■台湾からの義援金が昨年5月27日の時点で約55億5千万台湾元(約157億円)に達していたと「其の九」で指摘しました。お話はその続きでございます。
訪米中の楊永明・台湾行政院新聞局長(46)=閣僚=は(7月)11日、ニューヨーク市内で共同通信と会見し、東日本大震災の被災者に対する台湾の義援金が約200億円に達したことを明らかにするとともに、馬英九政権(国民党)が「対日特別パートナーシップ」路線を重視していると述べた。……支援額は「世界一」で、1999年の台湾中部大地震で日本がいち早く支援をしたことに対する「お返し」の意味もあるという。
局長はまた、原発廃止が台湾の目標であるとしながらも、電力の約20%を供給している3カ所の原発が2025年までに稼働を中止するため、建設中の第4原発を稼働させて補うことが必要との考えを示し、安全性の確保を強調した。
2011年7月12日 産経ニュース
■地震に加えて原発問題でも日本と台湾は共同して研究すべき課題があり、助け合いも続けて行かねばならないということであります。行け行けドンドンで強引に100基もの原発を並べるぞ!と意気込んでいる北京政府は有力な商売相手なのでしょうが、原発政策の曲がり角に来ている台湾とは冷静で深い話し合いが出来そうな気がします。北京の国際空港を新築する費用を日本政府に出して貰ったことを頬被りしている北京政府とは対照的に1999年の大地震に際して支援して貰ったことの「恩返し」だと国を挙げて世界一の義援金を送ってくれる国との関係を大事にしなければなりますまい。
■金額では400億円相当の原油500万バレルを贈ってくれたクウェートの支援も忘れてはなりますまい。3月21日の午前、皇居で両胸の胸水を抜く治療をお受けになったばかりの天皇陛下が直々に皇后さまとご一緒に来日したサバーハ首長をお出迎えになり、30分間の会見の後、お見送りまでしたのでした。バイパス手術のことを知っている首長は大変に感動した由。更に両陛下は23日の午前にも、サバーハ首長が宿泊していた東京・元赤坂の迎賓館を御訪問になってお別れのご挨拶をなさったとのこと。国民を代表して恩を忘れない姿勢がしっかりと相手に伝わったものと推察いたします。ついでながら?野田ドジョウ首相も22日に首相官邸で首長と会談しておりまして、クウェートから日本への原油の安定供給などを盛り込んだ共同声明を発表した折、原油の無償提供に謝意を表したとのことです。こちらの方はどの程度相手に伝ったかどうか怪しいものでありますが……。
■ここからまた台湾の話に戻ります。
政府は23日、東日本大震災追悼式典に台湾代表として出席した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表を指名献花から外したことについて「配慮が足りなかった」とする答弁書を閣議決定した。答弁書は「台湾の人々の気持ちを傷付けるようなことがあったとすれば政府の本意ではない。大震災に際しての多大な支援に深く心から感謝している」としている。大江康弘参院議員(無所属)の質問主意書に答えた。
2012年3月23日 産経ニュース
■本当に「配慮が足りなかった」のかどうかは真偽不明でありますが、野田ドジョウ内閣は取り敢えずは追悼式典での非礼を謝ったのでした。最初から常識的に事を運んでいれば「相手の気持を傷付けるような」心配はしなくても済んだのであります。これから振り返る追悼式典後の支離滅裂な民主党政権の答弁と態度を思い出せば、こんな役人作文を棒読みしたくらいで式典での大失敗を帳消しになど出来ないのは明らかでありましょうなあ。
政府が11日に主催した東日本大震災の一周年追悼式典で、台湾代表として出席した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表が指名献花から外されるなど冷遇されたことが分かった。12日の参院予算委員会で世耕弘成氏(自民)が明らかにした。
野田佳彦首相は「台湾の皆さまに温かい支援をいただいた。その気持ちを傷つけるようなことがあったら本当に申し訳ない。深く反省したい」と陳謝した。藤村修官房長官は「十分にマネジメントできていなかったことについてはおわびしたい」と述べた。……
■3月23日に閣議決定した「答弁書」と寸分違わぬ文言で野田ドジョウ首相は国会で陳謝していたのであります。10日間も正式な謝罪が遅れたのは何故だったのか?どうせ謝るのなら早いことに越したことはないのに……。党内の陰湿な権力闘争と消費税引き上げで忙しかったのでしょうなあ。
世耕氏によると、政府は約160の国と国際機関の代表に会場1階に来賓席を用意したが、羅氏は「民間機関代表」と位置付け、2階の企業関係者などの一般席に案内。指名献花からも外し、羅氏は一般参加者と献花したという。……台湾は、大震災の際、世界最大規模の約200億円の義援金を寄せた。政府は昭和47年の日中国交正常化後、台湾を国として承認していないが、代表処は事実上の大使館にあたる。
2012年3月12日 産経ニュース
■「政治主導」が奇しくも東日本大震災と原発事故で看板倒れに終わってしまい、その後は官僚主導へと大きく振り子が戻っていることもあり、杓子常時に時代遅れの手続きを踏襲して北京政府のご機嫌を取ろうとでもしたのでしょうが、危機管理能力が無い政権ならではの恥ずかしい失敗でありました。その責任は何処にあるのか?首相が国会で陳謝した翌日に明らかになりました。
……藤村修官房長官は13日午前の記者会見で「外交団という仕切りの中で整理され、外務省と内閣府で調整済みだったと後から聞いた」と述べ、対応に問題はなかったとの認識を示した。また12日に開かれた玄葉光一郎外相主催の各国高官のレセプション(歓迎会)には、台湾代表を招待したことを明らかにした。……この件について野田佳彦首相は12日の参院予算委員会で「本当に申し訳ない。深く反省したい」と陳謝しており、一夜にして謝罪を覆した形だ。
2012年3月13日 産経ニュース
■「其の九」で引用した3月27日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会で玄葉光一郎外相が明かした台湾からの出席者に「直接陳謝」したのがこのレセプションの場だったわけであります。しかし、藤村官房長官は「陳謝」の件には一切触れず、追悼式での献花では民間扱いしておいて歓迎レセプションでは各国高官と同等の扱いで「招待」したのだから問題は無い!と言い張ったのであります。こんな無茶な答弁をさせていたのは外務省だったことが翌日に判明しました。
……「外交団という仕切りの中で整理された。外務省と内閣府で式典のやり方を十分に調整された」、「外交団の仕分け(基準)は外務省にきちんとしたものが伝統的にある」
藤村氏は13日の会見で、追悼式典の準備に当たった外務省と内閣府が事務レベルで台湾をリストから外したこと自体には問題はないとの認識を強調した。自らの対応については「配慮が足りなかったかどうかを反省材料にする」と述べた。……
■注目すべきは基準が「外務省の伝統」に従って定められているという点です。元々、党としての綱領を持たない民主党には外交・安全保障(税制も)に関する統一見解も政策もありません。それ故に初代総理となった鳩山サセテイタダク元首相は「東アジア共同体」やら「沖縄の米海兵隊を国外へ」やら、夢見がちな独裁者のように後先を考えずに放言を繰り返して自滅したのでありました。菅アルイミ前首相は最初から外交政策など持ち合わせておらず、国際会議に行けば遠足に行った幼稚園児みたいにはしゃぎ、チャイナの胡錦濤国家主席を迎えれば悪さをして先生に叱られている中学生みたいに俯いてメモをぼそぼそと読んで見せたりしたものでした。さて、野田ドジョウ首相が国会で陳謝した翌日、藤村官房長官が前言を撤回したも同然の開き直りに出たのは、外務省からの圧力や指示があったからだと誰にでも分かります。
外務省は日本に公館を置いている150カ国、中国などにある公館で日本を担当している18カ国、経済協力開発機構(OECD)など35の国際機関に追悼式典への案内状を出し、約160人の外交団が式典に参加。日本が国家承認していないパレスチナの代表も例外的に外交団として扱われた。だが、外務省は台湾の駐日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処を「民間団体のステータスで呼んだ」(同省儀典官室)と説明している。そのため、羅副代表は外交団がいた会場1階の来賓席ではなく2階の企業関係者などの一般席に案内され、国名が読み上げられる「指名献花」の対象にもならず、一般参加者と一緒に献花したという。……
■「前例」と「文書」で武装して「御説明」攻撃を得意技にする官僚に対して民主党は「政治主導」の看板を掲げていたのですが、こうも簡単に臆面もなく「外務省の伝統」を振り回されたら二の句が継げませんなあ。台湾から贈られた莫大な義援金を「民間団体からの寄付」として民主党政権は受け取っていたから、追悼式でも同等の扱いをしたんだ!という恩も情も無い官僚主導のセレモニーだったと分かれば、野田ドジョウ首相が読み上げた作文の味気なさも納得出来ますが、何とも割り切れないものが残ります。
藤村氏は12日の参院予算委員会で「事務方ですべておぜん立てした。台湾に関するわが国の基本的立場は1972年の日中共同声明の通りだ」と語り、台湾が中国の領土の不可分の一部との中国政府の立場を「理解し尊重する」としている日中共同声明をもとに機械的にリストを作成したことを認めた。参院予算委でこの問題を追及した自民党の世耕弘成参院国対委員長代理は13日、「事務方で調整していようといまいと、台湾を各国代表の枠の中で扱わなかったのは問題だ」と非難した。
野田佳彦首相は12日の参院予算委で、世耕氏の指摘を受けて陳謝し、「行き届いていなかったことを深く反省したい」と述べた。外務省によると、この発言に対し、13日時点で中国政府からの反応はないという。もっとも、輿石東幹事長を団長とする訪中団の派遣を23~25日に控える民主党政権が、台湾への配慮を示せたかどうかは疑問だ。……
2012年3月14日 産経ニュース
■こんなところにも輿石訪中団の影が射していたのかと唖然としてしまいます。追悼式を開催する意味を野田ドジョウ首相自身が理解しておらず、事務方に丸投げして官僚の「伝統」に引きずり回されていたとしたら実に情けない話であります。まあ、こんな事務方の言い分を鸚鵡(おうむ)か九官鳥の如く会見の場で平然と披瀝すれば野党が勇んで攻撃するのは当然のことでありました。
……藤村修官房長官は14日の参院予算委員会で「配慮が足りなかった点についてはおわびしたい」と陳謝、13日の「事務レベルの仕切りに問題があったとは思わない」との発言を撤回した。
12日の参院予算委で問題を取り上げた世耕弘成氏(自民)が再び追及した。藤村氏は、指名献花での対応を「事務的に問題はなかったが、もう少し配慮があってしかるべきだった。新聞報道は発言の一部で私の言ったこととちょっと違う」と強弁。羅氏を1階の来賓席ではなく2階の一般席に案内したことも「何か問題があったということではない」と開き直った。
ところが、世耕氏が「記者会見で明言したではないか」と迫ると、藤村氏は「式典の運びに配慮が足りなかったことは問題で反省材料としたい。事務的にも問題があったことをきちんと認め、おわびしたい」と渋々発言を撤回した。
一方、野田佳彦首相は「私はやはり失礼があったと思う。きちんとご案内しなかったことも含めて心からおわびしたい」と陳謝。藤村氏の13日の発言についても「誤解を招いたならば申し訳ない」と述べた。
2012年3月15日 産経ニュース
■自分の非を認めずに「誤解」を便利に使うのは実に卑怯な態度で見苦しい限りであります。同様に「説明が足りなかった」というフザケタ言い方もありまして、東京電力が一方的に電気料金の値上げを通告しておいて、契約期間は値上げを拒否できる規定を隠していたのがバレた時も社長は平然と「ご説明が足りない点がありました」などと言っておりましたなあ。バカな客は大人しく値上げ分を支払うだろうと信じ込んでいる底意地の悪さが滲み出した言い訳でしたが、電力会社も内閣も言葉が信頼されなくなったらお仕舞いです。
超党派の日華議員懇談会の平沼赳夫会長(たちあがれ日本代表)は17日夜、台北市内で台湾の王金平立法院長と会談し、東日本大震災1周年追悼式典で台湾の代表が指名献花から外された問題について、「台湾から義援金を200億円もいただいたのに大変無礼なことをした」などと述べ、謝罪した。王氏は理解を示した。会談には日華懇副会長の中井洽元拉致問題担当相(民主党)も同席した。
2012年3月18日 産経ニュース
■野田ドジョウ内閣が正式に台湾側に陳謝の意を伝えていたのか否か、この平沼さんの会見の場で中井元拉致問題担当相が総理の使者として何らかの仕事をしたのかどうかも分かりません。しかし、1週間近くも経って野党議員に謝ってもらっているようでは野田ドジョウ首相の指導力も大したことはないようです。こうしたドタバタ劇の後、3月23日の閣議でやっと正式に「御免なさい」の答弁書を決定したというお粗末な話でありました。嗚呼、今の日本を動かしているのは、一体、誰なのだろう?と考えますと本当にぞっとしますなあ。
訪米中の楊永明・台湾行政院新聞局長(46)=閣僚=は(7月)11日、ニューヨーク市内で共同通信と会見し、東日本大震災の被災者に対する台湾の義援金が約200億円に達したことを明らかにするとともに、馬英九政権(国民党)が「対日特別パートナーシップ」路線を重視していると述べた。……支援額は「世界一」で、1999年の台湾中部大地震で日本がいち早く支援をしたことに対する「お返し」の意味もあるという。
局長はまた、原発廃止が台湾の目標であるとしながらも、電力の約20%を供給している3カ所の原発が2025年までに稼働を中止するため、建設中の第4原発を稼働させて補うことが必要との考えを示し、安全性の確保を強調した。
2011年7月12日 産経ニュース
■地震に加えて原発問題でも日本と台湾は共同して研究すべき課題があり、助け合いも続けて行かねばならないということであります。行け行けドンドンで強引に100基もの原発を並べるぞ!と意気込んでいる北京政府は有力な商売相手なのでしょうが、原発政策の曲がり角に来ている台湾とは冷静で深い話し合いが出来そうな気がします。北京の国際空港を新築する費用を日本政府に出して貰ったことを頬被りしている北京政府とは対照的に1999年の大地震に際して支援して貰ったことの「恩返し」だと国を挙げて世界一の義援金を送ってくれる国との関係を大事にしなければなりますまい。
■金額では400億円相当の原油500万バレルを贈ってくれたクウェートの支援も忘れてはなりますまい。3月21日の午前、皇居で両胸の胸水を抜く治療をお受けになったばかりの天皇陛下が直々に皇后さまとご一緒に来日したサバーハ首長をお出迎えになり、30分間の会見の後、お見送りまでしたのでした。バイパス手術のことを知っている首長は大変に感動した由。更に両陛下は23日の午前にも、サバーハ首長が宿泊していた東京・元赤坂の迎賓館を御訪問になってお別れのご挨拶をなさったとのこと。国民を代表して恩を忘れない姿勢がしっかりと相手に伝わったものと推察いたします。ついでながら?野田ドジョウ首相も22日に首相官邸で首長と会談しておりまして、クウェートから日本への原油の安定供給などを盛り込んだ共同声明を発表した折、原油の無償提供に謝意を表したとのことです。こちらの方はどの程度相手に伝ったかどうか怪しいものでありますが……。
■ここからまた台湾の話に戻ります。
政府は23日、東日本大震災追悼式典に台湾代表として出席した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表を指名献花から外したことについて「配慮が足りなかった」とする答弁書を閣議決定した。答弁書は「台湾の人々の気持ちを傷付けるようなことがあったとすれば政府の本意ではない。大震災に際しての多大な支援に深く心から感謝している」としている。大江康弘参院議員(無所属)の質問主意書に答えた。
2012年3月23日 産経ニュース
■本当に「配慮が足りなかった」のかどうかは真偽不明でありますが、野田ドジョウ内閣は取り敢えずは追悼式典での非礼を謝ったのでした。最初から常識的に事を運んでいれば「相手の気持を傷付けるような」心配はしなくても済んだのであります。これから振り返る追悼式典後の支離滅裂な民主党政権の答弁と態度を思い出せば、こんな役人作文を棒読みしたくらいで式典での大失敗を帳消しになど出来ないのは明らかでありましょうなあ。
政府が11日に主催した東日本大震災の一周年追悼式典で、台湾代表として出席した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表が指名献花から外されるなど冷遇されたことが分かった。12日の参院予算委員会で世耕弘成氏(自民)が明らかにした。
野田佳彦首相は「台湾の皆さまに温かい支援をいただいた。その気持ちを傷つけるようなことがあったら本当に申し訳ない。深く反省したい」と陳謝した。藤村修官房長官は「十分にマネジメントできていなかったことについてはおわびしたい」と述べた。……
■3月23日に閣議決定した「答弁書」と寸分違わぬ文言で野田ドジョウ首相は国会で陳謝していたのであります。10日間も正式な謝罪が遅れたのは何故だったのか?どうせ謝るのなら早いことに越したことはないのに……。党内の陰湿な権力闘争と消費税引き上げで忙しかったのでしょうなあ。
世耕氏によると、政府は約160の国と国際機関の代表に会場1階に来賓席を用意したが、羅氏は「民間機関代表」と位置付け、2階の企業関係者などの一般席に案内。指名献花からも外し、羅氏は一般参加者と献花したという。……台湾は、大震災の際、世界最大規模の約200億円の義援金を寄せた。政府は昭和47年の日中国交正常化後、台湾を国として承認していないが、代表処は事実上の大使館にあたる。
2012年3月12日 産経ニュース
■「政治主導」が奇しくも東日本大震災と原発事故で看板倒れに終わってしまい、その後は官僚主導へと大きく振り子が戻っていることもあり、杓子常時に時代遅れの手続きを踏襲して北京政府のご機嫌を取ろうとでもしたのでしょうが、危機管理能力が無い政権ならではの恥ずかしい失敗でありました。その責任は何処にあるのか?首相が国会で陳謝した翌日に明らかになりました。
……藤村修官房長官は13日午前の記者会見で「外交団という仕切りの中で整理され、外務省と内閣府で調整済みだったと後から聞いた」と述べ、対応に問題はなかったとの認識を示した。また12日に開かれた玄葉光一郎外相主催の各国高官のレセプション(歓迎会)には、台湾代表を招待したことを明らかにした。……この件について野田佳彦首相は12日の参院予算委員会で「本当に申し訳ない。深く反省したい」と陳謝しており、一夜にして謝罪を覆した形だ。
2012年3月13日 産経ニュース
■「其の九」で引用した3月27日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会で玄葉光一郎外相が明かした台湾からの出席者に「直接陳謝」したのがこのレセプションの場だったわけであります。しかし、藤村官房長官は「陳謝」の件には一切触れず、追悼式での献花では民間扱いしておいて歓迎レセプションでは各国高官と同等の扱いで「招待」したのだから問題は無い!と言い張ったのであります。こんな無茶な答弁をさせていたのは外務省だったことが翌日に判明しました。
……「外交団という仕切りの中で整理された。外務省と内閣府で式典のやり方を十分に調整された」、「外交団の仕分け(基準)は外務省にきちんとしたものが伝統的にある」
藤村氏は13日の会見で、追悼式典の準備に当たった外務省と内閣府が事務レベルで台湾をリストから外したこと自体には問題はないとの認識を強調した。自らの対応については「配慮が足りなかったかどうかを反省材料にする」と述べた。……
■注目すべきは基準が「外務省の伝統」に従って定められているという点です。元々、党としての綱領を持たない民主党には外交・安全保障(税制も)に関する統一見解も政策もありません。それ故に初代総理となった鳩山サセテイタダク元首相は「東アジア共同体」やら「沖縄の米海兵隊を国外へ」やら、夢見がちな独裁者のように後先を考えずに放言を繰り返して自滅したのでありました。菅アルイミ前首相は最初から外交政策など持ち合わせておらず、国際会議に行けば遠足に行った幼稚園児みたいにはしゃぎ、チャイナの胡錦濤国家主席を迎えれば悪さをして先生に叱られている中学生みたいに俯いてメモをぼそぼそと読んで見せたりしたものでした。さて、野田ドジョウ首相が国会で陳謝した翌日、藤村官房長官が前言を撤回したも同然の開き直りに出たのは、外務省からの圧力や指示があったからだと誰にでも分かります。
外務省は日本に公館を置いている150カ国、中国などにある公館で日本を担当している18カ国、経済協力開発機構(OECD)など35の国際機関に追悼式典への案内状を出し、約160人の外交団が式典に参加。日本が国家承認していないパレスチナの代表も例外的に外交団として扱われた。だが、外務省は台湾の駐日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処を「民間団体のステータスで呼んだ」(同省儀典官室)と説明している。そのため、羅副代表は外交団がいた会場1階の来賓席ではなく2階の企業関係者などの一般席に案内され、国名が読み上げられる「指名献花」の対象にもならず、一般参加者と一緒に献花したという。……
■「前例」と「文書」で武装して「御説明」攻撃を得意技にする官僚に対して民主党は「政治主導」の看板を掲げていたのですが、こうも簡単に臆面もなく「外務省の伝統」を振り回されたら二の句が継げませんなあ。台湾から贈られた莫大な義援金を「民間団体からの寄付」として民主党政権は受け取っていたから、追悼式でも同等の扱いをしたんだ!という恩も情も無い官僚主導のセレモニーだったと分かれば、野田ドジョウ首相が読み上げた作文の味気なさも納得出来ますが、何とも割り切れないものが残ります。
藤村氏は12日の参院予算委員会で「事務方ですべておぜん立てした。台湾に関するわが国の基本的立場は1972年の日中共同声明の通りだ」と語り、台湾が中国の領土の不可分の一部との中国政府の立場を「理解し尊重する」としている日中共同声明をもとに機械的にリストを作成したことを認めた。参院予算委でこの問題を追及した自民党の世耕弘成参院国対委員長代理は13日、「事務方で調整していようといまいと、台湾を各国代表の枠の中で扱わなかったのは問題だ」と非難した。
野田佳彦首相は12日の参院予算委で、世耕氏の指摘を受けて陳謝し、「行き届いていなかったことを深く反省したい」と述べた。外務省によると、この発言に対し、13日時点で中国政府からの反応はないという。もっとも、輿石東幹事長を団長とする訪中団の派遣を23~25日に控える民主党政権が、台湾への配慮を示せたかどうかは疑問だ。……
2012年3月14日 産経ニュース
■こんなところにも輿石訪中団の影が射していたのかと唖然としてしまいます。追悼式を開催する意味を野田ドジョウ首相自身が理解しておらず、事務方に丸投げして官僚の「伝統」に引きずり回されていたとしたら実に情けない話であります。まあ、こんな事務方の言い分を鸚鵡(おうむ)か九官鳥の如く会見の場で平然と披瀝すれば野党が勇んで攻撃するのは当然のことでありました。
……藤村修官房長官は14日の参院予算委員会で「配慮が足りなかった点についてはおわびしたい」と陳謝、13日の「事務レベルの仕切りに問題があったとは思わない」との発言を撤回した。
12日の参院予算委で問題を取り上げた世耕弘成氏(自民)が再び追及した。藤村氏は、指名献花での対応を「事務的に問題はなかったが、もう少し配慮があってしかるべきだった。新聞報道は発言の一部で私の言ったこととちょっと違う」と強弁。羅氏を1階の来賓席ではなく2階の一般席に案内したことも「何か問題があったということではない」と開き直った。
ところが、世耕氏が「記者会見で明言したではないか」と迫ると、藤村氏は「式典の運びに配慮が足りなかったことは問題で反省材料としたい。事務的にも問題があったことをきちんと認め、おわびしたい」と渋々発言を撤回した。
一方、野田佳彦首相は「私はやはり失礼があったと思う。きちんとご案内しなかったことも含めて心からおわびしたい」と陳謝。藤村氏の13日の発言についても「誤解を招いたならば申し訳ない」と述べた。
2012年3月15日 産経ニュース
■自分の非を認めずに「誤解」を便利に使うのは実に卑怯な態度で見苦しい限りであります。同様に「説明が足りなかった」というフザケタ言い方もありまして、東京電力が一方的に電気料金の値上げを通告しておいて、契約期間は値上げを拒否できる規定を隠していたのがバレた時も社長は平然と「ご説明が足りない点がありました」などと言っておりましたなあ。バカな客は大人しく値上げ分を支払うだろうと信じ込んでいる底意地の悪さが滲み出した言い訳でしたが、電力会社も内閣も言葉が信頼されなくなったらお仕舞いです。
超党派の日華議員懇談会の平沼赳夫会長(たちあがれ日本代表)は17日夜、台北市内で台湾の王金平立法院長と会談し、東日本大震災1周年追悼式典で台湾の代表が指名献花から外された問題について、「台湾から義援金を200億円もいただいたのに大変無礼なことをした」などと述べ、謝罪した。王氏は理解を示した。会談には日華懇副会長の中井洽元拉致問題担当相(民主党)も同席した。
2012年3月18日 産経ニュース
■野田ドジョウ内閣が正式に台湾側に陳謝の意を伝えていたのか否か、この平沼さんの会見の場で中井元拉致問題担当相が総理の使者として何らかの仕事をしたのかどうかも分かりません。しかし、1週間近くも経って野党議員に謝ってもらっているようでは野田ドジョウ首相の指導力も大したことはないようです。こうしたドタバタ劇の後、3月23日の閣議でやっと正式に「御免なさい」の答弁書を決定したというお粗末な話でありました。嗚呼、今の日本を動かしているのは、一体、誰なのだろう?と考えますと本当にぞっとしますなあ。