■第一次石油ショックの時に起こったトイレット・ペーパー騒動を考えれば、為政者が気楽にあれこれ買えだの買うなだのと言うべきではないだろうに、と思っていたら町中の薬局やドラッグ・ストアからマスクが消えてしまいました。正確な情報を提供出来ないまま真意不明の「冷静に対応」を言いだけの舛添クチダケ厚労相には困ったものであります。高病原性鳥インフルエンザを想定したマニュアルしか用意していない政府の責任なのでしょうが、何がどうなるのか誰にも分からない段階で「季節性インフルエンザのワクチン製造を減らして新型を……」などと口走ったのを皮切りに、鶏を裂くのに牛刀を振り回すような実態を無視した発表が多過ぎるようです。
■欧米では早々に新型ウイルスは弱毒性だという事実を踏まえて冷静な対処を行っているというのに、日本だけが大規模な社会生活の制約に踏み切ってしまいそうだったので、関西の地方自治体では先手を打って直談判に及びました。社会の機能が完全に麻痺するような命令を出して「転ばぬ先の杖」などと正当化するわけには行きません。感染者の数を発表する時に決まり文句のように挟み込まれる「マスク、うがい、手洗い」という要請も、マスクはワクチンと同様の製造物だという当たり前の前提を忘れているとエライことになります。
■買い物客の一部でも、通常の購買行動の質を変えただけで店先の品物は姿を消します。生産・物流・在庫の流れは急には変えられないのですから、日頃マスクを使用していない人達の購買行動が変わるに違いない「マスク着用」指示を厚労相という最高責任者が口にするのなら、生産状況と在庫の実態を先に調べておくべきでしょう。それにマスク着用自体に専門家の間では議論が分かれているという話もあります。短期語学留学先のカナダで感染した高校生たちは、母校から急送されたマスクを着用しなかったのも、現地では誰もマスクを使っていなかったからでした。
■欧米には日常生活でのマスク着用は逆効果だという有力な意見があるそうです。飛沫を抑止する効果は認めるものの、マスク自体が感染源になる危険性の方が高いという主張です。あちらではクシャミや鼻水にはハンカチを使う習慣がありますから、マスクは純粋に医療用で病院内でしか使われないのでしょう。
新型インフルエンザの感染拡大を受け、各地の薬局、ドラッグストアなどでマスクの品薄状態が続くなか、インターネットオークションで、マスクの値段が急騰している。薬局などで購入できなかった消費者が殺到しているとみられ、なかには元値から10倍に跳ね上がった商品もでているが、厚生労働省は「冷静に対応してほしい」と呼びかけている。
■某日、近くのドラッグ・ストアに立ち寄った時のこと、足の悪い御高齢の方がマスクは品切れと聞いて「入荷はいつになる?」と熱心に、いささか感情的になって店員さんに詰め寄っていました。持病がある高齢者は季節性インフルエンザでも深刻なダメージを受けるのですから、得体の知れない新型ウイルスが大流行するぞ!と厚労相が蒼褪めた表情で公言しているのですから、精一杯の予防対応を取りたいと思うのは人情です。
■痛い足でもマスクを買おうとやって来る人の姿を見て、本当に大流行が起こったら、マスクや薬品を求めて町中の薬品店がパニック状態になりそうな予感がしましたぞ。中には感染者もいるでしょうから、予防目的で来店して感染するのでは救いがありません。
インターネットのオークションサイトでは、新型インフルエンザ予防に効果があるとされる医療用マスクの人気が急上昇。50枚入りで1200円程度の商品に、1万4000円の値がついたケースもあった。……大阪市の女性(25)は「お店では品切れのところが多くて困っている。神戸に住む親類からもマスクを送ってほしいと頼まれており、インターネットなら外出をせず購入できると思ったがこの値段には驚いた」と話していた。
■オークションですから買い手が値段をつけているのでしょうが、中には「転売」目的で買い漁っている不心得者もいるかも?地元の店先が品切れならばネットで購入しようと思うのは当然です。「品切れ」と聞いただけで不要な不安が広がって行くかも知れません。マスク着用の効果に疑問があると思っている人でも、何となくマスクが無いと心細くなってしまうかも?ある医師はラジオ番組の取材に答えて「マスク着用は感染予防の心構えを強化する」点で効果があると言っていましたから、単なる飛沫予防以外にもいろいろな効用がありそうです。
大手薬局チェーンの担当者によると、関西地区のほか、首都圏などでもマスクは品薄状態になっているというが、チェーン全体ではまだ在庫があるといい、現在は本部の在庫を順次、各店に振り分けているところだという。……メーカーも大量増産をはじめており、神戸市に本社を置く「メディコム・ジャパン」は「通常の20~30倍の注文が医療機関やドラッグストアから殺到しており、増産にあたっているところ」としていた。
■増産を始めるのが遅過ぎるような気がしますが、小泉改革以来の新自由経済の原理が今でも生きているのでしょうか?メーカーに増産を依頼して在庫が増えた段階で厚労相は「マスク着用」を呼び掛けるべきだったのではないでしょうか?マスク泥棒やらマスク取り込み詐欺などが頻発したらどうするのでしょう?
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部の担当者は「メーカーには関西地区を中心に在庫を流通させるように要請しており、まもなく、消費者に行き渡ると考えている。消費者の方には冷静に対応してほしい」と話していた。
2009年5月20日 産経ニュース
■「水際作戦」が呆気なく破綻しているのですから、大阪・兵庫に感染を封じ込めることなど不可能でしょう。関西にマスクを集中させてしまったら次に集団感染が起こる別の地域がパニックになりそうです。こうなったら厚労相の指示など無視して、小さなビニル袋にハンカチを入れて持ち歩き、人混みでは鼻と口を抑えて自分のクシャミの飛沫も押さえ込み、1日に2枚か3枚のハンカチを使うようにするべきかも?こまめに石鹸・流水で手洗いし、ハンカチもこまめに洗濯をする方が、マスクの品切れパニックに巻き込まれるよりも精神衛生上も良さそうです。
■舛添厚労相が安請け合いしていた切り札のワクチンは、予定より1箇月半も遅れることが判明したそうです。分割するより厚労省をもっと役に立つ役所に改良して欲しいですなあ。
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■欧米では早々に新型ウイルスは弱毒性だという事実を踏まえて冷静な対処を行っているというのに、日本だけが大規模な社会生活の制約に踏み切ってしまいそうだったので、関西の地方自治体では先手を打って直談判に及びました。社会の機能が完全に麻痺するような命令を出して「転ばぬ先の杖」などと正当化するわけには行きません。感染者の数を発表する時に決まり文句のように挟み込まれる「マスク、うがい、手洗い」という要請も、マスクはワクチンと同様の製造物だという当たり前の前提を忘れているとエライことになります。
■買い物客の一部でも、通常の購買行動の質を変えただけで店先の品物は姿を消します。生産・物流・在庫の流れは急には変えられないのですから、日頃マスクを使用していない人達の購買行動が変わるに違いない「マスク着用」指示を厚労相という最高責任者が口にするのなら、生産状況と在庫の実態を先に調べておくべきでしょう。それにマスク着用自体に専門家の間では議論が分かれているという話もあります。短期語学留学先のカナダで感染した高校生たちは、母校から急送されたマスクを着用しなかったのも、現地では誰もマスクを使っていなかったからでした。
■欧米には日常生活でのマスク着用は逆効果だという有力な意見があるそうです。飛沫を抑止する効果は認めるものの、マスク自体が感染源になる危険性の方が高いという主張です。あちらではクシャミや鼻水にはハンカチを使う習慣がありますから、マスクは純粋に医療用で病院内でしか使われないのでしょう。
新型インフルエンザの感染拡大を受け、各地の薬局、ドラッグストアなどでマスクの品薄状態が続くなか、インターネットオークションで、マスクの値段が急騰している。薬局などで購入できなかった消費者が殺到しているとみられ、なかには元値から10倍に跳ね上がった商品もでているが、厚生労働省は「冷静に対応してほしい」と呼びかけている。
■某日、近くのドラッグ・ストアに立ち寄った時のこと、足の悪い御高齢の方がマスクは品切れと聞いて「入荷はいつになる?」と熱心に、いささか感情的になって店員さんに詰め寄っていました。持病がある高齢者は季節性インフルエンザでも深刻なダメージを受けるのですから、得体の知れない新型ウイルスが大流行するぞ!と厚労相が蒼褪めた表情で公言しているのですから、精一杯の予防対応を取りたいと思うのは人情です。
■痛い足でもマスクを買おうとやって来る人の姿を見て、本当に大流行が起こったら、マスクや薬品を求めて町中の薬品店がパニック状態になりそうな予感がしましたぞ。中には感染者もいるでしょうから、予防目的で来店して感染するのでは救いがありません。
インターネットのオークションサイトでは、新型インフルエンザ予防に効果があるとされる医療用マスクの人気が急上昇。50枚入りで1200円程度の商品に、1万4000円の値がついたケースもあった。……大阪市の女性(25)は「お店では品切れのところが多くて困っている。神戸に住む親類からもマスクを送ってほしいと頼まれており、インターネットなら外出をせず購入できると思ったがこの値段には驚いた」と話していた。
■オークションですから買い手が値段をつけているのでしょうが、中には「転売」目的で買い漁っている不心得者もいるかも?地元の店先が品切れならばネットで購入しようと思うのは当然です。「品切れ」と聞いただけで不要な不安が広がって行くかも知れません。マスク着用の効果に疑問があると思っている人でも、何となくマスクが無いと心細くなってしまうかも?ある医師はラジオ番組の取材に答えて「マスク着用は感染予防の心構えを強化する」点で効果があると言っていましたから、単なる飛沫予防以外にもいろいろな効用がありそうです。
大手薬局チェーンの担当者によると、関西地区のほか、首都圏などでもマスクは品薄状態になっているというが、チェーン全体ではまだ在庫があるといい、現在は本部の在庫を順次、各店に振り分けているところだという。……メーカーも大量増産をはじめており、神戸市に本社を置く「メディコム・ジャパン」は「通常の20~30倍の注文が医療機関やドラッグストアから殺到しており、増産にあたっているところ」としていた。
■増産を始めるのが遅過ぎるような気がしますが、小泉改革以来の新自由経済の原理が今でも生きているのでしょうか?メーカーに増産を依頼して在庫が増えた段階で厚労相は「マスク着用」を呼び掛けるべきだったのではないでしょうか?マスク泥棒やらマスク取り込み詐欺などが頻発したらどうするのでしょう?
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部の担当者は「メーカーには関西地区を中心に在庫を流通させるように要請しており、まもなく、消費者に行き渡ると考えている。消費者の方には冷静に対応してほしい」と話していた。
2009年5月20日 産経ニュース
■「水際作戦」が呆気なく破綻しているのですから、大阪・兵庫に感染を封じ込めることなど不可能でしょう。関西にマスクを集中させてしまったら次に集団感染が起こる別の地域がパニックになりそうです。こうなったら厚労相の指示など無視して、小さなビニル袋にハンカチを入れて持ち歩き、人混みでは鼻と口を抑えて自分のクシャミの飛沫も押さえ込み、1日に2枚か3枚のハンカチを使うようにするべきかも?こまめに石鹸・流水で手洗いし、ハンカチもこまめに洗濯をする方が、マスクの品切れパニックに巻き込まれるよりも精神衛生上も良さそうです。
■舛添厚労相が安請け合いしていた切り札のワクチンは、予定より1箇月半も遅れることが判明したそうです。分割するより厚労省をもっと役に立つ役所に改良して欲しいですなあ。
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