旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

★『チベット語になった『坊っちゃん』』発売中

2005-12-31 23:58:00 | お知らせ
昨年、暮れ忙しい最中に、旅限無は『チベット語になった『坊っちゃん』』という本を山と渓谷社より出版しました。業界の力関係で、全国の書店で簡単に入手できる状況には無いのが、実に心苦しいのですが、旧弊に安住している配本体制を乗り越えつつあるネット通販で、何と海外在住の方にも御購入いただいている由。便利な世の中になったものです。今年は『坊っちゃん』100周年とも仄聞(そくぶん)いたしました。是非、漱石が残した財産を再読して頂きたい。そして、関連本として拙著も手に取っていただけますれば、望外の幸せと存じます。以下に、恥を忍んで中身をおずおずと紹介させていただきます。

旅限無は1998年から2000年まで中国・青海省でチベット語を学び、2001年の1年間はチベット人学生にチベット語で日本語を教えておりました。この本はその時の体験・思索をまとめたものです。

■本の概要

本の最初はチベット留学の動機から始まります。奇縁で入学したのが、パンチェン・ラマが設立した中国青海省の民族学校で、その内部で起こっている諸問題のレポート部分が続きます。
「チベット語の蘇生」の試みについて可能な限り詳細に述べましたが、鍵となるのが仮名文字と文法です。作中の授業を一緒に受けて頂きますと、実際に生徒達が体験した興奮を共有できます。さだまさし氏の歌が、冒頭と最後に登場して重要な役を演じます。チベット語と日本語の共通性が「奇跡」の種なのですが、授業内容・教授法を詳細に記述してその種明かしをしまして、後は一気に『坊っちゃん』翻訳の山場へと向います。
日本人にとっての夏目漱石が、今のチベット人にとっても重要な人物になって行く物語は、教育や日本語に危機感を持っている方々に訴えるものが有ると思います。チベットと日本の「近さと遠さ」を考える様々なエピソードは、今までに無かった視点から、チベットやアジアを考える多くのヒントになるでしょう。チベット人を大いに助けた「振り仮名」の効用を再確認しようと、多めにルビが振られているのも特徴です。

■章立て

巻頭 チベットの海
序章 拝啓、さだまさし様
第一章 チベットとの出会い
第二章 チベット留学
第三章 チベット語の可能性
第四章 チベットの坊っちゃん先生
第五章 息を吹き返したチベット語
第六章 別れの時
巻末  膠着語回廊

■宣伝

・どうしてチベット人学生達は日本語を学習して半年『坊っちゃん』翻訳できるようになったのか――チベット文化圏の青海省の山奥で起こった「奇跡」の物語!

チベットの歴史・文化,仏教,中国の少数民族政策,膠着語(日本語,チベット語,朝鮮語,トルコ語,モンゴル語等)に興味のある方必読の書!

『チベット語になった『坊っちゃん』』(定価:1600円)山と渓谷社より発売中!

どうぞ宜しくお願いいたします。

最新の画像もっと見る

21 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
祝・出版 (Hiro-san(ヒロさん日記))
2005-11-16 08:34:23
ご出版おめでとうございます。bk1(オンライン書店)で取り扱いになった折には、イギリスより購入したいと思います。
返信する
Hiro-sanへ (旅限無の留守番係)
2005-11-16 23:37:58
いらっしゃいませ。お祝いのお言葉賜りまことに恐縮でございます。ただ今旅限無がお篭り中なので、代わりに留守番係が返信いたします。旅限無のデビュー作なので、世間の皆様からどういう反響があるか今からドキドキしてしまいます。チベットだけでなく日本語や中国の歴史・仏教にも話が及んでおりますので、多くの方の手に取っていただけたら嬉しく思います。
返信する
無知 (bonta)
2005-12-01 14:11:44
チベット語に関する知識はまったくありませんでしたが、日本語や韓国語のような「膠着語」なんですか?

”チベット・中国語”などという言い方があるぐらいなので(ありましたよね?)、どちらかと言えば中国語に近いのかなぁ…なんて勝手に想像していたのですが。



ともかく出版おめでとうございます。



返信する
表紙の写真 (読んでみます。)
2005-12-06 09:15:20
ときどき、このサイトを拝見しております。

ご出版おめでとうございます。

表紙の写真も印象的です。

どちらの湖なのでしょうか。
返信する
Unknown (館主)
2005-12-06 11:41:54
おめでとうございます!素敵な装丁ですね。
返信する
祝・出版。願・重版。 (千代丸)
2005-12-06 11:47:56
出版おめでとうございます、早速購入、読ませていただきました、平易な文章で大変に読みやすく、面白く、一気に読了してしまった程です、また人間と言語の関係、民族にとってのその言語の重要性、日本語の現状に対する危惧等々考えさせられることも多く、いずれにしましても一人でも多くの人に読んでもらいたい良書だと思います。微力ながら友人知人に推薦することで応援させていただきます。
返信する
館主さんへ (旅限無)
2005-12-06 14:43:19
お褒めの言葉、ありがとうございました。表紙の写真は土壇場までモメました。話の舞台になる青海湖周辺は絵にならない、と言うよりもフレームに収まらないのです。青海湖自体、知らない人が見たら岸辺の波と水平線だけですから、ただの海にしか見えません。雪山は遠いので広い草原の羊の群を撮れば白胡麻みたいになります。文中では現地の生活の様子も書きましたから、社会主義政権下の学校生活を含めてお楽しみ下さい。
返信する
中華 状元への道 (zhuangyuan)
2005-12-13 06:29:26
myblogへのコメントありがとうございました。

旅限無さんがお書きになった著書大変興味がありますので必ず読みます。

以上
返信する
zhuangyuanさんへ (旅限無)
2005-12-13 14:30:11
拙著に興味を持っていただき、有難うございます。編集者とくたくたになるほど、削れ!削らない!の議論して仕上げた物なので、コンパクトに知識と情報が詰め込まれた本になっていると思います。前半はちょっと我慢して頂くと、後半の実話ドラマが何倍にも楽しめるような構成になっているので、できましたら、最初から読んで下さいね。出来ましたら、読後の感想など、お聞かせ下さい。素敵なコメント、有難うございました。
返信する
コメントありがとうございました (toru_moon)
2005-12-16 20:12:16
 『こんな本を読んでいる』のtoru_moonです。

サダトの記事にコメントありがとうございました。



 さっそく,旅限無さんのサイトを見させていただきましたが,骨太のブログですごいなあと感心しております。しかも,本も書かれるんですね。すごい。



 機会があれば読ませていただきたいと思います。志が低いのですが,図書館で予約して読みますので,だいぶ先のことになると思いますが・・・。ごめんなさい。
返信する