旅限無(りょげむ)

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冗談も過ぎるとホラーになる 其の伍

2012-03-11 14:21:59 | 政治
■日本中が「あれから1年」と呟きながら過ごす日が巡って来ました。関東地方は冷たい雨を気まぐれに落とし続けていた雲が切れて、悲しい記念日のために僅かでも日差しを贈ってくれたかと、天の慈愛が鎮魂の心を穏やかに包み込むかのような空模様になりました。空のもっと上の方では3月7日に巨大な太陽フレアが発生して地球の磁気圏で磁気嵐が荒れ狂うかも?と心配されていましたが、幸いにも全地球測位システム(GPS)などの衛星システムに障害は起こらず、通常よりも低緯度の地域でもオーロラが観測されたと天文ファンには嬉しいオマケが付いて太陽風は収束したようです。1年前に大津波が襲って長大な防潮堤を破り多くの町を壊滅させた上に「絶対に安全だった」原子力発電所をぶっ壊してしまったその1年後に、太陽からの強烈な磁気が宇宙の津波のように押し寄せて各種のIT機器を狂わせるような宇宙災害が起こらなずに済んで何よりでありました。

■何の顔(かんばせ)あってか、一向に進まぬ震災からの復興を横目に民主党政権は追悼式を主催するのだそうですなあ。心臓バイパス手術を無事に終えられてリハビリ中の天皇陛下が強く希望されて件の追悼式に参列される由。同席する野田ドジョウ総理を筆頭に名前だけの三権の長、その後ろに金魚のウンコ同然に居流れる民主党議員の面々は、陛下の病状に対して何の責任も感じていないのでしょうか?震災・津波・原発事故の発生直後から、両陛下が御高齢かつ万全の体調でもなかったはずなのに3月30日の東京都武道館に避難していた被災者の皆さんへのお見舞いから始まって4箇月もの間、岩手、宮城、福島、栃木、茨城、千葉、東京、埼玉の8都県に散らばる避難所をお回りになったのは、もしかすると現政権の無能無策ぶりに失望しておられたからなのかも知れないのに……。

■もれ伝わるところによりますと昨年3月11日、皇居内での御公務を終えられた後、宮殿の執務室に入られた直後に震災に遭われた陛下は、執務を中断することなく各地の被害状況を知ろうと努められ、翌12日には羽毛田信吾宮内庁長官を通して菅アルイミ首相に「被災者と災害に対処している人々へのお気持ちを」お伝えになった由。当の菅アルイミ前首相はと言えば、外国人からの怪しげな政治献金問題を追及されてシドロモドロの答弁を繰り返していた最中に、大震災が起こり原発がメルトダウンしたのをモッケの幸い、渡りに船と大いに利用して献金疑惑など無かったかのように獅子奮迅の大活躍で震災・原発事故への対応を大混乱に陥れ、国民を見棄て日本国を滅亡の縁に追い込んで行ったのでありました。

■震災5日後の16日に、御自身で推敲(すいこう)を重ねた「お言葉」をビデオメッセージにして発表されたのは、菅アルイミ前首相から為政者として国民を慰め安心させて元気付ける「言葉」がまったく語られることがなく、官邸に籠もって「原発に凄く詳しい」と空威張りを続けてスタッフを幼児のように怒鳴り散らしているという悲しくも恥ずかしい政府の実情を誰かからお聞きになったからではなかろうか?「やるべき事はやった」などと意味不明な自画自賛の空疎な言葉を残して官邸を去るまで、菅アルイミ前首相から歴史に残る国民の魂を奮い立たせるような「言葉」は、ただの一度も聞かれなかったのでありました。国民に語り掛ける「言葉」を持たない首相を先頭に、思いつきで被災地巡りをしていた多くの大臣や議員達も、後々のアリバイ作りか選挙運動の一部としか考えないちょっと不便な「視察」旅行を繰り返したようにしか見えなかったからこそ、両陛下は被災者の前に膝を付き、胡坐をかいたままの若者にも非礼な口調しか使えない困った人にも真摯に耳を傾けて歩かねばならなかったのではなかろうか?などと、今更ながらに想像してしまうのであります。

■今となっては真偽不明の「電力不足」による計画停電に関しても、13日に東京電力が「原発の有り難味を骨身に沁みさせてやろう」と国民を脅迫したとしか思えない計画停電を一方的発表すると「国民と困難を分かち合いたい」とのお気持ちから15日から御所での「自主停電」を始められたのでした。誰かさんの選挙区は停電していないぞ!などと不平等な停電計画に文句が出ている間も、御所のある千代田区は計画停電の対象地域とはなっていない事実を陛下がどのようにお考えになったかは存じませんが、御所は率先して計画停電「第1グループ」の強制停電に合わせて電気を一切使わなかった由。当時、週刊誌が節電啓蒙担当大臣とか何とか言う役所に就いていた蓮舫議員の大きな自宅では盛大に照明を輝かせてドンチャン騒ぎをしているとのスクープ記事を掲載していたのを憶えておりますが、東京電力は計画停電を4月30日まで続けるぞ!と根拠は不明ながら1箇月半もの不便を国民に押し付けたのでしたが、福島原発が奇跡的に復旧したわけでもないのに計画停電は予定よりも早く終了したのでした。反原発派からは「本当は電気は足りている」との声が上がっていたのでしたが、今に到ってもあの計画停電は必要だったのか、正しかったのか、誰も検証していないようですが、陛下の御判断で御所の「自主停電」は4月30日まで続けられたのだそうです。東京電力から一言、謝罪や挨拶があったのかどうか寡聞にして知りません。

■政権交代以来、稚拙で強引な国会運営を続けている民主党政権は国民に大いなる御迷惑を掛けているのは勿論ですが、「自主停電」の御不便に耐えながらも憲法に定められた国事行為は遅滞無くお続けになられた陛下は、文字通りに国民と共に国難に立ち向かっていたことになります。隣の大きな国からエライ人が来て、急に天皇陛下に会いたいなあ、と言い出してクラッシャー小沢が一肌脱いで慣例破りの会見を「国事行為だから」と憲法を曲解して強制したこともありましたが、憲法の定める国事というのは国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命すること、内閣の指名に基づいて最高裁判所長官を任命すること、国務大臣その他の官吏の任免を認証すること、国会を召集すること、法律や条約を公布すること、栄典を授与すること、大使の信任状を認証すること、外国の大公使を接受することなどのことで、「国際親善を目的とした国賓のための公式晩餐、その他外国要人、在京外国大使などのための御引見や午餐」は国事行為ではないのだそうですなあ。憲法に詳しいはずのクラッシャー小沢は大恥を晒してしまったのでした。

■その「国事行為」には、それぞれの事項に関する閣議決定の書類が毎回作られて、閣議後に陛下のお手元に届けられるまして、陛下は実に丁寧にごお読みになってから厳かに御署名・御押印をなさるのだそうです。従いまして下手くそな国会運営が原因で閣議が遅れたり、事務作業に手間取ったりして夜遅くに書類が御所に届くことが、特に民主党政権になってから増えたと聞いております。どれも変わらぬドングリの背比べとしか思えぬ大臣の交代も馬鹿馬鹿しいほど頻繁に行なう民主党政権に付き合って、夜の認証式が何度も行なわれたのであります。国事行為ではなくても国会開会式には毎回御出席になりますし、宮殿内での各種儀式も臨まねばならず、相手だどんな無能であったも内閣総理大臣の親任式もあれば、最高裁判所長官の親任式、認証官任命式、外国特命全権大使の信任状捧呈式、勲章親授式など平時でも非常にお忙しい陛下に対して現政権は大変な御迷惑を掛け続けていると申せましょうなあ。

■序に3月9日に米国で行なわれた追悼式典でオバマ大統領が発表した声明は犠牲者に哀悼の意を示して「想像を絶する喪失に対し、並はずれた不屈の精神で立ち向かった日本人の努力に感銘を受けている。日本人の努力を鑑(かがみ)としたい」と述べた由。「日本人」の中に民主党の政権や議員が含まれているかどうかは定かではありませんが、少なくとも「日本政府の努力」とは言わなかったようです。徐々に明らかになっている原発事故後の菅アルイミ内閣の無能ぶりに米国政府が苛立ち、不信感を募らせて腹を立てた様子から考えてオバマ大統領の口から現政権を賞賛する言葉は出ないでしょうなあ。


2万人近くの死者・行方不明者を出した東日本大震災から1年を迎えた11日、政府主催の追悼式が同日午後、国立劇場(東京都千代田区)で営まれる。天皇、皇后両陛下、野田佳彦首相ら三権の長、被害が大きかった岩手、宮城、福島の被災3県の遺族代表ら約1200人が参列。震災発生時刻の同2時46分、参列者全員で黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈る。
 追悼式では、黙とうに続いて、首相が被災地の一日も早い復興に引き続き全力を挙げる決意を表明。その後、天皇陛下がお言葉を述べられ、最後に遺族代表が復興を誓う。陛下は心臓の冠動脈バイパス手術を受け療養中だが、時間を当初の半分に短縮して出席される。
 国会議員や地方自治体関係者、民間団体代表らのほか、ルース駐日米大使ら各国大使も参列。自然災害による追悼式を国が主催するのは初めて。
2012年3月11日(日)5時46分 時事通信  

■間も無く3月11日午後2時半になります。ちょっと早いですが、黙祷を捧げましょう。

冗談も過ぎるとホラーになる 其の四

2012-03-04 10:45:53 | 政治
■3月3日の雛祭りの日にクラッシャー小沢がテレビ東京の『田勢康弘の週刊ニュース新書』に緊急出演!しておりましたが、落ち着いた口調ながら野田・谷垣の(皆が知っている)秘密会談に対抗するには嫌いなテレビ局にでも我慢して顔を出して泰然自若としている姿を見せなければならない苦しい「台所事情」があるのでしょうなあ、と邪推したくなる薄味の緊急ナマ出演でありました。話題は党首討論の4日前に与野党党首が密談を交わしていたという確度の高い「噂」と小沢グループの離党の可能性が中心でしたが、久し振りに民放テレビに出たのに冴えない表情に見えたのは、クラッシャー小沢に関して田中角栄元総理大臣と比較した興味深い記事を見付けていたからかも知れません。

……「今年は大変な年になるぞ」。年明け早々の1月2日夜、民主党の小沢一郎元代表は岩手県久慈市のすし店で、同県の達増拓也知事らとの会食で、こう述べたという。翌3日、小沢氏は大津波の被害を受けた岩手県沿岸部の都市を一気に視察した。久慈→宮古→釜石→大船渡→陸前高田。走行距離約220キロ。「大変な年」発言は地元・岩手、東北の復興への決意の表れだったのか。ところが、視察先で小沢氏の口から出てくるのは、永田町にいるときと変わらぬ政権批判ばかりだった。……小沢氏の被災地入りは、これが2度目。最初は昨年3月28日に県庁を訪問、沿岸部には足を踏み入れなかった。この間、小沢氏は達増知事と頻繁に連絡を取っていたというが、菅首相(当時)の不信任案に同調する動きを見せて揺さぶりをかけ、首相退陣後は、野田佳彦現首相への対抗馬擁立など、政局の主役として脚光を浴び続けていた。…… 

■クラッシャー小沢は東日本大震災が発生する前に民主党内の特に小沢嫌い議員達が好む「政治とカネ」という黒い看板を振りかざし検察に対する全国的な不信感が渦巻く中で飛び出した政治資金規正法違反罪での強制起訴というちょっと強引な判断に誰かさん達は小躍りして喜び2月の段階で妙にテキパキと党員資格停止処分を決めていたのでした。そして大震災と原発大事故が起こった3月に、クラッシャー小沢は党倫理規則に基づいて不服を申し立てて党の執行部と睨み合いになったものの、「却下」の決定が下ったのは何と夏の7月20日のことでした。それも「判決確定まで」はずっと党員資格停止だぞ!という御丁寧な条件まで付いていたのでした。

■遅々として進まない震災からの復興に苛立ちが募っていた時期でもあり、宮城県仙台辺りにさっさと復興庁を設置して、「東北の帝王」だの「ゼネコンの総元締め」だのと政界に流布する黒い噂を逆手に取って、クラッシャー小沢に全権を預けて豪腕・辣腕を振るわせようなどという非常の決断を下せるような民主党政権ではありませんでした。片方ではクラッシャー小沢を座敷牢に放り込んで放置し、また片方では力強さに欠けるハリボテの復興庁を立ち上げるのにさえ11箇月もの無駄な時を費やしてしまったのですから、ロッキード裁判で手足を縛られながらも「闇将軍」として隠然たる力を持ち続けた田中角栄さんと比較するのは酷だったような気もするのですが……。


……昭和59年、新潟県中部で発生した大水害。田中角栄元首相は地滑りが起きた長岡市の現場に急行した。「すぐやる。全部やるから心配するな」。住民たちを励ます田中氏の姿を後援会「越山会」で青年部長を務めた星野伊佐夫新潟県議(72)は鮮明に覚えている。当時、田中氏はロッキード事件の渦中にいながら、なお大きな影響力を保持し、「闇将軍」と称されていた。政界一の実力者が「すぐやる」と宣言した通り、地滑り現場では2、3日後には、復旧工事の着工日が決まっていた。「カネは後で何とかする。まず取りかかれ」。これが田中氏の口癖だった。田中氏は、復興の支障になると思えば、法や制度を変えることをためらわなかった。39年の新潟地震を契機に政府と損保会社が共同運営する地震保険制度を確立。42年8月の新潟県北部の集中豪雨で死者が100人を超える水害が起きた際には、堤防決壊で、甚大な被害を引き起こした荒川を、河川法で管理主体が県単位となっていた2級河川から国が直轄する1級河川に昇格させた。 

■田中角栄さんと言えば抜群の記憶力と絶大な実行力は今でも語り草になっておりますが、それ以上に「人たらし」の天災だったと専らの評判であります。この才能がクラッシャー小沢には欠けているのかも知れませんなあ。


小沢氏は、その田中氏のまな弟子とされている。ともに長く政界で影響力を持ち、自らの「政治とカネ」にまつわる疑惑で法廷に立ち、批判が多い点まで共通している。しかし、地元を大災害が襲ったときにとった行動は対照的だった。……被災地でボランティア活動に励む一方で、永田町では政局三昧。この1年間、与野党問わずに見せた国会議員の二つの顔が、そのまま被災地と永田町の間に横たわる大きなギャップとして表れた。
2012年3月1日 産経新聞 

■「壊し屋」の異名を持つクラッシャー小沢ですから、ちょっと動けば「すわ離党か?!」と政治記者達の飯の種にされ、あれこれ憶測をたっぷりと塗り込んだ怪しげな記事を書き立てられるのは仕方がないことなのでしょうが、無理スジの裁判を陰湿に利用して手足を縛られている身としては表立っての行動は慎まざるを得ない立場である事実を無視して、復興に努力せず政局遊戯に血道を上げている困った無能な政治家達の親玉に仕立て上げるのは、日本の政治を停滞させ復興の邪魔をする結果になるだけのような気もします。政権交代が実現した直後から幼稚な内輪揉めばかりしている民主党に震災からの復興も原発問題の解決も最初から荷が勝ちすぎていたのでしょう。ましてや財政再建と年金医療制度とを両立させる大改革など下手をすれば政治的理由で日本が世界的大恐慌の引き金を引く役を演じることになる可能性さえある危険な火遊びも同然と申せましょうなあ。「政権交代」が悪い冗談だったのか、憲政史上最悪のホラーだったのか、そろそろ結論が出る頃かも知れません。

冗談も過ぎるとホラーになる 其の四

2012-03-01 15:28:59 | 政治
■2月の末日に党首討論が行なわれたそうですが、きっと事前の「密談」が発覚しなければどこのマスコミも大きく取り上げることなどなかったと思える面白くも何ともない時間とカネの無駄としか言いようの無い見世物だったようであります。支持率が急降下中の野田ドジョウ首相と支持持率が停滞したままの谷垣総裁が、近頃流行の「第三局」に漁夫の利を占められないように共倒れを避けて「消費税増税」と「話し合い解散」で合意して手打ちをしたのではないか?という憶測が永田町を駆け巡っている由。

■選挙にさえ持ち込めば誰かさんと組んで政権与党に返り咲けると妄信している谷垣総裁も、震災からの復興も原発事故対応も加速できない野田ドジョウ首相も、どちらも総理大臣の資質を欠いているような気がしてなりません。そんな二人が財務省辺りが描いたシナリオに沿って手を握っても共倒れを避けられる筈もないのですが……。原発問題や年金制度の問題は自民党に大半の責任がありますから、それを改善できない無能な民主党ばかりを責めるのは酷かも知れませんが、沖縄の普天間移設問題は間違いなく民主党が自民党の努力と苦労を水の泡にしたのですから責任は重大でありましょう。そんな二つの政党が裏に回って密談したところで政権担当能力が無い民主党も反省の足りない自民党も有権者から見棄てられるだけではないでしょうかな?

■それにしましても1923年(大正12年)9月1日に起こった関東大震災の時には翌日から帝都復興省・帝都復興院の検討を開始して9月27日には時の山本権兵衛内閣が復興院を設置したというのに、今回の東日本大震災に際しては「復興庁」の設立に11箇月も要した民主党の責任は歴史に深く刻まれるべきでしょうなあ。その裏事情は笑うべきもののようですが、被災地で長い厳しい冬を耐え忍んだ皆様にとっては決して笑って聞ける話ではありませぬぞ。そして、東京直下型地震に怯えて暮らす1000万人以上の人々も東海・東南海連動地震を心配している人々にとっても決して他人事ではなく、もしも被災したら最後、愚かで無能な政府に翻弄されることになるのかいなあ、と密かに嘆いているに違いないのであります。大震災も津波も原発事故も、明日は我が身ですから、少しはまともな政府と制度を作っておかないとエライことになりましょうぞ。


「常に遅い、遅いといわれたが、強い叱咤激励ととらえている。真摯に批判は受け止め、しっかり取り組んでいきたい」
復興庁発足を受けて記者会見した平野達男復興相は、昨年3月11日の東日本震災発生から11カ月後という極めて遅い門出を、こう釈明した。
復興庁の設置構想は、永田町の政争に翻弄された。自民、公明両党は震災発生直後から復興庁構想を提唱してきた。公明党の山口那津男代表は10日、「われわれが復興庁を提案したのは昨年の3月22日。今日に及んでやっと発足というのは遅きに失する。責任を政府・与党が自覚しなければならない」と記者団に語った。
実は政府内にも当初から同調する動きがあった。枝野幸男官房長官(当時)は昨年3月22日の記者会見で「一つのまとまった機能を果たす組織は考えなければいけない」と、前向きな姿勢を示していた。ブレーキとなったのは菅直人首相の存在だ。
菅氏は「作り方を間違えると二重行政になる」と構想に難色を示していた。自らが本部長を務める復興対策本部に野党を引き入れることで、当時、支持率の低迷にあえいでいた政権の基盤強化をもくろんでいたのだ。それでも民主党は党主導で野党と協議を進め、復興庁について「1年以内の法制上の措置」を講じるとの復興基本法案の修正に応じ、6月20日に成立させた。ただ、既に事実上の退陣表明を行っていた菅氏が8月末まで居座った上、首相交代時の混乱もあって、復興庁設置法が成立したのは12月9日だった。……
2012年2月10日 23:07 産経ニュース 

■既に民間事故調が福島原発の原因を追究した結果を公表し、近いうちに英訳もされて世界に発信されるとのことです。未だに審議不明の「東京電力、全面撤退」を自ら本社に乗り込んでターニングポイントを作ったと記されて、にやにやしながら「認めてくれて感謝します」とコメントを発表した菅アルイミ前首相ですが、間も無く世界中で史上最悪の愚かな指導者として有名になるでしょう。そして大震災からの復興も邪魔していたとなれば、民主党政権にとって命取りにもなり兼ねませんぞ。一体、あの人は何のために総理大臣になったのでしょうなあ?事故調の結果発表に合わせて各テレビ局が当時の菅首相の声や姿を再放送してくれておりましたが、愚かしくも滑稽な道化役として笑えばよいのか、怒りの眼差しで睨み付けたらよいものやら、どんな顔をして画面を観たらよいのか迷ってしまいましたぞ。でも、やはりあの映像は恐ろしい悲喜劇の記録になったのだだと考えるしかないかも知れませんなあ。

■震災からの復興も原発事故の対応も遅れに遅れている原因は菅アルイミ前首相という憲政史上稀に見る異常な人格だけではなさそうです。以下は産経新聞が掲載した『第11部 前へ進むために(1)地に足つかぬ政治 ボランティアで自己満足』の抜粋です。被災地の皆さんは、もしも解散総選挙があった場合、誰に投票するのでしょう?


……岩手、宮城両県警は2月23日、東日本大震災で新たに身元が分かった犠牲者2人の氏名を公表した。同月27日には5人、28日は3人。震災発生から1年が過ぎようとする今もなお連日のように亡くなった人の身元が判明している。死者1万5854人(2月29日現在)に上る大震災は、なお現在進行形のできごとであることを思い知らされる。一方、東京・永田町は、すっかり「日常」を取り戻している。与野党攻防、党内対立、○○降ろし…。いつもの風景だ。そして今、議員の関心事は「いつ衆院解散があるのか」の一点に絞られつつある。

震災発生直後はそうでなかった。産経新聞社が昨年7月に実施したアンケートでは回答を寄せた336人のうち、実に92・9%に当たる312人が「被災地を視察した」と答えた。……だが、永田町に戻った彼らはどうだったか。
「炊き出しで満足する『ボランティア政治家』が増えている」。自民党のベテラン議員は、若手議員の話を聞くたびに、こんな複雑な思いを抱いている。東日本大震災という未曽有の事態を前にした国会議員の仕事は、まず、復旧・復興策が実行できる態勢を速やかに整えることだ。そのうえで、震災は日本中どこででも起きうると認識し、自分の目で見て、肌で感じた被災地の実態を踏まえ、国全体の施策にどう反映させるかだろう。…… 

■原発事故対応の最大の障害は菅アルイミ前首相の選挙向けパフォーマンスだった事が徐々に照明されつつありますが、子分達は親方を見習うのは当然でしょうから民主党議員の多くも取り敢えずは現地に税金を使って出掛けて行き、野党も負けてはいられないと顔と名を売りにやっぱり税金を使って視察に行きました。中には落選中の議員や公民権停止中の某氏なども何がしかの動きを見せていたようでしたが、野党自民党の地元選出の議員は政府の対応を地元の酷い実態を踏まえて鋭く批判していたのは特に印象的でした。でも、菅アルイミ首相は何もしないまま「やるべき事はやった」と意味不明な自画自賛の言葉だけを残して官邸を出て行ってしまったのでした。


……復興の前提となる復興基本法が参院本会議で成立したのは、発生から3カ月以上が経過した昨年6月20日。17年前の阪神大震災の際の基本法成立は約1カ月後だった。復興の司令塔となる復興庁の発足に至っては今年2月まで待たされた。震災発生時の首相だった菅直人氏も在任中、被災地に「足しげく」通った。そして、昨年4月21日、視察した福島県田村市の避難所を立ち去ろうとした際、被災者の夫婦に「もう帰るんですか」と語気鋭く、とがめられた。だが、この夫婦の怒りの矛先は菅氏一人だけだったのか。政治家すべて、政治そのものへの憤りと受け止めた国会議員は、何人いるだろうか。 

■あの避難所に響いた若い御夫婦の「無視するんですか?!」という鋭い声と、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で立ち止まって振り返った菅アルイミ前首相の引き攣った卑屈な表情を捉えた映像は永久に残りますし、「別に無視したというわけではなくて……」と政治家らしからぬシドロモドロの弁解をしていた姿は実に実に情けなかったのでありました。あれが原発大事故からの避難場所でなければ大笑いの種になったのですが……。

冗談も過ぎるとホラーになる 其の参

2012-03-01 14:16:40 | 政治
■かつては自民党と裏では支え合って55年体勢という茶番劇を演じていた旧社会党は、社民党と名前を変えた今も社民党公式サイトに「私たちは目指します。憲法の理念が実現された社会を」と高らかに謳っている政党なのですが、多くの議員が民主党に逃げて行ってしまい吹けば飛ぶような弱小政党となったものの、立派に6名の衆議院議員を擁しております。因みに阿部知子・吉泉秀男・重野安正・照屋寛徳・服部良一・中島隆利の皆さんなのですが、この中で誰一人として「違憲だ」と言われて議員を辞するつもりは無さそうです。更に指摘すれば社会民主党宣言には「私たちは目指します。人々が支えあい、尊重しあう社会を」とも書かれているのですが、小さな御山の大将の座を巡って分不相応な内輪揉めをしているのは笑止千万でありますなあ。産経新聞が『貧窮問答歌』とうまい表現で社民党の内情を報じておりました。

国会議員わずか10人の小所帯ながら1月の党首選で激しい不協和音を響かせた社民党に新たな危機が迫っている。半世紀近く党本部として利用してきた「社会文化会館」(千代田区永田町)の老朽化が進む中、資金難で建て替えができず、党本部退去を余儀なくされているのだ。24、25両日の党大会で提案するというが、新役員選出さえままならない中で賛同を得られる見通しは立っていない。5選した福島瑞穂党首の貧窮問答歌はまだまだ続く…。 

■この種の話はどこの政党にとっても他人事ではなく、迷惑なスギ花粉を運ぶ春風と一緒になって選挙風が何処からともなく吹き始める今日この頃ですから、「明日は我が身」でとても笑ってはいられないでしょうなあ。思い返せば、1990年(平成2年)前後に当時の日本社会党委員長は憲政史上初の女性党首でにあった土井たか子さんで、何をどのように勘違いされたのか?原因不明の人気を博しまして1989年の第15回参議院議員通常選挙では先の悔いても悔やみきれない政権交代選挙と同様に自民批判票を掻き集めて大勝利!与党は過半数を割って続く1990年の第39回衆議院議員総選挙でも自民党は「泣き面に蜂」で一方の社会党は大躍進を遂げたのでした。世にいう「マドンナ旋風」という奇怪な現象でありました。後の小泉チルドレンや小沢ガールズの大先輩に当たるおばちゃん議員が退去して国会に乗り込んで、「主婦感覚」だの何だのと空恐ろしい空理空論を振り回したのでありました。

■嗚呼、思えばあの短い1年が旧社会党にとっては「我が世の春」で、1991年の統一地方選挙ではあっ気なく大敗して土井委員長は引責辞任し、1993年の第40回衆議院議員総選挙に挑んでみればマドンナ議員は枕を並べて討ち死にし党の議席は半減。冷戦時代もとうの昔に幕を下ろして社会主義イデオロギー政党の賞味期限はとっくに切れていたこともありまして、泥舟と化した旧社会党は内輪揉めと分裂を繰り返して今に到るのであります。そう言えば土井委員長の後釜に座った村山富市さんが第81代内閣総理大臣に任命されるという椿事もありましたなあ。任期は1994年(平成6年)6月30日から1995年(平成7年)8月8日までで、1995年は言わずと知れた年明け早々1月17日に阪神淡路大震災、3月20日にはオウム真理教による地下鉄サリン事件が起こったのであります。東日本大震災と原発大事故に対応できずに紙くずのように官邸から掃き出されてしまった菅アルイミ首相に比べれば、村山元首相は立派に震災対応が出来ていたと変な褒められ方をするマスコミもありますが、比較する事自体が虚しいような気もします。

■さてさて村山政権時代も今は昔のお話で、現在の社民党は文字通りに風前の灯なのであります。


皇居に臨む三宅坂に面する社会文化会館は昭和39年に完成した地上7階地下1階のビル。敷地は約1700平方メートル。688席を有する三宅坂ホールもあり、旧社会党は自らを「三宅坂」と名乗っていた。55年体制下では人の行き来が絶えず、平成元年の参院選では土井たか子委員長(当時)の「おたかさんブーム」で大勝。一時は衆参両院で約200人の議員を抱える大所帯となった。ところが、平成8年1月、社民党に党名変更後は鳴かず飛ばず。支持者の多くは民主党に流れ、党が使用しているのは2、4両階だけ。他フロアは節電のため消灯し「お化け屋敷」と揶揄(やゆ)されるようになった。
民放のドラマ撮影などに貸し出し細々と収入を得てきたが、メンテナンスを怠ったこともあり、建物の老朽化が進み「大地震が来れば極めて危険な状態」(党幹部)だという。建て替えも検討したが、資金調達ができず断念。国有地に建っているため国に借地料を支払わねばならず、営利目的で貸し出すことも難しい。
悩んだ末に党執行部は会館からの退去を決断。24、25両日に日本教育会館(東京都千代田区)で開かれる党大会で重野安正幹事長が党本部移転を提案、了承を求める段取りだという。…… 

■「メンテナンスを怠った」というのは旧社会党自体に関しても言い得て妙だと申せましょう。薄く広く全国からコアな支持票を掻き集めてやっと比例区で当選している党首が政党自体の現状を象徴しておりましょうなあ。選挙が近づけばただでさえ乏しい議席を持ち逃げされて政党としての構成要件を満たせなくなるかも?


だが、懸案はそれだけでない。先の党首選のシコリはまだ残っており、党役員人事が難航しているのだ。福島氏は重野氏を再任させる考えだが、5選阻止に動いた照屋寛徳国対委員長や阿部知子政審会長らは「党勢を衰退させた責任は大きい」と幹事長交代を要求して一歩も引かない。とはいえ、10人の小所帯では、人事での融和策といっても選択肢はわずか。
中立派の又市征治副党首を幹事長に起用すれば反福島派も矛を収める可能性はあるが新鮮味ゼロ。しかも党首と幹事長がともに参院議員という事態となる。衆院1回生の服部良一国対副委員長を幹事長に起用すべきだとの意見さえある。
強気の福島氏は阿部氏らと「手打ち」にする考えはないようだが、党役員人事までゴリ押しすれば阿部氏らが離党する可能性もある。人も建物も失えば、社民党は正真正銘の「幽霊政党」になりかねない。
2012年2月22日(水)7時55分 産経新聞 

■「党勢を衰退させた」のは誰か一人の責任ではなさそうですし、役員人事をどんなにいじくり回してみたところで社民党の支持者が突如として増加し始める可能性は皆無でしょう。そもそも護憲政党の金看板を揚げているのに「違憲議員」が7人もいるという異常事態を何とも思っていないのは、つくづく無責任野党の悲しくも卑怯な体質を晒しているようなものです。さてさて、東京都直下地震で社会文化会館という時代遅れの建物が崩壊するのが先か、或いは冷戦時代の亡霊として次の選挙で政党自体が消滅するか、馬鹿馬鹿しい内部対立の激化で分裂騒動でも起こして党を解散することになるのか、いずれにしても格好悪い最後になることだけは確かなようでありますなあ。幽霊屋敷に住み着いた「幽霊政党」、これも冗談が過ぎてホラーになった話と申せましょうが、元々、この政党には選挙区で落選して比例区で復活当選した「ゾンビ議員」の比率が異様に高かったのではなかったでしょうか?お後がよろしいようで……。

冗談も過ぎるとホラーになる 其の弐

2012-02-28 16:09:34 | 政治
■野田ドジョウ首相は前々任・前任者の轍を踏まぬように口を慎みパフォーマンスをせずに頑張っているのに支持率は急降下し続けておりますから、前任者の悪行まで背負わされて選挙をさせられるのは勘弁して貰いたいところでしょう。

消費増税を争点にした衆院解散・総選挙は遠のいたとの観測が与党内に広がっている。消費増税法案の成立が見通せなければ、野田佳彦首相は4月にも解散に踏み切るとの見方があったが、内閣支持率の低迷で大敗の懸念が強まっているためだ。衆院の「1票の格差」是正が進まず「違憲・違法状態」にあることも、厭戦(えんせん)気分を増幅している。ただ、首相が政界再編をにらんで解散に打って出る可能性も否定できず、与野党の腹の探り合いが続く。
「仲間に戻ってきてもらうのも大事な仕事だ」。首相は最近、同僚議員にこう語り、「仲間」の大量落選も予想される状況での解散は避ける意向を示した。…… 

■3年余り前の政権交代が起こる直前、悲壮感に満ちた表情で選挙戦に臨むことになった自民党最後の総理総裁になってしまった麻生太郎元首相が「みなさんに帰って来て頂くこと」を涙を浮かべて叫んでいた場面を思い出しますなあ。哀れ野田ドジョウ首相は短かった民主党政権の最後の首相・代表として歴史に名を残すのでしょうか?是非ともそうあって欲しいのですが……。


今国会に臨む首相は「強気」だった。1月16日の民主党大会では「野党にどうしても理解をいただけない場合は法案を参院に送り、法案をつぶしたらどうなるのかを考えてもらう手法も時には採用していこう」と語り、消費増税法案が参院で否決されれば解散も辞さない考えを示した。しかし、その後は野党に粘り強く協力を求める「低姿勢」に転じている。内閣支持率(1月21、22日の毎日新聞世論調査)は32%に低下。「危険水域に入りつつある」(民主党議員)からだ。有権者の既成政党離れも進んでおり、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」などが大きく議席を伸ばす可能性も指摘される。首相周辺は「この内閣支持率ではとても解散はできない」と語る。…… 

■そもそも、原発大事故と大震災の被災地に「民主党」の名を書いた旗を立てて選挙運動など出来ますまいし、16万人の避難者の皆さんは全国に散らばって耐え忍んでいるのですから、民主党の候補者にとって安心して演説が出来る場所は日本中に無いかも知れません。福島と沖縄から噴き出す怒りと悲しみの声に民主党候補は耐えられないでしょうし、政党助成金という税金でまたぞろ『マニフェスト』という名の大嘘を羅列した印刷物を作ってばら撒くのならば、受け取る人はほとんど居ないでしょう。中には襲い掛かって奪い取り、その場でびりびりに破って足で踏み付ける人も出て来そうですからなあ。そんな小さな事件が全国各地で頻発する事態になってから党の推薦を断って生き残ろうとしても後の祭りと申すもの。何も仕事はしなくても選挙だけは熱心に取り組む議員が集まっている民主党ですから、解散風が吹き始めたらすぐに離党騒動が起こりそうであります。


……大阪府選出の樽床伸二幹事長代行は22日、東京都内で開かれた同党議員のパーティーで「(解散は)今年はないと確信している」と語った。輿石東幹事長は1票の格差が「違憲状態」のまま解散できないとの見解を示しており、格差是正に向けて積極的な動きを見せないことで、解散時期の先延ばしを狙っているとの臆測も呼んでいる。公明党の山口那津男代表は23日の記者会見で「与党としての責任を積極的に果たそうとせず、解散を遅らせる言い訳に使うとすれば到底、国民の理解を得られない」と批判した。…… 

■輿石幹事長は参議院議員ですから、最高裁が「違憲状態」と断じた「一票の格差」最大2.30倍だった2009年衆院選で当選した違憲議員には含まれないのですが、憲法違反だと言われた身分で立法府に住み着いている衆議院議員は何を考えているのでしょう?「護憲」を金看板にしている某政党などは、憲法に違反しているのに知らん振りというのは実に不思議な話でありますぞ。


一方、「政権奪還」へ向け早期解散に追い込みたいのが自民党。そのため、衆院選後は消費増税の実現へ民主党と協力する姿勢もちらつかせる。谷垣禎一総裁は23日の記者会見で「民主党が消費税を掲げて選挙を戦えば協力が考えられる」と解散を促した。自民党内には民主党の小沢一郎元代表を除いた政界再編への期待もあり、自民党幹部は「今、失敗すれば、年内に消費税を上げる政治的な仕組みは作れない」と民主党側にささやき続けていることを明かす。小沢元代表に揺さぶられ続ける首相周辺にも「小沢抜き政界再編」に期待する声がくすぶる。その小沢元代表は、消費増税反対の姿勢を強めるなど「復権」へ向けた動きを加速。首相の解散判断を一層難しくさせている。
2012年2月24日(金) 毎日新聞 

■国民不在、避難民不在、原発事故は忘却、震災復興は後回し、民主党も自民党も消費税増税で手を組んで生き延びようとすれば共倒れになる覚悟をした方がよさそうです。これでますます橋下大阪市長の言動が日本の政府を揺さぶるようになるのでしょうなあ。

冗談も過ぎるとホラーになる 其の壱

2012-02-28 16:08:03 | 政治
■ちょっと前までは政治家やマスコミが「国難!」を連呼していましたが、当時は東日本大震災と同時に発生した原発の大事故を指していたものですが、野田ドジョウ首相が奇妙な政治的判断に基づく「事故収束宣言」をしてしまってからは、何となく国難は近いうちに起こると誰かさんが言っている日本国債の大暴落を意味するようになったしまったような感があります。不思議な話でありますが、忘れっぽさを自覚している日本人は何かと節目を大事にする習慣がありまして、テレビ界では3月11日から1周年を意識した特別番組を山ほど作って準備中のようであります。国会の低劣な議論を聞いていますと、まだ1年しか経っていないのにと思いますし、政府の対応の遅さを見ますれば、もう1年も経っているというのに!と腹立たしくもなります。

■今でも民主党政権は玩具箱をあさる飽きっぽい幼児の如く、あれこれ思いついては責任の所在も不明な言動が続いておりますが、野田ドジョウ首相個人は不退転の決意で消費税増税にまっしぐらなのは、何処かの誰かさんがしっかり手綱を握り脇腹に拍車を掛けているからではなかろうか?それにしましても旅限無が沈黙していた1箇月の間、西の方ではイランとイスラエルが軍事衝突を起こすかも知れず、隣国は祝賀用の配給食糧が足りないからと米国に対して物騒な物乞い外交を始め、欧州のユーロ危機は発生源のギリシアで逆恨みの暴動騒ぎが起こって出口は見えず、世界経済を支えていると鼻息が荒かったチャイナも雲行きが怪しくなってチベットでは悲惨な焼身自殺が続いているというのに、それもこれも対岸の火事だと暢気に眺めている日本では、東日本大震災から間も無く1年になると言うのに復興は進まず原発大事故も何の根拠も無いのに「収束宣言」が出されてまるですべてが解決してしまったかのような錯覚が広がっているような気がします。それなのに日本中の耳目を集めているのは関西の某女芸人が怪しげな占い師のお告げで「神様」に翻弄されているという驚くほどちっぽけな事件なのはどうしてなのでしょうなあ。

■事件が起こっている現場は「維新の会」が旋風を巻き起こしている大阪らしいのですが、流動化が極に達しようとしている政治の問題とは比較にならない小さな芸能ニュースのような気がしてなりません。とは申せ、その政治の方も政権交代が起こってからはお笑い芸人が羨(うらや)むほどの喜劇性を帯びて参りましたなあ。何も出来ない民主党政権ですが、次の選挙で政党自体が胡散霧消してしまう前に消費税の増税だけは強引に実現させてしまおう!と何処かの誰かさんが熱心に糸を引いているようであります。既に棺桶に片足どころか下半身は入ってしまったような民主党ですから、そろそろ我先に桶から這い出して来る議員も増えていきそうな気もします。


民主党は7日、計11人いる党最高顧問・副代表に特定分野の政策を担当させる方針を固めた。最高顧問の鳩山由紀夫元首相は外交、菅直人前首相は新エネルギー政策を担当し、幹事長室に提言する。輿石東幹事長が発案し、両氏も了承した。ただ、首相時代に鳩山氏は普天間飛行場移設問題で、菅氏は東京電力福島第1原子力発電所事故に絡むエネルギー問題で迷走した経緯があるだけに「ミスキャスト」との声も出そうだ。
2012年2月8日 産経ニュース 

■この芥子粒みたいにちっぽけなニュースを耳にした時には心底驚きました。悪い冗談もここまで来れば誰も笑わないでしょうし、民主党という寄り合い所帯の素人集団が隠し持っている恐ろしい一面を垣間見てしまったような恐怖すら感じてしまいます。どうせ最高顧問に祭り上げるのならば、鳩山サセテイタダク元首相には「沖縄問題」を押し付けるべきでしょうし、菅アルイミ前首相ならば新エネルギーではなく「東京電力問題」を担当させるべきではなかろうか?名目だけの名誉職であることは明々白々なのですが、いざ選挙となったら絶対に応援演説のお呼びが掛からない二人組を党の頂点に置いてしまって、一体、どんな選挙戦を考えているのやら……。もしかすると次の選挙の前に民主党自体が消滅していると挙党一致で腹を括っているのでしょうか?

■さてさて、待ちに待った民間の専門家による原発事故調報告書が公表されまして、菅アルイミ前首相が「元凶」と名指しされている由。そら見たことかと胸の痞(つか)えが多少は下りた人もいるかも知れませんが、400頁にも及ぶという報告書に副題をつけるとするならば、2月15日の国会で自民党の塩崎議員が提案した「菅直人リスク」を採用したら如何でしょう。当日の議事録を確認しておきましょう。


私は今回原子力規制組織を見直す最大の目的はなんだろうか?と。私は「菅直人リスク」を無くす、コレではないかと思っています。「菅直人リスク」がわからない人はいないと思いますが、原子力災害本部長、つまり総理が原災本部長となるわけですけれども原災本部長として事故の翌朝早朝に現場に行って大混乱をもたらす。SPEEDIを活用せずに福島の子供たち、県民を放射能に曝す。専門的知識もないのに「ベントをしろ」「海水を注入を止めろ」「浜岡原発を止めろ」「玄海原発の再開を撤回しろ」法令に定めのないストレステストを事故後三ヶ月もたってから「やれ!」。。支持率アップを狙ったパフォーマンスとしか思えないようなことを次々にやる。そしてさらに問題なのはメルトダウンのような重大なことが起きているにもかかわらず二ヶ月も隠蔽する、そういう危機にあたって数々の失敗と身勝手をいっぱいやってきた。こういうことで国民の不安を煽って原子力政策の大きな信用失墜をもたらす、これが私は「菅直人リスク」と言っているんです。…… 

■うーむ、実に的確な「定義」が並べられておりますなあ。まるで民間事故調の報告書を事前に読んでいたかのような内容になっておりましたぞ。


いや、菅直人さんのような人は滅多にいないから大丈夫だと、こういう方もおられるんですけれども私は「菅直人リスク」を抱える政治家はたくさんいると思うんです。国家の統治機構というのはどんなことが起きてもどんな人が総理になっても基本は崩れない、そういうふうに作り上げるのが立法府としてのつとめだと思っているんです。しかしながら残念ながら今回の原子力規制庁は引き続きこの「菅直人リスク」が続くようになっているんです、なんにも変わらずに。ですから被災者、被爆者、避難者にどう顔向けできるのか私には理解出来ない。正直本当に失礼な話だなあと思っております。 

■確かに菅アルイミ前首相のような人物は「滅多にいない」でしょう。あのように気味の悪い人物を総理大臣に選んだのは、決して有権者・国民ではなく民主党議員の過半数でありますから、「菅直人リスク」はそのまま「民主党リスク」へと拡大解釈されて次の選挙では野党は競って愛用することでしょう。それを察知して野田ドジョウ首相は珍しく激して反論したのも当然のことでありましょうなあ。人間、誰しも痛いところ衝かれると感情的になるものです。


原発事故の発生の時の菅さんの対応は立場によっていろいろご批判はあるかもしれない。少なくとも支持率を上げるパフォーマンスは無かったし何かを隠匿しようという意思は無かったということはご理解頂きたい。立場によってご批判があるというのは承知しておりますがその表現だけはおやめ頂きたいと思います。 

■そう言われるとますます「菅直人(民主党)リスク」の印象が強くなって記憶に深く刻み込まれてしまいます。「支持率を上げるパフォーマンス」以外に菅アルイミ前首相は何をしたのでしょう?無様に官邸を追われた後も「延命寺」からお遍路旅を再開したのもパフォーマンス以外の何ものでもありますまい。しかも夜な夜な酒を喰らって同行記者達を相手にクダを巻いていたとの話もありましたから、何とも不謹慎なお遍路さんパフォーマンスであります。

柳の下で改造ドジョウ内閣 其の壱

2012-01-16 15:39:53 | 政治
■単なる偶然なのでしょうが、民主党の3代目首相が姑息な内閣改造を断行したら急に関東地方が寒くなったような気がします。強力な寒気団が南下した自然現象なのでしょうが、ウソにウソを上塗りするばかりの政権延命の悪あがきにしか見えない改造騒ぎに体感温度ならぬ心感温度がぐんぐん下がってしまったような気がします。
新しい内閣が本格的に始動する直前、野田ドジョウ首相は15日夜に都内のホテルで開かれた民主党会合で、「国民の理解を得るために徹底した行政改革と政治改革を断行したい」と得意の演説をぶったそうですが、首相を取っ替えひっ替えするだけの3年間で国民の半数以上は民主党の政権担当能力と実行力にはまったく期待などしなくなっておりますから、どんなに気の利いた修飾語を並べて決意を語ってみても、本気で期待する気持にはなかなかなれませんなあ。

■輿石幹事長の方は16日に党地方代議員会議で「『国民の生活が第一』との政権交代の原点に立ち返り、国民の皆さんにもう一度民主党にかけてみようという政治を取り戻すことなくして日本の再生も福島の復興もあり得ない」とクラッシャー小沢と瓜二つの発言をしていたそうです。野田ドジョウ首相は消費税増税のために、輿石幹事長は近い選挙に向けて「団結」を訴えていますが、既に新内閣発動前に内閣と民主党は分裂しているようであります。二人ともそれにまったく気が付いていない御様子なのですが……。

■13日の記者会見で「行政・政治改革、社会保障と税の一体改革を推進する最善かつ最強の布陣」と聞いている方が恥ずかしくなるような手放しの自画自賛だった野田ドジョウ首相でしたが、あの記者会見は突っ込みどころが満載でしたなあ。


「……5人の方に新たに閣僚に加わっていただきましたけれども、先ほど申し上げた通り、さまざまな課題を乗り越えていくための、まさに推進力になっていただく、突破力のある、そういうメンバーを中心に選任させていただいたつもり……」 

■相変わらず「サセテイタダク」の大盤振る舞いは謙虚さよりも国民をバカにしている本音を押し隠しているようにしか聞こえませぬが、所詮は悪名高い問責決議可決コンビを「更迭」ではない形で始末するという菅アルイミ首相が発明?した姑息な方策を真似て野党に審議拒否をさせない工夫をしただけのことだと素人の国民にも見透かされているようでは先が思い遣られますなあ。更に米軍再編に反対しつつ死刑制度を無視して何も仕事をしない法務大臣と、事業仕分けも節電啓蒙も名前だけロクな仕事をしてない上に怪しい人物との交友を追求され始めた蓮舫行政刷新担当大臣も通常国会が始まる前に始末しておかないと次の問責決議を突きつけられそうだと、誰かさんが気を利かせて山岡・一川コンビ更迭を誤魔化す煙幕にしてしまおうと考えたのでしょう。ついでに無能無策の国会対策委員長も更迭したかったものの、鳩山サセテイタダク元首相の側近なので降格どころか文科大臣に昇格させてしまうという、とてもじゃないが「推進力・突破力」を期待できそうな陣容ではないと有権者は見抜いておりますぞ!


マルチ商法献金や沖縄をめぐる失言など、イメージの悪化した閣僚を“排除”する野田政権の内閣改造が13日に行われ、「問題閣僚」が次々と姿を消した。度重なる大臣交代には批判も多い。……
「誤解を受けることのないようにと思っていたが…」。マルチ商法関係業者からの献金問題に揺れた山岡賢次前消費者問題担当相は13日の退任会見で、消え入るような声で弁明した。一方、マルチ商法について「合法なものは合法なものとして受け入れるべきだ」と最後まで擁護を続けた。山岡氏は、マルチ業者らで作る政治団体から多額献金を受けていたほか、業者作成の「勧誘DVD」に出演していた過去が発覚し、野党の追及を受けた。退場までわずか4カ月だった。…… 

■山岡マルチ大臣については何も申し上げることはございません。こういう人物を身近に置いているクラッシャー小沢は寛容の人なのかも?否、やはり「数は力だ」の論理で掻き集めた枯れ木も山の賑わいの一人だったのでしょうなあ。


事業仕分けで人気の蓮舫前行政刷新担当相も脱税関連企業からの献金や、覚醒剤使用事件で有罪となった男性との“交友”が発覚。閣僚の看板を下ろした。政治とカネに揺れた閣僚が次々と退場し、現状で疑惑を抱えるのは野田首相だけに。蓮舫氏と同じ脱税関連企業のほか、別の脱税事件で摘発された会社からも献金などを受領。千葉県内の在日外国人2人から献金を受けていた。…… 

■「政治とカネ」を錦の御旗に掲げてクラッシャー小沢を座敷牢に押し込めた菅アルイミ前首相を先頭に、民主党の上層部には小粒ながら「政治とカネ」の問題がころころ転がっているようです。クラッシャー小沢を党員資格停止にして座敷牢に押し込んだのは原理主義者の岡田タリバン新副総理ですが、その原理を貫徹するのならば民主党の座敷牢は満員御礼状態になっているはずなのに検察や審査会がクラッシャー小沢だけを執拗に追い回している不自然さと民主党の動きは気味が悪いほど一致しておりますなあ。


ころころ代わる閣僚に不満の声も。政権交代後の2年半足らずで、消費者担当相はこれで8人、拉致問題担当相は6人目だ。とりわけ拉致問題は金正日総書記が拉致を認めてから今年で10年。金総書記の死去に揺れる重要な時期での交代となる。「今年は勝負の年。松原(仁)さんは意欲もあるし、知らない人がやるよりも喜ばしい」。田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で、家族会代表の飯塚繁雄さん(73)は期待を込める。前担当相の山岡氏は退任会見で「何人も代わることについて、私に言われても困る」と人ごとのように語った。横田めぐみさん=同(13)=の母、早紀江さん(75)は「最初から選択を間違えず真剣な人を選ぶべきだった。国際的な問題だから、ころころ代わっては信頼関係が築けない」と適材適所に欠ける政府の対応に苦言を呈した。…… 

■最初の内閣人事が「適材適所」でなかったのなら、今度の改造内閣にも「推進力・突破力」が期待できない可能性が高いでしょうなあ。歴代内閣が不信の的になれば民主党不信が深まり、最後は政治不信になって日本の民主主義は本当に崩壊してしまうかも知れません。そんな政党が「民主」を名乗っているというのも不思議な話であります。どうせ解散が近付いたら政界再編の風が吹き始め、寄り合い所帯の民主党が真っ先駆けてばらばらになるのでしょうから今更名前を変えるまでもないのでしょうが……。


……米軍普天間飛行場の移設を抱える沖縄県の関係者は、田中直紀新防衛相に「またなじみのない人だ」と落胆気味。県幹部は「防衛問題にどんな考えを持っているのか」と話す。 死刑執行の姿勢も注目される。法相は柳田稔氏、仙谷由人氏、江田五月氏、平岡秀夫氏と4代続けて執行を命じず、昨年は19年ぶりに「執行ゼロ」を記録。確定死刑囚は過去最多の130人に及んでいる。平成11年の池袋通り魔事件で長女を殺害され、加害者の死刑執行を待つ宮園誠也さん(77)は「何のために法律があるのか。これ以上の先送りはやめてほしい」と語った。……
2012年1月14日 産経ニュース 

■「勉強中」だの「議論が必要だの」と能書きを垂れて職務怠慢を反省しない法務大臣は、確定死刑囚の食費や諸経費を自腹を切って負担してはどうでしょう?死刑制度を廃止する法案作りに励んでいるような議員は現行法制下で法相になるべきではないでしょうし、単なる個人的な心情で法相の職務を放棄するのなら、税金を使わず自分で生活の面倒を見て上げれば宜しいのではなかろうか?まだ議論にもなっていない終身刑を実質的に執行しているような奇怪な状態は早急に変えるべきでありましょう。でも、増税以外は何に出来そうにない改造内閣ですからあれもこれも「先送り」になるのでしょうなあ。

瀬戸際の年の瀬から新年へ 其の壱

2012-01-05 16:10:00 | 政治
■年が明けてしまいました。大晦日の夜にはオウム真理教の事件で特別指名手配されていた平田信が出頭して来たのに応対した機動隊員が「門前払い」していたという出来の悪いコントみたいな椿事が起きていまして、どうやら今年も警察絡みの不祥事がいろいろと起きそうな予感がするような話でありますし、年始回りやテレビで駅伝を観ていたら日本の半分が揺れるような巨大地震が東京都の鳥島近海で発生!嗚呼、今年も新たな地震に悩まされるのであろうなあ、と諦め気味に溜息をついた人も多かったのではなかろうか?そのような諸事情によりまして通常の新年の挨拶は割愛させて頂きます。

■年賀状を自粛する人が多かったのは決してIT時代の現象ではなく、口頭で新年の挨拶をするのも気が引けるような実に嫌な予感が日本中に充満しているからではなかろうか?それでも地震津波と原発事故の被災地から届く賀状や寒中見舞いに淡々と記された数行の現状報告を読む度に胸が苦しくなるばかりであります。大震災からの復興は遅々として進まず、原発事故の収束どころか真相の解明も先送り、今年はアメリカ、チャイナ、ロシア、フランス、韓国、台湾などで一斉に首脳が交代すると前々から大仰に喧伝されていたのに影響された訳でもないのでしょうが、旧年中の師走の半ばに野田ドジョウ首相は何処の誰かは存じませんが「首相経験者」を官邸に招いて消費税率の引き上げ法案が「もし不成立となった場合は総辞職をすることはない。衆院解散・総選挙で国民の信を問いたい」というので、毎年交代していた日本の総理大臣も諸外国と歩調を合わせて今年も交代する可能性が出て来たようですなあ。

■自民党よりはマシかと思って民主党に懸けてみたのが大失敗で、鳩山サセテイタダク元首相よりはマシかと思った菅アルイミ前首相は、震災被害者を放置して警報も避難指示も出さずに「ベントしろ!」と東京電力を怒鳴りつけて放射能をばら撒くことに最も熱心に取り組むような最悪の総理大臣でありました。ならば、いくら何でも菅アルイミ首相よりはマシだろうと三度目の正直とばかりに野田ドジョウ首相に僅かな期待をした人はほとほと日本の政治に絶望していることでありましょう。先代総理が参議院選挙の真っ最中に唐突に「消費税引き上げ」を持ち出して大惨敗を喫して国会がネジレ現象を起こしたのも置き土産なら、政権交代が実現した熱気の中で登場した初代の鳩山サセテイタダク元首相が不用意に準備・根回しを一切せずに「国外、最低でも県外」と口走ったことで起こった沖縄の普天間移設問題の大混乱も置き土産。どういう訳だか増税だけには異様に熱心な三代目が登場して、震災復興も(本当の)原発収束もどんどん先送りされる中、象徴的な出来事が年末に起こったのでした。

■鳩山サセテイタダク元首相が点火した怒りに燃える反対派の壁に手を焼いた野田ドジョウ政権の沖縄防衛局は民間の宅急便業者を使って28日午前4時10分すぎに名護市辺野古への県内移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄県庁の守衛室に運び込むという悪い冗談のような行動を採りました。あまりに子ども染みた決断に沖縄の反対派は怒る気も失せたのではないでしょうか?同じ手法で消費税も引き上げるお心算か?民主党は野党に攻められる前に勝手に自壊して行きそうな様相を呈して年を越したのでした。


相次ぐ民主党議員の離党表明で、野田政権崩壊の足音が大きくなってきた。若手議員たちは来年に衆院選が行われるのを見越し「第三極」を目指したほうが、消費税増税にこだわる野田佳彦首相の下よりも生き残る確率は高いと、党を見限ったといえそうだ。来年には民主党が空中分解する可能性も出てきた。
「10人くらいで結成できそうです」
6月の菅直人内閣不信任決議案に賛成し民主党を除籍された松木謙公衆院議員は26日から27日にかけて、親しい複数の議員に新党結成の意向を伝えた。松木氏が小沢一郎元代表の側近中の側近であることから「松木新党」は早くも「小沢別動隊」と言われている。ただ、斎藤恭紀衆院議員らが離党を決意したことは、民主党にとどまって捲土重来を期す考えでいた小沢氏にとっては「暴走」でしかなく、むしろ「慎重になれ」と説得し続けてきたほどだった。
斎藤氏らに決起を促したのは国民新党の亀井静香代表だった。石原慎太郎東京都知事を党首とする「石原新党」の結成を目指した亀井氏は、小沢氏に近い若手議員らとも頻繁に会合を重ね、消費税増税などを打ち出す野田政権とは決別し、新党に参加するよう呼びかけていた。
「亀井氏の下へ走らせてはいけない」
あくまで、自身の影響下に置いておきたい小沢氏は松木氏や新党大地の鈴木宗男代表と相談し、「石原新党」の代わりにかねてから準備した受け皿づくりを本格化させたのが真相だ。…… 

■「政党助成金が欲しい!」「次の選挙でも当選したい!」、年明け直前にポロリと生まれた9人の離党者による新党は流行語を露骨にパクッた「きずな」という名前でした。一体、何を目的にしたどんな政党なのか、さっぱり分かりませんが、どうせ次の選挙までの短い命でしょうから無視しておいてもよいでしょう。


野田政権がマニフェスト(政権公約)を転換し八ツ場ダム(群馬県)本体工事再開を決めたことに反対し中島政希衆院議員(比例北関東)が24日に離党表明したことも誘発剤となった。
八ツ場事業に反対の立場で国土交通省との「チキンゲーム」を演じてきた前原誠司政調会長は「敗北」と認めながら職にとどまった。「ポスト野田」の有力候補である前原氏とは対照的に離党を決めた中島氏は党内外から「筋を通した」と一定の評価を受けた。民主党議員には一般的に、連合という固定票を失うリスクへの躊躇があったが、中島氏の離党表明は刺激になった。中島氏のところには、他の民主党議員から「同調したい」との声が相次いでいるという。中島氏は「松木新党」には入らず無所属で活動する方針だが、石関貴史衆院議員(群馬2区)も建設再開に抗議し党副幹事長の辞表を提出した。…… 

■「だから、どうした?」と言いたくなるようなコップの中のちっぽけな騒動ではありますが、蟻の一穴とも申しまして吹き溜まりの寄り合い所帯の本性が表われると、我も我もと初当選組を中心に大量の「難民」が発生するかも知れませんなあ。北朝鮮の将軍様が死亡すると大混乱が起こって難民の大群が日本海沿岸に漂着するぞ!と言われていましたが、それよりも先に民主党が炉心溶融を起こして大量の放射性物質ならぬ使い物にならない素人政治家が難民になって原発格納容器の底に凝り固まった核燃料のように、永田町のあちこちで泥団子みたいに固まって行くのでありましょう。


小沢氏も25日放送のNHK番組で、6月に野党側が提出し、自らも賛成の意向を示した菅内閣不信任案について、可決すると確信していたことを明かしたうえで「今だって、その気になれば」と述べ、「野田降ろし」に自信を示した。綱領を持たず、思想信条も定まらない民主党はマニフェストというダムも決壊し、存在意義を突きつけられている。
2011年12月28日 産経ニュース 

■『週刊ポスト』の年末特大号と新年特大号に連載された巻頭インタビューを読みますと、クラッシャー小沢は本気で民主党の改造か再編を目論んでいる気迫に溢れているようであります。福田内閣時代に大連立を画策して失敗し大恥を掻かされた恨みは消えている印象ですが、あの時と同じ口調で民主党のダメさ加減を的確に指摘している箇所はなかなか読み応えがあるインタビュー記事だと思いましたぞ。同誌の発売に合わせるように地元の岩手県に入って200キロ以上も被災地を駆け巡った由。小沢邸での「新年会が無い年は選挙」というジンクスがあるそうですが、震災と原発事故による被災者に対して遠慮したのかも知れませんが、本年の新年会は無かったとのことであります。

気が重い民主党政権下の新年 其の弐

2011-12-16 15:09:06 | 政治
首相が「不退転の決意」を表明した消費税増税に関しても完全に後ろ向き。小沢氏側近の鈴木克昌筆頭副幹事長らが増税反対の署名活動を始めても「けしからん行動でもない」。党内には「輿石氏は内心では社会保障と税の一体改革の先送りを狙っている」との見方が強まっており、このままでは首相の足を引っ張るだけの存在になりかねない。…… 

■自分が薄氷を踏む思いで当選した輿石会長にとっては日本の国難や世界の危機などより、自分と党の選挙結果だけが気掛かりなのではないでしょうか?幸か不幸か解散の無い参議院ではありますが、総選挙で大敗を喫したら最後、次の選挙は地獄を見るのは必定ですからなあ。かつての自民党後期と同様に政策より選挙を優先する無責任で臆病な政治を続けていくと日本は政権交代しても生き残れない国だと海外からの評価が定まってしまう恐れがありましょう。財政再建や貿易問題も重要ですが、震災からの復興と原発大事故の収束以上に大事だとは思われません。まずはマイナスを埋め戻して原点から議論を始めるべきだと思うのですが、民主党は自分達の能力と資質を省みる暇もなく大問題を次々に食い荒らしては先送りして、いっぱしの政治家面をしている困った集団になっておりますぞ。


■「言うだけ番長」連敗続き-前原誠司政調会長
「考え方に隔たりがある。法案をお出しになるんでしょうから国会で協議しましょう」
15日の民主、自民、公明の3党政調会長会談で、自民党の茂木敏充政調会長はこう突き放した。8月に民自公3党幹事長が合意した子ども手当、高校無償化、農家の戸別所得補償の見直し協議はこれで決裂。平成24年度の予算関連法案成立は至難の業となった。……やはり戦犯は前原誠司政調会長だろう。政策の最高責任者なのに根回しした形跡はなく土壇場で「子どものための手当」案を提示すれば公明党も「誠意がない」と怒って当たり前だろう。…… 

■特別会計も含めて予算の大規模な見直しをすれば財源は無尽蔵に得られると大見得を切っていた藤井さんが、いつの間にやら税制調査会長に収まって古巣の財務省と手に手を取って増税路線をまっしぐら。そして単なる見世物同然の「仕分け」で現実を知り、尻尾を巻いて財源捻出を断念したら「提言的仕分け」と名称を変更して国民の目を誤魔化そうとしたのは他でもない野田ドジョウ首相御本人だったのだそうですが、名前を変えれば相手を騙せると民主党は本気で考えているのか?「子ども手当て」と「子どものための手当て」とは何がどう違うんだ?3党合意の直後にも「子ども手当ては生きている」と党のパンフレットに刷って配ったと自民・公明両党から怒られていましたが……。


「前原外し」も進みつつある。復興債の償還期限をめぐる3党協議は幹事長会談に格上げすることでやっと合意した。国会終盤では国家公務員給与削減法案修正に際し、自公案丸のみと国会延長を独断で打ち出し、現場は大混乱。「労組だけが支持者じゃない」と言い放ち、連合も激怒させた。八ツ場ダム建設の是非も混乱させたあげく「藤村修官房長官に判断を委ねたい」と丸投げ。自公幹部は「前原氏と話をしても仕方がない」と口をそろえ、輿石氏も周囲に「全体が見えないやつはダメだな」と漏らす。党内調整も与野党協議も連敗続きでは「言うだけ番長」と言われても仕方がない。…… 

■鳩山サセテイタダク元首相も「最低でも県外」「腹案がある」と言い張る裏側で、普天間基地の移転先を探す根回しも運動もしていなかった事が判明しておりますが、前原エエカッコシイ政調会長も同様の悪い癖があるようですなあ。自分が言えば何でも思い通りになると甘やかされた幼児の如く信じている節があります。民主国家の政治家を絶対主義の独裁者と混同しているようにも見えますが、鳩山サセテイタダク元首相の場合は何でも助けてくれる母親とその母親が付けてくれた大番頭が世間を甘く見る愚かな首相を作ったと推測されますが、前原エエカッコシイ政調会長の自信過剰の原因は、菅アルイミ前首相とも共通する長過ぎた野党時代に醸成された陰湿な権力志向になるのかどうか、今でも不明です。


■「雇われマダム」の悲哀-平野博文国対委員長
「私は真面目で、謙虚で、乱暴なことはしない国対委員長として有名です。そのために法案の成立率は低うございます…」
13日夜、平野博文国対委員長は民主党議員のパーティーで自虐的なジョークを飛ばしたが、先の臨時国会の法案成立率34%は平成のワースト記録だっただけに笑うに笑えない。平野氏は「法案の数が多すぎて51日間の会期では間に合わなかった」と釈明するが、要は国会対策のイロハも知らぬ素人さを自公国対に見抜かれ、翻弄されたとしか言いようがない。……党執行部で相対的地位が低く、自ら国会運営の青写真を描く権限さえ持たない……。野党国対委員長らと会談しても要求を輿石氏に伝えるだけ。自らが約束しても後にしばしば覆されるだけに野党は「雇われマダム」と見下し、腹を割って協議に応じようとしないのだ。公明国対幹部はこう哀れんだ。
「平野氏は3党幹事長会談の中身も聞かされていない。かわいそうな人だ…」
2011年12月15日 産経ニュース 

■寄り合い素人集団・民主党が抱え込んだ中空構造は日本政府の恐るべき無責任体制を生み出し、まるで先の大戦争当時の日本のように国家民族滅亡の淵を覗き込むような破局を迎えるまで、日本は立ち止まって考えることも最終的に責任を負う存在を持つ制度を作ることも出来ないのかも知れません。それが出来なければ何度、政権交代を繰り返しても、政界再編を実行しても、何も変わらずに世界が大きく変わる大波と渦の中で翻弄され続けるだけかも知れませんなあ。そろそろ年賀状に書き添える文言を考えねばならないのですが……。

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気が重い民主党政権下の新年 其の壱

2011-12-16 15:08:26 | 政治
■米国のオバマ大統領が「米国のイラクでの戦争は終わる!」と始めた大統領と同じくらい唐突で無責任に宣言してしまいましたが、アフガニスタンからも忙しく軍隊を引き上げて選挙公約を一つでも実現して再選を目指そうと必死のようであります。米国、ロシア、チャイナ、韓国などなど来年は世界が一変するような各国首脳の交代劇が予定されておりますから、今年中東諸国で起こった「アラブの春」が来年は何処に飛び火するのかと心配していましたら、露骨な不正選挙がバレてしまったロシアが一挙にキナ臭くなり始め、日本の報道では小さな扱いだったイランによる米国自慢の無人偵察機の無傷での捕獲!という大事件が起こり、これが直接の引き金となったとしか思えないタイミングでイランと取り引きする奴は米国内の銀行取り引きを制限するぞ!という強力な経済制裁法が可決された由。表向きの制裁理由はイランが核兵器を完成させてしまったら世界大戦が始まってしまうかも知れないから、というものなのですが……。

■間も無く終わる今年、日本は東日本大震災と原発大事故に襲われ、欧州統合の象徴だった共通通貨のユーロが崩壊の危機に陥って歴史的な円高が天井に張り付いたまま、とどめはタイでの大洪水で日本企業の海外生産拠点が壊滅的な被害を受けてしまうという文字通りの国難の年だったことになりましょう。しかし、最大の国難は大震災・原発事故に対して無能・無策ぶりを遺憾なく発揮して政権与党の民主党が代表・総理大臣を交代させねばならなかったという政治の不毛がすっかり根付いてしまっていることではないでしょうか?


自民党の谷垣禎一総裁は13日午前の党役員会で、野田佳彦政権の政権運営について「非常に心許ないことが明らかになってきた」と批判し、「選挙を視野におきながら、そのための準備態勢をしっかり整えていきたい」と指示した。政権への攻勢を強めると共に、早期の衆院解散・総選挙に向けた選挙準備を本格化させるよう求めたものだ。……問責決議が可決した一川保夫防衛相、山岡賢次国家公安委員長(消費者問題担当相)の2氏について「徹底的に辞任に追い込まなければいけない。それが参院の意思だ」との声が続出。2氏の更迭を求め、野田政権を追い詰める方針を確認した。
2011年12月13日 産経ニュース 

■年明け早々、谷垣総裁はベトナムやインドを訪問するのだそうですが、やはり野党暮らしは手元不如意で欧米諸国を歴訪する資金が無いようであります。税金の無駄遣いの代表だった在外公館の勘違い役人と結託した大名旅行を楽しめた昔を知る身ならば、手の平を返した外務官僚の冷たい仕打ちと屈辱的な扱いに腸(はらわた)が煮えくり返って「政権奪還」への執念を強める効果だけありそうですが、旅費が安い近場とは言え外遊などしている場合ではないでしょうに?!万が一にも自民党政権の復活を望む声が日本の何処かに残っているとしても、一川シビリアン防衛大臣や山岡マルチ公安委員長を辞職させるような小事を野党第一党の最大の任務だと勘違いしているようでは、次の総選挙までには自民党の復活を臨む声は掻き消えてしまうでしょうなあ。確かに民主党政権はあれもこれを先送りして日本をめちゃくちゃにし続けておりますが、自民党政権から受け継いだ数々の「負の遺産」が大き過ぎて寄り合い素人集団の手に余るというのが実情でしょうから、そんな巨大な宿題を作ってしまった責任を果たすために原因究明と対策提言を大急ぎで実行しない限り、年金制度を食い潰し赤字国債の山を築き、あまつさえ原発問題を隠蔽し続けた罪は放射能汚染と同じくらい簡単には消えますまいぞ。所詮は戦後復興と冷戦時代の米国追従政策を担う仕事が終わった段階で自民党は歴史的使命を終えていたのに、政権にしがみついて政党として老醜を晒し続けたのが日本の悲劇なのでありましょうが……。

■憲政史上最も愚かな首相と最も無能な首相の後を継いで、政権交代の最後の夢をつなぐために「少しはマシな首相」が登場するかと国民の半分くらいは淡い期待を持って過ごした100日余り、嗚呼、やっぱりダメだったかと年末の日本にあちこちで溜息が漏れております。


政権発足100日を経て行き詰まりを見せている野田佳彦首相。党内融和を優先させ重要案件を先送りさせても内閣支持率は下降の一途。その元凶を探ると民主党執行部のダメぶりが浮かび上がる。

■党内融和が裏目-輿石東幹事長
「党内融和の象徴」として首相から党運営を委ねられた輿石東幹事長。就任当初は「参院のドン」として君臨した自民党の青木幹雄参院議員会長ゆずりの剛腕を発揮し、小沢一郎元代表らの動きを封じながら、衆参ねじれ解消に動くのではないかと恐れられた。ところが、結果は腰砕け。日教組で培った組織偏重の手法は裏目に出てしまい、自民、公明両党は対決路線にかじを切った。先見性と決断力を疑問視する声もある。代表的なのは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加をめぐる対応。離党をちらつかせる慎重派を押さえ込めず、11月10日の政府・民主三役会議で、同日夕に予定された「参加表明」延期を首相に進言した。これを真に受けた首相は翌11日に記者会見を延期し「交渉参加に向け関係国と協議に入る」と玉虫色の表現でごまかした。結果は「決断できない首相」と印象づけ、内閣支持率は下落。輿石氏は「熟慮を重ねて慎重派に配慮した会見だった」と満足そうに語り、自らの力不足を首相に責任転嫁した罪の意識は感じられない。…… 

■先の参院選で若い対立候補に落選直前まで追い詰められて僅差で首の皮一枚つながった程度の老兵を「参院のドン」などと持ち上げる提灯記事を書いて図に乗らせたのは大手新聞社の政治記者諸兄ではなかったのか?かつての金丸信と同郷とは言っても外交・安全保障にはまったくの素人、財政も税制も専門外の輿石幹事長に政局を委ねるのが大間違いと言うものでしょう。


一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長への参院問責決議への対応も同じ。続投させれば自公との協調路線は崩れ、来年の通常国会の混乱を避けられないにもかかわらず「辞める必要はない」の一点張り。小沢氏に近い両氏のクビを切れば自らの沽券に関わると保身に走ったとしか思えない。…… 

いよいよ「検察VS小沢」の喧嘩が裁判所を舞台に裏も表も公表されつつありますから、菅アルイミ前首相や仙谷ノーコメント政策調査会長代行が政権交代が実現した最大の功労者であるのに病的に毛嫌いして干し上げ、未曾有の天災・人災に見舞われた東北地方の復興担当にもせずに座敷牢に押し込めたままにして、野田ドジョウ首相にも圧力をかけて手足を縛り、最初から経歴と資質に問題のある閣僚人事しか出来ないように追い込んでしまったのも、民主党内の「小沢嫌い」病が原因でしょう。そこにネジレ国会を乗り切る実力者に祭り上げられた輿石参院会長が木に竹を接ぐような中途半端な橋渡しをするから、さらに野田ドジョウ首相を追い詰めることになってしまいます。「党内融和」を掲げたら自分の言葉と努力で党内の壁を破っておくべきでしたなあ。まあ、民主党内には「小沢嫌い」病よりも「次はオレ」病が蔓延していて総理大臣の地位がどんどん低下しているという事情もあるのでしょうが……。

捨石ごろごろ民主党 其の参

2011-12-06 15:18:07 | 政治
■瓢箪から駒が転がり出して政権与党になってしまった寄り合い所帯の民主党にとって権力の美酒はこの上も無く美味い酒であるようで、燗酒好きの野田ドジョウ首相は同じ趣味の一川シビリアン防衛相といつまでも一緒に飲み続けていたいらしく恥も外聞も無い国会答弁を繰り返している由。権力という美酒は相当にアルコール度数が高いらしく歴代民主党代表は揃いも揃って皆が酩酊状態になってマニフェストのことなどすっかり忘れて深酒を重ねているようにも見えます。総選挙でたっぷりと冷水を浴びせられれば酔いも醒めましょうが、その後の二日酔いはずっと続くのかも知れませんぞ。政権交代というのは実に悪い酒であります。

一川防衛相は衆院議員を3期務めた後、2007年の参院選石川選挙区で当選し、民主党参院政審会長などを歴任した。農水省出身の農政通として知られる。野田政権で初入閣し、9月2日には防衛相就任について、記者団に「安全保障に関しては素人だ」と発言し、波紋を呼んだ。周囲からは、「思ったことを正直に口に出してしまう性格」とされている。
昨年4月には、地元の石川県小松市で開かれた会合で党支持者の批判に「別に民主党を支援してもらわなくてもいい」と応じるなど、地元では、「舌禍」を不安視する向きもあった。
自民党の森元首相は衆院石川2区で何度も戦ったライバルだ。民主党の小沢一郎元代表が率いた新進、自由両党を経て、民主・自由両党の合併で民主党に所属した。民主党内では小沢グループに所属している。
2011年12月4日(日)11時3分 讀賣新聞 

■衆議院で3期当選したものの、選挙区の石川2区では森喜朗に連敗で重複立候補していた比例北陸信越ブロックで復活当選し続けたいわゆるゾンビ議員だった割には偉そうな態度が目立つのは世襲議員3代目という出自と25年間奉職した農林水産省で染み付いた官僚臭が原因なのか?クラッシャー小沢の脱党・新党・解党・新党騒動には「付いて行きます下駄の雪」となって寄り合い所帯の民主党に流れ着いたものの2005年(平成17年)の第44回衆議院議員総選挙では地元石川2区でやっぱり森元首相にに敗れ、この時ばかりは比例復活もできなかったようですから支持層に偏りがあるのかも知れませんなあ。仄聞しますに組閣人事の参議院枠を握る輿石参議院会長の強力な後押しで初入閣を果たした一川シビリアン防衛相は、どれほど怨嗟の声が上がっても輿石・小沢ラインという虎の尾を踏みたくない野田ドジョウ首相の臆病風に救われて首の皮一枚残して閣僚に留まっているそうであります。

■つまり小沢グループ内での古参顔と参議院議員の身分があればこその初入閣だったわけでありますが、既に反自民政権の風が吹き始めていた2007年(平成19年)の第21回参議院選挙に鞍替え出馬して自民党候補に約4千票の僅差で競り勝つという辛勝ぶりを知れば、民主党石川県連が別の候補者の擁立に失敗したことでお鉢が回って来て、政権交代の風に乗って当選した農政通の議員を選りに選って難問山積の防衛大臣に任命してしまう誰かさんの責任は重大ですぞ。輿石参議院会長の下で政策審議会長を務めていた頃に気に入られ、長年苦労を共にした友達の少ないクラッシャー小沢の援護射撃もあっての入閣となれば国民不在・政策不在は明らかでありましょう。取り返しのつかない大失敗をする前に舌禍事件が機に身を引いて貰うことが国益に叶う選択と申せましょうなあ。党内の論功行賞で短い間であっても大臣を経験したことを個人的な大事な思い出として石川県にお帰りになって余生を過ごすのが最善でしょう。何の仕事もしなかったけれど、取り敢えずはお疲れさまでした。

■一川・山岡に始まる問責決議の連発から野党は審議拒否に走り、財務省直伝の増税法案が宙吊りになる危険性が高まりそうですから、間も無く鬼より怖い財務省から陰湿な攻撃が始まって野田ドジョウ内閣は血達磨・火達磨になって国会内を転げまわりながら数々の国民負担を置き土産に文字通り黒焦げになった「捨石」となるのかも知れません。焼け焦げたドジョウなど誰も食べませんが……。


民主党の小沢一郎元代表は1日夜、都内で開かれた同党衆院議員のパーティーであいさつし、野田佳彦首相が目指す消費増税について「政権交代の原点に返り、国民の信頼に応えないといけない。国民を無視してばかにすると必ず大きな鉄ついが下されると心配している」とけん制した。小沢氏はこの後、自らを支持する中堅・若手議員の会合に出席。同席者によると、同氏は「来年は衆院選になる可能性は十分ある」との見方を示した上で、「選挙に出撃した人のほとんどは帰ってこられない。自分は特攻していく兵士を見送る指揮官にはなりたくない」と述べた。 
2011年12月1日(木)20時41分 時事通信  

■。


民主党の小沢一郎元代表は30日夜、側近の三井辨雄政調会長代理らと都内で会談し、野田佳彦首相が意欲を示す消費税増税について「いま消費税率を上げれば党が二つに割れる。政調としてどうするか、よく考えてほしい」と懸念を表明。「このまま衆院解散になれば戻ってくるのは50人ぐらいだ」とも述べた。
2011年12月1日(木)0時48分 産経新聞 

■この「(当選して)戻って来るのは50人ぐらい」との予測を聞いた時には「そんなに多く戻れるのかいなあ?」と思ったり、クラッシャー小沢の子飼いの議員に対する温情を感じたりしたものであります。歴代の党代表3人は立候補すれば必ず落選するような気がしますし、閣僚経験者も軒並み落選するのではないでしょうか?それも民主党らしいと言えなくもないのですが、一枚看板の「政権交代」を担ぎ回って政見も政策もまったく違う政治家が寄り集まって雪ダルマ式に出来上がった政党ですから、次の選挙では「政権交代」の看板は使えず、ウソ八百を書き並べた『マニフェスト』が一夜にして重い借金証文に変じて政策転換の説明をあちこちで求められるでしょうし、うっかり夢よ再びと甘い気分で選挙に立候補したら「嘘吐き」「ペテン師」呼ばわりは覚悟せねばなりますまい。怖くて近づけない沖縄はもとより、橋下維新旋風が吹き荒れる近畿地区で掻き集めた議席を守るのは至難の業でありましょう。温情溢れるクラッシャー小沢の皮算用が的中したら250以上もの「捨石」が日本全国あちこちに転がることになりますなあ。

■そうなる前に一度は大臣になって位人臣を極めた気分を是非とも味わいたい!と身の程知らずの夢を見ている人もいれば、一度座った大臣の椅子の座り心地の良さに正気を失ってしがみついて離れない人もおりましょう。玉川カルテットの名調子に「カネも要らなきゃ女も要らぬぅ~あたしゃも少し背が欲しい~」というのがありますが、「カネは要らないから大臣を続けさせてくれ!」という風潮があるようです。


一川保夫防衛相は2日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に絡む田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言に対する自らの監督責任について、給与の自主返納を含めた対応を検討していることを明らかにした。田中氏の処分とあわせて判断する。……1日の参院東日本大震災復興特別委員会で平成7年の米海兵隊員らによる少女暴行事件を「正確な中身を詳細には知ってはいない」と答弁したことについて「知ってはいたが、委員会の場で詳細に説明する事案と異なる」と弁明した。……
2011年12月2日(金)11時37分 産経新聞 

■世界一危険な普天間飛行場が恒常化するという恐ろしい可能性がシビリアン防衛相の「給与の自主返納」で消え去るのか?!他に言うことが無いから仕方なく一般的な責任の取り方を思いついたのかも知れませんが、どこまでも事態の深刻さが分かっていない大臣のようであります。大男3人が中学生を強姦したという凶悪犯罪について、「詳細は知らない」と答えた時の顔は決して「委員会の場で説明すべきことではない」などという高尚な政治的判断をしているようには見えませんでした。「こちらの方が大事だ」とブータン国王夫妻歓迎の晩餐会を欠席して駆けつけた同僚議員の集金パーティに関して国会で追求された時、謝罪する相手の名前を知っているのか?と問い詰められると間髪入れずに後ろに控えていた役人からメモを回してもらった一川シビリアン防衛相のことですから、平成7年の事件に関して本当に「詳細は知らない」まま大臣の椅子に座っていたのであったとしか思えません。「知らない」と言った時の照れ笑いのような締まらない表情も実に不快でありました。

捨石ごろごろ民主党 其の弐

2011-12-06 13:33:45 | 政治
■相変わらず反省が足りない野党第一党の自民党が、手薬煉(てぐすね)引いて待っていたとばかりに実に情けない政権奪回策を発動して民主党内の小沢グループに所属する山岡マルチ大臣と、地元の支援者の不安が的中して舌禍事件を起こした一川シビリアン防衛相に問責決議を突きつけてやる!と息巻いているようです。しかし、閣僚とはいえ今の民主党政権を考えれば、失礼ながえらちっぽけな二つの生首を斬り落として凱歌を上げてみたところで、どこからも喝采は起きず快哉の叫びも聞こえないでしょうなあ。就任直後の会見で「これから勉強します」と臆面も無く語った素人大臣を大量生産していたのは自民党のお家芸みたいなものでしたし、怪しげな団体から政治献金を受けていた閣僚だって少なくなかったのですから、上品に言えば五十歩百歩、下品な表現なら「目糞鼻糞を笑う」の類の話であります。

■そもそも1000年に一度の大災害に襲われて、100兆200兆の緊急救国予算が組めない赤字だらけの財政状況を置き土産にして政権を追われた自民党に民主党政権の稚拙な災害対応を責める資格などありませんし、沖縄の米軍基地問題に関しても民主党政権のドタバタ劇を笑っている立場ではないでしょう。世界一危険な普天間基地を辺野古に移転する計画をまとめ上げた功績を自画自賛して、ちゃぶ台返しでめちゃくちゃにした鳩山サセテイタダク政権以来の迷走に悪口雑言を浴びせてみたところで、沖縄返還時の密約問題を筆頭に自民党政権が進めた安保ただ乗り論の言い訳に沖縄を使った政策が常に正しかったとも思えませんからなあ。少なくとも今の政権よりはマシだった!などと空元気を出してみても国民は振り向いてはくれないでしょう。それにしても官僚主義丸出しの野田ドジョウ政権の血も涙もない機械的な強引さには辟易しますなあ。


……政府は辺野古移設に向けた環境影響評価書の年内提出を目指しており、関係閣僚は沖縄県側の態度を軟化させようと、入れ代わり立ち代わり沖縄を訪問している。だが、田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言で、その努力も水の泡になろうとしている。同時並行で玄葉光一郎外相も自民党の標的にされ出した。……今月2日の衆院外務委員会。質問に立った自民党の河井克行衆院議員は……10月26日の衆院外務委での玄葉氏の答弁だった。……河井氏はひとつの疑問を抱いた。玄葉氏が同ビジョンを知っていたのなら、鳩山氏の発言を聞いて「鳩山政権ができたらこの問題で終わる」とは思わないのではないかという疑問だ。逆に、同ビジョンの内容を知らなければ、それはそれで問題ということになる。……「沖縄ビジョンが問題で、これで鳩山政権が終わると思ったのか。それなら(10月26日の答弁と)話が違う」と問いただした。この疑問に玄葉氏は……「沖縄ビジョンでそういう(県外の)方向が出されていたのは承知している。一方であのときのマニフェスト(政権公約)には県外と書いていなかった」この発言と10月26日の衆院外務委での発言を総合すると、「党の政策である沖縄ビジョンに明記していても、マニフェストに明記していなかったため、鳩山氏の発言を聞いて驚いた」ということになる。しかし、この釈明には無理がある。それでは民主党にとって沖縄ビジョンとは何だったのか。…… 

■既に国民の多くは大量にばら撒かれたマニフェストなど手元に残してはいないでしょうし、手にした時にも熟読した人はそれほど多くなかったかも知れません。斜め読みしただけの人も熱心に読んだ人もその後の民主党政治を見ていれば、書いた物であろうと口から出たものであろうと民主党の「言葉」の軽さと空疎さには呆れ果てて腹も立たなくなったいるのではないでしょうか?従って今更『マニフェスト』だの『沖縄ビジョン』だのを謝金の古証文みたいに懐から取り出して閣僚に突きつけてみたところで、なにもかもがウソだったのですから細かい文言の解釈を問われたところで痛くも痒くもない、それほど民主党政権は公約を蔑(ないがし)ろにしてしまったということでなのでありましょうなあ。


一方、首相も今月2日の外務委で「マニフェストには(県外と)書いていない」と強調し、その上で、「選挙直前に党代表(鳩山氏)が発言したわけだからそれは極めて重い」と玄葉氏を擁護した。普天間問題の迷走について玄葉氏は「党全体として責任を負っていかなければならない」、首相は「党で責任を感じなければいけない」とそろって同じ趣旨の答弁をしている。だが、その言葉に重みはない。鳩山氏には当然、問題があるが、玄葉氏と首相の発言には「鳩山氏に責任を押しつけたい」という思いがにじむからだ。沖縄ビジョンとマニフェストを都合よく使い分ける姿勢から「誠意」が伝わってこないのは筆者だけではあるまい。前沖縄防衛局長の不適切発言や、一川保夫防衛相の「(少女暴行事件の)詳細は知らない」発言で沖縄県には怒りが燃え広がっている。外務省幹部からはついにこんな声が漏れ出した。
「辺野古移設の可能性は極めて低くなった。いつまでも『辺野古に移設する』と突っ張ることはできない」
2011年12月3日 産経ニュース 

■思えば政権交代が起こった総選挙は、それまで慣用されていた「地滑り的勝利」どころではなく三つの震源域が連動してズレた東日本大震災にも似た不運な偶然が重なったな不思議な現象だったような気もします。長過ぎた自民党政治を終わらせるのには成功したものの、まさか夢見がちの素人集団が内ゲバにばかり熱心で内政も外交も停滞と混乱の極に達するとは誰も想像しなかったのでありました。大量に当選した1年生議員だけでなく当選回数だけは多い無名のベテラン議員でさえも自分の所属政党が発表した『マニフェスト』や『ビジョン』を熟読研究していなかったのではないか?と今更ながら疑ってしまう事態が頻発しております。自民党政権が米国とやっとの思いでまとめ上げた移設計画をぶっ壊してしまったのは鳩山サセテイタダク元首相個人の責任だ!と言いたいけれども言えない辛さも分かりますが、菅アルイミ首相は昨年12月17日に恐る恐る沖縄を訪問して空き缶叩いての「帰れ!」コールの大歓迎?を受けて逃げ帰って以来ほぼ1年間、首相の訪問は実現せぬまま「マニフェストに書いてない」との国会答弁が出るに至ったのでありますから、基地移設はほぼ不可能だと言えましょうなあ。

捨石ごろごろ民主党 其の壱

2011-12-04 15:06:55 | 政治
■師走に入りまして例年ならばクリスマスとお正月が近いとて、何やらそわそわ気忙しくなる中にも新しい年を迎える清新な気分が徐々に盛り上がって行く頃合なのでありますが……東日本大震災と原発大事故の被災地からぽつぽつと喪中葉書が届き始めますと、早めに用意せねばと思う年賀状に喜びの言葉を書くのも躊躇(ためら)われる重い気分が押し寄せて来るようであります。この8箇月余りの長い長い時間、日本はどうなってしまったのか?その疑問を一身に受けてしっかりと答えを出さねばならないはずの政治はどうなっているのかと思えば、国民の生命財産よりも大事な政党助成金を確保するためだけの政界再編の生臭い風が何処からともなく吹き始めているとかいないとか……。

野田佳彦首相は3日、千葉県立船橋高校の同窓生が主宰する企業経営者団体「政経倶楽部連合会」の東京例会に出席し、消費税増税と環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加、安全保障面の強化ーの3点を挙げ「不退転の覚悟で臨む」と実現に強い意欲を示した。
……久々に出席したこの日は、約15分間にわたり熱弁をふるった。しかし公邸に戻った際、一川保夫防衛相について「辞任論にはどう対処するか」と記者団から質問されても無言を貫いた。
2011年12月3日(土)20時48分 産経新聞 

■いざ政権を奪って総理大臣になってみたら、「駅前留学はノバ、駅前演説はノダ」などと下手なダジャレに乗せて気楽に出来もしない絵空事を並べて好き放題に政権批判を続けているわけにも行かず、官僚作文を一言一句間違わないように「慎重」を装って自らの政治家としての無定見が露見しないように、既に二代続けて愚かで軽率な首相を輩出してしまった崖っぷちの民主党代表としては解散総選挙を一日でも一時間でも先延ばしすることにのみ全身全霊を傾けて政権与党の旨味と快感を少しでも長く味わっていようと、内輪と国際会議ではハメを外して相変わらずの大風呂敷を広げるものの、公式の記者会見や国会の場では揚げ足を取られないように木で鼻を括ったような話しかしない野田ドジョウ首相なのであります。

■高校の同窓会では「不退転の覚悟」を熱く語った野田ドジョウ首相は同日の夕方には東京都内に戻って再び「不退転の覚悟」を披瀝していたそうですから、しばらくは「不退転の覚悟」をあちこちで愛用することになるのかも知れません。しかし、マニフェストに羅列した空手形を筆頭に、民主党政権はずっと威勢のよい話を花火のように打ち上げては引っ込める、一歩前進三歩後退を繰り返しているのですから、今更「不退転」を濫発されても「不」の字が余分でうそ臭く感じられてしまいます。退却・撤退・引退の「退」と七転八倒の「転」をくっ付けたような迷走と停滞の民主党政権の2年余りは長過ぎた春の椿事だったような気もしますなあ。


野田首相は3日夕、都内のホテルで開かれた中小企業経営者の会合に出席し、消費税率引き上げを含む社会保障・税一体改革の取りまとめや、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた協議などについて、「不退転の覚悟でしっかりやる」と述べた。……会合は非公開で行われ、首相は15分間のあいさつを行った。出席者によると、首相は当面の政策課題として、消費税率引き上げ、TPP交渉参加、安全保障の三つを挙げ、「自分の代で、捨て石になってけりをつける」などと語った。
2011年12月3日(土)20時5分 讀賣新聞 

■高校の同窓会でも15分間の熱弁だったそうですから、ほとんど同じ内容だったと思われますが、少し色合いを変えて今度は「捨石」です。民主党政権全体が巨大な捨石の山と化しているような気もしますから、その頂上に乗っかっている首相が「捨石」になって転がり落ちる前に捨石の山ががらがらと崩れ落ちるかも知れません。あちこちで新たな三点セット(税制改革・TPP・安全保障)を何がなんでも強引に推し進めるぞ!と吼えて歩いている野田ドジョウ首相ですが、既に紙くず同然ではありますが民主党の『政権交代』マニフェストを開いてみますと、どこにも「社会保障・税の一体改革」の文言は見付かりません。税金に関しては第1章「ムダづかい」の第9項に「公平で簡素な税制をつくる」と書かれておりますが「租税特別措置」の見直しばかり並んでいるだけでした。これは選挙公約だった予算の無駄遣いを一掃すれば増税は不要だ!というホラ話と同工異曲の魔法だったことが今となっては見え見え。

■TPPにしましても「マニフェスト政策各論」の第7章「外交」の第51項には「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と掲げてありまして、自民党政権が米国側との交渉に失敗した事実を嘲笑しつつ、自らの外交能力の低さも知らずにうっかり書いてしまった一節だったようです。さらに第52項には「アジア・太平洋諸国をはじめとして世界の国々との投資・労働や知的財産など拾い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進する」とも書いてありますから、両項目の実現も出来ないまま一足飛びにアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けて向こう見ずな跳躍を試みようと、マニフェストには影も形もなかったTPPに参加するという大博打を打とうという話のようです。

■そして「安全保障」の入り口に横たわっているのが沖縄の普天間基地移設問題であります。しつこくマニフェストにこだわりますが第7章の51項に「日米地位協定の改定を提起し米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と書かれておりまして、鳩山政権発足以来、一度も「地位協定」に関する交渉が始まったという話は聞けず、その代わり「在日米軍基地」に関しては「国外、最低でも県外」という最終目標が唐突に首相の口から出て大騒ぎになったのでした。それ以降の経緯を野田ドジョウ首相も知っているはずなのですが……。


米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先をめぐり民主党の鳩山由紀夫元首相が「最低でも県外」と発言したことを「誤りだった」と断言した玄葉光一郎外相。だが、野田佳彦首相はこの発言を鳩山氏に謝罪し「過剰な気配り」を演出、玄葉氏も(10月)28日の記者会見で懸命に釈明するなど、腰砕けとなってしまった。発端は(10月)26日の衆院外務委員会での発言だった。
「誤りだったと思っている。あの発言を聞いて、鳩山政権ができたらこの問題で終わるのではないかと思い、現実のものになった」玄葉氏は、鳩山氏が衆院選前の平成21年7月、沖縄県内の集会で「『最低でも県外』の方向で積極的に行動したい」と発言したことに対しこう答弁した。これに激怒したのが鳩山氏サイドだ。……
「『党沖縄ビジョン2008』に『県外移設を模索』と書いてある。それを選挙で言っただけで勝手に言ったわけではない!」しかし、普天間問題は鳩山氏が「県外」にこだわったために迷走した。その反省から、首相は日米合意に基づく名護市辺野古への移設方針をぶれずに進めようとしている。にもかかわらず、首相は(10月)27日夜、鳩山氏らとの会食で玄葉氏の発言について「間違いだ。申し訳ない」と謝罪してしまった。…… 
■「模索する」というのは細大漏らさぬ情報収集に全力を注ぎ水面下で地道な根回し交渉を徹底的に進めることを意味するのが常識なのですが、鳩山サセテイタダク元首相にとっては選挙前の景気づけにリップサービスの材料にしてしまうことを意味していたようです。野党時代ならば「だったらいいなあ。ねえ、皆さん!?」と聴衆を煽って盛り上げる材料にしても良いのでしょうが、もしかしたら本当に政権交代が実現して自分が総理大臣になってしまう可能性が少しでも見えている時には言ってはならない事でしたなあ。


玄葉氏自身は(10月)28日の記者会見で、首相の謝罪について「直接聞いていない」としたものの、「『誤りだった』との認識に変わりはないか」と問われると「いずれにしても、沖縄の皆さんに大変申し訳ないというのが私の心理だ」とはぐらかしてしまった。当の鳩山氏は28日、都内でアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使と会談するなど、引き続き外交での影響力発揮に意欲を示している。沖縄では鳩山氏の議員辞職を求める声が依然としてくすぶっているのだが。
2011年10月28日 産経ニュース 

■沖縄県民に愛想尽かされ、ママの金で飼い慣らしたはずの手下にも逃げられ、虎の子だったロシアとのパイプも使い物にならなくなった鳩山サセテイタダク元首相は、次の選挙に出ようと出まいと政治生命は尽きたも同然のようで、菅アルイミ前首相と揃って存在感は皆無で何処でどうしているのやら……。こうした異常な光景を見ただけでも民主党には政権担当能力はまったく無かったのだと改めて分かるのであります。勿論、この話題は直近の防衛相と高級官僚の舌禍事件との関連で引き出したものなのですが、この問題は野田ドジョウ首相が「適材適所」だと強弁する任命責任だの防衛省内の認識不足だの、あるいは一大臣や官僚の劣化などという簡単な問題ではないのではないか?という深刻な不安から始まっている話なのであります。

西岡武夫 享年75歳 其の弐

2011-11-08 13:03:17 | 政治
■「三権の長」問題は江田五月参議院議長が2011年1月に、菅再改造内閣で法務大臣に就任して世間を驚かせたことがありました。第2次田中角榮改造内閣で中村梅吉元衆議院議長が法務大臣に就任したことはありましたが、参議院議長の入閣は前例が無かったようです。そもそも党の綱領も原理原則も持たない民主党なのですから、健康と年齢の問題が無ければ「どじょう演説」以上の立派な政治家としての矜持を示す名演説が聞けたかも知れませんし、格の違いを見せ付けて代表に当選していたかも知れません。どうやら打診を受けた御本人も本気で立候補を考えたことがあったようですから、野田ドジョウ首相としては出馬を見送って貰って有り難かったに違いありません。西岡参院議長の死去に際して野田ドジョウ首相が談話を発表しました。

西岡武夫参院議長のご逝去の報に接し、心から哀悼の意を表します。西岡武夫氏は、昭和38年以来、衆院議員として11回、参院議員として2回当選され、この間、文部大臣、参院議院運営委員長、参院議長などを歴任され、教育分野をはじめ国政全般に多大な貢献をなさいました。特に、参院議長として、難しい議院運営や、参院改革の議論などにおいて優れたリーダーシップを発揮され、わが国の東日本大震災からの復旧・復興に向けて今後もさらなるご活躍が期待されていた中で、突然の訃報に接し、誠に残念であり、深い悲しみの念を禁じ得ません。ここに心よりご冥福意をお祈り致します。
2011年11月5日(土) 産経新聞 

■あの「ドジョウ演説」をした同一人物が書いたとは思えない型通りの面白くも何ともない事務的な文章であります。さり気無く原発事故対応を巡って菅アルイミ前首相に何度も辞職を迫った話は省かれているのが印象的ではありますが……。個人的に西岡議長の言動が気になって、今年の3月から報道記事をストックし続けておりました。自分の死期を悟った上での発言や行動だったとしたら、軽薄な「クールビズ」騒ぎを一顧にせず国会内でネクタイを決して外さなかった西岡参院議長は本当の侍だったのかも知れませんぞ。経歴を見ても菅アルイミ前首相とは対照的な地道で一途な生き方が浮かび上がりますからなあ。

■衆院11期、参院2期。早稲田大を卒業後、長崎新聞の論説委員などを経て63年の衆院選旧長崎1区で初当選。76年にロッキード事件を批判して自民党を離党して新自由クラブの結成に参加し幹事長に就任。80年に自民党に復党して竹下、宇野内閣で文相、党税調会長や総務会長などを歴任。政治改革をめぐり93年に再び自民党を離党し、94年の新進党結成に参加。98年の自由党結党には副党首として参加。98年の長崎県知事選に出馬して落選。01年参院選の比例代表で当選。03年の民主、自由両党の合併で民主党入り。

■西岡議長の追悼でもあり、もしかすると民主党(政権)への追悼になるかも知れませんが、今年3月から10月27日までの西岡言行録を振り返ってみようと思います。話は桃の節句3月3日から始まります。


政府・与党が平成23年度予算案を予算関連法案と切り離して無理に衆院を通過させたことで国会運営が滞り……
「憲法に違反する。議長の判断を認めるわけにはいかない!」民主党の羽田雄一郎参院国対委員長は2日の記者会見で、同党出身で本来は身内の西岡武夫参院議長を痛烈に批判した。西岡氏が同日、1日に衆院を通過した予算案を衆院通過から1日遅れで受領したためだ。
西岡氏が異例の対応をとったのは、民主党が予算関連法案を予算案と同時に通過させなかったからだ。赤字国債を発行するための特例公債法案など歳入に関わる予算関連法案は予算案と同時に参院に送るのが慣例だが、関連法案の衆院再可決に必要な3分の2の議席確保にめどが立たないため、野党説得の時間稼ぎという意味もあって関連法案の送付を遅らせたのだ。
結局、西岡氏は予算案を宙に浮いたままにしておくことは避け、2日に受領することで妥協を図ったが、同党の参院幹部は敵か味方か分からなくなった西岡氏に不満をぶちまけた。
「菅さんよりも、西岡さんの方が、先に辞めなければいけなくなるんじゃないか」…… 

■大震災・原発事故の前、この頃は外国人からの政治献金疑惑で「菅辞めろ!」の声が党の内外で高まっていたことを思い出します。本当にあの未曾有の大災害と大事故を天佑神助と大喜びした日本人は菅アルイミ前首相ただ一人みたいなものでしたなあ。

西岡武夫 享年75歳 其の壱

2011-11-08 13:02:42 | 政治
■「内弁慶」という慣用句はありますが、これまで日本語には「外弁慶」という表現はありませんでした。政権交代が起こると日本語もいろいろと変化するらしく、民主党政権になってたったの3年で既に3人目となった歴代総理大臣はうち揃って外国に行くと嬉しさの余りなのか、すっかり舞い上がって子供染みた万能感覚が爆発したかのように大風呂敷を広げて大見得を切って悦に入るという実に困った悪い癖を継承しているようです。初代の鳩山サセテイタダク元首相は政権交代直後の興奮状態だったこともあり、特殊な思考回路をフル稼動させて一足飛びに外交政策を大転換できると勘違いし続けて自滅。次の菅アルイミ前首相は自らの舌禍で参議院選挙に大敗してネジレ国会という重荷を背負い込んでしまったので、国内では野党と世論調査の結果に怯えて猫を被っている苦しさの反動でもありましょうが、国際会議に出席すると生涯の夢だった総理大臣になった事を実感したいばかりに、先代に負けず劣らず次々に大風呂敷を広げて見せては飽きると放り出し、また次の風呂敷を取り出して子供のように遊んでいるようでした。

■そして三代目の野田ドジョウ首相も、海外に出向くと同じ病を発してわざとらしい低姿勢をかなぐり捨てて主要議題とはまったく関係の無い「消費税引き上げ」を宣言してしまったのでした。民主党政権はその名前に似ず、非民主的で独断専行を好む気味の悪い正当なのだと、多くの国民が知ってしまったからには、いよいよ解散総選挙などして議席を失って路頭に迷うのはイヤだ!という内向き下向きの虚仮の一念だけを求心力として生き延びるための協同組合になっているのかも知れません。そんな政党に政治が出来るのかいなあ? ■

野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて「国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプラン(カンヌ行動計画)に入れた。できなかったら責任を取るという話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。首相は国際公約を「説明」に格下げしようと必死だが、野党側は首相の“逃げ口上”だと反発している。…… 

■政権交代マニフェストを紙くずにして平気な政党の代表ですから空手形を濫発しても政治家として良心が痛むなどということもないのでしょうが、さすがに「国際公約」と報道されるとちょっと気になるようです。カンヌの議場では誰も注目しない場違いな発言でしたが、遠く離れて唐突に「公約」を聞かされた日本国民にとっては大問題でありました。増税・TPP参加・年金制度改悪などなど矢継ぎ早にマニフェストには何も書かれていない大きな政策変更が発表され、党内では愚にも付かない「議論」で時間を浪費し、国会では総選挙の緊張感が無い噛み合わない質疑がだらだらと続くばかりで国民は何が何だかさっぱり分からず、ただ不安になって日に日に嫌な予感が膨らむばかりであります。


首相は、年末にかけて「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税率引き上げ時期を具体化させ、来年3月までに関連法案を提出、次期通常国会で成立させたいとしている。会期内の法案成立を目指すには自民、公明両党の協力が欠かせない。しかし、両党は関連法案提出前の衆院解散・総選挙を求めている。その上、「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」というスケジュールを既定路線と思っていた首相にとって、カンヌでの発言を両党が「国際公約をした」と責任追及に出てきたことは想定外だったようだ。こうなると、与野党合意の障害となるような要因を摘んでおく必要がある、と首相は判断した。カンヌでも同行記者団に対し「国際公約というと飛躍のある言葉だ。法的拘束力があるわけではない」と予防線を張っていた。…… 

■「法的拘束力」が無いのは解散総選挙を限界まで先送りしているからではないのか?国際信義の上からもこの発言は問題でありましょう。「法的拘束力」が無いからG20の場で何を言っても構わないと考えているのなら、一体、誰が日本の言葉に耳を貸すのでしょう?本来は「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」の後に、「でも前の総理大臣が選挙で大負けして国会がネジレてしまった上に大震災と原発事故も起こってその対応にも失敗しているから、本当に消費税の引き上げが出来るかどうか分からないのが実情で……」と付け加えるべきだったのでしょうが、それでは単なる独り言になってしまって格好が付かないから断定口調で発表してしまっただけのことなのかも?


衆院本会議では、消費税率引き上げ時期の具体化にあたり「政府・与党の議論や、与野党協議を踏まえて決定したい」と低姿勢を見せながらも、衆院解散の時期に関しては「関連法案提出後は成立に全力を尽くし、(増税)実施前に総選挙で民意を問うのが筋だ」と突っぱねた。これに対し、自民党の西村康稔氏はアドリブで再質問に立ち、「首相は国際的に公約された。実現しなかった場合には当然、責任を取る。内閣総辞職か衆院解散と考えるが、いかがか」と追及した。首相は、唐突の質問に目を泳がせ、再び演壇に立つと「実現に全力を尽くすのが責任だ」と答弁した。語気を強めた割に、内容は曖昧だった。騒然となった本会議場で、続く公明党の竹内譲氏も「海外で表明するとは何ごとか」と批判した。野党が質問に立つ8日以降の衆院予算委員会で集中砲火を浴びることは必至だ。……
2011年11月8日(火) 産経新聞 

■政権交代マニフェストには「4年間は引き上げない」と書いておいて5年後に引き上げる準備をするという奇怪な「国際公約」をして帰国する野田ドジョウ首相が政府専用機でニース市のニース・コート・ダジュール空港から日本に向けて出発したのは日本時間5日の未明でしたが、民主党では貴重な本格的な政治家だった西岡武夫参議院議長が5日午前2時24分、肺炎のため都内の病院で死去したのでした。野田ドジョウ政権が発足した後の10月27日に「首相の指導力」を切望する所見を発表していた西岡議長は、翌28日からは口内にできた帯状疱疹の影響で参院本会議を欠席して入院していたようですから、野田ドジョウ首相の「国際公約」に関して何を思ったかは遂に聞くことはできなくなってしまいました。

■6日夜、出身地の長崎市の葬儀場「法倫会館」で営まれた通夜には与野党の関係者ら約1100人が参列したそうで、その中には帰国早々にとんぼ返りで参列した野田ドジョウ首相の姿もあったそうですが、政治的な悪口雑言の限りを尽くして「退陣しろ!」と言われ続けた菅アルイミ前首相の姿は無く花輪だけが飾られていた由。どこまでも度量の狭さと陰湿な執念深さは治らない人のようでありますなあ。そんな人物が452日間も総理大臣の席に座り続けていたと思うと、今更ながらゾッとします。

■野田ドジョウ首相が誕生した民主党代表選の直前、8月26日の午後のこと、クラッシャー小沢と鳩山サセテイタダク前首相は「第3の候補」を模索していたのでした。なかなか一本化できない海江田経産相と小沢鋭仁元環境相の両候補に不満足だったクラッシャー小沢は長年の盟友だった西岡武夫参院議長を考え、鳩山サセテイタダク元首相は原口一博前総務相を推して話がまとまらず、鳩山サセテイタダク元首相が「三権の長が(別の)長になるのはどうでしょうねえ」と文句を言えば、クラッシャー小沢も「原口は若い。雑巾がけもなあ…」と不満げで、まあショウガネエナアと決まったのが海江田候補だったとか……。