■菅アルイミ首相がスイスに乗り込んで「開国と絆」の初夢語りを楽しんでいる時、日本政府は予定されていた今春の首相による訪米を延期することをワシントンに連絡していたそうです。日米間の「絆」はどうなるのか?「開国」は米国との首脳会談もしないまま「6月まで」に交渉を開始してしまうのか?野党時代に国会優先を理由に閣僚の海外渡航を断じて許さなかった前科がありますから、今更、国会よりも外交が重要だ!とは言えない民主党に「国際公約」を守る能力と資格は有るのでしょうか?エライことになりそうな悪い予感がしますなあ。
菅首相は、オバマ米大統領と「今春」の開催で合意していたワシントンでの日米首脳会談を今国会閉会後の6月下旬まで延期する方向で検討に入った。……「ねじれ国会」のもと、2011年度予算関連法案の年度内成立のめどが立たないなど、国会情勢が極めて厳しいとの判断に基づくものだ。複数の政府筋が29日、明らかにした。政府はすでに、米側にも延期の可能性を非公式に伝えた。……首相訪米は、昨年11月に横浜で行われた日米首脳会談の際、オバマ大統領が「来年春に菅首相を米国に招待したい」と表明したことで決まった。首相は「招待を大変うれしく思う」と応じ、会談後の記者発表で、「来年春ごろの訪米の招待を受けた」と語った。……今年に入り、オバマ大統領の日程調整のため、5月の大型連休時のワシントンでの日米首脳会談実施に向け、非公式な打診があったという。しかし、政府内で検討した結果、5月の連休前後には国会審議と政局が緊迫し、首相が日本を離れるのは難しくなるのでは、との判断が強まった。このため政府は、「訪米延期の可能性がある」と米側に伝えたという。
2011年1月30日 読売新聞
■鳩山サセテイタダク前首相の代から「日米同盟の深化」のお題目は継承されているようですが、その内容はさっぱり見えて来ません。米中関係の方が経済優先で深化してしまったらどうするのでしょう?折角、日本の暦に合わせて5月の連休期間に会談をセットしてくれた相手に、内政問題を理由に一旦は応じた招待を断るとは何とも失礼な話であります。ネジレ国会の原因は昨年平成22年の7月11日に行なわれた参議院選挙で菅アルイミ首相が唐突に「消費税10%」と言い出して反発を買い、思い付きで変な条件を付けて迷走した結果の惨敗によるものです。従って横浜で日米首脳会談をした11月の段階で既に「国会審議と政局が緊迫」することは分かっていたはずです。日米首脳会談が成功するように先手を打って野党にも外交責任を押し付けておけば、少しは違った対応が出来たかも?御本人は「仮免許」時代の小さな失敗だと涼しい顔をしているのでしょうが、実に見っともない話でありますぞ。
■1月20日、奇しくも米中首脳会談と世界第2位が確定した中国のGDP速報と、菅アルイミ首相の初の外交演説とが重なるという椿事?が発生。勿論、三つのイベントの中で最も小さな扱いだったのは首相の外交演説でありました。既に誰も内容を覚えておりません。
……利害調整と対立回避をせめぎ合う米中主導時代のただ中にあって、日本はまさにその風を受けて立っている。しかし、菅演説には、そんな時代認識もリーダーの矜持も見受けられず、日本国民の菅首相への視線は、冷ややかに凍り付いたままだ。(久保田るり子)……異例の外交演説は、昨年以来の対米、尖閣、北方領土問題などで批判を浴びた失地回復、仕切り直しが目的で、「複数のアドバイスに基づいた」(首相周辺)秘策だったらしい。だが、新味はなく、「日米同盟が基軸」のお題目に終始した。菅首相が掲げた外交の柱は5つ。(1)日米基軸(2)経済外交(3)アジア外交の新展開(4)地球規模課題への取り組み(5)安保環境への的確な対応-だった。しかし、演説を聞いた専門家の間ではこう揶揄されている。
『お経はよく書けているが、お布施が足りないから御利益はないだろう…』「お布施」というのは対米関係修復への処方箋、「御利益」とは同盟深化の実効性である。……
■ただでさえ足りない「御布施」が首相の訪米延期で目減りして、ますます「御利益」が薄くなりそうであります。外交の五大柱の第一番目が「日米同盟が機軸」ならば、沖縄の基地問題を大急ぎで解決しておかなければなりませぬ。二番目の「経済外交」と三番目の「アジア外交の「新展開」いうのはTPPを包み隠しすための抽象的な表現でしょうし、四番目と五番目になると抽象化が過ぎて何のことやら、さっぱり分かりません。これだけ具体策が見えない柱を立てておけば、大失敗した時でも何とか言い訳が出来そうでありますなあ。とても政治主導の原則に従って導き出されたものではないような文言ばかりが並んでしまいました。
……24日の施政演説でも菅首相は「日米同盟の深化」を訴えていた。いずれも普天間問題の沖縄県民へのおわびとのセット。だが振興策など具体的な内容はもちろんなく、精神論に終始。これは前原誠司外相による国会の外交演説でも共通した。「能書きはいい。全部盛り込んだ。しかし、TPP(環太平洋戦略的経済連携)への参加もそうだが、問題はどうやって実践するんですか-ということですよ。国民も経済界も冷ややかでしょ。株価もほとんど動かなかった」(外交ウオッチャー)……
■この数年間の施政方針演説の中でも断然、面白くも可笑しくもない演説であったことは確かで、各役所から上がって来て紙をホチキスで綴じただけと悪口を言われていた自民党末期の演説でさえも、もう少し重みがあったような……。野党の闘士として与党の弱みを攻撃することで磨かれたらしい菅アルイミ首相の舌鋒の鋭さは、国民を感動させたり、野党さえも唸らせるような演説では使い物にならないようで、逆に慣れない「低姿勢」を取り繕うと単に卑屈なだけにしか聞こえず、それが露骨になると自分でも不愉快になるらしく、自分に歯向かうことは「歴史への反逆だ!」とか何とか、つい恫喝的な言葉を選んでしまいます。国連やダボス会議だけでなく、いよいよ国内の国会でも「誰も聴いてくれない」演説をしなければならなくなりますと、恐ろしくて選挙など絶対に出来ますまいなあ。
菅首相は、オバマ米大統領と「今春」の開催で合意していたワシントンでの日米首脳会談を今国会閉会後の6月下旬まで延期する方向で検討に入った。……「ねじれ国会」のもと、2011年度予算関連法案の年度内成立のめどが立たないなど、国会情勢が極めて厳しいとの判断に基づくものだ。複数の政府筋が29日、明らかにした。政府はすでに、米側にも延期の可能性を非公式に伝えた。……首相訪米は、昨年11月に横浜で行われた日米首脳会談の際、オバマ大統領が「来年春に菅首相を米国に招待したい」と表明したことで決まった。首相は「招待を大変うれしく思う」と応じ、会談後の記者発表で、「来年春ごろの訪米の招待を受けた」と語った。……今年に入り、オバマ大統領の日程調整のため、5月の大型連休時のワシントンでの日米首脳会談実施に向け、非公式な打診があったという。しかし、政府内で検討した結果、5月の連休前後には国会審議と政局が緊迫し、首相が日本を離れるのは難しくなるのでは、との判断が強まった。このため政府は、「訪米延期の可能性がある」と米側に伝えたという。
2011年1月30日 読売新聞
■鳩山サセテイタダク前首相の代から「日米同盟の深化」のお題目は継承されているようですが、その内容はさっぱり見えて来ません。米中関係の方が経済優先で深化してしまったらどうするのでしょう?折角、日本の暦に合わせて5月の連休期間に会談をセットしてくれた相手に、内政問題を理由に一旦は応じた招待を断るとは何とも失礼な話であります。ネジレ国会の原因は昨年平成22年の7月11日に行なわれた参議院選挙で菅アルイミ首相が唐突に「消費税10%」と言い出して反発を買い、思い付きで変な条件を付けて迷走した結果の惨敗によるものです。従って横浜で日米首脳会談をした11月の段階で既に「国会審議と政局が緊迫」することは分かっていたはずです。日米首脳会談が成功するように先手を打って野党にも外交責任を押し付けておけば、少しは違った対応が出来たかも?御本人は「仮免許」時代の小さな失敗だと涼しい顔をしているのでしょうが、実に見っともない話でありますぞ。
■1月20日、奇しくも米中首脳会談と世界第2位が確定した中国のGDP速報と、菅アルイミ首相の初の外交演説とが重なるという椿事?が発生。勿論、三つのイベントの中で最も小さな扱いだったのは首相の外交演説でありました。既に誰も内容を覚えておりません。
……利害調整と対立回避をせめぎ合う米中主導時代のただ中にあって、日本はまさにその風を受けて立っている。しかし、菅演説には、そんな時代認識もリーダーの矜持も見受けられず、日本国民の菅首相への視線は、冷ややかに凍り付いたままだ。(久保田るり子)……異例の外交演説は、昨年以来の対米、尖閣、北方領土問題などで批判を浴びた失地回復、仕切り直しが目的で、「複数のアドバイスに基づいた」(首相周辺)秘策だったらしい。だが、新味はなく、「日米同盟が基軸」のお題目に終始した。菅首相が掲げた外交の柱は5つ。(1)日米基軸(2)経済外交(3)アジア外交の新展開(4)地球規模課題への取り組み(5)安保環境への的確な対応-だった。しかし、演説を聞いた専門家の間ではこう揶揄されている。
『お経はよく書けているが、お布施が足りないから御利益はないだろう…』「お布施」というのは対米関係修復への処方箋、「御利益」とは同盟深化の実効性である。……
■ただでさえ足りない「御布施」が首相の訪米延期で目減りして、ますます「御利益」が薄くなりそうであります。外交の五大柱の第一番目が「日米同盟が機軸」ならば、沖縄の基地問題を大急ぎで解決しておかなければなりませぬ。二番目の「経済外交」と三番目の「アジア外交の「新展開」いうのはTPPを包み隠しすための抽象的な表現でしょうし、四番目と五番目になると抽象化が過ぎて何のことやら、さっぱり分かりません。これだけ具体策が見えない柱を立てておけば、大失敗した時でも何とか言い訳が出来そうでありますなあ。とても政治主導の原則に従って導き出されたものではないような文言ばかりが並んでしまいました。
……24日の施政演説でも菅首相は「日米同盟の深化」を訴えていた。いずれも普天間問題の沖縄県民へのおわびとのセット。だが振興策など具体的な内容はもちろんなく、精神論に終始。これは前原誠司外相による国会の外交演説でも共通した。「能書きはいい。全部盛り込んだ。しかし、TPP(環太平洋戦略的経済連携)への参加もそうだが、問題はどうやって実践するんですか-ということですよ。国民も経済界も冷ややかでしょ。株価もほとんど動かなかった」(外交ウオッチャー)……
■この数年間の施政方針演説の中でも断然、面白くも可笑しくもない演説であったことは確かで、各役所から上がって来て紙をホチキスで綴じただけと悪口を言われていた自民党末期の演説でさえも、もう少し重みがあったような……。野党の闘士として与党の弱みを攻撃することで磨かれたらしい菅アルイミ首相の舌鋒の鋭さは、国民を感動させたり、野党さえも唸らせるような演説では使い物にならないようで、逆に慣れない「低姿勢」を取り繕うと単に卑屈なだけにしか聞こえず、それが露骨になると自分でも不愉快になるらしく、自分に歯向かうことは「歴史への反逆だ!」とか何とか、つい恫喝的な言葉を選んでしまいます。国連やダボス会議だけでなく、いよいよ国内の国会でも「誰も聴いてくれない」演説をしなければならなくなりますと、恐ろしくて選挙など絶対に出来ますまいなあ。