旅限無(りょげむ)

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標的としての菅アルイミ首相 其の九

2011-07-31 08:14:25 | 政治
■「発つ鳥跡を濁さず」と申しますが、性悪な鳥は「後は野となれ山となれ」とばかりに水面ばかりか底の泥まで掻き回して泥濘状態にした上に大量の糞までひり出して飛び去るとか……。また、スカンク類が生息していない日本には「鼬(いたち)の最後っ屁」という傍迷惑な置き土産を表わす言葉もあります。福島第一原発からは今でも微量ながらも危険な放射性物質が放出されており、膨大な量の汚染水もじわじわと地下水脈に滲み出し刻々と海に向かっても移動中のようですが、菅アルイミ首相も事故を起こした原子炉に負けぬほどの「最後っ屁」を用意しているのだとしたら、とても心配なことであります。

菅直人首相が北朝鮮への電撃訪問を模索していることが25日、分かった。首相の意向を受けた民主党の中井洽元拉致問題担当相が21、22の両日、中国・長春で北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘に接触。中井氏は日本人拉致事件解決への進展を求めたのに対し、北朝鮮側は見返りを要求したもようだ。首相は拉致問題に進展の可能性が見いだせれば、自ら北朝鮮を訪問し交渉に臨む意向だ。日朝関係筋によると、中井、宋両氏は今春から、数回にわたり第三国で極秘交渉を行っている。日本側は拉致問題の具体的進展を求め、最終的には「日朝国交正常化と日朝首脳会談実現を目標」に協議しているとされる。これに対し北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」との従来の主張を繰り返し、可能なのは「日本人妻の帰国とよど号犯引き渡し」であることを示唆しているという。21、22両日の協議では、交渉の継続では一致したが、北朝鮮側は何らかの「見返り」を要求し、拉致問題の具体的進展は見られなかったもようだ。…… 

■これが7月25日付け毎日新聞の第一報で他紙も一斉に「極秘接触」を報じ始めると、中井下大臣はシドロモドロの弁解に終始する一方で、菅アルイミ首相は「まったく承知していない」としれっと否定。まあ、「極秘」ならば命を張ってでも白を切り通さねばならないのは当然なのではありますが、興味深いことに極秘協議が決裂したとされる22日の翌日、インドネシアのバリ島で開催されていたARF閣僚会議で松本剛明外相は北朝鮮の朴宜春外相を相手に08年8月の日朝実務者協議で合意した拉致問題再調査の早期実施を要求しておりまして、北朝鮮側が「日本は常に拉致問題を提起する。拉致は解決済みだ」と文句を言ったのを聞き流さず、松本外相は「拉致は依然として未解決だ」と受けて立ってちょっと揉めたのでした。本当は外務省にも極秘協議の情報が入っていて表の舞台で一矢報いて日本側から怒りのメッセージを送りたかったのか?あるいは外務省は完全に蚊帳の外に置かれていた事を察知して、菅アルイミ首相に対して「知っているぞ!」との陰湿な嫌がらせのメッセージを発信しようとしたのか?はたまた単なる偶然だったのか?

■就任当初から暫くの間は過去に異様な長命を保った中曽根政権の秘密・秘訣を探ろうと熱心に研究しているとの噂が流れていた菅アルイミ首相でしたが、自らの人望の無さ故にスタッフと人脈に恵まれず孤立を深めるうちにお手本を変えて、異様な人気を博した小泉劇場を意識し始めたと言われておりましたから、苦し紛れにトンデモない手土産を持って平壌を電撃訪問でもしなければ良いが……と心配する声もちらほら出ていたものですから、ああ、やっぱりと思って第一報を聞いた人が多かったはずです。


首相は、自らへの退陣圧力が強まると予想される8月上旬を目標に、北朝鮮側との合意を目指している。電撃訪朝による拉致被害者の一部帰還も視野に入れている。しかし、最近の対北外交をめぐっては、クリントン米国務長官が北朝鮮の金桂寛第1外務次官をニューヨークに招き、6カ国協議再開に向けた予備交渉を開くことを表明するなど、多国間交渉の枠組みが再スタートする兆しがある。このため、日本単独の対北交渉には政府内にも慎重論が根強く、「拉致被害者が全員帰ってくるなら別だが、政治パフォーマンスなら世論や党内の理解は困難だ」(外交筋)との批判もある。…… 

■財務大臣を経験しながら財政に疎い首相との評価がほぼ定まり、既に伝説の域に入っている薬害エイズ問題の解決も実際には前任の森井忠良(社会党)厚生大臣と配下の官僚たちの手柄だったのを強引に横取りしたんだ!と小泉首相の元秘書だった飯島勲さんにバラされてしまい、いよいよ能無し政治家の典型みたいな扱いを受け初めていた時に歴代首相の中では珍しい「理系出身」を全面に押し出して「原発に物凄く詳しい」首相として復活してみようと張り切ってヘリコプターで現場に乗り込んだら水素爆発!民主党で理系出身の総理大臣は二人目なのですから最初から期待はしていませんでしたが……。外務大臣の経験も無いのに小泉劇場の二番煎じを承知で北朝鮮への電撃訪問を本気で考えていたとしたら、これこそ「鵜の真似をする烏」との誹(そし)りを受けましょうなあ。交渉が決裂してまずは一安心というところでしょうか?


これまでの日朝協議では、福田康夫政権時代の平成20年8月に、北朝鮮による拉致問題の調査再開、日本による対北制裁の緩和で合意。しかし、福田氏の首相辞任や金正日総書記の健康問題を理由に、北朝鮮側が合意を一方的にほごにして以降、公式な政府間交渉は行われていない。中井氏の極秘交渉について、枝野幸男官房長官は25日の記者会見で「政府への連絡は特にない。事実関係自体、承知していない」と説明。伴野豊外務副大臣も「外務省としては事前に承知していなかったし、現時点でも一切関与していない」と述べた。
2011年7月26日(火) 産経新聞 

■瓢箪から駒が出ていればいの一番にしゃしゃり出て「都合のよい時だけの記者会見」をセットしたに違いない菅アルイミ首相がしらばっくれているのですから、失敗だったのは確かなのでしょうなあ。北朝鮮を相手に危険極まりないパフォーマンス二元外交を画策したとなれば一大事ですから天敵の産経新聞記者・阿比留瑠比さんも怒りの咆哮であります。


菅直人首相が水面下で北朝鮮訪問を画策しているのは、地を這うような低支持率を挽回し、さらなる延命を図る目的がある。首相としては、8月中に金正日総書記との年内の会談実施を発表できれば、たとえ退陣の3条件に挙げた再生エネルギー特別措置法案などがすべてクリアされても、首脳会談を政権維持の口実にできるとみているようだ。首相の延命のために、国家主権も拉致被害者の人権も踏みにじられかねない。……9月前半には訪米してオバマ大統領と会談し、同月21日からニューヨークで始まる国連総会への出席も検討。さらに、中国が辛亥革命100年の記念行事を予定する10月10日前後の訪中にも強い意欲を示す。そこには、国内の退陣圧力を「外交上の約束」を盾に乗り切るという意図が透けてみえる。また、北朝鮮訪問カードをちらつかせることで国民に拉致問題での前進の期待感を抱かせ、政権浮揚につなげる目的もある。…… 

■菅アルイミ首相としては外交分野で大きな業績を残せれば多少の延命をしても良いではないか?!と開き直って見せたい意地もありましょう。しかし、これまで外交に強いなどとは一度も聞いたこともないのですから、対米・対北京・対北朝鮮の外交で三打席連続ホームランを打ってみようなどと考える前に指導力の有るコーチを頼んでしっかり素振りの練習でもした方が良かったのに……。


平成14年9月の小泉純一郎元首相の初訪朝は、同年1月の田中真紀子元外相の更迭以降下落し、3~4割にとどまっていた内閣支持率を大きく押し上げた。このとき、北朝鮮側が日本に伝えた「5人生存8人死亡」という情報は不正確で不誠実な内容だったが、小泉氏の訪朝決断は高く評価された。「小泉氏を強く意識している」(周辺)という菅首相はこの政治手法に目を付けたとみられる。ただ、北朝鮮が「死に体」の菅政権に手をさしのべるとすれば、相応の見返りを期待してのことだ。実際、今回の交渉では北朝鮮側は拉致問題では色よい回答は示していないとされる。たとえ首相が訪朝を強行しても、日本側が外交的な「取られ損」に終わる可能性は高い。…… 

■徐々に危険水域に近付いている謎の迂回献金問題が事によると巡り巡って北朝鮮とのパイプ作りに役立っていた可能性も無きにしもあらずですが、韓国には歴史文書を「引渡す」と勝手に決めてしまった菅アルイミ内閣が北朝鮮には何を贈る心算だったのか?知りたいような知るのが恐ろしいような……。


小泉氏の初訪朝時には、当時の官邸、外務省幹部にも一部しか知らされないまま北朝鮮側に、国交正常化後に日本が実施する「1兆円」といわれる経済協力が提示されていた。北側はその後、拉致被害者の一部を日本に帰国させたのに約束の見返りは得ていないと日本側に不信感を募らせており、同じ金額では折り合おうとしないだろう。また、北朝鮮が仮に数人程度の拉致被害者の帰国を約束しても、首相が「拉致問題は解決した」との言質を取られてしまえば、重大な主権侵害かつ人権侵害である拉致問題はそこで立ち往生してしまう。さらに、これまで日本と協力し対北朝鮮包囲網を敷いてきた米国と韓国のはしごを外すことにもなりかねない。首相の延命欲のもたらす危険性は、もはや計り知れない。
2011年7月26日 産経新聞 

■平気で梯子を外して閣僚を窮地に陥れてしまう菅アルイミ首相ですから、米国と韓国の努力を水泡に帰すことになっても知らん振りしてしまいそうです。間違って平壌に降り立ったりしたら「小泉総理を越えた!」と一人悦に入って「拉致問題は解決」ぐらいのことは軽率に言ってしまいそうで怖いですなあ。拉致家族の皆さんの苦しみをまったく感じない特殊な思考回路自体に大いなる興味は湧きますが、政治家として必要な資質には非情な決断力も含まれるのでしょうが、菅アルイミ首相の残酷な鈍感さには別の冷たさを感じてしまいます。

標的としての菅アルイミ首相 其の八

2011-07-31 07:10:29 | 政治
■会見後の質疑応答も終盤に差し掛かり、いよいよ菅アルイミ首相はシドロモドロになってしまって得意の担当大臣への丸投げをしながら「責任」の連呼をして見せるのであります。

「……一つは日本ではもとより世界でも、複数の原発がシビアアクシデント(重大事故)に同時的に襲われると言うことは私の知る限り、初めてでありますし、そういうことを踏まえて、その時にですね、議論をしないでその後になって議論を始めるということは私は逆に不自然ではないかと思います」…… 

■複数の原発が同時的に重大事故を起こしたのは自民党政権が作って温存した「電源3法」という特殊な法律があったからで、高度成長期に取り残され経済発展が望めない自治体を莫大な補助金や交付金で懐柔し、俄か景気を偽造しては次々に原発を増設しなければ立ち行かない悪魔のスパイラルを仕掛けていたからでありましょう。高レベル廃棄物の最終処分場を作れないまま増設し続けたばかりに原子炉建屋内に使用済み核燃料を仮置きして問題を先送りしたことも致命傷となりました。それは日本だけの異様で特殊な政治の負の遺産なのですから、「原発に物凄く詳しい」菅アルイミ首相が「私の知る限り初めて」などと底の浅い知識をひけらかすような発言をしなくても誰でも知っていることであります。従って本気で「議論」するのなら原発の安全性を高めると同時に最終処分方法を急いで考えねばならないはずなのですが、民主党政権には荷が重過ぎるでしょうなあ。


「それに加えて、まさに多くの原子力発電所が現在、地震などの影響もあって停止をしている中でありますから、そうした電力供給、エネルギー供給について短期的な見通しも含めて議論をする必要があります。そういった意味で今回の、この二つのまとめの一つは、そうしたエネルギー供給、エネルギー需要についての議論でありまして、これを行わないということは内閣としての責任を果たさないことになりますから、当然、内閣としての責任として、こうしたことについて短期の問題も、中長期の問題もしっかり議論をしていくと、このことが必要だと考えております」…… 

■多くの原発が停止してしまっているのは、中途半端に安全宣言を出しておいて、突如としてストレステストを実施すると菅アルイミ首相が言い出したからですし、浜岡原発の停止も後先考えずに支持率が上がるかも?と不用意に法律の枠を越えて「要請」したからでもあります。「エネルギー供給」を苦境に追い込んだ「責任」は棚上げして「議論」をするのが「内閣の責任」だと言うのは、大震災直後に雨後の竹の子の如く対策本部を濫立させてしまった大間違いを再び犯すようなものではないでしょうか?必要なのは議論ではなくて「総理の決断と実行」であります。


「私の出処進退については、6月2日の代議士会、そしてその後の記者会見などで申し上げてきたその言葉については私自身の言葉でありますので、責任を持ちたいと考えております」…… 

■その「私自身の言葉」が意味不明だから政局が大混乱して国会も停まっているのです。「責任を持って」居座り続けるという奇妙な屁理屈をまだまだ振り回して元気な菅アルイミ首相には付ける薬が無いようです。


「まず、この基本方針をよくお読みいただきたいと思いますが、今の問題、かなりしっかりと表現されていると思っております。後ほど平野(達男)担当大臣が、詳しいことについては会見されると聞いていますが、私はこれを素直に読めば、今の質問は全部この文書の中で読み取れると思っております」…… 

■「素直に読めば、読み取れる」のなら無駄な会見など開かず担当大臣が文書を発表するだけで済むでしょうに?!ぬか喜びを「お知らせ」するために俺が俺がの記者会見を仕掛けたばかりに、藪を突いて蛇ならぬ北朝鮮問題がにょろにょろと引き出されてしまいます。記者から「拉致問題解決のために日本の首相がもう一度北朝鮮に行って直接交渉することの意味合いをどう考えるか」とズバリと切り込まれてしまう菅アルイミ首相であります。


「本件については私はまったく承知しておりませんでした。拉致問題の解決について私はあらゆる努力は惜しまないあるいは、あらゆる努力をするべきだと、基本的にはそのように考えております」…… 

■菅アルイミ首相が「努力」と言うときは、決まって自分の無能・無力を自覚できない傲慢さが表われますから、最高責任者としてこれまで通りに「何もしない」と言っているのも同然。国益を損なうような危険な団体と「連携」するために巨額の寄付を続けていたこと、中井洽(ひろし)元拉致問題担当相が目的を偽って旧満州の某所を訪問して「泣いて」帰って来たこと、もしも、その裏に許されざるコネクションが存在して小泉劇場の再演を狙った電撃訪問を画策していたとしたら、それこそ大変なスキャンダルであります。この件は雪ダルマのように疑惑が大きくなっているようなので、引き続き取り上げようと思いますが、会見の最後はやっぱり「いつ辞める?」という狐と狸の化かし合いで終わったことを確認しておきます。


「先ほど申し上げましたように、私はこれまで私が自ら発言したことについては私自身の責任としてしっかり自覚をいたしております」…… 

■何にでも聞く万能薬さらがらに苦しい時の「責任」頼み、責任があるから総理は辞めない、責任があるから選挙はしない、責任があるから官僚を怒鳴り散らす、責任があるから家族で高級レストランを梯子する……などなど、何とも便利な菅アルイミ首相の「責任」なのであります。あちこち食べ歩いてニヤニヤしていると不測の事態に巻き込まれる危険がますます高まりそうですから、選り好みが許されない警護役の皆さんは気が気ではないでしょうなあ。その内、官邸を表敬訪問する中学生の中から履いていた靴が飛んで来る日も近いのかも知れませんが、怒りを表わすにもその程度に抑えておいた方が宜しいでしょう。鳩山サセテイタダク前首相よりも更に惨めな辞任後の政治家人生がほぼ決まっているようなものですから……。

標的としての菅アルイミ首相 其の七

2011-07-30 17:28:10 | 政治
■止せば良いのに記者会見ですから都合の好い時だけ自分に都合の良い事だけ吹き捲って逃げ去るわけにも行かず、定番の質疑応答に果敢に無謀に臨む菅アルイミ首相でありました。何をどんなに厳しく問い質されようとも、国会答弁でも御馴染みかつ評判最悪の「先ほども申し上げました通り」で押し通せば何とかなると思い込んでいる菅アルイミ首相ですから、敢て記者の質問部分は省略します。

「先ほども申し上げましたが、3月11日の原発事故発生以来、私は2030(平成42)年に53%を原子力発電所でまかなうとされてきたエネルギー基本計画を白紙から見直すという方針をたて、内閣の中でも議論をすでに始めていました」…… 

■思い返せば「壊し屋」の屋号?を奉られているクラッシャー小沢は盛大に政党を壊し続けて参りましたが、壊したのは自分が苦労して手塩に掛けて作った新政党でありました。菅アルイミ首相は「議論する」の一言で人様が苦心して作った政策や計画を情け容赦なく破り捨てて歩いているだけではないでしょうかな?こんな事なら誰でも出来そうです。「白紙」にするのは一瞬の方針転換で済みましょう、「見直す」作業は大変であります。これまでに何か作り直して仕上げたことがあったでしょうか?とうとう『マニフェスト』まで破き始めましたが……。


「また、原子力安全・保安院について、経産省に属することは問題であると、新たな問題も次々と出ているが、そのことをIAEAに対する政府としての報告でも申し上げ、この独立の方向も議論をして参りました。こういった議論の方向性と私がこの間、申し上げてきたことは方向性としては決して矛盾するものではありません」…… 

■百歩譲って「矛盾するものでは」ないとして、原子力行政の根幹に巣食っている推進と監視の癒着構造を壊すのは大変で「独立の方向」で議論などしてみたところで最後はデータを握って放さない電力会社の言いなりに終わって形ばかりのお手盛り改革で幕引きとなってしまいそうです。世界中を驚かせ呆れさせてしまった穴だらけの安全基準が禍して、折角、民主党政権になってまとまったトルコとヴェトナムに最新式の原発を売り込む話も御破算になりそうだと電気業界は大騒ぎのようですから、自国では脱原発依存で対外的には原発推進という大いなる矛盾を放置したまま、自分の発言は「矛盾していない」と威張ってみても何の意味も無いでしょうなあ。


「そして、今回のエネルギー・環境会議においては、こうした私の指摘あるいはこれまで政府がすでに議論を始めていることなどをトータルでまとめて、議論の場にのせて、革新的エネルギー環境戦略とそういう形で議論をスタートし、そして今回中間的なとりまとめを決定をいたしたところであります。そういった意味で、私は今回のこのエネルギー・環境会議の中間的整理、とりまとめというのは私がこの間申し上げてきたこと、あるいは政府としてすでに取り組んでいることのいわば、この時点における集大成を関係閣僚のもとで議論し、決定をされたと、私にも先日海江田(万里)経産相、細野(豪志)原発事故担当相、玄葉(光一郎)国家戦略担当相、そして枝野(幸男)官房長官が来られてこの案を説明をされ、私も了承してきたところであります。そういった意味では、矛盾というものはまったくなくて、私の考え方を踏まえてこういう方向性をまとめていただいたと、このように理解しています」…… 

■苦しい時の長広舌という悪い癖が出てしまった非常に分かり難い答弁になっておりますが、「私の指摘」「私がこの間申し上げ」と何としても「自分の手柄」だと強弁したい底意が隠しようもなく滲む苦しい説明になってしまいました。今回も踏ん張って「アルイミ」とは言わずに「そういった意味で」を挟み込み、「私は今回の……」と言ったまま述語が見付からないまま「私がこの間申し上げてきたこと」に話が横滑りしてしまってシドロモドロ感がいっぱいです。「私にも……来られて」と変な言い回しで正直に関係閣僚から無視されていないことを喜んでいるのは哀れさえ誘うものがりますなあ。「この時点における集大成」というもの無理な背伸びをした表現で、先に使った「中間的なとりまとめ」という表現が「この時点」には相応しいでしょうに……。焦っているのでしょうなあ。議長を務めた玄葉大臣は「こういう方向性」で次の内閣が仕事をすると明言しているのですから、菅アルイミ首相が「矛盾していない!」と自己正当化する必要など最初からありません。まったく無駄な会見を開いたものであります。


「いわゆる脱原発か原発推進かという二項対立という形を取ることは生産的ではないという指摘については、私も何かこう、レッテル張りのような言葉でレッテルをお互いに張って、それ以上議論が進まないという、そういう議論のやり方は決して望ましくないと思っております。そういった点では、今回のエネルギー環境会議での問題の進め方というのは、私は大変前向きな進め方だと思っております」…… 

■「未納三兄弟」という珍妙なレッテルを作って自民党の閣僚を追い詰めようとして自分の背中にも同じレッテルが貼られていると分かって(後に事務処理上の過誤と判明)お遍路に出たのは菅アルイミ首相でしたし、「政治とカネ」のレッテルをべたべた貼り回ってクラッシャー小沢を雪隠詰めにして得意になっていたこともありました。野党時代には政権批判用のレッテルを作っては国会で披露して議論を何度も止めていたのに、政権与党になったら「望ましくない」と弱音を吐くのは卑怯でありましょうし、原発問題に関しての議論でも仮に安全基準を大幅に見直して問題のない新型の原発だけを稼動させつつ再生可能エネルギーの復旧を図るという折衷案を採るにしても、最終的には「脱原発」か「原発推進」かの二者択一を迫られるわけですから「方向性」が決まったと大見得を切るなら「二項対立は生産的でない」などと逃げてはなりますまい。


「また、退陣に関連して、いろいろこのようなエネルギー政策を議論することについて問題があるという指摘があるということを申されましたが、私は逆に言うと、今この議論をしなければならない、その時だと思っております」…… 

■菅アルイミ首相自身と内閣に対応能力がないから問題が解決されずに先送りされ深刻化もするのですから、それを自分の延命の理由にすることこそ「逆」の話で、無能な首相の自任と国家のエネルギー政策とを並べてどちらも大事だと言うのは無茶な話でありましょう。

標的としての菅アルイミ首相 其の六

2011-07-30 17:27:40 | 政治
■いよいよ記者会見はクライマックス!なのですが、誰も感動しなかった模様。

「そして本日関係閣僚によるエネルギー環境会議で原子力を含めたエネルギー政策に関する重要な決定が行われました。具体的には一つは当面のエネルギー需給安定策をとりまとめたものであります。そしてもうひとつは、中長期的な革新的エネルギー環境戦略として原発への依存度を低減させて、それに向けての工程表の策定や原発政策の決定的検証などを行うことを決定いたしました。これらの議論は3月11日の原発事故発生以来、さまざまな機会に私が申し上げてきたことですが、例えばエネルギー基本計画の見直しといった考え方、こうしたことまで含めて今回、玄葉国家戦略大臣を中心に海江田経産大臣あるいは江田環境大臣ら関係閣僚で検討をしてきものであります。そして、今日の決定をベースとしてさらに議論を重ねていくことになります。国民的な議論も大いに期待をいたしています。議論に必要なあらゆる情報を積極的に開示して参ります。今後、原発に依存しない社会を目指し、計画的、段階的に原発への依存度を下げていく、このことを政府としても進めて参ります」…… 

■「3月11日の原発事故発生以来、さまざまな機会に私が申し上げてきたこと」この一言が言いたかったがために菅アルイミ首相は会見を設定したものと思われます。しかし、「当面のエネルギー需給安定策」をメチャクチャにしたのは菅アルイミ首相の迷走でしたし、「革新的エネルギー環境戦略」などとこれまた大仰な名前を付けたところで、実態は風・太陽・地熱・バイオマスの「再生可能ネネルギー」と自家発電の「埋蔵電力」を組み合わせて辻褄を合わせることしか出来ますまい。本当に何がそんなに「嬉しい」のかさっぱり分かりません。もしかすると「国民的議論」をだらだらと続けることで自分の延命が可能になりそうだからでしょうか?民主党政権はずっと「情報公開」を金看板にして自民党政権を批判して政権交代を果たしたのでしたが、情報開示は一向に進まず、その誤魔化しが原発事故で一挙に噴出してしまったというのに、「議論に必要なあらゆる情報を積極的に開示」するとは国民を馬鹿にするにもホドがありましょうぞ!


「原発事故関係ではすでに7月19日に発表したところでありますが、原子力事故が収束に向かって大きく前進をしているところであります。具体的には事故収束に向けてステップ1の目標を達成することができました。今後、ステップ2の着実な実現に向けて政府として全力を尽くす覚悟であります。本日(29日)夕方、中学生のグループが官邸に来られて、震災復興に関わる人たちの激励の横断幕をいただきました。その中に政府の力を信じていますという言葉があり、胸に響いたところです。私はこのような中学生、あるいは多くの国民が政府に信頼を寄せて頑張るようにというその気持ちを大切にして、この大震災の復旧・復興、さらには原子力事故の収束に向けて、全力をあげて責任を果たして参りたいと、このことを改めて決意したところです。私からは以上です」…… 

■「全力をあげて責任を果たして参りたいと、このことを改めて決意したところ」とは、これは露骨な居座り続投宣言に他なりません。「ステップ1」の目標を達成した!と内閣を挙げて大はしゃぎしていたようですが国民の心にはまったく安心感も信頼感も生まれず、事故を起こした原発の現場からは漏水などのトラブルが続出している話しか聞こえて来ません。専門家の中からも実現不可能と断じられている「ステップ2」の工程表を墨守して「実現に向けて政府として全力を尽くす覚悟」などしている菅アルイミ首相にとって「政府として」というのは「菅アルイミ内閣として」と同義語なのでしょう。そうでなければ「覚悟」する主体が不在不明になってしまいますからなあ。

■どこぞの教職員組合運動にご熱心な先生方に引率されて官邸を訪問させたれた中学生も可哀想ですが、これは九州電力のヤラセ事件と似たようなものである上に子どもをダシに使う悪質さも感じられる茶番劇とも思えます。本当に「政府の力を信じています」などと書かれていたとしたら、一体、誰がそんな空々しい文言を思い付いたのやら……。支持率16%の中には強固な組織票が組み込まれているはずで、労働組合と日教組がその基盤ともなっているに違いないと思っている時に中学生グループが官邸を訪問。何処の中学生かと思って首相動静を調べてみましたら「午後4時31分から同42分まで、さいたま市立土合中学校の生徒ら。」と出ていました。この学校の所在地は埼玉15区で、ここは小沢グループの高山智司衆院議員の選挙区!何ともチグハグな組み合わせのような気がしますが、菅アルイミ首相が涙を流して喜ぶような横断幕を考えた人は誰であろうと現政権を支持しているのは間違いないのでしょう。

■「このような中学生」をダシに使って「多くの国民が政府に信頼を寄せて頑張るように」と応援しているかのようなウソを言っては行けませんなあ。子どもの教育に悪い影響がありそうです。もしも、本気で「多くの国民」が政府を信頼して激励していると信じているのなら、さっさと解散して総選挙をしましょう。

標的としての菅アルイミ首相 其の伍

2011-07-30 10:30:53 | 政治
■『サンデー毎日』7月31日号に「経産省・海江田の仇討ちが始まる」という短くて恐ろしい記事が掲載されておりました。官僚群の言うことをよく聞く海江田大臣を梯子を外したり嘘吐き役を押し付けたりして苛める死に体の菅アルイミ首相に致命的な罠を仕掛けて自爆させる謀略が進行しているという話で、5月の連休明けの頃、松永和夫事務次官らが官邸に押しかけて「原発に凄く詳しい」理系大学出身の菅アルイミ首相にエコ「3大革命」を吹き込んだのだそうです。曰く「量子ドット型の太陽電池だと発電効率は3倍!」「リチウム空気電池で自動車の走行距離は10倍以上!」「超伝導技術は送電ロスを10分の1以下!」「ナノカーボンで自動車は3割軽量化!」、そしてトドメが「三つの革命で生まれるエネルギーは原発14基分!」。どれも昨日亡くなった小松左京さんのSF小説に登場するような「夢の発明・技術」なのですが、喫緊の課題と「遠い将来の話」をごちゃ混ぜにしてしまう奇怪な思考回路を持っている菅アルイミ首相のことですから、「これは凄いぞ!」と本気で感動していたとか……。

■どうやら経産省が仕掛けた罠の延長線上に「埋蔵電力」の話が浮上して来た節もありまして、夢と現実を混同して赤っ恥を掻いたことを誤魔化そうと「データを出せ!」と泥縄式に経産省にせっついた菅アルイミ首相は完全に術中に落ちてしまっている模様。就任前後に「大馬鹿」呼ばわりしていた官僚達が、いよいよ水に落ちた犬に石を投げ始めたのかも知れませんなあ。寂しい晩年?を過ごしている菅アルイミ首相は、何が何でも「自分は正しい!」「自分は一人ぼっちじゃない!」と叫び続けないと自分で自分を支え切れなくなっているのかも知れません。記者会見の発言を読み直してみますと政権の外堀も内堀も埋められ、城内からも矢が飛んで来るから天守閣の最上階に閉じ籠っている孤立無援の馬鹿殿様の独り言にしか聞こえません。


「今日は国民の皆さんに2つのことが報告できることを大変うれしく思っています。その一つはさきほどの復興本部において復興基本方針を決定することができた。そして、2つめは関係閣僚が議論を重ねてエネルギー環境会議の場でエネルギー政策に関する重要な決定を本日行うことができた」…… 

■もう少しで大震災発生から5箇月になろうという時に、やっと「復興基本方針」が形式的に決定したことが、どうして、そんなに「うれしい」のでしょう?エネルギー環境会議が出したのは飽くまでも「中間整理案」なのですから、取り立てて「重要な決定」などと大袈裟に持ち上げるのは変でしょう。


「これら2つのことは、3月11日の大震災と原発事故発生を踏まえた復興と原発エネルギー政策の政府としての統一的な方針を示すものであります。その意味でこの2つの重要な決定ができたことは大変重要でもあると同時に喜ばしいことだと考えています」…… 

■2010年9月に玄葉光一郎さんが国家戦略担当大臣になってからも、『マニフェスト』の目玉だったはずの国家戦略局(室)はなかなか機能せず、やっと小さいながらも原発問題で小さいながらも仕事が出来たという程度の話なのですが……。そもそも国会戦略担当の初代は菅アルイミ首相で、鳩山サセテイタダク前政権が珍妙な国会答弁を重ねて窮地に立たされていた時にも「昼寝している」と言われるほど何もしなかったのは有名な話でありました。そもそも、玄葉大臣が担当することになっていた「新しい公共」は何処に行ってしまったのでしょう?「国家戦略が必要だ!」という主張は今の「原発依存は見直そう」という意見と同様に至極当たり前のもので、「税財政の骨格や経済運営の基本方針等について企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」をする行政の中枢となるはずの部署でしたのに、なかなか「局」にさえ格上げ出来ず「室」のまま燻っていたのも醜態でしたなあ。そして菅アルイミ首相は何も仕事をしないまま財務大臣に横滑りして国会で無知を曝け出して赤っ恥を掻いていたのですが、何故か反小沢の怨念マグマに上手に乗って党の代表、総理大臣になってしまったのでした。


「まず復旧復興について申し上げます。今週25日には約2兆円の第2次補正予算が成立し、復旧に向け1次補正では足りないものを盛り込んだ。そして先ほど開催された復興対策本部において復興基本方針を決定致しました。復旧の次ステージである本格復興に向けて政策の全体像を示すものであります。新たな発想の具体的な政策も数多く盛り込まれております」
「また、5年間の集中復興期間に少なくとも19兆円の財政措置を講じることになっております。復興債を発行し償還財源も責任をもって確保いたします。この復興医基本方針をベースに3次補正の編成など復興への取り組みを本格化して参ります」…… 

■珍しく復興に必要な「財源」について明言したかと思ったら、やっぱり「責任をもって確保」するという無責任な先送り発言でしかありません。増税の是非も党内でまとまらず、消費税に関する議論もなし崩しに先送りするばかりで、またしてもタバコ税を上げようかな?などと姑息な話しか出て来ないのに、「3次補正予算」に本気で取り組むぞ!と平然と言ってのけるのが菅アルイミ首相の無能・無責任である真骨頂ですなあ。


「次に、原発エネルギー政策について政府としての基本方針を申し上げます。原発の再稼働については7月21日、総合的な安全評価の仕組み、いわゆるストレステストの具体策を確定し、公表いたしました。これは保安院だけでなく原子力安全委員会も関与する形で新しいルールを示すものであります。今後、自治体、さらには事業者などにこの新しいルールの周知を図るとともに、国民の皆さんにもルールを情報公開をして知らせてまいりたい」…… 

■信頼性が地に落ちている「保安院だけでなく」というのは尤も話ですが、またしても鳴り物入りで「新しいルール」などと発表してみたところで、既に『週刊文春』8月4日号に「学会とは名ばかりの“電力会社親睦会”保全学会ストレステストも電力会社のお手盛りだった」という暴露記事が掲載されておりまして、すっかり有名になった原子力ムラの住人が集まって50余りの確認項目をまとめただけのことで、それを受け取って実際に安全を確認したのは電気会社だったという馬鹿馬鹿しいお話。その確認項目についても電力会社側から「こんなデータは出せません」と言われて削除する場面まであったそうな……。欧米諸国ではテロリストによる深刻な攻撃に対する防御策も含まれているという原発のストレステストを、やっぱり巧妙に和風に歪めて骨抜きにして既定路線の原発再稼動のシナリオに話を強引に戻してしまっただけのことのようですなあ。

標的としての菅アルイミ首相 其の四

2011-07-30 10:30:21 | 政治
■米国の国債がデフォルトするか?!と世界中が固唾を呑んで緊張している時に、また、記録破りの集中豪雨で新潟・福島両県の住民30万人以上が緊急避難している時に、菅アルイミ首相は「嬉しい報告」をしたいと能天気な記者会見を開いたのでありました。スポーツが好きな向きはプロ野球中継や上海で開催中の水泳大会決勝を楽しんでいたに相違なく、一体、誰のために軽薄な自画自賛の会見を開いたのでしょうなあ?この日、ポスト菅のダークホースを密かに自任する玄葉国家戦略相が議長を務める政府の「エネルギー・環境会議」が中長期的なエネルギー政策の中間整理案と当面の電力需給対策をまとめたそうで、原発は「安全性を高めて活用しながら依存度を下げていく」として、2050年までの戦略工程を策定するぞ!と意気込んで見せたとか……。国家のエネルギー政策ですから長期間の見通しを基盤とするのは当然ですが、次の選挙までに空中分解を始めて選挙で間違いなく消滅すると思われる政党が2050年などという遠い未来についてあれこれ考えている姿は徒労のようでもあり、税金の無駄遣いのようでもあり、何より単なる暇潰しにしか見えませんなあ。

■すっかり一人ぼっちの裸の王様になってしまった菅アルイミ首相は、何を勘違いしたのかエネルギー・環境会議が出した中間案が自分の正当性を証明したものと一人大喜びして同日の夜に、またまた、自分に都合の良い時だけの記者会見を開いた由。早速、天敵の阿比留瑠比記者が噛み付いております。


政府のエネルギー・環境会議が「原発への依存度を下げていく」として「原発低減」を掲げたことで、菅直人首相が13日の記者会見で行った「脱原発」宣言が、実現への道筋もエネルギー政策上の根拠もない思いつきだったことが一層鮮明となった。首相は29日夜の会見で、政府として短期・中長期のビジョンをそれぞれ示せたことを「喜ばしい」と自賛したが、退陣表明で求心力を失っているだけに実現性は見通せない。首相は記者会見で、エネルギー政策の中間整理案とこれまでの発言との整合性を問われ、こう語った。
「私が申し上げてきたことの集大成を関係閣僚の下で議論し、決定された。矛盾は全くない」…… 

■「集大成」とは大仰な!それ相応の作品や業績を数多く残している人だけが使える特別な言葉を、しかも自分で言っては滑稽なだけの言葉を平気で使ってしまえるところが菅アルイミ首相の恐るべき言語感覚だと改めて口アングリ、なのであります。要は支離滅裂な思い付きをその場凌ぎのために羅列して自ら墓穴を掘ってばかりいたけれど、会議がまとめた案と強引に重ねて見れば「何となく辻褄が合った」ようにも見えるかも?というだけの話だったようですなあ。菅アルイミ首相は、その程度の事でもよほど嬉しかったのでしょう。


だが、中間整理案はこれまでの首相発言と比べると明らかに「後退」している。首相は13日の段階では「原発に依存しない社会を目指すべきだ」と「脱原発」を明言していた。このときは、政府内からも「個人の夢としてはあるかもしれないが、政府として前提にするのは簡単ではない」(野田佳彦財務相)、「単なる願望」(仙谷由人官房副長官)などと首相批判が相次いだ。結局、首相は「私個人の考えだ」と釈明したが、閣内調整も経ずにわざわざ記者会見を開いて私的見解を開陳する首相の姿勢に、海江田万里経済産業相には「鴻毛より軽い」と皮肉られる始末だった。…… 

■巨匠と世界が認めた黒澤明監督なら「こんな夢を見た」の一言から一本の映画を撮っても様になりますが、政治的な定見が皆無で剥き出しの権力欲ばかりが先走って醜態を繰り返す菅アルイミ首相が「夢」を語れば、結局はまた未曾有の天災が起こって「自分が果たすべき責任」が上積みされ、あれよあれよと思っている内に在任期間だけがだらだらと延びて行ったら嬉しいなあ、ぐらいの下劣な妄想しか出て来ないことは分かり切っていることなので、誰も耳を傾けてはくれますまい。それだからこそ、原発事故が起こって40数年間も隠されていた闇に光が入り、これまでの原発行政の暗部を垣間見てしまった国民の間には原発依存を反省する大きな流れが生まれていることに乗じて、自分がその流れを作り先頭に立っている振りをして見せたら支持率が上がるに違いないなどとサモシイ計算が出て来るのでしょうなあ。だから以前から原発依存の危険性を指摘していた人々から「菅首相には言われたくなかった」と総スカンを喰ってしまうのでしょう。


また、首相は6月28日の民主党両院議員総会では「脱原発解散」をほのめかしてこう述べていた。「エネルギー政策をどのような方向に持っていくかが次期国政選挙で最大の争点になる」エネルギー政策を自身の延命の道具として使い、衆院解散・総選挙をちらつかせて党内の反菅勢力を黙らせようとしたのだ。とはいえ、今回の「原発低減」方針に、自民党をはじめ野党側に異論があろうはずもなく、選挙の争点にはなりえない。特に福島第1原発事故後、再生エネルギーの比重を増やしていくことは国民的コンセンサスともいえ、当たり前のことを言っているにすぎない。…… 

■「当たり前のこと」を言うために記者会見を開いて「集大成だ!」と一人で興奮している総理大臣の断末魔は誰も耳を傾けませんから、間も無く菅アルイミ首相も前任者と同じく「国民の皆さんが聞く耳を持ってくれない」と筋違いの妄言を吐いて自任するのかも知れませんなあ。


中間整理案には「『反原発』と『原発推進』の二項対立を乗り越えた国民的議論を展開する」ともある。だが、無理のある二項対立の論理をあおってきたのはむしろ首相自身だ。 環境会議後、記者会見した玄葉光一郎国家戦略担当相は「新しい体制になったときに具体化していく」と述べ、首相退陣後に議論を本格化させる考えを表明した。玄葉氏は、首相が発掘に執念を燃やす民間の自家発電による「埋蔵電力」についても突き放した。「自家発電はかなりあるが、売却しているとか契約しているとか自分で使っているのが現実だ。現実は直視しないといけない」首相はこの日決定した「東日本大震災からの復興の基本方針」でも、党側の要求に従い、当初の政府案にあった増税措置の「10兆円程度」という金額の削除を認めざるをえなかった。目玉政策も政権末期の帳尻合わせの様相となってきた。
2011年7月30日 産経ニュース 

■会議がまとめた「二項対立を乗り越える」という文言に、菅アルイミ首相は自分の延命策の肝を見出したらしく会見の場でもまるで自分の発明であるかのように得々として引用していたようです。どんな餌にでも見境なく食いつく者を「ダボハゼ」とも呼ぶのですが……。

標的としての菅アルイミ首相 其の参

2011-07-29 14:01:28 | 政治
■「ああ、謝っちゃったあ」と溜息混じりに怒りの声も上がっている『マニフェスト』取り消し問題が起こりました。政権与党になったら虚飾のトロイカ体勢はあっけなく崩壊しまして、クラシャー小沢は不倶戴天の敵で鳩山サセテイタダク前首相は間抜けな資金源でしかなくなって菅アルイミ首相は独裁者の美酒を飲み過ぎて深い酩酊状態が続いているかのようなのですが、とうとう「ウソも方便」と本音が漏れ始めてしまったようです。

菅首相や民主党の岡田克也幹事長らが21年衆院選マニフェスト(政権公約)実現の甘さを認めて陳謝したことについては、衆院選のやり直しを求める意見が54.9%に上った。次期衆院選の時期は「なるべく早く」25.7%、「次期政権の発足直後」36.5%と、早期解散を望む声が6割を超えた。
2011年7月25日 産経ニュース 

■子ども相手の話ならば、素直に自分の過ちを認めて「御免なさい」と謝る態度は大いに褒めてやらねばなりませんが、ウソをついたのが政治家、それも政権政党だった場合は話がまったく違って来ましょうなあ。即刻、解散して総選挙が常道なのですが、大震災と原発事故という不幸な災厄が重なってしまったばかりに、馬鹿とハサミは使いようだと国民は政局よりも政策の実行を望んで民主党の素人政権でも我慢しようと腹を括ったのでありました。しかし、それに甘えて何も仕事をしないことが明らかになった上は万難を排して選挙を実施して欲しいものであります。民主党を消滅させるには他に方法がありませんからなあ。


枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、産経新聞社とFNNの合同世論調査で、菅直人内閣の支持率が16・3%と政権発足以来、過去最低となったことについて「国民から厳しい目で見られていることを真摯に受け止め、すぐに対応しなければならないことへの責任から逃れず、しっかりと責任を果たしたい」と述べた。
2011年7月25日 産経ニュース 

■どんなに支持率が下がろうとも無味乾燥な「責任」を虚しく振り回してへらへらしていられるのも次の選挙までであります。民主党内でも「次の選挙で全員が落選かも?」と大真面目に心配する声が出始めているようですから、どうせ無くなってしまう政党なら1日でも長く政権与党として偉そうな気分に浸っていたいなあ、というのが民主党中枢の本音かも知れません。まったく迷惑な素人政治であります。ちょうど1箇月前の世論調査でも厳しい結果が出ておりまして、その時も枝野官房長官は木で鼻を括ったような事を言っておりました。


枝野幸男官房長官は27日午前の記者会見で、産経新聞社とFNNによる合同世論調査で内閣支持率が下落し、約7割が退陣時期を明確にしない首相の対応を不適切としていることについて「個別の世論調査の数字にはコメントしない」としながらも、「東日本大震災対応や一連の政治状況に対する国民の厳しい声は認識している。しっかりと踏まえながら適切に対応したい」と述べた。
2011年6月27日 産経ニュース 

■この1箇月間、「適切に対応した」形跡が何処にも見当たらないのはどうしてでしょう?更にそれより1箇月前、今では菅アルイミ首相の首を差し出して自民党との大連立を画策するのも平気な仙谷ノーコメント官房副長官も、菅アルイミ首相を支えて頑張る心算だったのであります。


仙谷由人官房副長官は(5月)30日午前の記者会見で、産経新聞とFNN合同世論調査で東京電力福島第1原発事故をめぐる政府の発表を8割が「信頼できない」としたことについて「原子力の平和利用という観点から国際社会や日本国民が不安を抱いている中では、的確に情報を開示し、適切に政府として対応することで信頼を回復していかなければならない」と述べ、厳しい世論を重く受け止める考えを示した。その上で、近く内閣官房に設置される原発事故の調査・検証委員会での作業を通じ、適切な情報開示を進めることを約束した。…… 

■「調査・検証委員会」は組織されましたが、これまでに「適切な情報開示」は行なわれていないようです。総理大臣の献金問題に関しても情報開示しない政権与党が、深い闇を抱え込んでいる原発問題の真相を国民に知らせるとはとても思えませんし、仙谷ノーコメント副長官にも不正献金の疑惑が降って湧いているようですなあ。得意の「政治とカネ」の問題ですぞ!


菅直人首相の下で信頼を回復できるかについては、「別の政権に変わってなんとかなる問題ではないほど、今回の事故は対処しきれない部分が多々ある」と強調した。
2011年5月30日 産経ニュース 

■そう言えば政権交代用『マニフェスト』に掲げた予算の組み替えによる増税なき財源確保の約束を真っ先駆けて「無理だ」と白状したのが仙谷ノーコメント副長官だったと記憶しております。無駄を削ろうにも「高級和牛のサシみたい」に巨大な予算の中に入り組んでいるから簡単には切り分けられないとか何とか言っていましたなあ。鳩山サセテイタダク前首相が意味も分からず「政治主導」と叫んでいた足元で、さっさと官僚群と手を組んで政府の実権を握り始めていた頃のことでした。確かに「別の政権に変わってもなんとかなる」かどうかは不明でしょうが、少なくとも今の菅アルイミ内閣が続く限りは「何ともならない」ことは確かなのであります。また、ポスト菅が誰であろうと民主党政権が続く限りは「何ともならない」可能性が高そうだと多くの国民は考えているはずです。民主党の稚拙で悪質な逃げ口上を聞き続ける忍耐にも限度がありますぞ!


自民党の大島理森副総裁は25日……菅直人内閣の支持率が過去最低の16・3%に急落したことについて、「いま日本は東日本大震災の復興、経済財政の危機をどう乗り越えるかが問われている。この危機を乗り切るためには政治のパワフルな推進力が必要だが、菅首相と民主党にはそれがないと定めた数字だ」と指摘した。同時に「菅内閣が早期に退陣して、お互いにどういう新体制を作るか話し合って、この危機を乗り切るための政治を前に進めなくてはならない」と述べ、菅内閣退陣後の与野党協力には前向きな考えを示した。党本部で記者団の質問に答えた。
2011年7月25日 産経ニュース 

■大森コワイカオ副総裁も内心では谷垣総裁では「政治のパワフルな推進力」が足りないなあと痛感しているに違いなく、弱みだらけで満身総意の素人集団と化した民主党政権に対する支持率が急速に下がってジリ貧状態に陥っているというのに自民党に政権を奪回して欲しい!という声がさっぱり盛り上がらないのは何故か?という恐ろしい政治課題には蓋をしたまま、まるで隠居した意地悪爺さんが経験の浅い若者をいびっているような虚しい政権批判しか出来ない自民党に、もう一度政権を委ねたいと思う気持はなかなか湧きません。これが日本の2大政党の宿命ならば小政党の合従連衡で重要な政治課題を地道に解決していく道しか残されないのか?と暗澹たる気分になりますが、まずは不健全な寄り合い所帯として生まれた民主党を解体して主義主張を統一した政治集団を再編成することから始めねばなりますまいなあ。手段を選ばず政権を取る!という妄念だけで成り上がった総理大臣だけは、もう二度と生み出してはならないと身に沁みた国民は次の選挙でしか反省の気持を表現できませんからなあ。

標的としての菅アルイミ首相 其の弐

2011-07-29 13:46:27 | 政治
■妙に素直で純情そうなテロリスト?が逮捕された27日、昼飯直後に稲盛和夫日本航空会長が官邸に乗り込み早期辞任を求めたそうですし、同日、労働組合の親玉である連合の古賀伸明会長も広島市内で開いたセミナーで「……菅直人首相には政治空白を積み上げることをすぐにでもやめてほしい」と発言したそうです。まだ連合の会長は民主党政権には未練タラタラのようで「ポスト菅」に何の根拠もなく期待感を持っているようでありますが、稲盛会長の方は大震災が起こる前の2月8日の段階で民主党を支援して政権交代を実現したことを後悔する発言をしていましたから、震災後、ますます馬脚を現わして無能ぶりを世界に晒し続ける菅アルイミ首相に黙っていられなくなったのでしょう。

■7月26日には、一体、何しに行ったのはさっぱり分かりませんが北京を訪問していた村山富市元首相が「辞めると言ったら早く辞めるべきだ。辞める人の言うことを聞く人は誰もいない。この空白は大きい」と、数週間前にテレビの取材に対して答えた言葉を繰り返していたそうですが、新たに「菅首相は思い付きで物を言いすぎる。閣内の不統一も目立ち、政権としての体をなしていない」という苦言を付け加えていた由。

超党派の国会議員でつくる拉致議連(会長・平沼赳夫たちあがれ日本代表)は29日午前、国会内で総会を開いた。拉致問題対策本部長である菅直人首相の資金管理団体が、日本人拉致事件容疑者の家族が所属する政治団体から派生した団体に多額の献金をしていた問題について懸念や批判が噴出、この問題の真相究明を進める調査委員会を会に設置することを決めた。平沼氏は「首相が関係団体に巨額の献金をしているのは鼎の軽重が問われる大きな問題だ」と指摘し、民主党の向山好一衆院議員は「首相は万死に値する」と批判した。中井洽元拉致問題担当相が、北朝鮮の宋(ソン)日昊(イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使と中国の長春市で極秘会談したことについても「二元外交の可能性がある」(松原仁衆院議員)として、真相究明を求める声が上がった。
2011年7月29日 産経ニュース 

■外国人からの不正献金は「返金したから済んだこと」と開き直って強引に幕引きを試みている菅アルイミ首相ですが、北朝鮮と深い関係がありそうな怪しげな政治団体に巨額の献金をしていた件は「弁護士に返金させる」わけにも行かず、「実態を知らなかった」の一点張りで正面突破を図ろうとしているようです。同じ団体には鳩山サセテイタダク前首相やタバコ増税オバサンのNHK出身の小宮山議員なども献金していると報じられていますから、是非とも国会の場に雁首を並べて頂いて証人喚問を実施して欲しいものであります。「市民運動」の看板の裏側で何が行なわれているのか、日本の有権者は実態を知っておくべきですからなあ。

■寄せ集め所帯とは申せ、同じ民主党内から「万死に値する」とまで言われては怖くて両院総会など開けませんなあ。


産経新聞社とFNNが23、24の両日に実施した合同世論調査で、菅直人内閣の支持率が16.3%と、前回調査(6月25、26両日実施)より6.7ポイント下がり、昨年6月の政権発足以来、過去最低となった。菅首相を退陣させられない民主党への風当たりは強まっており、同党の支持率は前回比3.9ポイント減の14.1%と、政権交代前の平成19年4月調査時点の水準にまで落ち込んだ。菅内閣の不支持率は73.1%で、初めて7割を超えた。内閣の不支持率が7割を超えるのは鳩山由紀夫内閣末期の22年5月調査以来。菅首相の退陣時期については「今国会が閉会する8月末まで」との回答が、「今すぐ」の28.4%、「今国会の会期中」の36.5%と合わせて64.9%に上った。…… 

■今でも16%もの支持者層が存在する!という事実には驚嘆するしかありませんが、支持する理由の中には過去1年間の業績と呼べるような物が含まれているのか?非常に興味がありますなあ。民主党の支持率よりも更に2%余も高い支持を得ているという謎も誰かに解明して欲しいところであります。こうした調査結果を聞けば比例区で当選した1年生議員は早々に就職活動を始めたくなるでしょうなあ。気の早い某週刊誌の当落予想では鳩山・小沢・菅の旧トロイカが揃い踏みで落選!という笑うしかない結果になっていましたが、政治記者たちに「ポスト菅」などと持ち上げられてニヤニヤしている中堅議員も決して安泰というわけには参りますまい。3年前の総選挙で大勝し、1年前の参議院選挙で惨敗して国会がねじれ、次の総選挙(菅アルイミ首相はダブル選挙もいいなあと言ったとか)で解党的大惨敗にでもなれば憲政史上に喜劇集団として民主党は記録されることになるかも知れません。


菅首相が具体的な退陣時期を明らかにしないことには71.9%が不適切だと回答。平成23年度第2次補正予算案、特例公債法案、再生エネルギー特別措置法案の「首相退陣3条件」が成立しなくても菅首相は退陣すべきだとの回答は76.1%に達した。菅首相に対しては「言動が政権の延命狙いとみられても仕方がない」73.7%、「首相続投で政治の停滞が生じている」76.4%と厳しい評価が並んだ。一方、菅首相の「脱原発」方針は64.3%が評価できると答えた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの買い取り制度も71.3%が「導入すべきだ」とした。ただ、菅首相が「脱原発」方針を「個人の考え」と表明したことには75.0%が「無責任だ」と批判。「脱原発」を争点に衆院解散・総選挙を行うことにも58.1%が「適切ではない」と否定的だった。…… 

■自分には総理大臣としての重い責任がある!と居座りを正当化する菅アルイミ首相ですが、そもそも「責任」という言葉の意味をまったく知らないのではないでしょうか?最新号の『週刊文春』に懐かしくも心苦しい思い出話が出ております。リーマン・ショックが起こる5年前の2003年、2度目の民主党代表になってクラッシャー小沢の自由党との合併を果たした菅アルイミ代表が東京証券市場を訪れて「民主党が政権を取れば3年後には株価が2倍、3倍になる」と大法螺を吹いたことがあるという苦笑を禁じえない恥ずかしいエピソード。当時の日経平均は1万円台を推移していて、その後、旧自民党政権が頑張って1万8千円台にまで持ち直したものの米国の業突く張りがリーマン・ショックを起こして7500円台にまで急落。そして目出度く?政権交代が起こって民主党政権になったのですが、株価は2倍、3倍になるどころか1万円台を割り込んだり回復したりで一向にぱっとしません。あの「2倍、3倍になる」という下手な詐欺師みたいな発言をしたことを菅アルイミ首相は覚えているのでしょうかいなあ?

標的としての菅アルイミ首相 其の弐

2011-07-29 13:46:27 | 政治
■妙に素直で純情そうなテロリスト?が逮捕された27日、昼飯直後に稲盛和夫日本航空会長が官邸に乗り込み早期辞任を求めたそうですし、同日、労働組合の親玉である連合の古賀伸明会長も広島市内で開いたセミナーで「……菅直人首相には政治空白を積み上げることをすぐにでもやめてほしい」と発言したそうです。まだ連合の会長は民主党政権には未練タラタラのようで「ポスト菅」に何の根拠もなく期待感を持っているようでありますが、稲盛会長の方は大震災が起こる前の2月8日の段階で民主党を支援して政権交代を実現したことを後悔する発言をしていましたから、震災後、ますます馬脚を現わして無能ぶりを世界に晒し続ける菅アルイミ首相に黙っていられなくなったのでしょう。

■7月26日には、一体、何しに行ったのはさっぱり分かりませんが北京を訪問していた村山富市元首相が「辞めると言ったら早く辞めるべきだ。辞める人の言うことを聞く人は誰もいない。この空白は大きい」と、数週間前にテレビの取材に対して答えた言葉を繰り返していたそうですが、新たに「菅首相は思い付きで物を言いすぎる。閣内の不統一も目立ち、政権としての体をなしていない」という苦言を付け加えていた由。

超党派の国会議員でつくる拉致議連(会長・平沼赳夫たちあがれ日本代表)は29日午前、国会内で総会を開いた。拉致問題対策本部長である菅直人首相の資金管理団体が、日本人拉致事件容疑者の家族が所属する政治団体から派生した団体に多額の献金をしていた問題について懸念や批判が噴出、この問題の真相究明を進める調査委員会を会に設置することを決めた。平沼氏は「首相が関係団体に巨額の献金をしているのは鼎の軽重が問われる大きな問題だ」と指摘し、民主党の向山好一衆院議員は「首相は万死に値する」と批判した。中井洽元拉致問題担当相が、北朝鮮の宋(ソン)日昊(イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使と中国の長春市で極秘会談したことについても「二元外交の可能性がある」(松原仁衆院議員)として、真相究明を求める声が上がった。
2011年7月29日 産経ニュース 

■外国人からの不正献金は「返金したから済んだこと」と開き直って強引に幕引きを試みている菅アルイミ首相ですが、北朝鮮と深い関係がありそうな怪しげな政治団体に巨額の献金をしていた件は「弁護士に返金させる」わけにも行かず、「実態を知らなかった」の一点張りで正面突破を図ろうとしているようです。同じ団体には鳩山サセテイタダク前首相やタバコ増税オバサンのNHK出身の小宮山議員なども献金していると報じられていますから、是非とも国会の場に雁首を並べて頂いて証人喚問を実施して欲しいものであります。「市民運動」の看板の裏側で何が行なわれているのか、日本の有権者は実態を知っておくべきですからなあ。

■寄せ集め所帯とは申せ、同じ民主党内から「万死に値する」とまで言われては怖くて両院総会など開けませんなあ。


産経新聞社とFNNが23、24の両日に実施した合同世論調査で、菅直人内閣の支持率が16.3%と、前回調査(6月25、26両日実施)より6.7ポイント下がり、昨年6月の政権発足以来、過去最低となった。菅首相を退陣させられない民主党への風当たりは強まっており、同党の支持率は前回比3.9ポイント減の14.1%と、政権交代前の平成19年4月調査時点の水準にまで落ち込んだ。菅内閣の不支持率は73.1%で、初めて7割を超えた。内閣の不支持率が7割を超えるのは鳩山由紀夫内閣末期の22年5月調査以来。菅首相の退陣時期については「今国会が閉会する8月末まで」との回答が、「今すぐ」の28.4%、「今国会の会期中」の36.5%と合わせて64.9%に上った。…… 

■今でも16%もの支持者層が存在する!という事実には驚嘆するしかありませんが、支持する理由の中には過去1年間の業績と呼べるような物が含まれているのか?非常に興味がありますなあ。民主党の支持率よりも更に2%余も高い支持を得ているという謎も誰かに解明して欲しいところであります。こうした調査結果を聞けば比例区で当選した1年生議員は早々に就職活動を始めたくなるでしょうなあ。気の早い某週刊誌の当落予想では鳩山・小沢・菅の旧トロイカが揃い踏みで落選!という笑うしかない結果になっていましたが、政治記者たちに「ポスト菅」などと持ち上げられてニヤニヤしている中堅議員も決して安泰というわけには参りますまい。3年前の総選挙で大勝し、1年前の参議院選挙で惨敗して国会がねじれ、次の総選挙(菅アルイミ首相はダブル選挙もいいなあと言ったとか)で解党的大惨敗にでもなれば憲政史上に喜劇集団として民主党は記録されることになるかも知れません。


菅首相が具体的な退陣時期を明らかにしないことには71.9%が不適切だと回答。平成23年度第2次補正予算案、特例公債法案、再生エネルギー特別措置法案の「首相退陣3条件」が成立しなくても菅首相は退陣すべきだとの回答は76.1%に達した。菅首相に対しては「言動が政権の延命狙いとみられても仕方がない」73.7%、「首相続投で政治の停滞が生じている」76.4%と厳しい評価が並んだ。一方、菅首相の「脱原発」方針は64.3%が評価できると答えた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの買い取り制度も71.3%が「導入すべきだ」とした。ただ、菅首相が「脱原発」方針を「個人の考え」と表明したことには75.0%が「無責任だ」と批判。「脱原発」を争点に衆院解散・総選挙を行うことにも58.1%が「適切ではない」と否定的だった。…… 

■自分には総理大臣としての重い責任がある!と居座りを正当化する菅アルイミ首相ですが、そもそも「責任」という言葉の意味をまったく知らないのではないでしょうか?最新号の『週刊文春』に懐かしくも心苦しい思い出話が出ております。リーマン・ショックが起こる5年前の2003年、2度目の民主党代表になってクラッシャー小沢の自由党との合併を果たした菅アルイミ代表が東京証券市場を訪れて「民主党が政権を取れば3年後には株価が2倍、3倍になる」と大法螺を吹いたことがあるという苦笑を禁じえない恥ずかしいエピソード。当時の日経平均は1万円台を推移していて、その後、旧自民党政権が頑張って1万8千円台にまで持ち直したものの米国の業突く張りがリーマン・ショックを起こして7500円台にまで急落。そして目出度く?政権交代が起こって民主党政権になったのですが、株価は2倍、3倍になるどころか1万円台を割り込んだり回復したりで一向にぱっとしません。あの「2倍、3倍になる」という下手な詐欺師みたいな発言をしたことを菅アルイミ首相は覚えているのでしょうかいなあ?

標的としての菅アルイミ首相 其の壱

2011-07-29 13:39:10 | 政治
■衝撃的なノルウェーで発生した自動車爆弾・銃乱射テロが変な波紋を広げることが危惧される中で、米国のテキサス州ダラス近郊のローラースケート場で23日の夜、男が銃を乱射して5人が射殺された模様。誕生祝いの席で夫婦喧嘩が始まって旦那が銃を抜いて乱射したという話が本当なら、どこか計画的な臭いのする嫌な感じがしますが、昔のカウボーイ気取りで日常的に銃器を携行する習慣を守って?いる男が今も生き残っているとしたら困ったことであります。場所もケネディ大統領が暗殺されたダラスと聞きますと荒っぽい拳銃天国のお国柄は相も変らぬものだとも思いますなあ。

■『サンデー毎日』7月31日号に「イヤな時代がやって来る」というエッセイ風の記事が掲載されておりまして、何処か胡散臭い節電キェンペーンと政治空白が続いている今の日本に嫌な感じの重苦しい空気が淀んでいるというお話なのですが、ネット上に「菅と取り巻きは即刻死刑」やら「もしも今、菅直人を誰かが暗殺したなら……」やらの物騒な文言が飛び交っている事も取り上げられておりまして、匿名性の高いネット空間でならばずっと以前からこの種の言葉は当然のように頻出していただろうと思われるので時期的な違和感がありますが、震災からの復興も原発事故の収束も政治は後手後手に回って国民を落胆させ苛立たせ続ける一歩王で政局・延命ばかりが取り沙汰される永田町に対する殺気を帯びた怒りが日本中に満ちているのは事実でありましょう。別にノルウェーの爆弾・銃乱射テロなどに触発されなくても、変な偶然が重なったりすると暴発する歪んだ怒りのエネルギーはここかしこに溜まっているようなのであります。事実、ノルウェーの惨劇が起こる前に不穏な事件が起こっておりましたからなあ。


菅直人首相の衆議院議員会館の事務所(東京都千代田区)に、首相辞任を求める脅迫文と刃物が入った封筒が郵送されていたことが4日、分かった。警視庁麹町署は脅迫容疑などで捜査している。……郵便物は菅首相宛てで、消印から6月27日に大阪府内で投函されたとみられる。白い長方形の封筒にナイフのような刃物(刃渡り約8センチ)と便箋1枚が同封され、「総理を辞任しろ」「天誅を下す」などと記載。最後に「赤報隊一同」と記されていた。今月1日に事務所職員が発見し、通報した。6月30日には民主党の小沢一郎元代表の事務所にも、似たような脅迫文が届いており、同署は同一犯とみて調べている。
2011年7月4日 産経ニュース 

■まだ未解決の「赤報隊事件」に便乗した脅迫なのでしょうが、まったく無防備だった朝日新聞大阪支局を散弾銃で強襲するのと日本一の警備体制に守られている菅アルイミ首相を標的にするのでは話はまったく違いますから、「天誅を下す」のは大変でしょうなあ。「辞任しろ」の方は8月半ばには決着する可能性が高まっていますから、総理大臣も議員も辞めて一般人としてお遍路を再開したら「天誅を下す」チャンスも生まれるかも知れませんが、辞職後でも標的にする意味があるかどうかは難しいところであります。自称「赤報隊一同」の皆さんが出張って来なくても、にやにや歩いている菅アルイミ前首相は石や棒やペットボトルや靴や唾や……いろいろな物が飛んで来るのではないでしょうか?ご本人がその覚悟で「延命寺」からお遍路を再開するかどうかは定かではありません。前総理の御威光であちこちから敬意を込めた温かい言葉が聞こえてくるなどと愚かな妄想を抱いているかも?

■身の置き場が無くなってしまうような悪口雑言が聞こえると鼓膜と大脳との間の神経回路が自動的に断絶し、それと同時に顔面の筋肉がすべて弛緩してだらっとした無表情を作れる特殊な体質に恵まれた菅アルイミ首相には、自分に都合の悪いことになりそうな気配を逸早く感知する異様に鋭い皮膚感覚も有れば、それに連動して責任を丸投げする犠牲者を瞬時に見つけ出す驚異的な視力!まで備わっているようですから、暗殺者にとっては強敵かも知れませんぞ。悪い冗談と兎も角としまして、大震災・原発大事故から既に4箇月余りの時が経ち、被災地や避難先には必ず陰湿な怨念が無数に溜まっているに違いなく、将来に対する絶望感が極まった直情径行の若い純情が首相暗殺を決意する可能性は誰にも否定できますまい。

■テロが横行した戦前と今の世相を安易に重ねようとは思いませんが、政治家に対するテロは決して国を改善することはなさそうですし、今の菅アルイミ首相が凶弾に倒れても民主党政権が続く限りは稚拙な素人政治は終わらないでしょうし、万が一、菅アルイミ首相が暗殺されたとしても、そこから後世に残る「物語」も「詩」も生まれないような気がします。このまま暫くの間は「民主党を壊さず」「自民党に政権を返さず」、だらだらと進まぬ震災復興の無責任政策を続けながら、民主党議員の総意として任期満了まではのたりのたりと政権与党の座にしがみ付いていたいようですから、民主党消滅、自民党解体、そして政界再編が連鎖的に起こる状況になるまでは「忍」の一字しかないかも知れませんなあ。

■何せ鳩山サセテイタダク前首相よりも少しはマシかと思ったら、もっと酷い菅アルイミ首相を押し付けられてしまった苦い苦い経験をした国民としましては、次は三度目の正直で致命的に愚かで無能な首相が転がり出て来ることを心配していなければなりませぬ。


首相官邸前でナイフを所持していたとして、警視庁は銃刀法違反の現行犯で、東京都清瀬市梅園、無職、福島俊樹容疑者(36)を逮捕した。警視庁によると、福島容疑者は「菅直人首相が辞めないので、罰を与えるために来たが、警察官がいるのでできなかった」と供述している。逮捕容疑は27日午後10時半ごろ、東京都千代田区の首相官邸前の路上で、果物ナイフ(刃渡り約11センチ)を所持していたとしている。……福島容疑者は、官邸の警備にあたっていた機動隊員に「バッグの中に刃物が入っている」と自ら名乗り出たため、その場で取り押さえられたという。
2011年7月28日産経ニュース 

■もしも「福島」が容疑者の姓ではなくて出身地だったら、このニュースはまったく違った位相と意味を持ったことでしょうが、36歳で無職という社会的立場に至った経緯や事情の中に菅アルイミ首相に「罰を与え」ねばならない理由が埋もれているとすれば、同じ行動に出る素地を持つ人は多いとも考えられます。どんなに支持率が下がろうとも、どんなに無能で罪作りな首相であろうとも、莫大な税金を使って身辺は厳重に警備されているという事実を、この容疑者は知らなかっただとしたら、少々、勉強不足だったようです。その場で自首したことで菅アルイミ首相にテロの標的になっていることを伝えたかったのでしょうが、菅アルイミ首相には恐怖のメッセージは通じないような気もしますなあ。

まだまだ辞めない菅総理 其の伍

2011-07-25 08:29:58 | 政治
■「謝罪」の大安売りとは言っても、絶対に謝らないこともありそうです。

「動機、犯行の悪質さに加え、謝罪も全くしておらず、不起訴処分は正しくない」。那覇検察審査会は厳しく指弾し、中国人のセン其雄船長(42)について起訴議決の結論を導き出した。だが、公判が開かれる可能性はほとんどない。刑事事件捜査に国民感覚を反映させる目的で導入された強制起訴制度の実効性が問われる事態だけに、日本政府に毅然とした態度を求める声が広がりそうだ。検察官役の指定弁護士は強制起訴の際、起訴状の謄本を2カ月以内に被告人に送達する必要がある。今回のケースでは中国当局側の協力が必要だが、協力が得られるとは到底考えられない。…… 

■国家にとって重要な領土領海問題に直結する事件に際し「政治主導」をかなぐり捨てて、沖縄地検に責任を丸投げして「柳腰外交だ」と開き直った菅アルイミ内閣でしたが、不倶戴天の敵であるクラッシャー小沢の党員資格を剥奪する時には検察審査会の強制起訴の決定を金科玉条として重用したのに、きっと今回の那覇検察審査会の決定は無視するのでしょうなあ。それも「柳腰外交」の一環なのでしょうが、何とも酷い話であります。


法務省幹部は「先方次第とならざるを得ない。公判が開かれるのは事実上不可能だろう」と話す。また検察幹部は「釈放の判断が正しかったのかは議論の余地があるだろう。だが、釈放した以上、中国側が協力しないという結果が分かっているのに検察が起訴はできない」と話した。だが、検審は、検察側のこうした消極的な姿勢にも厳しい目を向けている。起訴議決では「中国への情報提供申し出や捜査共助の申し入れを行っておらず、再捜査を尽くしたとはいえない」と厳しく批判した。 

■外交政策の責任まで押し付けられて面目を失った沖縄地検としてはボールを政府に投げ返して真の責任の所在を明らかにしたいところでしょう。法務省や検察の幹部がどんな「弱音」を吐こうとも最高権力を握っている総理大臣の見識と根性さえしっかりしていれば「再捜査」は可能のはずです。東京電力の本社に怒鳴り込んだり、爆発の危険のある原発にヘリコプターで(撮影係と同乗で)乗り込むくらいは平気な、支持率アップのためなら何でもする菅アルイミ首相ですから、「脱原発」発言の次に延命目的で飛びつくようなことになれば瓢箪から駒が飛び出るかも知れません。


検審に申し立てたジャーナリストの山際澄夫氏は「国民の良識を反映した議決だ。日本政府は国民の声を受け止めて、中国側に裁判に協力するよう要請していくことが重要だ」と話している。八重山漁協の上原亀一組合長(49)は、「国民目線から見れば当然」と検審の判断を高く評価。石垣市の中山義隆市長(44)は「船長が拘束されている時点で司法の判断を仰ぎたかった」と、釈放に踏み切った地検の判断に首をかしげた。
2011年7月22日(金) 産経新聞 

■さてさて、この重要案件を菅アルイミ首相はどんな動きを見せてくれるのでしょう?菅アルイミ首相としてはもう済んだ話だったかもしれませんが、「あれは仙谷ノーコメント前官房長官の独断専行だった」とでも爆弾発言をすれば、得意の責任丸投げ延命策が成功するかも知れず、世論がやいのやいのと騒いで責めると面白い展開になるかも?領土問題を軍事力では解決出来ない、外交でも無理で司法も無力となったら、もう日本はオシマイになってしまいますからなあ。次期総理の芽を潰すために前原元外相でも引っ張り出して特命大臣にでも任命してみますかな?

■だらだらと延命していても、いつかは選挙で国民に信を問わねばなりません。一体、民主党はどんな選挙を戦おうと思っているのでしょう?既に浮動票は何処かに吹き飛んでしまっているのですから、財界にそっぽを向かれても勝てるほどの票田があちこちに転がっているとも思えないのですが……。


長野県軽井沢町で21日始まった経団連の夏季フォーラムで菅直人政権に対するブーイングが相次いだ。遅々として進まない震災復旧や保身のためとしか考えられない首相発言に企業経営者はあきれ、「日本がつぶれてしまいかねない」と危機感を強めている。米倉弘昌会長は「被災地の苦しみが為政者の念頭にはない」と指摘。復興特区創設に向け「われわれが結束して動かなくては」と呼びかけた。……
初日の討議は震災復興の現状と対策が主要議題。三菱マテリアルの井出明彦会長が「震災から4カ月たっても復興需要が盛り上がらない」と提起すると、三菱商事の小島順彦会長も「被災地の若者が外へ出始めている。時間がない」と報告。参加者から「提言だけで行動が欠けている」(JR東日本の大塚陸毅会長)、「1以内にこれだけは、と言ったものがほとんどできていない」(日本郵船の宮原耕治会長)など菅政権に対する厳しい見方が相次いだ。 

■これほど赤裸々で生々しい政権批判が並ぶのも珍しいことですが、本当の電力事情を教えて貰えないまま猛暑の中で節電に努めている国民の中には、熱中症になりそうな朦朧とした意識の中で「もう日本は潰れてしまったのかも?」と絶望感が湧いているのではないでしょうか?被災地からは不安と苛立ちの声に混じって自殺のニュースが流れ続け、津波には襲われなかった地域でも原発から放出された放射能に怯えながらの節電生活を送っているのですから、来年どころか今年いっぱいでも希望が見出せない多くの人々を見棄てるかのように、「遠い将来の個人的な思い」を都合のよい時だけの記者会見で唐突に語りだす首相には何も期待は出来ません。陰謀めいた利権構造が裏にあったとしても電力エネルギーの安定供給を維持できない政府を経済界が支持するはずもなく、日本の製造業にとって東北地方がどれほど重要な供給拠点だったかが大震災ではっきり分かったのに実質的な復興作業はボランティア任せで、政府は会議ばかりしていて何も決められず、その会議の中には滞留したままの義捐金の「公平な分配方法」まで含まれているのですから募金した国民も呆れて物も言えません。


菅首相が国会で原発輸出の見直しに言及したことについては、丸紅の勝俣宣夫会長は「支離滅裂だ」と驚き、大和証券グループ本社の原良也最高顧問は「ベトナムへの官民合同の売り込みは何だったのか」と憤った。三井住友フィナンシャルグループの奥正之会長は「民主党は大広間のない宿屋だ。個室にこもり、人の意見を聞きに出てこない」と論評。三菱重工業の大宮英明社長は「政治のプロではないアマチュアがいきなり登板してしまった」と嘆いた。三井不動産の岩沙弘道会長は「経団連がものを言えば言うほど逆効果という声もあるが、迎合するわけにはいかない」と強調。アサヒグループホールディングスの荻田伍会長も「何もしないでいれば、ますます経済に悪影響だ」と指摘した。米倉会長は「いまの日本には本当の政治家はいない。政治をなりわいにしている人だけだ」と語り、「どうやって経済界の声を政府に届けていくかだ」と問題提起した。
2011年7月21日(木) 産経新聞 

■史上最高額の内部留保を溜め込んで設備投資も昇給もしない経営者にも問題はあるのですが、涼しい中部電力管内の軽井沢に集まったメンバーの発言はどれもこれも快哉を叫びたくなるほど的を射ていますなあ。ちょっと気になるのはお歴々の中に混じって丸紅の勝俣宣夫会長の「支離滅裂だ」発言があることであります。丸紅元社長の勝俣宣夫さんは東京電力の勝俣恒久会長の実弟です。まあ。兄弟は他人の始まりとも申しますから、レベル7の大事故を起こした責任を負わねばならない者の親族だからと、八つ当たりされても困るでしょうが、「支離滅裂」という言葉は東京電力の原発商売にも向けられてしかるべきだと思いますなあ。経済会では「勝俣三兄弟」として非常に有名なのだそうですが、石油会社・電力会社・商社のそれぞれトップに立っているのは日本財界を象徴しているようにも見えます。

■さてさて、批判ばかりするマスコミは苦手だと同窓会で述べて菅アルイミ首相は、どんなに先延ばししても避けては通れない選挙を考えていよいよ「民主党を壊さない(無くさない)」との鳩山サセテイタダク前首相との約定を守るためにも辞任しなければならないようですなあ。


21日の参院予算委員会でも菅直人首相は相変わらずの「はぐらかし」や「居直り」答弁を続けた。「脱原発」発言、外国人献金問題-。自らが招いた政治の混迷になお反省の色はなし。かみ合わない論戦に野党はいら立ち、審議は何度も中断した。民主党から漏れるのはもはやため息ばかり。……午前9時の質疑開始から1時間余り。野党議員は一斉に退席し始めた。発端は、首相の資金管理団体が在日韓国人からの違法献金を受けた問題。自民党の山谷えり子氏は返金時の領収書提出を強く求めたが、首相はこう強弁した。
「提出を要求されるのであれば、過去の事例や今後のこともあるので委員会や理事会で議論してほしい」
だが、領収書提出は予算委理事会の決定事項だった。前田武志委員長も「誠実な答えを」と促したが、首相は「週明けの早い時期にどう対応するか報告させていただく」と抵抗を続け、審議は7度中断。結局、野党退席により休憩となり、予算委理事懇の末、再開にこぎつけた。 

■金額は違っても、何かと言うと「ロッキード事件」と絡めて自分の政治家デビューを語るくせに、自分の政治資金スキャンダルとなると野党時代とはまったく逆の態度に終始するのが解せません。「過去の事例や今後のこと」などは誰も心配していないのに、何とか自分個人の犯罪行為を薄めようとしているだけのように思えますなあ。「過去にも今後」にも、在日韓国人から違法な献金を受けて大震災の騒ぎに隠れてこっそり返金して知らん振りするような総理大臣は菅アルイミ首相以外いません!


……首相が13日に「脱原発依存」を表明しながら2日後に「私個人の考え」と修正した問題で、岸信夫氏(自民)が「原発立地自治体は大変混乱しているが、どう考えているのか」と真意をただすと、首相は原発の安全性評価に関する統一見解をまとめた経緯を延々と説明したあげく、こう挑発した。「自民党の皆さんも批判は結構ですが、どういうルールが望ましいかぜひ提示してほしい」
岸氏は「質問に誠実に答えてほしい」と促したが、首相は「今申し上げました通り…」と同じ答弁を繰り返すばかり。「脱原発」発言と自らが推進する原発輸出の整合性についてもまともな説明はなかった。塚田一郎氏(自民)は「コントロールできない商品を輸出するのは友好国への背信行為だ」と指弾したが、首相は「新成長戦略の見直しの中で議論すべきだ」と意味不明の答弁に終始した。あまりに不誠実な首相の対応に山谷氏は「鴻毛(こうもう)よりも軽い答弁」とあきれ顔。…… 

■ラジオで聴いていても実に不愉快な判で押したような繰り返し答弁が多過ぎました。役人に作って貰った作文を棒読みしているとしか思えない場面もありますが、自分で考えた支離滅裂な返答を意地になって繰り返しているのは聞くに堪えません。「ウソも百回言えば本当になる」という恐ろしい格言はナチスの宣伝相だったゲッペルスの発明だと言うのは間違いで、本家はカール・ラデックというコミンテルンの指導者なのだと最近読んだ本で知りましたが、菅アルイミ首相は政治的プロパガンダの手法を学生時代に何から学んだのでしょう?支離滅裂な答弁でも100回繰り返せば、国会の質疑を妨害しているのは質問者の方だと愚かな国民は幻惑されるとでも思っているのでしょうか?震災復興と原発事故対策のために折角延長した国会なのに、政治空白の実態が露呈するだけの審議が続きそうです。


……民主党出身の西岡武夫参院議長は21日の記者会見で不快感をあらわにした。「はぐらかしの答弁はもういいかげんにしていただきたい。首相は日本の国を滅ぼす気なのか。あえてそう言わざるをえない」
2011年7月22日 産経ニュース

■参議院議長がしゃしゃり出て首相に辞任要求を突きつけ続けるのは異様なことではありますが、震災後の西岡発言を追って行きますと適切なことばかり言っているように思えます。西岡議長は菅アルイミ首相に関して何かもっと恐ろしい真相を知っているのではないか?と発言を読み返しながら考えてしまいます。政治献金の怪しい迂回工作や外国人選挙権、人権法案など、「国民の生活が第一」とも「政治主導」とも無関係な目標を掲げる民主党には、うっかり政権交代を実現してしまった有権者には伺い知れない闇が隠されているのかも知れませんが、それが明るみに出る前に民主党という政党が消えてなくなりそうです。でも、その前に日本国が回復不可能なほど疲弊して破壊されてしまわないかと、何も知らない何も出来ない菅アルイミ首相の居座り目的の言動をはらはらしながら見ております。

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まだまだ辞めない菅総理 其の四

2011-07-24 16:44:58 | 政治

菅直人首相は22日午前の参院予算委員会で、平成21年衆院選マニフェスト(政権公約)について「財源について、やや見通しの甘かった部分があった。不十分な点があったことを国民に申し訳ないとおわびしたい」と陳謝した。マニフェストをめぐっては、民主党の岡田克也幹事長も21日の記者会見で、「見通しの甘さを国民に率直におわび申し上げたい」と陳謝している。首相は答弁で「基本的な認識は幹事長と一致している」と述べた。
2011年7月22日(金) 産経新聞 

■3点セットの辞任条件を逸早くクリアしようと動き始めた民主党政権の中枢部ですが、妥協に妥協を重ねて3点セットの法案が成立したとしても菅アルイミ首相が潔く辞任するとは誰も考えていないのではないでしょうか?菅アルイミ首相にとっては、ウソを並べたゴミ同然の『マニフェスト』を葬り去ることは鳩山サセテイタダク前首相と「生活が第一」のクラッシャー小沢の政治生命を絶つことと同義で、これは一種の焦土作戦かも知れませんからなあ。「やっぱり俺がやらねば」と言える恐ろしい状況を作り出そうと民主党も日本自体もぼろぼろにしてしまっても平気なのかも?共産主義革命を今でも夢見る政治集団に莫大な献金を流していた民主党ですから、その程度のことは当然のように考えているとしたら、本当に恐ろしいことであります。


野田財務相は22日の閣議後会見で、民主党の岡田克也幹事長が平成21年衆院選のマニフェスト(政権公約)について、「達成の見通しが甘かった」と謝罪したことについて、「東日本大震災の前後で政策の優先順位が変わった。与野党で協議しなければ政治が進まない状況で、総合的に判断した発言だ」と述べ、「適時適切な表現だ」とした。
2011年7月22日(金) 産経新聞 

■財務省の官僚群にすっかり取り込まれてしまった野田大臣にとって、震災復興は大増税と同義語になっている可能性がありますから、増税に一言も触れていない政権交代用『マニフェスト』は邪魔なだけかも知れません。岡田タリバン幹事長にとっては、野党とのパイプを修復して次の首相の座を狙っている心算かもしれませんが、どちらも結果的には菅アルイミ首相の延命に利用されているだけのような気もしますなあ。


枝野幸男官房長官は22日午前の記者会見で、民主党の岡田克也幹事長が平成21年衆院選マニフェスト(政権公約)に関して「検討不十分なところがあった」と陳謝したことについて、「政権交代で大きな政策転換を一気に実現する意気込みが結果的にこうつながっている。見通しの甘さは私も率直におわび申し上げたい」と同調した。一方で「目指すべき方向性は問題があったとは思っていない。いかに方向性に向けて政策を転換し実現するか。政府としてさらに努力したい」とも述べた。
2011年7月22日(金) 産経新聞 

■枝野幸男官房長官は幹事長代理だった昨年11月14日に、自身の選挙区であるさいたま市内での講演で「政治主導なんてうかつなことを言ったから大変なことになった」と早々に白旗を揚げていたのでした。それに菅アルイミ内閣の支持率が急落し始めていたことに「政権が国民の意識、感覚とずれていると思われる部分が多々ある。かなり深刻な状況だ」とまで正直に話していたのでしたなあ。「政治主導」も『マニフェスト』の重要な柱だったのですから、首相・幹事長・財務大臣が今更ながらの「謝罪」をしたのは、自分の先見性が証明されたようなものだと悦に入っているのかも知れません。何とも変な政党ではあります。鳩山サセテイタダク前首相が激怒するのも当然でしょうが、「ペテン師」に大恥を掻かされた憲政史上最も愚かな首相が「また騙された!」と腹を立てている姿は滑稽なだけであります。

■邪魔で仕方がなかった『マニフェスト』を破り捨てられて、よほど気が楽になったのか菅アルイミ首相は低姿勢の「謝罪」の大安売りを始めた模様です。


菅直人首相は22日午前の参院予算委員会で、東日本大震災の被災者向け仮設住宅について、「自治体の要請を受けて見通しを立てたが、今月半ばになって追加の要請があった。お盆までにはなかなか完成しないかもしれない」と述べ、8月中旬の完成目標には間に合わないことを明らかにした。そのうえで「見通しが甘かったと言われればおわびするしかない」と陳謝した。首相は5月に「何としてもお盆までにすべての希望する人が仮設に入れるように、私の内閣の責任として実行する」と8月中旬までに希望者全員の入居を完了させると表明。しかし、その後「私なりの見通しで発言した」と微修正し、政府方針から「目標」に格下げしていた。公明党の石川博崇氏への答弁。
2011年7月22日(金) 毎日新聞 

■「言い訳」と「開き直り」を交互に繰り返して来た菅アルイミ内閣の1年間を総括するような発言であります。最近の「脱原発」発言として報道された「都合のよい時だけの記者会見」を先取りしたような話で菅アルイミ首相が切った啖呵は「政府方針」ではなく「個人的な見通し」だから「目標」にしておいたのだそうです。復興に必要な法律をまったく作れずに官邸で怒鳴り散らしているうちに3箇月もの時を無駄にしたのですから、この程度の謝罪では足りないような気もしますが、本音では復興が遅々として進まない現状を「自分が果たさねばならない責任」がまだまだ残っている事と曲解し続ければ任期いっぱい首相の地位にしがみ付いていられる、と考えているような気がしてなりません。避難生活を続ける被災者の皆さんにとっては恐ろしい首相だと言わねばなりますまいなあ。

まだまだ辞めない菅総理 其の参

2011-07-24 14:52:53 | 政治
■7月23日に閉幕したASEAN会議で松本剛明外相は北朝鮮代表が吐いた「拉致問題は解決済み」との暴言にしっかり噛み付いて「未解決だ!」と反論したそうで、南シナ海の領有権問題でも米国代表のクリントン国務長官に同調しただけではあっても「国際法を守れ!」としっかり主張していたそうです。でも、どんなに外相が頑張っても意地になって居座っているだけの菅アルイミ首相の存在が外交を邪魔して、大事な日米外相会談はたったの12分間で通訳時間を除いた実質は3分だけ。菅アルイミ首相が延命工作の一環として裏で画策しているらしい「訪米」のホの字も出ず、基地問題やTPPなどの懸案など影も形も無かったとか……。藁にも縋り付きたい菅アルイミ首相の足元を見て「訪中」の餌をぶら下げて見せた北京政府も、怪しげな法律や歴史文書の「引渡し」などで特別な関係を結んで「訪日」を提案している韓国も、既に辞任が確定した首相と付き合っている暇は無い!と露骨に冷たい態度だったそうであります。そんな情けない話を聞いても、日本国民は誰一人腹が立たないのではないでしょうか?元々、日本の有権者が相手にしていない首相ですからなあ。

■いよいよアナログ放送が終了して地上デジタル放送への全面的移行が断行されましたが、菅アルイミ首相はアナログ放送と共に首相の座を下りる心算はさらさな無いようで、「脱・原発依存」のアドバルーンが萎んでも外交日程という錦の御旗を振りかざせば、まだまだ延命できると考えているようです。昔、禅定の約束を破って政権を渡さなかった福田赳夫首相は「世界が福田を呼んでいる」とか何とか言ったそうですが、菅アルイミ首相も似たような事を言ってみたいのかも知れません。でも、「世界の誰が?」と聞かれたら何も答えられない筈なのですが……。


菅直人首相が9月下旬に米ニューヨークで開かれる国連総会への出席に強い意欲を示していることが16日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。一般討論演説で自らが打ち出した「脱原発依存社会」を含め日本のエネルギー戦略をアピールする考え。外交日程を早めに固めることで8月退陣論を封じる狙いもある。……首相は9月21日から始まる国連総会一般討論演説に出席し、自ら演説する意向を示し、外務省に演説の草案作りを指示した。ある政府筋は首相の国連総会出席を「今の(政府内の)自然な流れだ」と説明した。演説では、東日本大震災への各国の支援に謝意を表明した上で、政府の復旧・復興構想を紹介。東京電力福島第1原発事故についても収束に向けた政府の取り組みを説明し、太陽光など再生可能エネルギーを拡大させ、脱原発依存を目指す中長期のエネルギー戦略を訴える考えだ。…… 

■原発に反対している人達も、菅アルイミ首相には言って欲しくない!と政局絡みの居座りの道具にされることを不快に思っているようですが、野党時代に国会の演台から衛視の皆さんに引きずり降ろされた時の菅アルイミ首相は演台の机の一部を握ったままという凄まじい姿を晒し、その過去を自民党の石破政調会長が国会質疑の場で指摘してから、テレビで何度も映像が紹介されております。まさか、あれを国連の場で再現するのではありますまいなあ。嗚呼、恥ずかしい。


首相は昨年の国連総会にも出席しており、2年連続となれば平成16、17両年の小泉純一郎首相(当時)以来。ある政府関係者は「首相は小泉元首相を強く意識している。連続出席で長期政権の基盤を固めるつもりではないか」と語った。首相は5月下旬の主要国首脳会議(仏ドービル・サミット)の際、オバマ米大統領に9月前半の公式訪問を招請され、訪米に並々ならぬ意欲を示す。さらに首相は、中国が辛亥革命100年の記念行事を予定する10月10日前後の訪中に向け、中国との調整を指示した。11月には主要20カ国・地域(G20)首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が続く。首相が「外交の連続性」を口実にさらなる延命を図る公算が大きい。 

■外交も内政と同様に途切れることのない政府の仕事ですから、今年も来年も重要な会議は目白押しなのは当然であります。そうした会議が重要だからこそ、無能で無責任な首相が出席しては絶対に行けないのですが、その道理がさっぱり通じなのが菅アルイミ首相なのであります。最近の不誠実で空疎な国会答弁を聞いていますと、「選んだ奴が悪いんだ!」「騙された議員が馬鹿なのさ!」と嘯いているような気がしてなりません。5月下旬のサミットでの大震災・原発事故をけろりと忘れたようなハシャギ振りを見てしまった国民は、もう二度と大きな国際会議には出席して欲しくない!と思ったはずです。


……首相の場当たり的な発言癖は国際舞台でも変わらず、仏ドービル・サミットでは「太陽光パネル1千万戸設置」構想を唐突に打ち出した。国連でも「サプライズ発言が出る可能性は捨てきれない」(政府関係者)との警戒感が広がっており、実現性の薄い国際公約を打ち出せば日本の信用はさらに失墜する。しかも首相が6月2日に退陣表明したことは国際社会でも周知の事実であり、米軍普天間飛行場移設問題など外交・安全保障上の懸案は膠着状態が続くことになる。
2011年7月17日(日) 産経新聞 

■何とも恐ろしいことになりそうな気配でありますなあ。その場凌ぎの発言で窮地を脱してみたところで、次に待ち構えているのはもっと過酷な窮地でしかありますまい。仮に延命工作が功を奏してのこのこ国際会議に出掛けて行っても、「あら、まだ居たの?」と驚かれたり、「留守中にクーデターが起こらない?」と同情されるような不安定な立場ではロクな仕事は出来ますまい。こんな総理大臣を押し付けられてしまった国民はいい迷惑なのですが、こんな代表を支えなければ政権与党の旨味を吸い続けられない民主党の閣僚達もちょっと可哀想かも知れません。

まだまだ辞めない菅総理 其の弐

2011-07-24 14:52:08 | 政治
■なでしこジャパンの世界制覇は日本中に元気を与えてくれましたが、菅アルイミ首相が国会の場で自分の政権延命に対するエールと誤解して奇怪な答弁をしたことで、折角の快挙を台無しにしてしまいました。まさか、「あんたの為に頑張ったんじゃないよ」と選手が言うわけもなく、眠さと疲れを我慢して訪問した首相官邸で自分達が政治の玩具にされたことにも沈黙を守るしかありませんから、彼女達に代わって国民皆が菅アルイミ首相の醜態を決して忘れず、いつになるかは不明とは言え、次の総選挙の投票日までしっかり覚えておくことに致しましょう。

■どうせスポーツ界の話題に便乗するのなら。7月20日に引退を表明した魁皇関を見習って頂きたかったですなあ。日頃の寡黙さが打って変わって弁舌爽やかに「最高の相撲人生でした。やり残したことは何もありません」とさっぱりした表情ときっぱりとした口調で語った姿は、八百長疑惑の暗雲を晴らしてくれるほどの好印象でありました。そして、菅アルイミ首相が見習わねばならないのが「これまで引き際を見失ったが、ここが引き際だと思った」という一言です。その潔さに多くの相撲ファンは感動し、心から「ご苦労様」と言いたかったでしょう。勿論、菅アルイミ首相は御自身が最も忌み嫌う「犬死に」同然の辞任劇への坂道を何の実績も残せぬまま一人で転がり落ちているところですから、魁皇のような爽やかな引退会見は望めませんが……。


自身の簡易ブログ・ツイッターで「なでしこジャパン」の優勝への祝意を書き込んだ蓮舫首相補佐官に対し、「スポーツ振興金をゴッソリ(事業)仕分けして『ジャパンおめでとう』とは死んでも言ってほしくありません」など厳しい意見が殺到し、収拾がつなかくなっている。蓮舫氏は18日早朝、「なでしこJapan、優勝!!すごいです」とチームをたたえる書き込みをした。すると、「えっ?蓮舫さん1番は駄目なんでしょ?どうして喜ぶの」「選手はスーパーでレジ打ちしながら頑張っていた。スポーツ振興費を仕分けした枝野(幸男官房長官)や蓮舫はボーナスをなでしこジャパンに寄贈したら」などの批判が相次いだ。……
2011年7月19日(火) 産経新聞 

■仕分け作業の茶番劇が花盛りだった頃、菅アルイミ首相もにやにやしながら国民の支持が上がると大喜びしていた筈で、更に女性票を積み増そうとでも思ったのか、原発事故の後の第2次改造内閣では「節電に関する国民啓蒙宣伝担当」という不思議な名前の特命大臣に就任しておりましたが、一体、どんな仕事をしているのかいなあ?と思っていたら、「俺と同じくらい原発に詳しい」と菅アルイミ首相直々の御指名で補佐官から原発事故担当相に格上げされた細野豪志氏の煽りを受けて、行政刷新担当相から首相補佐官に降格されてしまった蓮舫議員ですが、きっと、今でも日本発の女性首相になる妄想から醒めてはいないでしょうなあ。タレント時代も政治家転身の時も形振り構わず「1位でなければ!」と必死に頑張って来た人だからこそ、「どうして1位でなけれ……」発言は大いなる違和感を以って受け取られたものと思われます。芸能界も政界も、どちらも情け容赦のない弱肉強食の「1位を目指す」厳しい世界ですからなあ。

■ツイッターでのうっかり発信に予想外の反発が沸き起こったのは菅アルイミ政権の中枢にぺったりと居座っていた業績?が怒りを増幅し、何を言われても蛙の面にションベンの菅アルイミ首相の代用品としてサンドバッグにされたとも考えられます。それにしましても、担当大臣まで任命して国民に「節電」を強いる菅アルイミ内閣は、原発利権を死守しようとする東電を中心とする腹黒い組織に弄ばれている可能性が日に日に高くなってもりますなあ。供給電量を需要が上回りそうになるのは年間で5時間ほどだという説もありますし、蓮舫大臣は何の活躍も見せられませんでしたが、大臣である以上はその下には役人軍団がしっかり配置されていて馬鹿馬鹿しい「啓蒙活動」を税金を使って繰り広げているとの週刊誌記事を読んだ記憶があります。一体、何を「仕分け」ていたのでしょうなあ?

■蓮舫大臣が首相補佐官に格下げされた人事が注目されなかったのは、硬骨漢の馬淵議員が菅アルイミ首相から打診された経済産業副大臣のポストを蹴って一兵卒になった事の方がずっと重大なことだったからだと思われます。福島第一原発の事故が収束しないのに停止中の原発を大急ぎで再稼動させようと頑張っている経産省に移動するのは筋違いだ!という馬淵一兵卒議員の主張は注目に値します。人材不足の民主党を反小沢工作で分断し、さらに少しは能力が有りそうな議員に逃げられてばかりいる菅アルイミ内閣は、あちこちのメディアに書かれている通り「メルトダウン」しています。

予想通りの大惨事? 

2011-07-24 11:25:14 | 外交・情勢(アジア)
■北欧のノルウェーで「予想外」の凶悪テロが発生して驚いていると、今度はチャイナで予想通りの鉄道事故が起こりました。東西冷戦が終わって既に20年以上も経っていますが、ノルウェーのテロ犯人は極端な保守主義思想を持っていたと報じられていますし、チャイナでとうとう大事故を起こしてしまった高速鉄道は「中国共産党結党90周年記念式典」に花を添えるために開通させたそうですから、どちらも古臭いイデオロギーと深く結び付いていると申せましょう。7月14日に福建省武夷山で橋の崩落事故が起き、翌15日には浙江省杭州市の銭江三橋が崩落するなど「90周年」を祝ったはずの橋があちこちで崩れたり大穴が開いているとの報道もありましたから、多くの乗客を運ぶ高速鉄道の安全性を危惧していたのでしたが……。

……中国東部の浙江省温州市付近で23日午後8時34分(日本時間同9時34分)ごろ、同省杭州市から福建省福州市に向かっていた高速鉄道「D3115」が脱線事故を起こし、車両2両が地上20~30メートルの高架橋から転落した。少なくとも11人が死亡、89人が病院に運ばれたが、死傷者は多数に上っているとの報道もある。この路線は、杭州から福州まで740キロの行程で、各車両にはほぼ満席の100人前後の旅客が乗っていた可能性がある。中国中央テレビなどは、列車は別の高速鉄道車両に追突され、高架橋から落下し、雷雨などの悪天候が原因の可能性があると報道。事故は衝突によるものとの報道もあり、情報は錯綜している。…… 

■最新式の高速鉄道で「追突事故」が起こるのも怖いですが、チャイナ各地で頻発している橋の崩落を考えますと、手抜き工事が原因で通過列車の振動に耐えられなくなった高架橋が変形でもしたのではないか?とも思われまして、『また斉南事件?』に書いた嫌な予感よりも事態は深刻なのではないか、と心配になりますなあ。急速に広がる高速の道路・鉄道網は恐ろしいウイルスの如く広まっていますから、崩落の危険が潜んでいる場所を探し出すのは至難の業でしょうし、仮に衝突事故だったとしたら安心して乗っていられません。


北京の日本大使館や上海の日本総領事館などが、事故に日本人が巻き込まれていないかどうか、情報収集にあたっている。事故を起こした列車は、在来線の路線に日本からの技術導入で製造された新幹線型の「動車」と呼ばれる車両を走らせたもので、「和諧号」と総称される。事故現場は、6月30日に開業した北京-上海間の「中国高速鉄道(中国版新幹線)」とは異なる。ただ、中国版新幹線は先月の開業以来、故障や電気系統の不具合などトラブルが相次いでいるほか、中国鉄道省の幹部が、「安全性よりも『世界一』のスピードなどを優先させた設計だった」などと中国紙に暴露して波紋を呼んでいた。中国の高速鉄道は2007年に初めて導入されたばかりだが、昨年末にすでに総延長約8千キロに達し、15年までにこれを1万6千キロにする計画で、急ピッチな建設や路線拡大に安全管理が追いつけるかどうか、疑問視されていた。
2011年7月24日 産経ニュース 

■日本人が巻き込まれているかどうかは不明ですが、思い出すのは1988年(昭和63年)3月24日に上海郊外で発生した急行列車同士の衝突事故であります。高知学芸高等学校の1年生の生徒と教員合わせて28人が死亡した大事故でした。当時は改革解放の小平路線が始まったばかりで急拡大する需要に鉄道インフラが追い付かず、鉄道事故が多発していたのでした。同校でもチャイナ旅行に不安があったらしく、日本の東北地方に向かうコースも選択できるようにしてあったとか……。あの事故の後は、補償問題がこじれにこじれてさっさと日本の外務省は逃げ出し、北京政府と学校、その学校と遺族などなど悲しい対立関係が生まれて大変な騒ぎになってしまったのでした。すったもんだの末に北京政府が極秘裏に示した補償額は400万円前後だったと推測されていますが、最初の提示額は200万円だったとか……。両国の経済力に大きな差があった時代とはいえ、北京政府の人命軽視の本性がちらりと見えた事件だったのでした。さて、世界第2位の経済大国になったらしいチャイナが、どんな補償交渉をするのでしょうなあ?日本人が巻き込まれていないこと、欧米諸国の人間が巻き込まれていないことを北京政府のエライ人たちは願っているに違いないのですが、増加・台頭が著しい富裕層が犠牲者に含まれていると厄介なことになるかも知れませんなあ。

■事故が起こったのは中国版新幹線の路線とは別系統だとのことですが、その本命の方も安全性には問題があるようですから、御用心、御用心。


「中国版新幹線」と呼ばれる北京と上海を結ぶ高速鉄道の列車が13日に江蘇省常州市で停車したトラブルについて、中国鉄道省の王勇平報道官は一部車両が変圧器の故障で出力を失ったと説明した。……車両の問題が浮上し、安全性への懸念が強まりそうだ。同鉄道は2012年に開業予定だったが、中国共産党創建90周年記念日を前にした6月末に開業を前倒しして建設を急いだ経緯があり、工事で手抜きがあったのではないかとの指摘もある。報道官の説明では一部車両の出力喪失で列車全体の走行能力が低下。最高時速が300キロから160キロまで落ち、緊急停止して車両を交換した。トラブルは10~13日の4日間に3度発生。架線など送電系統の障害もあった。報道官は謝罪の一方で「日本の新幹線でもたびたびトラブルが起きている」と釈明した。
2011年7月15日 産経ニュース 

■最後の一言は蛇足ですが、それ以上に苦し紛れの愚かな八つ当たりと申せましょう。人命にかかわる大事故は一度も起こさず、地震や台風などの自然現象に対応して運行を調整することはあっても通常は世界で最も安全で正確な運行を続けているのが日本の新幹線でありますから、東電のポンコツ原発でもあるまいし電源を喪失して停まることもなく、ましてや高架線から列車が脱線落下することなどありません。阪神淡路大震災や中越地震の時にも新幹線は見事に安全に停止して世界を驚かせたものであります。

■新幹線に関しては特許問題も起きておりますが、これは民間技術の前に軍事技術をパクリにパクッて平然と国産と称して商売している実績?があるチャイナですから、日中友好の美名に騙されて虎の子の技術を渡してしまった日本側にも反省すべき点がありそうです。それでも、新幹線の技術から安全性に関する部分を切り捨てて国産品だと言い張るのは不愉快な話で、新幹線に情熱を注いで来た多くの関係者にとっては中国版新幹線は本家とは「似て非なる物」にしか見えないでしょう。日本政府はこの点を早めに世界に向けて発信しておかないと大変なことになるやも知れませんぞ。


中国鉄道省の王勇平報道官は7日、中国国営通信、新華社のインタビューで、中国の高速鉄道について「多くの技術は日本の新幹線よりはるかに優れている」と述べ、日本の技術を上回ったとの認識を表明した。報道官は「日本の高速鉄道計画にも技術を提供したい」と述べ、整備新幹線計画への参入に意欲を示した。技術力誇示は、中国が日本から導入した技術をベースに開発した「中国版新幹線」の技術特許を取得する国際手続きを始めたことについて、日本で反発の声が出ていることへの反論とみられる。日中間で論戦が過熱すれば、両国関係に影響する可能性もある。
2011年7月7日 産経ニュース 

■まあ、今のところはチャイナからの「技術提供」などは悪い冗談でしかありませんが、間も無く、航空母艦や核兵器・大陸間弾道弾などの物騒な分野ならば提供を大歓迎することになるかも?冗談はさて置き、自分達の技術力を無視して「張りぼて」を作って過剰な宣伝で本物らしく見せようとする建国以来の悪い癖を反省して、早目に治しておかないとどんどん高速化・大規模化する陸と空の交通網のあちこちで恐ろしい惨劇が起こる可能性が高まり続けましょう。それ以上に気になるのはチャイナの原発計画であります。

■現在13基の原子炉が稼働中ですが、中国国務院は32基の新規建設を承認済みで、建設・計画中が計70基。2020年までには現在の7倍の約7000万kWにして(大事故前の)日本を抜き、2050年までには230基!もの原発を稼動させるそうですからなあ。偏西風の風下にある日本列島は原発事故が起こらないように毎日毎日祈り続けねばならない時代がやって来るのでしょうなあ。
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