旅限無(りょげむ)

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変なCMを考える

2006-03-17 00:44:46 | マスメディア
■世の中は何でも宣伝になるそうで、ホリエモンがその代表例ですが、マスコミが好みそうな騒ぎが有れば先回りして待ち構えていれば、必然的に顔と名前が売れるわけです。恥や慎み深さが無くなった日本を憂えた藤原正彦さんの新書が売れているという事は、本当に日本には恥知らずが大量に増殖した証拠なのでしょう。朝から晩までテレビ画面に脂ぎった顔を晒して悦に入っている人も居るようですから、昔はヤクザさんだけが顔を売っていましたが、今や、日本人は誰もが顔を売りたがっているようです。若い娘さん達は手段を選ばずにゲーノー人になりたがっているそうで、一番人気のオネエチャンがヘソを出したと聞けばヘソを出し、金髪になったと知れば後先考えずに金髪になるし、人目に付くのを嫌がっていた日本人は間も無く絶滅する雲行きですなあ。

消費者金融大手5社(武富士、アコム、プロミス、アイフル、三洋信販)が、4月からテレビCMの自粛時間を延長することが15日、分かった。テレビCMを多用しての宣伝が多重債務者を増加させる一因と指摘されるなど、社会的な批判が高まっていることに配慮した。5社は現在、午後5~9時のCM放映を自粛しているが、これを午後10時まで延長するほか、午前7~9時の放映も取りやめる。さらに、CMが集中している午後10~12時の時間帯を対象に、1社あたりの出稿量を制限する自主ルールも新たに導入する方針だ。
読売新聞 - 3月16日

■企業の名前と商品名を覚えて貰う事が第一義で、良い物を作るのは二の次になったら「物つくり日本」は御仕舞いでしょうなあ。バブルが崩壊した後のテレビには、目だって「金貸し」の宣伝が増えたようで、消費者金融の陰に隠れていた銀行が大手を振ってサラ金の真似事を始めると、朝から晩までテレビは「金貸します!」の連呼を続けているようです。都市銀行がしゃしゃり出てからは、「借りたらちゃんと返してね!」のダメ押しCMが目立って増えていますなあ。企業の体質が良く分かる現象です。「御利用は計画的に」の宣伝文句は定着しましたが、元々、収入と支出を「計画的に」バランスしている人間が、「金貸し」に頼るわけがないのですが……。


与謝野馨金融担当相は16日の参院財政金融委員会で、多重債務者問題の増加などで見直しが議論されている貸金業制度に関し「高い金利で消費を慫慂(しょうよう=勧奨=)するようなことが当たり前の社会であってはならない」と述べ、規制を強化する考えを示した。大手消費者金融会社や銀行がテレビCMなどで、借り入れを勧めている体質を批判した格好だ。時事通信 - 3月16日

■企業側には、無理な借金をする客の方が悪い!と言いたい気持ちが有るでしょうが、熱し易く冷め易い付和雷同の日本人ですから、サブリミナル効果などというややこしい事をする必要は有りません。真正面から同じフレーズを繰り返して呼び掛ければ、ついその気になる愚か者が沢山居るので、電話やメールを使った詐欺師達も大いに助かっているようですなあ。金融担当大臣が怒っていると知れば、金の出所の銀行は震え上がって「自粛」します。この素早さは大したものですが、バブルの土地高騰の時にも、最後の「総量規制」などという荒業を使う前に金融業界に警告を出しておけば良かったのに!


■どうしてこんなに日本人はテレビCMが好きなのか?というテーマも面白いかも知れませんが、基本的には東京発の情報に執着している地方出身者が常に感じている不安に付け込んで、「今、○○が大流行」の殺し文句で商売が成り立つからでしょうなあ。始めから効用など期待出来ない大衆薬が、テレビCMでは効果覿面(てきめん)の特効薬か万能薬のように見えますし、ドリンク剤などはまるで覚醒剤であるかのような演出が頻出します。スポーツ選手などが「効きます」などと語り掛けて来ると、「おいおい、ドーピングは大丈夫かい?」と画面に向って問い返したくなりますなあ。「ええ、大丈夫です。大した物は入っていませんから」とは答えられないでしょうけれど…。

■知らぬ間にテレビのCMを占領しているのが外資系の保険屋さんで、最近は成人病になるような豪勢な食材を「オマケ」に付ける健康保険が有るそうですなあ。それは悪い冗談でしょう?最近、売れなくなったなあと思える役者さんが、外資系の保険を熱心に売り込んでいる姿は、グローバル時代を教えてくれますなあ。酷いのは、ちょっと前までニュース原稿を真面目な顔して読んでいたような人が、これまた真面目な顔で保険商品を買わないと心配だ!と訴えていますぞ。あれは犯罪では無いのでしょうか?以前から、一滴も酒が飲めないゲーノー人が平気でビールの宣伝をしているとか、外車しか乗らない歌手が「マッチのマーチ」などとニッコリ笑うCMなんていうのも有りましたなあ。

■効くところによると、日本のテレビCMの出演料が世界でも一番高いのだそうですなあ。ろくに歌を歌わない歌手や、何の芸が有るのか分からないゲーノー人が大挙してCMに出演したり、米国の映画スターがひょっこり日本のCMに出ているのも、高額な出演料が物を言っているのだそうです。広告費が無駄にならないという事は、商品を選ぶ時に消費者はまったく主体性を持っていないという事を意味しますぞ。セールスの極意は、相手に商品を必要だと思い込ませる事だそうですから、詐欺ぎりぎりの商売というわけですから、これはご用心、ご用心。

■最初の「金貸し」CMが悪質ならば、「博打」のCMも変ですなあ。宝くじやら、サッカー籤、競輪に競馬、そしてパチンコ屋さん、全部博打です。宝くじのCMなど、「3億円~3億円~」と無責任な歌を流して宣伝していますが、あれも犯罪ではないのですかな?100万人に1人にしか当たらないような代物を、誰にでも当たるような宣伝をするのは詐欺でしょう?始めから綺麗なオネエチャンにプロがみっちり化粧して、名人級のカメラマンが撮影する化粧品のCMも相当のワルですなあ。痩せているとしか思えない女性が出て来るダイエット商品も罪作りですし、戦後の50年間、「白くなる!」洗濯洗剤を宣伝している洗剤会社やら、虫歯や歯槽膿漏が根絶するような事を言い触らし続けて数十年という歯磨き会社も有りますなあ。

■膨大な情報と鋭利な分析力を誇る広告会社が必死の思いで制作するCMですから、効果は抜群なのでしょうが、自分に必要な情報かどうかを見抜く力が無い者は、カモになり餌食にされるのが情報化社会で、テレビが日本一の詐欺師になる箱だという事を忘れない方が良いでしょうなあ。日本を良い国にしようと頑張っているCMも無ければ、本当に家庭の平和を念願しているCMも無いと思って楽しんで観ているのが無難でしょう。ボケ防止には、CM画面に向って即座に「ツッコミ」を入れるのが安上がりで効果も高いのではないでしょうか?特に意味は無いのですが、最近、ラジオを聴いていると新興宗教の宣伝が入るようになりましたなあ。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-03-29 11:21:56
最近、語り口が愚痴っぽくなってませんか?世の中悪いことを見たらキリがありませんが、それをどうしたら良くすることができるのかということを考えるのが大事なのではないかと思います。



こちらのサイトでいつも勉強させていただいてますが、少し気になったのでコメントしました。
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Unknownさんへ (旅限無)
2006-04-01 17:46:29
いらっしゃいませ。本当に良くお読み下さっているのですね。山籠もり、夜の静けさの中でじっと新聞記事を眺めていますと、どうも愚痴っぽくなります。ご指摘の通り、将来に向かって何をしようか、どう考えるか、そういう元気になれる内容が乏しいような気が、自分でもしておりましたのでドキッとしました。有難うございました。でも、ときどきは愚痴っぽくなるかも知れませんが、ご容赦下さい。本当に嫌な話ばかりが世の中に溢れていますなあ。これからも宜しくお願いいたします。
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