旅限無(りょげむ)

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苦し紛れの選択 其の七

2010-07-30 05:23:07 | 外交・情勢(アジア)
■毎日新聞による世論調査の記事の続きです。

9月の民主党代表選をにらみ、野党各党とも当面、様子見の姿勢。みんなの党の浅尾慶一郎政調会長は「民主党代表選までは難しい」と情勢を見極める姿勢を示しつつ、公務員制度改革など重点政策での政策協議にとどめる意向を示した。……部分連合に向けた調整はこれからで、民主党内には「野党はポピュリズムに走るから、まとめ上げるのは大変な作業だ」(幹部)との懸念も出ている。

■話を詰めている間にコロリと首相が交代したのでは、手を結んだ党が馬鹿を見るだけで、国民の目にも間抜けに映りますから、何処も火中の栗を拾うはずもありますまい。それにしましても、民主党幹部が誰かは分かりませんが、「野党はポピュリズムに走る」とは、1年前までの我と我が身を鏡に映したような生々しくも正確な表現でありますなあ。与党になった今の民主党政権は違うとでも考えているのなら大きな間違いですが、大丈夫でしょうか?


……参院選で51議席を獲得し「改選第1党」となった自民党だが、調査では同党の政権復帰に「期待しない」との回答が71%に上り、「期待する」は28%だった。政党支持率も15%と民主党の30%の半分にとどまり、14%まで伸ばしたみんなの党についにほぼ並ばれた。……大島理森幹事長は取材に対し「菅内閣は日本のかじを取るのにふさわしくないとしっかり(国民に)見せなければならない。われわれの政策をさらに練り上げる」と述べ、消費税増税などで民主党に先駆けて政策作りを急ぐ考えを示した。

■これから政策を練り上げて間に合うのか?とコアな自民党支持者の中にも心配する人がいそうですなあ。谷垣体制になった時に発表された方針には、しっかり「憲法改正」の文言があったのですが、選挙中には誰も口にしなかったようです。バラマキ政策は止めろ!という与党批判も、半世紀もの間、政官業のトライアングル体制でバラマキ行政を続けて来たことの総括もしないまま野党面して攻撃しても、まったく迫力が有りませんでしたなあ。

■大島幹事長に言われるまでもなく、既に「菅内閣は日本の舵取りに相応しくない」と多くの国民は思っておりますぞ。されど、それでも自民党よりはマシだと考えて、寛容の精神で辛抱強く反省してやり直すことを期待しているのだと思われます。


党内には参院選後も「対外的に『自民党が変わった』というのがない。若手がイニシアチブを取る態勢にするのが重要だ」(若手衆院議員)との執行部刷新論が根強い。谷垣総裁は9月に党役員人事を行い、若手を積極登用する意向を表明している。幹事長や国対委員長ポストなどが焦点になるが、「人気だけで選べば国会論戦が持たないし、国会重視だと今までと顔ぶれが変わらない」(閣僚経験者)というジレンマもあり、党再建は試行錯誤が続きそうだ。 
7月26日 毎日新聞

■先の総選挙で若手がごっそり落選し、お呼びでないベテラン議員が再選されて戻って来たから自民党には再生の期待が持てないのでありましょう。旧参院のドンだった青木さんが、他の候補が立てる期限ぎりぎりに「発病」して長男に政権を世襲させるような芸の細かいところを見せるようでは、「自民党が変わった」と思われるようになるには随分と長い時間が必要なようです。活発な議論が期待される国会の場に「人気だけで」送り込んだら論戦に負けるような議員しか居なくなった自民党に明るい未来は無いような気がしますなあ。出て行った舛添さんや与謝野さんも、引き止められなかった自民党も、「後悔先に立たず」とホゾを噛んでいるのでしょうから、9月に民主党内で波風が立てば、水面に浮かんだ枯葉のようにしずしずと集まって来るのかも知れませんなあ。

■みんなの党を躍進させた有権者も、本当は苦し紛れの選択をしたのかも知れず、その本音は「やれるものならやってみろ!」という相当に残酷な突き放したような支持だったのではないでしょうか?このまま菅新政権が苦し紛れの選択を続けてくれれば、渡辺代表の思惑通りに民主党内が大きく割れて、政界再編が本当に起こるかも?と思わせるような参院選後の政界ではありますなあ。

苦し紛れの選択 其の六

2010-07-27 05:51:53 | 外交・情勢(アジア)
■久し振りの勝利に選挙中は何処かで穴籠もりしていた大森幹事長もにゅっと顔を出してトロケルような笑顔で当選者の名前に花を付けてはしゃいでいた光景は異様な感じがしたものです。その隣で紅潮した表情で心底安心していた谷垣総裁でしたが、思い掛けない勝利?の興奮が冷めてしまうと相変わらず自民党内には内紛の火種があちこちで燻り続けているようです。 
 
先の参院選で改選第1党となった自民党内に次期衆院選への不安が漂っている。執行部がいくら参院選での「勝利」を強調しても、総得票数で選挙区、比例代表とも民主党に水を空けられ、低落傾向に歯止めが掛かったとは言い難いからだ。……「党再生はまだ道半ば。衆院解散に追い込む努力をしていかなければならない」。自民党の谷垣禎一総裁は22日夜、党本部で開かれた職員との慰労会で、こうあいさつした。……自民党の機関紙「自由民主」は最新号で、得票数を前回の参院選と比較した記事を掲載した。過去最低の12議席となった比例代表は247万票減の1407万票。同紙は「野党になり団体票が獲得できなかった」「都市部での減少が目立つ」などと分析した。

■政治の世界では禁句とされる「あなた方には言われたくない」という前政権に対する責任転嫁の暴言を何度も鳩山サセテイタダク前首相から浴びせられながらも、国民が感心するような反論が出来なかった自民党ですから、本来なら普天間移設問題で自滅した鳩山前首相を再び引っ張り出して国会の場でじっくりイタブッて鬱憤晴らしをしたいところでありましょうが、敵はさっさと尻に帆かけて逃げ去ってしまいましたから、ギリシアと同様に国家財政が破綻するかも?と真顔で心配されるような莫大な借金を積み上げてしまった原因を大真面目に国民に向かって説明することから始めないと、支持率の回復は望めないのではないでしょうか?

■「党再生」が単に議席の獲得と政権奪還に向けての空疎な言葉である限り、どれほど民主党が自責点を積み上げても自民党支持の風は吹かないでしょうなあ。


谷垣総裁は「他党に比べて、わが党が地域で草の根の方々の声を吸い上げるパイプを持っている」と参院選で地方組織が健闘したと自賛している。しかし、選挙区で民主党を11議席上回る39議席を獲得したものの、得票数は1949万票で、民主党の2275万票を大幅に下回った。このため、党内には今回の参院選について「敗北以外の何ものでもない」(閣僚経験者)との厳しい声も出ている。
7月25日 時事通信

■テレビ朝日の番組で、自民党の勝利の裏には公明党との選挙協力があった!というちょっと驚きのスクープ映像が流れていたようですから、自民党が取った1949万票という数値は水増し分が含まれていることになりそうです。従って、「敗北」だという閣僚経験者の発言は政権奪還までの遠い遠い険しい道を実感しているからこそのものなのでしょうし、谷垣総裁が言う「草の根の方々」の中には公明党関係者の影が濃く差している事も党内では暗黙の了解事項なのでしょうなあ。まあ、自公協力は選挙中盤になって自然発生的に各選挙区で起こった現象のようでもありますから、当事者にしてみればこちらも「苦し紛れの選択」だったのでしょう。「反民主党」の一点では怒りの一致を見るものの、政権与党から転がり落ちた責任を互いに擦り付け合いたい気持ちが残っている間は、民主党との連立や部分協力などで抜け駆けを警戒しつつ牽制し合う関係が続きそうですなあ。

■選挙中には群馬県で旧中曽根派・旧福田派・旧小渕派の壁が崩れて奇跡のような挙党一致体制の片鱗を見せた自民党でしたが、自民党総裁=日本国首相の顔をコロコロ変えて自滅したことを忘れたかのように、昔からの派閥間抗争の尻尾を引きずって谷垣下ろしを画策するような見当外れのエネルギーを浪費している間は、民主党の方でも安心して迷走を続けていられるかも?勿論、国民にとっては不幸な話なのではありますが……。


毎日新聞が24、25日実施した全国世論調査で、続投支持が8割に上った菅直人首相。9月の民主党代表選を乗り切ったとしても、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」が立ちはだかる。調査では「民主党との政策協議に野党が応じるべきだ」との回答が83%で、与野党対立より協調を望む声が大勢を占めた。今後の政権の枠組みとしては、民主党とみんなの党の連立を望む回答が27%で前回調査(7月7、8日)の15%からほぼ倍増……

■日替わり定食ならぬ、年替わり首相を輩出して国際的に大恥を晒したことを国民はしっかり覚えているという事でしょうが、経験として首相の顔が変わっても何も変わらないという恐ろしい事実を知ってしまったことも、「首相をコロコロ変えるな!」という民意に反映されているのでしょうなあ。菅新首相の奥さんは先の国際会議で鳩山夫人と間違われていたそうですが、日本は誰が首相を務めても国内が大混乱に陥らないのは大したものだ、などと褒められているのか貶(けな)されているのか分からないジョークが出ているとも聞きますぞ。当たっているだけに悔しい話であります。

苦し紛れの選択 其の伍

2010-07-27 05:51:39 | 外交・情勢(アジア)
■「反小沢」「脱小沢」の看板を上げれば消費税の引き上げだって有権者に受け入れられる!と思い込んで躓いた菅新首相は、選挙後にはクラッシャー小沢に「お詫び」したいと殊勝な事を言いながらも、小沢幹事長時代に政治主導の名の下に廃止された政策調査会の復活は選挙結果とは関係なく推し進めているようです。しかし、国家戦略局の大構想を断念した上での政調復活は国民が見限った旧自民党政権と見分けがつかい政治状況を呼び戻すことになるかも?

菅直人首相の指示で復活した民主党の政策調査会。政府の政策決定に党側の意見を反映させるのが目的だが、2011年度の予算編成をめぐり、歳出増へ圧力を掛ける「族議員」の温床となりかねないとの懸念も出ている。政調の動き次第では予算規模が膨れ上がり、首相が足を引っ張られる可能性もある。……

■新首相が財務省に取り込まれて唐突に「消費税引き上げ」話にまんまと乗せられたばかりに参院選で大敗したというのに、徒党を組んで同じ轍を踏もうとするのは愚の骨頂と申せましょう。国会議員になって自分は偉くなったと勘違いし、与党になったら本当に自分はエライ!と思い込み、部下であるはずの官僚に煽(おだ)て上げられて「族議員」になって行く。こんな事では必殺!仕分け人による第三弾、特別会計への切り込みも結果は見えているようなものでしょうなあ。


政調は22日、11年度予算の概算要求基準の策定に向け、各省庁に歳出削減を求める提言をまとめた。歳出の大枠は今年度並みの71兆円とし、国債発行額も今年度を上回らないことを明記。玄葉光一郎政調会長は「(党内の)歳出増圧力を抑えた」と胸を張ってみせた。政調は昨年9月の政権交代後、「政策決定の内閣一元化」を理由に小沢一郎幹事長(当時)が廃止したが、党内で「政策決定に関与できない」との不満が渦巻き、首相が復活させた。

■「反小沢」=反「政治とカネ」という単純な構図を偽造して、鳩山・小沢コンビを追った陳腐な政治劇が、思い掛けない波紋を呼んであちこちに飛び火した火の粉が火種になり、小沢流の政治改革が焼失してしまえば、最も喜ぶのは「政治主導」に震え上がっていた官僚達でしょうなあ。


……自民党政権下では、政府の法案や予算案は党側の事前承認を経てまとめられていたが、それが特定の政策分野で強い影響力を行使する「族議員」を生んだとの指摘もあり、民主党は復活後の政調に「政策決定」の権限を与えなかった。ただ、政調が守備範囲から逸脱せず、提言活動に徹し切れるかは不透明だ。11年度予算で各省庁の要求を精査するのは、農林水産、国土交通など政調内に置かれた部門会議。民主党政権発足から間もなく1年。同党議員も官僚や業界団体とのパイプが太くなりつつあり、予算獲得に手ぐすね引く議員も出始めた。
7月25日 時事通信

■「族議員」になる望みのない?多くの議員と親小沢グループとが結託して鳩山一派と手に手を取って党を割るような騒ぎが起こりそうな予感がする話であります。「皆様の清き一票」だの「国民の負託」だの「責任の重み」だのと、選挙が終わった直後には殊勝な事を言う人達が、毎日、官僚達から「センセイ、センセイ」と煽て上げられている間にコロリと変身ならぬ変心してしまうのは見飽きた光景で、官僚群が協力して奪取した「予算」を選挙区の地元にバラ播いて再選を期すようになれば、国民の多くは政権交代の夢から覚めることでありましょう。

苦し紛れの選択 其の四

2010-07-26 04:32:10 | 外交・情勢(アジア)
■普天間基地の移転問題も、ぐるりと回って自民党案に戻り、給油活動も振り出しに戻って自民党時代と同じ議論を立場を入れ替えて繰り返すのなら、ますます政権交代の意味が薄くなって行きましょう。毒を食らわば皿までも!と開き直ったように、新政権は旧政権が踏み込めなかったところまで猪突猛進してしまう恐れも出ているようで……。 
 
日米両国が共同開発中の次世代型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)について、日本政府が武器輸出三原則の対象とせず、第三国への供与を例外的に認める方向で調整していることが25日、分かった。迎撃ミサイルの欧州配備を検討している米側の要請を受けた措置。政府関係者が明らかにした。米国は、2018年から欧州に迎撃ミサイルを配備する計画を日本側に伝達しており、武器輸出を事実上禁止している日本の武器輸出三原則が障害となる可能性があった。ただ、第三国への供与を認めた場合、技術の拡散にどう歯止めを掛けるかなど、管理の在り方が課題となる。
7月25日 時事通信

■「武器輸出三原則」には穴が開いていて、通常兵器の消耗品などはこっそり輸出されているという噂が絶えなかったものですが、いよいよ「武器輸出」解禁の突破口が、民主党政権の時代にぽっかり開くのか?!前首相は「米国の言いなりにはならないぞ!」と鼻息の荒い時もあったのですが、基地移設問題を拗(こじ)らせてしまった報復なのか?密約問題を突き回したツケが回って来たのか?このままなし崩しに「集団的自衛権」を認める流れになって行くのでしょうか?米国と仲が良かった自民党でさえも、こんなに素直に米国の外圧に押し捲られたことはなかったような気がするのですが……。


防衛省は24日、年末に改定する「防衛計画の大綱」で海上自衛隊の潜水艦を増強する方針を固めた。現在の18隻態勢から20隻台に引き上げる。昭和51年に初めて策定した防衛大綱で隻数を定めて以降、増強は初めて。東シナ海と太平洋で中国海軍の動きが活発化し、活動範囲が広がっていることや、北朝鮮潜水艦による魚雷攻撃と断定された韓国哨戒艦撃沈事件を受け、日米の抑止力と情報収集能力を強化する狙いがある。……ほぼ毎年、最も老朽化した1隻が退役する代わりに新造艦1隻が就役することで、18隻態勢(教育訓練用の2隻を含む)が維持されてきた。20隻台に増強する際には、新造のペースは変えず、退役時期を延ばす計画だ。船体技術の向上や運用に工夫を凝らすことで使用期間の延長が可能という。……

■前首相が夢見がちな危ない目つきで語った「友愛の海」構想も、海の藻屑と消えてしまったようです。まあ、最初から正気を疑われるような独りよがりの思い込みとしか思われなかった構想なのでしたが、これも「学べば学ぶほどに」チャイナの外洋進出の勢いが現実みを帯びて来ただけのことかも知れませんが……。前政権との違いを明確に説明しない菅新政権ですから、「友愛の海」を否定しようとしているのか、それとも換骨奪胎してでも前首相の「思い」を継承して行くつもりなのか?さっぱり分からないまま潜水艦を増強して日米同盟を深化させる計画が粛々と進められるというのは、ちょっと不気味なものを感じます。


中国海軍は10年以上にわたり潜水艦の保有数を約60隻で維持する一方、近代化を急ピッチで進めた。台湾海峡有事で最大の敵となる米空母の接近を阻止するには、隠密性に優れた潜水艦が切り札になるためだ。4月、中国海軍の艦艇10隻が沖縄本島と宮古島の間を通過した際、中国が保有する潜水艦の中で最も静粛性が高く、探知されにくいキロ級潜水艦が潜航せずにあえて浮上航行した。これは、太平洋まで活動範囲を拡大し、「より前方で米空母を足止めできる能力を誇示した」(防衛省幹部)ものとみられている。……

■危険な接近事件も起こしているチャイナの海軍行動を止めるには「友愛精神」では効果はなく、遺憾の意を表する言葉も役には立たないことを身を以って証明して見せてくれたのは鳩山前政権の数少ない業績かも知れませんから、世界的にも評価が高い日本の潜水艦部隊が増強されるのは結構なことではあります。しかし、その決定を下すのが行方が定まらない菅新政権であるという点は、若干の危惧を感じてしまいますなあ。具体的な安全保障に関する政策を一度も打ち出したことがない民主党の政権ですから、最初からタガが外れているのも同然で、何処まで転がって行くやら心配なことであります。


米国防総省が2月に発表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)は、中国の接近阻止能力への対応を重点項目に挙げ、米軍の態勢強化と同盟国の能力向上が必要としている。このため、海自の潜水艦態勢の強化は急務となっていた。
7月25日 産経新聞

■QDRが発表された時には、既に鳩山前政権は棺桶に片足どころか首の下が丸ごと押し込められてしまったような状態でしたから、防衛省が独断で対応策を練り上げてしまった可能性もありそうです。それを追認するだけなら菅新政権にはリーダーシップの欠片も無いことになりましょう。選挙中から秋波を送って連立・協力を求めていたみんなの党なども安全保障に関する明確な政策を掲げていないという弱点があるのですから、国会対策を最優先させる内向きの数合わせに夢中になっている間に対応し切れない外交問題が起こったりすると目も当てられない右往左往が始まったらどうするのでしょう?次の総選挙を待つことなく、大急ぎで党の綱領をまとめ、安全保障政策も作り上げて欲しいところですが、党が分裂する心配が先行してまたまた先送りになるのは分かっているのですが……。

苦し紛れの選択 其の参

2010-07-26 04:31:13 | 外交・情勢(アジア)
■内閣府が行った「ひきこもりに関する実態調査」によりますと、今の日本には社会との接点を持てないまま暮らしている人が推定で70万人、予備軍は155万人いるという結果が出たそうですが、史上初の政権交代を台無しにして憲政史上に汚点だけを残して首相の座を追われた鳩山さんも、鳩山・小沢コンビを追放して見せたら支持率がV字回復したのを勘違いして参議院選挙で大敗を喫した菅新首相も、まったく「ひきこもり」状態になる心配は無さそうであります。

■鳩山サセテイタダク前首相などは、有りもしない自分の「影響力」を心配して?政界引退をいつもの様に軽々に発言しておいて、誰も覚えていないとでも思ったのか、ちゃっかり後援者を前にすると「次の選挙にも出る」とあっさりと前言を撤回。それでも足りずに菅・小沢階段の御膳立てをして「影響力」が残っていることを誇示しようとしたものの、予想通りフィクサー役など務まるはずもなく、前幹事長に首相が「お詫び」する会談は無期限延長になったとか……。


菅直人首相は24日午後、鳩山由紀夫前首相と東京都内のホテルの日本料理店で会食した。……両氏の会談が確認されたのは、民主党が大敗した参院選直後の13日以来。夫人も同伴し、約2時間にわたり昼食を取った。

鳩山氏は22日、国家戦略室の機能縮小に異を唱える一方、「現時点では」と前置きして菅首相の続投を支持。参院選前から会談が実現していない菅首相と小沢一郎前幹事長との仲介にも意欲を示し、同日には小沢氏、輿石東参院議員会長と会談するなど、代表選へ向け活発に動き始めている。
7月24日 毎日新聞

■どうして「夫人も同伴」だったのか?理由がまったく分かりませんが、緊迫感に欠ける単なる気楽な「会食」だったような印象を受けます。現首相が誰かさんの神経を逆撫でしないように気を遣ったのか?前首相夫妻の方が大きな勘違いをしたまま今もノホホホンと暮らしているだけのことなのか?どちらにしましても互いの立場を考えれば、現段階で2時間も話し込む事など有るのかいなあ?と首を捻ってしまうお話であります。


政府は24日、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、海上自衛隊の補給艦を新たに派遣する方向で検討に入った。現地で海賊と対峙する各国艦船への洋上給油ができるよう、9月召集見通しの本格的な臨時国会への関連法案提出を目指す。政府はスーダンでの国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣を見送ったばかりで、今後はソマリア沖への補給艦派遣を日本の新たな国際貢献活動としてアピールしたい考えだ。……

■自民党政権が必死で「国際貢献」の意義を説明してインド洋上での過酷な給油作業を延長して続けたいと頑張った時に、アフガニスタン向けとイラク向けの区分けが厳格ではないとの理由で給油活動を全面的に反対し、国会のネジレを存分に利用して総引き揚げさせたのが野党時代の民主党でありました。当時も総引き揚げではなくてソマリア沖に移動する案が検討されたはずですが、野党・民主党は社民党などと結託して邪魔した経緯がありましたなあ。無責任なことを言い放題の野党時代とは違い、政権与党になったら自らの「勉強不足」や不見識を認めて反省しコロコロと前言撤回を繰り返すお手本を示してくれたのが前首相でしたが、方向転換するにもホドがある!と「かわいそうなくらい」困っていた自民党からは怒りの声が出るでしょうなあ。


ソマリア沖では現在、海賊対処法に基づき、海自の護衛艦とP3C哨戒機が活動中。政府は先に、海自の派遣期間を今月24日から1年間延長することを決めたが、同法が規定していない他国艦船への給油を可能にするため、新法案か法改正案の取りまとめに向け、検討に着手した。
7月24日 時事通信

■臨時国会の場で、菅新首相はどんな弁解をして見せるのでしょう?自民・公明両党から変節と無定見を徹底的に糾弾されるのは間違いないでしょうから、よほど上手に言い抜けないと前首相と同じ大恥を掻いてしまいそうです。意地の悪い各マスコミが過剰に発表する世論調査の動向も顕著な動きを見せるでしょうから、民主党内ではドンブリの中の嵐が巻き起こる公算が大!選挙に大負けしてすぐに引っ込めた「消費税引き上げ」のブレも蒸し返されるのは必至ですから、弁が立つと自他共に認める菅新首相の答弁は見ものであります。

金賢姫訪日の裏? 其の四

2010-07-23 16:16:15 | 教育
■朝鮮学校からの「転入」に関する記事の続きです。

東京韓国学校の金明植校長(57)は、朝鮮学校からの転入生について、「同じ民族として歓迎すべきことだ。学校で他の生徒と区別することはないし、(朝鮮学校からの転入生は)韓国語ができるので、日本の学校から来るよりも適応しやすい」と話す。生徒自身は、教育内容や進路への不安を理由に挙げるケースが多い。朝鮮学校から転入した中等部の生徒は「語学など、ちゃんとした教育を受けるには韓国学校の方がいいと思った」。別の生徒は「朝鮮学校から韓国の大学へ行くのは難しいから」と打ち明ける。韓国学校の学費は朝鮮学校とほぼ同程度だが、高校になれば年間10万円以上の「授業料無償化の恩恵」も受けられる。

■ただでさえ在籍していても良い事が無かったところに、降って湧いたような無償化の話が飛び出して、朝鮮学校の特異性が韓国学校との比較によって浮かび上がってしまったようです。もしも、無償化政策が朝鮮学校を兵糧攻めにして衰退させる深謀遠慮の上に生まれたのだったら、日本の政治もなかなかのものなのですが……。


北朝鮮、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の支援を受ける朝鮮学校は、1970年代には全国で約160校(初、中、高級学校)、児童生徒数も4万人を超えていたが、金日成・金正日父子を賛美する偏向した教育内容に加えて、日本人拉致事件の発覚などにより、現在は73校、約8300人にまで激減した。……児童生徒離れは地方ほどひどく、「中級部(中学)全体で10人あまりしか生徒がいない学校もある。この状態では授業やクラブ活動は成り立ちにくい」という。ただ、朝鮮学校側にとって韓国学校への転出は日本の学校以上に容認しがたく、「(韓国学校は)悪いことばかりやっている」などと教師が強硬に引き留めるケースが多いという。
7月18日 産経新聞

■税金の無駄遣いだ!と悪い評判が立ち始めた金賢姫の来日でしたが、唯一の収穫はベトナム・ハノイの国際会議に出席している北朝鮮外務省のリ・ドンイル課長にFNNの取材陣がマイクを着き付けて得た発言だったという話があるようです。何でも課長さんは「祖国を裏切って親を捨てた女について、話をする価値はない!」と金賢姫は北朝鮮出身だと初めて公に認めてしまったわけですから、逮捕直後から「韓国の謀略だ!」と頭から偽者呼ばわりを続け、証拠写真が出れば「別人だ!」と本人を名乗る女性が現れたりもしましたからなあ。韓国の国内でも北朝鮮が叫び続けた韓国政府による自作自演説を信じている人が多いとも聞きますから、教育熱心な朝鮮学校の生徒達となれば純粋に韓国謀略説を信じ切っているものと想像されます。祖国のエリート外交官であるはずのリ・ドンイル課長の発言は、生徒達の「転入」を更に加速させる効果を生むかも知れませんなあ。

金賢姫訪日の裏? 其の参

2010-07-23 16:15:44 | 教育
■来日した元工作員・死刑囚・爆破テロ犯の金賢姫が韓流スターより盛大な歓迎?を受けて4日間の滞在を終えて帰国したそうです。日本中が猛暑と水害に襲われている時に軽井沢の別荘に滞在、ベンツで移動した先は調布の飛行場で東京上空を遊覧飛行したとかしないとか……。肝腎の「新情報」はほとんど手に入れられず、一体、何のために?とあちこちから非難の声が上がり始めているというのも、費用対効果を考えれば当然でありましょうなあ。どうも民主党政権がやることは素人臭くて行けません。

■金賢姫の離日を待っていたかのようにベトナムのハノイでは重要な国際会議が始まり、その会議に合わせるかのように米韓共同で大規模な軍事演習が始まるというのが東アジアの主たる動きであります。それに比べてお涙頂戴話で塗り固められたような金賢姫の訪日騒動は日本政府の外交政策が見当違いの方向に捻じ曲げられているような印象がありますなあ。内政も同様で、沖縄の基地問題に関してパンドラの箱の蓋を開けてしまった鳩山サセテイタダク前首相は口をぬぐって後始末を菅新政権に丸投げしておいて、今度はお祖父ちゃんから貰った別荘を提供して北朝鮮による拉致問題の解決に関与している印象を偽造しようとしたり、「既に死んでいる」新首相の呼び出しを無視しているクラッシャー小沢を首相に合わせる橋渡し役をして党内での存在感を回復しようと生臭くもちっぽけな事をやっているようですから、東アジアで始まっている大きなウネリに乗じて日本の発言力を強めようなどとは誰も考えていないのでしょうなあ。

■沖縄の基地問題を振り出し以前に押し戻して地元の感情を爆発させたのは鳩山サセテイタダク前首相個人の失敗だとしても、「外国人参政権」問題は民主党の党是とされているのですから、在日外国人社会を動揺させている責任は党全体にあることになりましょう。ハノイの会議に出席している岡田外相も、熱心な推進者だそうですなあ。


高校授業料無償化の適用問題で揺れる朝鮮学校から、韓国系の東京韓国学校(東京都新宿区)へ転入する児童生徒が相次いでいる。例年なら「1人いるかどうか」(東京韓国学校)という中等部(中学)からの転入生が今春は4人。全校(初、中、高等部)では11人の転入生が在籍している。深刻な朝鮮学校の“児童生徒離れ”に加え、「朝鮮学校を出ても大学に行けない」といった進路や教育内容への不安が背景にあるようだ。

■拉致犯罪が発覚してから、北朝鮮系の総連から韓国系の民団への「転入」が急増したという話もありますが、その後も核兵器やミサイルの開発と乱用が続きましたから、将軍様を見限って去る者が後を絶たないのでしょう。そこに授業料の無償化が加わって、長引く不況下で少しでもよい教育を受けたいと思う若者の心情は国籍とは無関係で共通のものだとは思いますが、その中にナリスマシがまったく含まれていないのかどうか……。転入生に『踏み絵』を強いる隠れキリシタンみたいな問題は起こらないのか?と余計な心配をしてしまいます。


東京韓国学校(児童生徒数約1100人)は、在日韓国人子弟の教育機関として昭和29年に開校。朝鮮学校と同じ「各種学校」の扱いだが、今年から始まった高校授業料無償化の対象となっている。関東では唯一の韓国学校で、本来の民族教育に加えて、大学受験や日、英、韓の語学教育に力を入れており、現在は日本に駐在する企業や公務員らの子弟が圧倒的に多い。……朝鮮学校からの転入生は今春、特に目立ち、遠方の東京郊外の朝鮮学校から初めて転入したケースもあった。朝鮮学校から日本の学校などを経て韓国学校へ来る児童・生徒を含めれば「転入組」はさらに増えるという。……

■高校無償化政策は長く続いた自民党政治との違いを強調するためには有効だと認めるにしても、対象となる「各種学校」の線引きやら「年齢制限」「地域格差」「給付方式」など具体的な施策となると、どうも場当たり的で後々問題が噴出しないとも限りませんぞ。農家への戸別補償が米作農家に限定された本当の理由が不明なように、高校無償化も対象となる学校の線引きがすっきりしないまま、ロクな国会議論もせずに実施してしまって、後で制度の不備やら不正やらが発覚して現場が大混乱しなければよいのですが……。

■無償化が実施されると生徒が公立高校に流れて中高一貫校などの私立高校が敬遠されるのではないか?と少子化と学力低下の板挟みに悩む現場では、大きな変化が起こる可能性が取り沙汰されているようですが、外国人学校の方ではアメリカン・スクール17校などと共に韓国学校がすんなりと無償化の対象になったのに、朝鮮学校が排除された!と人権派弁護士などが騒ぎ立てたばかりに、世間の注目が集まってしまい保守系雑誌などは盛んに北朝鮮問題と直結させた論じて、民主党内の誰かさん達は苦々しく思っているのかも知れませんなあ。

金賢姫訪日の裏? 其の弐

2010-07-22 16:33:44 | 教育
■この「専門家会議」が誕生した時にも、民主党政権は非常に慎重でした。

4月からスタートした高校授業料無償化制度の対象に朝鮮学校を含めるか検討する文部科学省の専門家会議のメンバー選定が遅れていた問題で、やっとメンバーが決まったことが24日、分かった。ただ、朝鮮学校の無償化には国民から強い反発があることなどから、同省は当面、メンバーや会議日程、内容を非公表とする方針だ。審議会の公開を原則とする同省では異例の対応になる。……川端達夫文科相の諮問機関として設置される同会議のメンバーは、最近になって教育行政や教育制度の専門家ら約10人が決定した。ただ、「静かな環境での議論が必要だ」(川端文科相)として、メンバーの氏名・役職、会議の日時や場所などは当面、非公表とすることにした。現時点ですでに会議が行われたのかも公表していない。……

■仮に「含める」と結論すれば保守系のマスコミや世論は強烈に反発するでしょうし、逆に「含めない」となれば暗がりからの逆恨みが心配でしょうから、このような秘密主義を貫かねばなりますまい。こうして見ますと民主党が参院で過半数を失い、衆議院で再議決しようにも3分の2を制していない勢力図が現出したことが嬉しくも思えますなあ。


会議は、朝鮮学校の教育が、日本の高校に準じる内容か-などを5月下旬から8月まで計5回程度審議した上で、無償化制度の対象にすべきか結論を出す。民主党がマニフェストに掲げる情報公開推進に反しないよう、会議終了後にメンバーの氏名や議事録の概要などをまとめて公表する方針だという。……
2010年5月24日 産経新聞

■選挙前に強行採決を繰り返してまったく民主的でない体質を天下に示し、結党以来、今になっても党の綱領がまとめられない寄り合い所帯の民主党ですから、対米関係も迷走を続けるし経済戦略も竜頭蛇尾・羊頭狗肉のまま大混乱するのも分かります。それなのに不思議なくらいに一致団結して推し進めようとしているいくつかの政策がある!というのは不気味なものを感じますなあ。

■まだ『外国人参政権』の法案が通っていないのに、既に韓国系の団体がせっせと民主党の選挙応援に汗を流しカネをつぎ込んでいるという話があるようですが、現行の有権者がそっぽを向いてしまったら新しい票田を開拓しても焼け石に水だと思い知ったはずなのですが……無償化問題に関しては相手が悪過ぎるかも?


朝鮮学校への高校授業料無償化適用をめぐり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が生徒の父母らに文部科学省に適用を要請する電話攻勢をかけるようノルマを課していたことが(6月)12日、内部文書から分かった。同時に、複数の日本人になりすまして電話回数を稼ぐよう指示。総連の無償化運動がモラルを著しく逸脱し、北朝鮮同様に統制された組織動員のもとで展開していた実態が明らかになった。……

■拉致犯罪が白日の下に晒された時期に「背乗り」というナリスマシ工作があることを一般の日本人は知ったのでした。組織的に同じような事をやっているのは、指示主体が同じだからでしょうか?


文書では「『高校無償化』がわれわれの学校に適用されるまで全組織、全同胞を立ち上がらせ闘争し続ける」とげきを飛ばし、無償化適用を求める署名を「1人当たり100人」集めるよう指示。文科省が開設した無償化の相談窓口「高校就学支援ホットライン」を通じて無償化即時実施を求める要請活動を展開するようにも命じた。文書にはホットラインの電話番号が目立つように書き込まれているが、関係者によると、この文書が出された際、総連幹部は「在日としてだけでなく、一般の日本人になりすまして複数回電話するように」命じたという。関係者は「日本人も適用に賛成していると見せた方が効果がある」と、意図を説明する。

■「ホットライン」を管理しているのが民主党政権の文科省なのですから、何となく「阿吽の呼吸」という言葉を思い出してしまう話であります。こうした工作活動の存在を知らなかったことにして無機的な数字を集計して「民意」だとして発表されたら堪りませんなあ。


文書では「高校無償化闘争」についてのDVDなどを積極活用して民主党の地方組織や地方議会へも強く働きかけるよう求めている。さらに、活動結果について「5月29日」「6月26日」「7月10日」「7月31日」と期限を指定して報告ノルマを課し、集めた署名数のほかホットラインへの電話回数も報告を指示している。

■『週刊新潮』7月22日選挙特大号に似たような話が掲載されていたのを思い出しましたぞ。題して「大量の怪文書でも山教丸抱え輿石東」という記事で、「あと数日、投票日が先だったら輿石さんは間違いなく負けていた」との地元記者の発言に続けて、次のような県内のベテラン教師の証言が出ているのです。「今回の選挙でも電話作戦を行うための個票と呼ばれる後援会カード集めをさせられました。まず選挙が始まる前に30票を集めるようノルマが課され……投票日の3日前になって翌日までに1人、個票を5人分集めろとの指示が下りました」という何処かで聞いたような内容なのであります。


……同省によると、ホットラインには「朝鮮学校にいつ無償化が適用されるのか」「一日も早く適用してほしい」との意見が実際に寄せられており、「正確な数は集計していないが、少なくない」(文科省担当者)という。なりすましについて、担当者は「匿名の電話が多く、時間帯で電話を受ける職員が代わるため、同じ人物が電話してきても分からない」と話した上で、総連による動員については「コメントしかねる」としている。
2010年6月13日 産経ニュース

■『外国人参政権』の法案が通ってしまったら、その後に何が起こるのだろう?と想像するのには大いなるヒントとなりますが、組織的なナリスマシ運動の存在を知ってしまうと、次のような動きの裏にも何かが隠されているのではなかろうか?と邪推したくもなります。

金賢姫訪日の裏? 其の壱

2010-07-22 16:32:44 | 教育
■「元工作員」「元死刑囚」とテレビ局によって肩書きが微妙に違っているものの、どこも総力取材でワイドショーとニュース番組で使い回せる旨みに引かれてテレビ各局はお祭り騒ぎのようなのですが……。

■参院選で落選した身で閣僚の椅子に座り続けている日本の法務大臣は案外と意気軒昂で、『夫婦別姓法』の実現に向けて鋭意努力中との報道があるようです。参院用に急増されたマニフェストからふっと消えていたので、民主党は「悪法3法案」の成立を断念したのか?と思った人も多いでしょうし、何よりも唐突に飛び出した菅新首相の「消費税10%」発言ばかりが注目を集めてしまったので、ますます話が核心からずれて行ったのは、もしかしたら新政権の肉を切らせて骨を断つ捨て身の謀略だったのかも?
 
■千葉景子法相は比例票を独占して生き残った社民党の福島党首と親しい弁護士仲間で、人権派の大きな看板を背負っているそうですから、民主・社民の連立が崩れても気脈は今でも通じていることになります。9月の代表選までの残留とも言われていますが、民主党は「悪法3法案」を秋の臨時国家に提出して強引に成立させるという選挙惨敗前に立てていたスケジュールを変更したという話は聞こえてきませんから、消費税の煙幕が晴れたら奇怪な法律案が怪しい部分連立の詐術によって成立してしまうかも知れません。

■悪法は他に『人権侵害救済法』と『外国人参政権』で、前者は警察や検察を越える強権を持つ「人権委員会」なる怖い組織が好き放題に暴れ回れるスターリン好みの法律だそうですし、後者は50万票とも言われる在日外国人の票を新たな組織票として取り込もうという政権与党のサモシサと浅はかさが生んだ妄想みたいな法律だとか……。「国民の信を問う!」と大見得を切って戦った選挙戦だったはずですが、普天間移設問題も「悪法3法案」もまったく争点にならなかったのは甚だ残念なことでありました。惨敗に終わった選挙の総括も怖くて出来ないほど弱り切った菅新政権であるはずが、有権者の目を逃れるように事態は着々と民主党の隠された真意を実現するように動いているようなのが気になります。
 

高校無償化に朝鮮学校を適用対象にするかどうかについて、川端達夫文科相は20日の閣議後の会見で「8月をメドに判定基準と判定方法を含めた方向性が出るものと思っている」との見通しを示した。……是非をめぐっては、同省が5月、この問題について議論する専門家会議を設置。拉致問題などから朝鮮学校への同制度の適用に反発する声が挙がっており、一方で朝鮮総連などが適用対象とするよう求める組織的工作活動を展開中であることが次々と明らかになっている。同省は専門家会議が議論する日程や場所、議論の内容を非公開で行っていた。
7月20日 産経新聞

■「5月に専門家会議を設置」「8月をメドに」と並べますと、普天間基地移設問題とピタリと重なる政治日程になっていることが分かります。鳩山サセテイタダク前首相の迷走が朝から晩まで報道される中で「5月決着」は予想通りにホラ話で終わり、「8月決着」も相手の米国側が聞く耳を持ってくれそうもないので早々と「11月」に先送りとか……。それに比べて朝鮮学校の問題は巧みに国民の目から隠れて予定通りに事が進められているようで、民主党が本気で取り組んでいるのがこちらの方だった!と気づいた時には手遅れかも?

苦し紛れの選択 其の弐

2010-07-18 09:02:36 | 外交・情勢(アジア)
■韓国側が諸手を挙げて大歓迎することが最初から分かっている事を仕掛けて外交上の成果だ!と言い張るおつもりか?!そんな能天気な外務省の背中に米国からの冷たく厳しい視線が突き刺さっておりますぞ! 
 
沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、日米両政府は15、16日、同県名護市辺野古に建設する代替施設の位置や工法を決める専門家協議をワシントンで再開する。……第1回専門家協議は6月21日に東京で開かれたが、参院選のため中断していた。……第1回協議で、日本側は「11月28日に沖縄知事選があり、それ以前に一つの案に決めても、沖縄の理解を得られる保証はない」などとして、8月末の段階では、複数案の併記にとどめることを提案。だが、米側は「11月中旬のオバマ大統領訪日に間に合わなくなる」などとして、一つの案に決めるよう求めたという。米側には、参院選の大敗により、「菅政権は5月の日米合意を本気で実現できるのか」という疑念も生じている。……参院選の比例選では、県外・国外移設を求める社民党が沖縄県内で最多の約12万票を獲得するなど、県内移設への反発の強さが改めて鮮明になった。調整は仙谷官房長官が中心になる見通しだが、「長官が動く状況ではない。専門家協議の行方を見守るしかない」(首相周辺)状態だ。
7月15日 読売新聞

■だらだらと「専門家協議」を続けさせた揚句に腰が引けた玉虫色の結論を受け取ったところで前の鳩山サセテイタダク首相が点火して爆発した沖縄の怒りは収まりそうもありませんし、米国も呆れ返って交渉の席を蹴ってしまうことでしょう。今回の参院選の総括をして菅新首相の「消費税」発言にすべての敗因を押し付けると同時に、返す刀で前総理の「独り言」を全面的に否定して切り捨てたらどうでしょう?御本人は政界引退を匂わせるような発言をしているようですが、思い切って党を除名するくらいの迫力を見せないと米国側は「それなら普天間」と言い続けることになるかも?

■党を追放された前総理が菅新首相の前例に倣って頭を丸めてお遍路姿で徳之島から沖縄本島をお詫び行脚でもして見せれば、沖縄の混乱も収拾の方向に動くかも知れませんし、そのままの姿で沖縄からグアムとハワイを経由してワシントンに飛び、日焼けした坊主頭の前首相が素浪人の身でホワイトハウスの門前に立つ……そんな芝居がかったことでもジョークと勘違いして平気で実行できるところが、前首相が持っていた唯一の長所だったような気がするのですが点。
 

鳩山由紀夫前首相が北海道苫小牧市の地元後援会幹部に対し、次期衆院選には出馬しないとした政界引退の方針をいったん撤回し、2011年4月の統一地方選まで結論を先送りする考えを伝えたことが17日、分かった。……鳩山氏は同日、苫小牧市で開かれた後援会会合に出席。後援会側が引退表明について「地元は納得していない。熟慮してほしい」と再考を求めたのに対し、鳩山氏は「少し熟慮が足りなかった。来年の統一地方選までをめどに結論を先延ばししたい」と応じた。
7月17日 時事通信

■「地元」というのは有難いものでございます。でも、日本全体から見ればちょっと迷惑な話ではあります。出馬を断念する旨の発言には「自分の影響力が残る」ことを懸念する言葉が混入しているのには唖然としたものですが、後の週刊誌報道などによると不実記載問題で表面化した鳩山家からのお小遣いを貰っている「鳩山グループ」へのお手当ては引き続き支給され続けるとのことで、前総理御本人が何処で何をしていようと何の「影響」もないとか……。それにしても地元の後援会の人達は何を期待しているのでしょう?東京生まれで東京育ちの世襲議員を「地元の誉れ」と言い張ると、よほどの利益があるのでしょうか?不思議な話であります。

■自民党を飛び出して参院選に敗れ、行き場を失った舛添さんは東京都知事の地位を狙っているという噂があるようですが、前首相も北海道知事にでもなって地元から得意の?ロシア外交を側面から進める余生を送るという選択もありそうです。勿論、北海道民の賛意が得られればの話ですが……。

苦し紛れの選択 其の壱

2010-07-18 09:01:22 | 外交・情勢(アジア)
■参院選で惨敗を喫して意気消沈している暇もない菅新首相は、急にマスコミ相手に多弁になったとかで党内から噴き出す悪口雑言を背中に受けつつも、本気で「長期政権」を実現しようと「V字回復」の夢よ再びと、しぶといところを見せ始めているのですが、政治は一瞬の停滞も許されない仕事であります。敗戦の元凶とされる「消費税問題」も、政治とカネの問題の象徴扱いされている「小沢問題」も、下手なことを言って火の粉を浴びたりしないようにしばらくは傍観に徹している心算でしょうが、相手のある外交政策は誤魔化しようもなく約束通り・予定通りにどんどん進んで行きますから、政治的に満身創痍の首相が寝たふり・死んだふりしていても物事は勝手に転がり続けているのであります。
 
■笛吹働爺酸から頂いた『まったくねぇ』のコメントにも書かれていました通り、日本の外交史に禍根を残した「村山談話」を越える?謝罪作文を特に韓国向けに準備しているようですなあ。参院選向けの新しいマニフェストから忽然と消えた3大悪法のうち「外国人参政権」に関しては、2008年2月に当時の小沢代表が李明博・韓国大統領に「実現に向け努力する」と約束した折、代表代行だった菅さんも同様の発言をしておりますから、不思議なくらいにこの点に関しては親小沢と反小沢の対立は無いわけで、見事にネジレた国会で善法さえも通せず、悪法となったら提出するのも憚(はばか)られる状況の中、「外国人参政権」が当分の間は実現しそうにもないので、その埋め合わせに奇怪な「談話」を発表しようと誰かさんが大真面目に考えているのでしょうなあ。

■この法案に最も熱心に取り組んでいるのは会員数50万を誇る「民団」だそうで、大勝した総選挙でも今回の参院選でも組織を挙げて民主党候補を応援して貰った恩義もあると、誰かさんなら考えても不思議はありません。でも、参院選の大惨敗を見れば、仮に法案を成立させて50万票を取り込んだとて焼け石に水だと思うのですが……。


仙谷由人官房長官は16日の記者会見で、8月29日に迎える日韓併合100年に際して、菅直人首相の「談話」発表を検討していることを明らかにした。……16日付の韓国紙、朝鮮日報は日本政府が首相名の「謝罪談話」の発表を検討中だと報じたが、仙谷氏は「どうするか確定的なことは考えていない」と述べるにとどまった。……仙谷氏が7日の記者会見で、1965(昭和40)年の日韓基本条約とそれに伴う協定で「完全かつ最終的に」解決済みの個人補償請求問題について「法律的に正当性があると言ってそれだけでいいのか」と見直し検討を表明した。岡田克也外相は14日付の韓国紙、東亜日報と中央日報のインタビューで「将来のことだが、日韓共通の歴史教科書をつくることが理想的だ」と発言している。

■こういう発言が続々と出て来るようだと、参院選の敗因を菅新首相の唐突な「消費税引き上げ」発言だけに求めて総括とするのは大いなる欺瞞だということになりそうです。内閣官房が強い思い込みを文章化して先走った「談話」を発表した上で「日韓共通の歴史教科書」を急造するつもりなら、さっさと第三弾のマニフェストにしっかり本音を正々堂々と盛り込んで3年後などと言わずに国民の信を問う解散総選挙をするべきでしょう。


こうした菅政権の姿勢を背景に韓国内では日本による新たな賠償、謝罪や反省の表明への期待が出ている。日本の侵略と植民地支配を謝罪した平成7年8月の「村山談話」と同様の談話を求める声もある。5年8月には当時の河野洋平官房長官が慰安婦問題で、韓国側の強い要請もあり、資料的な裏付けが一切ないまま慰安婦募集時の強制性を認めた「河野談話」を発表したことがある。これがかえって海外で「日本政府が公式に強制連行を認めた」と誤解され、不名誉なイメージを広めた。政府には慎重対応が求められる。
7月17日 産経新聞

■また、あの大騒ぎが起こるのか?とげんなりする話ですが、アノ自社連立時代をまともに総括も反省もしていない自民党にも困ったものですが、それを良いことにして更に愚かな屋上屋をかけるような公的文書を発表するのは如何なものか?

安請け合いと先送り

2010-07-16 10:41:14 | 外交・情勢(アメリカ)
 ■前の鳩山サセテイタダク首相は辺野古移設問題で、マニフェストに書かれていない「最低でも県外」という自分自身の発言で自滅して、最後は「次の総選挙には立候補しない」と自らの政治生命を絶つ宣言までするハメになりましたが、今度の菅新首相はこれまた新しいマニフェストで匂わせていた消費税引き上げを不用意に口にしたばかりに、藁をもつかむ思いで匂いさえも無かった「還付制度」などを持ち出して自分が掘った墓穴をどんどん深くして行きましたなあ。

■両者の違いは自分の勝手な思い込みで迷走したのが鳩山サセテイタダク首相で、官僚に洗脳されて踊らされたのが菅新首相ということになりそうですが、政権を継承した関係で両者を強く結び付けているのは沖縄の普天間基地移設問題でしょう。参議院選挙で、不思議なくらいにこの問題が取り上げられなかったのは、前政権が5月下旬に日米共同声明を発表していたからだと思われます。しかし……。


日米が沖縄県名護市辺野古への代替滑走路建設で合意した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設で政府は14日、両国の専門家協議で8月末までに決める滑走路の具体的な場所や工法について、結論を一つに絞り込まず、複数案とする方向で米側と調整に入った。結論を限定すれば、沖縄側に「押し付け」と受け取られる懸念があるため、柔軟な対応で臨む。……日米は、5月の共同声明で8月末までに専門家レベルで結論を出し、秋に開催する両国の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で決定するとしている。……9月12日には名護市議選、11月28日には県知事選が予定される中、日米専門家協議での結論を押し付ければ、地元から「頭越し」との反発を招き、移設が一段と困難になると判断した。 
7月15日 時事通信

■国民新党との間で「郵政改革法案の成立を期す」と文書で約束しておいて1週間で裏切った菅新首相ですが、相手が米国政府・米軍となりますとニヤニヤしている場合ではありませんぞ!まあ、沖縄全土で反米運動が起きるのを極度に恐れている米国側から「現地の合意が最重要」とお墨付きを貰っているとは言え、参院選で自前の候補者を立てられなかった沖縄で近く行われる地方選挙の結果に怯える菅新政権は、立派に前政権の板挟み・袋小路外交を継承しているわけです。ご本人はしぶとく粘って、雨が降ろうと槍が降ろうと、何が何でも政権にしがみつく決意が固いそうですが、その間中ずっと移設問題が先送りされることにでもなれば、世界で最も危険な普天間基地は存続し続けることになりそうです。最悪の場合、菅ネバネバ内閣がもたもたしている間に再び嫌な墜落事故でも起こったらどうするのでしょう?

■米側に「複数案」を提示すれば共同声明に反することはなく、沖縄の人達にも一方的に押し付けることにはならない……そんな事を考えるのは官僚仕事の典型と申せましょう。菅新政権の草冠はとうの昔に取れて何処かに落として来たという悪い冗談が本当になっているのかも知れませんなあ。ちょっと古い話になりますが、新政権が発足してから20日ほど後、6月27日のことであります。


菅直人首相は27日夜、カナダ・トロント市内でオバマ米大統領と約30分間会談した。焦点の米軍普天間飛行場移設問題について、両首脳は、同県名護市辺野古周辺に移設するとした5月の日米共同声明を堅持し、具体化へ協力していくことで一致。大統領が訪米を招請したのに対し、首相は9月の国連総会に合わせた訪問を検討する考えを伝えた。……

■就任直後の6月6日にもオバマ大統領と電話会談をしている菅新首相ですが、『週刊現代』7月10日号によると「事前に外務省に想定問答を作らせ、その範囲内での会話しかしなかった」そうですから、たった半年間の財務相時代に財務官僚ばかりでなく外務官僚にも取り込まれていたのかも知れません。電話会談をした6月6日時点では法律上はまだ財務相だったのですが……。


……首相は日米同盟関係について「日米関係をさらに深めることとしたい。日本の中でも大いに議論したい」と表明。大統領も「日本の安全、米国の安全のみならず、地域の安全に不可欠の役割を果たしている。その時々の情勢に合ったものにしていくことが重要だ」と指摘。日米安全保障条約改定から50年を迎えた今年、両国の同盟関係を深化させることで合意した。……日米共同声明は、代替施設の詳細な位置や工法に関する専門家による検討作業を8月末までに完了させると明記している。これについて首相は「実現に向けて真剣に取り組んでいきたい」と伝えるとともに、「沖縄の負担軽減のため、米側の協力をお願いしたい」と要請。大統領も了承した。……
2010年6月28日 時事通信

■「日米同盟の深化」は鳩山サセテイタダク首相も繰り返して語っていたものですが、その中身が普天間基地を沖縄から蹴り出すことだったのですから、菅新首相は中身が違うことを明言しておく必要があったはずです。「代替施設の詳細な位置や工法」を決めるという約束の中身が「複数案」だったと分かったら、相手はどう思うでしょう?一つの計画を作るのも大変なのに、「詳細な複数案」を作るのに要する労力は想像を絶するものになりそうです。共同声明の文面を素直に読めば、今年の8月末には設計図が完成して工事予定と完成時期もはっきりするものと思ってしまいます。それは誤解だ!と菅新首相は米国側に言わねばなりますまいなあ。

 
仙谷由人官房長官は15日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場移設問題で、代替施設の位置や工法に関し、11月のオバマ米大統領の来日時に最終合意する可能性について「交渉事について、今からお尻を切るとか切らないという話ではない」と述べ、否定的な考えを示した。仙谷氏は……「誰が決めたのか。11月に(大統領が)来るからという連想ゲームの世界ではないか」と述べた。……8月末までに代替施設の位置や工法に関する専門家による検討を完了することが明記されており、両政府は15日に米ワシントンで外務、防衛担当課長らによる実務者協議を再開する。
2010年7月15日 産経ニュース

■「連想ゲーム」とは思い切った言葉を選んだものですなあ。11月の大統領来日に至っても決着しないとすれば、8月末にまとまるはずの「詳細な位置や工法」は日米間で更にすったもんだの厳しい「交渉」をしなければならない代物になるという話になりますが、それもまた「連想ゲーム」なのでしょうか?元はと言えば先の総選挙で「政権交代」を望んで民主党に投票した多くの有権者は、愚かな「連想ゲーム」に酔って大間違いをしてしまったということなのかも?

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怪しい参議院選挙 其の七

2010-07-15 16:39:39 | 政治
■民主党の大惨敗の原因は大恩ある?財務官僚の口車に乗せられて消費税率引き上げを唐突に言い出した菅新首相の軽率さに求められる風潮があるようですが、実際には政権交代が実現してからの10箇月間に見せ付けられた迷走と混迷に国民が呆れ果てていたからこその「ネジレ」国会の現出なのでありましょう。今に至っても菅首相は選挙公示日の1週間前という無茶な時期に「消費税10%」などと口走ったのか、その真意や経緯に関して何も語ろうとはしてないようです。言いたくても言えないトンデモない経緯と思い込みと錯誤があったのだろうなあ、と頑なな沈黙が心ならずも真相を語っているような気がします。

■ご本人が何も語らないのですから、仮説を立てて裏のストーリーを再構成してみる必要がありそうです。最も気になるのは『其の伍』でも書いた通り、菅首相が「消費税10%」を表明したのが6月17日で、同日に民主党政調会長兼特命相の玄葉光一郎さんは「最速の場合、2012年秋」と明言している点です。『週刊新潮』7月1日号には会見当日に菅新首相から「表明」の通告を受けた玄葉さんは「引き上げの時期だけは明言しないでください」と釘を刺しておいたという話が出ております。「10%」は自民党案に抱き付く形にして責任を丸投げ出来ると判断したのなら、選挙を甘く見ていたことになりましょうなあ。

■菅新首相が「表明」を決断したのは財務官僚に洗脳されただけでなく、大手新聞社が挙って「消費税引き上げが必要だ!」と大キャンペーンを張っていた事、そして、国民の6割が「引き上げ已む無し」と考えているとの世論調査が出ていた事が追い風になったと思われますから、財政危機の説明を枕にして本題を「引き上げ」だけに留めておけば、火に油を注ぐような「還付制度」のヨタ話を振り回す必要も無かったのかも知れません。

■首相に「10%」と言わせて、事実上の消費税担当大臣とされる玄葉さんが引き上げの時期を「2012年秋」と言う役割分担があったのかどうか?今となっては、その有無を詮索しても詮無いことでしょうが、何故「2012年」なのか?という問題は重要です。その年に何が起こるのか?マヤ文明で使われた長期暦が2012年12月21日~23日で終わっているという話をモチーフに『2012年』という世界終末映画が少し前に話題にはなりましたが……。

■財務省やエコノミストの試算では、この年に団塊世代の年金受け取りと貯蓄取り崩しが同時に始まる!という恐怖のシナリオが浮かび上がるのだそうです。そこに政権交代後も積み増され続ける国債の国内消化余力の限界点が重なると……。勿論、菅新首相が財務大臣として出席したG7の会場で主要課題とされた「ギリシア問題」が連想されるという話の流れになります。玄葉さんは入閣する前は衆議院財務金融委員長を務めていて、その時期に財務省と日本の「2012年問題」をねちねちと相談していたらしいのです。従って、菅新首相の責任問題をあれこれ騒いでいる暇があったら、こちらの問題の真偽を大急ぎで検証し直すべきではないでしょうかな?もしも、「増税が第一」の官僚群が玄葉さんを洗脳するために作り出したフィクションだったりしたら、これは本当にエライことですからなあ。

■ギリシアが国家破綻した時には、日本のマスコミが大騒ぎして、あれこれと恐ろしげなシミュレーションを作って怖がらせてくれたものですが、財務大臣を経験した菅新首相の口から、この選挙期間中には一度も具体的な危機の内容は語られていなかったような気がします。だからこそ、「消費税10%」発言が一人歩きして何が何だか分からないことになったのでしょう。

■『週刊ダイヤモンド』7月10日号の特集「消費税 ウソ/ホント」の第二部に「裸の日本財政」というリポートが掲載されていて、第一生命経済研究所の熊野主席エコノミストという人が恐ろしいことを言っています。


……海外投資家の保有率は確かに6・4%にすぎないが、額にすれば35・7兆円となる。もしなんらかのショックでこれがいっせいに売却されたとき、国内の投資家は吸収し切れるのか。むしろ、同調して売るというリスクはないのか……

■サブプライム問題からリーマン・ショックまで、金融ビジネスの詐欺性や非人間性を嫌というほど見せ付けられていますから、カネの亡者たちの中には国家を破綻させても自分だけは売り抜けて儲けるぞ!という心積もりの人が多いだろうと推測されますから、確かに民主党以上に惨敗した国民新党の亀井さんが言う「日本とギリシアは違う」という御高説を信じ切れない面がありますなあ。「グローバル経済」という怪物が世界を一つにして暴れ回っているのですから、日本の国債だけが鎖国政策で守り切れるかどうか?きっと菅新首相は「守り切れない!」と何処かの時点で信念を持ったのでしょう。大勝したみんなの党が掲げる成長戦略が看板倒れの張子の虎なのか?民主党が慌てて作った成長戦略は実現可能なのか?

■結局は政治家個人の保身・延命の方策でしかない「政界再編」などの狸の皮算用をして選挙後の政局談義をしているよりも、菅新首相の「表明」の裏側と源泉を探った方が、日本の将来を考えるには実りのある結果が少しは見つかるかも知れませんなあ。

怪しい参議院選挙 其の六

2010-07-10 12:50:46 | 政治
■選挙が近づくに連れて大新聞が足並み揃えて「消費税率上げ已む無し」の論陣を張った裏の事情を、これまた『週刊ポスト』が「血税200億円を貪る大新聞・テレビ「選挙ビジネス」」という実に貴重な情報の缶詰のような記事を掲載しております。腐っても鯛、税金から回される公的選挙費用の最高額を使い放題できるのは政権与党で、かつての小泉政権の時代には「郵政民営化に反対する週刊誌に選挙広告など載せるな!」とプレスリー首相は激怒したという話も紹介されています。

■投票行動を決める重要な情報源として真面目に読んでいる新聞紙面の裏側に「読者より広告主が大事」という不真面目な打算が隠されているとしますと、新聞の「増税已む無し」キャンペーンは財務省に取り込まれた菅首相の御機嫌を損ねないように細心の注意を払っている姑息で卑屈な営業方針が優先していることになりますぞ。同記事によりますと、長引く不況の中で広告費は半分に値切られるのも珍しいことではない状況の中、税金で発注される政府広報は値切られる心配は無く、選挙広告ともなると水増し発行部数を最大限にアピールして掲載料を通常料金の何倍にも吊り上げてボロ儲けしているとか……。だから、ついつい選挙前には週刊誌の記事が生き生きして来るような気がするのも不思議ではないのかも知れません。

■財務省に騙されて「勇気ある発言」をしてしまった菅首相の悪口ばかり取り上げるのは偏見になってしまうので、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の成長戦略にも注目してみましょう。


2010年6月18日に閣議決定した今後10年間の経済運営の指針となる新成長戦略は、「環境・エネルギー」「健康」「アジア経済」「観光」の主要4分野で123兆円の市場と500万人の雇用を創出という大風呂敷を広げた。菅直人首相が打ち出した「強い経済」実現に向けた具体策という位置付けだが、11年度中に消費者物価上昇率をプラスへと転換してデフレを終結させ、期間中の名目成長率を3%と見込むなど、実現性を疑問視する声が早速出ている。

■菅新首相と言えば、年末の「派遣村」が出現した時のことだったと思いますが、派遣切りに遭って難渋している人達に対して「介護の仕事」を斡旋しようとしていた姿を思い出します。その頃には、既に介護ビジネスを成長産業にするという乱暴で危険なプランを誰かさんから吹き込まれていた可能性が高そうです。「介護の仕事」を誰にでも出来る簡単なものだと思い込んでいるかのような当時の副総理だった菅さんの発言に、すぐに現場から「アホかいな!?」と嘲笑と溜息が混ざった非難の声が上がったことも記憶しておりますが、菅新首相の耳にはまったく届いていなかったのかも知れませんなあ。

■新成長戦略の主要4分野のうち、まず気になるのは「アジア経済」と「観光」です。これはチャイナの経済力に全身で寄り掛かろうとする戦略なのでしょうが、これはちょっと危ない。事実、7月6日の東京市場で9100円台を割るという大事件が起こったばかりで、その原因は北京政府が日本の赤字国債を大量に購入するかも?という噂レベルの報道だったようですから、これからもどんどん国債を発行してバラマキ政治を続けようとする現政権の底意を見透かされたら日本の命運をチャイナに握られるかも知れませんからなあ。「観光」はもっと生々しい話で、チャイナからのお客様の蛮行で多大な迷惑を蒙っている現場から悲鳴が上がっていることを菅新首相はまったく知らないのでしょうか?この件は『週刊新潮』最新号に記事があります。


戦略は、主要4分野に「雇用・人材」「科学・技術」「金融」を加えた7分野について330の施策を提示。これらの実現を通じて、20年度までの平均で名目3%、実質2%の経済成長と、失業率を3%台へ低下させるとした。330の施策のうち、重要な21施策を「国家戦略プロジェクト」と位置づけ、10、11、13、20の各年度に分けて実現に向けたスケジュール(工程表)を作成。「期限とゴールを設定し、退路を断つ」(経済産業省幹部)ことで確実な目標達成を図るという。最大の目玉が、法人税の引き下げ。日本企業の競争力を強化するためとして、法人税の実効税率を現在の約40%から「主要国並みに引き下げる」と明記した。経産省は「25%をめざすということ」と解説する。

■財界からの強い注文を受けて「法人税減税」が先に決まり、その穴埋めとして消費税の引き上げが出て来たと共産党あたりが盛んに攻撃していますが、要は新戦略にどれほど規制緩和の具体策が含まれているか?というのが成否を分けるということでしょう。財務省に取り込まれてしまった菅新首相が、少なくとも経済産業省だけは「洗脳」していることを祈るしかないのですが……。


もう一つの目玉がインフラ輸出。首相がトップの「国家戦略プロジェクト委員会」(仮称)を設置し、アジアを中心に原子力発電や新幹線、水などのインフラ輸出を官民が連携して推進、20年までに19兆7000億円の市場獲得を目指すとした。新成長戦略は国家戦略室が中心になってまとめたが、実働の柱は経産省。実は2009年末、今年度予算編成で空前の税収不足に陥り、国債が税収を上回るという財政の危機的状況が明らかになり、「経済のパイを増やしていく道筋を示さないと国会の予算審議が持たない」(内閣府筋)として、当時の菅副総理兼国家戦略相の掛け声で「新成長戦略の基本方針」をまとめた。

■何のことはない。国会対策のための「作文」だったのかいな?と意地悪く突き放すには、その内容は重大過ぎます。主要4分野に加わる「雇用・人材」「科学・技術」「金融」は、すべて教育政策に直結するテーマばかりですが、民主党政権からは信頼できる教育政策が聞こえて来ません。まあ、全国の日教組ネットワークに選挙運動を支えて貰っているから仕方がないのでしょうが……。


……「経産省が実質的に材料を提供した」といい、さらに、今回の決定に向け、産業構造審議会(経産相の諮問機関)で議論し、6月1日に「戦略5分野で149兆円の市場と258万人の雇用創出」というビジョンをまとめ、これに国交省、総務省などの観光、通信などの分野の取り組みもくわえ、新成長戦略に仕上がった。

■それなりの人材を結集して仕上げたのでしょうが、どうも、やっつけ仕事の感は否めませんなあ。


……「政治主導」の流れで、数字はかなり荒っぽいものになった。09年末、事務方がそれなりに施策を積み上げてまとめた「20年度まで平均名目2.4%成長、20年度の名目GDP600兆円」という数字を、菅氏の「50兆円足せ」という鶴の一声で20年度GDP650兆円、20年度まで平均名目3%成長」という「現実離れした数字」(内閣府筋)になった。

■鶴の一声ならぬ「菅の一声」で下駄を履かせて景気のよい話を装ったということなら、管轄する各省庁は本気で取り組もうとはしないでしょう。鳩山内閣発足当時、何も仕事をしていないと揶揄された国家戦略室に籠もっていた時に素案が生まれたのか?財務大臣に横滑りしてエリート官僚から「教育」を受けている間に構想が生まれたのか?どちらにしても発表のタイミングは唐突で、選挙前の景気づけとしか思えない拙速さを感じますなあ。


……法人税については、経産省が目指した、来年度に5%程度先行して引き下げるとの方針が、最終的に新成長戦略に書き込めなかった。財務相だった菅氏が首相に就いたことから「財務省の姿勢が強硬になった」(経産省筋)。野田佳彦財務相は早速、「税率や時期は政府税調で論議していく話だ」と釘を刺している。マスコミなどの論評も、法人税引き下げを含め、新成長戦略を実行するための「財源確保に難しさ」(日経)、「財源めど立たず」(朝日)、「財源確保、道険しく」(毎日)など、一斉に疑問符をつけた。菅首相は、増税で成長分野に金を回して経済成長を実現するという「第3の道」を提唱する一方で、「消費税引き上げで財政再建」を表明したため、「成長と財政再建と税制の関係を整理して説明する必要がある」(エコノミスト)と指摘されている。
2010年6月30日 J-castニュース

■この「第3の道」について『週刊現代』7月10日号に面白い記事が出ております。「4年間は消費税の増税はしない」と早々に公言していた鳩山サセテイタダク首相に対して財務相に就任した直後の菅さんが「来年からでも消費税を上げるべきだ」と進言したという話です。

 
……この豹変の背後には財務省の執拗な洗脳とともに、一人の学者の存在があるという。その人の名は、小野善康大阪大学教授。菅総理と同じ東工大卒で、10年来の知り合いだ。……財務省内でもしばしば「小野理論」を説いているという。2月26日付けで内閣府参与にも就任している。その「小野理論」というのが「増税すれば景気がよくなる」というもの。……これは官僚が全知全能であるという前提条件の下でのみ成り立つ理論で、大学院生などがロジックの練習をするときに使う題材だ。賢い官僚が愚かな国民からカネを巻き上げ、賢く運用するから景気が良くなるという論理で……。

■「全知全能」と役人を煽てて「洗脳」したと自負している菅新首相には打って付けの興味深い?理論ではありますが、ちょっと前まで菅さんは「官僚なんて大馬鹿ですからね」と得意げに吹聴して歩いていた人ですから、一体、何処でどのようにして「小野理論」と馬鹿官僚とが結びついているのか?さっぱり分かりません。前総理と同様に、実際に財務大臣になって官僚の優秀さを「学べば学ぶにつけ」自分の官僚批判が浅はかだったと思い知ったということなのでしょうか?

怪しい参議院選挙 其の伍

2010-07-10 11:25:55 | 政治
■民主党は本当に苦戦しているようです。まあ、自業自得と言ってしまえばそれまでなのですが……。

民主党の小沢一郎前幹事長は8日、石川県加賀市内の公園で「参議院も自前で過半数がないと本当の改革はできない。今度の選挙が非常に大事だ」と述べ、民主党への支持を訴えた。小沢氏は、菅直人首相の消費税増税問題については直接の批判を避け、「(首相らから)『静かにしてろ』と言われてますけれども、静かに静かに皆さんにお願いを申し上げている」と語った。
2010年7月8日 産経ニュース

■何とも不気味な「静かなる男」になり切ったクラッシャー小沢の御言葉であります。「深く静かに潜行せよ」なんていうクラーク・ゲーブル主演の戦争映画もありましたが、民主党は党内の揉め事も選挙公約もぼやかしたり、蓋をしたり、一体、有権者に何を訴えたいのか、話を聞けば聞くほど分からなくなるように努力しているような印象が強くなっておりますなあ。芝居がかった抱き合い心中で幹事長の座を石持て追われたクラッシャー小沢が「静かに、静かに」と言葉を重ねているのですから、腸は今も煮えくり返っていることが分かりますし、裏側で何を仕掛けているのやら……。明日の選挙結果よりもその後の血で血を洗う離合集散劇の方が気になってしまうという、実に不思議な参議院選挙になってしまいましたなあ。


民主党の高嶋良充参院幹事長は8日、都内で開かれた会合であいさつし、参院選について「消費税問題がボディーブローのように効いて、(民主党に)非常に厳しい状況になっている。消費税は低所得者に重い負担を強いる税で『国民の生活が第一』を掲げる民主党が信頼を得られなくなっている」と述べ、消費税増税を提起した菅直人首相と党執行部の対応を批判した。
2010年7月8日 産経ニュース

■小沢グループの重鎮?付いて行きます下駄の雪と言ってしまったら身も蓋もありませんが、自民党の派閥全盛時代に比べて今の民主党のグループ間闘争は稚拙で陰湿な感じがしますが、そもそも、どうして民主党だけ「グループ」なのか?自民党とは違うイメージを作ろうとマスコミが工夫したトリックなのではなかろうか?と以前から怪しんでおります。ハイジャック犯を「よど号グループ」と無味無臭の名前で呼ぶ変な習慣と同じような不自然な感じがしておりました。まあ、野党時代には「グループ」の親分が首相候補になる可能性はほぼ皆無だったのですから、次期総理候補を担いで蠢いていた自民党の派閥とは性格が違うから、という理由も考えられますが、既に政権与党になったのですから、党内の権力闘争は伝統に従って派閥抗争として報道して貰った方が、候補者の分布状態やら当落結果から次の勢力図を考えるのにも便利で分かり易いと思うのですが……。


民主党の枝野幸男幹事長は8日、さいたま市で街頭演説し、菅直人首相の消費税増税発言について「首相は私以上にせっかちだ。何年も先のことまでいろんなことを言うので、この選挙は税金が争点だと勘違いする方がいるかもしれないが、民主党が勝ったらすぐにでも税金が上がるわけではない」と述べた。
2010年7月8日 産経ニュース

■はしなくも枝野幹事長は「何年も先のこと」と言ってしまったのですから、少なくとも10年以上の議論や準備期間は想定していないことは確かなのでしょう。「菅首相は財務省に取り込まれた」のか?「菅首相が財務省を洗脳している」のか?これまでの討論では渡辺喜美さんを筆頭に野党側の攻撃は激烈で、それを受けて立つ側の菅首相から聞かれる言葉は精彩を欠いている印象が強く、「言っただけ」「議論を始めるだけ」と発言は選挙当日に向かってどんどん後退して行き、6月22日に出た「公選ビラ」第1号と6月26日の第2号とを比較してみますと。


①消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始

②意志ある財政こそが経済や社会保障に好循環を生み出す

■という事になるのだそうです。①は意味が明快ですが、②は何度読んでも意味が不明で「官僚の作文だ!」と悪口を言われ放題なのも当然。『週刊ポスト』7月16日号の特集記事には「菅首相は間違いなく2年後「消費税10%」を強行する」という題名が付いていまして、その根拠になる事実をこれでもか!と並べてくれております。そもそも、菅首相が「消費税10%」を表明したのが6月17日で、同日に民主党政調会長兼特命相の玄葉光一郎さんは「最速の場合、2012年秋」と明言しているのですから、その後の菅首相がどんなに言い繕っても国民の「誤解」は解けそうにありません。

■同誌によると玄葉さんは衆院財務金融委員長だった時から「財務省と税制改正の国会スケジュールについて入念なシミュレーションを重ねてきた」そうで、その実施計画は菅首相に伝えられたからこそ、「勇気ある発言」と自画自賛して見せた菅首相の発表となったようです。また、税率を引き上げると金融機関のATMや商店のレジ、各企業の会計システムなど「膨大なインフラ整備」が必要になる故に「施行まで最低でも1年間の周知期間」が必要なのだとか……。


12年秋に実施するためには、遅くとも来年秋の臨時国会までに増税法案を成立させなければならない。逆算すれば、今回の参院選が終わればただちに税制改正論議をスタートさせて年末までに税制大綱をまとめ、来年の通常国会には法案提出しなければならない。

■というスケジュールが財務省→玄葉→菅首相のラインでしっかり確認されているからこそ、菅首相の口調は周囲が驚くほど自信に満ちていたのでしょうなあ。財務省側は勝海舟の曾孫で次期次官が確実視されているという勝栄二郎・主計局長が中心で、真砂靖・官房長、香川俊介・総括審議官という主計局出身ラインが「消費税増税の司令部」になっているとのことで、恐ろしいことに菅内閣を樹立するのにこのラインがフル稼働したそうで、それが本当なら「菅首相が財務省を洗脳している」可能性は消えて無くなってしまいますなあ。

■『週刊ポスト』には以下のような財務省中枢幹部の言葉が掲載されております。

 
「……国会で成立させるまでに一般的に3年は必要だとされる。衆院議員の任期はあと3年あるが、任期満了まで1年を切ると目の前の選挙が怖くなって増税は必ず潰れるから、今からやるとなると3年はかけられない。他の税制改正は後回しで消費税率だけ先に12年秋にあげるしかない。菅氏が正式に総理に就任する前、勝主計局長が“それでもやりますと”と腹を探ったところ“やる”ということだった」

■菅首相の口から官僚批判や「脱官僚」の言葉がぱったり聞かれなくなった時期を思い出すと、ポスト鳩山の目が見えて来た頃と一致しているのですから、やはり、「財務省に取り込まれて」しまったという話は本当だということになりそうです。