旅限無(りょげむ)

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菅総理の言葉 其の四

2011-03-31 16:15:03 | 政治
■昨夜、混乱と気休めばかりで先が見えない原発関連の報道番組に疲れて、テレビ東京が放映したブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード』を半分くらい楽しみました。放送中の画面には余震情報のテロップが流れたので作品世界に没入し切れないのは残念でしたが、傑作とされるシリーズ第一作を観たのは5回目か6回目でありました。こういう時期だからでしょうか?世界一運の悪い刑事と盗人テロリストとの息詰まる戦い以上に、事態をどんどん悪化させてしまうロビンソン副本部長という役が強く印象に残りましたぞ。そして同様にマニュアル頼りの強引な対応で盗人達の金庫破りを手助けしてしまうばかりかテロリストの罠に嵌って爆死してしまうFBI捜査官コンビも、以前よりずっと生々しく強く印象に残ったのでした。

■つらつら、その理由を考えてみますに、ロビンソン副本部長は部下を怒鳴りつけるだけの無能なリーダー像として象徴的に描かれていることが津波・原発事故の対応を間違ってばかりいる菅アルイミ首相と重なりますし、肩書きだけを偉そうに振り回して事態を悪化させてしまうFBIの二人組は安全保安院の愚かな人々を思い出させてくれたからだと気付いた次第であります。どんな大事件があろうとも、CMもバラエティ番組も通常通りに放送してしまう我が道を行くテレビ東京ではありますが、この時期に『ダイ・ハード』を放映したのは上出来だったかも知れませんなあ。付け加えますと最前線でテロリストと命懸けの戦いを強いられる主人公のジョン・マクレーン刑事とアル・パウエル巡査の姿が自衛隊とハイパーレスキュー隊の皆さんの雄姿とぴたりと重なって見えました。テレビ朝日版と同じ野沢那智さんの吹き替えだったのも嬉しかったのでありました。

■さてさて、気が重いことながら菅アルイミ首相の演説の続きです。我慢して最後まで読みましょう。


「また、第2の被災者支援と、これからの復興に向けて、申し上げます。支援物資の供給は、引き続き、充実させて参ります。また、ボランティアの円滑な活動を、震災ボランティア連携室が支援する態勢を取ります。岩手、宮城、福島をはじめ、さらに茨城、千葉など被害は広範囲に及んでおります。こうした全ての地域を漏れなく支援して参ります。その上で、今後は、本格的な復旧復興にも、目を向けて準備を進めていかなくてはなりません。住宅、医療、介護、教育、雇用など、そういった生活の面と同時に漁業、農業そして工業など、生産活動の両面から、この地域全体の、そして暮らし全体の再建が必要と考えております」…… 

■「支援物資の供給」「ボランティアの円滑な活動」「本格的な復旧復興」「暮らし全体の再建」と列挙された項目は子供にでも分かる課題でありますから、決して間違ってはおりません。しかし、首相として国民に伝えるべき具体的な方法となりますと「震災ボランティア連携室」を作ったよ、という話だけでありますなあ。○○本部だの○○室だの、指示系統を複雑にするだけでしかない組織の肥大化をせっせと進めている「船頭多くして」政策を行なっていることを恥も外聞も無く報告するしかないのが実情なのでありましょうなあ。この会見の後も学者や専門家を参与に加えて15人余のオトモダチを身辺に侍(はべ)らせて、埒も無い会議やレクチャーをどんどん増やしているそうな。『週刊文春』最新号の記事によりますと、参与は国家公務員と同等の身分扱いなので厳しい守秘義務を押し付けられるから、悪口を言いそうな奴を引っ張り込んで口を封じようとしているなどという穿った見方をしている人もいるそうですなあ。


「政府は、被災者生活支援のための対策本部を設けました。ここを中心に、人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました。その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております。震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので、どうか被災を受けられた方も、勇気を振るって復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申し上げます」…… 

■対策本部が6つも7つもあるそうなので、今の体制は八岐大蛇みたいなもので首と口は勝手に蠢いているものの肝腎の本体は進むべき方向を見失って身動きが取れなくなっているように見えます。頭は一つで十分で、千手観音様みたいな働きをして貰わねば困る首相が、不動明王のような形相で役人や海江田経産相を怒鳴りつけているとも週刊誌に書かれておりましたし、27日に官邸を訪れたブレイン役の山口二郎北海道大学教授らと会談した際には、「一生懸命やっているのに(誰も褒めてくれない)」と愚痴をこぼしていたとの報道もありましたなあ。仮に手を抜いて不真面目にやっていてこの体たらくだったら大変です。被災地で寒さと怒りで震えながら耐え忍んでいる人たちは、総理大臣が交代したりお祭り騒ぎの選挙などをしていたら原発は「チャイナ・シンドローム」を起こすだろうし、ただでさえ進まない津波災害からの復興がどんどん遅延してしまうと冷静に考えているからではないでしょうか?誰も大きな事など菅アルイミ政権にこれっぽっちも期待などしていませんが、総理大臣の椅子に誰かが座っていなければ行政が停止してしまうから皆が我慢しているのでありますぞ。

■「人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢を作りました」などと役人の作文を読んでいる暇があったら地域からの要望の一つでも解決して見せて欲しいものですし、片山総務相以外の閣僚は意味不明の防災服姿で国会周辺をうろうろしているようですから、ちゃんとヘルメットを被り軍手をつけてスコップを担いで被災地に出向いて倒れて流れた柱の一本でも片付けてくれた方が復興の役に立つと思ってしまいます。

■「その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして支援する。そうした取り組みも進めたい。こう考えております」とのんびりした演説口調は使わずに「行政機能が失われた被災地に政府職員をどんどん派遣しています!」ときっぱりと言い切ればよいのです。そして「震災に伴う負担を、個人や個々の家庭だけに押しつけるのではなくて、社会全体、国全体がそれを、負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んで参りますので……」と何処にも見えない「社会全体」「国全体」などを引っ張り出して来るよりも、「首相の責任と負担」をしっかり自覚して適切な指示をてきぱきと出すべし!


「このように政府は、すべての能力を発揮する姿勢で、昼夜を分かたず全力を挙げていることを、ぜひ、国民の皆様にもお伝えしたいと思います。そして同時に、被災を受けられた皆さんをはじめ、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力を振るって立ち向かっていただいていることに心から経緯を表すと同時に、これからもその姿勢でもって、この危機をともに乗り越えていこうではありませんか」…… 

■この部分には拾うべき何の意味も無く、聴いている人たちの心には何も伝わらない砂を噛む様な、木で鼻をくくったような、会見終了と同時に消えて一言も記憶に残らない、正に無残なものでありました。


「震災発生から2週間目にあたって、これからの国民の皆さんの一層の団結と、一層のこの危機を乗り越えていこうという、そういう気持ちを一つにする。そのことをもって、今日、2週間目にあたっての私からの国民の皆様へのメッセージとさせていただきます」
2011年3月25日 産経ニュース 

■無能な政治家は安易に「精神論」を喋りたがると申しますが、「危機」と連発した数に応じた具体的な対応策を並べて見せることもなく、「団結」「協力」しようにも救援物資や義捐金があちこちに滞留している現状を政治が解決してくれない限り、国民は歯痒い思いを強めるばかりなのであります。菅アルイミ首相が「2週間目」と言うと、無為無策で浪費空費された貴重な時間がひどく短かったような印象を受けるのですが、被災した皆さんにとってこの「2週間」という時間の長さと重さを、この首相は本当に分かっているのかなあ?とますます心配になったのでした。

菅総理の言葉 其の参

2011-03-29 16:07:21 | 政治
■あと一問だけ枝野ウカツニモ官房長官の応答を取り上げます。

--自主避難についてだが、放射性物質が出ている可能性がある中で自治体に避難促進を任せるのは楽観的ではないか

「逆にいうと、さまざまな可能性を想定する中で、将来的に現在のような状況が長期間継続したり、あるいは状況が悪くなった場合にはそうした可能性は否定しない。ただ、現状においては屋内退避で健康へのリスクは十分防ぎうるという状況である。ただ、今日の午前中に申し上げたのは、物資が届きにくい等々の事情もあるので、それは地域の事情も踏まえて、生活物資を送り届ける努力はさらに強化するが、地域の事情を踏まえて荷物が、物資が届かないという状況の中では、逆にしっかりとした受け入れ先に退避をしていただくことも十分な選択肢ですということを申し上げたので、安全性の観点からは、現地点では、今日、原子力安全委員会の方もコメントが出されているようでありますけれども、20~30の範囲内についての屋内退避が必要な状況であることについては、現状は変わっているわけではないという認識です」…… 

■「逆にいうと」と最初に煙幕を張って相手の質問の切っ先から逃げ出しておいて、「ただ」を連発してから「状況が長期間継続したり、あるいは状況が悪くなった場合」と恐ろしい事を唐突に言い出したかと驚く間もなく、「現状においては屋内退避で健康へのリスクは十分防ぎうる」と水・食料・医薬品の欠乏に苦しんでいる被災者が健康であるかのような無茶な話にしています。しかし、水も漏らさぬ官僚作文を駆使しても問題の核心は物資の補給である冷厳な事実は誤魔化しようもなく、「物資が届きにくい等々の事情」は避けて通れず「地域の事情も踏まえて、生活物資を送り届ける努力はさらに強化する」などと、まるで屋内退避を命じる以前から物資の配布に努力していたとホラを吹いて事実を捻じ曲げてしまっておりますぞ。

■「地域の事情を踏まえて荷物が、物資が届かないという状況の中では、逆にしっかりとした受け入れ先に退避をしていただく」、分かり易く言い直せば「物資は届けられないから退避しろ」ということでしょう。従って「十分な選択肢」ではなく選択の余地など無い絶体絶命の状況だという意味になりましょうし、「安全性の観点からは……20~30の範囲内についての屋内退避が必要な状況であることについては、現状は変わっているわけではないという認識」と最後まで自主避難指示の支離滅裂さは訂正されることもないまま、「物資は届けないけれど退避が嫌なら勝手にしろ」という恐ろしく強権的で血も涙もない会見内容になっております。放射性物質が降り注いでいる地域からの退避を勧めるのなら、防護用具や特殊車両を手配しておくべきなのですが……。

■ここから3月25日に菅アルイミ首相が行なった震災2週間後の演説と質疑応答です。気は重いのですが……。文字の起こしても内容が薄くて何を言っているのかさっぱり分からない代物なのですが、菅アルイミ首相が読み上げると更にせっかくの演説が台無しになってしまうのでした。誰かが教えてあげればよいのに!と苛立つのでありますが、菅アルイミ首相は「こそあど」言葉の後と「てにをは」の前で禁断の息継ぎをしてしまう悪い癖が治りませんなあ。「こそあど」言葉は「こうした姿勢」「そのモニタリングの強化」「そういった生活の面と同時に」などの頭に出て来る指示語ですが、「こうしたぁぁ姿勢」「そのぉぉぉモニタリング」「そういったぁぁぁ生活の」と後ろを間延びさせると言い澱んでいるように聞こえて相手に不信感を与えてしまい、話し手が不誠実な人物に見えてしまいます。

■「てにをは」の前に一呼吸置いてしまうと聞き手の緊張が途切れて文全体の意味が取りづらくなりますから、最後まで聞こうとは思わなくなってしまいます。野党時代に閣僚や官僚を攻め立てる時には決して出なかった口調なので、政権交代を支えた支持者もさぞやがっかりしていることでありましょう。


「地震発生から2週間を迎えました。被災された多くの皆さんに、改めて心からお見舞いを申し上げます。政府は現時点で、2つのことに全力を挙げて、取り組んでおります。その第1は福島第1原発事故の事態収拾と、放射能汚染へのしっかりした対応であります。第2は、被災者の方々への支援と、さらに復興に向けての準備を本格化させることであります」…… 

■正確には地震と原発事故が発生してから2週間です。未曾有の大地震と大津波ですから被災地の厳しい状況が大きく改善するには2週間はあっという間の時間であります、しかし、寒さと飢えと乾きと不安に耐えるには長過ぎる時間でありますから、「お見舞い」ぐらいは言うべきでしょうが、少なくとも人災の要素が多いと思われる原発事故に関してはエネルギー政策を所轄する最高責任者たる総理大臣は「お見舞い」ではない事を言わねばなりませんぞ。


「まず第1の福島第1原発について申し上げます。東京電力、自衛隊、警察、さらには東京や大阪などからの消防隊。そういった皆さんが、本当に命がけで活動をされていることに、心から敬意と感謝を表したいと思います。昨日、被曝により病院に搬送された方々にも、心からお見舞い申し上げます。安全性に十分留意し、冷却機能復旧に向けて、事故対策統合本部を中心に、官民一体で、さらには米軍などの支援もいただいて、事態収拾に全力を挙げているところであります」…… 

■海外で活躍するサッカー選手たちから「団結力」や「日本は一つのチームだ!」などの激励の声が届いているようですが、東京電力という変な電力会社は決して一つのチームではないように見えます。その反対に東電と原子力委員会と安全保安院とはべったりと癒着して一つのチームになっているように見えますなあ。菅アルイミ首相が「心から敬意と感謝」している相手の自衛隊・消防隊・警察の皆さんは見事なチームワークを見せて下さっていますが、どうやら首相に対する不信感が強くなっている節がありまして、素直に感謝の意を受けられない人が多いかも知れません。特にデモ隊鎮圧用の放水車を繰り出して恥を掻かされたも同然の警察は、菅アルイミ内閣の指示に翻弄されたことを決して忘れないでしょうからなあ。


「また一方、放射性物質の食物や水などへの影響については、自治体と連携をして、しっかりモニタリングをするよう、そのモニタリングの強化を進めてきました。得られた情報は、迅速に開示し、すべてを国民の皆さんに、あるいは国際社会に対しても透明性高く公開をして参りました。同時に、健康に及ぼす影響についても、しっかりと説明をして参りました。これからもこうした姿勢で臨んでいきたいと考えます」…… 

■肝腎の情報が「迅速に開示」されず、「透明性高く」ないから米国を筆頭に世界の国々から不信感を持たれてしまったのでしょうに?!農産物の放射線測定にしても恣意的で不完全な検査体制の不備が指摘されておりますし、大気中の放射線に至っては気象庁が秘蔵していた貴重な予測データをなかなか公表しなかったという大失敗もありました。健康に及ぼす影響について「しっかりと説明」された覚えがないからこそ、国民は風評に踊らされているのでしょうに?!


「さらに、農家や酪農家など事業者の皆さんには、大きな損害を与えていることに、心からおわびを申しあげたいと思います。こうした皆さんには確実な補償と支援を行うという点で万全を期したい。こう考えております」…… 

■政治家言葉の「こう考えております」には実に胡散臭いものを感じてしまう不誠実な響きがあります。よほど感動的な話を締め括る時ならば、聴衆が拍手を送る間を作る効果があるのですが、いつの間にか誰も拍手などしない愚にも付かない下手くそな演説の原稿にも混入してしまうようになりまして、不運な聞き手を大いに苦しめるようになってしまいましたなあ。

菅総理の言葉 其の弐

2011-03-29 13:56:58 | 政治
■菅首相は29日午前に開かれた参院予算委員会で、地震後初の国会答弁を行ったそうで、その冒頭、「多くの国民に避難や計画停電などでご不便おかけしている。国民が冷静沈着に対応していることに心から敬意を表し、感謝している」と述べたとか……。確かに海外からは日本の政府でなく「国民」の態度に驚嘆する声がたくさん届いているのですから、菅アルイミ首相が言及した「事実」に間違いはありません。しかし、未曾有の危機を乗り越えるリーダーが最初に言うことではないでしょう。今、国民が首相に求めているのは「敬意」や「感謝」などでは決してありません。正確な情報と希望が見えるビジョン、それより何よりリーダーとしての気概と覚悟が伝わる「言葉」であり、「顔」でありましょう。残念ながら保安員審議官・東電副社長・菅首相が、国民が見たくない顔の三点セットになってしまっているようでは、希望を失って元気が無くなってしまう人がどんどん増えて行きそうでありますなあ。菅アルイミ首相には、既に「冷静沈着」を保ちきれなくなっている現状が分かっていないのかも知れませんぞ。

福島県須賀川市で24日朝、野菜農家の男性(64)が自宅の敷地内で首をつり、自ら命を絶った。福島第一原発の事故の影響で、政府が一部の福島県産野菜について「摂取制限」の指示を出した翌日だった。震災の被害に落胆しながらも、育てたキャベツの出荷に意欲をみせていたという男性。遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせる。自宅は地震で母屋や納屋が壊れた。ただ、畑の約7500株のキャベツは無事で、試食も済ませ、収穫直前だった。遺族によると、男性は21日にホウレンソウなどの出荷停止措置がとられた後も「様子をみてキャベツは少しずつでも出荷しないと」と話し、納屋の修理などに取り組んでいた。…… 

■食料・水・燃料・薬の補給方法を提示できないまま無期限の「屋内退避」を命令するような菅アルイミ内閣ですから、最後の希望の糸を無神経に断ち切ってしまう政治主導の「摂取制限」を軽々しく命じることができるのでしょう。


23日にキャベツの摂取制限指示が出ると、男性はむせるようなしぐさを繰り返した。「福島の野菜はもうだめだ」。男性の次男(35)は、男性のそんなつぶやきを覚えている。「今まで精魂込めて積み上げてきたものを失ったような気持ちになったのだろう」 男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を重ねてきた。キャベツは10年近くかけて種のまき方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていた。「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと」。そう言って、安全な野菜づくりを誇りにしていたという。遺書はなかったが、作業日誌は23日までつけてあった。長女(41)は「こんな状態がいつまで続くのか。これからどうなるのか。農家はみんな不安に思っている。もう父のような犠牲者を出さないでほしい」と訴える
2011年3月29日 asahi.com 

■報道はされていなくても、既に避難所の陰や孤立集落などで同じような悲劇が起こっているのかも知れませんし、農業の次は漁業、そしてリーマン・ショック後の長期不況を歯を食いしばって耐え抜いて来た中小企業の中にも絶望感が広がって行く恐れがあります。御遺族の仰るように「原発に殺された」のは事実の半分で、残りの半分は無能で無神経な政府にトドメを刺されたというのが真実かも知れません。こんな愚かな政府に殺されるのは御免だ!ともう一踏ん張りして民主党政権の断末魔を笑って見物する日まで頑張りましょう。

■大地震から「2週間」後に語られた首相の言葉を検証する前に、「前座」の枝野官房長官の難解な会見を振り返っておきましょう。


--枝野幸男官房長官は「大丈夫」「安心」と言い続けてきたが訂正したらどうか

「私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開している。私は今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っている。その都度、あらゆる可能性や現状、その時点において『今、何をしなければならないか』ということについて、その時点における状況を踏まえながら、それぞれの時点における政府の判断を申し上げてきている。今、ご指摘いただいたような内容の発言はしていないと私は思っている」…… 

■大丈夫・安心という意味としか理解しようのない「内容の発言」を続けていて、そんなことは「言っていない」と開き直られては真面目に新聞を読む気が失せてしまいますなあ。学校教育の場で新聞を教材に使って授業をする運動があるそうですが、こんな馬鹿げた言葉のすれ違いを子供たちに教えてよいのでしょうか?「あらゆる可能性」に含まれてない問題が次々に起こっているというのも言葉の誤用でありましょうし、その場しのぎの思いつきを政府の判断として「何をしなければならないか」を発表しているからこそ、日本中が大混乱しているのでしょうに?!


--「人体に影響が出ることはない」と言ったが

「その時点で出ているさまざまな状況からは、現時点で出ることではない。ただし、今後の見通しについて、私は断定的なことはこの間、申し上げてきていないし、現時点においても、今後の状況については、あらゆる可能性を想定して、今よりも当然、原発の状況が良くなることを期待して、その最大限の努力を政府としてもしているが、状況が悪化して必要があれば、そのことについての情報データの公開は常に続けるが、必要があれば、その指示を今後とも政府としてしっかりやっていく。こういう立場だ」…… 

■身をよじって逃げ回るウナギの如き答弁は官僚作文そのもので、言質を取られないことだけに細心の注意を払っての条件付の「但し書き」の連発!要するに何がどうなるのかさっぱり分からん!と言っているだけでしょう。こんな会見をいけしゃあしゃあと続けられる神経の太さを一部の政治記者たちは「次の総理の器」と迂闊にも勘違いして紙面に書いているのは如何なものでしょう?


--放射能の数値は4日目に一番大きかったが

「具体的にそれぞれの時点のさまざまな発表と、それから客観的なその時点での事実関係との違いについて、改めてご指摘いただければ、それについてはしっかりと専門家の認識を含めてご回答申し上げる。できれば文書で具体的にご質問いただければと思う」…… 

■官僚に作文させないと何も言えないから、官僚がじっくり読むための「文書」を出せ!と居丈高な態度で逃げを打ちながら、自分は大事故の全貌をしっかり把握しているわけではない、と素直に認めてしまっているようですが、これは誠実さの穿き違いと言うべきでしょうなあ。会見に出て来るのがお好きなようですが、何の情報も出せないのなら思い切って回数を減らした方が節電に役立ちそうであります。

菅総理の言葉 其の壱

2011-03-29 13:12:12 | 政治
■大地震と大津波の後、絶望的な状況の中でも感動させて貰える話がいくつも報道されました。勇気ある行動、優れた自制心だけが為せる行動、自分よりももっと辛い人々を思い遣る言葉……残念ながら大事故を起こした原子力発電に直接かかわっている組織の中からは、徒(いたずら)に不安と怒りを駆り立てるだけの無責任な言動ばかりが流れ出て来るのは残念で堪りませんなあ。被災地ではもう誰も真剣に耳を傾ける気も失せているとか……。そんな無数の言葉が交錯した2週間でしたが、天皇陛下からの御言葉と東京消防庁の責任者3名が会見で聞かせて下さった抑制の効いた、無駄のない、正確な情報と率直な感情がしっかり聞き手に伝わる言葉は、多くの感動的な言動の中でも一層強く輝いていたと思います。未曾有の危機に襲われている最中だからこそ、人としての底意が自然に滲み出すものなのでしょうなあ。

■震災から2週間だからという何とも味気なく事務的な理由で菅アルイミ首相が会見に臨みましたが、「苦難な人を鍛えて育てる」とか「地位が政治家を作る」とも言われているのに、この2週間の体験を通しても、まったく成長も変化もない事をまざまざと見せ付けただけの残念至極の会見でありましたなあ。ただ混乱ばかりが続いて国民の不安が増大し続けただけの2週間でしたから、実質的には何の節目にもならない時期でもあり、ますます国民は首相の言葉を聞きたいとは思っていないようです。何せ夜のニュースでトップ項目として伝えたテレビ局が無かったくらいですからなあ。これでは無能で孤独な首相の独り言でしょう。


東日本大震災は25日で発生から2週間となるが、菅直人首相はこの間一度も記者団のぶら下がり取材に応じていない。首相官邸の記者会見場で一方的な「国民へのメッセージ」を発することはあったが、ほとんど質問は受けつけず、国民の疑問に答えなかった。「引きこもり」を続ける首相に最高指揮官の自覚はあるのだろうか。
「皆さんの熱気が伝わってくる。日本の危機を乗り越えるため歴史的な仕事をしているというプライドを持って頑張ってほしい!」
首相は24日夕、内閣府に設置された被災者生活支援特別対策本部を訪れ、職員をこう激励した。気分が高揚していたのかもしれないが、「熱気」「歴史的」との言葉に被災者へのいたわりは感じられない。ちなみに滞在時間は4分だった。…… 

■小泉プレスリー元首相の「感動した!」発言でも真似しようとしているのか、文字に起こすとそれなりに気の利いた言葉を選んでいることが分かるのに、あの顔、あの声、あの表情で発せられると忽ち無理して背伸びした言葉と化して相手の耳を素通りして心には何も残らず、わずかに不信と不安だけが余韻となって澱んでしまうのは何故なのでしょう?野党時代に磨き上げた?のは政権与党を一方的に責め立てては、大衆受けする机上の空理空論を振り回して次の選挙で少しでも票を上積みする芸だけだったのか?選挙に大勝して自分が総理大臣になることだけが政治家としての目標だったのなら、もう十分にその任に堪えないことは国民に周知徹底されてのですから、早々に首相を辞して適任者がいるのなら大急ぎで交代して欲しい!


ルース米駐日大使は23日、宮城県石巻市の避難所を訪問した際、被災者の肩を抱いてこう励ました。「米政府はどんなときも皆さんを支援する。できることは何でもしたい。自然は人の命を奪うこともあるが、人の魂や思いを奪うことはできない…」この真摯で誠実な態度は多くの人の胸を打った。同時にこう思ったはずだ。「それに比べてわが国のトップは…」
……そもそも12日の東京電力福島第1原子力発電所の視察が事態収拾に役立ったとは誰も思っていない。21日の被災地視察は悪天候で断念したが、この時は官邸スタッフも「首相が行っても誰もありがたいとは思わない」と漏らした。警備などで手をわずらわせるだけだからだ。…… 

■石巻の小学校に避難している人達を密かに米軍の司令官が訪問して激励したという話も漏れ聞いておりますが、日本の首相が布団を被って寝た振りをしている間もリビア情勢に最も気を配らねばならないはずの米国のオバマ大統領から次々に上等な言葉が日本に向けて放たれております。野党暮らしが長過ぎるとはいえ、政権与党になって1年以上、自分が首相になってから半年以上も経っているのですから、そろそろ総理大臣らしい「言葉」くらいは身に着けて欲しかった。


首相ならばどこで指揮を執っていようが、国民の不安を打ち消し、被災者を勇気づけ、復興に向けて奮い立たせるような言葉を発することはできるはずだ。ところが、首相は13日の「国民へのメッセージ」では涙ぐみながら「果たしてこの危機を私たち日本人が乗り越えていくことができるかどうか」と不安を助長させた。18日には「私も決死の覚悟で努力を尽くしている」と陶酔と自己弁護を繰り返した。しかも首相は震災のドサクサに紛れて参院で問責決議を受けた民主党の仙谷由人代表代行を官房副長官として政府中枢に復活させた。自民党の谷垣禎一総裁にも入閣を要請した。いずれも重大な政治判断のはずだが国民への説明は一切ない。福島県産野菜の「摂取制限」指示のように国民生活に直結した事案でも枝野幸男官房長官に説明を丸投げした。…… 

■この農産物問題では凄まじい風評被害が起こっているのですが、『週刊現代』4月9日号によりますと、菅アルイミ首相の勘違い政治主導・選挙用パフォーマンスが元凶だったそうですなあ。ホウレンソウなどから「暫定基準値」を越える放射性物質が検出された時から、農水省と厚労省とで風評被害を防ぐ手立てが練られており、まずは官房長官から「直ちに健康に悪影響を及ぼすものではない」と発表して事後の対策を進めようと話が決まっていたのに、官房長官からの発表の直後に「出荷制限だ!」と原発にスゴク詳しい元厚労相でもある菅アルイミ首相の鶴の一声が関東地方を中心に東日本を大混乱に陥れたのだとか……


それでいて陰で現場にあれこれと口出しし「東電のばか野郎が!」などと怒鳴り散らす。あげく来客に「東日本がつぶれることも想定しなければならない」と不用意に語り、風評被害を広めてしまった。枝野氏は24日の記者会見で首相が取材に応じない理由をこう説明した。
「政府として目の前で対応しなければいけない案件を最優先せざるを得ない。ぶら下がり取材、記者会見に対応する時間的余裕をどのタイミングでつくれるかは検討模索している」
これで納得する国民は誰もいないはずだ。首相は23日は午後9時24分、24日は午後9時7分に公邸に帰った。5分間のぶら下がり取材に応じる時間的余裕がないという理屈は通らない。
ある政府関係者は、最高指揮官の類型として(1)有能有為(2)無能無為(3)有能無為(4)無能有為-の4パターンを挙げ、こう言い切った。
「首相がどれに当てはまるかもう分かるだろう。無能なのに、できもしないことをやろうとする無能有為型だよ…」未曽有の国難に直面した今、首相の唯一の得意技である「逃げ」と「思いつき」はもはや通用しない。
2011年3月24日 産経ニュース 

■「無能有為」とはウマイことを言うものでありますなあ。典型的なのは旧社会党の「非武装中立」「自衛隊違憲」「原発反対」の三点セットでしょうか?どれも納得できる裏づけのある代替案が一度も示されず、理想論を結論に置いて自縄自縛に陥って政党として自滅して行ったのでありました。その二番煎じが民主党の選挙用マニフェストとも言えそうでありますなあ。官邸の外に漏れてくる話では、菅アルイミ首相が怒鳴ってばかりいて心身ともに消耗して会見や会議がなければ横臥しているとも言われていますが、最初から事態の深刻さを理解せぬまま法律の運用方法を知らず、馬鹿の一つ覚えの「政治主導」とはったりパフォーマンスしかやる事がなかった首相が、問題が刻々と大きく膨れ上がって行く事態に茫然自失状態になってしまったのでしょうなあ。

地震と日中友好 其の参

2011-03-29 09:48:19 | 社会問題・事件
■原発事故の恐怖と日本の手厚い?生活保護制度を天秤に掛ける非人情な親がいる可能性は、昨年の夏に大阪で発覚した奇怪な兄弟餓死事件からも考えられないことではなくなってしまいましたが、天災と人災が連続して起こっている時に親子の情が通わないというのは悲しいことであります。でも、家族の情にも限度があるだろう!という話もあるようで……。

大阪市西区に住む70代の姉妹2人の親族の中国人48人が5~6月に入国した直後、市に生活保護の受給を申請し、32人がすでに受給していることが29日、分かった。市は「入国直後の外国人がこれほど大量に申請した例は初めて。非常に不自然」として調査を始めるとともに、法務省入国管理局に対して入国管理の厳正な審査を求める。……姉妹2人は残留孤児とみられ、平成20年7月、中国・福建省から来日、11月に日本国籍を取得した。今年5~6月、姉妹の介護名目で同省から親族48人を呼び寄せ、大阪入国管理局が審査した結果、48人は1年以上の定住資格を得たという。48人は外国人登録後、平均6日間で市内5区に生活保護の受給を申請。いずれも日本語は話せず、申請窓口には同じ不動産業者が付き添っていたという。
2010年6月29日 産経ニュース 

■48人がかりで70代の姉妹2人を「介護」するとは、何とも贅沢な老後生活ではありますが、大阪入国管理局はそんな申請を真面目に受け取って定住資格を与えたのか?この事件は警察が捜査に入りDNA鑑定やら何やら大騒ぎになったはずですが、その後の続報は未確認ですが、大阪市の財政を圧迫するほど生活保護の予算が膨れ上がっているという話は出て来ましたから、そんな大阪市でさえ「不自然だ」と思うような大量申請だったことから全国的に報道されたのでありましょう。日本人とは違った家族観を持つ異国の人もいるでしょうが、日本の財政をますます悪化させるような迷惑な移住は御遠慮願いたいもので、国難と聞いたら家族を置き去りにして逃げ帰ってしまう食い逃げはもっと困りますぞ。

■勿論、震災後にも日本に踏みとどまって救援活動を手伝っている多くの留学生や研修生が地元の人々と一緒に頑張っている姿も報道されていますから、一概に排外的な感情を持つのは禁物でありましょうなあ。わが子を見棄てたと思われる母親の祖国がチャイナだったとしたら、その人はまともに新聞情報さえ得ていないのかも知れません。何しろ世界随一の原発大国になろうと大車輪で原子力発電所を建設しているのですからなあ。


福島第一原発の事故を受け、中国政府は新たな原発の建設計画の審査と承認を一時的に停止する。16日に開いた温家宝首相が主宰する国務院(内閣に相当)常務会議で決めた。中国政府は東日本大震災後も自国の原発の安全性を強調、大増設の計画を継続する方針だったが、国民の間に広がる不安に対応を迫られた模様だ。会議では「原発は安全を第一に考える必要がある」「新たに建設する原発の審査を厳しくする」ことで一致。稼働中の全原発に対し緊急安全検査を実施することを決めた。また、現在策定中の原子力安全計画が承認されるまでは「新たな原発計画の審査・承認を一時中止する」とした。建設中の原発も「最先端の技術水準に達しなければ、建設を停止する」方針だ。…… 

■常に正しい判断をして科学も歴史さえも正しい真理を独占する感涙に咽んで感謝すべき中国共産党が決定した原子力発電所の計画を変更して「建設を停止する」という結論に至るまでは、地球の屋根と呼ばれるヒマラヤ山脈よりも高く複雑に入り組んだ結党建国以来の絶対無謬神話の壁を東日本の太平洋岸を襲った大津波の如く、すべて乗り越えて偽造された歴史と膨大な宣伝話を洗い流さなければなりません。現実的な問題として公称13億人の世界最大の人口を抱えている世界第2位のGNPを記録した世界最大最強の「発展途上国」という、これこそ史上最大の矛盾を抱え込んだ(規模だけ)巨大な国家としては、食料と共にエネルギー供給を滞らせるわけには絶対に行きません。世界中から「京都議定書」以来の地球温暖化防止会議に対する作為的な反逆行為を非難されようとも、小平以来の経済発展の空手形を不履行にした瞬間に貯まりに溜まった怒りのマグマが一挙に噴き出して、東日本大震災後の余震どころではなくなりますからなあ。

■欧米や日本で営まれる(今の東京電力エリアでは悪い冗談ですが)オール電化住宅を目指して地理的条件も歴史も無視して不気味なほどのバラ色の未来を匂わせ続けるには、旧ソ連を生み出した革命家のレーニンを見習って、暴力革命の後は「電化革命」を成功させねばならないでしょう。核兵器や長距離弾道弾、原子力潜水艦の次は航空母艦と旧ソ連が冷戦時代に米国と地球を半部ずつ支配する戦略を毛沢東が再生した如くに踏襲している今のチャイナとしては世界一の原発大国への道を頓挫させることなど、権力の中枢にいるエライ人たちは夢にも思っていないでしょう。


中国では13基の原発が稼働し、25基余りを建設している。建設中のものを含め2020年までに約60基を増設する方向で、当局や電力会社は計画を進めていた。日本での事故後も「原発を発展させる決意と計画は変わらない」(環境保護省次官)「中国の原発は福島より新しい」(電力会社首脳)などと強調、計画の継続を訴えていた。中国の経済成長を支える資源政策に関しては、原発を含めて当局が反対意見を厳しく封じ込めてきた。だが、今回の事故を受け、国民の間に原発への不安が急速に広がり、反対意見も表面化している。インターネット上には「日本の先進的な技術でも事故が起きた。中国の技術がどうしてより優れていると信用できるのか」(湖北省の建設予定地住民)などの声が出始めた。人民日報系の国際情報紙環球時報も「中国の原発は国民世論の監督が必要」と社説を掲載した。中国政府として、反原発の機運が反体制運動につながらないようブレーキをかける必要があるとの判断があるとみられる。
2011年3月17日 朝日新聞 

■60基といわず威勢がよくて切れのよい「100基」を目指して入るという噂も流れているくらいですが、自民党時代の日本でも細長い列島中に空港を100箇所建設するぞ!計画を参考にしたわけでもないのでしょうが……。日本が敗戦国の屈辱的・絶望的な状況から立ち直って東京五輪を開催した年に、毛沢東の原爆をウイグル自治区で炸裂させた栄光?を一度も反省などしないチャイナですから、世界戦争用の核兵器を開発・装備しつつ原子力発電の技術も自家薬籠中のものとして、近い将来はあちこちに輸出して世界最大の核エネルギー大国になろうとしている本音が露骨に透けて見えておりますが、残念ながら国共内戦に勝利して建国する前後から、旧ソ連の援助を大規模に受けていた中華人民共和国には独自に開発した技術というものが乏しく、人民解放軍の営業部門?が大儲けしている世界の兵器市場でも常にどこか後ろ暗いパクリ疑惑を引きずったまま安価大量販売に徹しているようですが、同じように後ろ暗いことをしている国々と不気味な核や通常兵器の闇市場を築き上げているのではないか?と欧米諸国から疑われていたりします。

■核兵器や長距離ミサイルの闇取引の疑惑を持たれる北朝鮮と同じ穴の狢と思われる状態を抜け出して、表の商売で堂々と原子力発電プラントの輸出で正真正銘の経済大国に脱皮するつもりが、技術大国だったはずの日本でさえ大規模な事故を起こす原子力発電の技術をチャイナはきちんと習得しているのか?人命軽視の政治風土が色濃く残っているお国柄で世界一の経済成長を維持するためには欠かせない電力需要を賄うために、得意の情報操作と権力濫用を両輪にして突き進めば必ず人権と環境が最初に軽んじられて踏みにじられることをチャイナに暮らす人たちは肌で知っているでしょうし、1964年以降ずっとチャイナで繰り返された核実験による放射性物質が西風に乗って降り注いでいた日本列島ですから、東京電力より劣る運用管理能力しか無い誰かさんが大失敗してしまったら?と考えると、東風が吹けば福島第一原発、西風が吹けば大陸から列島は放射性物質が1年中降り続けることなるのは勘弁して欲しいものであります。

地震と日中友好 其の弐

2011-03-27 19:06:31 | 社会問題・事件
■海外で活躍しているサッカー選手から「日本の強さは団結力だ!」「日本は一つのチームだ!」との声援が送られていると話題のACがテレビでしつこく伝えてくれておりますが……。 

長崎県警は26日、入管難民法違反の疑いで中国人のアルバイト、林建明容疑者(48)を逮捕した。……林容疑者は26日に県警本部に自首。調べに対し、「千葉県船橋市に住んでいたが、福島第1原発事故の影響が怖くて1週間ほど前に長崎に来た」などと供述、強制送還を求めているという。県警の調べによると、林容疑者は平成12年9月6日までの在留期限を過ぎて以降も、国内に居住していた疑いが持たれている。
2011年3月27日 産経ニュース 

■10年以上も不法滞在して日本円を稼いでいるような輩が、強制送還で帰国した後、経費を弁償するかどうかは疑わしいものですが、それとは別に原発事故の恐怖ではなく日本経済の先行きに不安を感じて潜伏していた外国人不法労働者達がぞろぞろと群を成して逃げ出して行くのだとしたら、沈没前の船から鼠が消えるという話を思い出して不安にもなりますなあ。何せ今の日本は菅アルイミ内閣が指揮しているのですから……。

■痛ましい犠牲の全貌がいまだに判明していませんが、数多くの震災孤児が残されていることが報道されて居た堪れない思いが更に重く圧し掛かってまいります。親を失った子供達もいつかは一緒に立ち上がって復興に取り組んで欲しいものですが、国民性の違いなのか?家庭の事情なのか?不思議な子別れの話があちこちで起こっているようであります。


……東京電力福島第1原発の放射性物質(放射能)漏れ事故を受け、政府の指示を超えて自主避難が広がるなか、生活保護を受ける外国人が日本人との間に生まれた子供を置き去りにして帰国するケースが相次いでいることが分かった。福祉現場からは「児童虐待のネグレクト(育児放棄)に当たる」と懸念の声が上がっている。…… 

■これが単なる一時帰国なのか?それとも生活保護を必要とする経済状態に限界を感じていた不安な心情が原発事故によって爆発しての縁切りなのか?当人達も分からないのかも知れませんが、「こども手当て」が邪魔して救国内閣が出来ないなどと日本の国会が脳死状態になっている時に、最も経済的な支援が必要な日本の子供たちが見棄てられるというのは皮肉な話であります。


原発から150キロ圏にある関東地方の市の福祉事務所へ今月18日、生活保護を受給する中国籍の40代の母親から電話があった。「成田空港にいる。祖父が危篤なので帰国する」
担当者が自宅を訪ね、高2の長男と中2の次男に事情を聴いたところ、母親は「原発が怖い」と中国へ帰ったことが分かった。2人は児童相談所が介入し、離婚した父方の祖母宅へ身を寄せたという。…… 

■尖閣諸島で逮捕された酒乱暴走船長が処分保留で帰国できた理由の一つが親族の葬儀だったことを思い出しますなあ。あの船長は正式に起訴されずに実質的には無罪放免の扱いになって領海侵犯衝突事件は幕引きになってしまったのですが、日本に子供を置き去りにするということになると話はまったく違って来ますぞ。本当に冠婚葬祭に出席するのならば用事が済んだら子供のところに戻る一時帰国でしょうが……。


この福祉事務所が全国の福祉事務所の仲間内で調べたところ、生活保護を受給する外国人の帰国は少なくとも東日本の84事務所で64件に上った。中国、韓国、フィリピン、タイ人などで、中国人が最も多かった。永住者資格などを取得後に日本人男性と離婚した母子家庭や単身女性がほとんどを占め、子供と帰国した人が多い一方、友人の中国人や日本人へ預けて単身で帰国したり、子供を置き去りにしたケースも少なくないという。担当者は「皆一様に『祖父母が危篤で』と言う。ただ申告するのは良心的なほうで、黙って帰国するほうが多く実態がつかめない」と話す。申告がない場合、数カ月に1度の定期訪問まで帰国の事実が分からず、保護費が口座へ振り込まれ続けることになる。帰国の旅費も保護費をためた貯金でまかなっているという。…… 

■こうした実態を放置したまま「社会全体で子供を育てよう」と危機的な財政状況を無視して欧州伝来の人道主義を振り回して悦に入っている民主党政権の能天気には呆れるばかりなのですが、必殺!仕分け人たちは生活保護などの社会保障制度を見直して悪用できなくする工夫はまったく考えていなかったのを見れば、本気でマニフェストを実現するための潤沢な財源を作ろうなどとは最初から考えていなかったと思われます。


生活保護法上の受給対象は日本国籍者だが、厚生労働省の見解では「人道的見地から永住者や定住者、日本人の配偶者等の在留資格を持つなど一定要件を満たす者は受給できる」(保護課)といい、平成21年度に世帯主が外国籍で生活保護を受けた人は6万952人に上った。保護費は全額が税金でまかなわれている。担当者は「永住権というのは永住を前提にしているはずなのに、帰国するのでは永住とは言えない。国は出入国管理などを適正化してほしい」と訴えた。生活保護問題に詳しい森川清弁護士(50)は「法的に問題はないが、子供を置いて逃げるといった行動が反発を招いているのだと思う」と指摘する。
2011年3月26日 産経ニュース 

■原発事故の影響が心配なら、子供を連れて祖国に避難すれば良さそうなものですが、それが出来ないそれぞれの事情があるのかも知れませんなあ。でも、目の前に大津波が迫っても自分の命に代えて我が子を救おうとするのが親というものかと思っていたのですが、そうではない親子関係も現実には存在するということなのでしょうか?もしかすると、原発事故が無くても子育てが煩わしくなって逃げ帰る困った親も多いのかも知れませんが、それでは子供はあまりにも可哀想であります。それならば原発事故が帰国子別れの原因だったことにした方が、少しは救いがある話を残された子にしてやれるのかも知れませんが……。

地震と日中友好 其の壱

2011-03-27 18:07:21 | 社会問題・事件
■ほんの1箇月前の2月21日にチャイナから空輸されて上野動物園にパンダ2頭が到着したのでした。マスコミの煽り方も異常に激しく、誰が仕掛けたのか分からない「大歓迎」報道も過熱気味だったことを思い出しますと隔世の感があります。健康状態は良好だったそうで、大震災の1週間前の3月4日には検疫も終わって新しい環境に馴れる期間を置いて3月22日にからの一般公開を予定したものの、さすがに震災・津波・原発事故の三重苦に東日本が耐えている時に、少々行き過ぎた自粛ムードをそろそろ調整して復興に向けて動き始めようという声が上がっているにしても、あの演出過剰な熱烈な「大歓迎」ムードを再現するのは無理と判断したのでしょうなあ。

■尖閣問題が「柳腰外交」でウヤムヤにされて後味が悪かった日中関係がパンダ騒ぎで御破算に戻るどころか一挙に友好路線に急旋回してしまいそうで、こんなことで大丈夫なのかいなあ?と若干の不満と一抹の不安を抱いていたところに大震災が起こり、平時は何だかんだと邪魔者扱いされ、蓮舫仕分け人にも予算をばっさり切られて苛められていた自衛隊が、一夜にして神様、仏様、自衛隊様になって菅アルイミ首相も渋々?感謝の言葉を何度も述べるほどになりました。その菅アルイミ首相は早めに5万人から10万人規模に引き上げる指示を出し、対応が早いとちょっと評価が上がったのに気を良くして日米首脳電話会談が迫って来たというだけの理由で建屋が吹き飛んだ原発の上空から「水をまけ!」と恐ろしい命令を出していたことがバレてしまいました。

■北沢防衛相が何気なく言った「もう限界」も、株価の下落と日米電話会談の予定を踏まえたものだったという話もあるようですから、自衛隊としては決死の思いで無駄な水撒きをやらされたことには腹を立てているのではないか?と心配になります。何せ自分達を「暴力装置」呼ばわりしておいて、ちゃんと謝りもせず党に逃げ出した仙谷ノーコメント前官房長官が「副」の字を載せて政府中枢に舞い戻り、今度は「乱暴副長官」になる!と言ってしまったそうですから、困難な任務を達成して国民から賞賛の声が高まった時を待って政府に意趣返しをしてやろうと思っているエライ人がいないとも限りますまい。

■菅アルイミ内閣に腹を立てているのは海上保安庁の皆さんも自衛隊に負けてはいないでしょう。震災後の救援活動ばかりでなく港湾の応急復旧作業もするし、津波で沖に流されて漂流していた大型船舶9隻と小型船舶238隻の合計247隻もの大事な船を回収して絶望の涙を流している船主さん達に返還するという大活躍!本当にスゴイ人たちが不眠不休で動いてくれております。


防衛省統合幕僚監部は26日、東シナ海中部海域で同日夕、中国の海洋警備機関所属とみられるヘリコプター「Z9」が、警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に近接飛行したと発表した。同様の近接飛行は7日にもあったばかり。政府は同日、外交ルートを通じて中国に抗議した。……同日午後4時45分ごろで、東シナ海中部の日中中間線の東側。胴体に「中国海監」と書かれたZ9ヘリがいそゆきに近づき、周りを1周して去った。最接近時の水平距離は約90メートル、高度は約60メートルで、7日の接近時より高度が低く、航行に危険を感じるような飛行だったという。 
2011年3月27日(日) 時事通信 

■3月7日にも異常接近事件が起こっていましたが、今回は大震災後で初の挑発・示威行動となります。菅アルイミ首相が東日本大震災の被災地に自衛隊10万人を派遣する!と決めた時にも、陸海空の総数約24万人から10万人を抜き出すことに防衛省内から「これだけの人員を第一線に長期間張り付けることは不可能だ!」と不安の声が上がっていたそうです。特に菅アルイミ内閣は「柳腰外交」を反省も修正もしていないのですから、日本の防衛に責任を負っている自衛隊としては不安なことでありましょう。今回の異常接近に対して「外交ルートで抗議」などしても、最初から何の役にも立たないことは国民全員が知っているくらいですから、東北地方に10万人も自衛隊を偏在させれば当然生じる西や北の隙間をどう埋めるか?自衛隊は頭を悩ませていたことでしょう。復興に目途が立った頃に日本の領土・領海が削り取られているなどという愚かな話は聞ききたくありませんから、少しでも効率的に自衛隊を動かせる知恵を菅アルイミ首相に大急ぎで持って欲しいものであります。

■既に『週刊文春』3月31号には「官邸に届けられた「史上最大の作戦書」の全貌」という記事が掲載されておりまして、陸海空自衛隊の運用を統括する統合幕僚監部の機敏な対応が紹介される一方で、菅アルイミ内閣の勘違い「政治主導」の不純な動機に邪魔されて初動の2日間を無駄にした上に、さらにその後も思いつき指示が下りて来て現場を混乱させている!という目も当てられない実情が明かされておりまして、その記事の中に陸上自衛隊総監の君塚栄治陸将の名が「史上空前の災害に立ち向かうには最適の人材がよくぞそこにいてくれた」との、菅アルイミ首相に対する評価とは正反対の表現で登場しているのであります。あまり政治家が愚かなことばかり繰り返していると、世論は巨大な自衛隊組織を縦横に動かす制服組の大幹部に日本のリーダー像を求めるようなことにもなり兼ねませんなあ。戦前の暗黒は関東大震災が契機となったという怖い説もあるようですから……。


中国紙・新京報は17日、新華社電を引用し、東日本大震災で被災した宮城県女川町で、中国人研修生20人を津波から守った日本人男性を紹介した。インターネット上では「愛に国境はないことを教えてくれた。感動だ」といった書き込みが相次いでいる。男性は、同町の水産会社「佐藤水産」の専務、佐藤充さん。地震後に寮の近くにいた遼寧省大連出身の自社女性研修生20人に、「津波が来るぞ」と叫びながら駆け寄り、高台にある神社に誘導した。……研修生の避難を確認後、その場を立ち去り、安否は不明という。研修生は「地元の人々の助けがなかったら、とっくに死んでいた」と深く感謝している。
2011年3月17日 時事通信 

■火事場泥棒のように東シナ海でちょかいを出すチャイナの人民解放軍には油断も隙もあったものではありませんが、民間レベルではこの佐藤充さんのような英雄があちこちに現われて世界を驚かせ感動させているのも事実であります。佐藤さんは宿舎の屋上で震えていた20人の研修生を安全な高台の神社に誘導した後、御自分の奥さんと娘さんを探しに宿舎に戻って津波に呑み込まれてしまったらしいのですが、家族よりもチャイナからの研修生を優先して避難させた!という日本人の存在は大きな意味を持つでしょう。さらに佐藤充さんの実兄で、佐藤水産の社長の仁さんも自分の家族を失ってしまったのにもかかわらず20人の研修生の無事を喜び励ましているとの話まであるそうです。

■研修制度を悪用する困った輩が日本にもチャイナ側にも暗躍して甘い汁を吸っているという不快な話も聞きますし、震災後に「中国人が……」と関東大震災の時に朝鮮人に対して流されたと同様の悪質なデマを流す日本人もいるそうですが、困った時はお互い様の美徳を忘れずに頑張って行きたいものであります。

想定外と言う前に 其の参

2011-03-25 14:22:50 | 日記・雑学

……現場の作業環境も劣悪さを増している。その一端を、東電社員の家族が明かした。
「睡眠はイスに座ったまま1、2時間。トイレは水が出ず、汚れっぱなし」
今週初め。神奈川県に住む女性のもとに、第一原発で復旧作業にあたっている夫から初めて電話があった。夫は40代、東京本社の原発部門の社員だ。11日の震災発生後からほぼ連日、対応のため会社に泊まり込んだ。16日、ようやく自宅に戻ったが、出勤すると、そのまま第一原発行きを命じられた。「ヘリに乗る。福島に行く」こんなメールを最後に、メールも電話もつながらなくなった。16日は3号機から白煙が上がり、放射線量が上昇。自衛隊は上空からの放水を断念した。東電の会見では、夫の旧知の同僚がつらそうな顔で対応を迫られていた。…… 

■総理大臣の指示で動く自衛隊には一時作戦中止を命令しておいて、民間企業の社員に対して避難を禁じた菅アルイミ内閣の姿勢には批判が出ているようですが、週刊誌の記事などを読みますと同じ危険な現場でも東電社員が安全な場所に逃げる時にも「作業員」には連絡もせず見棄ててしまうことが多いようです。「国民が一丸となって……」とか何とか下手な演説をしてみても事故現場でさえも一丸になっていないのが現状で、危機管理能力などまったくない事なかれ主義だけで社長にまで上り詰めた人物と、それを取り巻く同じ体質の茶坊主がうろうろしていると悪口を言われる今の東京電力で社員として危機に立ち向かうのは大変なことでありましょうが、本当に大変な仕事をしているのは多くの「作業員」だという現実には変わりはなさそうです。


「お父さん大丈夫かな」。2人の小学生の子どもも不安を口にした。
夫は原発部門を希望したわけではなかった。理系の大学を出て入社し、「たまたま配属された」。以後、原発の現場と本社勤務を繰り返した。2007年の中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で火災が起きた時も現地に2週間ほど詰めた。当時はメールや電話で様子を知ることができたが、今回は音信不通。自衛隊が接近をためらうほどの放射能の中で、「いったいどうしているのか」。…… 

■就職大氷河期と言われる時代ですから、この大事故が起こる前は公務員並に安定した国策電力会社に就職が決まった若者達は大喜びしていたことでしょうが、今となってはトンデモない会社に入ってしまったなあ、と困惑しているのかも知れません。原子力を専門に学んだわけでもないのに高度に専門性が求められるはずの部署に配属されるというのは如何ものでしょう?大学在学中の勉学に価値を認めず、単に厳しい入試競争に勝ったことを重視して学閥採用した後で、しっかり企業内で教育して優れた人材を作り上げるという悪習がまだ直っていないようですなあ。刈羽原発の事故とは比べ物にならない今回の事故に、刈羽の体験だけで立ち向かえるのか?こうして現場で踏ん張ってくれている社員に悪口を言う人はいないでしょう。最悪の場合は家族を含めて被災者になってしまう立場なのですから、無事に任務を達成して御帰宅なさることを切に祈るばかりであります。許せないのは経営陣とその取り巻き!そして国策会社と癒着して甘い汁を吸っていた政治家と官僚。


20日、ようやく本社の専用線を経由して自宅に電話があった。「食事は“カロリーメイト”だけ。着替えは支給されたが、風呂には入れない」。あまり感情を表に出さない夫は淡々と語り、2分ほどで電話を切った。
23日の電話では、「そろそろ被曝量が限界のようだ」。交代はまだか。もし夫が健康を害したら、家族はどうなるのだろう。政府に頼りたいが、新聞やテレビのニュースによると、菅直人首相は東電幹部に「撤退などありえない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は、東電は100%つぶれます」と怒鳴ったという。不安と、悲しさがこみ上げた。
24日、原子力安全・保安院が、3号機のタービン建屋地下1階で作業員3人が被曝したことを明らかにした。国民の、電力会社への厳しい視線は理解できる。でも、「いま体を張っているのは、家庭を持つ、普通の市民であることもわかって欲しい」。
2011年3月25日8時1分 asahi.com 

■夫の身を案じて世間の冷たい視線に耐えて待つ奥さんは、きっと水や食料の買い占めには走らず、お子さんと静かに暮らしておられるのではないでしょうか?本当に危険な場所で作業をしている人、地震と大津波の被災者の皆さん、貴重な船を失ってしまった漁師の皆さん、愚かな政府の指示に振り回される熱心な生産農家、部品が届かず仕事が出来ない企業などなど、本当に困っている人たちの窮状に思いを馳せて自分の行動を決める余裕を持ちたいものであります。


東北関東大震災の発生から25日で2週間になりますが、死亡した人は、これまでに確認されただけでも9811人に上り、警察に届け出があった行方不明者をあわせると2万7000人を超えています。これとは別に、津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部の自治体の中には1万人を超える住民の安否が確認できなくなっているところもあり、犠牲者の人数は、今後、大幅に増えるおそれが強くなっています。…… 

■犠牲者の数と死亡者の氏名・年齢は連日報道されておりますが、飽くまでも「警察に届け出があった」場合に限定されているので、家族が全滅してしまったり、届出を嫌って独力で家族を探し回っている方も少なくなさそうですから、「1000人を越える」「2000人を越えた」とマスコミが流していた情報の意味が分かりませんでしたが、とうとう被害の全貌が見え始めたようです。


警察庁によりますと、東北関東大震災で死亡が確認された人は24日午後11時の時点であわせて9811人で、このうち東北地方では▽宮城県で5889人、▽岩手県で3025人、▽福島県で839人、▽青森県で3人、▽山形県で1人となっています。また関東地方では▽茨城県で20人、▽千葉県で17人、▽東京で7人、▽栃木県と神奈川県でそれぞれ4人、▽群馬県で1人となっていて▽北海道でも1人の死亡が確認されています。警察に家族などから届け出があった行方不明者は、これまでに確認されただけでも1万7541人に上り死亡した人とあわせると2万7000人を超えています。…… 

■高速道路や国道はマスコミが復旧状況などを報道してくれますが、無数の市町村道は実態がつかめず沿岸部だけでなく中山間部から奥の地域に孤立している集落が見落とされているのでは?という恐ろしい話もあるようです。警察も頑張っているのでしょうが、道が無いところまで調べまわるのは無理でしょう。民間のヘリコプターを借り上げて虱潰しに空から大規模な捜索をするべきだ!という提案もあったようですが、菅アルイミ内閣からその主の動きは見られないようです。さらに現行の法律では民間のヘリコプターから物品の投下は禁止されているのだそうですなあ。必要な物を寸断された道を越えて届けるにはヘリコプターが最も便利だと思うのですが、物はあっても届ける道がない!という悲痛な声は消えていません。


これとは別に、沿岸部にある岩手県山田町では人口が集中していた町の中心部が津波によって壊滅的な被害を受けており、警察が発表した行方不明者のほかに、町の人口の8割近くにあたるおよそ1万5000人の安否が確認できなくなっているということです。また、沿岸部や川沿いの集落が大きな被害を受けた宮城県石巻市は、これまでにおよそ2800人が行方不明になっていると発表していますが、行方不明者の人数は最終的に1万人近くに上る可能性があると推定しています。さらに、福島第一原子力発電所から半径20キロの地域では避難指示の対象となっているため、捜索活動が中断していて死者や行方不明者の人数ははっきり分かっていないのが現状です。このため、震災の発生から2週間たっても依然として人的被害の全容は把握できておらず、犠牲者の人数は、今後、大幅に増えるおそれが強くなっています。
2011年3月25日 NHK

■本当の悲しみに襲われるのはこれから、巨大な余震が起こる可能性も残っています。今からパニックを起こして右往左往するのは止めた方がよさそうです。本当に慌てなければならない事態が起こらないとは限らないのですから……。
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想定外と言う前に 其の弐

2011-03-25 14:22:19 | 日記・雑学
■「其の壱」の続きです。

金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。…… 

■これからは、何かとチェルノブイリの大事故と比較された話が多くなって行くものと思われます。旧ソ連を崩壊させた硬直した官僚主義や革命以来続いた人命軽視の支配体制でさえ、東京電力の体質を検証する時には引き合いに出されることもありましょう。原子力エネルギー政策に関しては旧ソ連も顔負けの恐るべき独裁権力が密かに生まれて、長い間に日本を滅亡させるほど危険に強大化していたようですからなあ。残念ながら、旧ソ連の国民はその恐ろしさと問題点をよく知っていましたが、我々日本人は政・官・産・学が練り上げて宣伝した「安全神話」を刷り込まれて、何も知らずに過ごしてしまったのは残念なことでありました。


健康への影響はどうか。チェルノブイリ原発事故では、強制移住の地域では平均50ミリシーベルト程度の放射線を浴びたとされる。しかし汚染地での長期の住民健康調査では、成人では白血病などの発症率は増えていない。甲状腺がんは増えたが、事故当時小児だった住民が放射性ヨウ素で汚染された牛乳などを飲んで内部被曝したためとみられている。飯舘村の24日午後までの放射線の総量は、3.7ミリシーベルトだ。長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「チェルノブイリ原発事故後でも小児甲状腺がん以外の健康障害は認められず、すぐに健康を害するとは考えにくい。高い汚染が見つかった地域では、データをもとに住民と十分に話し合って対応を考えてほしい」と話している。
2011年3月25日(金) asahi.com 

■一瞬で炉心の蓋が吹き飛んで大量の放射性廃棄物が天高く吹き上がったチェルノブイリ原発の事故とは違い、今までのところは福島第一原発に並んだ6機の原子炉は建屋の屋上や上半分の吹き飛んだり、あちこちに未発見のひびや亀裂が出来て水や水蒸気に混じって外部に漏れ続けているようですから、単純な比較は難しいところではありますが、決定的な解決策が見付からないまま反応炉や格納容器内の圧力を下げる対症療法を長期間に亘って続けた場合、最も心配な半減期の長い物を含めて大量の放射性物質が流出し続けることになりましょうから、積算するとチェルノブイリ事故を遥かに越える汚染を示す数値が出ることも有り得ましょう。勿論、本当に最悪の事態が起これば稼働中だった3機の原子炉内の核燃料が溶けて集まって再臨界になって爆発的事象が発生し、その爆風と振動で定期点検中だった3機の貯蔵プールに沈んでいた使用済み燃料棒が転がり出したりしたら、チェルノブイリよりも多量の放射性物質が大気中にも水中にも放出されてしまうのでしょうから、「チェルノブイリ級」と呼ばれている段階で食い止めねばなりません。


東京電力福島原子力発電所3号機の電源復旧作業中に作業員3人が被曝した問題で、東電は25日未明、タービン建屋地下1階の水に含まれる放射性物質の濃度は通常運転時の原子炉内の水の約1万倍に達したと発表した。通常はほとんど検出されない放射性物質も高い濃度で検出され、同社は3号機の原子炉か使用済み核燃料一時貯蔵プール内の核燃料が破損した後、現場周辺に漏れ出した可能性が高いという。
2011年3月25日(金) 読売新聞 

■怪獣映画か災害パニック映画の一場面みたいな現場の写真を見れば、危険な物質が完全に封じ込められているなどとは誰にも思えませんし、何処から何が溶け出そうと何が噴き出そうと驚かないと言いたくなるほどですが、テレビに出て来る「専門家」の先生方は、妙に落ち着いて既に崩壊しているはずの「安全神話」の破片をしらっと拾い集めて、しらばっくれているとしか思えない大丈夫な話をしているのには当惑するばかりであります。とは言っても東京電力を中心とする「原子力村」とは無関係なところから出て来る客観的な数値には冷静に対応したいと思います。


東日本大震災で深刻な状況が続く東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の復旧作業は、3号機のタービン建屋地下で24日に起きた作業員3人の被ばく事故の影響で、遅れる見通しとなった。経済産業省原子力安全・保安院は25日未明、東電に対し、再発防止のため直ちに放射線管理を改善するよう口頭で指示。東電は被ばく防止を改めて周知徹底させることを明らかにした。…… 

■原子力産業に完全に支配されてしまう現地の苦しい事情を詳しく取り上げるのは別の機会としますが、東京電力社員と「作業員」との間には気が遠くなるほどの距離があることだけは知っておくべきでしょう。そして、幸か不幸か電気料金を支払って利用している人々は東京電力社員の側に近いところに位置していると申せましょう。恐ろしい放射性物質が漂っている真っ暗闇の中で命懸けの作業を続ける人達に比べれて、無計画停電に文句を言いながら節電に努めている我々は遥かに安全な環境に居るということになります。だからと言って問題山積の経済産業省原子力安全・保安院などには感謝の言葉など一切伝える必要はありません。「安全」だの「保安」だの、この奇怪な組織に属している役人達はその意味をまったく知らないのかも知れませんからなあ。


3人は地下の水たまりに入ってケーブルを敷設中に大量に被ばく。このうち2人が放射線によるやけどの疑いで福島県立医大病院に搬送された。25日に千葉市の放射線医学総合研究所に移り専門的な診療を受ける。東電が25日未明に発表した聞き取り調査結果では、作業員らは現場に入って間もなく、全員の個人線量計のアラームが鳴ったが、誤報と思い作業を続けたという。東電は復旧作業を再開できれば、原子炉を安定して冷却するため、まず3号機にダムからの真水を送る作業を行う方針。ダム水は敷地内の高台にある原水タンクを経て、隣のろ過水タンクにためられており、各種ポンプを使うか落差を利用して原子炉に送り込む。
2011年3月25日 時事通信 

■随分前のことですが、堀江邦夫著の『原発ジプシー』(講談社文庫)という本を読んだことがありました。そこに「個人線量計のアラーム」に関する恐ろしい話が出ていたように記憶しておりますが、この文庫本が出た1984年から既に30年近く経っているはずなのに、現場の状況はまったく改善されていないことが分かります。作業員の実情に関しては前の福島県知事だった佐藤栄佐久氏が、週刊誌などに経験談を発表し始めているようですから、国策捜査の疑いが濃厚な怪しい辞職劇と共に国のエネルギー政策の暗部が徐々に明るみに出て来るかも知れません。重要なことは被曝した3人は東京電力の社員ではないという一事をしっかり覚えておくことでしょう。

菅首相、今こそ「大法螺」を吹け! 其の壱

2011-03-25 13:19:28 | 政治
■関東圏の総電力の15%を占めると言われる巨大な原発が停まっているのだから電気が足りない!というのは納得できますから、国民はこぞって節電!節電!の大運動中であります。しかし、西日本には潤沢なガソリンが足りない!食料も足りない!の騒ぎが起こり、そして、とうとう「野菜が食えない!」「水が飲めない!」の騒ぎまで起こってしまいました。食えない・飲めない騒動の大元は観測機が示したミリ・シーベルトという正体不明の数値が生煮え状態のままマスコミから垂れ流されてしまったのが原因のようです。よくよく聞いてみれば「年間被曝・摂取基準」だと説明されているではありませんか?!それなら、「原子力にものすごく詳しい」今の総理大臣が、たとえ信頼もされず実行力に大きな疑問符が付いているにしても、まずはウソでもいいから「1年後のビジョン」を打ち出して安心させてくれれば、年間被曝量の「年間」が大きな意味を持って国民を落ち着かせてくれるのではないでしょうか?

■出来れば大法螺、大風呂敷でも構わない「1年後のビジョン」から逆算して半年後、3箇月後、1個月後とできる限り具体的なビジョンを丁寧に国民に提示してくれれば、「あと○○日の辛抱だ」と美しい国民性を大いに引き出してくれることでしょう。菅アルイミ首相は、出身地が山口県だというので、気安く自分の内閣を「奇兵隊内閣」と命名して大いに顰蹙を買ったことがありました。まあ、昨年9月に血みどろの代表選挙に辛勝して発足した内閣を改造した時に、「今後は412人内閣でいく。菅内閣が取り組む政策推進に引き続き協力を願いたい」とまったく意味不明で実現不可能なキャッチフレーズを思い付いて誰も相手にしなかった愚かしいネーミングに比べれば、「奇兵隊内閣」の方が少しは具体性があったような気がするのでありますが……。奇兵隊は当時の身分制度を木っ端微塵に吹き飛ばして「志願兵」を募って結成した驚天動地の新しい軍隊で、師・吉田松陰の教えを実践した高杉晋作が企画した日本の歴史上初の軍隊とされておりますから、自民党時代の派閥や政・官・産・学のシガラミを打破して適材適所の人材登用が可能になるのかも?と、一瞬だけはチラッと新しい日本の姿が見えたような気もしたのですが……。

■内閣改造直後の衆議院での代表質問で、かつての連立相手であった社民党の重野安正幹事長から所信表明は「説得力がない。『大風呂敷を広げた』といわれないだけの実績を残せるかどうかだ」と批判されたことがありました。その時、今よりは夢と希望を抱いていた菅アルイミ首相は「(所信表明は)率直に申しあげて大風呂敷を広げたんですよ」と開き直って見せたものでした。少しくらいは演説内容を実現していれば菅アルイミ首相の株も上がったのですが、残念ながら、当然ながら、100円ショップで買って来たような間に合わせの使い捨て風呂敷でしかなかった事がすぐにバレてしまったのは残念でありました。

■しかし、ものは考えようであります。「大風呂敷」の本家本元である後藤新平の猿真似でも結構ですから、ここは一番、一世一代の大風呂敷を広げて復興の牽引力を発揮して頂ければ、瓢箪から駒、怪我の功名、日本の政治史に本当に名前が刻まれますぞ!何せホラと大嘘で固めたマニフェストで国民の信頼を失って支持率も限界まで落ち込んでいる菅アルイミ首相なのですから、どんな大嘘をつこうとこれ以上の悪口を言われる心配はありませんからなあ。

■御本人は官邸のどこかに潜んでいるらしいのですが、発表はすべて枝野官房長官に丸投げして国民に語り掛けようともしない菅アルイミ首相の真意が分からず、「下手な考え休むに似たり」とは申しますが、今の日本に一人しかいない総理大臣ですから政治家としての矜持を示して貰いたい!と思っている矢先に、民主党らしい恥ずかしくも恐ろしいニュースが転がり出したのは残念でありますなあ。


菅直人首相の元秘書で、東京都武蔵野市の松本清治市議(41)が、東京電力が実施する計画停電で、市内の一部地域が対象から外れたことについて、「松本清治の要請が実現しました」などと記したビラを配布していたことが24日、分かった。武蔵野市は菅首相の選挙区でもあり、インターネット上で批判が集中、松本氏は同日、自身のツイッターで「配慮が足りなかった」などと謝罪した。……ビラは「市政報告レポート」と題したA3判の両面刷りで、約800部を配布。「わかりにくい計画停電」との見出しで、武蔵野市の病院などを含む第1グループは「当面、計画停電の対象地域から除外する」と東電側から連絡があったなどと記載し、「要請が実現しました」と記した。…… 

■まあ、元の親分が未曾有の震災をモッケの幸いとばかりに自分の政権の延命に役立てようと、馬鹿の一つ覚えのハッタリとパフォーマンスに勤(いそ)しんでいるようなので、元の子分がこの程度の武勇伝?を選挙用に吹聴するのも不思議とは思えませんが……。意気揚々と粗忽な自慢話を発表しておいて、批判が起こったら政治家らしい説明もせずに「配慮が足りない」では済まさないでしょう。最も愚かな火に油を注ぐ行為と申せましょうし、恥の上塗り、「物言えば唇寒し」でありますなあ。一介の市議が東京電力に圧力を掛けて大規模な計画停電の内容を捻じ曲げて見せたぜ!というのも奇妙な話ですが、菅アルイミ首相の秘書だったことを匂わせて最高権力と太いパイプがある!と虎の威を借りて偉そうに振舞ってみたかっただけかも知れませんが、何の役にも立たないくせに権力を弄んで偉そうに田舎芝居をしている閣僚や議員がぞろぞろと国会内を歩き回っている党の中枢を見れば、この程度の市会議員が現われても不思議ではありませんなあ。


これに対し、ネット上では「利益誘導か」「配慮に欠ける」などと批判が集中。松本氏はツイッターで「地益(=地元の利益)誘導ものではありません」などと釈明。「文章が誤解を与えているとすれば申し訳ありません」と謝罪した。松本氏は平成6~11年に菅首相の随行秘書を務め、薬害問題などに取り組んだ後、11年4月に武蔵野市議に初当選。同市議会の副議長も務めている。
2011年3月25日 産経ニュース 

■怒った人たちは文章の何処をどのように「誤解」したのか?さっぱり分かりません。停電計画の対象から外され、「要請が実現」したと書いてあれば、自分の業績を自慢するためのビラなのだろうと解釈する以外、一体、どんな理解の仕方があるのでしょう?天敵のクラッシャー小沢の秘書軍団に比べると、随分と子分の資質が悪いようですが、それも親分の不徳の至りと申せましょうなあ。後始末は武蔵野市議会と有権者の皆様にお任せするしかありませんが、これで国政への道は完全に無くなったことは確かでしょう。まあ、次の国政選挙の時に民主党が存在しているかどうか?菅アルイミ首相の元秘書の看板がどんな意味を持つようになっているかは、何となく予想はできますが……。

■子分にも恵まれない可哀想な菅アルイミ首相ではありますが、今はまだ日本国の総理大臣なのですから、しっかり災害からの復興に尽力して頂かねばなりません。それにはマニフェストに並んでいたちまちました小さなホラ話ではダメであります。気持が萎え始めている国民がホッホーッと感心して元気が出るような大法螺でなければなりませんぞ。

想定外と言う前に 其の壱

2011-03-25 10:51:17 | 日記・雑学
■「犬が人を咬んでもニュースにならないが、人が犬を咬んだら大ニュース」とか申しますが、震災翌日の3月12日午後3時45分に福島第1原発1号機で水素爆発事故が発生してからの経緯を冷静に思い返してみれば、10日も2週間も経って水も空気も海も放射性物質による影響をまったく受けていない!としたら、これこそ世紀の大ニュースでありましょう。事故現場の周辺半径20キロが「人が住めない場所」と指定されてたいへんな数の避難民が故郷を捨てる覚悟を強いられているのに、半径50キロ、100キロ、150キロ、200キロの同心円に含まれている場所が何の放射線汚染を受けていない筈はありますまい。従って、昨日の3月24日になって「水道水が放射線で汚染!」とパニックが始まったという報道には違和感があるのであります。

■今朝、お一人様1箇の購入制限のある納豆1パックと食パンを某スーパーで買って来たのですが、「世界一の速度で高齢化する日本」を否が応にも実感させられる光景を眺められましたぞ。元気なお年寄りが行列を作って水のペットボトルを殺気立って買う中に、顔を強張らせた若い母親の姿が散見されましたが、少なくとも旅限無が目撃した範囲では若い母親に優先権を与える御老人は居なかったようであります。そしてレジで清算している時にもメガネを掛けた元気な御老人が巨大な張り紙が見えなかったのか購入制限を無視してあれこれ備え付けの買い物籠に放り込んで来て、レジの御婦人に注意を受けて本当かウソかは分かりませんが耳が遠いからと何度も同じ事を聞き返しつつ、何とかお目こぼしを要求しているかのような芝居がかった押し問答をしておりましたぞ。幸か不幸かごの御老人は渋々ながらレジ係の説得に応じて、未練たらたらの態度丸出しで制限を越えた商品を諦めて清算を済ませたのでした。可哀想なのはレジ係の御夫人で、「大変でしょうが、落ち着いて仕事をして下さいね。東北あたりでは殴り合いも始まっているみたいですから、気を付けてね」と一声掛けて清算を済ませた旅限無でありました。

■店の外に出て来るとペットボトルを2本ずつレジ袋に入れた御老人たちが集まって、安心して満足した表情でタバコを吸って談笑している姿は、落語の小話の実演を見た思いがして、人間の矛盾した行動の滑稽さと同時に愚かしい悲しさを感じた次第であります。でも、それが人間というものだよ、と落語家たちは言うのでしょう。汚染はこれからが本番かも知れないのに……。


東京電力福島第一原発の事故は、放出された放射能の推定量からみて、国際評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当することがわかった。すでに米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回る規模になった。局地的には、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故に匹敵する土壌汚染も見つかっている。放出は今も続き、周辺の土地が長期間使えなくなる恐れがある。…… 

■何やら電力会社とマスコミ各社との間には密約があるらしく、大丈夫、大丈夫のメッセージを繰り返し流している間に、何となく信用できない物を感じる人たちを増やしてしまう逆効果が見られるような気がしますなあ。既に週刊誌などでは「原子力村」というキーワードで隠されている日本の電気事業の巨大な闇を解明する記事を書き始めておりますから、新聞・テレビの国策報道に対する不信感はますます高まった行くのかも知れません。スリーマイル島の原発事故では冷却装置の電源は失われなかったのですし水素爆破で建屋が吹き飛ぶような事も無かったようですから、最初から福島原発の事故はスリーマイル島の事故より深刻であることは素人の目でも判断できたはずです。水道水に放射性物質!と同様に、何を今更……という話でありましょうなあ。


原子力安全委員会は、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで放射能の広がりを計算するため、各地での放射線測定値をもとに、同原発からの1時間あたりの放射性ヨウ素の放出率を推定した。事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万~11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。国際原子力事象評価尺度(INES)は、1986年のチェルノブイリ原発事故のような最悪の「レベル7=深刻な事故」を数万テラベクレル以上の放出と定義する。実際の放出量は約180万テラベクレルだったとされる。今回は少なくともそれに次ぐ「レベル6」(数千~数万テラベクレル)に相当する。…… 

■ギガやらテラやら、ちょっと前にはIT技術の分野でしかお目に掛からない単位が、こんな最悪の場面で飛び出して来るのは確かに衝撃的ですが、いくつかの週刊誌を並べて読んでみますと、今回の事故はずっと前から予想された「想定内」のものだった可能性が高そうなのであります。それについては別稿にまとめて検証してみようと思いますが、何とも恐ろしい陰謀が日本の原子力政策には隠されていたことが間も無く公にされるのではないでしょうかな?それは戦後の長い長い歴史の暗部の物語になるに違いないのですが……。


経済産業省原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の1~3号機の暫定評価を「レベル5」と発表したが、今後放出量の見積もりが進めば、再検討される可能性が高い。土壌の汚染は、局地的には、チェルノブイリ事故と同レベルの場所がある。原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村では20日、土壌1キログラムあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。県内で最も高いレベルだ。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという。チェルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。チェルノブイリで強制移住の対象となった地域の約6倍の汚染度になる計算だ。今中さんは「飯舘村は避難が必要な汚染レベル。チェルノブイリの放射能放出は事故から10日ほどでおさまったが、福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」と指摘した。…… 

■名を上げた東京消防庁のレスキュー隊を筆頭に自衛隊、警察、消防の皆様は正真正銘の「決死の活動」に従事しておられるのですから、空と土と水はすべてつながっているのですから、事故現場の近隣ばかりでなく遠く隔たった場所にも放射性物質は流れて来ることは最初から分かっていたはずです。それが生存の上で許容範囲と言えるかどうかが問題で、既に現場の作業員の皆さんが守らねばならない被曝量の許容限度は2倍以上に引き上げられているのですから、便利で快適な電気電化ライフを原発の御蔭で楽しんで来れた我々が特別に安全な環境を保証されるというような非科学的な特権が与えられるはずもなく、冷静に推移を見守りながら原子力発電について、政治について、科学について、そして、日本についてじっくり考えてみる時ではないでしょうか?重要な数々の問題が国策として隠蔽されているのは事実であっても、有権者・子の親・教師として誰もが「知らなかった」ことの罪を反省するのも大切でしょうし、国民を無知な状態に導いたマスコミの責任を追求するのは、将来のエネルギー政策を考えるためには必須の作業でしょうなあ。

復興の邪魔をする者 其の七

2011-03-24 21:50:24 | 政治
■3月23日の段階で、露地野菜や水道水に原発事故が起源の放射性物質による汚染が検出されて、菅アルイミ首相の名前で出荷停止・摂取制限の命令が出されたそうですが、これが民主党政権が自画自賛する「政治主導」なのでしょうか?政・官・産・学に加えてマスコミまで絡め取って戦後の日本をミスリードした55年体制に巣食っていた病巣が福島県の太平洋岸で発熱し溶けて焼けて爆発しているというのに、太平楽な「原発安全神話」の追い風にでもするように、原発は危険だけれど……と日本よりはマトモな危惧を抱いている多くの国も参加して作られた国際的な安全基準を、自らの特殊性を隠蔽するように悪乗りして作った国内基準と、それに基づく法律に従って後先考えずに野菜が危ない!水が危ない!と、官僚が苦心して作ってくれているのが露骨に分かる支離滅裂な原稿を官房長官に棒読みさせて、俗に言う「布団を被って寝ている」状態も同然の雲隠れサイゾウとも呼びたくなる菅アルイミ首相の昨今の影の薄さが際立ちますなあ。

■世界一の地震大国に原子力発電所を並べるからには、他国には想像もできない法律が作られ、独自の対策を講じておくべきだった!と、今更ながらに臍(ほぞ)を噛み、地団太踏みながら復興に向けて一歩ずつ進みださねばならない時に、杓子定規に自分達が散々批判して来た自民党政権が残した原発関連の政策を負の遺産と承知の上で、国民から最終的に飲食物を奪い続ける事になるような命令を官邸の地下に隠れて下しているばかりで、まったく国民の前には姿も現さず、既にインターネットに直結しているラジオ放送も使おうともしない総理大臣など、一刻も早く辞職するべきでありましょう。この大混乱の中で、既定の地方自治体の選挙が腹が立つほど粛々と事務的に進められている由ですが、少なくとも大きな評価と期待を込めて「民主党」に投票する人は皆無に等しいでしょうし、かと言ってまだまだ反省が足りない自民党に華々しく返り咲いて欲しい!と熱望している有権者も少ないでしょうから、史上最低の投票率が全国の選挙区から報告されることになるのではないでしょうか?

■何が何やら分からなくなっているのにマスコミが習慣的に囃し立てている東京都知事選挙にしても、取って付けたように「防災都市」と言い出す候補が増えているとか……。五輪大会誘致より液状化対策を優先せず、あまつさえ液状化が最も激しい場所に博打場を作ろうとした石原都知事があっさり再再選されてしまうのか?宮崎県の知名度は上げたけれど、最後は国政への色気に迷って鳥インフルエンザの対策を怠って任地を見棄てた前の県知事が、リスク管理能力を売り物に出きるのか?などなど、都民ばかりでなく260万人とも言われる通勤都民達があれこれ買い溜めたり自転車を見直している時に実施される都知事選挙は、大手マスコミが好む与野党間の代理戦争とはまったく違う様相を呈して混迷するのではなかろうか?などと考えてしまいます。

■雲隠れ状態の菅アルイミ首相は、大地震に見舞われたハイチや独裁者を追放して大混乱が続くチュニジア、さらには北朝鮮の将軍様から義捐金や見舞いの品が届き始めたことをどう考えているのでしょうなあ?佐藤勝氏が言うように、これまでの日本外交が積んで来た陰徳の効果で日本を気遣ってくれる国際世論が生まれているのなら、それはそれで結構なことでしょうが、とても他国を思い遣っている余裕の無い国々から寄付が集まるという現象は、日本が本当に壊滅・消滅してしまう前に少しでも借りを返しておこう!との思いから発しているのではない事を願うばかりであります。元々、外務省を筆頭に情報発信能力が世界的にも劣っていると言われ続けて半世紀、今回も原発関連の情報とデータが対外用と国内向けに馬鹿馬鹿しく区分けされていると聞きますと、開いた口が塞がらないですなあ。


日本に対する諸外国からの善意と支援が行き場を失っている。混乱の中で、日本側の受け入れ態勢に不備があるのみならず、食品安全基準などが支援の大きな障害になっているようだ。日本に在留する母国民の安否確認と安全確保に追われる傍ら、支援に尽力している各国政府の「恩返しをしたい」という思いを、日本政府は結果的にソデにする格好となっている。ある国は、毛布を数万枚送ると申し出た。だが、日本政府はサイズ(80センチ×80センチ)を指定し、送られる予定の毛布が、わずか20センチほど「規格」に合わないとわかると、受け入れに強い難色を示した。すったもんだの末に、ようやく「規格外」の毛布が日本に届いた。…… 

■「規格」を決めていたのは誰か?それを平時と有事の区別もせぬまま放置したのは誰か?そして、政権交代の金看板にした「政治主導」の実現方法をこの緊急事態に臨んでも、皆目見当がつかずに国民向けには官僚作文をもったいぶって棒読みして聞かせ、裏では政局絡みの国会対策に最もエネルギーを注いでいるのは誰か?よくよくテレビ・新聞の報道の「行間を読んで」我々は考えねばならないのでしょうなあ。


日本政府から、救助犬の派遣を真っ先に要請され、それに応じて送り出そうとした矢先に、「待った」をかけられたケースもある。その際の説明は「空港での検疫に1カ月かかる。これを1週間に短縮してもいいが、救助犬をその間管理できない」だった。結局、救助犬が日本の地を踏むことはなく、関係者は「韓国やニュージーランドなどからは救助犬が入ったのに、なぜなのか」といぶかる。…… 

■この亡国的な「説明」をした担当者から、その直接の上司、ずっと辿って主管大臣までを一網打尽にして大津波の被災現場に送り込んで素手で瓦礫を片付けさせたら如何か?嗅覚と勘に自信がある人なら救助犬の代役を務めてくれれば尚結構。


コメ数万トンの援助を事実上、断られた例もある。送る予定のコメは日本人の口には合わないだろうと、わざわざモチ米を混ぜる工夫も施されていた。しかし、日本政府は「国内に余剰米があり、コメが不足しているわけではない」と回答。ただ、すでに空輸の手はずを整え終えた一部だけは、かろうじて届けられた。食料品を送ろうとして「食品安全基準のチェックがされていない。日本語の表示ラベルも張られていない」と、拒否された例もある。…… 

■食糧が不足しているのではなく地震と津波で物流システムが打撃を受けているという当たり前の情報をしっかり発信しないから、このような誤解が生まれて善意を無駄にするのではないでしょうかな?どうして菅アルイミ首相は対外的な情報発信に努めないのか不思議で仕方がありません。


……フィリピンのアキノ大統領は17日、マニラの日本大使公邸を訪れ記帳した際に、支援を改めて申し入れた。日本側の答えは「『本国からの回答を待っている』だった」(大統領)。
フィリピン政府はすでに、支援物資を整え日本側の「ゴーサイン待ち」。同政府筋は「第1便として、48品が入った箱を2500箱用意した。カップ麺やコメ、缶詰、タオルなどが入っている」。ようやく25日、日本に空輸される見通しとなった。…… 

■今の官房長官が、以前に「迂闊にも政治主導などと言ってしまい……」と真っ正直な反省の弁を述べたことがありましたなあ。勘違いも多い一方的な役人の悪口を並べて出来もしない空約束を並べて「マニフェスト」と称して政権を手に入れたものの、平時でも政治の動かし方を知っている人材がほとんど居ない!という重大な事実に遭遇した民主党政権ですから、緊急事態の有事にてきぱきと愚かな国民には気がつかない要所要所を抑えて、痒い所に手が届く政策を矢継ぎ早に打って行く……などということは最初から誰も期待はしていませんが、被害状況を正確に掌握するために民間のヘリコプターも動員して被災地を隈なく飛び回って情報収集に努めれるべきでしたなあ。首相自身が選挙用のハイヤー代わりに自衛隊のヘリコプターを玩具みたいに使っている場合ではなかった!嗚呼。


ベトナム政府もコメや毛布を送る意向を伝えているが、「日本政府は何も言ってこない」(同政府筋)と、戸惑いを隠さない。日本側には支援を受け入れても保管場所の確保や、被災地への輸送がままならないという事情がある。このため、物資ではなく義援金に切り替えてほしい、と要請された国も多い。だが、「日本からはこれまでにいろいろな支援を受けてきたので、その恩返しをしたい。受け入れ側の事情もよく理解しており、不必要なものを送るつもりもない。それでも日本政府の対応は首をかしげる」(東南アジア筋)という声は小さくない。断るにせよ、礼を尽くすべきだろう。
2011年3月24日 産経ニュース 

■「礼儀」などという高級なものを民主党政権に求めるのは酷というものでしょう。「政権交代」の看板に寄り集まっただけの有象無象の政党集団に、外交的な配慮を期待するのは最初から無理でしょう。何しろ国内の情報収集も出来ず、菅アルイミ首相自らが「俺は原子力にものすごく詳しいんだ!」などと情報を遮断するような馬鹿な発言をしているくらいですから、心配してくれる外国に対して礼を失しない言葉と方法で、本当に必要な支援を的確にお願いすることなど、夢のまた夢でしょうなあ。嗚呼、勿体無い!

復興の邪魔をする者 其の六

2011-03-24 16:13:43 | 政治
■大阪の象徴の通天閣が夜間の電飾を自粛しているとのニュース映像を観ましたが、これは実に不思議な光景だと感じました。犠牲者を悼み喪に服すのは決して悪いことではありませんが、直接的な被害を受けずほぼ無傷で元気なはずの大阪には別のメッセージを発して欲しいものだと思うのであります。大地震に襲われたのは東北の太平洋側で、巨大な津波が押し寄せて壊滅的な被害を受けたのは主に東北の3県、その後も原発事故の影響と余震に怯えている東日本全域ではありますが、長野県のほぼ中央辺りに南北に引いた仮想的な直線を挟んで、日本の経済活動と日常生活の風景が東西にくっきりと分かれているという話があるそうですから、日本全体の国力を下げないためには西側半分がこれまで以上に踏ん張って頑張って頂かねばなりません。

■大阪の通天閣が元気を失ってしまったような風景は、海外メディアが垂れ流す日本壊滅!のイメージを裏付けてしまう恐れもあります。情報発信が下手クソな民主党政権の欠点を日本全体で穴埋めして行かないと、アホな政府と一緒に日本全体が沈没してしまったら取り返しが付きませんぞ!どんなに長くても民主党政権はあと2年余りの寿命しかありませんから、その間はどうしようもない馬鹿息子を持ってしまった親の気分で、日本中の老若男女は一致団結して愚かな政府から日本を守らねばなりますまいぞ。そもそも、「全国的節電」などという日本の電気事情も近代史も知らないトンチンカンな指示が飛び出したのは、震災翌日の12日夕刻の枝野幸男官房長官が行なった会見であったようですなあ。

■例の「福島第1原子力発電所で何らかの爆発的事象があった」という官僚趣味満載の意味不明の作文を読み上げたアノ会見であります。その中でまだ余震・津波の可能性が残っているため、避難所など安全な場所で待機してほしいとも言ったのですが、「安全な場所」が何処にもないのが被災地の実態だと分かっていないらしく、更に燃料・食糧・水・医薬品が届かない孤立状態の人々に対して「待機してほしい」と言うのは餓死せよと同義語ではないのか?!と呆れ返ってしまいましたが、同じ会見で「発電総量が大きく落ち込んでいるため、全国民に節電をお願いしたい」と呼び掛けてしまったばかりに、無傷で電気エネルギーに余裕のある西日本でも節電を強制してしまう結果になったようですなあ。

■そもそも、明治時代に東日本では欧州系の周波数50ヘルツの発電機を、西日本は米国系の60ヘルツの発電機をそれぞれ輸入してしまったのに今に至るまで誰も東西の周波数を同一化する政治的判断を下せないままという歴史的事実がありますし、もしも西日本で節電して貰った電力を融通して頂こうと思っても、周波数を変換する施設が国内に3カ所しかなくて能力は計100万キロワット程度しかないという現在の状況を枝野官房長官は十分に承知の上で、「全国的な節電」を訴えたのか?ヘマばかりしている東電は既に、変換能力一杯の融通を受けているのだそうですぞ。日本全国を真っ暗闇にしてみても復興はどんどん遠のくばかりではなかろうか?

■「万全を期す観点から、第2原発についても10キロ圏内からの退避を住民に指示した」とも述べたのでしたが、第1原発の事故が起こってから5キロ、10キロ、20キロと地元住民を恐怖のどん底に落とすと同時に全国民を不安にするような避難指示を積み重ねて行った菅アルイミ内閣ですが、これは危機管理の専門家に言わせれば最悪のやり方なのだそうです。本物の戦争の場合、戦力のチビチビした逐次投入というのが最悪でるのと同じ理屈で、今回の自衛隊投入のやり方にしても阪神・淡路大震災時代の「村山政権よりはマシ」などという恐ろしくも恥ずかしい政治の基準点があるのも困りもので、「あの時に比べたら」の枕詞が付いた途端に社会の木鐸たるマスコミも一瞬で大本営発表に加担してしまいますからなあ。

■そもそも、カイワレ大根を下品にパクついたら知名度が上がったと歪んだ思い出に一縷の希望をつないでいる菅アルイミ首相は、自分で自分の轍をしっかり踏み締めて3月12日に「現地視察」へと赴き、最も行ってはいけない福島第一原発の現場に着陸して「大丈夫」「爆発しない」と、JALが潰れたら後に残った日本最大の国策会社たる東京電力の非常時とも思えぬ総理大臣御一行様専用の送迎儀式を受けて、最後の砦となる官邸地下の危機管理センターに意気揚々と舞い戻った時から大惨事が始まったようなものであります。何より大事な選挙でお世話になっている元連合会長のような身内を前にして「俺は原子力にものすごく強い」などと蟷螂の斧と呼ぶのも恥ずかしく悲しい強がりを言ってからは、事態はもっともっと酷くなって行ったのでありました。

■福島第一原発を中心にして半径50キロを、即座に最高レベルの警戒地域に指定して、本当の危ない近接地域からの脱出、少しは時間的有余が許される屋内待機が必要な地域に対する「自宅籠城用の物品」の緊急搬送を下命してから、始めて「事態を注視する」体制が執らるはずで、IAEAに「情報を隠すなよ!」と嫌味な叱責を受けたと世界中のマスコミがますます日本ハルマゲドンのシナリオを強化するような愚かしい会見をしなくても良かったのに……。最悪の事態を即座に想定して対応しておいて、公明正大で客観的な観測データを大規模に集めながら、最悪の事態からの脱却を誰にでも分かるように警戒地域を徐々に小さくして行けば、国民はパニックも起こさず無用な不安に駆られることもありません。但し大所高所から沈着冷静な判断を下せる信頼できる「司令塔」が存在しているならば、という前提があっての話なのですが……。

復興の邪魔をする者 其の伍

2011-03-22 11:16:27 | 政治
■全国的な自粛ムードで、うっかりNHKを真似て始めてしまったCM抜きの報道特別番組が経営を圧迫し続けていた民放テレビ各局でしたが、週刊誌に「チキンレース」と呼ばれた痩せ我慢も限界に達して、次々に「エースィー」で終わる仁科明子母子の子宮頸癌に御用心という話やら、思い遣り・心遣い、挨拶は大事と訴える旧・公共広告機構のCMをぐいぐい押し込んで、視聴者の中には余りのしつこさに癇癪を起こして抗議の電話をした人も多いとか……。道路が寸断されて大車輪で復旧作業をしている時期に新車の宣伝はそぐわないでしょうし、連日の死亡者名簿発表が続いて全国民が喪に服しているような気分の時に発泡酒を痛飲して「ッアー、ウマイ!」などと言っている場合でもないでしょう。更に以前から問題の多かったパチンコ業界の宣伝は尚更、少なくとも時期尚早でありましょう。食品関連のCMも東北各地の避難所で飢餓の不安が出ているのですから、何が旨いのこっちが美味しいのと宣伝するわけにも行きますまいし、薬関係も医薬品不足を訴える悲痛な声が報道されている時期ですから、これも遠慮しなければならないでしょう。

■そのように考えてみますと、大地震以前は何とも能天気なCMが垂れ流されていたと再認識させられますが、内需拡大が国是となっている限りは盛んに宣伝して商品をどんどん売らねばなりませんし、何より急がれる復興のためにも経済活動は盛んになって貰わねば資金も得られず将来が明るくなりませんから、被災者も元気になるように気遣いながら生産・宣伝に務めるのが企業の使命と申せましょう。自粛が続くテレビやラジオのCMの中には、電力会社が盛んに流していた「オール電化住宅」や太陽光発電を広めようと建築会社や電機会社が流していた「太陽光発電パネル」「エコ住宅」などがあったなあ、と妙に懐かしく思い出します。そして、同時にもしも被災地でローンを組んで「オール電化住宅」を建てたばかりの人はどれほど居られるのであろう?と考えると暗澹たる気持に襲われます。

■「燃料電池」も商品化され始め、「スマート・グリッド」という新しい電力分散供給技術も提言されていましたが、現実的には全発電量の3割以上を占めるまでに至った原子力発電を主軸とする電力供給システムが安定していなければ1日も安穏には暮らせない日々が続いていました。それでも太陽光発電パネルの技術は蓮舫大臣に何と言われようと世界一!ですから、売電制度を充実させれば一気に普及が進むであろうと言われたのは鳩山サセテイタダク前首相が国連で大風呂敷を広げて見せた頃のことでしたかなあ?


東日本大震災で被災地の電力供給が途絶え、東京電力が計画停電を実施する中で、太陽光発電システムの存在感が高まっている。東北~関東を中心に、太陽光発電を設置した家庭から、「太陽光発電を付けているのに、停電時に使えない」との問い合わせがメーカーや設置・販売業者に殺到。停電時には特別な操作が必要だが、周知が不十分だったとして、メーカー各社は一斉に啓発に乗り出した。
「屋根に設置している太陽電池が停電で動かなくなって宝の持ち腐れだ。どうしらいいのか」。大震災発生の翌12日以降、ある太陽光発電装置メーカーには、通常の約10倍近い電話問い合わせが相次いだ。…… 

■「地球に優しい」だけでは太陽光発電は広まらず、やはり、自家用電力を自給自足できる上に余った電気は売れる!というオマケも付いてこそ、国の補助もあるならばと新築だけでなく増改築を考えている人も考えるものでしょう。更に本音は万が一の時にも電気の便利さを失わないという利己的な目的があって心も動くというのが人情として当然の話でしょうから、正に万が一が起こった今回の大地震という緊急事態で目算が狂ったら、誰でも腹が立ちましょうなあ。


家庭用の太陽光発電装置は、パワーコンディショナー(パワコン)という装置を使い、太陽電池で発電した直流電流を、家庭で使用できる交流電流に変換している。ただ、パワコンを動かすための電気は、通常、電力会社から送られる系統電力に依存しており、そのままでは日中発電していても、電気が使えない。使用するためには、家のブレーカーをオフにし、パワコンに付属したコンセントに直接、電化製品の電源コードを差し込む必要があるが、意外に知られていないのが実情だ。…… 

■発電した直流電流を交流に変換するためには外部電力を買わねばならないとは、炉心や貯蔵プールを冷やす電源は外部に求めねばならない福島第一原発と同じ仕組みのようであります。どちらのシステムも通常の電力供給が安定していることが前提とされているという事は、日本の電力会社はよほど自信を持っていたことの証明なのでしょうが、外部電力を引き込む作業を始めるのが遅れたのは実に残念でありました。問題の家庭用パワコンのコンセントからどれほどの家電製品に電気が引っ張り出せるのやら……オール電化になっている御家庭などはどうなるのでしょう?まだまだ、改良の余地の多いシステムなのかも知れません。


……太陽光発電協会は、ホームページで停電時の設定方法について環境省のマニュアルを添付した告知を掲載。各メーカーも自社のHPで同様の掲示を始めた。あるメーカーでは「各販売店にも自立運転の使用方法を周知する。被災した家庭の役に立てれば」と話した。
2011年3月21日 産経ニュース 

■何でもかんでも「詳しくはホームページで」の一言で済まそうとする傾向が蔓延していますが、この高齢化社会でパソコンに触れたことのない人の数を知らないのか?と著しくイメージ先行型のテレビCMが増えるのと歩調を合わせて「ホームページへ」の呼び込みが際限もなく増え続けて行くのは如何なものか?と訝しんでおりましたが、今回の計画停電という事態では正確で詳しい情報を入手するのに苦労した人たちが続出してしまいましたなあ。テレビのデジタル化を強引に進めていたことに関しても反省する声が出ているようですから、技術革新で社会を変えるという大事業はよほど慎重に進めねばならないでしょうなあ。

■停電が起これば自宅のパソコンは使えなくなるのですから、太陽光発電から自家用電気を引き出す方法をパソコンで調べろ!というのはブラック・ジョークにもならない矛盾した話で、日本中で起こっているエネルギーや物流システムの大混乱を象徴しているような感じでありますなあ。

復興の邪魔をする者 其の四

2011-03-21 22:07:59 | 政治
■「其の参」の続きです。いよいよ気持の悪い温室育ちの電力エリート達が針の筵に座らされ世間の冷たい風に晒される時期になっているようであります。

「福島に安全を戻せるのか」。インタビューで質問に窮し、「申しわけございません」と涙を流しながら去る東京電力の小森常務=18日夜、福島市の県災害対策本部にて…… 

■という情けない写真が報道されております。


……小森明生常務は18日夜、福島県災害対策本部に訪れ、その場で報道陣に囲まれた。小森氏は福島県楢葉町に常駐するあいさつに来たのだが、その場で「準備なしの緊急会見」に。東電は企業統治(ガバナンス)の面でも、あまりにも未熟な体質が露呈。約50分間、厳しい質問が途切れず、県民に誠意ある回答ができず涙ぐむシーンもあった。小森常務は元福島第1発電所長。東電は福島県の浜通り地方では、地域経済や雇用の大きな受け皿で“名士”として持ち上げられてきた。それが一転、「福島に希望はあるか」「東電は今後も原発事業を継続するのか」…。想定問答集もなく、居並ぶカメラの前で「申しわけありません」「経営判断に及び、今即答できかねます」と答えるのが精いっぱい。涙ぐみながらの会見から、かつての所長の威厳はまったく感じられなかった。…… 

■常務さんは手ぶらか手土産を持って来たかは存じませんが、引越しの「御挨拶」のつもりで御自分の立場と身分をすっかり忘れて迂闊にも故郷を失う不安に耐えている人たちの殺気立っている嵐の真っ只中に足を踏み入れてしまったのでありました。一般の企業であれば仕入れコストに当たる発電に必要な原材料が値上がりしようと自動的にお客様の負担に上乗せ出来るし、生産財となる土地の購入費や各種工作資金が膨大になろうと、国から手厚い援助が得られる仕組みが法律によって保証されている国策会社の特殊性を、この常務さんがどれほど自覚していたかは定かではありませんが、経営上の厳しい決断も工夫も必要なく有力議員や幹部官僚と結託して仲良くやって高度成長期の夢幻でしかない成功体験を骨の髄まで浸み込ませた不思議に暢気な企業の中で出世して来た人に、現実に即した厳しい質問を投げつけてもマトモな答えは期待できないでしょうなあ。


事故を起こした福島第1の廃炉の可能性について、小森常務は「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と明言。廃炉を検討せざるを得ないとの認識を示した。小森常務は「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と同社として県民に初めて謝罪した。 

■この「初めて謝罪した」という一節は重大な意味を持ちます。副社長さんや社長の会見を見た多くの人は、先の京都大学のエライ先生方が宮城県出身のカンニング学生に対して、教育者とも思えぬ安易さで、自らの監督体制の不備を棚に挙げて早々に重大な「事件」だと言い立てて警察沙汰にしてしまうことで、自らを被害者に仕立て上げてしまう田舎芝居を思い出したのではないでしょうか?旧帝大や国策会社には生臭くも生ぬるい気味の悪い半分腐った臭いが立ち込めているのかなあ、と長きに亘った自民党単独政権の時代の裏側を見せ付けられて実に嫌な気分にさせられます。危機管理の経験が今の民主党よりは抱負だと、これまた次の選挙用に宣伝している節のある自民党ですが、次々に日本を襲う人災・天災の根本的な原因を一身に引き受けるくらいの覚悟がなければ、二度目の政権交代は望めませんぞ!

■第二次就職氷河期と呼ばれる不況下ですから、きっと天下の?東京電力から内定を貰った新卒者の中には鯛の尾頭付きやら、赤飯を炊いて親族や御近所に配って歩くほどのお祝いをしてしまったご家族があったのではないか?と何度かの東電側の記者会見を見ながら、ぼんやりと考えたのであります。今となってはトンデモない会社に入ることになってしまった!と頭を抱えている親兄弟、親戚の皆様も多いのでなかろうか?などと想像してしまうほど、東電の対応は殿様商売丸出しの何の訓練も受けていない稚拙なものばかりであります。いざという時には政府が全部尻拭いしてくれることになっている仕組みが、今回の原発事故を歴史に残るほど大規模なものにしてしまった可能性を、たとえどんなポンコツ与党であろうとも政権交代が実現した後なのですから、じっくり考えてみるのも大切なのではないでしょうか?


一方、長年、原発の耐震安全性を強調しながら、事故について「地震、津波があったとはいえ…」と公然と言い訳した。東電の“安全神話”を信じ、国の原子力政策に協力し、地域振興に夢を描いた地元の思いを踏みにじるなど、無神経な答弁も目立った。福島県民はいま、放射能汚染への不安と怒りの中にあるが、事態収束の見通しについては、「厳しい状況が続いている。あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と述べるにとどまった。放射能汚染を避けるために避難所を転々としている周辺住民に対し、「誠に申し訳ない」と謝罪したが、補償については「国と相談して考えていく」。同席した別の幹部が「避難所数がわからない」と述べるなど無神経な発言も多かった。東電では、地元対応のため小森常務らが、連休明けに避難所を回るという。 

■第一次産業しかない海岸沿いの地域が原発の立地候補地になり、裏から表から莫大な補助金や地域開発資金が投げ込まれ、最後は否応もなく建設を受け入れさせるという自民党時代に開発された手練手管が今回の原発危機を招いたに違いないのですが、幸か不幸か政権を失っている時期に当たって、「政権奪回」の旗を立てて与党の悪口さえ言っていればよい気楽で無責任な立場に甘んじていられると油断している限りは、政権奪回は実現しないでしょうなあ。東京電力をネオテニー(幼態成熟)のまま肥え太らせて化け物にしてしまったのは自民党政権の責任でありますぞ!それはJALを外側から食い荒らした罪業と同時進行で行なわれたのでしょうから、夢見がちの野党第一党との馴れ合い芝居でしかなかった「55年体制」を後生大事に半世紀以上も続けさせてしまった有権者の責任でもあるのですが……。


会見後、「へ理屈はいいから早く収束させてくれ」と肩を震わせながら立ち去る地元メディアの記者も。東電が計画から半世紀以上かけて、地元と築いた信頼関係を一気に吹き飛ばしたという極めて深刻な事実をあからさまにした。県民の反応も「社長謝罪の露払いか」(福島市の60代男性)と冷ややかで、東電にとっては、事故を収束できたとしても、その後長く続く苦難の地元対応の幕開けとなった。
2011年3月19日 産経ニュース 

■息子や孫が超一流企業の下請け仕事に従事できる機会を得られる幸運と、万が一の時には故郷の地面も空も無くなってしまう危険とを天秤に掛けさせられて、最終的には政府と東電の言うことを信頼して決断した地元の人々に対して、当時の苦渋の決断の責任を問うことは出来ません。たとえ相場の何倍もの値段で土地を買い上げて貰ったにしても、多くの若者がよい収入が得られる仕事が提供されたにしても、一歩間違えたら大事故になる危険な産業には違いない原子力発電所を「安全だ!安全だ!」の念仏・御題目が続く中で、本当の万が一に備えなかった責任は、やはり、旧自民党政権が最初に負わねばならないでしょう。民主党政権に辟易していても、あっさり自民党のリバイバルを許さない国民感情の根っこを今の谷垣総裁はどれほど理解しているのでしょうか?自分の政権を延命するためだけの大連立話を蹴っ飛ばすのよいとしても、本当に民主党政権が仕出かし続けた失政の穴を埋めつつ、旧自民党政権の負の政治的遺産を見事に清算するだけの覚悟と能力を持って、政権移譲を迫る根性がお有りか?