旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

開票後は台風 其の弐

2009-08-31 22:58:01 | 政治
■大物政治家には「支援団体」が付いているのが常ですが、献金スキャンダルでも発覚しないかぎり、新聞の政治記者たちは政官財の癒着などという便利で抽象的な表現を使って済ませてしまい、特に巨大な信者組織を持っていると豪語しているような新興宗教団体の資金と動員力が、どの政治家や政党と持ちつ持たれつの関係にあるのかを報道しようとはしないようです。あれこれ突き回すとマスコミ商売に支障が出ることも多いらしく一種のタブー扱いになっているようですから、今回、幸福実現党の旗揚げという椿事?が起こっても、相手にせずに黙殺するしか対処方法は無かったのかも知れません。

■「幸福の科学」という新興宗教団体が単独政権を目指して全選挙区に候補者を立てる!と宣言したことよりも、長年、自民党を支援して来た事実を暴露してしまった事の方が重大な話のはずなのに、この点もマスコミは大きく取り上げようとはしませんでした。一般の有権者は「人柄」だの「業績」だの、素人には絶対に分からない得たいの知れない物を手掛かりに投票行動をしている場合が多いのですが、もしも、自分が指示しようと思う政治家が自分の好みに合わない信仰集団と深く結びついていると分かったら、自ずと投票行動にも変化が出るはずなのに、日本は変なところだけ「政教分離」が徹底しているようであります。


衆院選をめぐり、消費税廃止や憲法改正などを掲げ、小選挙区と比例代表に計337人を擁立したが当選者が出なかった幸福実現党は31日、「立候補者名、党名の定着・浸透が不十分で、政権交代選挙の前では通用しなかった」などとするコメントを発表した。選挙区によっては同党の母体「幸福の科学」の信者数にはるかに届かない得票数があったことを明らかにし、「信者の信仰と政治選択に分離がある」と分析した。

■こうした現象も言いようによっては「政教分離」の変種とも言えそうですが、日本中の宗教団体の公称信者数を合計すると全人口の三倍になるという説もありますから、積極的に勧誘活動をしている団体の場合は登録されている名前の頭数を票数に置き換えては行けないようです。それは麻生コロコロ首相の街頭演説に動員された人たちの多くが、本番では民主党に投票したのと似たような話でしょう。


同党は「選挙戦を通じ、既存政党に変わる“新しい選択”としての『幸福実現党』への国民のご期待を肌で強く感じることができた」としたが、来年の参院選への挑戦については「慎重に検討を重ね、適性ある候補者を選び、事前の選挙活動を充実させていきたい」と述べるにとどめた。一方、今回の衆院選を日本が直面する課題にビジョンを示す戦いだったと位置づけ、「正論が国民に十分には理解されなかったが、国難への警鐘を鳴らしたという点で、宗教政党としての重要な使命は果たし得た」と強調した。同党は今年5月に結党。都議選に続いて臨んだ衆院選で初の議席獲得を目指していた。
8月31日 産経新聞

■「国難」と聞きますと日蓮宗系の団体を思い出す人が多いでしょうが、かつてのオウム真理教も「人類救済」やら「国難近し」を声高に喧伝したものです。自作自演の毒ガス攻撃から史上初の都市を狙った大規模テロにまで暴走した悟りと救済の三文芝居の幕開けが国政選挙でした。連日、テレビを中心とするマスコミに顔と名を売った教祖様が、少年時代からの野望を思い出しての政界進出でしたが、結果は全員落選。田原総一郎さんが仕切る『朝まで生テレビ』でオウム真理教と宗教問答をしたのは奇しくも幸福の科学でしたなあ。

■今回の自民党大惨敗の裏側で、巨大な組織票を動かせる幾つかの宗教団体がどんな変心をしたのか?官僚組織と同じく風の変化に合わせて民主党に鞍替えした団体もあったはずですし、近代国家に不可欠の「政教分離」の原理が、日本では信教の自由と混同されて故意に曲解されている節がありますから、オウム真理教で懲りたと言って幸福実現党を最初から敬遠無視したりせずに、日本の報道機関にはもう少し誠実に情報を集めて提供して欲しいと思いました。ラジオで大川総裁が絶叫調の政見放送を一度聴いたくらいでは、これまでの自民党政権との関係など何も分かりませんでしたからなあ。

■幸福の科学側は、割と冷静に自民党以上の大惨敗を受け止めているようですから、今のところは「嵐の前の静けさ」ではないか?などと勘繰らなくても済みそうなのですが……。

開票後は台風 其の壱

2009-08-31 16:05:25 | 政治
■開票速報を聞いたり観たりしている時に 昔、ざこばさんが出ていたビールのCMを思い出しました。「ホンマに出してどないすんねん」という熱し易く冷め易い無責任な庶民感覚を鋭く描いた傑作でしたが、小泉劇場の熱狂から4年、下手をしたらホリエモン君も加わっていたはずの小泉チルドレン77名のうち、再選されたのは10名だったそうですなあ。「郵政民営化」を強行するために掻き集められた動員用の使い捨て陣笠議員であることは小泉元首相もチルドレン議員の皆さんも互いに分かっていたはずで、マスコミにも面白おかしく「注目選挙区」や「注目候補」にも拾ってもらえず議席を失った60余名の議員の存在が、現行の選挙制度が抱え込んでいる欠点やら恐ろしさを象徴しているのでしょう。

■前回の郵政解散選挙の蓋を開けたら飛び出した「タイゾー議員」の姿は自民党史の一頁に刻まれていますが、あの時から有権者の多くは「ほんまに出してどないすんねん」と思い始めていたのかも知れませんぞ。それに加えて毎年のように総裁を交換して総選挙を先送りし、最初の後継者だった安部さんは「小泉改革の継承」を名言していたのに、次の福田ホイホイ前首相になると継承なのか転換なのか、さっぱり分からないまま時が過ぎ、選挙の顔として国民に無断で選んだ麻生コロコロ首相の口からは「本当は反対だった」発言が飛び出したのですから、一体、何をやっているのか?これから何をしようとしているのか?これまでに何をしていたのか?国民の中に疑問を感じる心がどんどん膨らんで行きました。

■開票速報番組の中では東京12チャンネルの『ニッポン戦略会議』という企画がよく出来ていたように思いましたが、そこには竹中平蔵さんが取澄ました顔で出演しておりまして、相変わらず「小泉改革無謬論」を語っていましたなあ。自民党が歴史的な惨敗をしたのも、日本が長期の不況から脱出できないのも理由は同根で、小泉改革を中断したからだという自説を曲げませんなあ。パチンコに負けて「あと1万円注ぎ込んだら勝てたのに」と負け惜しみを言う人は、決してパチンコで儲けることは出来ないとか……。先の大戦では主要都市が灰燼に帰して国民生活の基盤が崩壊しつつあった時でさえ、「まだまだこれからだ!」と本気で叫んでいたエライ人がたくさんいたそうですなあ。

■「総括が必要だ」と多くの人が言う小泉改革なのに、本丸は郵政民営化だという事以外にその内容を記憶している人はほとんどいないのは実に不思議な話であります。しかし、選挙直前の『週刊朝日』8月28日号には「近未来大予測! SPECIAL 反・新自由主義宣言」と題してホリエモン×竹中平蔵の対談が掲載されておりまして、小泉劇場で担当大臣とチルドレン候補だった二人が、教師と生徒のような対話をしていましたなあ。竹中プランはガッツのない日本の金融機関を大規模に再編成して悪名高い「投資銀行」を設立したかったのだなあ、と素人でも想像できる内容でした。

■週刊誌には引っ張り出しておきながら、テレビ朝日の番組にはホリエモン君は呼ばれないようで、「4年ぶり」の総選挙報道をするのなら、4年前に候補者だったホリエモン君をゲストに迎えて「散る桜、残る桜も散る桜」状態のチルドレン惨敗にコメントを貰ってもよかったかも知れません。東京12チャンネルに出演した竹中さんはまったく他人事のように惨敗結果を分析していたようですが……。

■何だかんだと理由をつけては解散を先送りし続けた自民党が愛想を尽かされるのは仕方がありませんが、「ついて行きます下駄の雪」だった公明党も小選挙区での候補者が全員落選というとばっちり?を受けた悪夢のような選挙結果になりました。どこかのテレビ局が創価学会で一番エライ人に惨敗の感想を聞かないかなあ、などと無責任に妄想していましたら、どこのマスコミも「幸福実現党」をまともに取り上げていないことに気が付きました。「オウム真理教」が真理党を結成して国政に進出しようとした時には、ワイドショーやニュース報道番組て視聴者が辟易するほど取り上げたのに……。まあ、その後の選挙惨敗が武装化・テロ集団化への切っ掛けだったのは確かですから、今回は「触らぬ神に祟りなし」と全マスコミが黙契を結んだのかも?

■あまりマスコミが取り上げない部分に焦点を当てて今回の総選挙の結果を考えようかと思います。

突っ込みどころ満載選挙 其の伍

2009-08-29 14:55:18 | 政治
■聞かせる演説が出来る政治家が絶滅同然の状態になってしまったのは何故でしょう?不自然な笑顔を作って懸命に「下々の皆さん」に語り掛けようとする麻生コロコロ首相も、その前の「あなたとは違う」福田ホイホイ首相も、さらにその前の滑舌が悪かった安部さんも、決して演説が上手い政治家ではありませんでした。騒々しいだけだった小泉劇場の時代にも、歴史に残すべき演説を聞いた記憶がありませなんだ。

■麻生VS鳩山の論戦は何度も行われたようですが、揚げ足取りと質問無視、まったく発展性の無い子供の口喧嘩みたいなものばかりでした。大勝が確実視され、きっと御本人も本気で次期首相の椅子が生々しく見えているに違いない選挙運動の大詰めになって、急に無口になった鳩山さんの話。


……鳩山氏は28日午後、応援遊説で福岡県大牟田市を訪れた。スーパーマーケット前で、演説用に用意されたトラックの荷台に登る際、聴衆から声がかかった。「総理!」だが、鳩山氏は一切、表情を緩めることなく演説を開始した。この日もぶらさがり取材は一切なかった。今年5月の代表就任以来、鳩山氏は毎日1回のぶら下がりに応じ、情報発信に努めてきた。しかし、衆院選公示後には、鳩山氏が取材に応じる機会は極端に減少した。……記者団に陽気に話しかけてジョークを飛ばす半面、失言も多かった。インド洋での海上自衛隊による補給活動や非核三原則に関しては、発言が二転三転、自民党などから批判された。この時期にまた失言があれば、衆院選での民主党圧勝ムードに水を差しかねない。さらに、首相就任の可能性が現実味を増し、野党代表時は許された「失言」も首相の立場では、「命取り」になりかねない。それだけに、鳩山氏周辺にはピリピリした雰囲気が漂い、鳩山氏のこれまでのソフト・イメージはすっかり影を潜めている。
8月29日 産経新聞

■「鳩山氏のこれまでのイメージ」というものには心当たりがありませんが、面白いほど聞き手の心を揺さぶらない「友愛」が政策として通用するかどうかは分かりませんから、聞く方も話す方も手掛かりが無くて困っているのではないでしょうか?それにしましても「総理!」の掛け声に当意即妙の対応が出来ないようでは、ちょっと先行きが心配でありますなあ。勿論、記者が間違って「総理」と呼んだのに即座に反応してテレ笑いをしていた舛添厚労相よりはしっかりしているのかも知れませんが……。

■鳩山氏のイメージは海外メディアの方が客観的に捉えているようです。


日本の総選挙の投開票日を2日後に控えた28日、AP通信は民主党の鳩山由紀夫代表に関する記事を鳩山氏の提供も含む多数の写真とともに配信した。……鳩山氏が元首相である鳩山一郎氏を祖父に持つ名門出身であることを紹介。東大卒業後、米スタンフォード大で博士課程を修了した経歴にも触れ、「学者のようで、政権交代を起こせそうにない」風貌(ふうぼう)と表現している。

■2日前の読売新聞には、スタンフォード大学の人脈に注目した記事が掲載されていました。麻生総理も同大学に在籍していたので、米国西海岸にあるスタンフォード大学が新たな日米関係を築く拠点になるかも?という内容でしたが、その留学中に鳩山由紀夫さんが何をしたのか?についてはAP通信も伝えていないようです。日本で言う「惻隠の情」なのか、御祝儀記事だから個人的なスキャンダルは伝家の宝刀として温存しておくつもりなのか? 


しかし、日本の有権者の多くが「鳩山氏を(新たな)指導者として望んでいる」とし、民主党が大勝するとの世論調査結果を引用。ただ鳩山氏は、「まだ試されていない」政治家であり、今後の行方を予測するのは困難だとも指摘した。「日本をよりワシントン(米国)から独立させ、アジアに近づけたい」とする鳩山氏の外交方針にも若干の懸念を示している。幸夫人については、ファッションや料理への関心が深く、「夫がより健康的に見えるよう」尽くす女性である、と好意的に紹介している。
8月28日20時55分配信 産経新聞

■鳩山総理を望んでいるのが「有権者の多く」なのかどうか?世論調査でも過半数には遠く及ばず、麻生さんよりは多いという程度でしょう。民主党の代表選では怪しげな動きも見られましたし、自民党を下野させて反省させるための当て馬として民主党が支持されているようなもので、民主党の代表となれば誰でも麻生コロコロ首相よりは期待が大きくなるでしょう。AP通信が伝える「今後の行方を予測するのは困難だ」というのが、多くの日本人の実感ではないでしょうか?重大な政治課題に関して発言が二転三転し、最後は何でもかんでも「友愛精神」で解決できると言い張るばかりでは、まともに政策を聞くのは困難でありましょう。

■それにしましても、フランスの現職大統領やイタリアの首相と同様に夫婦間の問題や女性問題を辛辣に報道する海外メディアが、鳩山夫妻の「馴れ初め」を微に入り細を穿って書き立てたら、外交方面で困ったことになりはしまいか?と心配になります。杞憂であればよいのですが……。

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突っ込みどころ満載選挙 其の四

2009-08-29 14:25:13 | 政治
■「天下り」した元役人を養うために12兆円もの税金が流されている!この数字にはいろいろと計算方法に問題があるとの指摘もあるようですが、出世レースで傷つかないように早期退職を勧告して一生面倒を見るという「和を以って貴しとなす」日本の伝統的な美風を守っているんだと強弁する向きもあるとか……。仄聞したところによりますと、最も多くの天下り団体を養っている省庁は文部科学省だそうです。「教育政策は国家100年の計」という気宇壮大な決まり文句があるくらい、近代国家にとって教育は重要なテーマではあります。しかし、悪い冗談だった「年金100年安心プラン」と同様に「ゆとり教育が」が揺らいで倒壊する過程には、とても100年後の国家像などまったく見えませんでしたぞ。

文部科学省から過去5年間に天下った幹部職員OB162人のうち、3分の1を超える57人が私学(学校法人)に再就職していたことが28日、産経新聞の調べで分かった。……識者らからは「旧建設省OBがゼネコンに天下るようなもの」と批判の声もあがっている。与野党各党は総選挙のマニフェスト(政権公約)に天下り規制を盛り込んでおり、文科省は天下りへの新たな対応を迫られそうだ。

■寄付金が集まらない日本で欧米流に私立学校を経営するのは至難の業で、何だかんだと文科省から補助金やら助成金を貰って経営を成り立たせているのが実情ですから、お世話になっている見返りとして「天下り」先となるのは、お中元やお歳暮を贈る感覚や一席設けて接待するようなものなのでしょうが、使われているのは全部が税金であります。これを断ち切るには寄付の文化を日本に根付かせねばなりますまいなあ。


…平成15年9月~20年12月に、文科省から天下った本省課長・企画官級以上の幹部職員は計162人。うち57人(約35%)が51の学校法人に天下り、東京聖徳学園、佐藤栄学園、藍野学院、玉川学園、聖心女子学院、日本体育会の6法人では、各2人を受け入れていた。肩書は事務方トップの事務局長が21人で最も多かった。51法人の中で48法人が大学(短大も含む)、2法人は高校、1法人は専門学校を主に経営する。

■既に時代の要請を失って久しい短期大学や新興の私立学校がぞろぞろと並んでいるようですが、首都圏内に偏っているのは住み慣れた家を離れたくない!都落ちは絶対に嫌だ!という役人の意地と我侭が反映された結果のようにも見えますなあ。天下る方でも全国的に名が知られた伝統校となると、OB会やOG会の目が気になるのでしょうか?名誉職に近い閑職だと思われる事務局長にも、「天下り」の3点セットとされる運転手付き黒塗り高級車・女性秘書・専用室が与えられるのでしょうか?


13年の中央省庁再編で、旧文部省と合併した旧科技庁の出身者らを除いて旧文部省の生え抜きに限定すると、天下り総数は111人で、うち46人(約41%)が学校法人。旧文部省の生え抜き以外で私学に再就職した11人は、外部から教育分野の専門職に転身した学識経験者らで、旧科技庁入庁組は皆無だった。

■省と庁が合併する場合、決して対等合併ではないでしょうから、入省年次絶対主義に加えて「出身」が一生付いて回るのでしょう。襷(たすき)がけ人事など想像も出来ない上下関係があるからこそ、「天下り」にも格差が生まれるのでしょうなあ。徹頭徹尾、役人のお手盛り、正に好き放題に人事と税金を濫用しているとしか思えません。「脱官僚支配」と叫んでいる民主党は、鉄壁の守りを固めているに違いない迷路だらけの伏魔殿を制圧する実力があるのでしょうか?クラッシャー小沢の豪腕は党内に温存されるそうですが……。


文科省は、各種の補助金で学校法人の経営健全化や設備充実をはかる私学助成を行っており、予算規模は年間4500億円前後にのぼる。私大設立や学部・学科新設の許認可権ももつ。少子化で私学は経営が難しくなっており、特に私大は学生集めのため、情報システムや住環境デザインなど既存の大学とは異なる目新しいテーマの学部・学科の新設に躍起になっている。

■大学の数が多過ぎることは20年も前から指摘されていたことです。厚労省あたりが「人口は増加に転じる」などと神憑り発言を続けている間に、地元選出の代議士さんも大学の誘致と新設に熱心に取り組み、昔の「駅弁大学」どころではない「廃線大学」みたいな学校が地方に次々と作られました。何と今でも毎年どこかに新設校が……。学校を誘致して町興し!などと本末転倒の開発神話を振り回す自称コンサルタントやら詐欺師みたいな業者がぞわぞわと蠢く怖い業界のようですから、生徒数の水増し、外国人の不法就労を黙認しての留学生獲得などなど、気味の悪い話がごろごろしているようです。


省庁再編前には国会で取り上げられたこともある旧文部省の私学天下りルートが、再編後も事実上温存されていた実態が明らかになり、天下り問題に詳しい国際基督教大の西尾隆教授(行政学)は「再就職の是非はケースごとに判断すべきだが、この数字は大いに問題がある。旧建設省OBがゼネコンに天下るようなもの。営利企業ではないと言っても、私学も補助金獲得をめぐり競争しており、経営難もあってお金絡みの意識が働く可能性がある。許認可権限をもつ相手先に行くのは、庶民感覚からみておかしい」と指摘。一方、文科省人事課は「もともと法律に制限がなく、問題はない」としている。……
8月29日 産経新聞

■税金の無駄遣いに「無駄な道路」があるのなら、税金を注ぎ込む「無駄な学校」もあるのが道理です。しかし、「教育は大切だ」の一言で学校の新設や学部の増設が認められてしまうのが現状なのでしょう。それは「農業は国家の基盤だ!」の殺し文句に似た効果がありますからなあ。そう言えば、先週のテレビ朝日『サンデープロジェクト』が放送した食料自給率のトリックという重大な政府による欺瞞の疑惑話もありましたが、カロリーベースという奇妙な計算方法を編み出して、農業予算を分捕る口実を作る悪知恵に乗せられて、今回の各党が発表したマニュフェストには「食糧自給率の向上」が謳われております。

■民主党の「所得補償」案は日本農業を滅ぼすぞ!という過激にして核心をついた論文が週刊文春の最新号に掲載されております。書いたのはサンデープロジェクトにも顔を出していた浅川芳裕氏です。民主党には日教組に支えられたベテラン幹部が幅を利かせているのでダメ教師を温存する政策が提案されても不思議はありませんが、クラッシャー小沢が掲げたやる気のない農家に現金をばら撒く「所得補償制度」は、自民党が繰り返した「猫の目行政」よりも危険な香りがぷんぷん漂っているようです。選挙のため、政権交代のためなら日本の教育も農業も壊滅させても構わない!とでも思っているのなら大問題であります。

突っ込みどころ満載選挙 其の参

2009-08-29 12:39:10 | 政治
■小泉プレスリー元首相の表現では、民主党は増税もせず予算を増やす「手品」を披露してくれるそうなのですが、民主党側では「税金の無駄遣い」を徹底的に是正すれば財源は心配ないのだそうです。本当に税金が国民のためではなく一部の既得権益を握っている連中に食い荒らされているのなら、その実態を白日の下にさらして大掃除と洗濯をしなければなりません。しかし、暇を持て余しているような天下り団体でさえ、天下国家の役に立っているんだ!と厚顔無恥に言い張るくらいですから、恥の上塗りを続ける失政続きの役所でも無駄な予算の上積みを平然と要求するくらいは朝飯前なのでしょうなあ。果たして、民主党はこういう現状を変えられるのか?

27日に発表された厚生労働省の平成22年度予算の概算要求は、社会保障費の伸びを年間2200億円抑制する方針のたがが外れ、前年度からの伸び率が5%台という大幅増になった。ただ、民主党は政権を獲得した場合、予算の大規模な組み替えを行うとしており、強気の予算要求が絵に描いたもちになる可能性も。このため、省内の部局によっては民主党政権用の“裏予算案”を作成するなど、したたかな処世術も見え隠れしている。

■アメリカ流の金融工学とチャイナ流の輸出攻勢で経済を発展させるために、小泉改革では社会保障費は何の迷いも無く削減対象になりました。それによって引き起こされる将来への不安が消費を冷やし、肝腎の内需を後退させるなどという意見は改革を邪魔する「抵抗勢力」のためにする議論だと切り捨てられて来ました。それを麻生コロコロ首相はなし崩しに「見直す」と言い出しておりますが、どちらが自民党の政見なのやら……。


厚労省の中堅職員は民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)を参考に“裏予算案”をひそかに作成していることを明かす。民主党はマニフェストで、雇用対策の基金7000億円を幹部の天下り先の団体に交付していることを「無駄遣い」と問題視。補助金や天下りの見直しの対象は厚労省も例外ではなく、民主党政権誕生を視野に入れた対応を余儀なくされている。

■少子高齢化が世界で最も早く進行する日本に、世界でも有数の無能な官僚や技官が集まっている厚労省が存在する不幸は、政権が交代したくらいでは改善されない大問題であります。人口は増える!医者は余る!年金制度は100年間大丈夫!新型インフルエンザは水際で食い止める!メタボ対策は腹回りの測定から!どれもこれも日本の社会保障政策が実に恥ずかしい失敗の連続だったことを証明する苦い思い出であります。恥ずかしさの余りに退職した人の話は聞きませんが……。エエカッコしいで目立ちたがり屋の舛添大臣は、省内の官僚とは良好な関係を結んでいるようで、悪いのは制度と愚かな国民だと見当違いの批判をして身内の役人を庇っているとか……。


新型インフルエンザ、医師不足、雇用不安、少子化-。22年度概算要求の重点施策では、これら社会保障の課題への対応策がずらりと並ぶ。ただ、社会的な必要性に迫られて、21年度補正予算などで手当てしたものの継続が多く、民主党政権に移行した場合でも続行しそうな事業ばかりだ。ある厚労省幹部は「民主党も“2200億円”の撤回を明言し、社会保障を充実させる方針。政権交代後も大幅な予算組み替えはない」と予想する。22年度で2・7兆円の追加財源が必要な「子ども手当」についても、財源確保のめどさえ付けば現行の児童手当の仕組みを手直しすることで対応する方針だ。

■自公政権の方でも民主党に負けないように子育て支援の大盤振る舞いを掲げていますから、厚労省の役人たちにとっては二股膏薬が有効のようです。どちらに転んでも予算が増えて権限が増える。ついでに天下り団体も新設できるかも?


だが、現場レベルでは「民主党が予算のどこに切り込んでくるか見当もつかない」(若手職員)と大幅組み替えは不可避との見方が少なくない。舛添要一厚労相は同日の記者会見で「行政は一貫性がないといけない」と民主党を牽制したが、現場の官僚は“裏予算”を作成するなど一歩先をみて行動しているようだ。
2009年8月27日 産経ニュース

■これまでの厚労省の政策のどこら辺に「一貫性」があったのか、すぐには思いつかないくらいなのですが、元東大教授の舛添大臣の優秀な頭脳で考えると、どこかに凡人には見えない一貫性があるのでしょうか?非常に濃度が高く毒性も強い内部告発の書が発表されておりますが、日・英・仏語が読める舛添大臣ですが、役人から上がって来る資料と新聞の評判記事を読むのに忙しくて、この種の本を手に取る暇は無いのでしょうなあ。

厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日
木村 盛世
講談社

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突っ込みどころ満載選挙 其の弐

2009-08-29 11:36:34 | 政治
■8月29日の読売新聞に、横浜市中区の商店街に現れた「悲運の総裁」河野洋平さんの記事が掲載されております。

「何とかチルドレンというのがいる。背後の権力を持っている人が、左へ行けと言うとみんなが左へ、右へ行けと言うと右へ。こんなことで民主主義は成り立つのか」……「○○さんは力で何でも解決する考え方だ。○○チルドレンはノーサンキューだ」

■と叫んでいたそうです。さて、「何とか」と○○の中には誰の名前が入るのでしょう?ご本人は「小沢」の二文字しか入らないと信じ切っているようなのですが、チルドレンのオリジナルは「小泉」さんです。「右へ」を「郵政民営化へ」と書き換えても文意は通りますし、「何でも力で解決する」のも小泉劇場政治の特徴でしたぞ。参議院で法案が否決されたからと腹を立て、衆議院を解散させるという前代未聞の八つ当たり選挙を仕掛けたのも小泉さんでした。批判する者は一人残らず「抵抗勢力」と呼び、「刺客」を送り込んで政治生命を絶つようなことも平気でやりました。そこで誕生したのが小泉チルドレンで、小泉さんの指示命令が無ければ何も出来ない人たちだったはずです。それでも自民党にとっては歴史的な大勝を実現した貴重な駒でしたから、小泉チルドレンが国会に出席した時には河野洋平さんは何の文句も言いませんでしたなあ。

■長い自民党の歴史の中で唯一人総理大臣になれなかった党総裁、名誉職の衆議院議長に祭り上げられ、それをだらだらと務め続けた元新自由クラブの親分。自民党に出戻った後は外務大臣になり、今でも保守派から蛇蝎の如く嫌われる屈辱的なハト派外交を嬉々として進めた人でもありました。今回の総選挙でも大問題になった「世襲」の権化みたいな人でもあります。こういう人が総理大臣にならなかったのは自民党の歴史にとって不幸中の幸いだったかも?だからこそ、議長席に押し込められていたのでしょうが……。

■動物的な嗅覚を持つことで有名な日本の官僚群は、早くから水面下で政権交代後の対応策を練りつつ先手を打って民主党への接近を図っていたのは有名な話で、いよいよ投票日が近づき、民主党の圧勝が確実となれば水面下や物陰に隠れている必要もなくなり、かつては件の河野さんも大臣を務めた外務省がもぞもぞと動き始めたそうです。


外務省首脳は28日、米国による核兵器持ち込みをめぐる密約問題について「新政権から指示が出された段階で対応したい」と述べ、調査を表明している民主党が政権を獲得した場合は、新政権の方針に協力する意向を事実上明らかにした。……「密約は存在しない」との立場から調査実施を否定してきた従来の姿勢を修正したものだ。

■旧社会党に負けないくらいの平和主義大好きだった河野洋平さんですから、自分が外務相だった時に「核持ち込み」に関する密約に関する説明を部下の官僚達に求めていたと想像されます。クラッシャー小沢さんの悪口など言っている暇があったら、政界を引退する記念に自分の経験を踏まえて「密約」問題にコメントすべきではないでしょうか?


政府はこれまで、密約の存在を一貫して否定。藪中三十二外務事務次官は24日の記者会見で、事前協議の対象となる核の持ち込みに艦船などの「立ち寄り」が含まれるかどうかに関し、日米間で解釈の相違があった可能性に言及する一方、調査については「今の時点で具体的に何か考えているわけではない」と述べるにとどまっていた。8月28日 時事通信

■「立ち寄り」という新たな言い回しで「解釈の相違」という方向に話を落とし込んでしまおうとは、なかなかの外交上手ですなあ。どうしてその才能を北朝鮮向けに使わないのでしょう?上からの指示が無かっただけなのでしょうが、勿体無いことであります。

突っ込みどころ満載選挙 其の壱

2009-08-29 11:01:39 | 政治
■ラジオを中心に各政党の公約を少しでも理解しようと努力しておりましたが、今回の選挙ほど争点が見えずテーマが絞れない選挙も珍しく、各党の党首が語り続ける内容を比較するのはほぼ不可能という結論に達してしまいました。民主党は何とかの一つ覚えの「政権交代」を連呼しておりますが、その民主党は国民新党と足並み揃えて4年前の郵政解散選挙の際に「郵政民営化さえすれば万事がバラ色」と言った小泉プレスリー元首相を嘘吐き呼ばわりしているのが不思議でなりません。前回の「郵政民営化」が今回の「政権交代」と何処が違うのか?さっぱり分かりませんなあ。

■確かに政権交代が最大の情報公開だ!という主張には聞くべきものがありそうです。与党側にだけ「ご説明」していた政策の裏側が新政権の実力次第で白日の下にさらされる可能性はあります。しかし、力不足だった場合には打倒!官僚内閣制!の掛け声が掻き消されて新内閣が丸ごと官僚システムに飲み込まれてしまう危険性もあります。

■ブレまくった麻生コロコロ首相が「ブレない政策」は自公政権だけの専売特許だ!と言いたいようですが、政見放送の冒頭で自分のこれまでの(ブレまくった)発言を陳謝しているのですから、正確な言い方をするならば、「今まではブレて御免なさい。これからはブレません」と言うべきでしょう。自民党という政党は、党内に派閥という実質的な政党を抱え込み、革新系野党の提案や要求を律儀に斟酌してある程度は政策に反映させることで長期安定政権を実現させておりました。裏では資金を含めた選挙協力までしていたようですから、まじめに投票していた有権者はよい面の皮ではありましたが……。それが「55年体制」と呼ばれた予定調和を織り込んだ日本の戦後民主主義で、日本特有の政治風土を醸し出しておりましたなあ。外面は反共産主義なのに、内側は社会主義風味たっぷりの統制と保護が全国を覆い尽くすというキメラ状態。このような不自然な体制が、よくぞ60余年も生き延びられたものであります。

■さてさて、マスコミは政権交代を既成事実のように報じておりますし、与党側は青息吐息で顔面蒼白、野党側は民主党の一人勝ちを心底心配しているというのは実に不思議な光景であります。自民党が打ち出したマニュフェストを読めば読むほど、「だったら今まで何をしていたの?」と問い直したくなるものが多く、寄り合い所帯の民主党が取りまとめたマニュフェストも基本設計は田中角栄さん直伝の各個撃破型の利益誘導によって支持団体を作って取り込んで行く手法が基盤で、そこに寄り合い所帯らしく旧社会党にしか思いつかない夢見がちなアイデアが塗り込められているような印象で、それを「友愛」という正体不明・意味不明瞭なフリー・メーソン思想の大風呂敷で包んでいるのですから、期待よりも不安が先立つのも道理。

■何処の誰が答えているのかは存じませんが、次期総理に最もふさわしい政治家のトップが鳩山由紀夫さんだという世論調査があるようですが、本当に鳩山首相の演説や記者会見を聞きたい!と思っている人達が、そんなに多く存在しているのでしょうか?はなはだ疑問であります。麻生コロコロ首相のべらんめえ失言集に辟易しているにしても、何を言っているのかさっぱり分からない言いっ放しが多い鳩山さんの話を、もっと聞きたい!と熱望している人が多いのなら、応援演説の聴衆はもっともっと多いはずなのですが……。

■新型インフルエンザへの対応、政策ミスによる医師不足、拙速で稚拙な介護制度、乱暴な派遣労働法の改悪、年金制度の欠陥と運用の失敗、朝令暮改の教育政策、リーマン・ショックを「蜂に刺された程度」と甘く見た見識の無さ、即効性に乏しい緊急経済対策……こうして並べて見れば、自民党内に選挙を先送りしたくなる気分が蔓延するのは当然のような失政の連続です。それを開き直って「責任力」だの「政策の一貫性」だのと見栄を切られては、腐れ縁で支持を続けていた人たちも白けて怒り出すでしょうなあ。

■民主党が盛んに秋波を送って連携を求める社民党という吹けば飛ぶような政党がありますが、「今こそ流れは社民党!」などと滑稽さの度が過ぎて悲壮感さえ漂うキャッチフレーズを連呼しているようです。オバマ人気に今でも便乗しようとする時代感覚の鈍さも大したものですが、「核廃絶」と「命を守る」政治を目指すともおっしゃる党首は、公示日直後に平壌に飛び込んで将軍様に同じ話をして欲しかったですなあ。拉致被害者の一人でも救い出して来れれば社民党の単独政権だった夢ではなかったかも?

■できれば政権交代を「外注」したいくらいですが、独立主権国家としては不可能な話です。自民党を反省させるために下野させ、次期政権は空白……というのも無理ですし、やはり民主党ブームに乗って政権交代を実現し、自民党と民主党の双方がそれぞれの内部事情によって対立・解体の現象が起きるとの前提で、遅れに遅れてしまった政界再編を急がせるという選択肢しか残っていないのかも知れませんなあ。

ウイグル暴動の反動 其の壱

2009-08-27 21:36:15 | チベットもの
■そもそも、暴力革命によって誕生した政治権力というものは、次に同じような騒動が起こらないように細心の注意を払うものではありますが……。1917年11月7日のレーニン一派による革命暴動によって誕生したソ連に遅れること32年、1949年10月1日に社会主義革命が成功したとの大宣伝と共に誕生した今の中華人民共和国は、今年で満60年!まあ、計算方法によって数値は若干変わるのでしょうが、ソビエト社会主義人民共和国の寿命は72年か73年、意地の悪い計算をすれば、「あと12年も我慢すれば……」という心の慰めも得られるような次第なのであります。

■王朝最後の皇帝と、それをぶっ倒して新しい王朝を建てることを「易姓革命」と呼ぶのだそうですが、孫文以来のチャイナらしい近代化の歴史を踏まえて毛王朝やら王朝などは作られなかったのですが、歴代皇帝と同様に王権・政権自体に対する批判や学問的な研究などは一切禁止!始皇帝の焚書坑儒以来、紙が大量生産されようと電子技術が発展しようと、活字や電波のメディアは国家が独占するのが当たり前のまま。インターネットの出現が、そんな古めかしい体制を崩壊させるという説もありますが、「上に政策あれば、下に対応策あり」の狐と狸の化かし合いのお国柄と歴史に鑑みまして、ネット社会に入るに当たっては世界最強の検索監視システムを導入し、国境を越えて草の根を掻き分けてでも「党の敵」を探し出そうとする熱意には、呆れつつも時代錯誤の熱意に少しばかり頭が下がります。

■党による「宣伝」と、教育・報道・歴史研究が渾然一体となって区別が無い!そんな政治体制の入り口も出口も、どうやら伝統的?な中華思想らしいのですが……。


中国新疆ウイグル自治区で、地元当局が政府機関などに勤めるイスラム教徒のウイグル族に対し、イスラム教で最も神聖な時期であるラマダン(断食月)に、断食をしなければならない日中の食事を強要するなど「中国公民としての模範」を示すよう強制していることが27日、分かった。海外のウイグル人を束ねる世界ウイグル会議(本部ドイツ)のスポークスマンが現地の情報として明らかにした。

■ほぼ同時期に、急激な支持率低下に悩むイスラム国のマレーシアの首相がチャイナからの投資を呼び込んで景気を良くすれば、きっと政権が安定すると危険な藁に手を伸ばすような政治決断をしたというニュースが流れました。マラッカ海峡の重要性を認識していれば、即座に衆議院選挙の論戦に取り上げられるような衝撃的な話なのですが、日本にとってチャイナの大戦略など、既に対等に扱えるようなものではなくなっているらしく、与野党間の論戦は対米関係だの夢のまた夢の核廃絶などに飛んでしまっているようですなあ。

■史上最大のバブルになり兼ねない無茶な政治的な操作で生み出した連年の好景気の幻影と思惑を利用して、長大で複雑なイスラムの歴史と文化を一挙に押し潰そうとするのは、余りにも「正しい歴史」と「正しい世界像」との認識に欠ける危険極まりない所業でありましょう。


スポークスマンの話などによると、当局によるラマダン中の食事強制は毎年行われているが、今年は10月に建国60年を迎えるため、当局は「大規模かつ徹底的に」ウイグル族の宗教活動への干渉を強化しているという。
2009年8月27日 産経ニュース

■ソ連からの絶大なる干渉と援助によって誕生した中華人民共和国の誕生の歴史は、今での「神話」と「宣伝」の網からは逃れられず、面白いことに日本国内に北京政府から発信され続けた奇怪な「正しい歴史」を金科玉条として生涯の研究テーマにした大学教授などの知識人の多さは世界的にも驚くべき多さだとか……。「毛沢東は偉かった」に始まって「小平は21世紀を予見した」など、何処の国の大学教授なのか?と思ってしまう御高説を書いては単位取得に欠かせない自分の講義の教科書やら必須参考書にして印税をシコシコ稼ぐような、老後の備えのアルバイトにしては後世に残す罪科が大き過ぎるような大学の授業も多かったと仄聞します。

■講座の名前に「現代中国」と冠しておきながら、今回火を噴いたウイグルやチベットなどの「少数民族」の問題を視野に入れた授業を受けられる大学は、実際には日本国内では非常に少ないようなのです。政治がらみで「町おこし」の名目で田舎に無理やり設立した新設大学などでは、政府からの補助金欲しさに生徒の多くがチャイナからの留学生になっている状況もあるようですから、ますます、「毛沢東は偉かった」と似たりよったりの日中友好の茶飲み話で学士の単位が認定され続けているのでしょうなあ。清朝末期の日本では、それとはまったく逆の教育が受けられるというので1万人以上の留学生が海を渡って来たのですが……。時代は変わったのか?変わらなかったのか?

■時節柄、麻生コロコロ首相と鳩山オボッチャマ代表に是非ともご説明を願いたい話ではあります。クラッシャー小沢さんに聞いても無駄だということは分かっております(念のための蛇足)。

最後の争点は教育かも? 其の参

2009-08-25 15:03:10 | 政治
■長過ぎた自民党政権は、紛れも無く極めて民主的な政治を積み重ねて来ました。その証拠が積もり積もった800兆円もの国の借金・国債残高でありましょう。今でも国政選挙だというのに「地元の発展」を第一義にして選挙運動を展開している候補者が目立つのが自民党です。小泉政権が出現するまでは、老人に優しく農家にも(開業)医にも優しかった自民党が、郵政民営化で本当にぶっ壊れてしまったのですから、支持団体が雪崩を打って自民憎し!と民主党に擦り寄って行くのは最初から分かっていたことでした。

■純粋な景気対策だった建設国債が赤字国債に追い越され、地域の発展の美名の下に大型公共事業が日本各地の風景を激変させ、人の流れも同時にがらりと変えてしまいました。大物政治家たるもの、国の予算を地元に引っ張り支援団体に受注させて5%ほどのマージンを抜いて選挙資金に回しつつ、支援団体の票も固めるという選挙システムがフル回転し続けた結果が今の日本でありましょう。そこには選挙権の無い子供や未成年、そして何故か夫と同じ選挙行動しか採らない従順な妻たちは、政治家にとっては支持団体の勘定に入らなかったようです。その結果が少子化。50代にならないと本気で選挙を考えないという不思議な現象が続いていたことを早稲田大学の森川教授が面白い手法で解剖しておられます。


政権交代が焦点となる今回の衆院選には「平成生まれ」の有権者が初めて参加する。政治離れが指摘されて久しい若者たち。近年の衆院選でも20歳代の投票率は、他の世代に比べて極端に低い。著書で、選挙に行かない若者は金銭的に大損すると分析している早稲田大国際教養学部(政治学)の森川友義(とものり)教授(53)は「このままでは大変なことになる」と警告している。選挙では、人口と投票率を掛け合わせた「投票数」の多い世代の方が影響力は大きい。平成17年の総選挙でいえば、20歳代の投票率は46・20%で、70歳以上の69・48%より低く、投票数では約700万人以上少なかった。……候補者も「若者」より「お年寄り」向けにアピールを強め、政策もそれに反映されていく。この傾向は今後さらに強まりそうだ。

■OECD加盟国の中で対GNP比で最低レベルだった教育関連予算を大幅に増額する政策が与野党間で競争するように提出されるようになったのですから、少なくとも「子育て世代」は候補者の視界に入って来たのでしょう。大学生の奨学金制度も大幅に改良されるという話もありますが、それもスネカジリ学生を前提としているのなら仕送りする親の世代に対するサービスでしかないかも知れないのですが……。


森川教授が社会保障・人口問題研究所の予測値などから2050年の数字を算定したところ、投票数で70歳以上が20歳代の約6倍、2番目に多い60歳代の倍近くとなり、「年金生活者の力が圧倒的に強くなる」という。こうした事態を緩和するには、20歳代が投票率を上げ、政治家の目を若者に向けさせるしかない。……著書「若者は、選挙に行かないせいで4000万円も損してる!?」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で、政府の政策などによる受益・負担額が生涯で1500万円得する70歳以上と、2500万円損する20歳代とでは4千万円の格差があるというデータを紹介している。実際、860兆円もの国の借金を大きく背負っていくのは30歳代以下だ。……

■今の30歳代の人たちは知らないのでしょうが、昔、自民党がたいそう元気だった頃は総理総裁の椅子を巡って派閥間で熾烈な権力闘争が繰り返されまして、派閥の領袖と呼ばれた首相候補たちは、自分が政権を握ったら公共事業を増やすこと、老人福祉制度を手厚くすること、農業関連の補助金を増やすこと、そんな事ばかりを競い合っていたのでした。次の選挙にも必ず当選するためには最も効果的な政策を打ち出し続ければ自民党の天下は安泰となります。このシステムを完成させたのが田中角栄という人だったそうです。


……森川教授は「赤字国債などに若者が声をあげないといけない。自分たちの存在価値を高め、そのために政治リテラシー(知識)を高めていくことが必要だ」と強調する。……
2009年8月24日 産経ニュース

■学生が政治に燃えた60年代、その後は「シラケ」「ノンポリ」、老人ばかりが元気がよい長寿国家になった日本は、年年歳歳大きくなり続けた既得権を年長者が独占するような若者にとっては楽しくない国になってしまったのかも知れません。老人を敬うことは大事ですが、老人の方でも若者に後事を託して道を譲るのも大切でしょう。それが出来なかった自由民主党とう政党は、とうとう総理総裁の候補者が払底してしまったのですからなあ。大企業でも大学でも、大きな旨みが詰まった大きな組織には似たような問題があると聞きます。民主党政権が誕生してもそれほど大きく社会は変わらないとは思いますが、少なくとも「国家100年の計」として教育政策を論じ始めるきっかけが生まれたことは目出度いことであります。

最後の争点は教育かも? 其の弐

2009-08-25 15:02:33 | 政治
■期日前投票をする有権者が多いとかで、史上空前の1000万人という票数になるとの予測もあるとか……。待たされ過ぎたと痺れを切らした人にとっては、何も逡巡(しゅんじゅん)する事も無いのでしょう。既に投票を済ませてしまた人にとっては、声を嗄らして叫び靴をすり減らして歩き回っている候補者の努力はどう見えるのでしょう?やっと蝉の音も聞こえなくなる季節だというのに、今度は大音量で本当か嘘か分からない獲らぬ狸の皮算用を聞かされるのは、きっとやかましいだけでしょうなあ。これからの数日間に、あっと驚くようなハプニングが起こって威勢よく吹いている民主党への「政権交代」を求めているらしい風がぱったりと止んだりすることはないのでしょうか?

■まあ、新型インフルエンザが大流行でもして、休校や学級閉鎖になった校舎に設置された投票所に行くようなことになるよりは、早めに混雑していない所定の窓口で投票を済ました方が安全かも知れませんが……。漏れ聞くところでは、7月24日の時点で厚労省から全国の累計患者数として5023人という数値が発表されたものの、同日中に全数把握を打ち切る決定が下されているのだそうですなあ。麻生コロコロ首相がやっと国会を解散したのが7月21日、さあ、これから集会やら立会演説会だと、無理にでも人数を動員して選挙運動を盛り上げねばならない時期に、インフルエンザの猛威に国民の目が奪われるのも困るし、何とかの一つ覚えの「握手」も嫌われるようなことにでもなれば大変だ!という本末転倒の政治判断だったとか……。

■そのくせ舛添デタガリ大臣は、5300万人分のワクチンが必要だから、他国の迷惑も顧みず危険性を指摘する声を無視して海外の製薬メーカーを相手に買占めを始めると発表したようです。こんなことをやっている現政権が、「安全と安心」を実現する責任力を旗印にしたところで、誰も本気で聞いてはくれないでしょうなあ。マニュフェストが出揃った段階で、マスコミは挙(こぞ)って政権交代が実現したら、国民生活はどうのように変化するかというシミュレーションを面白おかしく書き立てているようですが、御本家の民主党幹部が多くの項目に関して「政権を取ってから考える」と言っているのですから、読者の方も眉に唾をたっぷりつけておかねばなりますまいなあ。

■『週刊新潮』に連載エッセイ『永田町を斬る!』を書いている矢野絢也さんが、「もう騙されないぞ」という小見出しを付けて鋭い指摘をしております。曰く、「後期高齢者医療制度」「かんぽの宿」「派遣切り」などの悪政は、前回の小泉プレスリー劇場が強行した郵政解散選挙の時に自民党がばら撒いたマニュフェストには一言も書かれていない、というお話です。今回の解散総選挙に際し、自民党は厚顔無恥にも前回のマニュフェストの実行実績を絵に描いたような手前味噌解釈で塗り固めて発表したものでした。しかし、書かれてもいない奇怪な制度や法律があれよあれよと思う間に、小泉改革の金看板で強引に作られてしまったことを、国民は決して忘れないから「もう騙されないぞ」と腹を括っているのだという矢野さんの見立ては、空前の出足を見せている期日前投票の多さで立証されているようです。

■麻生コロコロ首相は自分も自民党も「ブレない」と盛んに連呼しているようですが、自分がブレ続けたことを両院議員懇談会で陳謝したことをコロリと忘れてしまっているようですから、前の選挙で使ったマニュフェストのことなど何も覚えていないのでしょうなあ。選挙民は覚えておりますぞ。「わたしが小泉改革をぶっ壊す」と一言吼えれば、ずっと分かり易いはずなのですが……。

■与野党間で互い「ばら撒き」呼ばわりし合っているマニュフェストの中に教育関連の補助だの給付だのが並んでおります。与党側としては、この種の温情あふれる少子化対策の切り札ともなり得る政策を、この土壇場になるまで発案もせず実現もしなかった現実がありますから、遅きに失して「物言えば唇寒し」の状態であります。小泉改革は国民の多くを不安に陥れ、希望を失わせたのですから、麻生コロコロ首相が自民党を売り込むために捻り出した宣伝文句は、まったく国民を馬鹿にしていることになります。ご本人はガラにもなく愚直に国民に語り続ければ理解されるとか何とか、藁にもすがりたい思いで信じ込もうとしているらしいのですが……。

最後の争点は教育かも? 其の壱

2009-08-24 15:53:00 | 政治
■スポーツ新聞にしか載らない小さな出来事が蟻の一穴になって最終的に大きな流れを逆転させることになったりするかも?すでに野党そのものになってしまった自由民主党と、最大の公約が「政権交代」などという前代未聞の政策?を旗印に奇妙な追い風に乗っている民主党との論戦など、聞けば聞くほど頭が混乱して来るだけでありますから、何か象徴的な出来事や候補者の言動が有権者が最終的な判断を下す原因になるのではないか?などと邪推してしまう週末でありましたなあ。

民主党の鳩山由紀夫代表がラストサンデーに“脇の甘さ”を見せた。……23日、東京2区の候補者を応援するため谷中を訪問。陣営を引き連れ、情緒あふれる商店街「谷中銀座」を練り歩いた。「ほかのお客さんに迷惑がかからないように」と一か所に集められた報道陣の目の前、名物のメンチカツにかぶりつくパフォーマンス。……150円の「谷中メンチ」を1個購入。背後の報道陣から「代表、こっち」と矢継ぎ早に呼びかけられ、サービスショットを披露すると「おいしい」「サイコー」とピースサインをしながら、SPと人込みにもまれて去って行った。メンチカツを売ったお店の女性によると「1000円払って、お釣りをもらわないで行っちゃった。渡そうとしたんだけど…」。……

■記事では、もしも鳩山さんが一言でも候補者への投票をお願いしていたら、公職選挙法いはんの買収に当たる可能性がある!と面白おかしく話を膨らませておりますが、「マニュフェスト選挙」と言いながら、結局は昔ながらのドブ板選挙と呼ばれる政策政見などどうでもよい名前の連呼と「よろしくお願いします」の連発が全国で繰り広げられ、記事にあるようなテレビ局が喜んで放送してくれそうな売名行為を恥も外聞も無く続けるばかりの選挙戦。いろいろ真面目に考えている無党派層の皆さんは、「お願いします」と聞くたびに投票する意欲を減退させて行くのではないでしょうか?もうすぐ、「最後のお願い」の嵐が吹き荒れるのでしょうなあ。

■さてさて、今回の鳩山さんが釣銭を受け取らずに立ち去った事件から少々強引なことは承知の上で「教育政策」を考えてみたくなりました。


……選挙関係者によると「『○○さん(候補者)をよろしくね』と言っておつりを受け取らないのは公職選挙法で禁じられた買収にあたる可能性がある。ただ、それでも数百円のレベルでは立証は厳しいですよ」……5月、月島の商店街を練り歩いた際は「メロンパンを買う」と言って自分の財布から丁寧に小銭を出し、自分で買っておいしそうに食べていた。セレブ中のセレブの割には意外と「フツー」な一面をのぞかせていたのだが…。

■無理して慣れない買い食いをして見せることで、庶民派を演出するという使い古された手を使って生まれる新しい政権に、新しい政治が望めるのかどうか、はなはだ疑問に感じますが、鳩山さんがメロンパンを食べようがメンチカツを食べようが、それは余り教育問題とは直接関係はなさそうです。勿論、「買い食いは禁止」と厳しく子供を躾けている人たちにとっては大問題でしょうし、「人前で立ち食い」などとい行儀の悪いことを子供が真似したら困るぞ!とお怒りの向きはございましょうが……。箸もまんぞくに使えない人物にあれこれ喰わせる番組があちこちテレビ局から垂れ流されているご時勢でありますからなあ。


……鳩山事務所では「(鳩山氏は)メンチカツを1000円分下さいと伝えたようだが、周囲がうるさくて店員さんに伝わらず、SPも本人を囲んでどんどん行ってしまったそうです」と釈明している。
8月24日 スポーツ報知

■教育問題に直結するのは、この事務所側の「釈明」の方ですぞ。そもそも、1箇150円のメンチカツを何箇買えば釣銭が要らない勘定になるのだ?これは小学校3年生ぐらいの生徒たちが学ぶ「余りのある割り算」の教材でありましょう。正解は6箇買って「100円のお釣りを受け取る」でなければなりません。それとも、鳩山事務所の愚か者は、混雑して忙しい店の人に150円のメンチカツを3等分させてそのうちの2切れを「100円分」として包ませようとでも考えていたのかいなあ?釣銭の要らない「1000円分」の買い物が出来ない商品だという道理が、このスタッフには分からないようです。

■最初から「安全第一のSPに急かされた」とこの際はSPに泥をかぶってもらい、事務所のスタッフがお釣りを受け取りがてら、メンチカツを「900円分」買って来ますと答えるくらいの可愛さが欲しいところ。小学校低学年レベルの算数も出来ないスタッフをかかえる政治家が、本当に増税無しの予算編成が可能なのか?

イタチごっこ 其の壱

2009-08-16 09:35:14 | チベットもの
■便利な道具ほど実は不便で時には非常に危険な物だと、IT機器を使わざるを得ない生活を送っていれば誰もが通説に感じるものであります。それがグローバル経済や国際政治のレベルで問題になると実に厄介なことになりますし、軍事関連の問題にまで発展したらエライことになります。人民の胃袋や生命のことなどそっちのけで核弾頭ミサイルの開発に国の存亡を懸けているような隣の国でも、サイバー攻撃専門部隊が陰湿な任務を命じられているとか……。

■昔、ソビエト社会主義共和国連邦という長い長い名前の大きな大きな国がありまして、米国に仕掛けられた軍拡競争に敗れ、国内は官僚システムの弊害と監視密告制度の息苦しさで経済は停滞し破綻の危機に陥ったのだそうです。そこで一挙に膿を出し切って悪弊を打破しようと、情報公開(グラスノスチ)と経済立て直し(ペレストロイカ)という思い切った政策転換をしたのだそうな。あれこれと複雑な手続きと莫大な資金を要した経済改革は遅々として進まなかった一方で、情報公開に始まる政治的解放は爆発的な勢いで広がり、世界が新生ロシアに淡い期待を持ったりもしましたなあ。

■しかし、多民族多宗教の巨大な社会主義帝国が恐怖政治のタガを外したのですから、それまで押さえ込まれていた膨大な「意見」が噴出して国家はあちこちで分裂を始めたのでした。それを隣で固唾を呑んで眺めていたチャイナは、改革開放は経済分野に限ることが肝要なのだとロシアの混乱からしっかり学びます。政治分野には指一本触れてはならないので、情報公開などは冗談にも話題にならず、経済発展には必要不可欠なIT技術でさえも、古臭い監視制度の中に飲み込もうと頑張っているのですが……。


中国政府が有害情報へのアクセス遮断などインターネット規制を強める中、米政府系機関、放送管理委員会(BBG)が、政府の監視網を逃れることを目的とした、新たな情報技術(IT)をテストしていることが15日分かった。……英字紙チャイナ・デーリーがBBGのIT部門責任者の話として報じたところによると、「FOE」と呼ばれる新技術は、暗号技術を駆使して政府のチェックを受けずにニュースや情報を閲覧してもらう仕組み。既にテスト開始から半年が経過しており、年内にも利用が可能になるという。
8月15日 時事通信

■ソ連崩壊の頃はラジオの時代でした。VOA(ヴォイス・オブ・アメリカ)の短波放送を息を潜めて多くの人々が命を懸けて聞入っていたのでした。民生レベルではラジオ時代以前のままなのに、北朝鮮では強烈な妨害電波を発射して気に入らないラジオ放送が入らないようにと攻撃に熱心で、国内に存在するラジオのチューニング・ダイヤルは固定されているそうですから、米国が開発した新兵器とは無縁でしょうから、これからも原爆一本で恐喝外交を展開するのでしょう。

■記事の中にさり気なく出て来る「暗号技術を駆使して」という箇所には注意が必要です。暗号技術に関して日本政府が世界でも珍しいほど鈍感だというのは有名な話で、いくら自民党が日米軍事同盟を喧伝しても米国側には常に日本に対する不信感があるそうで、その代表が暗号技術だという話もあるようです。この画期的な突破技術も戦闘機や各種探査装置のように肝腎な中身を封印したブラックボックス状態で買わされることになるのでしょうか?


……実用化されれば、ウイグルやチベット問題など、政治的な理由から中国当局が遮断しているサイトにも自由にアクセスできるという。同日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーが1面トップで、米政府系機関、放送管理委員会(BBG)IT(情報技術)部門責任者のケン・バーマン氏の話として報じた。
8月16日 産経新聞

■産経の記事はズバリ、チベット・ウイグル問題に関連付けて報道しており、非常に分かり易いですなあ。またぞろネット上で半官製の反日祭りでも始まったら、この道具を利用して日本からもしっかり反論できるかも知れません。


中国政府は(8月)13日、国内で販売されるパソコンを対象に、有害サイトへの接続を遮断する政府指定の“検閲ソフト”搭載を義務化するとしていた方針を、撤回した。工業情報省がこの日、記者会見で明らかにした。国際社会だけでなく国内のネットユーザーからも猛反発にあい、異例の「断念宣言」に追い込まれた格好だ。だが、専門家らは、中国当局がパソコン内部ではなく、ネット回線そのものの検閲機能を強化する動きもあるとし、警戒を強めている。

■時代錯誤も甚だしい監視ソフトを義務化させようとしたチャイナ側が「断念」を発表し、その直後に米国から金庫破りみたいな「突破技術」の存在が公表される。文字通りに日本の頭越しで情報戦が火花を散らしていたというわけですなあ。マニュフェスト祭りをしている場合ではないかも?

チャイナの寄付金 其の弐

2009-08-14 00:44:17 | チベットもの
清華大学NGO研究所の研究チームは半年以上をかけて、義援金の行方を追跡し、「総額の8割以上が中央や各地政府の財政に組み込まれた」との調査結論を発表した。各地政府が直接集めた寄付金がそのまま政府の“臨時収入”となったほか、中国赤十字、中国慈善会などの公益民間団体が集めた金も、大部分が政府に流れたという。「震災復興支援金」との名目で各地の予算に組み込まれているケースもあるが、実際の使途は不透明だという。

■このように生臭い調査を半年間も続けられたというのは不思議な話ですが、それをこの時期に公表できるというのはもっと不思議であります。チャイナにNGO組織が存在し得るかどうかは別問題として、研究したのが清華大学内のチームだということになりますが、胡錦濤政権が自分の学閥を利用して、何処かの誰かさんを追い落とすために工作したとも考えられますなあ。とは申せ、先週あたり、日本でも塩ジイこと塩川正清十郎さんが、日本の国家予算の7割は各種仲介期間がピンはねしているぞ!と某テレビ局の番組で暴露したと聞きましたぞ。

■それが本当ならば、チャイナは1割ほど現在の日本の政治システムよりも悪い、という計算になるのですが……。いっそのこと、日中友好の空騒ぎは、両国の役人OBたちに任せてしまったら、さぞや会話が弾むことでしょう。日本側が「その1割はどうやって抜くの?」と真顔で質問するかも知れませんが……。


研究チームリーダーの国栄・同大学助教授は、「震災支援で義援金を使う場合、政府では民間団体と比べて効率が悪く効果も少ないのは明らか。欧米社会では政府が予算を拠出し民間の公益団体の活動を支えているのに、中国では逆になっている」と、政府の義援金の使い方を批判した。

■この「欧米」には、きっと日本が含まれていないのでしょうなあ。非常に効率の悪いシステムを知ってか知らずか、60年余の長きに亘って育ててしまった自民党は、古ぼけた畳同様に廃棄されつつあるようです。ご本人たちは貧乏臭く「畳表だけ交換すれば大丈夫」などと言い張っているそうですが、畳がダニやカビで汚染された段階を過ぎて床板や柱、そして土台をシロアリが食い荒らしてしまったからこそ、日本の有権者は、頼りない民主党にでも縁の下に潜って貰いたくなったのでしょうなあ。もしも、本当に政権交代が実現したとしても、大仰な扮装で床下に潜ったものの、大して汚れないまま床板から顔を出して「それほどでもありません」などと間抜けな事を言わないことを願うばかりであります。


調査によると、地震直後に約300以上のボランティア団体が被災者の支援活動に参加したが、資金不足のため今はほとんどなくなった。わずかに残った団体は、いずれも深刻な資金難に陥っているという。調査結果について民政省の高官は、中国メディアの取材に対し「政府が使う寄付金の割合を統計していない」と反論する一方、「民間団体の社会的信用が低いため、義援金を政府が使っている」と“疑惑”をほぼ認めた。

■こうした話の中に、日本から派遣されたハイパー・レスキュー隊の話が一切出て来ない!という点を、次期政権を担う政治家の皆さんには、しっかり記憶しておいて欲しいものです。チャイナの言う「寄付金の割合」と、日本の各種公益法人などの団体が予算から抜き取る7割とが、どれほど違う物なのか……。この辺を民主党がズバリと指摘してくれれば、選挙結果は簡単に予測できそうであります。


政府の言い分にネットには、「政府は民間団体よりもっと信用が低い、事前に知っていたら寄付しなかった」「被災者に出した金が汚職官僚の懐に流れたと思うと悲しい」といった書き込みが殺到している。
2009年8月13日 産経ニュース

■北京政府はネット空間をも、伝統的な手法で完全に管理・統制・監視しようと大変な努力をしているようですが、そんな発想自体が時代後れだと分かって、ほぼ匙を投げてしまった状態のようです。こうした生の声として流れ出て来る「声」を、日本の新政権はしっかりと受け止め、ちゃっかり利用して欲しいものですなあ。それほど難しい話ではありません。「これまでのODA資金、あの支出明細を下さいな」の一言を伝えればよいだけです。

■実際には政府予算とは別に個人的に日中友好を進めようと「貧者の一灯」から税金節約の手段まで、さまざまな形と思惑で民間から流れた「寄付金」は莫大な額になっているはずです。勿論、日中間にヒビを入れたくない外務省や自公連立政権としては、この種のややこしい話など聞きたくもないでしょう。

■さてさて、田中角栄の秘蔵っ子として育ったクラッシャー小沢は、(利権話は別にしても)師匠に従って日中友好に努力し続けております。鳩山代表の「友愛」外交は、どこまで税金の無駄遣いを減らしてくれるのか、小泉プレスリー元首相ではありませんが、「手品」を見たくなりますなあ。
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チャイナの寄付金 其の壱

2009-08-14 00:43:46 | チベットもの
■少々、私的な雑事が重なりまして、ブログに注ぐ時間とエネルギーが間に合いませず、ご愛読下さっている皆様には小さな失望を与えてしまったかも?とは申せ、ウイグル問題に関してこれまで日本のマスコミが敢えて取り上げなかった、北京政府が長年続けて来た民族内部への対立分断工作に関する興味深い報道もありましたし、「ウイグルの母」も目出度く来日して多くのマスコミによる取材も行われたとの由。
 
■政権交代か政策選択かは知りませんが、とにかく政治家の皆さんは猛暑の中でこれまでにない忙しい毎日を送っている日本の政界でありますが、日本のマスコミの皆様には、あまり「次期総理の顔」の選択を迫るような稚拙なアンケートは控えて頂きたいなあ、と思う昨今であります。自民党総裁の麻生さんも、民主党代表の鳩山さんも、どちらも国民が選んだ総裁・代表ではありませんからなあ。自民党の内外から、誰が言ったか誰も知らないことになっている?「選挙の顔」という気味の悪い無責任な尺度で祭り上げられたのが麻生太郎さんで、一方の鳩山代表ともなりますと、変な追い風ムードに乗って民主党内のどろどろが瞬間的に乾燥したかのように、豪腕小沢の見え透いた昔ながらの多数派工作の足をすくうような泥沼にならない間にひょっこり決まったようなものですからなあ。

■互いに衆愚政治の典型であるバラ撒き政策を並べ、互いに相手の財源をつつき合っているばかり……。「畳と○○は新しい方がよい」などという下卑た成語を思い出すような世論調査の結果などが新聞紙面に踊っておりますが、もしも、本当に新旧の世代間対決ならば、話はもっともっと面白く盛り上がるはずです。元ベテラン政治記者変じてテレビのバラエティ芸人になってしまったような人達は、不思議なくらいに「誰も彼も皆そろって田中角栄学校の生徒だった」とは言わないようです。

■麻生VS鳩山の公示前党首討論がインターネットのみで生中継されるという、一体、何処の国の話なのだ?と驚くような非民主的な出来事がありましたが、その奇怪な討論の中では、どうやら日本の外交政策というのは対米政策とまったくの同意語になっているという悲しくも恐ろしい事実を両者ともに認めていることが、本日の新聞各紙が再現してくれた討論の様子から分かります。麻生コロコロ首相としては、自分よりもコロコロと発言が変わるようにも見える民主党代表をねちねちと虐めるには格好の材料なのでしょうが、どれほど政治思想が違っていようと、アメリカに喧嘩を売るぞ!と公約に掲げる政党はありませんから、重箱の隅をつつき合うような対米政策議論などは止めた方がよいでしょうなあ。

■対米追従か、平等な日米関係か、そんな言葉の遊びをするのなら、煎じ詰めて日本から眺める米国の向こうには常に欧州が見えていたのに、このところは状況が変わりまして、太平洋の東のアメリカの背後には、何と日本の西に位置するチャイナがある!という昔のニクソン政権時代のような困った情勢になっております。従って、選挙用に外交政策を討議するのなら、最初から答えが分かっている対米政策ではなく、対チャイナ政策を俎上に載せるべきなのでしょうなあ。


約8万7千人の死者・行方不明者を出した昨年5月の四川大地震で、中国史上最高額といわれる約767億元(約1兆600億円、中国民政省統計)の義援金が国内外から集まった。しかし、この大金が誰によってどう使われたのか、当局による説明はほとんどない。大学の研究チームが最近、「義援金の約8割が政府の臨時収入となった」との調査結果を発表したことが波紋を広げており、「強盗に遭った気分だ」などと反発する市民も少なくない。

■これはネットの産経ニュースなのですが、まるでチャイナの寄付活動には問題が無いことを前提にしているかのような書き出しに驚きました。でも、心を落ち着けて後の内容を読みますと、良い意味でも(意地の)悪い意味でも客観報道に徹して?書かれたものだと分かりました。因みに四川省を襲った「パンダ地震」は北京五輪大会の直前に発生したのでした。


「南京市のホームレスが手持ちの小銭をすべて街頭の募金箱に入れた」「河南省の老教師が長年ためた金を赤十字の口座に振り込んだ」。地震直後、こうした美談が連日メディアに報じられ、多くの人を感動させた。中国各地では募金活動が盛んとなり、義援金を送るために長蛇の列ができる銀行もあった。しかし、募金を受け付けた公的、民間機関はその後、使い道についての説明をほとんどしておらず、寄付をした人々の多くは自分のお金が実際に被災者に使われたのかに疑問を抱いているという。

■本当に「疑問を抱いている」のなら、この人達は義捐金や寄付金を生まれて初めて拠出したのではないかと想像されます。その点では小平以来の経済成長政策が実を結んで、他人の災難・不幸に同情できる多少の余裕が生まれている可能性もありますが……。

捻れる日本 其の四

2009-08-03 06:46:28 | 社会問題・事件
6月の完全失業率が5・4%と過去最悪(5・5%)に迫る中、実際の雇用情勢は数字よりもはるかに深刻だという声が高まっている。解雇せずに一時休業などで雇用を維持する企業に国が給付する雇用調整助成金で、“隠れ失業者”の顕在化を何とか食い止めているためだ。助成金申請者は6月で約238万人に達し、これを含めると単純計算で失業率は8・8%に跳ね上がる。衆院選でも雇用政策が大きな争点となりそうだ。

■年金制度を勝手にいじくって改竄した担当者が懲戒処分になったのは昨日の話。小泉元首相が民間の保険会社から引き抜いて社保庁長官に任命した某氏が、民間企業でしか通じない「数字を上げろ」と大号令を掛けたのが大間違いで、民間企業なら背任か詐欺に問われ兼ねない数値の改竄を大真面目に行った者があちこちに現われたのでした。「民間で出来ることは民間へ」というのが小泉改革の柱だったのですから、最初から社会保険庁を解体して民間会社に業務を委託か移管させてしまえば良かったものを……。

■でも、政治家が嫌う数字を隠したり粉飾したりするのも宮仕えの大事な役目ですから、「日本の人口はもうすぐ増えます!」などというトンデモない予測数値を政府に献上していたこともありましたし、毎年公表される交通事故による死亡者数も国際基準とは違う基準で算出されているとも聞きますし、先の戦争で散々行われた統計数字の改竄は既に日本の行政機関では習い性になってしまっているのかも知れませんなあ。それでは政治討論の材料には使えないという道理で、経済指標が怪しげな裏工作で水膨れしているようでは先進国仲間からも白い目で見られそうですが、既に強欲な海外資本は日本を飛び越えてチャイナへと集中しているそうですから、日本政府がどれほどええ加減な統計資料を出したところで、ああだこうだと騒ぐ金持ち連中などとうの昔に消えてしまっているのかも?


厚生労働省が集計した月ごとの申請状況によると、6月の対象者は前年同月の1774人に比べ1300倍超に激増。昨秋の米国発の金融危機以降の景気の急降下に加え、経済対策で適用条件が大幅に緩和されたためだ。助成金がなければ、解雇されていた可能性があり、経済専門家の間では「隠れ失業者」と位置づける考えが広がっている。

■世界で唯一成功した社会主義経済システムとも言われた日本の官僚機構は、満洲帝国の幻の上に建っていたようなもので、満洲の御利益?が消えてしまえば支えを失った木偶人形か、糸が切れた風船玉みたいなもので、戦勝国の米国という世界最大の市場を目指して安くて良い物を作っては輸出して敗戦の廃墟からの復興を果たしたのは、何を今さらとも思えるテレビドラマ『官僚たちの夏』がちょっとした話題になるくらいに狂おしくも懐かしい遠い思い出となっております。昭和30年代を異様に懐かしんでいる暇など、本当は今の日本には無いはずなのですが……。

■「もはや戦後ではない」と経済白書が謳い上げてからは、日本国内では赤字国債の山を築きながらも米国の赤字をせっせと埋めて輸出産業を保護していれば良かった時代がありました。でも、そんな無理をいつまでも重ねていたらエライことになるという事は、優秀な官僚たちは知っていたのです。オラが村(町)のエライ先生が何処かから分捕って来て下さったカネで橋だの道路だのを造って下さり、冠婚葬祭や祭りや運動会にも欠かさず顔を出してくれてパチパチ拍手している内に、どうしたわけか人口はどんどん減って田畑は荒れ、子供の姿が見えなくなって小中学校が無くなり、バスが来なくなったかと思えば郵便局も消え、最近では頼りの病院まで無くなってしまったそうな。

■選挙の度に「地域の繁栄」「便利な暮らし」「安心な生活」「豊かで幸福な老後」を公約していたエライ先生に投票し続けていたのに、一体、どうしてしまったのでしょう?そう言えば見棄てられた道も通らない荒地に突如として「簡保の宿」やら「グリーンピア」が建ち、一時は地元の土建屋さんがお祭騒ぎをしていたようですが、あっと言う間に従業員以外の人陰も消え、気が付いたら廃墟になっていたりもしましたなあ。頭のよい役人が計算してくれた来客予測なる数値は全部ウソだったし、農協から聞かされる薔薇色の未来図も絵に描いた餅だったと気が付いた頃には、食糧や日用品を買う場所も無くなって文字通りの「陸の孤島」になってしまった故郷には、竹下内閣時代に配られた「ふるさと創成基金」で作った馬鹿馬鹿しいハコモノが悲しげに建っていたりしますなあ。

■でも、世界で一番強いアメリカに継ぐ世界第二位の経済大国だそうですから、きっと都会では札束の雨が降っているのだろうと、大事な息子や娘を送り出して安心していたら……。


……6月の完全失業者数(季節調整前)は約348万人。助成金の申請者数には一時休業や職業訓練の重複があるが、単純に合計すると約586万人となる。失業率として計算すると、8・8%に達し、米国の6月の9・5%に迫る高水準となる。日本で失業率が過去最悪となった平成14、15年に比べ、現在は適用条件の緩和によってより多くの失業が食い止められており、日本総合研究所の山田久主任研究員は「実態はすでに史上最悪を超えている」と指摘する。

■先の戦争で旗色が悪くなった時、軍事官僚は必死になって統計数値を書き換えて、大日本帝国の国力はまだまだ大きいのだ!と大嘘をつき続けておりましたし、いざ終戦となったら今度は物資も食糧も払底して間も無く大量の餓死者が出るぞ!と逆の大嘘を並べて見せたのでした。GHQの親玉マッカーサーも、ほとほと困ってしまって時の吉田茂首相に泣き付いて説明を求めたそうですなあ。ワンマン吉田は少しも慌てず、役人が出す統計数値が正確だったら日本は戦争に負けなんだ!と恐ろしいブラック・ジョークで返答したのだとか……。


失業率の数値が実態とかけ離れていると、政策対応を誤る原因にもなり、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「失業率の過小評価は経済政策の立案にマイナスになる」と警鐘を鳴らす。……助成金の原資は企業と従業員が折半で払う雇用保険料だが、実質的に国の税金も投入されており、救済を続けるコストは重い。「中小企業では人件費の穴埋めに使うことが多い」(地方銀行幹部)と、“流用”を指摘する声もある。

■何だ、財源は「私の仕事館」と同じなんだ、などと笑ってはいられませんぞ。リーマンショックは「蜂に刺された程度」などとトンデモない事を言っている政治家が政策通と呼ばれているようでは、日本経済の「底」が何処に有るのかなど分かったものではありません。経済危機を乗り切るために15兆円を緊急に投入したから大丈夫だ!と麻生コロコロ首相は選挙演説をしているそうですが、本当に大丈夫なのか?と聴衆は首を傾げているでしょう。


過度の公的支援は、経済の構造改革や効率化を阻害する要因にもなり、日本総研の山田氏は「衰退事業、産業を延命させては本末転倒だ。雇用の受け皿となる成長産業への転換を促さないと、成長シナリオは描けない」と指摘する。助成金制度のさらなる拡充など安全網の整備にとどまらず、環境などの新規産業の育成に加え、人手不足感が強い福祉や農業分野などに労働力を供給するミスマッチ解消が急務だ。雇用をどう守り、創出していくのか。各党は政権選択を問う総選挙で、はっきりと示すことが求められている。……
8月2日 産経新聞

■景気が底を打ったような話もちらほら聞かれるようになりましたが、現状維持の延命策で既存の支持を繋ぎとめている間に、日本は巨大な既得権益の重さに耐えかねて沈没してしまうという事でしょう。政権与党が選挙に勝ち続ける最大の武器としていたのが補助金で、それを何だかんだと怪しげな名目を付けて自分の選挙区に引っ張って来るのが有能な政治家だと誰もが信じていたからこそ、800兆円もの借金が積み上がったのであります。有る時払いの催促なし、最後は何処かの誰かさんが支払った税金で穴埋めすればよいという実に無責任な借金なので、なかなか減らせるものではありません。この30年ほどは赤字国債を積み上げることで自民党政権が生き延びて来たのだなあ、と改めて考えさせられる統計数値のトリックに関する怖い話であります。


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