将来に害になるようなことをするため」と指摘、かく乱に狙いがあるとの見解を示した。 
時事通信 - 3月8日

■同時多発テロで地に落ちた米国の情報機関は、何とか努力して名誉を挽回しているのでしょうか?「コドス部隊」などと具体的な名称まで出して、イランの浸透を糾弾しているのは注目すべきことです。しかし、オスマン・トルコの建国当時でさえ、ペルシア湾岸にはシーア派が広まっていたはずです。そのオスマン・トルコ帝国は宗教に対する寛容な政策を採っていたので、クルドの人達でさせ今のような苦労はせずに済んだし、ユダヤ人もキリスト教徒も自治が認められて仲良く住み分けつつも共存じていたのです。そこに大英帝国とフランスが乗り込んで来て、奇怪な直線を引いて「部族国家」を作ってしまったのが大問題で、その中の一つだったイラクという国が消えたのですから、今更「イラクにイラン人が入り込んでいる!」などと怒って見せても、嘲笑されるだけなのではないでしょうか?

■9・11同時多発テロの効用の一つは、米国の人々に「アフガニスタン」という国の名前と地図上の場所を勉強させた事だ、と言われるくらいに、外国事情を理解する才能に大きく欠けている体質は簡単には変わらないのだそうです。ちょっと年齢が高い米国人と話していると、日本の地名よりもベトナムやフィリピンの地名を沢山覚えているのに驚かされるくらいですから、イランとイラクとの区別など何も分からず「中東の民主化」に邁進しているのではないでしょうか?これはとても危険な事です。


スペイン赤十字委員会によると、サハラ以南のアフリカから欧州の入り口であるスペインのカナリア諸島上陸を目指していたアフリカ人を乗せた小型船2隻が7日、相次いで事故を起こし、計45人が水死した。同委の発表によると、西サハラ沖の大西洋上で43人を乗せた船が救援船と衝突し、23人が水死した。また、モーリタニア沖の大西洋上では46人が乗った船が転覆し、22人が水死した。45人は全員がギニアビサウ人だったという。同委などによると、欧州への不法入国のため、カナリア諸島を目指したアフリカからの船が事故を起こすケースが相次いでいる。毎日新聞 - 3月8日

■移民政策を見直そう!と悲鳴に近い叫び声が欧州に上がると、駆け込み移民が増加するだろう、と思っていたらこの事故が起きました。元々は、嫌がる人々を狩り出して商品として売り買いしていた欧州の国々が、今度は自らの希望で移住して来るアフリカの人達を受け容れられないと言い出す。文明化するという名目で、英語やフランス語を教え込み、聖書を持ち込んで欧州型の生活を前提とするキリスト教を広めた結果、「産めよ増やせよ」の神の命令で人口爆発が起こり、自然環境を破壊から守って来たアニミズムを根絶やしにして好き放題に資源を収奪する思想を根付かせたアフリカ大陸は、あっと言う間に飢餓と砂漠が広がって止めようがありません。

■60年代に独立したアフリカやアジアの国々を褒め称えたのも、厄介払いと責任の放棄を意味していたとは、日本人も当時は気が付かなかったようです。戦後の復興期に安い労働力として呼び込んだアフリカ系とアラブ系の人々の子孫が国籍を得るのは、「属地主義」の法律を持っている欧州では当然の事なのに、欧州諸国は冷戦の緊張感の中で100年後を考える余裕が無かったのでしょうなあ。今の内に大急ぎで義務教育も受けられないような子供達を無くす努力をしないと、無知に付け込んだ悪い奴が対立を利用して騒ぎを起こすでしょうから、自国の「正しい歴史」を学んで少しでも摩擦を減らす努力をするべきでしょう。但し、それは自国内での話ですぞ。

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「正しい歴史」には「正確な記憶」 其の壱

2006-03-08 23:26:35 | 外交・世界情勢全般
■「現在」はすべて「過去」からの影響が凝集した結果ですから、竹に木を継ぐようなムチャな事をすると大きな間違いを犯す事になりますから、注意が必要です。「革命」などと言っても、何から何まで変わってしまうわけではありませんし、政権交代したところで、長年積もり積もった難問が氷解することもありません。歴史も数値も自由自在にいじくり回せると思い込んでいる相手と交渉するなど狂気の沙汰なのですが、国家の仕事となれば避けてばかりもいられません。でも、こういう仕事は受験秀才には最も適さない仕事なのですがなあ……。

国家炭鉱安全監察局の趙鉄錘・局長は6日、日本の資源エネルギー庁の担当者などからなる訪問団と会見した。8日付の中国石炭市場網は「炭鉱の安全操業に関する中日合作は良好だ」などと伝えた。訪問団に加わったのは、資源エネルギー庁の谷明人石炭課長、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の吉田晴彦石炭事業部長、石炭エネルギーセンターの安藤勝良理事長。趙・局長は、「長年にわたり、炭鉱の安全操業に関して、中国と日本の間では良好な協力関係が続いてきた。そのことにより、多くのプロジェクトを展開してきた」などと述べた。

■近年、あまり耳にしなかった「日中友好」の話題が飛び出してきましたぞ!それもチャイナのエネルギー政策を日本が援助している、しかも「長年」に亘って「良好な関係」なのだそうです。大陸間弾道弾やら原子力潜水艦やら、日本が持っていない高級な玩具を並べている国が、安全に石炭を掘る技術が無い?こんなヨタ話を真に受けて、日本のお役所は言われるままにカネを吸い取られていたのですなあ。万里の長城より南はいざ知らず、旧満洲には世界が羨むような炭鉱と製鉄プラントを大日本帝国の援助で完成していたのに、これを使い潰したのは誰でしょう?

■軍事予算が多いか少ないかなどよりも、民生技術にまったく資金を投入しない毛沢東の「大躍進」政策以来の人海戦術、早い話が人命軽視の考え方を変えない限り、奇怪な人災事故は頻発し続けます。「安全」という言葉を、日中間できちんと刷り合わせて文書にしてあるのでしょうか?定義に合意し、法律的な判断基準を網羅したら、分厚い合意文書が有るはずなのですが、公害問題や大規模な労災事故の苦い経験から導き出した「安全基準」を下敷きにして、同等の設備が整うまで援助しよう!などと誰かさんがうっかり約束してしまったら、在日米軍に対する「思いやり予算」に負けない公金を毟り取られますぞ!


国家炭鉱安全監察局とNEDOは、2002年4月に炭鉱の安全操業に向けて、訓練を実施するための覚書を交換。これまでに373人が日本で研修を行ったという。また趙・局長は、「中国の炭鉱では安全面が改善されてきているが、外国のノウハウがまだ必要だ」と発言。炭鉱の安全操業をめぐって、日中間で新たな協力も進めていく意向を示した。サーチナ・中国情報局 - 3月8日

■「研修」は良いのですが、まさか、日本側が税金を使ってアゴ・アシ付きで「御招待」しているのではありますまいな?建国50周年までの半世紀に、「あんた達は一体、何をやっていたの?」と一度くらいは問い詰めたのでしょうか?過去にも現在にもまったく反省していない相手に、オーストラリアなどから必要な石炭は十分に輸入している日本がニコニコしながら資金援助をなどを続ければ、「5カ年計画」の中にも日本からのマヌケな資金が織り込まれて、自力で問題を解決しようとする機会を失わせる事になりますなあ。在日米軍と同じような扶養家族を増やして、どうして国益になるのでしょう?米軍は、本音はともかく、番犬と狛犬の間くらいの役には立ちますが、酸性雨の原材料を掘り出す援助は、次は星の数ほど有る石炭を燃やす炉の脱硫装置をプレゼントへと引きずり込まれるでしょうなあ。

■旧満洲のインフラを修理したり交換するために資金を援助するというのは、どうも腑に落ちない話です。それは子分の北朝鮮が、建設当時は東洋随一と言われた水豊ダムなどの設備を維持も修理も出来ずに巨大な産業廃棄物にしておいて、「国交正常化」の暁には、日本のゼネコンに作り直してもらおう、と虫の良い皮算用をしているのと同じ構図が見えて来ます。4000年の中華伝説も、労働者の天国となる社会主義も、半世紀経ったというのに、安全に石炭を掘り出せない、それを恥ずかしげもなく胸を張って「協力」を催促している相手を、そろそろじっくり見詰めてはどうでしょう?

■相手は満洲帝国の「歴史」を認めません。それが「正しい歴史認識」なのだそうです。でも、正しくない歴史の遺産は、帝国陸軍の武器やら満洲時代の工業インフラやら、貧乏ったらしく流用していた「歴史」は、どう扱うのやら……。侵略だ!侵略だ!と日本に向って「賠償金」は求めず、その代わりに終わりの無い「援助」を求め続ける北京政府の背後には、チベットやウイグルからの「侵略だ!虐殺だ!弾圧だ!」の声が間違いなく存在しています。それも「正しい歴史」ではないのですから、日本の政治家の中に巣食っている北京政府御用達の人達は、それをしっかりと覚えておいて貰わねば困りますぞ!


AFP通信によると、インド北部ウッタルプラデシュ州にあるヒンズー教の聖地バラナシで7日あった連続爆発による死者は少なくとも21人に達し、負傷者も60人を超えた。3回の爆発が数分内に起こっており、ヒンズー教徒を標的にしたテロ事件の可能性があるが、犯行声明などは出ていない。毎日新聞 - 3月8日

■こういう話も、インドが大英帝国の支配を脱して独立した話ばかりに目を奪われていると、イスラム過激派が悪い事をしているようにしか見えませんが、大英帝国が植民地化したのは「ムバル帝国」だった事を思い出せば、今のインドが投資に最適な場所かどうか、怪しくなりますぞ。ムガル帝国はチムール帝国の後継ですし、何よりもイスラム教を厚く信仰する帝国だった事が重要です。現インド政府が観光産業の目玉にしているアグラの「タージ・マハル」の美しさは有名ですが、その設計から建築の全ての仕事はイスラム教徒のペルシア人に任されていた事、これを造らせたシャー・ジャハンの息子はアグラングゼブという狂信的なイスラム教徒だったことを忘れると、インド全土に残っている顔面を削り取られた仏像の謎は解けませんし、ガンジーが暗殺された背景も分かりません。

次々に出て来る「反日」の種 其の参

2006-03-08 15:17:56 | 外交・情勢(アジア)
■だいたい、毛沢東という人は朝鮮戦争の時にも人海戦術を押し通して死体の山を築きましたし、同時期に米国とでもソ連とでも、核戦争を起こして地球上を焼き尽くしても、差し引き勘定でチャイニーズが世界一の人口を維持出来る!という恐ろしい計算をしたのを忘れてはいませんぞ。

7日付の中国紙・京華時報によると、2004年から05年にかけて幼児12人を誘拐し、人身売買したとして児童誘拐罪などに問われた家族8人の初公判が6日、中国・昆明市の中級裁判所(地裁)で開かれ、全員が犯罪事実を認めた。8人は、誘拐した男児を2万元(約14万5000円)から1万元で売買し、生活費に充てていた。事件は昨年4月発覚し、誘拐・売買された幼児たちは全員、無事に親元に戻されたという。

■人身売買の横行は全土に広がっている犯罪のようですが、こうして時々「一罰百戒」のつもりなのか、摘発しては厳罰に処して世界中に向けて人権意識の存在をアッピールしているつもりなのか…。しかし、手っ取り早く現金収入を得ようと思ったら、この方法が一番簡単なのです。


家族8人は貴州省出身で、50歳から24四歳までの男5人、女3人。リーダー格の男(50)と別の男(38)が04年初め、金もうけのために3歳以下の男児を誘拐して人身売買したのを皮切りに、家族を次々に仲間に引き入れながら犯行を繰り返していた。仕事が忙しく、子どもへの目が行き届きにくい出稼ぎ労働者の幼児に目を付け、誘拐していたという。リーダー格の男の息子は「過去、生活苦から自分も売られた経験があり、親を助けるという気持ちで犯行に加わった」と供述しているという。中国の貧農地区では、貧しさから逃れるため子どもを手放したり、花嫁不足の農村に娘を売りに出したりする人身売買が横行しているとされ、同時に婦女や児童の誘拐事件も多発しているという。西日本新聞 - 3月8日

■一人っ子政策で、「長男」の需要は高まるばかりで、戸籍をカネで操作するにしても露骨な養子隠しに適する赤ん坊の段階で買い取る必要が有るでしょうなあ。可愛い盛りの赤ん坊を盗まれる親の気持ちなど一切考えない冷血商売には救いが無い思いがします。嫁不足を人身売買で解消しようとする風習も昔から変わらずに横行しているのですなあ。日本にも「結納」という儀式が残っていますが、結婚の古い形は人身売買そのものだったそうですから、歴史の発展段階に応じて犯罪行為の認識が進まないと、決して無くなるものではないかも知れませんなあ。日本も嫁不足を解消するために、余り強引な方法は採らない方が良さそうです。先日の滋賀県の事件も逆手に取って「日本人は中国娘」をカネで買って行く!とデモを指示する者が出て来る危険が有りますからなあ。


国家統計局の邱暁華・副局長(写真)は7日、記者会見を開き、「2005年における地方の財政状況は赤字には陥っていない」と強調した。7日付で新華社などが伝えた。一部のメディアが3月上旬に、県レベルの債務が5355億元に達していると報道していたために、7日の記者会見では集まった記者から地方の赤字についての質問が出た。これに対して邱・副局長は記者会見の席上で、「地方財政は970億元の黒字だった」「赤字なのは地方ではなくて、中央政府だ」などと述べた。中央政府の財政に関して、財政部は5日に行った「予算報告」の中で、5000億元余の増収となったにもかかわらず、支出も増えたために赤字額が2080億元に達したことを明らかにしている。
サーチナ・中国情報局 - 3月7日

■赤字を黒字と言いくるめる事ぐらい、共産党にとっては朝飯前で、帳簿上の数値を書き換えたり、書き込む欄を変えたりすれば、深刻な赤字は何処かに流れ去って見えなくなります。そして最後はお役人自身も赤字か黒字か分からなくなって、旧ソ連は崩壊したのでした。西部大開発やら農村に対する救済措置などで中央から流れ出す予算は増えるばかりのようですが、そのカネが何処かに消えてしまうのですから、面白い国です。


陝西(せんせい)省政府の石炭産業監督部門によると、同省の北部にある靖辺県で、大規模な炭田が発見された。灰分や硫黄分が低い良質な石炭が埋蔵されているという。7日付で黒龍江日報などが伝えた。同炭田の推定埋蔵量は35億トン。石炭層の厚さは2-2.2メートル、深さは400-800メートル、面積は800平方キロメートル。石炭の埋蔵が確認されたのは、靖辺県の紅〓界鎮、黄蒿界郷、海則灘郷の一帯。他の資源も豊富で、天然ガス3200億立方メートル、石油1億トンの埋蔵が推定されている。(〓は土へんに敦)また、同地域では、高速道路や鉄道が建設中であり、産業化にとって有利な条件を満たしていると期待されている。
サーチナ・中国情報局) - 3月7日

■空元気を出すための過大な見積もりと思われますが、まだまだ石炭を掘り出して盛大に燃やすつもりのようですなあ。秘密の炭鉱も沢山あって、毎月のように爆発事故や落盤事故がニュースになり、その度に事業主が逮捕されるのですが、古い住宅やソ連を真似て作った集合住宅などが沢山残っている間は、石炭の需要はウナギ登りが続きます。素朴な燃やし方をしますから、酸性雨の雲は日本列島上空に流れて来ます。日本の建物やら植物が溶け出したら、「環境対策」費用のODAを増額しろ!と矢の催促を始めるつもりなのでしょうか?日本が渋ったらますます酸性雨の濃度を上げて脅迫するのでしょうなあ。

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次々に出て来る「反日」の種 其の弐

2006-03-08 15:17:11 | 外交・情勢(アジア)
■「政冷経熱」などと日本の方が騒いでいる状況は、相手にとっては大いに満足の行く話です。靖国問題をつついて国論を分裂させておけば、日本が外交上の強敵になる心配は有りませんから、世論操作やらマスコミ工作やら、中国側の外務省は頑張っていることでしょう。

会見で李外相は「中日間の政治が直面する困難な問題は、日本の個々の指導者が侵略戦争のA級戦犯を参拝し続けていることだ」と改めて指摘。「日本の指導者は中国国民や侵略戦争で被害を受けた国の人々の感情を再び傷つけるべきではない」と強い口調で訴えた。

■おいおい、ここで突然靖国神社のA級戦犯(オリジナルは英語)で話をまとめるのはムチャですぞ!蒋介石を突然見棄てたソ連、続いて米国、毛沢東を利用するだけ利用して放り出したソ連、ヴェトナム戦争で負けると後先考えずに毛沢東と手を結んだ米国は、今では「脅威だ!」と目の敵にしているではありませんか?そちらは全然、話題にならないのですが、これはとても不自然です。


さらに李外相は、ドイツの戦後対応を引き合いに出して「ヒトラーやファシストを拝んだドイツ人はいない」と発言。また「米国民は1941年12月7日に起きた出来事(真珠湾攻撃)を忘れられない」「真珠湾攻撃と同じ日に日本侵略者がマラッカ海峡を攻撃し、罪のないマラッカの人を傷つけた」などと語り、日本に反省を求めた。
毎日新聞 - 3月7日

■米国は怖れるに足りない!と国内向けの宣伝では言っている時は、真珠湾攻撃を見習って強力な海軍を作ろう!と教えているはずなのですが…。マラッカ人にまで同情するのは立派なことですが、マレー半島で日本軍に嫌がらせをしたのは蒋介石の指示を受けたチャイニーズ系の人々ではなかったのですかな?今でも現地人に嫌われていると聞きますが……。「ヒトラー参拝」とは、読売新聞と直通電話でも通じているのでしょうか?それとも、世界一の発行部数の新聞社の親分が口走った事は、自国と同じように日本の全国民が復唱しているとでも思っているのでしょうか?どんどん歴史を遡っているようですから、少し放って置くと、「蒋介石の国民党軍を攻めてくれて有難う」という毛沢東路線に回帰するかも知れませんから、楽しみに待ってみましょう。その内、チベットやウイグルの人達からの「罪」に関する別の意見が出て来るでしょうから、そちらも日本のマスコミは丁寧に拾って欲しいものですなあ。


浙江省・杭州市で、銅像の盗難・破壊が多発している。地元の警察は、銅価格が高騰していることを受けて、転売目的の犯行ではないかとみて捜査を進めている。6日付で中国新聞社が伝えた。盗まれた銅像のうち1体は、貼沙河のほとりにある城東公園にあったもの。少女をかたどったもので、身長は約180センチメートルと大型だ。足の部分だけを残して、持ち去られた。警察では、複数人による犯行とみて、懸賞金2万元をかけて犯人の行方を追っている。犯行日時は2006年2月27日とみられている。同市では、このほかにも、06年1月に銅像10体が部分的に持ち去られる事件も発生している。サーチナ・中国情報局 - 3月7日

■鉄鋼製品がダブついて余っていると報道されている裏側では、こんな事件が多発しているそうです。何でも盗んでしまう手癖の悪い人が多いお国柄ですから、使っている線路のレールも消えて大事故が頻発するようになるかも知れません。北朝鮮のように巨大な指導者像は「個人崇拝禁止」で、見当たりませんが、社会主義リアリズム全盛の頃に作った労働者像などはまだ沢山有るようですから、盗んで溶かす材料はまだまだ有りますぞ。まさか、日本で連続した仏像の窃盗事件なども、最後の買い手は大陸にいるのではないか?などと想像してしまう事態ですなあ。


中国外交部の李肇星・部長は7日、記者会見で中国の軍事予算について、「1人あたりの軍事費は米国の77分の1だ」と発言。「中国の国防政策は透明なものであり、国家の防御のためにある」と強く主張した。中国の軍事費拡大により日本や米国などから「中国脅威論」が高まっていたことに反論した形。7日付で新華社が伝えた。李・部長は、「物事を見る際には最も基本的な事実を見つめる必要がある。数字だけにとらわれるべきではない」などとも述べた。
サーチナ・中国情報局 - 3月7日

■自分で乱暴な「数字」を振り回しておいて、「数字だけにとらわれるな!」とはメチャクチャな論旨です。巨大な人口圧力を基礎にして計算すれば、軍事費だけでなく食糧も水もエネルギーも所得も、何もかも足りないのは誰でも知っている事です。

次々に出て来る「反日」の種 其の壱

2006-03-08 15:16:19 | 外交・情勢(アジア)
■尖閣諸島の海底ガス田に関する交渉が頓挫したとの報道が有りましたが、相手は交渉で問題を解決するつもりは無いでしょう。元々、向こうには「問題」など無いのですからなあ。軍艦まで出して既成事実を積み上げ続けているのですから、これはもう領土争奪戦、つまり戦争が始まっていると考えないと日本は煮え湯を飲まされ続けるでしょうなあ。攻撃は最大の防御ですから、「領海」を問題にして食い下がれば、相手は問題を摩り替えて攻撃を続けます。決してその手を緩める事はない事を日本の政府は忘れているようです。文句を付ける種はいくらでも有るし、作り出す事も簡単なのだと分かるニュースが並びましたぞ。

中国のテレビで放映されているコマーシャル10本について、「女性を差別している」などとして北京市女性ジャーナリスト協会が非難した。7日付で北京青年報が伝えた。北京現代(ヒュンダイ)自動車の「NF御翔」のCMについては、「女性が付属品扱いされている」と主張。「女性を車の助手席に座らせるのは、女性が飾り物であることを意味している」「綺麗でセクシーな装いの女性を助手席に座らせ、NF御翔に乗ることが男性のステータスシンボルだという印象を与えている」と指摘した。

■日本のジェンダー・フリー論者や、20年前のジェーン・フォンダでも紹介したくなるような話ですが、槍玉に挙げているが韓国資本の自動車会社だというのが、怪しい感じがします。世界中のモーター・ショーの会場やら自動車レース場には、正に飾り物として肌を晒してオネエチャンが添えられているのですから、相手は世界中の自動車生産をしている国全部に広げられます。そして、世界一の自動車販売数を誇っているのが日本なのですなあ。米国に始まった自動車文化には、男が女を引き寄せるために目立つ車を欲しがる気持ちが深く根を張っていますので、自然に若者向けの自動車を宣伝する時には、綺麗なオネエチャンが付き物なのは当たり前なのです。

■まだまだオリジナル製品では勝負が出来ないメイド・イン・チャイナの自動車屋さん達と、言論弾圧など無い!とアッピールしたい北京政府が裏で手を組んで、女性ジャーナリストを動かしているのではないでしょうか?


また、玉蘭油の「ボディソープ」のCMに対しては、「必要がないのに肌を露出しているケースが多い」「(CMに出演している女優の)動作も挑発的で、女性が鑑賞の対象となっている」と非難。さらに、福臨門の「調理油」のCMについては、「夫は家事の恩恵を受けるばかりか、妻にあれこれ文句を言う役回りになっている」と指摘。「『健康的な油を使って、いいママになって』というCMのセリフが『男は外、女は内』という観念をあおっている」との見解を示した。サーチナ・中国情報局 - 3月7日

■昔、日本でもレトルト・カレーか何かの宣伝で、「私作る人…」と女が言うのは怪しからん!と騒動が起きましたが、「不必要な肌の露出」などと言われたら、日本のテレビは観ていられませんなあ。漫画雑誌の表紙からチラシ広告、パチンコ屋のポスターまで、「どうして水着モデルが?」と考えたら大いに悩む「鑑賞用女性」が氾濫していますなあ。下着の宣伝と言えば女性用ばかりなのが自然なのか、不自然なのか、そもそも下着を宣伝する必要が有るのか?などと考え始めたら大変です。「挑発的な動作」などと言われたら、サングラスで素顔を隠して腰をピクピク振って商売しているビデオ・テープの品質保証みたいな名前のゲイニンなど、あちらの国なら命を狙われそうですなあ。

■日本にも夫婦別称を大真面目に主張している人が居るようですから、是非とも大陸に渡って女性ジャーナリスト達と共闘体制を作るべきでしょう。でも、何となくこの記事が取り上げている軽い「運動」は日本あたりから流れ込んでいるような気もしますなあ。政治や外交を仕切っている男達がごちゃごちゃ言っている横で、「本物の資生堂化粧品」やら「本物のコーセー化粧品」を血眼で捜しているチャイニーズ・ガールが元気なようで、消費活動の主役になりつつあるのは事実のようですから、日本からのお土産を忘れない方が良いでしょう。女性の方が流行に敏感で欲望に素直ではないか?などと言うと、また叱られるのかも知れませんが、女達の世界には男が拘る国境が無いようにも思える時が有りますなあ。有るのは、自分の利害関係だけなのかも?

■古代ギリシアのアリストファネスも『女の平和』という傑作喜劇を残していますが、本当に女性が政治の中心に座れば世界が平和になるかどうかは、残念ながら甚だ疑問ではあります。女達が団結して男社会を批判する時にも、女同士で憎み合う時にも、暴走する傾向が強いような印象が有ります。昔、「中ピ連」とかいうピンクのヘルメットで武装?した女性軍団が居ましたが、喧しいだけで何がどうなったのか分からない顛末になったようですし、奈良県の「騒音オバサン」一人に対する条例が制定されるのだそうですなあ。男女の比較はともかくとして、テレビCMをネタにして日本製品の排斥運動の準備をするのは見っともないので止めておいた方が良いでしょうなあ。


中国の李肇星外相は7日、外交政策に関する記者会見を開き、日中関係について「歴史上、中国国民は被害者である」と改めて戦争被害の事実を強調した上で、「いま大切なことは、日本の個々の指導者が十分な誠意と勇気を持って自分たちの誤った行動を改めることだ」と述べ、日中関係修復に向けて小泉純一郎首相らの靖国神社参拝を中止するよう強く求めた。

■本当に北京政府は困っているようです。「中国国民」という言葉が最初に使われたのは孫文の時代だと思いますが、その時からずっと「被害者」だった!と言うのは一面では正しいでしょう。大英帝国にアヘン中毒にされていたかと思えば、野蛮な新興国の日本にうっかり負けたら、ロシア(後にソ連)と米国の身勝手な謀略合戦に翻弄されるわ、朝鮮戦争に駆り出されるわで、酷い目に遭い続けているのは確かです。しかし、こうした酷い事をやった憎むべき国に対して文句を言っても何もくれないので、無駄な喧嘩は仕掛けません。律儀に謝罪と贈り物を用意する国には攻撃が集中するというわけです。