旅限無(りょげむ)

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ロシアの陰の日本 其の弐

2006-03-16 10:32:35 | 外交・情勢(アジア)
■ロシアには歴史的な負の遺産が沢山残っているのですが、知らぬ存ぜぬで通す無神経さが勝っているようです。小さな声で北方領土問題を指摘しても、まったく聞く耳など持ってくれません。全面的に信用出来ない隣国ではありますが、もう少し上手に付き合う術を日本は早く身に付けなければなりません。

旧ソ連構成国のグルジアで、ソ連に占領されてきたグルジア近代史を伝えるための「占領史展」が今春、国立博物館内にオープンする。グルジアからは旧ソ連を継承したロシアに対し、損害賠償を求める動きもある。プーチン・ロシア政権がかつてのソ連邦諸国に対する姿勢を強めるほど、ソ連・ロシアの歴史認識をめぐる問題がさらにクローズアップされそうだ。ロシアの日刊紙ガゼータによると、占領史展の構想は、グルジアのサーカシビリ大統領が、同国にソビエト政権が樹立された1921年に赤軍と戦って死んだ同国の若い士官らを追悼した記念碑を訪れた際に明らかにした。

■このニュースは余り日本では大きく扱われませんでしたが、今のロシアを考える時には重大な意味を持っていますぞ。

 
大統領は「若い世代は英雄的に死んでいった士官たちを例に、いかに祖国を愛し、敵と戦うか学んでいる」と強調。こうした「グルジアの英雄の存在を知り、深く学ぶため」、国立博物館内に「グルジアにおける占領史」展を創設すると語った。同展示では、グルジアでメンシェビキが独立を宣言した1918年から91年のソ連崩壊までを取り上げ、当時の写真や新聞の切り抜き、祖国防衛に当たった兵士たちの所持品などが展示される。ラトビアやエストニアでも「ソ連による占領時代の数々の悪夢」を展示した「ソ連化の歴史」博物館が開館している。また、ロシアの日刊紙ブレーミャ・ノボスチェイによると、グルジア議会では、同国からの分離・独立に動く南オセチア自治州とアブハジア自治共和国との紛争が続くのは、同紛争に介入するロシアに責任があるとしてロシア当局を相手取り、損害賠償請求を訴える動きが出ている。請求額は少なくとも150億ドル(約一兆八千億円)だ。産経新聞 - 3月11日

■クレムリンの巨大な会議場で拍手喝采の大会を開いていたソ連時代、各地の代表者が笑顔で大仰な拍手をしている姿を撮影したフィルムが山ほど残っていますが、心の奥にはこうした怨念が渦巻いていたという事です。但し、ウラル山脈の東側には元々国などなかったので、こうした怨念を抱く人達は居ません。中央アジアにはスターリンの「民族政策」によって強引に移住させられた人達の子孫が暮らしていたり、探検や毛皮取り引きで一山当てようとやって来た人達の子孫も暮らしているでしょうし、その後は僻地(へきち)手当てに魅力を感じて移住して来た人達の子孫が一番多いようですなあ。ロシア帝国と清朝とが接触したのは17世紀の1689年の「ネチンスク条約」締結で、300年かけて今の領土を画定しているわけですが、1858年の「アイグン条約」以来のアムール川に沿った国境線が画定したのは今年の事です。


ロシアのプーチン大統領は今月21、22の両日、中国を公式訪問するが、今回は両国間の戦略的友好関係の強化が目的で、パイプライン建設などエネルギーを中心とした経済協力やイランの核開発といった国際問題での協調が焦点となる。ただ、中国側はロシアに対し、対日歴史問題でも同調するよう働きかけており、今回のプーチン訪中に合わせ、対日外交で中露両国が連携を探る動きが出る可能性も指摘されている。

■先の記事のように、ソ連が崩壊したらあちこちから歴史的怨念が噴き出しているというのに、北京政府はグルジアやバルト三国にとっては被告になっているロシアと一緒になって、日本に「正しい歴史認識」を迫ろうと言うのですから、何が何だか分かりません。時が至れば旧満洲、内モンゴル・ウイグル・チベットには、続々と「歴史博物館」が新設されるに違い無いのですが、日本包囲網を広げるためには何でもする心算なのでしょうなあ。ロシア側でもイランの核開発をダシにして国際政治のスポットライトを浴びようとしている一方で、シベリアのパイプラインをダシにして日本をオチョクッております。


イタル・タス通信によると、プーチン大統領は「中国におけるロシア年」の開幕に参列するほか、胡錦濤国家主席と首脳会談を行い、二国間関係、国際情勢で中露の結束を強化する予定。両首脳は両国経済界代表のフォーラムにも参加する。訪問では、日中両国が競合する太平洋石油パイプライン建設で、中国への支線建設について合意をめざすほか、天然ガスパイプライン敷設でも調印を予定しているとされ、「エネルギー問題が中心となる」(駐ロシア中国大使)見通しだ。

ロシアの陰の日本 其の壱

2006-03-16 10:31:49 | 外交・情勢(アジア)
■ムネオ議員が失脚してから、対ロシア外交はすっかり話題にならなくなってしまいましたが、国際的な重要懸案事項には、常にロシアが顔を出して存在感を示しているのですから、隣国の日本が蚊帳の外で他人事のように眺めているというのは芸の無い話です。■

14日付のロシア紙ブレーミャ・ノボスチェイによると、極東のサハリン(樺太)で住民の大陸部への大量移住が続き、人口は1991年のソ連解体時の80万人から15年間で53万8000人まで激減した。近く70の居住区が廃村として行政処理される。死者2000人を出した95年の北部の地震後、1度に4万人が脱出するなど人口減が「破局的な速度」で進んでいるという。戦後サハリンへの定住を奨励した旧ソ連は、50年代末に特権を廃止し、多くの島民が脱出したが、同紙は「第2の離島の波」(同紙)が押し寄せているとしている。

■樺太の南半分は日ソの「懸案事項」だったはずなのに、すっかり「サハリン」は一体化していると日本の新聞も納得しているようですなあ。東へ東へと「移住」し続けたロシア人の後、レーニンやスターリンが色々と特権やら特別給与を与えてソ連の国民を追い立てて人口を維持していたのですが、元々、ロシア人達はそんな所に棲みたくはないんです。皆、モスクワに住みたい!と思っているのです。でも、領土は1センチでも広げて置きたい病的な執念が世界一の土地を保有させています。


一方、サハリン州が管轄する北方領土は人口増が進み、択捉(えとろふ)、国後(くなしり)、色丹(しこたん)3島で計1万8000人に近づいている。14日に国後島を訪れたイスハコフ極東管区大統領全権代表は「(4島では)島民の意識が変わり、出生率も増加し、否定的要因による流出のテンポが低下した」と述べた。 時事通信 - 3月15日

■サハリンでは環境破壊など物ともしない乱暴な天然ガス田の開発も進んで、今更、日本が領土問題を騒ぐ気配も無いのですから、更に南の北方領土に人口が移動してくれれば、プーチンさんにとっても喜ばしい事でしょうなあ。数ヶ月前には、新しいロシア正教の教会堂が新築された!とのニュース映像が流れましたが、日本側から良く見える場所にぽつんと建っている教会堂は、絶対に領土は減らさないぞ!のメッセージだろうと思っていたら、案の定、もっと分かり易いモニュメントが建ったのでした。


インタファクス通信は10日、1945年2月のヤルタ会談で第二次世界大戦の戦後処理を協議したスターリンら米英ソ3首脳の銅像が、北方領土を管轄するサハリン州の州都ユジノサハリンスクに設置されると報じた。州議会が要請し、モスクワの銅像製作者が承諾した。ヤルタ会談はソ連の対日参戦の条件として千島列島とサハリン(樺太)南部をソ連に引き渡すことで合意。プーチン大統領も2月の会見で、北方領土問題をめぐりヤルタ・ポツダム体制の堅持を強調しており、銅像建立はロシアの北方領土領有を正当化する狙いがある。時事通信) - 3月11日

■「東京裁判」の違法性はヤルタ会談から発しているようなものですから、本当はヤルタ会談の問題を忘れずにしつこく騒ぐ世論が必要なのですが、日本は世代が進むに従ってこの国際「謀議」をすっかり忘れてしまったようです。戦後教育の成果でしょうなあ。その一方で、「南京虐殺」だの「従軍慰安婦」だのは熱心に覚えなければならない現代史は、やはり歪(いびつ)ですなあ。ソ連のあちこちに立っていたスターリン像はフルシチョフのクーデターによって一斉に撤去されて、ボルゴグラード(旧スターリングラード)にしか残っていないと言われていたのですが、苦しい時のスターリン頼みは靖国神社以上のメッセージを持っていますぞ。しかし、スターリンは領土をぐいっと広げた反面、人口はごっそり減らした人でしたから、人口が減り続けている樺太に銅像を建てても効き目は無いでしょうなあ。


人口減少が社会問題化しているロシアで、昨年1年間で人口が約73万5000人減り、減少幅が2004年の約69万4000人より拡大したことが、連邦国家統計局の23日までのまとめで分かった。少子化に加え、自殺や交通事故、アルコール中毒による死亡が減少に拍車を掛けている。統計局によると、今年1月1日現在のロシアの人口は約1億4270万人。05年1月1日時点に比べ約0・51%減った。政府は、このまま放置すれば50年までに人口が約1億人に急減すると予測、プーチン大統領も対策を指示しているが、医療水準の低さなどが背景にあり、対策は容易ではなさそうだ。共同通信 - 2月23日

■医療費が増え過ぎて困っている日本とは事情が随分違うようですが、日本も毎年3万人も自ら命を絶つ「自殺大国」である点は同類相憐れむ仲とも言えそうです。交通事故とアルコール中毒とを結び付ける視点が日本には欠けているのが心配ですが、ロシアは強いウォッカという分かり易い酒が有るので、ウォッカの壜(びん)を手放せないロシアのアル中は凄まじい姿をしているので、そのまま交通事故や自殺に結び付けるのは簡単なのでしょうなあ。日本でも「飲酒の習慣」の有る人の自殺率が高いという統計数字も発表されましたが、「アルコール中毒」という言葉は刺激が強過ぎてマスコミも使い難いようです。「飲んだら乗るな!」と言われても、「分かっちゃいるけど、止められない」と植木等さんの歌みたいな事を言って飲酒運転してしまう人の多くは、立派なアル中である可能性が高いはずなのですが、御神酒(おみき)や御屠蘇(おとそ)の文化は酒を憎めないのでしょうなあ。

飛び散るチャイナ 其の弐

2006-03-15 20:53:02 | 外交・情勢(アジア)
■世界からエネルギー資源と食糧を買い集める一方で、余剰人口を外に吐き出すのは問題ですなあ。書類を偽造して偽親類になることぐらいは何でもないでしょうし、39000人というのは正規の手続きをして却下された人達ですから、密入国して不法滞在している人は含まれて居ないところが怖いですなあ。

中国側が身柄の引き取りに応じたのは、昨年わずか800人。過去5年間でも、2580人にとどまっているという。米国ではメキシコ、中国などからの不法移民の増加を受け、国境管理の強化や移民法改正の議論が高まっている。今年十月一日からは、不法移民らの施設収容を徹底する方針であるだけに、米当局は経費負担や収容能力の面から、収容者の滞留が長引くことにいらだちを強めていた。今回指摘された約39000人は、密航から滞在資格の失効まで違法性はさまざまなようだが、最終的に米国への移民申請を却下され、米国に滞在できなくなった点では一致していた。中国人不法移民の収容長期化で、相手国・地域の経費負担が増大するケースは1990年代から主に東アジアで頻発しており、各国・地域当局とも中国政府の対応の鈍さを非難していた。ワシントンの中国大使館では、AP通信の報道に対して、コメントしていない。産経新聞 - 3月15日

■米国には「嫁不足」の問題は無いようで、「お見合いツアー」が組まれたという話も聞きませんが、こちらから招かなくても押し寄せるのですから、日本も考えた方が良いでしょうなあ。その内、お嫁さんの「押し売りツアー」が出現するかも知れませんぞ。これまでのチャイナの歴史的サイクルでは、王朝末期の戦乱期には大量の流民が発生して外国に人口が流出し、新王朝に変わると税収を上げる為に厳しい鎖国政策を採って出国は厳禁で、帰国は歓迎する、その繰り返しだったそうですが、「経済発展」だの「世界最大の市場」だのと囃し立てる一方で、「一人っ子政策」に続く棄民政策が採られているようですなあ。無駄飯喰いは外国に逃げ出しても知らん振り、金の卵を産みそうな在外同胞は「海亀」とか呼んで好待遇で呼び戻す。単純労働の職を見つけた者も、外貨を稼いで仕送りしてくれれば大助かり……。そんな虫の良い事がいつまでも続くはずは有りません。

■京都議定書の問題でも、国連安保理の常任理事国なのに発展途上国枠に平然と名乗りを上げられる神経がスゴイですなあ。平和憲法被爆国の日本からODAという「施(ほどこ)し」を受けながら、米国と勝負出来る核武装した軍隊をせっせと作っているのですから見上げたものです。


北京で5日から開かれていた中国の第十期全国人民代表大会(全人代=国会)第4回会議は14日閉幕した。閉幕後に記者会見した温家宝首相は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「靖国問題の解決なくして両国関係の順調な発展は極めて困難だ」と述べ、同問題が日中関係改善の障害であると指摘する一方、「政府間の戦略対話の推進」など関係発展への三条件を挙げ、「首脳以外」で関係強化を図る姿勢を強調した。温首相は、日中関係悪化の原因は「中国にも日本国民にもなく、日本の指導者にある」と述べた。実質的な小泉首相への非難だが、名指しを避けたのは次の指導者を牽制(けんせい)するとともに、対中感情が悪化する日本国民に配慮する姿勢も示したものだ。

■これが「内政干渉」ではない、という感覚もユニークです。日本側が北京政府の人事に注文を付けた事など一度も有りませんが、北京からも注文はいろいろと厳しいようですなあ。大使館に「御用聞き」を常駐させていると、こういう事になるのでしょうなあ。それは外交官とは呼びません。


昨年3月の会見で温首相が対日関係に前向きな発言をし、これに反発するように大規模な反日デモが発生した。今年は、こうした事態が再燃しないようにするためにも靖国神社問題への対応が一層硬化したといえる。李肇星外相は7日の会見で、ヒトラーの名を挙げつつ日本の指導者は「愚かで不道徳」と言い放った。その一週間後の会見で温首相は、靖国神社参拝反対の立場を明確にしたうえで、「ポスト小泉」を念頭に、対日関係改善にも触れた。

■中国共産党内の派閥争いのトバッチリを喰うのは中曾根さんの時代で終わりにして欲しかったのですが、日本の政府にはその時の思い出がしっかり刻み込まれているようで、引退した中曾根さんはいろいろと小泉総理に注文を付けています。あの時、胡耀邦さんを庇うという理由で靖国参拝を止めたのですが、その胡耀邦さんはしっかりと失脚してしまって靖国カードだけが残ったのでした。


全人代は14日、貧富の格差是正などを盛り込んだ政府活動報告などを採択。最高人民法院(最高裁)と最高人民検察院(最高検)の活動報告の採決では、批判票(反対・棄権)がそれぞれ約22%と約18%に上った。産経新聞 - 3月15日

■司法部門に対する反対票には、「やり過ぎだ!」という変な票も含まれているのではないでしょうか?本気で格差是正を推し進めたら、党の幹部のほとんどが刑務所送りになってしまいそうな状況のようですから、この批判票は胡錦涛体制に対する誰かさんの牽制だと考えた方が良さそうですなあ。人民解放軍まで巻き込んで国内が混乱するような事になると、「政治亡命者」が大量発生して、亡命希望先に選ばれた国では受け容れにてんてこ舞いさせられそうですなあ。大阪市が税金を投入して広大な埋立地を作っていますが、そこにバラックでも建てて収容施設を準備するのでしょうか?

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飛び散るチャイナ 其の壱

2006-03-15 20:51:34 | 外交・情勢(アジア)
■フランスの学生暴動は、大学生に高校生まで加わって激しさを増しているそうです。海外メディアは物騒な映像を刻々と配信しているようですが、全国人民代表者会議を何とかシャンシャンと終わらせた中国共産党幹部は固唾を飲んで衛星放送を見詰めているのではないでしょうか?就職先が無くて暴れる学生はフランスよりもひと足早くチャイナの各地に出現していますし、フランスの暴動は企業側の人件費削減を理由にしているので、一応の説明は付きますから政府と学生との話し合いも可能でしょう。しかし、チャイナの怒りは体制の腐敗そのものに起因しているので、話し合いなどに応じたら第三次天安門事件が勃発してしまいます。今度は学生の大群に混じって「訴訟村」からもどっと人々が繰り出して来るでしょうから、広場から長安路に溢れた人々が市街戦を始めるでしょうなあ。

■かつてのルーマニア騒動でチャウシェスク夫妻が死刑に処せられた映像を観て、父親が心底怯えたと伝えられる北朝鮮の将軍様も、御同様にフランスの暴動を熱心に注視していることでしょう。その日は近いと誰もが思っているのですからなあ。今頃、偽札や偽煙草の恒常は閉鎖されてしまったのでしょうか?隣の中国では知的財産を守ろう!と共産党が声を嗄らして叫んでおりますぞ。


韓国各地で13日、大変珍しい気象現象である黄色い雪が観測された。中国北部の砂漠地帯から舞いあがった黄砂が混じったもので、汚染物質も含まれており、人体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、気象庁では黄砂警報を出して注意を呼びかけている。韓国では砂嵐に見舞われることはよくあるものの、黄色い雪が観測されるのは非常にまれで、気象庁関係者も「今まで黄色い雪を見たことがない」と話している。ロイター - 3月14日

■風と雲の動きから考えれば、春の黄砂が流れて来るルート上で起こった現象です。近々、西日本にも飛来するでしょうなあ。春の雪が長引きそうですから、日本でも黄色い雪見を楽しめそうですなあ。お礼に中国大使館を取り囲む人も現れるかも知れませんが、早めに気象庁から情報を仕入れて、中国大使を招いて黄色い雪見の宴を開いてあげたらどうでしょう?「その内赤い雪も降りそうですなあ」ぐらいの事を言ってお酌をしてあげると日中関係にも良い影響が期待でします。簡単に「北中国」などと言っても、甘粛・青海・ウイグルと辿れば、何が埋まっているか分からない原爆実験場や核廃棄物の廃棄場が並んでいるのですぞ!韓国と共同で汚染物質を細かく調査してしっかり損害賠償を請求しましょう。


甘粛省・蘭州市にあるアスベスト工場の研磨用施設で、13日16時(日本時間17時)ごろ、爆発事故が起き、落ちてきた鉄管の下敷きになるなどして、女性作業員1人が死亡、3人が重傷を負った。14日付で蘭州晨報などが伝えた。この事故で、同工場にある面積が約70平方メートルある研磨用施設は屋根が落ち、窓ガラスが割れるなど大破した。警察などが原因を調べている。中国では有害性が少ない種類のアスベストは製造が認められている。
サーチナ・中国情報局 - 3月15日

■法律を守る人がどれくらい居るのかが問題で、「有害性が少ないアスベスト」などと言ったら、「全てのアスベスト」と同じだと解釈する人が多いような気がしますなあ。元々、「公害訴訟」などという文化の無い所ですから、情報がだんだん入ると、「ああ、これが○○病か!」と気が付く人が増えて行くでしょうなあ。寒冷地が多いのですから、値崩れを起こしているアスベストを吹き付けた断熱材が大量生産されていると考えた方が良いでしょう。雪や黄砂に紛れて毎年日本に降り注ぐのでしょうか?


国際的な原油価格の高止まりを受けて、広東省が2006年2月に輸入した液化石油ガス(LPG)の平均価格が1トン当たり639.2ドルとなり、過去最高を記録した。前月比で42.9ドルの上昇。南方日報が伝えた。広東省が06年2月に輸入したLPGは前月比26.4%増の32.3万トン、輸入額は35.5%増の2.1億ドルだった。06年1月及び2月に輸入したLPGは計57.8万トンで、中国全体に占める割合は77.1%、輸入額は計3.6億ドルで、中国全体に占める割合は78.3%だった。……税関の関係者は、「原油価格の高騰が続いており、しばらくはLPGの価格も高値で推移するのではないか」と述べている。サーチナ・中国情報局 - 3月15日

■広東省は暖房不要の温かい場所ですから、このLPGは内陸部への転売も多いのでしょうが、現地で煮炊きに使ったり化学製品の原材料にしているのでしょうか?原油の次にはガスが値上がりして、中級の鉄鋼製品は作り過ぎて値崩れを起こす。いつ世界の食糧相場が高騰するのか、家畜飼料に使う穀物相場が急騰したら、世界中に飢餓が広まるかも知れないというのに、熱効率の良い美味しい炒め物やら揚げ物料理を楽しんでいる場合では有りませんぞ。その油を搾る作物もだんだんと不足して大量に輸入しなければならないでしょう。


米国土安全保障省のチャートフ長官は14日、中国政府が米国内で移民申請を却下された中国人約39000人の身柄引き取りを拒んでいることを明らかにした。AP通信とのインタビューで同長官は「自国民の引き取りですら米国と協力しない国のために、われわれはもはや現状通りに支出を続けることはできない」と述べ、納税者の負担する収容経費が「膨大な支出」となっている状況を訴えた。

この紋所が目に入らぬか! 其の参

2006-03-15 15:26:46 | 政治
■ただでさえ、技術革新の連続でビデオの VHSとベータの戦いのように敗れた機種も企画も消滅するような騒ぎが起こったり、最高の評価を得ていた機械なのに、一定の期間が過ぎると部品交換が不可能になったりして、結局は修理が利かずに泣く泣く使えるはずの名機を捨てねばならないという理不尽で、「勿体無い」を国際語にしようという時代に逆行するような事態がちょくちょく起こるというのに!IT技術が進歩して何でもかんでもブラック・ボックスの中に仕舞いこまれてしまう時代ですが、修理が利く真空管を使った機械など無くしては行けない名品が数多く存在しているのですから、こういう法律を考える時には、よくよく文化や歴史を勉強しなければなりませんぞ。リサイクルを進めるのか止めるのか、はっきりして貰いたいですなあ。

■「ビンテージ」物には特例を認めると言っても、高級酒じゃあるまいし、どれをビンテージと呼ぶのか?それを誰が決めるのか?誰にも分からない尺度など出されたら、ますます混乱してしまいますなあ。お役人にはこういう理屈が分からない。絶対に間違いを認めないし、恥ずかしいとは思わない。本当に、あのシールは誰が作ったんだろう?役人の失敗や犯罪をあれこれと穿(ほじく)り出すような下々の者は目障りで仕方が無い!これがお役人の本音でしょう。トドメのニュースはこれでしょうなあ。


米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、読売新聞記者が、同社の課税処分に関する取材源の証言を拒んだことの是非をめぐる裁判の決定が14日、東京地裁であった。藤下健裁判官は「記者が得た情報が、国家公務員の守秘義務に反して得られた可能性がある場合、取材源の開示を求めるのはやむを得ない」と述べ、取材源を明かすよう命じた。記者側は、東京高裁に即時抗告する。

■「守秘義務」をどうのこうのと言うのなら、今のウィニーによる情報流出問題をもっと深刻に受け取るべきでしょうなあ。自分の領分では情報管理など端(はな)から注意を払わず、不祥事に関して仲間内から密告者が出るのを気にしているのなら、「守秘」がひっくり返っていますぞ!この裁判官は実に変な、そして時代遅れの石頭のようですなあ。一体、どんな勉強をして来たのでしょう?こういう案件にこそ「裁判員制度」を導入すべきでしょうなあ。数々のスキャンダルが週刊誌の記事から発覚して裁判所で有罪になった事犯が沢山有ったはずですが、この裁判官は六法全書しか読まないのかも知れませんなあ。それなら世間常識とは程遠いアホな判決が出るのも理解でしますが…。


……記者側は「情報源の秘匿はジャーナリズムの鉄則」として証言を拒絶。同社側がこの当否を判断するよう求めていた。決定は、情報源が仮に国税庁職員など政府職員の場合、課税情報を記者に伝えることが国家公務員法の秘密漏洩(ろうえい)罪に当たると指摘。「このような場合に証言拒絶を適法として認めると、犯罪行為の隠ぺいに加担することになる」とした。さらに決定は、記者が取材源を明かすことで政府職員らからの取材が難しくなったとしても、「法秩序の観点からはむしろ歓迎すべき事柄」と述べた。

■「法秩序」とは何なのでしょう?自衛隊は違憲で即刻廃止?各省庁の「設置法」を無限に拡大解釈して税金の無駄使いし放題?個人情報保護法遵守で人の名前も聞けない?何とも窮屈で危険な世界像をこの裁判官は「歓迎」している事になりそうです。それに「守秘義務」がいつの間にか「秘密漏洩」に話が移っているのも変ですなあ。社会保険庁のチンピラ役人が、有名人の年金情報を娯楽代わりに覗いて楽しんでいた事件が有りましたが、あれで懲戒免職になった者は居なかったと記憶します。役所が情報を握って一切外に出さず、中では国民の情報を玩具にして遊んでいても良い?何と恐ろしい国でしょう?勿論、エライ裁判官様の悪口なんかを言っては行けないのでしょうなあ。


そのうえで決定は、読売新聞記者が証言拒絶した21項目の質問のうち14項目について「理由がない」とした。民事訴訟では、職業上の秘密に当たる事柄について証言を求められた場合、証言拒絶が許される。記者側は、「情報源の開示を強制されれば、取材に協力してくれる人がいなくなる」と主張していた。証言拒絶を認めない判断が確定した後も、記者が拒絶を続けると、罰金や拘留などが科される。

■「問答無用」という事ですな?新聞を開いても週刊誌を買っても、「官報」の丸写し記事しか読めなくなるなら、それはオーウェルの『1984』の世界が現出します。この裁判官にとっては理想的な「歓迎すべき」世界なのでしょうが、多くの人間にとっては命懸けで「脱北」したくなる世界ですぞ!


問題となったのは、同社に対する日米両税務当局の所得隠しに関する課税処分について報じた1997年10月10日の読売新聞記事。同社は「米政府が情報を日本の国税当局に流したことから、誤った課税処分が報道される結果となり、信用が失墜した」として、米政府を相手取りアリゾナ連邦地裁に提訴した。この訴訟では読売新聞のほか、NHK、共同通信の各記者が嘱託尋問を受け、同様に取材源に関する証言を拒絶をした。このうち、NHKの記者については昨年10月、新潟地裁が証言拒絶をすべて妥当とする判断を示している。読売新聞東京本社広報部の話「取材源が公務員の場合、記者に証言拒絶権はないとする特異な判断で、報道を制約し、国民の知る権利を損なう。ただちに即時抗告し争う」読売新聞 - 3月15日

■昔のロッキード裁判のように、捜査資料が米国から一方的に押し付けられたら誤審の元ですし、グローバル化が進めば犯罪も国境を跨いでどんどん巧妙化して複雑になりますから、一流のジャーナリストは世界中に情報源を確保しなければならなくなります。米国を揺るがしたウォーター・ゲート事件なども、報道した新聞記者にピューリッツァー賞でなく逮捕状が届く事にもなりそうですなあ。「お上には常に正しいのだから、下々の者が胡散臭そうの嗅ぎ回るんじゃない」と言いたいのでしょうが、権力は絶対的に腐敗する!という言葉をこの裁判官は知らないのでしょうなあ。「小さな政府」も結構ですが、「まともな司法」を早急に立て直さないとエライことになりそうです。ガンバレ!読売新聞!

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この紋所が目に入らぬか! 其の弐

2006-03-15 15:25:54 | 政治
■防衛施設庁が代々取り仕切っていた天下り算定方法で、一体、どれ程の税金の無駄遣いが行なわれたのか?天下ってから掠(かす)め取る高額な給料だって、公共工事から上がる不当な利益から支払われるわけですから、その分も談合落札価格に上乗せされている勘定です。保釈金の400万円にしても、出所は税金に間違いないわけです。これなら談合・天下りは「やり得」ですなあ。お役人がよってたかって田原元審議官の身の振り方は責任を持つに違い有りませんから、集団の利益には何の傷も付きませんなあ。

自民党国防部会の「防衛施設庁入札談合等の再発防止に関するプロジェクトチーム」(浜田靖一座長)は14日午前、防衛庁の信頼回復に向け、監察官制度の新設など組織改編に関する提言をまとめた。防衛庁長官を直接補佐する「監察官」(仮称)1人と「監察官補」(同)数人を配置し、庁全体の内部チェック機能を強化するよう求めた。このほか、防衛施設庁の解体と防衛庁への統合を前提に、地方組織も含む具体的な組織改編案を提示。施設庁建設部の工事計画、設計、積算などの業務については独立行政法人など別機関への移行を打ち出している。共同通信 - 3月14日

■「官」を見張る「官」を新設しても、泥棒に牢屋の番人をさせるようなもので、同じ穴の狢(むじな)同士、仲良くやってしまうのではないでしょうか?また一つポストが増えたなあ、とお役人は大喜び!


長崎県は14日までに、県職員と教職員の眼鏡購入のため県職員互助会と県教職員互助組合に支出してきた補助金を、2006年度から廃止する方針を決めた。県職員厚生課などによると、県は眼鏡の購入や修理のため1人当たり2年に1回、限度額1万5000円のうち半額を補助。残り半額は互助組織の掛け金から助成してきた。04年度に県が県職員互助会に支出した眼鏡購入費の補助金は約900万円で、05年度も約740万円を支出予定。

■喧嘩を売るわけではありませんが、「伊達メガネ」やサングラスなども対象だったのでしょうか?眼科の医師から診断書は貰っていたのでしょうか?そもそも眼鏡不要の職員に支給した事は無かったのでしょうか?大阪市のスーツ支給と同じで、2年ごとに眼鏡を新調していたら10年で5個、20年で10個ですぞ!目玉は2個でしょうからコレクションを楽しむのでしょうか?眼鏡が必要なほど本でも読んだ方が良いでしょうなあ。世の中に溢れている悲惨な話を書いた良書を読んで少しは世間の厳しさを勉強した方が良いでしょうなあ。


昨年1月に京都府が同様の眼鏡補助を打ち切ったことを契機に、事業を見直し。06年度からは掛け金だけで助成する。県職員厚生課は「民間の意見を取り入れ、県民の理解も得にくいことから見直した」としている。同様の眼鏡補助金は、全国の自治体で廃止が続いており、山梨県も06年度から廃止予定。共同通信 - 3月14日

■冗談としか思えないような「補助金」や「手当て」が地方自治体には山のように有るらしいですから、一つずつ笑いながら潰して行くしかないのでしょうなあ。長崎、京都、山梨の役所に行くと、眼鏡を掛けている人についつい目が行ってしまいそうですなあ。目が合ったら噴き出してしまいそうですが、失礼ですから我慢しましょうね。


電気用品安全法(電安法)によって4月からPSEマークのない古い家電製品などの販売が禁止される問題で、経済産業省は14日、リサイクル業者らが古い製品に絶縁試験を簡単に実施してPSEマークを取得できるよう、全国約500カ所に検査態勢を整備するなどの対策を発表した。古い電子楽器などはPSEマークなしで販売できる制度を設ける。同省は六月までに十分な態勢を整えるとしている。経産省によると、全国の都道府県や市町村、電気保安協会を通じ、中小事業者を対象に絶縁試験の受託検査の実施や検査機器の貸し出しを行っていく。電気保安協会は6カ月間、無料の出張検査サービスも行う。経産省は、独立行政法人の製品評価技術基盤機構や産業技術研究所を通じて検査機器を数100台購入し、人的支援も行う方針だ。

■典型的なお役所仕事で、独りよがりの代表的な行政ですなあ。既にあちこちから非難の声が轟々と上がっているので、この馬鹿馬鹿しい制度に関しては省略しますが、あの「PSEマーク」というシール自体に注目しますと、あのダサさと安直さ、ど素人の小学生にも書ける人をバカにしたようなセンスの悪いデザインは、まさかプロのデザイナーを雇って作ったのでは有りますまいな?!あんなフザケタものに税金を使っていたとしたら許されませんぞ!新聞やテレビに晒される度に、経済産業省のお役人は恥ずかしくないのでしょうか?


一方、ビンテージものと呼ばれる古い電子楽器やオーディオ機器、映写機などは希少価値や文化的価値が高いうえ、検査の負荷で損傷する恐れもある。このため同法の例外規定を適用し、旧電気用品取締法に基づく表示があれば、簡単な手続きでPSEマークなしで販売できる「特別承認制度」を設ける。音楽愛好家などからの「音楽文化が破壊される」との声に配慮した。産経新聞 - 3月14日

■松下電器が莫大な広告費を使って死亡事故を防ごうと必死になっているのは有名ですが、問題なのは製品が新しいか古いかではなく、不良品かどうかなのではないでしょうか?危険な食品や機械は排除されねばなりませんが、そちらの摘発に力を入れないで、製造年度で安易に線を引いてリサイクルの可否を決めるなどという馬鹿馬鹿しい制度を考え出した奴の顔が見たいものです。1000ボルトとかの高圧電流で付加を掛けて壊れない事が判定基準なのだそうですが、強烈な電磁波や異常電流が発生する核戦争でも想定しているのでしょうか?それなら日本は早く核武装して報復能力を持つ方が先決ですぞ。

この紋所が目に入らぬか! 其の壱

2006-03-15 15:24:55 | 政治
■世の中にリストラの嵐が吹いて気が付いたら正社員という、昔は何でもなかった身分が、一種の特権階級のような響きを持ってしまう時代になったようです。労働組合の組織率も壊滅的に低下したし、労働者を代表する政党も無くなって、財界はどんどん団結力を強めるのに、毎日、「サービス残業」で過労が解消できない労働者はその日を暮らすので精一杯のばらばら状態のようです。そんな世相を反映してか、お役人を一律5%減らそう!と政府が言い出しましたが、即座にお役所からは様々な理由を付けて「無理!」「不合理!」「不可能」などの「拒否」の意思表明が出されました。

■役人は体制の種類に関係なく、常に増え続けるもので、役人の存在理由は「ポスト名」だけですから、「ポスト」が有る限り、そこに配属される役人が絶対に必要だと考えるのがお役人様の理屈です。ただ、椅子に座っている「ポスト」が設置されているのなら、椅子に座っている役人が必要なのです。それはそうと、最近、民主党のスットコドッコイ議員に「腹を切れ!」と古風な事を言った渡辺恒三さんは、テレビの時代劇でお風呂に入って大人気の由美かおるさんから水戸黄門の「印籠」を貰ったとハシャイでいるそうです。マンネリ茶番劇が大好きなのは自由ですが、野党第1党の国対委員長が権力を象徴する「道具」を振り回している図はマヌケに見えますなあ。あれも「問答無用」の象徴ですぞ!

■役人よりも中央も地方も政治家が有り余っている方が大問題なのですが、役人を減らせば経費も少なくなるし行政サービスも向上すると単純に信じている人が多いのか?割とこの小泉改革は評判が良いのだそうです。しかし、無能な役人や悪質な役人の割合が一定のまま役人全体の数が減れば、不親切で無能な面はそっくり保存されてマンパワーが落ちるのですから、行政サービスの質は必ず悪化するという理屈も成り立つのです。問題なのは、碌な仕事もないのに妙な手当てがべたべたとくっ付いている無駄なばかりか、税金の無駄遣いにしかならない待遇を死守している無能な役人と勘違い政治家の群なのですがなあ。


外務省が、海外で飲酒運転して死亡事故を起こした職員2人の処分を、「停職1か月」で済ませていたことが、14日に閣議決定された、鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に対する政府答弁書で明らかになった。1件は92年9月、モロッコの首都ラバト市で、職員が飲酒運転で帰宅途中、タクシーに追突し、その弾みでスクーターの現地人を死亡させた。もう1件の国は明らかになっていないが、別の職員が99年12月、飲酒運転で清掃車に追突し、乗っていた清掃作業員を死亡させた。2人は現在も外務省に籍を置いている。

■日本に駐留している米軍の兵士が時々不祥事や凶悪犯罪を起こすと、米軍の対処が甘い!と騒ぎになりますし、身近なところでは学校の先生や地方公務員が飲酒運転や危険運転をすれば、ほとんど例外なく懲戒免職になったと報道されるものです。しかし、国家公務員、キャリア、そして外務省となれば特別待遇が保証されているようですなあ。これもムネオ議員のお手柄で出て来た外務省スキャンダルですが、在外公館での不祥事は、マスコミ関係者の資格や保護を任務としている関係からか、日本に伝わらないまま闇から闇に葬られてナアナアの処理が続いているのでしょうか?交通事故でも殺人は殺人です。それも海外での日本の評判が落ちるよう原則禁酒のイスラム国で、飲酒しての不祥事となれば国益に反するトンデもない大事件ですぞ!外務省の国際感覚は歪んでいるようですなあ。


人事院が2002年に改定した国家公務員の「懲戒処分の指針」では、飲酒運転による死亡事故を起こした場合は懲戒処分で最も重い「免職」が妥当としている。事故発生当時はこうした指針がなく、各省が独自に処分を決めていた。外務省人事課は「同じ事故が今起きれば、この基準で処分を決めるだろうが、当時の処分を今の基準で評価するのはフェアではない。当時どうやって処分を決めたかは分からないが、過去の例などをもとに決めたと思う」と話している。答弁書によると、92年9月以降に他省庁の国家公務員が飲酒運転で起こした死亡事故は34件で、このうち13件で免職となっている。
読売新聞 - 3月14日

■「バレなきゃ何をしても良い」「過ぎた事は仕方がない」こんな寝言を言っていたら、北朝鮮とどうやって交渉して拉致事件を解決するのでしょう?始めから足元を見られているでしょうなあ。まさか、北朝鮮の謀略組織と仲間意識などが生まれているのではありますまいな?!まだまだ、密輸疑惑や闇レートでの両替商売など、在外公館に隠されている問題は多いので、ムネオ議員には頑張って欲しいものです!民主党に愛想を尽かした良識有る議員はアホな執行部など放っておいて、ムネオ議員と共闘して外務省問題をぐいぐいと追及したら名誉回復が可能ですぞ!


防衛施設庁が発注した土木建築工事の談合事件で、東京簡裁は14日、競売入札妨害(談合)の罪で略式起訴された同庁の田原敬造元技術審議官(72)や鹿島、大成建設などゼネコン8社の各幹部や担当者ら計9人に対し、それぞれ罰金50万円の略式命令を出した。8社の各幹部らは米軍岩国基地などの工事計7件で、元技術審議官生沢守被告(57)=同罪で追起訴=らと共謀し、自社が筆頭の建設共同企業体(JV)が落札できるように協定したとして、同日略式起訴された。同様に略式起訴された田原元審議官は、同庁側が主導する各工事の官製談合で、ゼネコンとの連絡役を務めたとされる。一方、東京地裁は同日、生沢被告の保釈を認める決定をした。保釈保証金は400万円で、生沢被告は即日納付し、東京拘置所を出た。
共同通信 - 3月14日

■何だか、正体不明の金の延べ棒を隠していた金丸信さんが30万円だかの罰金払って一件落着の時と同じ違和感の有るニュースですぞ。

弁護士が引き籠り?

2006-03-15 01:28:52 | 社会問題・事件
■自分の思い通りにならない現実にぶつかると、自分がコントロールできる機械や玩具や各種ソフトで築き上げた小さな「要塞」に逃げ帰って鍵を掛けて社会との一切の接触を絶つ、これが「引き籠り」の端緒となる事が多いそうですなあ。母親などの生命の源となる者から食糧を奪いながら、自分の欲望と共鳴する情報によって偽造して勝手な桃源郷を偽造して現実との妥協を拒否するようになると、いよいよ生活時間もずれて事態は深刻になるようです。生ぬるい羊水に浮かんでいた子宮時代に戻ろうとする病的な異常心理とも解釈される困った精神の闇の中に沈み込んで自分は正しい、自分は傷ついてはならない、保証のしようも無い絶対の肯定を必死で求める恐ろしい戦いの日々が内面では続いているとも言われます。

■何かと便利になっている環境が恐ろしい物に思えたら、冬は極寒で夏は酷暑、飲み水と食べ物を必死で探し回らねばならない本当の恐ろしさを経験すれば簡単に事態は改善するという説も有るようです。しかし、「引き籠もり」問題と難しさは、そんな現実とぶつかりたくない本人と、そんな可哀想な事は出来ないと頑張る周囲の人々が居る事の方らしいのですなあ。それが肉親だったり、訳知りが顔のカウンセラーだったり、または専門の公務員だったり……。通常は、職業に付いている社会人と「引き籠り」になってしまった人とは別の世界に住んでいると思っておりましたが、何と、それが同一人物である場合が結構多いのかも知れない、と思ってしまうニュースが飛び込んできましたぞ。


山口県光市の本村洋さん(29)宅で1999年、妻(当時23歳)と長女(同11か月)が殺害された事件で殺人罪などに問われ、1、2審で無期懲役の判決を受けた同市内の元会社員(24)(犯行時18歳)について、最高裁第3小法廷は14日、死刑を求める検察側の上告を受けた口頭弁論を開こうとした。だが弁護士が2人とも出廷せず、弁論を開くことができなかった。

■昔の労働運動には「順法闘争」という名の奇妙なサボタージュ戦法が有って、通勤通学の列車が法定の安全基準を厳守してのろのろ運転をして利用者に多大な迷惑を掛けておりましたなあ。しかし、弁護士にもサボタージュが有るとは知りませんでした!これでは弁護士抜きの裁判を認めざるを得なくなる事を、この弁護士先生は承知の上でサボっているのでしょうな?!確かに、柳生新陰流か何かに「負けない極意は戦わぬこと」などという分かったような分からんような極意が有るそうですが、宮本武蔵には通じないでしょうし、全ての格闘技やスポーツにも合致しない屁理屈のように聞こえます。格闘技のゴングが鳴って、この極意を残してリングを降りたら控え室まで無事には帰れないでしょうし、マラソンのスタート時点で同じ事を言ったら全ての走者が消えた後、ぽつんと残ったこのランナーがどんな目に遭うのか心配ですなあ。


改めて4月18日に弁論期日を指定したが、死刑求刑の事件で弁護士の出廷拒否は異例。訴訟遅延行為に当たる可能性もあり、浜田邦夫裁判長は法廷で「極めて遺憾」と、弁護士を強く非難する見解を読み上げた。この事件では、書面審理中心の最高裁が、弁論を開くことを昨年12月に決めたことで、死刑を相当とする判決になる可能性が出ている。死刑廃止運動を進める安田好弘、足立修一両弁護士が、今月6日に辞任した弁護士に代わって就任。「日本弁護士連合会が開催する裁判員制度の模擬裁判のリハーサルで、丸一日拘束される」との理由で、この日の法廷を欠席した。

■「リハーサル」と「本番」を天秤に掛けて「リハーサル」を優先させるとは、一体、どういう了見なのでしょう?練習試合でしか勝てない、などというのは三流選手の代名詞ですぞ!死刑廃止を強く求めるのなら、寝ぼけた弁護士商売などしていないで、それを旗印に政党を立ち上げる運動に邁進していればよろしい!この安田弁護士という人は、一日でも多く麻原尊師を生かしておく事に生涯を掛けておられる人との事ですが、世界的にも遅延が指摘される日本の裁判制度を改善しようとしている時に、手段を選ばずに審理を進めない努力をしているようですなあ。そもそも、この人が「本番」をすっぽかして出かけた「リハーサル」は、裁判を早く進める目的で発案された「裁判員制度」ではないですか!

■更に言えば、この制度のは、世間知らずのトンデモ判決を出す困った裁判官の影響力を削ぐ目的も有るそうですぞ!その前に弁護士の中に紛れ込んでいる勘違い秀才を駆逐しておくべきなのかも知れませんなあ。


これに対し、検察官は法廷で、「審理を空転させ、判決を遅らせる意図なのは明白」と述べ、弁論を開いて結審するよう要請。浜田裁判長は「正当な理由のない不出頭」と述べたが、結審は見送った。安田弁護士らは今月7日付で、弁論を3か月延期するよう求める申請書も最高裁に提出しているが、翌日却下されていた。安田弁護士はこの日、「被告の言い分に最近変化があり、接見や記録の検討を重ねる時間が必要。裁判を長引かせる意図はない」とする声明を出した。読売新聞 - 3月14日

■この安田弁護士という人は、自分の神聖な使命に酔っ払っているのでしょうが、法律に不備が有るのなら、立法府で働くべきですし、そもそも、そんな法律を守る弁護士などという仕事に就く事が変なのではないでしょうか?内部に潜入して破壊工作をする007気取りならば、大きな迷惑ですなあ。少年犯罪としては最高刑に当たる「無期懲役」が連発されている裁判の上告審ですから、死刑か否かだけの問題です。死刑廃止ならば完全なる「終身刑」の創設が必要だとも言われているわけですが、現行の法律では問題の有る死刑囚だけが終身犯と同じ扱いを受けるだけで、長くても10年少々で出所して「更生」を期待する事と暗黙の了解が出来ているようです。

■18歳で他人の家に上がり込み、若い母親を半殺しにして強姦した上殺害、1歳に満たない娘を床に叩きつけて殺してしまったばかりか、安田弁護士のようなナイーブな救世主が現れて、目出度く「無期懲役」となって猫を被って「7年間」と、もう指折り数えて出所後の「楽しみ」を思い描いているとも聞きます。再犯率の高さが問題になる性犯罪に殺人癖まで混ざり込んでしまっている犯人を「更生」させたいと願うのは、一見、崇高な姿と思ってしまう向きも有るでしょうが、何だかヒーロー・アニメを24時間見続けている困った若者と重なってしまいますなあ。

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悲しき日中関係 其の弐

2006-03-14 19:57:21 | 外交・情勢(アジア)
■貰える物は何でも余分に貰うけれど、出す話になると「猛反発」するのがあちらの流儀です。何とも恐ろしい話ですなあ。そんな国を相手に海底資源の争奪を「話し合い」で決着させようと言うのですから、日本の政府は頭がどうかしているのでしょう。

米国は13日、国連通常予算の分担率決定に当たり、購買力平価の概念を導入することを盛り込んだ独自案を国連総会第5委員会(行政・予算)に提出した。米国案によれば、中国の分担率(約2・1%)は大幅に引き上げられ、日本を追い抜く見通し。この日の第5委員会では、日本も安保理常任理事国の分担率に最大5%の下限を設け、中ロ両国に負担増を求める自国案について説明した。予算拠出額で1、2位を占める日米両国が中国の負担増を目指す姿勢で一致し、同国が反発を強めるのは必至。中国の張義山次席国連大使は日本案について、「受け入れられないし、実現の可能性もない」と言明した。時事通信 - 3月14日

■自分でも拠出金を出し渋っている米国に言われたくはないでしょうが、元々中国が国連を尊重するはずなど無いのですから、日本代表も単なる「嫌がらせ」で提案しているだけなのでしょうな?まさか、本気で「話し合い」を試みようなどとは思っていますまいな?!


中国の温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)閉幕後、北京の人民大会堂で記者会見し、台湾の陳水扁総統が中台間の段階的統一を目指した「国家統一綱領」などの事実上廃止を表明したことについて、「『1つの中国』原則に対する公然の挑発であり、両岸(中台)の平和安定を破壊するものだ」と強く非難。その上で、「事態の発展を注視し、発生し得る一切の結果に対応する準備を進めている」と述べ、武力行使を含めた強硬対応を示唆した。時事通信 - 3月14日

■「反日」ばかり騒いでいても、自分の首を自分で絞める結果になりそうなので、人民の心を一つにまとめるには「台湾奪還」の方が手っ取り早い!と人民解放軍が騒ぎ出しているのではないでしょうか?渡海能力とミサイルの性能を向上させているのですから、何をしようとしているかは明らかですぞ。台湾を飲み込んだらオマケとして尖閣諸島もイタダキですからなあ。事が始まったらゴチャゴチャ言うに決まっている国連など、本当は脱退したのに常任理事国の椅子を手に入れてしまったから仕方なく入っているようなものです。その内、日本に100兆円くらいで売りつけるかも知れませんぞ。分割払いで買おう!と言い出しそうな外務省が怖いですなあ。


温家宝・首相は14日、第10期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の閉幕にあたって記者会見を行い、今回の会議で大きな注目を集めた「新農村の建設」という方針について説明した。…温・首相は「農業、農村、農民の問題は中国の現代化にかかわる根本的な問題だ」として、「農村振興は内需の拡大につながり、経済発展の基盤をさらに強固なものにする」と主張。さらに、農村のインフラ建設を整えることなどにより、生産と農民の生活の条件を改善すること、農民の民主的権利、特に土地に関する「請負生産」の自主権を保障するとともに、農民の意思を尊重すること、農民の現実的な利益を確保することが必要だと指摘した。
サーチナ・中国情報局 - 3月14日

■「農村のインフラ」など、建国以来ずっと放置しているのも同然なのに、広大な農村地域で本気で実現出来るとは、温家宝さんも考えてはいないのでしょう。水も電気も医者も学校も無い、偶に来るはずの回覧板も無いような広漠たる貧困地帯で、一体、どんなインフラを整備するつもりなのでしょう?結局は日本にODAの増額を申し込んで来るだけなのではないでしょうかな?沿海部の経済成長よりも、奥地に抱え込んでいる「貧困」そのものを武器にしてタカって来るのは目に見えているのですが、外務省はちゃんと準備は出来ているのでしょうか?可哀想な鈴木茂さんが、未来の日本の姿では目も当てられませんぞ!奇跡でも起こって鈴木茂さんには是非とも回復して頂いて、手記を発表して貰い、各地で講演会を開いて変な結婚斡旋業者を告発する運動の代表になって貰わねばなりませんなあ。心より、ご快癒をお祈り申し上げます。

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悲しき日中関係 其の壱

2006-03-14 19:55:46 | 外交・情勢(アジア)
■千葉で発覚したインシュリン殺人の騒ぎは、国際結婚やら嫁姑問題やらの人生相談の定番を飛び越えて、もっと直截な守銭奴と素朴な農夫の物語になりつつあるようです。千葉の田舎の風景と浅草の風俗店が客寄せ用に作った写真とは、余りに違っているのが悲しいですなあ。

千葉県光町、農業鈴木茂さん(54)が糖尿病治療薬のインシュリンを大量投与されて重体となっている事件で、殺人未遂容疑で逮捕された中国出身の妻、詩織容疑者(33)の親族に送っていた仕送りなどを巡り、夫妻が互いに不満を募らせていたことが13日、わかった。千葉県警は、こうしたいさかいも動機につながったとみて調べる。関係者らによると、茂さんと詩織容疑者は中国での見合いを経て1994年9月に結婚。婚約時に中国の親族への仕送りを約束し、毎月、数万円を送金していた。

■千葉県警という所は、慎重なのか呑気なのか判断が分かれるところですが、中国からやってきた金の亡者には舐められていた事だけは確かのようです。一部マスコミの報道では、10年前の「殺人放火事件」の捜査本部がずっと捜査を続けているような話も有りましたが、テレビで見る限り、まさか全国捜査が必要な場所柄とも思えませんし、容疑者は2人しか出て来ないような事件のようですから、10年間もどんな仕事をしているのか、非常に興味が有りますなあ。警察の気も長いのですが、とうとう意識不明にされてしまった夫の方も、辛抱強いと言うべきか、呑気と言うべきか、周辺の人々も含めてのんびりした場所のようですなあ。


夫妻には長男(7)と二男(5)がいるが、いずれも2002年ごろから中国の親族に預けられ、これに伴って仕送りの送金額も増加。詩織容疑者も、子供に会うことや、日本人男性と中国人女性のお見合いの仲介をすることなどを理由に、度々、里帰りし、渡航費用がかさむようになった。このころから茂さんは友人に対し、「向こう(中国)の嫁さんをもらうと、仕送りなどがあって大変」と漏らすようになり、詩織容疑者も「私が自由に使えるお金が少ない」と近所の知人に話していたという。読売新聞 - 3月13日

■何も知らずに「お見合いツアー」でカネを巻き上げられ、野心満々の小娘に鼻毛を読まれ、両親が(何者かに)焼き殺され、2人の子供は取り上げられて日本国籍の中国人にされて、鈴木茂さんの12年間は何だったのでしょう?マスコミが探し出した風俗店(中国人エステ?)のHPには、1000万円もかけて変身した経営者兼従業員の奥さんの紹介写真が掲載されているのだそうです。この人にとっての日本という国は、相当に歪んだイメージで凝り固まっているのでしょうなあ。日本からの情報発信も良いですが、髪が金色になったり臍(へそ)を出して歩き回っている変わった娘さんの映像などばかりが流れて行くのは心配な事です。この奥さんは、芸能人にでもなって大金を稼ぎたかったのかも知れませんなあ。


国家広播電影電視総局(広電総局)は12日、テレビとラジオの放送局が全国的、または省をまたがるなど一部の地域を対象としたオーディション番組などを主催、放送する際の規則を発表した。この規則によって、オーディション番組やコンテスト番組の出場者は18歳以上に限定される。また、低俗な内容、奇抜な内容、そのような衣装・髪型などは禁止。また、地方予選の様子を衛星放送することも禁じている。今回出された規則は、中国で幅広い人気を集め、社会現象まで巻き起こした女性アイドル発掘のオーディション番組「超級女声(スーパー歌姫)」などの影響力の大きさを考慮しての対策とみられている。サーチナ・中国情報局 - 3月14日

■「靖国」「反日」と北京政府が騒いでいる足元では、日本から雪崩れ込んでいる偏った小娘大衆文化に翻弄されているのが今の中国のようです。北京よりも上海の方が間口が広いらしく、騒々しい音に紛れて歌っている姿は国籍不明の娘さんが沢山いるそうですなあ。その本場は日本だと思われるのも迷惑ではないでしょうか?そんな日本人ばかりではないですからなあ。


国連分担金の見直し交渉を協議する国連総会第5委員会(財政問題)で13日、小澤俊朗・国連三席大使が安保理常任理事国の分担率の下限を3%か5%に設定すべきだとの新提案を行った。これに対し、現在の分担率が2.1%の中国代表は「受け入れられない」と猛反発した。毎日新聞 - 3月14日

ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の参

2006-03-14 11:54:28 | 外交・世界情勢全般
■ドイツにはトルコ人ばかりでなく、トルコ経由でさまざまなイスラム教徒が入っているようですから、携帯電話などの電波を拾うのに大きな耳を持った飛行機が盗み聞きしようと飛び回ることも有るでしょうなあ。領空通過の問題は、レーガン時代にリビアのカダフィ大佐を爆殺しようと米軍機が首都トリポリに奇襲を掛けた時、英国は経由地として自国内の空軍基地を提供し、フランスは地中海への直線コースとなる領空の通過を許可したのでしたなあ。但し、許可する代わりに通過直後にリビアにその旨を通知して逆恨みされるのを防ぐという取り引きをしていたのがフランスでしたなあ。

フランスのシラク大統領が先月、タイを訪れた。核協力で合意するなどしたその後のインド訪問にばかり関心が集まったが、タイ訪問は実は時代を画する事件だった。300年以上に及ぶ両国の外交関係でフランスの国家元首がタイを公式に訪れたのは初めてだったのだ。
「アジアと欧州の外交関係が始まって以来、フランスは貴王国を友人と見なしてきました。ナライ王(17世紀のシャム=タイの前の国名=の国王)派遣使節の威厳に満ちた訪問はルイ14世とベルサイユの宮廷に深い感銘を与え、その記憶はフランスの歴史に刻まれています」

■物は言いようとは言いますが、これほど臆面も無くイケシャアシャアと歴史を捻じ曲げて粉飾して見せられる作文が掛けないと、一流国の外務省は駄目なのでしょうなあ。


タイとフランスの国交は320年前、太陽王ルイ14世統治下のフランスにシャムの大使館が開設されたことに始まる。プミポン国王夫妻による歓迎晩餐(ばんさん)会でシラク大統領は、150年前の修好通商条約締結、ほぼ50年前のプミポン国王の訪仏などにも言及し、両国の「長い友好関係」をうたいあげた。しかし、これはあくまでも外交辞令である。実際の両国関係は不信と対立の時代が長く続いた。欧米列強がアジア各国を植民地化する中で、タイが日本とともに独立を守り抜いたことはよく知られている。機を見るに敏なタイ伝統の外交術に加え、結果的に緩衝国となった幸運が大きかった。西と南から迫る英国、東から忍び寄るフランスに挟まれ、英仏ともにタイの独立を守ることで利害が一致した。

■日本とタイが仲良しなのは昔からの事です。先のブログ記事にも愛子チャンが上野(恩賜)動物園でタイから誕生祝に送られた象さんに初めて会ったニュースが隠匿されたのは怪しからん!と書きましたが、日本こそタイとの友好関係をどしどし宣伝すべきなのですぞ!


…カンボジアやラオスにまで広がっていた領土を次々とフランスに奪われた。フランスの軍艦がシャム湾からチャオプラヤー川をバンコクまで遡航(そこう)し、その威圧の下に領土問題などで屈辱的な要求を受け入れさせるという事件もあった。文字通りの砲艦外交である。シラク大統領は前述の晩餐会での演説で「欧州による植民地拡大の脅威にもかかわらず」独立を守り抜いたとタイの先王の英知をたたえた。まるでひとごとのような発言は、過去の歴史と重ね合わせると実に興味深い。映画「王様と私」に英国人女性家庭教師が主役として登場したように、総じてタイは英国の影響をより強く受け、フランスは近い存在ではなかった。第二次大戦が終わった後の両国関係も多分にタイの片思いだった。現在のタクシン首相だけでも二回、フランスを公式訪問していることからも、それはうかがえる。

■数年前にも、カンボジアの「アンコール・ワット」はタイの物だ!とタイの人が言ったの言わないのと、大騒ぎになりましたが、タイの領土はフランスが押し掛けて来るまでは今よりずっと大きかった事は確かです。但し、大活躍した悲劇の名称「山田長政」伝説はウソらしいですなあ。せっかく長谷川和夫さんが演じた綺麗な日本映画が有るのに残念です。


…最大の狙いは成長著しいタイ市場の開拓…タイの一人あたり国内総生産は2000ドルを超え、東南アジア主要国の中ではシンガポール、マレーシアに次ぐ。金持ちクラブといわれる経済協力開発機構(OECD)内では、新規加盟国の候補としてタイをあげる向きもあるという。シラク大統領のタイ訪問には外務、国防、経済など主要五閣僚が同行し、航空機メーカーのエアバスや重電メーカーのアルストムなどフランスを代表する企業の首脳約30人も加わった。タイ政府は最近、インフラ整備を中心に総額約5兆円にのぼる巨大投資計画を発表したが、訪タイに合わせて開かれた第1回フランス・タイ経済サミットでシラク大統領は自らこの計画に言及し、フランス企業の参加に強い期待を表明した。

■日本も呑気に構えているとトンビに油揚げを攫(さら)われますぞ!一時期は日本語学習熱が高かったのに、今では北京語教室が大繁盛だそうですなあ。売春とムエタイばかりに目を奪われていると、トンデモない事になるでしょう。


1962年に欧州を歴訪した池田勇人首相を「トランジスタ・ラジオのセールスマン」と揶揄(やゆ)したのはフランスのドゴール大統領である。そのフランスから多数のお供を連れて大統領自らフランスを売り込みにタイにやって来る-。これはやはり、時代の変化を象徴する訪問だった。在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真
産経新聞 - 3月9日

■まったくヨーロピアン・サンドウィッチは「食えない」連中が折り重なった危険な料理のようです。日本の明治政府は熱心に彼等に学んで、法律も軍隊も手本にしたものです。途中から米国が割り込んで来てうっかり計算間違いをした日本は酷い目に遭いましたが、その悲劇は場所を移して繰り返されるでしょう。戦後の核開発競争の時代を手本にする北朝鮮やイランが、ちょうど昔の日本と同じ立場に追い込まれているようにも見えますなあ。でも、核兵器の投げ合いになるのだけは御免被りますぞ!少なくとも、核の悲惨さを知っている日本は、その馬鹿馬鹿しさをもっと熱心に説いて回らねばならないでしょうなあ。勿論、隣の大きな国にもですぞ!

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ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の弐

2006-03-14 11:52:59 | 外交・世界情勢全般
■別に、プロヒューモさんが死去したのを記念して暴露したわけではないでしょうが、イランの核武装を何としても阻止したがっている自国の政府が、中東の核武装に協力していた事を公にするのは大変な事です。時期的に、第2次中東戦争を引き起こした負い目もあってイスラエルの要求に応じたのかも知れませんが、英国は中東にモメ事のタネを撒き続けているようなものです。イスラエルの核武装は英国などの特定の国に依存して進められたわけではないので、この僅かなプルトニウムがどんな役に立ったのかも分かりませんが、核武装をする権利が有るの無いのと、訳の分からない理屈を付けてイランを止めに掛かるのには問題が有ります。核武装は早いもの勝ちだと誰でも知っているのですからなあ。

12日付英紙サンデー・タイムズは、英当局幹部の話として、米政府が2012会計年度中にも製造する方針である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)トライデントの後継核弾頭について、英政府が自国での製造を視野に独自に設計を進めていると報じた。米国の研究よりも進んでいるという。英政府は、トライデント搭載の潜水艦が退役を予定する2025年以降の核戦力の在り方を検討中だが、戦略核を更新するかどうか明確な方針は示していない。更新すれば「イランのような国に核不拡散を訴える英国の立場を弱くする」との声も出ている。共同通信 - 3月12日

■こんな断片的な報道では何が何だか分かりませんなあ。B29がバカでかい原爆を腹に抱いてよたよた飛んで来る時代は去って、大陸間弾道ミサイルで地球上の何処へでも好きな時に好きなだけ原爆を打ち込める時代、これも同じ技術で打ち上げた軍事衛星が上空から覗いているので、相手が撃つ前に撃てるようになったので、ミサイルを地下か海に隠して発射準備段階が分からないようにする時代が続いているわけですなあ。北朝鮮や中国はせっせと穴を掘るモグラ作戦を採っているようです。本物と偽物の発射口を沢山開けておいて、地下トンネルの中をミサイルが移動して何処から飛び出して来るか分からないようにしています。でも、一番良いのは何年でも海に潜んでいられる原子力潜水艦に仕舞ってうろうろさせておく事だそうです。

■七つの海を支配した大英帝国も、空母機動艦隊までは造りましたが、原子力潜水艦やら長距離ミサイルとなると米国に助けて貰わねばならず、米国は協力する変わりに発射命令権を寄越せと迫ったそうですなあ。そこで英国が考えたのが、潜水艦もミサイルもお世話になるけれど、肝腎の核弾頭だけは自前で作るから発射命令権は渡さない、という策だったそうです。核弾頭がなければ通常爆弾のミサイルしか使えませんから、英国が核保有国の米国に刃向かうはずは無い、という取り引きが成立したという前置きが無ければこのニュースの意味がさっぱり分かりません。英国は立派な核保有国としての地位を失うわけには行かない!と決意しているという話です。何処かの海に世界一の原爆ミサイルを積んだ原子力潜水艦が居る限り、英国を核の標的にする国は無いという理屈です。ドイツは核武装する心配な無さそうですが、フランスは世界中が非難しても兵器で核実験をやり続けるような国ですから、国益が衝突したら狙って来るかも知れませんし、駄々っ子の米国も将来的には核で脅迫して来るかも知れません。それが欧州という場所の一面でしょうなあ。


イラク戦争に強硬に反対し、米国と対立したドイツのシュレーダー前政権が、独連邦情報局(BND)要員をバグダッドに開戦前から駐在させ、フセイン旧政権の首都防衛計画をひそかに入手して米軍に提供するなど、実際は裏で米国に協力していたとされる疑惑が独政界を揺さぶっている。独連邦議会(下院)の野党三党は近く、調査委員会を発足させ、真相究明に乗り出す構えだ。この疑惑は、米紙ニューヨーク・タイムズが2月末、「コブラⅡ」と呼ばれる米軍の機密資料をもとに報じたもので、2人のBND要員が開戦直前の二2003年2月、首都防衛に関する情報を作戦図とともに入手し、カタールの米中央軍司令部にいた別のBND要員を通じて米軍側に提供したとされる。3人はこの功績により、米軍側から勲章を授けられたという。

■これが外交と言う物ですし、情報戦そのものですなあ。米国のCIAや英国のMI6を出し抜いて極秘情報を入手して恩を売る。その上で国際会議ではイラク攻撃反対を言い立てる。情報も政治決断も全部米国に丸投げしている国とは違います。


この防衛計画はもともと、フセイン元大統領が02年12月18日、同国幹部を招集した特別会議の際に明らかにしたもので、イラクの陸軍と共和国防衛隊がバグダッドを四重に取り巻いて守り、米軍の進攻を食い止めるという重要な計画だった。独政府はこれまで、米軍による攻撃開始後もBND要員を現地に残す決断をしたことは認めたものの、米軍側に知らせたのは主に病院や大使館、モスクなど攻撃対象以外の場所だとして、「米軍への支援」は否定してきた。シュレーダー前首相はイラク戦争反対を唱え、02年9月の総選挙にまでそれを利用し、小差で勝利を収めた。今回浮上した疑惑がBNDレベルにとどまりシュレーダー前首相が関与していない可能性もあるが、前首相が仮に事実を把握していた場合には、国民から「二枚舌」と批判されかねない。

■これが本当だとしても、「攻撃対象外」の詳細な情報でも逆に考えれば、それ以外は攻撃対象となるわけですから、どちらにしても情報を提供して攻撃に協力した事になりませんかな?

 
こうした状況の中、野党三党(自由民主党、90年連合・緑の党、左派党)は10日、「政府の説明は不十分」だとして、17日にも調査委員会を設置することで一致した。調査委は、シュレーダー前政権が02年秋、キューバの米海軍グアンタナモ基地の収容所にドイツの治安要員を秘密裏に派遣し、拘束中のトルコ国籍の男性を尋問したことが適当かどうかも調査する。また、米中央情報局(CIA)の航空機が01年-05年にかけて、ドイツ上空を700回以上も飛行した目的を調査するなど、前政権と米国との協力関係を徹底的に洗い直す方針だ。…産経新聞 - 3月13日
(其の参に続きます)

ヨーロッピアン・サンドウィッチ 其の壱

2006-03-14 11:51:47 | 外交・世界情勢全般
■パンに具を挟んで食べる習慣が18世紀のイギリス、サンドウィッチ村で始まったなどという馬鹿馬鹿しい、何でも欧州中心主義を真に受けて子供用の資料にまで掲載していては行けませんぞ。メソポタミアやエジプト、インドなどのパン食先進国にサンドウィッチが無かったと考える方が変なのですからなあ。トランプが大好きな伯爵のジョン・モンタギュー 4世が、ゲームの合間に片手で食べられるように工夫したと言い触らしたのは博打仲間らしいですなあ。トランプ遊びが大好きな伯爵などと言うと聞こえは良いでしょうが、単なる博打好きです。相手を突き刺すような毒の有るジョークと博打は、今の英国にも欠かせない文化のようです。

■さてさて、イラクに攻め込むのに協力した「新しい欧州」と区別された「古い欧州」とに分けたのはラムズフェルド国防長官でしたが、古い方の親玉がフランスとドイツなのに対して、新しい方に英国が含まれていたのは奇妙でした。ドイツが大復活して巨大な「中欧」が出現するのでは?と疑心暗鬼に陥ったフランスとイギリスが別行動を取って自国の存在を主張したとも解釈できますが、要するに英・仏・独は昔から三つ巴でくっ付いたり離れたりして「世界」を揺さぶって来たのですなあ。「欧州史」の半分以上は、この三国の喧嘩と和解の物語のようなものです。EUに新しい希望を託して、東アジアにも同様の共同体を作ろう!と恐ろしい事を無邪気に主張する日本の学者さんも居るようですが、ちょっとナイーブ過ぎますなあ。

■欧州における鉄鋼会社の再編成でフランスは激怒しているそうですが、この国は米国に自由の女神を贈った革命仲間であると共に、何でも自分が世界一と思いたがる国です。先の大戦でも「世界一の防衛線」マジノ線をヒトラーに迂回されてころりと負けてしまい、英米に散々世話になって戦後に独立を回復しても、けろりとしていた国です。アメリカが主導した北大西洋条約機構(NATO)も国際連合も気に食わないので、NATO本部をフランスから追い出して自分も脱退するわ、国連分担金の支払いは止めるわ、イギリスが主導的に動いた欧州経済共同体(EEC)なんか加盟しない!と駄々っ子ぶりを発揮したのは有名な話です。

■1960年2月にはサハラ砂漠で原爆を破裂させて米ソ英に次いで第4の核保有国になったかと思うと、1964年には共産主義政権の中華人民共和国を承認してヴェトナムの権益を守ろうとして、結局失敗。巻き添えを食った米国は深い傷を負ったのでしたなあ。イスラム過激派に対してだけは、同類相憐れみ合ってブッシュ大統領に協力して「対テロ戦争」で団結はしてみたものの、イラク問題では仲たがいしていたばかりか、裏では抜け駆けと足の引っ張り合いをしていたようですぞ。


英国のリード国防相は13日、イラク南部に駐留する英軍のうち、「約800人を5月中に撤収して7000人規模に削減する」と発表した。国防相はかねて「撤収は、治安が比較的安定した地域から始める」と明言しており、自衛隊が活動するサマワを含むムサンナ県が対象地域となるのは確実な情勢。英軍の動きは自衛隊の撤収計画にも影響を与えそうだ。国防相は、本格的な撤収に着手する理由として、英軍が訓練を続けているイラク治安部隊の規模が、昨年10月の19万人から現在23万5000人にまで拡大するなど、地元の治安維持能力が高まっているなどの「戦術的な理由」であると説明。今回の撤収は「イラクに治安権限を移譲するという、政治運用上の理由からではない」と述べた。読売新聞 - 3月14日

■中東を掻きまわして大混乱を起こしたら放り出す、大英帝国時代からの悪い癖で、どうも英国は飽きっぽくて行けませんなあ。日本政府が「非戦闘地域」と認定しているような場所が、「治安が比較的安定」するのは当たり前の話で、いよいよ日本の自衛隊はだんだん薄着になって風邪を引きそうになりますなあ。最後は裸で砂漠に置き去りにされる可能性が出て来ましたぞ!これが外交というものなのですが、情報戦に最初から参加していない日本が貧乏籤を押し付けられるのは始めから分かっていたのです。小泉総理は任期を終えて、次期政権に後始末を「丸投げ」して失政の責任から逃げ切れそうな雲行きですなあ。


1960年代に英政界を揺るがし、旧ソ連を巻き込んで東西冷戦を象徴するスキャンダルとなったプロヒューモ事件の主役、ジョン・プロヒューモ元英陸相(91)が9日深夜、ロンドン市内の病院で脳卒中のため死去した。病院当局者が10日明らかにした。同氏は…マクミラン保守党内閣の陸相を務めていた63年、コールガール、クリスチーヌ・キーラーさん=当時(19)=との関係について下院で「一切やましいことはない」と証言したが、その後、偽証を認め、同年6月に辞任した。キーラーさんが在英ソ連大使館の海軍武官エフゲニー・イワノフ氏=94年に死去=とも関係していたため、機密がソ連に流れたとの憶測を呼んで政界を揺さぶるスキャンダルとなり、89年には映画化された。政界引退後は慈善事業に尽くし、75年にはエリザベス女王から叙勲された。ブレア英首相はBBC放送で、プロヒューモ氏に関し「重大な過ちを犯したが、(その後は)大勢の人を助けて償いの旅路を歩んだ。華麗な経歴の政治家だった」とコメントした。共同通信 - 3月10日

■さっさと手を切っていたフランスは、そら見たことかと笑ったとか笑わなかったとか…。007の国としては、一刻も早く忘れたい恥ずかしい事件でしたが、これでやっと「思い出」になり風化するのを待つばかりとなりました。その国には受信料を強制的に徴収する国営放送が有って、自国の政府に対しても容赦しない報道で国の内外から信頼を勝ち取っておりますなあ。


英BBCテレビは9日、英国が1966年、核兵器開発につながる恐れがある少量のプルトニウムをイスラエルに提供していたと報じた。BBCが情報公開法に基づいて入手した機密指定解除の公文書によると、イスラエルが当時のウィルソン英労働党政権にプルトニウム10ミリグラムの提供を要請したという。毎日新聞 - 3月10日
(其の弐に続きます)

ニュースの陰陽を考える 其の弐

2006-03-13 19:36:46 | 日記・雑学
■陽のニュースには陰のニュースを並べるとバランスが取れます。こんなニュースが余り大きく扱われずに粛々と流されていますぞ。

米ハワイで11日に行った在日米軍再編の日米外交・防衛当局の審議官級協議で、日本側は、在沖縄海兵隊のグアム移転費用について、民間資金を活用する融資方式で、米兵と家族の住宅整備関連費などを負担したい意向を米側に伝えた。米側の返済を求め、日本側の負担を減らすことで、国民の理解を得たい考えだ。米側は、融資方式に異論は唱えない一方、基地本体の整備費は無償支援で日本が負担するよう求め、今後、調整することになった。日米両政府は、20日以降に東京で審議官級協議を再び開き、月末に最終報告を策定、公表する予定だ。

■沖縄の米軍部隊が縮小するのは目出度い事ですが、現地で米兵相手の商売をしていた人達にとっては死活問題でも有るようです。駐留が長引けば、持ちつ持たれつの関係が深まるのは仕方がない事ではありますが、余り深くなり過ぎて「滞在費」の負担の上に、「手切れ金」まで支払わねばならないとは解せませんなあ。沖縄返還時にも、日本政府が米軍の撤収費用を実質的に肩代わりする「密約」が成されていた事が判明したばかりですが、今回のグアム移転に関しても税金の投入額を減らすために姑息な対応をしているようですぞ。


米側は2月の審議官級協議で、グアム移転費を総額約76億ドル(2005年度予算の換算レートで約8132億円)と見積もり、住宅整備関連費に約47億ドル(約5029億円)などと内訳を提示していた。その後、米側は一部を削減したが、インフラ整備費などを加算し、今回の協議では総額80億ドル(約8500億円)を大きく上回る額を示した。日本側は、住宅や生活関連施設の整備費について、国際協力銀行の出資を受けた民間企業が建設し、米政府から賃料などで返済を受ける方式にする方針だ。民間資本を活用して社会資本を整備する日本のPFI事業と類似した米国のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)制度を利用するものだ。ただ、この方式には、国際協力銀行が現行法で国外の米軍住宅建設に出資可能かといった課題が残っている。無償支援でも、国外の米軍施設整備に財政支援する新たな根拠法を制定する必要がある。
読売新聞 - 3月13日

■「国際協力銀行」には強面の取り立て屋は居ないようですから、踏み倒されたらそれまでのような気がしますなあ。米国がトンデモない事を言い出す前に、日本政府が何だかんだと気を遣って肩代わりするのは目に見えているのではないでしょうか?イラク戦争で史上最大の財政赤字を積み上げているというのに、次はイランと北朝鮮を一度に相手にするような威勢の良い事を言っている国ですから、特に北朝鮮に圧力を掛けてやっているんだぞ!と恩を着せられたら日本政府はグウの音も出ないのではないでしょうか?


日の丸と星条旗がカリフォルニアの空に揺れ、両国国歌が澄んだ空気に染み渡る荘厳な雰囲気。試合開始直後の1回表、息をつく間もなく、先頭打者イチローのバットから乾いた打球音が響きわたった。しかし、試合は8回の疑惑の判定で思わぬ展開に。本場米国で活躍するイチローが憤りを露わにした。「全員がフォーカスしてきた試合だけにこの結果は残念でならない」とイチローは試合後、珍しく怒りの表情を見せた。……「今まで夢にみてきたメジャーリーガーに日本が勝つチャンスがあったわけだから、ただただ残念でならない。君が代は日本での試合で聴いたことがあるが、野球の国に来て聴いた君が代はあらためて重みを感じた。こういう気持ちになったことも初めてだった」準決勝進出に向けて大事な2次リーグの初戦での敗戦で、自責の念に駆られる姿もあった。7回走者を得点圏に置いての打席。絶好の勝ち越しのチャンスに2塁ゴロに終わった。「あの展開でのチャンスはほとんどない。何としても打ちたかったが、100%僕のミスだった。投手に打ち取られたということではない。僕のミスによって発生したもの(凡打)です」……
夕刊フジ - 3月13日

■大リーグの大記録を塗り替える大活躍をしているイチロー君は、何とも頼もしい日本男児です。先頭打者ホームランを放って立派にチームリーダーの役目を果たしたのに、敗戦の責任は自分が打つべきヒットを打てなかった事だ、と断言するのも気持ちが良いですなあ。すっかり大リーガーになったイチロー君と、国籍など蹴っ飛ばして世界の王になっている監督とが日の丸を懸けて戦っております。ここまでは「陽」のニュース。


WBC日本―米国戦での日本の幻の勝ち越し点については12日、米国内などでも大きく報じられた。AP通信は、「疑問の余地がある判定が米国を助けた」との見出しをつけ、「日本が8回に岩村の左犠飛で均衡を破ったかのように見えたが、球審が他審判との協議の末に判定を覆した」と報じた。そのうえで、球審の「私が判断すべきプレーで間違った審判がコールしたために覆した」との声明を紹介。この球審は「1999年の労使紛争で失職した22人のうちの1人で、今はマイナーだが、大リーグレベルの審判」と付け加えた。

■野球の世界一を決めるという売り文句で商売しているくせに、国際試合なんだか国内試合なんだか分からない審判の配置が奇怪ですぞ!世界戦争の様相を呈するサッカーでは「ホーム」と「アウェー」と称して応援団と審判が試合の結果を左右する事を誰でも前提にしているようですが、何とも米国産の野球は、牛肉と同じで全部米国の判定に従わねばならないらしいですなあ。変なスポーツです。次の国際柔道大会は、全部日本人審判で開催したらどうでしょう?


さらに米国・リー内野手(カブス)の「判定が覆るなんてそうあることじゃない。我々は贈り物をもらった」との談話を載せるなど、判定が米国寄りだったとの論調で報じた。また韓国の朝鮮日報(日本語版ホームページ)は、「米国、日本戦で厚顔無恥な詐欺劇」との見出しをつけ、「大会の中継を行うESPN(スポーツ専門チャンネル)は当時の状況を何度もスロー画面で繰り返し放送した。3塁走者は捕球後にスタートを切っていた。明らかな誤審だ」との現地特派員電を伝えた。読売新聞 - 3月13日

■1次予選で日本を破っているので、「敵に塩を送る」余裕も有るのでしょうが、韓国チーム自身がトンデモ審判をされては適いませんから、日本に同情する振りをして「反米」ムードを盛り上げるのが韓国の作戦?でしょうなあ。そんな事はどうでもよろしいのですが、こうなったら、韓国と日本で協力してどちらかが「世界一」を奪う努力をすべきでしょうなあ。野球の世界まで「思いやり予算」を計上させられたら堪ったものではありませんぞ!あれは絶対にセーフで、日本が犠牲フライによって逆転していますし、その勢いで間違いなく勝った試合です。

■きっとイランや北朝鮮でも映像を入手して、朝から晩までねちねちと放送するのではないでしょうか?「これが米国の遣り口だ!」といい続ければ、最高の反米キャンペーンになりますからなあ、明日当たりホワイト・ハウスからコメントが出たりしたら面白いですなあ。まあ、世界の超大国も、地元の野球界は田舎者によって運営されているという事です。莫大な「思いやり予算」で優雅な日本生活をしている在日米軍の軍人さん達も、余り変わりはないのでしょうなあ。岩国市の住民投票に合わせるように米国文化の一面を見るというのも、ニュースの陰陽のバランスを取るのに役立ちますなあ。

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ニュースの陰陽を考える 其の壱

2006-03-13 19:35:44 | 日記・雑学
■ニュース報道にも、陰と陽が有るようで、その扱い方のバランスを崩すと本筋が見えなくなる危険がいっぱいです。新聞紙面の活字の大きさと記事の配置、ラジオやテレビの放送順と時間配分、それらが報道内容以上に大きく印象を変えてしまいますから、ご用心、ご用心。


皇太子ご一家は13日午前、千葉県浦安市の東京ディズニーシーを訪れた。ご一家での訪問は初めて。ご夫妻の長女敬宮(としのみや)愛子さま(4)は水色のオーバー姿。ミッキーマウスなどディズニーキャラクターの出迎えを受けた際には驚いた様子で雅子さまの手を握っていた。愛子さまは4月に学習院幼稚園(東京都豊島区)に入園が決まっており、入園後はご一家での行楽の機会は少なくなる。宮内庁によると、ご夫妻は入園前に「同世代の子どもがしていることを同じように体験させたい」と、この日の訪問が決まった。
 ご一家は、通常はアトラクションに使用しているクラシックスタイルのツアーバスに乗り込み、園内を見て回った。愛子さまの友達と家族も同行しており、午前中はディズニーシーを巡り、午後には隣接するディズニーランドを訪れる。毎日新聞 - 3月13日

■愛子チャンは生まれた時から天皇即位が決まっているようで、始めから「様」付けで報道し続けているのですから、小泉首相が「皇室典範」を改正しようと言うのは予定通りの動きだったのでしょうなあ。しかし、「女系」と「女帝」の違いも分からないような人が寄ってたかって「統計学」で皇位を法律で縛りつけようとするのは感心しませんなあ。運良く、秋篠宮家からお目出度いニュースがまるで皇室からの「意見」のように出て来て、小泉さんはもう知らん振りしているようです。後々、この偶然が小泉総理にとって最も運が好かった事例として記録に残るのではないでしょうか?

■雅子さんの体調が快方に向っているのは慶賀の至りですが、ディズニー・ランドを訪問したのが、そんなに大きなニュースなのでしょうか?抜群の国際感覚をお持ちの皇室ですから、この訪問には他のニュースとの関連も有るに違いない、などと邪推してしまいます。


皇太子ご一家は6日、東京・上野の上野動物園を見学された。愛子さまにとって初めての動物園で、友人の親子数人も一緒に訪れた。
 宮内庁東宮職によると、愛子さまは、誕生記念としてタイから贈られた2頭のアジアゾウのうち雌のウタイと初対面し、バナナを与えるなど楽しいひとときを過ごされたという。雄のアティはゾウ舎から出てこなかった。午前10時すぎから午後3時近くまで休園日の園内を回り、ジャイアントパンダなどを見た後、友人の親子らと弁当を広げて昼食。ワニやライオン、ゴリラの様子に歓声を上げて喜んだ。東宮職は、雅子さまや愛子さまへの負担を軽減したいとして、報道各社による現地での取材の要望を受け入れなかった。
共同通信 - 3月6日

■「喚声を上げて喜んだ」などと、共同通信社も不敬な表現を使うものです。取材を拒否されたにしても、タイとの友好を考えれば、ディズニーランドよりも、贈り物のゾウさんとの対面の方が遥かに重要ですぞ!宮内庁のアホな気遣いは国益に反します。まったくアホではないでしょうか?!これでは贈り主のタイ国の人々には何も伝わらないでしょうに!日本で暮らすタイの人達を呼んで盛り上がるくらいの智恵を使わねば給料泥棒です。別に、「パンダ」などを御覧にならなくても結構です。ディズニーランドの御訪問が「陽」のニュースなら、上野(恩賜)動物園の感動的な御訪問は、すっかり「陰」の扱いですなあ。報道機関はもっと工夫して、宮内庁の失敗を補ってくれなくては困りますぞ。


山口県の二井関成知事は13日、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機部隊移転受け入れを巡り「反対」が9割近くを占めた住民投票結果について「市長と市議会が話し合うと思う。それを踏まえてまとめられる市の意向を尊重して対応したい」と述べ、結果を重視する姿勢を示した。15日に井原勝介市長と会談し、市の最終的な意向について確認する。知事は県庁で報道陣の質問に答えた。反対が圧倒的多数となったことについて「(投票率が成立要件の)50%を超えれば最低8割以上は反対かなと思っていた。(基地を)歓迎する自治体はなく、予測の範囲内だ」と感想を述べた。

■「兵は凶事」と言いまして、戦争は縁起でもない忌むべきものと儒教も孫子の兵学も教えております。しかし、戦争は常に相手が有って起こる凶事ですから、相手を考えずに「住民投票」などしたら、「嫌い!」「うるさい!」の反対票が集まるのは当たり前です。米軍の世界的な再編成だの沖縄問題だの、尖閣諸島や北朝鮮の動向など、「住民投票」では一切考慮されないでしょう。それは、ゴミ処理場や斎場を近所に持って来られては困る!という住民エゴと同じものを、正体不明の「平和愛好」の美名に包んだ催し物でしかないでしょうなあ。誰でも、「戦争大好き!」とは言いませんし、「岩国が駄目なら何処が良いか?」も考慮しなくても良い投票なのですから、厚木基地周辺の住民の迷惑にも責任を持たなくても良い投票です。「全国の在日米軍は出て行け!」というスゴイ意見の表明であれば問題は巨大になりますぞ。

■本当に丸腰になって『憲法9条』に殉じてどんなテロ工作活動をされようが、何千人拉致されようがミサイルの標的にされようが、歯を食いしばってお祈りを捧げるか、全ての防衛力を自前で賄うかの選択ですからなあ。岩国市の住民投票と機を一にして在日米軍基地の周辺では様々な反対運動が起こっているようです。一見民主的な市民運動のようですが、日本の防衛力が減退する事を喜ぶ国が近隣に存在している事を忘れた平和祭りには問題が有るでしょうなあ。


今月末にも日米両政府が合意をめざしている米軍再編の最終報告については「いずれ国に県の立場を申し上げたい。岩国市の意見は重いが、もう少し整理したい。岩国市を含めた周辺自治体の意向を尊重したい」と述べ、今月末に上京して国に県の意向を伝える考えを明らかにした。二井知事はこれまで、国から示された騒音データなどを基に「生活環境は悪化しない」と受け入れ容認姿勢を示唆している。毎日新聞 - 3月13日

■岩国に移転するのは厚木の航空母艦艦載機で、その厚木は軍と民の共用空港にしたいと石原東京都知事が要望し続けている場所です。関東地方のあちこちに設置されている自衛隊の駐屯地と米軍基地の統廃合が必要なのですが、米軍は東京に重要な司令部を置く事を勝手に決めているのですから、日本側の要望を聞くつもりはないでしょうなあ。でも、多少でも日本側から地方自治体や住民の声を米軍に伝えるのは良い事です。これは「陽」のニュースと考えて良さそうです。