旅限無(りょげむ)

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北京五輪の内と外 その八拾四

2008-03-31 17:30:20 | チベットもの
■採火地のアテネを飛び立つ時にも強烈な「見送り」を受けた五輪聖火が、わざわざ内部を改造した特別機に乗って無事に?北京空港に到着。厳戒体制の天安門に用意された盛大な「歓迎」セレモニーが賑々しく挙行されるのだそうですが、ギャラリーは公安と武装警察ばかりとか……。物々しい警戒の中で踊ったり唄ったりさせられる人達はどんな気持ちなのでしょう?道路特定財源で製作された『道普請』ミュージカルの舞台で恥ずかしい歌を唄って踊らされた某劇団よりも、後々、苦い苦い思い出になるかも?とは言っても採用されて練習を重ねていた頃には名誉な仕事だと思っていたのでしょうから、今更、ボイコットするわけには行かないでしょうなあ。

■そのボイコットですが、EUの寄り合い会議でも開会式に参加する国と欠席する国とに分かれて、チャイナの国営メディアは完全無視を決め込む一方で、北京政府は不快の念を絶叫しているとか……。政治的駆け引きには多くの理由と要素と思惑が絡みついているので、現段階でまとまった意見が出るはずもありません。問題は参加予定のアスリート達が昔のような国家の威信を一身に背負い、国家の命令一下、忠誠心の権化となって模範的な国民を演じなくても良くなっている御時勢ですから、チベット問題に限らず、いろいろチャイナ問題を理由に出場自粛を個人の良心に従って決断するケースがどれほどの数になるのか?という事になります。

■仮に、イチコロ餃子の被害者が五輪参加選手の親族だったとしたら、その選手は家庭の事情と私情を押し殺して大会に赴くのか?などと考えてはみましたが、実は大規模なスポーツ大会ともなると、選手以外にも驚くほど多くの重要な役割を担っている人々が居ることを失念していたのを思い知らされましたぞ。


1996年アトランタから2004年アテネまで、日本が3大会連続で金銀銅メダルを独占してきた五輪種目がある。陸上男子砲丸投げ。といっても選手の話ではない。メダルを獲得した選手の砲丸が、ことごとく日本の、それも小さな町工場で作られているのだ。北京でも当然、日本製「魔法の砲丸」のメダル独占は確実…のはずだった。

■マラソンなどの陸上競技ではオーダーメイドの靴が話題になりますが、砲丸投げの砲丸にも秘められた歴史と神話が存在するのですなあ。


埼玉県富士見市。有限会社辻谷工業は東京近郊の小さな商店街の一画にある。2階建ての1階が工場、上は自宅。旋盤のハンドルを握り、黙々と砲丸を削っていた辻谷政久さん(75)があっさりと言った。
「北京はやめました」
04年8月、サッカーのアジアカップが中国・重慶で開かれた際、現地サポーターが見せた日本に対するむき出しの憎悪。それが辻谷さんには気がかりだった。悩みに悩んだ末、4大会連続メダル独占の偉業を断念し、砲丸の卸先の運動具メーカーに北京五輪用は作らないと伝えた。去年の11月のことだ。

■当時、日本のメディアは無礼で無作法で恥ずかしいチャイナの観客に対して、どこか腰が引けた報道をしていたような印象が有りました。北京政府が得意としている「一部の悪い奴」理論を流用したような日中友好話に持ち込んで、ちょっと卑屈な困り顔をして見せて御仕舞いだったような……。でも、スポーツの最先端に直接関わっているプロ中のプロ、高貴な職人さんの目と心は敏感に反応していたのですなあ。イチコロ餃子殺人未遂事件やチベット騒乱が起こる前に、北京五輪の怪しさと危うさとウソ臭さを見抜き、「君子危うきに近寄らず」の選択をしたというわけです。


「砲丸は私の分身です。とても中国には出せない。大事に使ってくれる選手には申し訳ないが、職人としての意地があります」
五輪の砲丸は、審査を経て認められた数社の製品が公式球となり、選手は競技場でその中から使用球を選ぶ。アテネでは、決勝に残った8選手中7人が辻谷さんの砲丸を選択した。他の砲丸はインド製がかろうじて4位に入っただけだ。世界のトップ選手が「1~2メートルは記録が伸びる」と評価する「魔法の砲丸」の辞退で、北京五輪の優勝記録が少なくとも1メートルは短くなるとの予測もある。

■既に開催を決定したIOC自身が、「好記録は望めない」と寂しい予測を公表しているのですから、そこに砲丸投げ競技がダメ押しの凡戦になるというだけの話です。でも、長年、世界のアスリートに信頼された職人さんに参加を拒否されたというのは大変な事であります!


……砲丸は鋳物の素材を旋盤で削って作る。男子用の基準は重さ7・26キロ。それより軽いものは認められない。誤差は+25グラムまで。外国メーカーはコンピューター制御のNC旋盤という機械を使い、基準の重さで球体に近づけていく。……鋳物には鉄だけでなく、青銅や銅、その他の不純物が混じり、冷却時に残る空気のムラもある。完璧な球体だと重心が真ん中から大きく外れてしまうのだ。辻谷さんが使う汎用旋盤はハンドルで前後左右に刃を移動させながら削る。最先端のNC旋盤より手動のローテク旋盤が優れているのは、比重のムラを見極め、右側の半球を薄めに、左は少し厚く…といった応用が利くことだ。……
3月31日 産経新聞

■NC方式の旋盤や金型機械ならばパクるのは簡単でしょうが、本物の職人技は研修生や就学生には習得出来ないのでしょう。やはり、弟子入りして5年も10年も「修行」しなければ一人前にはなれない!職人さんにも五輪大会での記録は大いなる名誉となるでしょうに、辻谷名人はそんな物よりも大切な「意地」が有る!最近では「名誉」という包み紙の中に札束がぎっしり入っているような事も多いようですが、「意地」は砲丸のように中身がぎっしり詰まっていて、余分な物は紛れ込まないのかも知れませんなあ。

■こういう話がぽろぽろと出始めたら、大手スポーツ用品メーカーなどは困るでしょうなあ。もしかしたら、「北京五輪に参加しなかった」というブランドが生まれるかも?

北京五輪の内と外 その八拾参

2008-03-30 16:50:25 | チベットもの
■チベット人の「ナイフ」よりも、チャイナの包丁の方がずっと恐ろしい!というニュースを発見しました。観光に訪れる皆さんは、よくよく御用心、御用心。

湖南省湘潭市で約1カ月前に開店したレストランが生きた猫を煮てスープにした料理を提供していたことが分かり、波紋が広がっている。26日付で三湘都市報が伝えた。

■最近、日本で「猫鍋」が話題になりましたが、内容を知った旅限無としては「鍋猫」と呼ばないと、「猫肉料理と誤解されないかなあ?」と疑問を抱いたのでした。日本の「鍋猫」は土鍋の中で昼寝するのが好きな猫たちの事で、土鍋で猫肉を煮込んで食べる人の話ではないのですからなあ。


ある男性読者がもたらした情報によると、同レストランは看板に「特製の猫肉あります」と表示。興味を抱いた男性は入店し、店側から「生きた猫を熱湯で煮たスープがある。1キロ当たり38元だ」と案内された。そこで男性は「猫料理」を注文したが、間もなく厨房から猫の鳴き声が聞こえ始めた。不審に思った男性がのぞいてみると、コックが棒で猫を叩いていた。悲惨な光景を目にした男性は直ちに店をあとにした。

■「四本足なら机以外、空飛ぶ物なら飛行機以外」何でも食べると豪語?する逞しい食文化を持つお国柄ですから、何を食べようと「内政干渉」する気もありませんが、猫好きの方が知ったら、それだけで「北京五輪ボイコット!」運動が盛り上がりそうな話ではあります。


三湘都市報などの報道によって「動物虐待だ」との批判が集中。これを受けて同レストランの店主は「猫料理」の提供を中止した。長沙市小動物保護協会の関係者は「開店直後から野良猫が激減した」と話しており、同レストランが材料として野良猫を使っていた可能性もある。

■「激減」というからには、相当数の注文が有ったのでしょうなあ。魯迅の『狂人日記』を引用するまでもなく、「二本足なら鶏も人間も……」の歴史が確かに有った国でもありますから、猫が虐待された事自体は大した問題ではないようです。


地元当局の関係者は「野良猫は捨てられた残飯やネズミなどを食べており、感染症にかかっている可能性が高い」と警告している。
3月27日 サーチナ・中国情報局

■健康のために「猫を食べるな!」という、有り難い地元当局からの御達しであります。さてさて、北京五輪の選手村では、一体、どんな食材が提供されるのでしょう?蛇足ながら、日本柔道界で最強の伝説を持つ三船十段という方は、少年の頃に「猫のような動き」をして絶対に投げられない柔道家になろうと、通学していた母校の用務員さんが可愛がっていた飼い猫を食べてしまったという武勇伝?が実しやかに言い伝えられているとか……。その後、それを真似した柔道選手の話は聞きません。
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)
魯 迅
岩波書店

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北京五輪の内と外 その八拾弐

2008-03-30 16:49:56 | チベットもの
■本当に、誰かが北京政府に「もう、ええ加減にしなさい!」と親切に教えてあげた方が良さそうです。聞く耳を持っているかどうかは兎も角、打つ手の全部が全部、一つ残らず逆効果にしかならなくなっているのですから、その事実を何処の国の政治家でも分かっているはずです。勿論、救いようの無い国の変な厳守は「暴動鎮圧」「異分子排除」「反対意見封殺」を断固として指示せざるを得ないような悪行を重ねている我が身を庇う元首も散見されはしますが……。

■マスコミの揚げ足取りや的外れな質問にも耐え、反対派の悪口雑言や意図的な曲解による挑発にも乗らずに我慢する民主主義国家の元首なら、今の北京政府が続けている愚かな対応策は即刻止めさせる義務が有ると思います。相手は「内政干渉だ!」と毎度お馴染みの頑なな返事をするでしょうが、そこはぐっと堪えて助言をし続けないと、このまま国際問題に発展し続けると、五輪大会に参加するかしないかの問題を越えて、チベット問題→人権問題→宗教問題→共産党問題へとエスカレートしたら、現体制を崩壊させてまで五輪大会を開催したいとは金輪際思わない北京政府は形振り構わぬ強硬手段に出る危険が有りそうで心配です。


新華社電によると、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県の当局者は29日、同県内のチベット仏教寺院から30丁の銃と498発の銃弾、4キロの爆発物などを押収したことを明らかにした。アバ県では16日に暴動が発生。インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターは28日、同県で治安部隊がチベット仏教寺院を捜索し、僧侶ら百人以上を拘束したと発表していた。

■銃の数が妙に切れのよい30丁なのに対し、銃弾が「498発」という変に生々しい数になっているのが意味深です。100発単位で入手して、欠けている2発は「試射」したというストーリーになっているのかも?まさか、既に発砲事件が起こって犠牲者が出ているという無茶な話までは作らないとは思いますが……。念の入ったことに「爆発物」まで応酬されるとは!応酬された武器の詳しいデータが有りませんが、アフガニスタンや中東、アフリカなどの物騒な地域でベストセラーになっているメイド・イン・チャイナの製品なのでしょうか?

■草原の真ん中にぽつんと建っている小さなお寺で修行に励んでいる1人の老僧が、ある日突然拘束されて行方が分からなくなる。数年後に開かれた裁判に引き出された時に信者達が無事を確認して安心したかと思えば、逮捕容疑が「爆発物」の製造と秘匿だったと知って茫然!経典と僅かな仏具と仏像以外は何も無い小さな寺が、いつの間にやらテロリストの武器製造工場になっていたと当局の調査で分かったのだとか……。本当に爆発物を密造してテロを計画していたのなら極刑間違いなしなのに、何故か党のお慈悲を以って釈放されて即刻入院。数年間の取調べを受けた老僧の体は限界に近づいていたのだった。……そんな話がいくらでも転がっている場所があるのです。

■また、陸でも海でも領土を拡張するためには手段を選ばず、強引に国境領海を審判して入り込み、考古学の「神の手」ならぬ奇跡が起こって漢代や宋代の古銭や陶磁器を発掘して「歴史的に自国の領土だ!」と一方的に宣言してしまう。そういう長い長い歴史を持つと称する国も有るそうな……。そんな国なら厳しく不殺生戒を守って修行する場から銃器や弾薬を見つけ出すくらいは簡単な事でしょうなあ。


当局側の説明は捜索の正当性を主張する狙いがあるとみられる。当局は銃などのほか大量のナイフや衛星電話、ファクスなどを押収。僧侶の寝室からは「チベット独立」と書かれた横断幕も見つかったとしている。(北京共同)
毎日新聞 2008年3月30日

■麦焦がしとバターとお茶だけでは栄養が不足してしまう半農半牧の食文化の中で、家畜の肉を修行を続けるための「薬」として食す地域なら、箸と同じ機能を果たす「ナイフ」が大量に見つかるのは当たり前の話!豊富な魚介類に恵まれた食文化を持つ国に行って、切れ味抜群の刺身包丁を発見して大騒ぎするのは変でしょうに!?感謝祭で七面鳥をさばく米国伝統のバカでかいナイフとフォークも、凶悪犯罪の武器と同じ物なのでしょうか?お坊さんは電話もファクスも使っては行けないのでしょうか?動かぬ証拠として応酬した「横断幕」だけは、百歩譲って「本物」かも知れません。

■でも、もしもお坊さんの寺房から、「解放に熱烈感謝!」「共産党万歳!」「胡錦濤は偉大也!」などという「横断幕」が発見されたら、そっちの方が余ほど気味が悪くはないですかな?それこそ「陰謀の証拠」になるかも知れませんぞ。因みに、「共産党は我らの父母です」というチベット語の例文は、旅限無が使ったチベット語の入門教材に掲載されていたのは本当の話。

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北京五輪の内と外 その八拾壱

2008-03-30 16:49:00 | チベットもの
インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット亡命政府は29日、中国チベット自治区ラサで現地時間同日午後2時ごろ、数千人規模のデモが発生したと発表した。14日の暴動が中国当局に鎮圧されて以来、ラサでの大規模デモが伝えられたのは初めて。……デモはラサ中心部にあるラモチェ寺前のほか、近くのジョカン寺(大昭寺)前などでも行われ、数千人が参加した。中国当局は装甲車両や戦車を投入してデモを強制的に阻止したという。 
3月30日 時事通信

■「沈静化」「通常の市民生活」「外国メディアの取材」……一連のシナリオがすべて逆効果になっている事が証明されつつあるようです。何故か今度は「暴動」「略奪」「放火」「殺傷」ではなく、「デモ」と「阻止」になっているようです。ガンジーへの祈りが通じたのか?ダライ・ラマの「不殺生」主義が徹底されているのか?大規模なデモ行進を戦車で潰すと、後が長引きますぞ。


中国の治安当局は29日、チベット自治区ラサの一部地域を封鎖した。……ラサでは、厳しい警備の中、外交官のグループが視察に訪れていた。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世のスポークスマンは、ラサでの新たな抗議デモについて「人数は把握していないが、かなり大勢のようだ。外交団の訪問に合わせて行われたと考えている」と語った。……ロンドン拠点の団体「インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット」は、3つの関係筋からの情報として、治安部隊がラサにある主要2寺院を包囲したとしている。同団体のスポークスマンは「抗議デモの動機については不明だが、チベットの人々が外交官らの訪問を知っていた可能性はある」と語った。
2008年3月30日 ロイター

■外交官の視察団も外国メディアも、事前にスケジュールが報道されているのですから、現地の人達が知っていても何の不思議も有りません。それを不思議に思う人は、ラサ市内が完全な情報封鎖状態に置かれている事を知っている人だけでしょう。生身の人間の出入りは禁止出来ても、漏れ出す情報を完全に遮断することは不可能でしょう。北京政府のスポークスマンは、視察団やメディアに対して盛んに「本当のチベットの姿を見て欲しい」と訴えているそうですが、どうやらその願いが適ったようですなあ。


中国国営新華社通信は28日、チベット自治区ラサで起こった暴動に関して「ダライ集団の下心はチベット独立」と題する論評を配信し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が主張する「高度な自治」は「独立への道」との認識を示した。中国としてダライ・ラマとの対話の条件とする「独立主張の放棄・祖国分裂活動の停止」に加え、「高度な自治」も容認できない立場を明確にした形だ。
3月29日 時事通信

■「本当のチベットの姿」が知れ渡るのは時間の問題と観念したのか、とうとう「高度な自治」に言及してしまいましたぞ。これは「対話」を要求する国際世論に包囲されてしまった北京政府が、形だけでも対話に応じなければならない窮地に追い込まれた証拠かも知れません。誰かさんがダライ・ラマ法王に「高度な自治」という交渉条件を取り下げて貰いたい!というムシの良い「丸投げ」とも考えられます。

■残念ながら、北京政府が宣伝している「組織的陰謀」は存在しないので、飽くまでも「独立」を求める人達も居る一方で、「高度な自治」を悲願とする人達も居る、また圧倒的多数のチベット人は固唾を飲んで成り行きを見守っていると思われます。そうした人々の中で、北京政府が提示した「条件」に全面的に賛成する人は、非常に少ないのではないでしょうか?何故なら、提示されている「条件」が意味していることは、抗議活動自体を謝罪し、自らの錯誤を認め、諸手を挙げて現状維持を容認することだからです。

■80年代までの条件は、「独立を主張しない」というものでしたから、「独立」を取り下げて「高度な自治」の要求に切り替えたものです。ところが、相手が一歩でも譲歩しようものなら、更に強く押し込んで来ることしか知らない北京政府としては、実質的な「無条件服従」を条件にしてしまったという事です。ダライ・ラマ法王側の「高度な自治」が最終的に「独立」に通じている!という北京政府の見解が正しいかどうかは分かりませんが、北京政府が求めている「無条件服従」は間違いなく、「チベット解放への感謝」「伝統文化の否定」「歴史の書き換え」と直結しています。チベットの土地と人をどのように扱おうと、北京政府の自由だ!という意味になります。普通はそれを「自治」とは呼びません。

北京五輪の内と外 その八拾

2008-03-30 15:51:38 | チベットもの
河北省石家荘市のカトリック教愛国会の郭克昌副主席は「祖国を分裂し団結を破壊するダライ集団の大罪を、私たちは怒りを込めて非難する」と同市のホームページにつづった。ローマ法王ベネディクト16世は19日、チベット騒乱について「神がそれぞれに対話と寛容の道を選ぶ勇気を与えるよう祈る」と語っているが、カトリック教徒の郭氏は、融和を求める法王の言葉よりも、中国政府の強硬意見に賛同している。

■「神よりエライ共産党!」一説には、神は時々間違うが、共産党は絶対に間違わない!のだとか……。世界中の共産党が既存の宗教を「毒だ!」「麻薬だ!」と罵り続けた真の理由がよく分かる話です。神よりも国を愛する「愛国会」ですから、誰が書いたか知らないHP用の原稿に署名するくらいは簡単なことでしょう。ローマ法王もチャイナの事情はよく御存知なので、この程度の「方便」に目くじら立てて反論などもしないはずです。


中国の宗教関係者は過去にも、政府の宣伝塔の役を担っており、1990年代末に当局が気功集団「法輪功」を取り締まった際、各宗教団体は団結して「反法輪功」の大キャンペーンを行った。政府の支配下にある各教団の動きは、騒乱が他宗教に飛び火しないための当局による工作の一環とみられる。
2008年3月29日 産経ニュース

■「反法輪功」の大キャンペーンが展開された時期が、丁度、旅限無の留学期間と重なっていたので、某日夜のテレビで定時ニュースが突然放送時間を延長し、すべての時間を「法輪功特集」にしたのを皮切りに、全国規模の大学習運動が展開されるのを目の当たりにしたものです。たまたまチベット仏教に興味を持って留学していたので、高名なお坊さんが発表したという論文も奥地の小さな学校でひっそり勉強していた日本人留学生の手にちゃんと届いたのでした。田舎の町でも掲示板は「反法輪功」で埋まり、マスコミは凄まじい勢いでキャンペーンを展開し、書店にも緊急出版された本が並びましたなあ。あの重苦しい空気が再びチャイナ全土に満ちてしまったら、五輪大会はすっかり沈鬱な色に包まれてしまうでしょうなあ。


ダライ・ラマ14世は29日、ニューデリーにあるインド独立の父、故マハトマ・ガンジーの霊廟を訪れ、チベット暴動の犠牲者へ祈りをささげた。インド在住のチベット難民のほか、ヒンズー教やイスラム教などの各宗教指導者も参加。非暴力主義を貫いたガンジーへの敬意を表しながら、対話によるチベット問題の事態打開の姿勢をアピールした。
3月29日 毎日新聞

■多分?こちらのイベントは「ヤラセ」ではないと思われます。イスラム教の指導者まで参列するというのは、決してウイグル独立運動と連携しようという計算が有ってのことではないとも思われます。「非暴力主義」を暴力で弾圧するのは不可能だ、というガンジーの教えと業績を思い、全ての宗教の核心には「寛容の精神」が置かれるという極めて常識的な思想を共有して行われたイベントだったのでしょう。


中国国営新華社通信は29日、チベット自治区などでの騒乱をめぐり北京五輪開会式へのボイコット問題が浮上していることについて、「ボイコットは、中国をダライ一派に妥協させる圧力とはならない」と指摘し、あくまでダライ・ラマとの話し合いを受け入れないとの立場を明確にした。論評は「五輪が政治の人質になっている」と、ボイコットの動きを批判、「五輪に名を借りた政治的恐喝は受け入れられない」と強調した。
2008年3月29日 産経ニュース

■「人質」「政治的恐喝」という表現は、チベット問題に関するまったく別の文脈の中に置かれるべきものでしょう。チベット人は、ずっと歴史や文化を「人質」に取られているようなものですし、「政治的恐喝」もずっと続いていると言えるでしょう。どうも、このところの北京政府は、言葉の選び方が杜撰で下手くそになっているようですなあ。


インドのPTI通信によると、チベット亡命政府指導者のダライ・ラマ14世は29日、当地での記者会見で、中国チベット自治区の暴動に関し、「中国軍の兵士数百人が僧侶姿に変装していたと聞いている」と述べ、暴動は中国側が仕組んだ可能性があるとの考えを示唆した。ダライ・ラマは中国に対話再開を再三要請しているが、中国当局は暴動を「ダライ一派」の陰謀と決め付け、これを拒み続けている。ダライ・ラマの発言は中国の反応に対するいら立ちを示したものとみられる。
3月29日 時事通信

■一部解禁されたラサ市内での外国メディアによる現地取材でも、政府が書いたシナリオを無視したお坊さんが訴えた内容にも、寺院内に袈裟で変装した共産党の工作員が多数入り込んでいる!というものが有ったそうです。仮に五輪大会が開催されたとしても、審判員や会場係の中に、チャイナが優勝するための工作員が変装して紛れ込まない事を希望します。ラサ市内で暴れ始めたのが誰だったのか?映像に写っているお坊さんは誰だったのか?デモ行進しているお坊さんの姿は一切公表されないのは何故なのか?謎は深まるばかりです。
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チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

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北京五輪の内と外 その七拾九

2008-03-30 15:50:21 | チベットもの
北京市政府は28日、五輪期間中の治安確保に向け、北京中心部・天安門の周辺エリアでの取り締まりを強化する方針を決めた。イベント開催時や祝祭日でなくても、公安当局に所持品検査などを随時実施する権限を与えるという。29日付北京各紙が伝えた。取り締まり強化は、五輪前から実施される予定。天安門広場などへの刃物や危険な化学製品の持ち込みを禁じ、随時かつ無作為に所持品検査が行われる。事故・事件防止や、反政府的な動きを抑え込むのが狙いとみられる。
2008年3月29日 時事通信

■世界中から観光客を集めたい!北京五輪を大盛況にしたい!と言いながら、「あっちに行くな!」「ここに入るな!」「カバンを開けろ!」「ポケットを空にしろ!」などなど、非常に特色有る歓迎の言葉を随所で受けるわけです。灼熱の北京ですから、観戦に赴く試合場では、全裸に近い服装が宜しいかも?冗談はさて措き、北京市内で強化される警戒は、決してチベットやウイグルに関係する人達が対象ではないでしょう。世界中から好き放題にバカにされたも同然の「ボイコット」騒ぎに対して、「政府は弱腰だ!」「中華五千年の栄光を!」「不参加国を攻撃しろ!」などなど、幕末の尊皇攘夷運動みたいな無理難題を現政権に迫りながら、本音は共産党一党独裁の歴史を終わらせるという本当の大陰謀が動き出しているのでしょう。

■前回の大暴動は「反日」という、江沢民時代の遺産を巧みに利用したものでしたが、今度は世界中を敵に回しての「愛国運動」になるでしょうから、かつてのモスクワ五輪で外国人との接触を避ける目的で市内在住の人民をごっそり移動させたよりも大規模な「空城」作戦を採らねばならないかも?無人の北京市内で盛大に開催される五輪大会というのも、SF小説かホラー作品みたいで興味はありますが、そこまで行かずとも市民よりも多い公安警察が目立つ大会にはなりそうですなあ。

■中国広東省広州市では4月に予定されていた台湾の歌手が開くコンサートが市当局の命令で突如として中止を言い渡されたそうです。兎に角「人が集まる」のを避けたいのでしょう。一応、名目としては「チベット関連の暴動や騒乱を防ぐための措置」なのだそうです。自業自得とは申せましょうが、人が集まるだけで過敏に反応する時代が再び始まってしまいそうです。どうやって五輪関係のイベントだけを例外扱いにして本番まで持って行くのか?これまでに磨き上げて来た「仕込み」と「ヤラセ」の宣伝手法を駆使するにしても、無数のカメラが入り込む時代になっているのですから、禁止と監視の恐怖政治は自分の首を締め上げてしまうだけだと思うのですが……。


3月中旬のチベット騒乱以後、中国各地で宗教関係者による会議、集会が次々と開かれている。いずれも中国政府の主張と唱和する内容で、仏教、キリスト教、イスラム教、道教などの指導者が相次いで、“自発的”にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を批判し始めた。

■これもお決まりの行事なんですが、時代の変化と五輪大会を開催するという特殊な事情がまったく織り込まれておらず、既存の統制システムが暴走気味に反応して作動しているかのようです。常時スイッチが入ったままの官僚システムが、習い性になっている仕事を事務的に処理しているのでしょうが、こういう「一致団結」の演習は国際世論を更に悪化させるだけでしょうに!?それがまったく分からないのでしょうなあ。


……宗教関係者による集会は各地で急増している。仏教聖地の山西省五台山では23日、約1000人の僧尼が集会を開き、「チベット独立反対」などを訴え、ダライ・ラマを批判した。山東省、甘粛省などでは、政府の呼びかけで、宗教リーダーらによる同様の懇談会が開かれた。

■台湾人の歌手がコンサートも開けないほど人が集まるのを厳しく制限している時に、1000人規模の集会がどうして「各地で急増」しているのでしょう?このチグハグさだけ見ても、素人でもチャイナの言論弾圧の実態を容易に想像できてしまいます。完全無欠のシナリオが用意され、何度もリハーサルを重ねてから開催されるイベントを「集会」「懇談会」と呼ぶのは、外国人にはちょっと理解し辛いのですが、予定通りの発言とシナリオ通りに湧き起こる拍手が繰り返される見世物を、社会主義圏では「集会」とか「会議」と呼んでいます。

■旧ソ連のスターリン時代などは、全員起立・直立不動・掌が腫れ上がるほどの熱烈拍手という一連の動作を、たった一度でも怠ると、そのウッカリ者は会議場から姿を消し、一族郎党も行方不明になると言われていました。人海戦術の拍手なら、どんなに貧しい国でも活用できる実に安上がりな宣伝方法ではあります。時代遅れのイベントでも、これを企画・運営・開催する部署の役人が居る限り、せっせと「原稿」を書いては配布して、無機的な満場一致イベントをやってしまうのでしょうが、無駄な高規格道路を半永久的に建設する妄念を捨てられない日本の国交省も似たようなものなのでしょうなあ。

北京五輪の内と外 その七拾八

2008-03-30 11:48:58 | チベットもの
ぺロシ米下院議長(民主)は28日、中国チベット自治区の暴動に関連し、中国政府がチベット市民に対する抑圧を続けていると批判した上で、「国際オリンピック委員会が今年の夏季五輪開催地を北京に決めたのは間違いだった」との声明を発表した。

■北京開催が正式に決定する前後、旅限無はチャイナの青海省に留学中の身でしたが、正直なところ第一報を耳にした時には呆気に取られたものです。「悪い冗談」か「大いなる勘違い」か、はたまた「莫大な賄賂」か?などといろいろ勘ぐってしまったのを覚えております。時期がブッシュ息子大統領の初当選に近かった事もありまして、「ゴア候補の落選」と「北京開催決定」という二つの椿事に、我ながら国際感覚が貧困なのだなあ、と絶望的な気分で苦い酒を飲んだ記憶も有ります。通学路になっていた北京市で飛行機や列車を待つ短期間の滞在を繰り返す中で、北京市の突出した変貌振りに目を見張っていたからこそ、北京五輪などを開催したら国内の経済格差が極限まで加速され、人と物とカネの流れがどんどん地下に潜って絶望的なイタチゴッコが酷くなるのではないか?と心配したものです。

■確か、IOCでもとかくの噂が絶えなかった先代のサマランチ会長から子分への「譲位」が発表されたのも似たような時期だったような気もします。もしかしたら、北京開催はサマランチ会長の置き土産みたいな物だったのかも?


同議長は21日にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談するなど、チベット市民の人権状況改善に向けた支援を続けてきたが、北京五輪と絡めて中国政府に対する圧力を一層強めた形だ。同議長は五輪聖火が地元のサンフランシスコを通過する際に、中国政府に対する抗議行動を容認する考えを示した。ただ、同議長は北京五輪のボイコット論については、「競技に備えて鍛錬を重ねてきた選手たちを不当に傷つけることになる」として、明確に反対した。
2008年3月29日 時事通信

■つまり、商売としてのオリンピックには参加するけれど、平和の祭典としての五輪大会は認めない!という意味なのでしょう。オリンピックの名前を外して「世界スポーツ大会」に格下げすれば良いのかも知れませんが、それは北京政府の転覆を意味しますから無理です。このまま政治的な疑惑と不快感が開催まで続けば、史上最も白けたウソ臭い五輪大会となってしまいそうです。


インドに拠点を置く非政府組織(NGO)「チベット人権民主化センター」は28日、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で同日、治安当局がチベット仏教寺院の僧侶少なくとも100人を拘束したと発表した。……武装警察などの数百人が寺院を急襲し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の肖像を捜索するなどしたという。同センターは同自治州で16日起きた暴動で、武装警察の発砲により23人が死亡したと伝えていた。
2008年3月29日 時事通信

■北京政府が探し求める「ダライ・ラマ一派」と名付けられた秘密結社の存在が、もしも肖像写真の所持によって証明されるなら、全チベット地域のほとんどの住民が謀略組織の構成員という計算が成り立つでしょう。毛沢東時代でさえ、チベット人が所持していた「御真影」は二重重ねになっていたそうですから、歴代指導者の肖像写真の裏側に何が隠されているのか分かったものではありません。行方不明になったままのパンチェンラマ11世(本物)の幼い頃の貴重な写真さえ弾圧と捜索を逃れて所持者が多いのですから、各種雑誌や新聞などに掲載されることの多いダライ・ラマ14世の肖像となれば、無数に存在するでしょう。北京政府の弾圧政策が弱まると、堂々と寺院の御本尊の上にブロマイド写真が捧げられていたりしますからなあ。

■寺院に踏み込んで家捜しをしたとなれば、泣き泣き肖像を廃棄したお坊さんもいらっしゃったかも?その記憶は永久に消えないでしょうし、毎日の祈りの中で弁明と許しを乞う心の叫びが続けられるわけで、それが次の大暴動を用意してしまいます。

北京五輪の内と外 その七拾七

2008-03-30 11:48:04 | チベットもの
■以前ほどは毛沢東という名前に威厳も輝きも無くなってはいるので、きっと北京を訪れる日本の若者達は天安門広場を見下ろすように架けられている巨大な肖像画は単なる風景の一部になって、モデルの名前も知らずに観光写真を撮影しているのかも?チベットを飲み込み、米国とではなくソ連と核戦争をやる心積もりだったのが毛沢東で、国内的には非科学的な「大躍進運動」を発動して2000万人とも言われる餓死者を出したという大変な人です。その後継者に選ばれた林彪という人物を、当時の日本では「大人物」のように扱っていたそうですなあ。

■「国家主席の地位」問題よりも面白い「天才問題」という騒動も有ったそうで、後継者に名指しされて有頂天になった林彪が、史上例の無いようなヨイショを連ねたお追従演説を発表したのが運の尽きだったそうで、親分が喜ぶかと思ったら過剰なヨイショに裏切りの臭いを嗅ぎつけられて窮地に追い込まれ、自分が単なる猿回しの猿だったと知った林彪は一か八かの賭けに出るという映画の題材にぴったりの筋立てなのですが、「真相」に迫る宣伝映画はまだ製作されていないようです。情報の封印が長過ぎて、よほどの事でも起こらないと映像化はしないと思われますが、まかり間違って現政権の失政を詰(なじ)ってクーデタを仕掛けるような勢力が現われれば、「裏切り者の末路」を人民に教えるために超大作のテレビ・ドラマ『林彪伝』が放送されるかも?


1971年9月、毛沢東が林彪グループを批判したのをきっかけに、林彪一派は毛沢東暗殺を企てたとされている。計画が発覚したためにソビエト連邦への逃亡を試みたが、林彪とその妻ら9人を乗せた専用機はモンゴル国内で墜落した。逃亡中に墜落という不自然な状況もあり、「林彪事件」にはさまざまな疑惑が取りざたされてきた。ただし、ソビエトに残されていた記録などから、林彪が墜落により死亡したことは間違いないとされている。
2006年9月13日  中国情報局のコラム

■中華人民共和国の建国史にも未解明の謎が多いようですが、小平の三度目の復活という歴史の切断面が大き過ぎて、その後の「改革開放」時代との齟齬を来たさないように「通史」を書き上げるのは至難の業なのでしょうなあ。疑い出したら切りがないのですが、先手を打って特別列車で隠密裏に移動していた毛沢東を爆殺する計画の存在を示す文書や証言が存在していたり、軍用機ではなく民間航空機を使ってソ連に向かう進路を取っていたり、権力闘争に敗れた敗将一族にしてはチグハグな亡命劇に見えるので、「真相」が隠されたままなし崩しに「名誉回復」に持ち込まねばならない事情が出て来たのだろう、と推測することしか出来ませんなあ。

■北京五輪を成功させるために13億の人民が打って一丸とならねばならないので、最も有名な「裏切り者」さえも恩赦が与えられるとアッピールする政治的判断が有ったのかも知れませんが、チベット騒乱が拡大してしまった後というタイミングは逆効果にしかならないかも?文字通り「焼け石に水」でしかないのを承知でも、何かをしなければ進退窮まってしまう!という危機感が北京政府の指導部内に広まっているのでしょう。


スロベニアの首都リュブリャナ近郊のブルドで開催中の欧州連合(EU)非公式外相理事会は28日、1日目の討議を終了した。中国チベット自治区でのデモ弾圧への対応をめぐり、ドイツは北京五輪開会式への首脳不参加を表明、これに対し英国やスペインは参加の意向を示すなど、加盟国間で立場が分かれた。

■欧州が「ボイコット」問題で割れている今が、最後のチャンスかも知れません。どこの国も民主主義に則っているので、チャイナから賂(まいない)を貰った独裁者のように「断固指示!」を貫くわけには行きません。各国の有権者が「ドイツに続け!」と騒ぎ出したら、議会も座視していられないばかりか、政権交代を目指す政党ならば「外交の失政」を言い立てるでしょう。まったく無名の選手であろうと、今!北京五輪に個人的な判断で「不参加」を表明したら歴史に名を残せる可能性が高いのですから、これから欧州で何が起こるか分かりませんぞ。


ドイツのシュタインマイヤー外相は、同外相もメルケル同国首相も開会式に出席しないと言明。ただし、この決定はチベット問題とは無関係としている。ポーランドやチェコ、エストニアも首脳レベルの参加を否定した。一方、ブラウン英首相や、スペイン、スウェーデン、ポルトガルなどは参加の意向を示している。EU議長国スロベニアのルペル外相は1日目の討議終了後、「五輪開会式ボイコットをめぐってはEU内で共通の立場は形成されていない」と語った。
2008年3月29日 時事通信

■現段階で「共通の立場が形成」されたら大変です!既に欧州内にはチャイナからの出稼ぎ労働者の増大と、それに伴う「脱税」と「失業」の問題が深刻化しているようですし、既存の企業を倒産に追い込んで経営者になっている元出稼ぎ労働者も増えているとか……。ドイツが抱え込んでいる「トルコ人問題」以上に広い範囲に広まっている「欧州内のチャイナ問題」に火が着いたら大変なことになるでしょう。せっせと進出しているアフリカ大陸では、反チャイナの流血殺傷事件まで起きているのですからなあ。北京五輪のボイコットが「黄禍論」の亡霊を呼び覚ましたら、各国の政府は立ち往生してしまうでしょう。
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北京五輪の内と外 その七拾六

2008-03-30 11:47:08 | チベットもの
■偽造トラ写真の御本家が、まだまだ意気軒昂なのだそうです。

重慶時報は元祖「華南トラ写真偽造事件」の主役・周正龍氏のインタビューを掲載した。写真は偽造との見方が大勢を占める中、周氏は「新写真を公開して真実を明らかにする」と強気の発言を繰り返した。……陝西省の森林で華南トラの写真撮影に成功したと発表し、同省林業庁を巻き込み一大騒動を引き起こした。しかし同氏の撮影した写真は、トラが写ったパネルを撮影した偽造だと見られている。……インタビューにも「湖南の偽造動画と一緒にしないでくれ」と話し、未公開写真を公表すると血気ばんだ。しかし未公開写真をなぜこれまで公表しなかったのか、何枚あるのかと突っ込まれると「いや版権問題があって…」「何枚か、あれ、十何枚ぐらいだったかな。覚えていないな」などとしどろもどろに。残念ながら偽造疑惑解消にはほど遠い様子だった。
3月28日 Record China

■ラサ市内ばかりでなく、公安警察が撮影した証拠映像は膨大な量になっているはずで、北京政府は残らず集めて精査して活用方法を考えているに違い有りません。いよいよ北京五輪大会の開催が危うくなれば、『○○大虐殺の真実』を手本にした『チベット暴動の真実』と題した分厚い写真集が発表される可能性も有るでしょう。IT技術を駆使した、とても偽造とは思えない出来映えの「作品」が楽しめるかも?少なくとも北朝鮮が慌てて作った横田めぐみさんの写真よりは遥かに真実味のある物になるのは確かでしょう。


24日付中国新聞社電によると、北京市郊外の通県に「十大元帥の壁」がお目見えした。「十大元帥」とは、1955年に毛沢東主席が元帥の称号を授けた人民解放軍の幹部10人を指し、1971年に毛沢東暗殺を企てて失敗、ソ連への逃走中に乗機が墜落して死亡したとされる林彪氏も含まれている。「十大元帥の壁」には、朱徳、彭徳懐、林彪、劉伯承、賀龍、陳毅、羅栄桓、徐向前、聶栄臻、葉剣英の10人の写真が展示されている。

■問題は1955年以降に何が起こったか?です。今更、詳しく中国共産党の「栄光の日々」を取り上げて混ぜっ返すのは徒労と言う物でしょうが、謎の死を遂げた林彪さんだけではなく、毛沢東の権力闘争で血祭りに上げられて悲惨な最期を遂げた人が多いのは衆知の事実で、最強の宣伝媒体とされていた映画を使った「伝記」「伝説」が数多く製作されているのですが、さすがに林彪を主人公とした大作映画は作られなかったようです。相当な専門家でさえも林彪の死に関しては明確な事がほとんど分からないようですし、一度は毛沢東本人から「後継者」に指名されていながら、貴重な民間航空機を乗っ取って亡命らしき行動に出て撃墜されたとか、機内で仲間割れが起こって銃殺されたとか、映画にしたらさぞや面白かろうと思われる話が取り沙汰されているようなのですが、ナチス・ドイツを飛び立ったルドルフ・ヘスみたいな話になって「世紀のミステリー」の一つとして残されています。

■真相の記録や証拠類は北京の某所に秘匿されているのでしょうが、それが明かされるのはケネディ暗殺の調査結果の公開よりも前だとは思えませんなあ。


林彪氏は文化大革命中の1969年に中国共産党副主席となり、毛沢東主席の後継者の地位を固めたと認められていた。墜死したのは1971年9月13日とされるが、新華社が事件の概要を短く伝えたのは、約10カ月後だった。中国で毛主席暗殺を伴うクーデター未遂があったと報じられたことで、世界は大きな衝撃を受けた。
3月24日 サーチナ・中国情報局

■1971年と言えば、日本で開催された大阪万博の翌年です。当時は「社会主義」という言葉がピカピカと輝いていましたし、北朝鮮以上にチャイナの社会主義革命には謎めいた魅力がいっぱいだったのでした。林彪墜死事件に関して要領よくまとまっている文書を引用します。


1971年9月13日、毛沢東の後継者とされていた林彪を乗せた飛行機がモンゴル人民共和国内に墜落。搭乗者全員が死亡した。林彪は1907年、湖北省に生まれた。抗日戦争や国共内戦を通じて数々の軍功を挙げ、1955年に十大元帥の一人に選ばれ、朱徳、彭徳懐と並ぶ軍事指導者となった。59年に彭徳懐が大躍進運動の行き過ぎを諌めて毛沢東の逆鱗に触れ、国防部長を解任されると、新国防部長に就任し軍の実権を握った。1966年に毛沢東が発動した文化大革命では主導的な役割を果たし、毛沢東の後継者と目された。しかし1970年に国家主席の地位を巡って毛沢東と対立。また、対外政策に関しても意見の食い違いが目立つようになったとされている。

■ここまでの話でも、日中友好が始まり、安価な工業製品から食料品までを大量に輸入する相手国になったチャイナしか知らない世代にとっては、遠い遠い昔のお話でしかないでしょう。チベット騒乱直前の五輪大会に向けて盛り上がっているチャイナしか知らない世代には、何の事やらさっぱり分からないのでしょうなあ。逆にこうした話に馴染んでいる世代にとっても「抗日戦争」「国共内戦」の実像が伝説から歴史に変わっている大きな変化には疎いのかも知れません。拉致犯罪が暴露されてから北朝鮮が「地上の楽園」ではない!という馬鹿馬鹿しいほど当たり前の事実に気が付くほど、マスコミ報道や教育・宣伝の影響力と言うのは凄まじいものがあるのでしょうなあ。

北京五輪の内と外 その七拾伍

2008-03-30 11:46:31 | チベットもの
……27日、中国政府手配の取材でラサ滞在中の外国メディア記者らに、14日起きた暴動などに関与したとされる容疑者2人に対する取材を認めた。2人ともチベット民族で「周囲の人間にけしかけられた。後悔している」などと語り、政府や漢民族に対する不満はないと強調した。2人とも暴動で指導的役割を担っておらず、「寛大な処分」で済ませてもらうため取材に応じたことを示唆。外国メディアに対する模範的な回答が減刑の材料になるようだ。

■こういうのも「司法取引」と呼ぶのでしょうか?仮に暴動に参加した本物のチベット人だとしても、当局と取り引き済みならば、打ち合わせと想定問答もきっちり頭に入っている者が選ばれているはずです。まして当局の監視下での取材でしょうから、ほとんど情報としての価値は無いような気もしますが、北京政府が幕引きを急いでいる事だけはよく分かります。早急に五輪大会に吹きつける逆風を避け、再びお祝いムードを盛り上げねばなりません。これからは多くの「チベット人」を動員して無理やりにでも追い風を吹かせるつもりなのでしょうなあ。


……ラサの名刹ジョカン寺院で、チベット人僧侶のグループが外国報道機関の記者らに「中国政府が言っていることは正しくない」と直訴した問題で、同自治区のペマ・チリン副主席は27日、「僧侶たちは処罰を受けない」と言明した。国営新華社通信が伝えた。一方、28日付の中国各紙は海外メディアがチベット人僧侶たちの発言を大きく取り上げたことを批判する記事を掲載……共産党機関紙「人民日報」系の国際情報紙「環球時報」は「一部の西側メディアは少数の僧侶が叫んだことに重点を置いて報道した。安定と繁栄を支持し、民族の団結を主張する最大の声を否定するのであれば、とてつもない大うそをつくことになる」と指摘。英字紙「チャイナ・デーリー」は「海外メディアは事実関係の確認をせずに一方的な主張を引用した」と強調した。
3月28日 毎日新聞

■これまでなら「顔を出したら」命の危険さえもある監視厳罰体制でしたが、これだけ世界中が注目していると、「あのお坊さん」のその後が追い掛け回されるでしょうから、見せしめ処刑などは出来なくなってしまいました。その分、大きく報道した外国メディアに矛先が向けられているわけですが、五輪大会を大いに盛り上げるにはどうしても協力を得なければ相手でもありますから、これまで通りの居丈高な抗議を続けるわけにも行かないでしょう。絶望的な勇気を奮って顔を出して訴えたラサのお坊さんは「処罰しない」と言っておきながら、四川省のアバ県では警備の「練習」をしていた武装警察が突如として寺院を急襲しているようですから、既に事態収拾に向けての対応策には整合性がまったく無くなっています。


自動車運転手のダンダ容疑者(22)は14日、ラサ市内の商店から物を奪って路上に放り出した。「漢民族との関係はいい。何か目的があったわけではない。寛大な処分にしてもらえれば、もう絶対にしない」と語った。
3月28日 産経ニュース

■「関係が良い」のなら暴動に発展はしませんし、「目的も無く」漢族が経営する商店を襲ったりはしないでしょう。ダンダさんが言っている真実は、「寛大な処分」を切望しているという事だけでしょう。公安警察が撮影した映像を手掛かりに、武力で封鎖した市内を虱潰しに大規模な摘発操作をしたのですから、短期間に相当数の逮捕者が出るのは当然です。国家反逆罪など「極刑も已む無し」の刑罰を匂わせて脅して言わせた証言のような印象が強いですなあ。

■「事実関係」を確かめない外国メディアに抗議している北京政府ですが、独自に編集して海外に流されている暴動の「証拠映像」は余りにも短く、撮影場所も限られている不自然な物です。捏造とまでは言えなくても、十分に恣意的で意図的な物だと言えるでしょう。市内で暴れ回るお坊さんの大群やら、その裏で糸を引くダライ・ラマ法王という構図は、もしかしたら絶滅したトラみたいな物かも知れませんぞ。


湖南省平江県のテレビ局記者が、ほぼ絶滅に近い状態にある「華南トラ」のビデオ映像をねつ造したとみられる事件で、同記者を含めて計4人が当局の取り調べを受けている……。テレビ局記者である呉華が今月19日、同県の山中で「華南トラ」をビデオで撮影したとして約20秒の映像を公開した。ところが不自然な点が多いとして、湖南省林業庁が派遣した野生動植物の専門家チームが今月20日~23日、現地を調査。その結果、野生のトラが生息している事実は確認できなかった。

■どうしてチャイナの人達はこんなにトラが好きなのでしょう?とうの昔に野生動物の多くは絶滅しているのは分かっているはずなのに……。世界中の動物愛護団体が心配しているパンダや北方のトラでさえも絶滅の危機を脱していないのですから、ごちゃごちゃと人間が増えた地域に野性のトラが棲息しているわけがないでしょうに!?


……同庁は24日、公安や紀律検査監督部門などと調査チームを結成。調査の結果、このトラは同省を巡回中のサーカス団が飼育していた東北トラで、わざわざ撮影のために連れ出していたことが判明した。現在、当局によってこの記者を含む4人が取り調べを受けているという。「華南トラ」をめぐっては昨年秋、陝西省の猟師が撮影した写真が「43年ぶりの大発見」とスクープ扱いとなったが、その真贋をめぐって大論争が勃発していた。
2008年3月26日 Record China

■「上に政策あれば下に対応あり」のお国柄ですが、案外、悪事を働く時には許容範囲を測定するのに「上の政策」を参考にしているのかも知れませんなあ。これまで党が発表した映像記録に関して一度も「訂正」や「謝罪」が行われた事は無いのですから、紙面やテレビ画面で発表してしまえば、それが真実として通用すると思い込んでいる人が多いのかも?完全無欠の革命戦士やら、人智を超えた戦略家やら、ほとんど絶滅した幻の珍獣と同じ様な物語で中国共産党の「歴史」は紡ぎ上げられて来ましたからなあ。記録写真とされている証拠物件は、党の専属宣伝班が撮影し印刷しばらまいた物ですから、場所や時間が大きくズレたり、フィルム自体を改竄してしまうのも許されるという代物ですから、「取り扱い注意」の但し書きが必要でしょう。
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北京五輪の内と外 その七拾四

2008-03-29 19:48:03 | チベットもの
■さてさて、「政治とスポーツの祭典は別」と北京政府が随喜の涙を流すような事を言っているブッシュ大統領ですが、実際には総統選挙前の台湾海峡に軍事圧力を掛けるのを忘れていないそうで、2隻の空母や原子力潜水艦でしっかり仕事をしているとか……。それだけでなく、大統領の開会式参加を発表している陰では、国務省がしっかり仕事をしているようです。 

北京五輪に合わせて中国を訪れる米国人観光客らを対象にした米国務省の渡航情報に中国側が反発している。中国では「ホテルの部屋などは四六時中監視されているとみられる」などと警戒を呼び掛けているためで、チベット情勢をめぐってきしむ米中関係に新たな“火種”が持ち上がった形だ。

■旧ソ連方式のホテルは、フロントだけでなく各階の廊下中央やエレベータ内にも「監視員」が配置されているのは衆知の事実ですし、民生用の家電製品が旧式だった時代でも、盗聴装置や監視機器は妙に最新式の機械が使われていたという話もあります。北朝鮮でお馴染みの「招待所」は減って、通常のホテルが増えてはいますが、監視体制に大きな変化が有ったかどうかは不明のようですが、少なくとも電話の盗聴と清掃時の持ち物検査は覚悟しておいた方が良いでしょう。冗談でも雪獅子チベット国旗などを入れた荷物を部屋に置いて外出などしては行けませんし、中国共産党を非難する内容の書籍も好ましくありません。


国務省は先週、ホームページで渡航情報を公表。中国におけるテロの危険を表す「脅威の度合い」や治安状況を示す「犯罪」などと並んで「プライバシーと安全性」という項目を設け、「ホテルの部屋や住居、事務所は滞在者の同意を得ずに、いつでも侵入される可能性がある」「プライバシーを保てるという正当な期待」を抱くことはできないと注意喚起した。中国外務省の秦剛報道官は24日「国際的な慣行を超える特殊な治安措置が取られることはない」と反論している。
2008年3月25日 産経ニュース

■米国の国務省が公表した「情報」には、特に間違いや誇張は無いようですが、中国外務省の「国際的な慣行」というのは、北朝鮮やロシアの某所などを含んだ概念なのでしょうか?ちょっと気になります。間も無く、米国の国務省が実地で検証することが出来そうです。


米国務省のマコーマック報道官は27日の記者会見で、中国政府が28、29両日に各国の外交官グループを大規模暴動の起きたチベット自治区ラサに案内する計画であることを明らかにした。北京の米大使館員からも1人が参加する。……あくまで中国政府の引率による「視察旅行」の形で行われ、外交官は現地で自由な行動を取れない見通し。同報道官は今回の計画を「一定の前進」としながらも、外交官や米国籍の民間人が自由に行き来できるよう引き続き求めていく考えを示した。オーストラリア外務貿易省報道官によると、北京駐在の同国外交官1人も外交官団の一員としてラサ入りする。
3月28日 時事通信

■珍しく?北京の日本大使館から邦人保護目的でラサ市入りの申請が出されたのですが、すげなく却下されています。事態の悪化を食い止めるための苦肉の策なのでしょうが、「特色ある引率」は新たな火種になるような気もしますなあ。米国も豪国も英語が通じる国ですから、生の直訴があった場合はどうするのでしょう?拙速ゆえの予期せぬハプニングが起こる危険を承知で、こうした決断をしたのは、やっぱり米国の圧力の影響なのかも知れません。


インドを訪れたペロシ米下院議長は21日、同国北部ダラムサラでチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世と会談した。中国当局によるチベットでのデモ弾圧後、欧米の政界要人がダライ・ラマと会談したのは初めて。……会談後、ペロシ議長は「チベットの状況は世界の良心に対する挑戦だ」と発言。客観的な事実評価のため、国際社会で構成する独立調査団の現地派遣を求める考えを明らかにした。

■大統領に多少の?問題が有ろうと、世界中の政治家に先んじて現地に飛んで本人と会見してしまう身軽さには驚かされます。因みに妙なタイミングで北京市に姿を見せた日本の中川元幹事長は、どうやら自著の北京語版が完成したのを記念して訪問しただけだったようです。チベット問題に関して毒にも薬にもならない発言をしたのも当然だったわけですなあ。


会談でダライ・ラマは、「非暴力」の姿勢を重ねて示し、騒乱をダライ・ラマが扇動したとする中国政府の非難を退けた。ペロシ議長は、チベットの現状を黙認すれば、自由世界は人権を語る道徳基準を失うと懸念を示した。ペロシ議長は、中国の民主化活動が弾圧された1989年6月の天安門事件後、中国人留学生らへの移民規制緩和を求める「ペロシ法案」を提出するなど、人権問題で対中強硬派として知られている。
3月22日 産経新聞

■このニュースは欧米では相当に大きく扱われたようですから、多くの在外公館から北京政府宛に危機感を抱かせる情報が次々と入ったはずです。日本では形だけの報道だったようなので大した御注進は無かったと思われますが、東京都下で行われた抗議デモの方は詳細な報告が上がっているでしょう。さてさて、欧米各地でいよいよ「ボイコット」という言葉が遠慮なく交わされるようになっているので、ラサ市の情報封鎖を続けるわけにも行かないとて、厳選した外国メディア記者を招き入れたのでしたが……。

北京五輪の内と外 その七拾参

2008-03-28 20:44:26 | チベットもの
……区都ラサを26日、中国政府が組織した外国メディア取材団が初めて訪れ、香港無線テレビ(TVB)は27日、「取材先の寺院の参拝客らはすべて当局が動員した関係者だ」などと訴えるチベット僧侶の姿を放映した。チベット仏教寺院ジョカン寺(大昭寺)を訪れた取材陣の前に約30人の僧侶が突然現れて語ったもので、「当局者を信じるな。すべてやらせだ」などと泣きながら訴えたという。AP通信はまたラサ発で、事前に当局が設定した取材を遮って僧侶らが「チベットに自由はない」などと語ったと伝えた。中国外務省の秦剛・副報道局長は27日、「僧侶が何を言ったか承知していないが、(やらせとの指摘は)根拠がなく、無責任で事実に合わない」と反論した。
3月27日 読売新聞

■香港に対する「一国二制度」は順調に機能している証拠とも言えそうですが、北京政府は苦境に立たされてしまったとも言えるでしょう。こういう事が起こりそうだから、あれこれと苦しい言い訳を並べてチベット地域から外国人を締め出していたのに、何が何でも北京五輪を大成功させねばならない苦しい立場で決断せざるを得なかったのでしょうなあ。それにしても、「事前に当局が設定した取材」のことを「ヤラセ」と呼ぶのではないでしょうか?北朝鮮では監視員のことを「ガイド」と称して四六時中張り付いているようですが、チャイナでも「取材」は常に「事前に当局が設定」するもののようです。仕込んでおいた出演者は約束通りの報酬や待遇が得られたのでしょうか?「ヤラセ」の場合はキャンセル料は発生しない?


ポーランドのトゥスク首相は27日付のポーランド紙に対し、中国・チベット問題を理由に、8月の北京五輪の開会式には参加しない意向を明らかにした。フランス通信(AFP)が伝えたもので、……チェコのクラウス大統領も26日、ボイコットする意向を明らかにした……トゥスク首相は同紙との会見で、「ポーランドは中小国であり、最初の(ボイコット)国になりたいとはあえて思っていない。しかし、五輪開会式への政治家の参加は不適切である」と言明した。

■「不適切」と言えば、クリントン前大統領の「不適切な関係」が有名ですが、今度は「不適切な参加」という表現が流行するのでしょうか?ブッシュ大統領は「不適切な戦争」を始めて泥沼化させてしまった上に、「不適切な参加」を糾弾されたら立つ瀬が有りませんなあ。


ポーランド外務省によれば、同国は欧州連合(EU)に対し、チベット弾圧問題に重大な関心を持つよう、外交的な働き掛けを強めているという。外務省報道官は同通信に対し、「とりあえず非公式の活動である」と説明した。……ポーランドの有力カトリック系週刊誌も批判を強めており、ポーランド選手が北京五輪に参加する場合には、冷戦終結に大きな役割を果たした同国の自主管理労組「連帯」のバッジをユニホームに着け、チベット民族への連帯を示すべきだと強調している。
2008年3月28日

■お坊さんの袈裟姿を真似るよりも、「連帯」のバッヂの方が遥かに素晴らしい!「自主管理」という北京政府が最も嫌う表現が良いですなあ。せっかくですから、トゥスク首相の名代としてワレサ元大統領が参加したら如何でしょう?ソルトレークシティ五輪大会の開会式では、立派にオリンピック旗を掲揚する際の旗手を務めた経験が有るのですから適役でしょう。ついでに国内の造船所を見学に行くとか……。ポーランドの独立にはローマ法王が大きな影響力を持ちましたから、カトリック系週刊誌も当時を思い出して力が入っているのかも知れませんなあ。

北京五輪の内と外 その七拾弐

2008-03-28 20:42:16 | チベットもの
■東欧からの「欠席届」が続々と北京に届いているようで、さしもの鉄面皮外交部報道官も定例の記者会見に臨む顔色がすぐれないようです。その内、泣き出してしまうのではないか?とちょっと心配にもなります。

エストニアのイルベス大統領は27日、8月の北京五輪の開会式に出席しないことを決めた。大統領報道官がAFP通信に明らかにした。理由は「日程上の問題」としており、中国政府によるチベット人暴動鎮圧との関連については言及していない。

■エストニアも長い歴史を持つ国で、モンゴル騎馬軍団の恐怖を味わった事も有りますし、その後はデンマーク、ドイツ、スウェーデン、ロシア帝国の順に支配を受けて苦労しましたが、第一次大戦を機に悲願の独立を果たしたのも束の間ことで、はソ連のスターリンに「解放」されるという苦難の歴史を持っています。小国と言えでもいろいろな意味でチベットの大先輩みたいなものですから、「欠席」の決断は当然でしょう。また、社会主義独裁国家の正体を知悉しているでしょうから、お為ごかしの「対話」を提案するような無駄な事はしないのかも?「日程上の問題」という言い訳なら、福田ヘトヘト首相も使えそうですが……。


……チェコのクラウス大統領も26日、五輪欠席を表明した。同大統領は「中国の弾圧に対する抗議が十分でない」と批判されており、これを受ける形で不参加を決めたという。
3月28日 毎日新聞

■チェコもヒトラーと旧ソ連に苦しめられた歴史が有りますから、国民が激しく反応するのも当然でしょうなあ。


インド紙、タイムズ・オブ・インディアは27日、ナート商工相が4月1日から予定していた中国訪問を取りやめたと報じた。チベット騒乱に関連して、中国政府がインド側に取った対応への不快感の表明とみられている。……ニューデリーの中国大使館で21日、亡命チベット人らが敷地内に侵入して抗議活動をする事件が起きた。これを受けて中国外務省が北京駐在のインド大使を翌22日午前2時に呼びつけて抗議。その後、インド国内で中国の高圧的な対応を非難する声が野党から上がっていた。
3月28日 産経新聞

■世界最大の民主主義国家なのですから、インドで各種の抗議デモが起こるのは当然です。まあ、治外法権が保証されている大使館内に入り込むのは行けませんが……。でも、夜中に大使をたたき起こして呼び付けてしまっては、「一体、何サマのつもりなんだ!」と反発を喰うのも、これまた当然です。しかも「抗議」などされても、「それじゃあ、どないセエ言うんじゃ?」と言いたくもなるでしょう。チャイナを見習って警察に偽装した軍用車でデモ隊を踏み潰し、その後でしどろもどろの言い訳を考えねばならないのでしょうか?インドでは普通の選挙が行われるのですから、そんな無茶なことを実行したら即座に解散総選挙になってしうでしょうなあ。


……韓国政府消息筋は28日、北朝鮮が同日午前10時30分、黄海上で、短距離ミサイル数発を発射したと明らかにした。ミサイルの種類は不明だが、対艦ミサイルとみられる。……北朝鮮が短距離ミサイルを発射したのは2007年6月27日以来。北朝鮮は最近、韓国の李明博政権をけん制する動きを強めており、今回のミサイル発射もその一環で行われた可能性がある。

■まるで前回の台湾総統選挙に際してチャイナがやったのと同じ嫌がらせ!血は争えないのか、類は友を呼ぶのか?でも、韓国に対する恫喝だけでなく、もしかすると北京五輪のボイコット騒ぎに対する「助太刀」かも知れませんぞ。「文句のある奴はかかって来い!俺が相手だ!」という身の程知らずの余計なお世話かも?発射した場所が黄海なのですから、文字通りの「援護射撃」というブラックな解釈も出来そうです。


……北朝鮮は3月25、26日に黄海上で短距離ミサイルの発射準備をしたが、中断していた。その際、南浦沖合一帯に、民間船舶の航行禁止令を出し、射程46キロ・メートルのスティックス対艦ミサイルを装着したミサイル高速艇1隻を待機させているのが確認されていたという。北朝鮮は27日、南北経済協力の中核事業となっている開城工業団地に常駐する韓国政府機関の要員11人全員を退去させている。07年6月の短距離ミサイル発射は、日本海に向けて行われ、当時は「通常訓練」との見方が出ていた
3月28日 読売新聞

■日本の最新鋭イージス艦は雨が降ると警戒能力が半減するそうですから、ミサイル発射は晴天の日にお願いしたいものですが、拉致犯罪も原爆開発も解決の目途が立たない時ですから、何かやるのではないか?と思っていたら案の定でしたなあ。韓国の李大統領なら、「黄海が危なくて渡れない」ことを理由に北京五輪を欠席するくらいの面白い事が出来ないのでしょうか?噂によりますと、北朝鮮国内では今年の食糧不足は相当に深刻だそうですから、食糧援助の催促なのかも知れませんが、チベットで暴動騒ぎが起こっているのですから、北京市の庭先みたいな場所で物騒な玩具で遊ぶのは止めて貰いたいものです。

北京五輪の内と外 その七拾壱

2008-03-28 19:34:35 | チベットもの
■日本一国を相手にする時には、恐れを知らない居丈高な態度を貫くことの多いチャイナですが、さすがに世界中が相手となると勝手が違うようです。今週になって欧州、特に東欧諸国の中に「北京五輪ボイコット」を表明する国が現われたのには慌てているでしょうなあ。想像しますには、欧州諸国にとってチャイナとモンゴルは区別が付かないので、チベット弾圧事件の映像から、チンギス汗の悪夢が遠い歴史の記憶から蘇っているのかも知れません。日本とは違って欧州ではダライ・ラマ法王に関する報道は多いようなので、「チベットVSチャイナ」という話になると半眼びいきでチベット側に同情が集まり易いとも考えられます。更にもっと確かなことは、スターリン時代の非常に不愉快だった最近の記憶が生々しく蘇ってしまった!

■モンゴル帝国の大西征に関しては、過剰に脚色された残虐なイメージが再検討されているようで、多くは被害者意識が生み出した妄想も多いとか……。でも一般的には恐ろしいタルタル(モンゴル)人のイメージは根強いのでしょうなあ。ロシア語では今でもチャイナは「キタイ」と呼ぶそうで、遼帝国を建てた契丹族とチャイナとの区別が、少なくとも地名の上では無いようですから、チャイナの弾圧がモンゴルの恐怖を連想させる可能性は有りそうです。まして、一党独裁の社会主義国家が何をするのかを身を持って知り尽くしている国々は、やっと忘れかけた嫌な歴史を思い出してしまうのは間違いないでしょう。そうなれば、「どうして五輪大会を開催するんだろう?」と我が事として考え込んでしまうでしょうなあ。


……ドイツの与党、キリスト教民主同盟(CDU)に所属するポレンツ連邦議会外交委員長は25日……「(北京五輪の)ボイコットを排除すべきでない」と強調した。ドイツ政府は公式にはボイコットしないとしているが、シュタインマイヤー外相は22日付の独紙で、独裁者ヒトラーの政権下で行われたベルリン五輪(1936年)に言及した上で「昔とは事情が異なる。テレビで華やかな五輪を放映し、裏では騒乱が続いたままという事態は通用しない」と中国当局を痛烈に批判した。ドイツ政府は先週、チベット問題に抗議するため、地球温暖化対策支援の対中交渉を凍結、中国政府に事態の改善を強く求めている。

■チンギス汗とスターリンだけでなく、何とヒトラーの思い出まで蘇ってしまいましたぞ!本当なら、やっと裁判が始まるポル・ポト政権の悲劇を経験したカンボジアでも悪夢が蘇って来るはずですが……。


フランスでも25日、サルコジ大統領が「あらゆる選択肢を持っている」と語り、五輪開会式のボイコットもあり得るとの考えを示した。仏世論調査機関のCSAが24日公表した国内世論調査では、53%が開会式のボイコットに賛成し、反対(42%)を上回った。サルコジ大統領は同日、中国とダライ・ラマ14世との対話再開に向け、仲介の用意があると呼び掛けている。

■外交上手なフランスですから、ぎりぎりまで正義の味方面をして見せる一方で、あれこれと北京政府と交渉して恩を売る工夫をするのでしょうなあ。ダライ・ラマ法王はフランスにも多くの友人を持っているので、間も無くマスコミに著名人達からの熱いメッセージが続々と発表されると思われます。デモ行進が得意な国民でもありますが、手始めにパリ市内にも多いチャイニーズ飯店に閑古鳥を鳴かせてみせるのでしょうか?


英国のミリバンド外相は25日、五輪のボイコットに同調しないと表明したが、チャールズ英皇太子は五輪の開会式に出席しない方針という。皇太子はダライ・ラマの支持者として知られ、今年初めには、チベットの人権問題に取り組む活動家とも面会した。ダライ・ラマの5月訪英の際には、ブラウン首相だけでなく、チャールズ皇太子も会談する予定という。

■英国も外交上手です。最も早い段階からチャールズ皇太子の「欠席の可能性」を匂わせておいて、この段階でも決定との発表はしませんなあ。地味で慎重なブラウン首相は、次のロンドン五輪が控えているので、北京政府が自分の事は棚に上げて逆恨みでもされて、開催を妨害するようだと面倒ですから、渋々、職責上の判断をするはずです。


……ローマ法王ベネディクト16世も23日、復活祭のミサでチベット問題に言及した。「人間性に対する災いはしばしば無視され、時に故意に隠される」と語り、中国を間接的に批判した。五輪のボイコット問題は28、29の両日、スロベニアで開かれる欧州連合(EU)非公式外相会合でも議題となる見通しだ。
2008年3月26日 産経ニュース

■「世界宗教者会議」などで、ダライ・ラマ法王とバチカンを始めキリスト教国の宗教指導者とは知り合いなので、「間接的」な批判の声はどんどん増えて行くことでしょう。特にバチカン内部には、北京政府が教区の人事に露骨な介入をした事に腹を立てている勢力が居るはずですから、「間接的」な批判に痛烈な毒を仕込んで発表し続けるかも?

北京五輪の内と外 その七拾

2008-03-28 18:38:16 | チベットもの
■亡命中のダライ・ラマ法王が、欧米の著名な科学者と濃密な対談を行って、その記録が日本でも出版されているのですから、チベット仏教にはまだまだ衰えない魅力と文化としての価値が有るのです。鳴り物入りで始まった「西部大開発」も何が誰のために開発されたのか分からない結果になりそうですし、日本以上に「地方自治」を認めて本当の民族融和を進めないと北京の五輪大会は史上最悪の歴史を作ってしまうかも知れませんぞ。

……07年の中国の財政収入は5兆1300億元(約76兆9000億円)で、対GDP比は20.8%。世界平均は25%以上で、先進国になると35%から50%に達する国もある。……財政支出に占める教育費の割合は15%~16%に上り、先進国並みの水準に達していると強調。苦しい国家財政の中、各省政府が良く努力したと評価した。
3月27日 Record China

■「特色ある社会主義市場経済」の実情は、脱税と海外への不正送金の天国のようですなあ。中華2千年の歴史は世界一の「秘密結社」の歴史とも言われるように、各種経済指標は謎が多くて専門の研究者でも特殊な「係数」を用意しないと実態は見えて来ないようです。アフガニスタンやらアフリカやら、血みどろの内戦が起こっている場所にはメイド・イン・チャイナの武器弾薬が大量に販売されている事実も有りますし、金やら原油やら小麦やら、異様な高騰を起こしている資金も、東京の土地が奇妙な値上がりをしたのもチィナ・マネーの悪戯だという真偽不明の噂も有るようです。北京五輪を当て込んで、無理を重ねて世界レベルの超高級ホテルを作るのは結構ですが、大手を振って税金を逃れた大金で投機ゲームに乱入するのは遠慮して欲しいものです。そんな金があるのなら、インドシナ半島にばら撒かれたメイド・イン・チャイナの地雷を撤去して欲しい!


2008年3月2日、北京の調査会社大手「零点調査」(horizon)が昨年9~11月に行った教育満足度に対する民意調査によると、現在の教育体制に「満足」と答えた人は57.4%に達した。反対に「不満」とした回答の要因として最も多かったのは、教育費の「乱徴収」。中国では、義務教育の頃から様々な名目の教育費が家計を苦しめているという。北京紙「北京晨報」が伝えた。 ……「満足」の割合は都市部より農村部の方が多く、特に農村での「義務教育費の無料化」が高い評価を得た。「比較的満足」、「非常に満足」を合わせると57.4%に達した。

■無料ならば、何語の授業であれ、どんな内容の教科書であれ、我が子に教育を受けさせてやれるのなら有り難い!というのは世界共通の親心です。しかし、無料で配布される教科書の中にトンデモない事が書かれているのを字を読めない親には知る由も無いとしたら……。


「不満」と答えたのは12.6%で高学歴層で特に多かった。そのほか、「まあまあ」が3割を占めた。「不満」の要因として最も多かったのは、義務教育で横行している高額な「学校選択費」。子供を早いうちから少しでも良い学校へ入れるべく、「越境入学」に奔走する親も多い。その際、高額な「学校選択費」が徴収される。入学合格点に満たなかった場合、1点1万元(約15万円)で点数を買い取るケースも珍しくないという。

■しつこいようですが、どうしてこんな国が五輪大会の開催地になったのでしょう?「学校選択費」は役人や学校に対する「賄賂」でしょう?世界記録も金メダルも「選択費」で買えるかも?「中東の笛」はオイル・マネーを燃料にして鳴るそうですが、北京五輪では何を燃料にするのでしょう?開催国が多めにメダルを獲得するのが近代五輪の習慣らしいのですが、有力選手が原因不明の体調不良を起こしたり、奇怪なアクシデントに見舞われても、真相究明は先送りされそうですなあ。IOCはすっかり北京政府に取り込まれていることは、チベット騒乱に関する寝ぼけたコメントを聞いただけでも分かりますが、本番で疑惑の不祥事が続出した時にはどんなコメントを披露するのか、ちょっと楽しみです。

■とても小さなニュースですが、チベット騒乱の時期には見逃せない話が入って来ました。


27日午後2時40分ごろ、大阪空港(伊丹)を離陸した大分行き日本エアコミューター(JAC)2365便ボンバルディアDHC8-402型機が上昇中、客室内の気圧低下を示す警告灯が点灯し、同2時55分に同空港に引き返した。乗客乗員34人にけがはなかった。JACによると、離陸後に操縦室内の警告灯が点灯し、客室の気圧状況を示す計器でも気圧の低下が確認された。同空港で機体を詳しく調べている。
3月27日 時事通信

■今回のラサ暴動に関して、槍玉に上がっているのが「青蔵鉄道」の開通による漢族の流入増加と観光産業の美味しいところを漢族資本が独占して経済格差がますます拡大した皮肉な現象です。世界で最も高い場所を走るのが自慢の高速列車は、「カナダの飛行機メーカー」が設計・製造した!と皆様のNHKが特集番組で報道していましたが、その航空機メーカーこそ恐ろしいほど頻繁に危険なトラブルを起こすカナダのボンバツディアなのですなあ。これまでは着陸用フラップが下りないだの車輪が出ないなど、パイロットの腕で何とか対処可能なものでしたが、とうとう空気が漏れる「減圧」事故が起こってしまったようです。たとえ地上を走っているので「墜落」の心配はないとは言っても、標高5000メートルを越える高地で急に気圧が下がったら、間違いなく深刻な高山病になってしまいます。