■昨夜、混乱と気休めばかりで先が見えない原発関連の報道番組に疲れて、テレビ東京が放映したブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード』を半分くらい楽しみました。放送中の画面には余震情報のテロップが流れたので作品世界に没入し切れないのは残念でしたが、傑作とされるシリーズ第一作を観たのは5回目か6回目でありました。こういう時期だからでしょうか?世界一運の悪い刑事と盗人テロリストとの息詰まる戦い以上に、事態をどんどん悪化させてしまうロビンソン副本部長という役が強く印象に残りましたぞ。そして同様にマニュアル頼りの強引な対応で盗人達の金庫破りを手助けしてしまうばかりかテロリストの罠に嵌って爆死してしまうFBI捜査官コンビも、以前よりずっと生々しく強く印象に残ったのでした。
■つらつら、その理由を考えてみますに、ロビンソン副本部長は部下を怒鳴りつけるだけの無能なリーダー像として象徴的に描かれていることが津波・原発事故の対応を間違ってばかりいる菅アルイミ首相と重なりますし、肩書きだけを偉そうに振り回して事態を悪化させてしまうFBIの二人組は安全保安院の愚かな人々を思い出させてくれたからだと気付いた次第であります。どんな大事件があろうとも、CMもバラエティ番組も通常通りに放送してしまう我が道を行くテレビ東京ではありますが、この時期に『ダイ・ハード』を放映したのは上出来だったかも知れませんなあ。付け加えますと最前線でテロリストと命懸けの戦いを強いられる主人公のジョン・マクレーン刑事とアル・パウエル巡査の姿が自衛隊とハイパーレスキュー隊の皆さんの雄姿とぴたりと重なって見えました。テレビ朝日版と同じ野沢那智さんの吹き替えだったのも嬉しかったのでありました。
■さてさて、気が重いことながら菅アルイミ首相の演説の続きです。我慢して最後まで読みましょう。
「また、第2の被災者支援と、これからの復興に向けて、申し上げます。支援物資の供給は、引き続き、充実させて参ります。また、ボランティアの円滑な活動を、震災ボランティア連携室が支援する態勢を取ります。岩手、宮城、福島をはじめ、さらに茨城、千葉など被害は広範囲に及んでおります。こうした全ての地域を漏れなく支援して参ります。その上で、今後は、本格的な復旧復興にも、目を向けて準備を進めていかなくてはなりません。住宅、医療、介護、教育、雇用など、そういった生活の面と同時に漁業、農業そして工業など、生産活動の両面から、この地域全体の、そして暮らし全体の再建が必要と考えております」……
■「支援物資の供給」「ボランティアの円滑な活動」「本格的な復旧復興」「暮らし全体の再建」と列挙された項目は子供にでも分かる課題でありますから、決して間違ってはおりません。しかし、首相として国民に伝えるべき具体的な方法となりますと「震災ボランティア連携室」を作ったよ、という話だけでありますなあ。○○本部だの○○室だの、指示系統を複雑にするだけでしかない組織の肥大化をせっせと進めている「船頭多くして」政策を行なっていることを恥も外聞も無く報告するしかないのが実情なのでありましょうなあ。この会見の後も学者や専門家を参与に加えて15人余のオトモダチを身辺に侍(はべ)らせて、埒も無い会議やレクチャーをどんどん増やしているそうな。『週刊文春』最新号の記事によりますと、参与は国家公務員と同等の身分扱いなので厳しい守秘義務を押し付けられるから、悪口を言いそうな奴を引っ張り込んで口を封じようとしているなどという穿った見方をしている人もいるそうですなあ。
「政府は、被災者生活支援のための対策本部を設けました。ここを中心に、人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました。その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております。震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので、どうか被災を受けられた方も、勇気を振るって復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申し上げます」……
■対策本部が6つも7つもあるそうなので、今の体制は八岐大蛇みたいなもので首と口は勝手に蠢いているものの肝腎の本体は進むべき方向を見失って身動きが取れなくなっているように見えます。頭は一つで十分で、千手観音様みたいな働きをして貰わねば困る首相が、不動明王のような形相で役人や海江田経産相を怒鳴りつけているとも週刊誌に書かれておりましたし、27日に官邸を訪れたブレイン役の山口二郎北海道大学教授らと会談した際には、「一生懸命やっているのに(誰も褒めてくれない)」と愚痴をこぼしていたとの報道もありましたなあ。仮に手を抜いて不真面目にやっていてこの体たらくだったら大変です。被災地で寒さと怒りで震えながら耐え忍んでいる人たちは、総理大臣が交代したりお祭り騒ぎの選挙などをしていたら原発は「チャイナ・シンドローム」を起こすだろうし、ただでさえ進まない津波災害からの復興がどんどん遅延してしまうと冷静に考えているからではないでしょうか?誰も大きな事など菅アルイミ政権にこれっぽっちも期待などしていませんが、総理大臣の椅子に誰かが座っていなければ行政が停止してしまうから皆が我慢しているのでありますぞ。
■「人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました」などと役人の作文を読んでいる暇があったら地域からの要望の一つでも解決して見せて欲しいものですし、片山総務相以外の閣僚は意味不明の防災服姿で国会周辺をうろうろしているようですから、ちゃんとヘルメットを被り軍手をつけてスコップを担いで被災地に出向いて倒れて流れた柱の一本でも片付けてくれた方が復興の役に立つと思ってしまいます。
■「その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております」とのんびりした演説口調は使わずに「行政機能が失われた被災地に政府職員をどんどん派遣しています!」ときっぱりと言い切ればよいのです。そして「震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので……」と何処にも見えない「社会全体」「国全体」などを引っ張り出して来るよりも、「首相の責任と負担」をしっかり自覚して適切な指示をてきぱきと出すべし!
「このように政府は、すべての能力を発揮する姿勢で、昼夜を分かたず全力を挙げていることを、ぜひ、国民の皆様にもお伝えしたいと思います。そして同時に、被災を受けられた皆さんをはじめ、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力を振るって立ち向かっていただいていることに心から経緯を表すと同時に、これからもその姿勢でもって、この危機をともに乗り越えていこうではありませんか」……
■この部分には拾うべき何の意味も無く、聴いている人たちの心には何も伝わらない砂を噛む様な、木で鼻をくくったような、会見終了と同時に消えて一言も記憶に残らない、正に無残なものでありました。
「震災発生から2週間目にあたって、これからの国民の皆さんの一層の団結と、一層のこの危機を乗り越えていこうという、そういう気持ちを一つにする。そのことをもって、今日、2週間目にあたっての私からの国民の皆様へのメッセージとさせていただきます」
2011年3月25日 産経ニュース
■無能な政治家は安易に「精神論」を喋りたがると申しますが、「危機」と連発した数に応じた具体的な対応策を並べて見せることもなく、「団結」「協力」しようにも救援物資や義捐金があちこちに滞留している現状を政治が解決してくれない限り、国民は歯痒い思いを強めるばかりなのであります。菅アルイミ首相が「2週間目」と言うと、無為無策で浪費空費された貴重な時間がひどく短かったような印象を受けるのですが、被災した皆さんにとってこの「2週間」という時間の長さと重さを、この首相は本当に分かっているのかなあ?とますます心配になったのでした。
■つらつら、その理由を考えてみますに、ロビンソン副本部長は部下を怒鳴りつけるだけの無能なリーダー像として象徴的に描かれていることが津波・原発事故の対応を間違ってばかりいる菅アルイミ首相と重なりますし、肩書きだけを偉そうに振り回して事態を悪化させてしまうFBIの二人組は安全保安院の愚かな人々を思い出させてくれたからだと気付いた次第であります。どんな大事件があろうとも、CMもバラエティ番組も通常通りに放送してしまう我が道を行くテレビ東京ではありますが、この時期に『ダイ・ハード』を放映したのは上出来だったかも知れませんなあ。付け加えますと最前線でテロリストと命懸けの戦いを強いられる主人公のジョン・マクレーン刑事とアル・パウエル巡査の姿が自衛隊とハイパーレスキュー隊の皆さんの雄姿とぴたりと重なって見えました。テレビ朝日版と同じ野沢那智さんの吹き替えだったのも嬉しかったのでありました。
■さてさて、気が重いことながら菅アルイミ首相の演説の続きです。我慢して最後まで読みましょう。
「また、第2の被災者支援と、これからの復興に向けて、申し上げます。支援物資の供給は、引き続き、充実させて参ります。また、ボランティアの円滑な活動を、震災ボランティア連携室が支援する態勢を取ります。岩手、宮城、福島をはじめ、さらに茨城、千葉など被害は広範囲に及んでおります。こうした全ての地域を漏れなく支援して参ります。その上で、今後は、本格的な復旧復興にも、目を向けて準備を進めていかなくてはなりません。住宅、医療、介護、教育、雇用など、そういった生活の面と同時に漁業、農業そして工業など、生産活動の両面から、この地域全体の、そして暮らし全体の再建が必要と考えております」……
■「支援物資の供給」「ボランティアの円滑な活動」「本格的な復旧復興」「暮らし全体の再建」と列挙された項目は子供にでも分かる課題でありますから、決して間違ってはおりません。しかし、首相として国民に伝えるべき具体的な方法となりますと「震災ボランティア連携室」を作ったよ、という話だけでありますなあ。○○本部だの○○室だの、指示系統を複雑にするだけでしかない組織の肥大化をせっせと進めている「船頭多くして」政策を行なっていることを恥も外聞も無く報告するしかないのが実情なのでありましょうなあ。この会見の後も学者や専門家を参与に加えて15人余のオトモダチを身辺に侍(はべ)らせて、埒も無い会議やレクチャーをどんどん増やしているそうな。『週刊文春』最新号の記事によりますと、参与は国家公務員と同等の身分扱いなので厳しい守秘義務を押し付けられるから、悪口を言いそうな奴を引っ張り込んで口を封じようとしているなどという穿った見方をしている人もいるそうですなあ。
「政府は、被災者生活支援のための対策本部を設けました。ここを中心に、人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました。その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております。震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので、どうか被災を受けられた方も、勇気を振るって復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申し上げます」……
■対策本部が6つも7つもあるそうなので、今の体制は八岐大蛇みたいなもので首と口は勝手に蠢いているものの肝腎の本体は進むべき方向を見失って身動きが取れなくなっているように見えます。頭は一つで十分で、千手観音様みたいな働きをして貰わねば困る首相が、不動明王のような形相で役人や海江田経産相を怒鳴りつけているとも週刊誌に書かれておりましたし、27日に官邸を訪れたブレイン役の山口二郎北海道大学教授らと会談した際には、「一生懸命やっているのに(誰も褒めてくれない)」と愚痴をこぼしていたとの報道もありましたなあ。仮に手を抜いて不真面目にやっていてこの体たらくだったら大変です。被災地で寒さと怒りで震えながら耐え忍んでいる人たちは、総理大臣が交代したりお祭り騒ぎの選挙などをしていたら原発は「チャイナ・シンドローム」を起こすだろうし、ただでさえ進まない津波災害からの復興がどんどん遅延してしまうと冷静に考えているからではないでしょうか?誰も大きな事など菅アルイミ政権にこれっぽっちも期待などしていませんが、総理大臣の椅子に誰かが座っていなければ行政が停止してしまうから皆が我慢しているのでありますぞ。
■「人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました」などと役人の作文を読んでいる暇があったら地域からの要望の一つでも解決して見せて欲しいものですし、片山総務相以外の閣僚は意味不明の防災服姿で国会周辺をうろうろしているようですから、ちゃんとヘルメットを被り軍手をつけてスコップを担いで被災地に出向いて倒れて流れた柱の一本でも片付けてくれた方が復興の役に立つと思ってしまいます。
■「その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております」とのんびりした演説口調は使わずに「行政機能が失われた被災地に政府職員をどんどん派遣しています!」ときっぱりと言い切ればよいのです。そして「震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので……」と何処にも見えない「社会全体」「国全体」などを引っ張り出して来るよりも、「首相の責任と負担」をしっかり自覚して適切な指示をてきぱきと出すべし!
「このように政府は、すべての能力を発揮する姿勢で、昼夜を分かたず全力を挙げていることを、ぜひ、国民の皆様にもお伝えしたいと思います。そして同時に、被災を受けられた皆さんをはじめ、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力を振るって立ち向かっていただいていることに心から経緯を表すと同時に、これからもその姿勢でもって、この危機をともに乗り越えていこうではありませんか」……
■この部分には拾うべき何の意味も無く、聴いている人たちの心には何も伝わらない砂を噛む様な、木で鼻をくくったような、会見終了と同時に消えて一言も記憶に残らない、正に無残なものでありました。
「震災発生から2週間目にあたって、これからの国民の皆さんの一層の団結と、一層のこの危機を乗り越えていこうという、そういう気持ちを一つにする。そのことをもって、今日、2週間目にあたっての私からの国民の皆様へのメッセージとさせていただきます」
2011年3月25日 産経ニュース
■無能な政治家は安易に「精神論」を喋りたがると申しますが、「危機」と連発した数に応じた具体的な対応策を並べて見せることもなく、「団結」「協力」しようにも救援物資や義捐金があちこちに滞留している現状を政治が解決してくれない限り、国民は歯痒い思いを強めるばかりなのであります。菅アルイミ首相が「2週間目」と言うと、無為無策で浪費空費された貴重な時間がひどく短かったような印象を受けるのですが、被災した皆さんにとってこの「2週間」という時間の長さと重さを、この首相は本当に分かっているのかなあ?とますます心配になったのでした。